2002年9月6日「しんぶん赤旗」より

10万人が臨時教員

教員全体の数 横ばいなのに

失業の不安を抱えながら


 全国に10万人いるといわれる臨時教員。教員全体の数が横ばいになっているのに、臨時教員数は増え続ける一方です。10年、20年と長期にわたり臨時教員の身分にとどまっている「長期臨採」がいまあらためて問題になっています。

■足かけ30年■

 「(略)私はこうして臨時教員生活を十数年続けてきた/いつも、自分の要求を笑顔の奥に押し込めて/(中略)でも、私は生きている人間なんです/そして、人間を育てている教員なんです/私の体をぶち切りにして/いいところだけを食べないで下さい(後略)」(「臨時教員の人間宣言」)

 山口八重子さん(57)は自らの体験をもとにつづった詩、「臨時教員の人間宣言」を91年に発表しました。「『黙っていては使い捨てられてしまう』という思いでできた詩です」と話します。足かけ30年間の臨時教員。賃金は10年以上、頭打ち。常に失業の不安を抱えながら正規教員と同じ業務をこなしてきました。

 「『臨時』でずっとやっている人がいること自体がおかしい。10年、20年もやっている人が私以外にたくさんいます。教育委員会だけの都合でいつでも辞めさせられる首切り要員です。雇用の保障もなく、生活の保障もない待遇は許せません」

 「静岡県の臨時教職員制度の改善を求める会」の長澤裕事務局長(37)は語ります。「5年、10年と経験を積み、力を身につけてきた人が切り捨てられていることは、教育の充実にとっても大きな損失です。教育委員会は実力を認めて長期にわたって採用しているのに、いつまでも正規採用せずに臨時の身分にしているところに矛盾があります」

■自治体は…■

 全国で少人数学級を導入している自治体が増えています。しかし、昨年改定された義務教育標準法は国の基準を1クラス40人にすえおいたまま。また常勤の教員定数を非常勤講師に置きかえることを認め非常勤講師の採用を促進するものとなっています。

 自治体は少人数学級を実施する場合、財政負担の面から正規教員の採用を抑え、人件費の安い臨時教員を増やしています。

 全国臨時教職員問題連絡会の上村和範副会長(46)は「6年間で小学校の非常勤講師は2倍になっています。臨時教員の任期はわずか数日間から長くても1年間ほどで系統性のある、見通しを持った授業がしづらい。必要な教職員はすべて正規採用してほしい。国の責任で『30人学級』を実施し正規教員を増員すべきです。また、教員採用の試験問題、選考基準などを公開し、教師選びに市民、住民の声が反映される学校づくりをしていく必要があります」と話しました。


学校、子ども 困っている

 三輪定宣千葉大教授の話 学校というのはチームワークの世界。一人の教師の力だけではなく学校全体で子どもを育てるところです。非常勤の先生は時間制で、かけもちで何校か勤務している場合もあり、授業だけやって帰ってしまうなど、臨時教員問題は制度的にチームワークを損なうものだと思います。

 現場の教員数はぎりぎりで学校五日制になって正規教員も休めない。校長、教頭は病休などが出ると臨時の先生を探さなくてはいけない。しかも自治体どうしが取り合いになっている状況です。なかなか決まらなくてクラスの子どもが宙に浮いている事態も起きています。学校、子どもたち、臨時教員、みんなが困っています。大変な事態ですが三十人学級を実現し正規教員を増やす絶好のチャンスでもあると思います。


 臨時教員 産休、病休など教員がやむをえず休まなくてはならなくなったときや急な学級増の場合の補充教員、代替教員のこと。このほか、少人数指導の担当などに積極的に採用されています。

 臨時教員は、教員免許を取得した希望者が教育委員会に登録し、教育委員会が必要に応じて順次採用します。

 臨時教員は2週間ほどの短期から長くて1年間の契約で、契約が切れた後の雇用保障、生活保障はありません。


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