2002年12月20日「しんぶん赤旗」
文部科学省が今年1月に実施した小・中学生の学力テストの結果が公表されました。文科相は「(今年3月までの)学習指導要領の目標や内容に照らした児童生徒の学習の状況は、全体としておおむね良好」としました。子どもの現状とかけはなれた政府の認識は、多くの関係者から厳しい批判を受けています。
「良好」とはいえない
「おおむね良好」の根拠は、文科省のたてた「設定通過率」よりも、子どもの通過(正解)率が高かったという、その一点です。要するに、自分たちの予想よりテスト結果がよかったから「良好」といっているにすぎません。我田引水の論法に、文科省の自己保身のためではないかという見方が広がっています。
テスト結果を素直に読めば、とうてい良好とはいえません。問題の3分の1は、過去と同一問題ですが、その結果を比較すると、のべ23教化中、上昇したのが3、前回同様が10、低下が10です。とくに算数・数学と社会科では低下が目立ちました。
個別の問題でも気になることが少なくありません。たとえば、小5算数で「アの円周は、アの直径の何倍ですか」という円周率をきく問題は、「設定通過率」80%にたいし、実際の正解率は半分以下の35.8%でした。円周率の意味そのものがつかめていない結果とも受け取れます。考える問題や、記述する問題がふるわないなど、多くのことが指摘されており、教化ごとに専門的な分析をおこない、今後の教育活動に生かされることが着たいされます。
いっそう気になるのは、子どもと勉強との関係です。今回、学力テストと同時に勉強についてのアンケートがおこなわれましたが、「勉強が好きだ」という回答は、「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」を足しても、小学生で約37%、中学生では18%です。逆に「そう思わない」と「どちらかといえばそう思わない」の合計は、小学生でも過半数をこえ、中学生では7割をこえています。また、授業が「分かることと分からないことが半分ずつある」と「分からないことが多い」「ほとんどが分からない」を足した割合は、小学生で4割、中学生では5割をこえています。
少なくない子どもが「勉強が好きではない」「授業が分からない」といっている現状がありながら、テスト結果を操作して「学力はおおむね良好」というのは机上の空論です。
どうしたら子どもがひとみを輝かせて勉強するのか、そのことを語り合う、子どもの顔がみえる学力論議こそ求められているのではないでしょうか。
4月からは新学習指導要領がスタートしています。全日本教職員組合のアンケート調査(2つ選択)では、4月から「子どもの学校生活があわただしくなった」とこたえた教員は全体の7割に達し、「かえって授業に集中しなくなった」は半分にのぼりました。
指導要領の見直しを
新学習指導要領は実施前から批判と不安の声が社会の各方面からあがっていましたが、その危ぐがまさに的中した形です。実は、この新学習指導要領は「子どもの学力はおおむね良好」という分析を前提につくられたものです。前提が狂ったものがいいものになるはずがありません。
文科省は、こんなことに個室することをやめ、子ども、教職員、父母らの声に耳を傾け、新学習指導要領を根本から見直すべきです。


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