2002年12月14日(土)「しんぶん赤旗」
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文部科学省は十三日、全国の小学五年生から中学三年生までを対象にした「教育課程実施状況調査」を公表しました。文科省が設定した想定正答率に達した問題が多く、同省は「学習状況はおおむね良好」としています。しかし、前回調査(一九九三〜九五年)と同一の問題の正答率はのべ十五教科で前回を下回りました。
調査は二〇〇一年度までの旧学習指導要領にもとづいて「児童生徒の学習状況の把握」を目的としたもの。今年一〜二月に小学生二十一万人、中学生二十四万人を対象にペーパーテストを用いておこなわれました。あわせて学習に関する意識調査も実施しました。
調査にあたり文科省は個々の問題ごとに想定正答率(設定通過率)を設定。実際の正答率がこの想定率に達した問題が全出題の半数以上を占めた場合を「おおむね良好」としました。のべ二十三教科のうち二十教科が「おおむね良好」となりました。
しかし、前回との比較では、全学年の算数・数学と社会、中一の英語などで正答率が低下しました。
意識調査では、勉強が「好き」と答えた子どもは小学生で四割以下、中学生は二割を切りました。逆に「好きと思わない」という子どもは小学生でも五割以上、中学生は七割を超え、中学二年生では76%に達しました。
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| 数・英など想定率下回る |
今回の調査では、実際の正答(準正答を含む)者の率(通過率)と、文科省が基準として想定した率(設定通過率)とを比較しています。
文科省は実際の正答率が想定率を下回った問題の数が、ほとんどの教科・学年で過半数に達しないことをもって「児童生徒の学習状況はおおむね良好」としています。
しかし、教科・学年別に、すべての問題の正答率と想定率の平均とを比較すると、算数・数学、英語などで正答率が想定率を大きく下回っています。
算数・数学はすべての学年で正答率が想定率を下回りました。とくに小五は6・5ポイント、中一は5・0ポイントと大きな差が出ています。
英語も中三7・6ポイント、中一5・2ポイントなど全学年で想定を下回りました。理科では、小六で9・3ポイント想定を上回ったものの、中一は7・8ポイント、中二は5・2ポイント下回りました。
また、文科省が基準とした想定率は、六―七割が正答できればいいとされたものです。とくに中二の社会は53・8%、中一の社会は55・0%とかなり低い想定になっています。
この想定率自体が適切なものかどうか、旧学習指導要領にもとづいたとされる調査のテスト問題が基礎学力を把握するのにふさわしいのかという問題とあわせて、議論をよびそうです。
| 前回比で数・社・理が低下 |
前回(一九九三〜九五年)におこなった調査と同一の問題が全体の約三分の一程度あります。その正答率と今回の正答率を比較すると、算数・数学、社会、理科などで低下傾向があらわれています。
算数・数学は中一が5・7ポイント、中二が3・7ポイント、小五が3・6ポイント前回より低下しました。円の面積を求める問題の正答率が前回の69・1%から53・3%に下がるなどしています。
社会は小五が2・9ポイント、小六が3・5ポイント。理科は中一が2・8ポイント、中二が2・3ポイント低下。中一の英語も3・7ポイント低下しました。
一方、同じ英語でも中二は2・2ポイント、中三は2・8ポイント上昇。国語も中二が2・4ポイント、中三が2・6ポイントそれぞれ上昇しました。
| 少なくなる勉強「好き」 |
今回の調査では子どもの「勉強に対する意識」も調べています。
勉強全般が「好き」(「どちらかといえば」を含む)と答えたのは小五では39・8%ですが、学年が上がるにしたがって少なくなり、中二は16・0%、中三は少し増え17・8%でした。
教科ごとの回答は理科が「好き」は、小学生が約69%、中学生が約55%で五教科中最多。算数・数学が「好き」は、小学生約51%、中学生約44%で五教科中最少でした。
授業が「よく分かる」「だいたい分かる」は小五で61・4%、中二では41・1%。「分からないことが多い」「ほとんど分からない」は小五が6・4%ですが、中二で17・6%でした。
一方、「勉強は受験に関係なく大切だと思う」(「どちらかといえばそう思う」を含む)と答えた小学生は約78%、中学生は約71%でした。
梅原利夫和光大学教授(教育学)の話 子どもの学習状況は「全体としておおむね良好である」との総合評価は、教師の指導の実感やこれまで行われた信頼に足る学力調査の結果などともかけ離れており、政治的意図を感じます。「良好」なのだからこの結果を受けて、文部科学省は現在の政策路線(たくましい日本人育成、新しい学力観、「学びのすすめ」など)を推進するとの結論です。これでは何のための調査かと疑問です。
また、この調査は、昨年度まで実施の旧学習指導要領についてであり、多くの欠陥が指摘されている現行のものではないこと、および問題そのものの適切さについては今後の検討が必要なこと、さらには評価の基準となる個々の問題の「設定通過率」の妥当性が第三者には検証できていないなどの疑問点を抱えています。
しかし、今回公表された結果の範囲だけでもいくつかの深刻な事態が読み取れます。たとえば、算数・数学と英語ではすべての学年で設定通過率を下回っていますし、過去と同一問題では、算数・数学と社会科ですべて低下しています。質問紙で「勉強が好きだ」とは思わない割合が、小学校で五割、中学校で七割五分もあったことなど、拒否感が広がっています。
今大切なのは、学力調査の政治的利用ではなく、多方面から指摘されている「学力問題」を総合的に分析し、抜本的な改革の政策を立てることでしょう。


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