2002年8月25日「しんぶん赤旗」より

主張

学習指導要領

もう押し付けはやめるべきだ


 まだ一学期が終わっただけですが、新学習指導要領のもとで、多くの矛盾が噴き出しています。

 文部科学省は、「学習内容を減らしてゆとリを」というのを新指導要領の最大のうたい文句にしてきました。ところがそのやり方は、関係者が「これを落としたら子どもが理解しづらくなる」と訴えている内容まで削るという、乱暴なものでした。

関係者から強い批判

 例えば小学校では「1000マイナス120」といった四けたの引き算は教えなくていい、計算は電卓でできるから、となりました。これにたいし「計算の力がつかない」「学力格差が広がるのては」という厳しい批判が関係者からおきています。

 大切な内容をよく分かるように学べないのでは本当の「ゆとり」はうまれません。最近、円周率3・14の掛け算を「できる子」に教えるなどと手直しをしましたが、こんな付け焼き刃では問題の解決になりません。

 しかも、完全五日制と「総合的な時間」新設などで各教科に使える時間が大幅に減り、「授業のスピードがかえって早くなった」というのが現実です。文科省が実施直前に「授業時間の厳格な確保」をもとめた結果、「教育委員会の指導で小学校で毎日六時間、子どもはくたくた」などの例もうまれています。

 教育現場の混乱もかつてないものがあります。例えば時間割です。これまでは、学校のある年問三十五週にあわせて各教科の配分時間はおおむね三十五の倍数でした。ところが、新指導要領は、それを崩して年問を通じて一定した時間割をくめない仕組みとなりました。時間割表を配らず、時間割を毎日の連絡帳で伝えるため、子どもの忘れ物がたえない。そんな学校すらでました。

 教師の超過負担もいっそう深刻になりました。この春から「少人数授業」を教師の増員なしに押し付けるなどの無理を重ねた結果、「授業がない時間がなくなり、気になる子どもへの指導ができなくなった」「このままではだれかが過労死するのでは」などの危ぐが広がっています。

 日本共産党の追及に文科省は「一時間の授業に一時間の準備が必要。それが教員配置の基準」と答弁しましたが、それには程遠い実態です。また自主的研修への不当な制限が各地でおきていますが、教師の力量向上に新たな障害をつくるものです。

 国民の側からは、こうした矛盾と混乱を克服して、自然や社会の仕組みが分かり、学習する意味を実感できるような、今日の子どもにかみ合った学習の探求が始まっています。

 ある小学校では、全教師で新旧の学習指導要領の比較を行い、「新指導要領の通りでは子どもに基礎学力がつけられない」という認識で合意しました。その上で各教科で何をどこまで教えるか、子どもの自主活動を大切にするなどを検討し、それにそった無理のない教育計画をつくり、父母からも歓迎されています。

学習の新たな探求

 現場の教師や専門家の意見をもとにして独自教材をつくった地方の教育委員会もあります。理科では、「もう指導要領のもとではやってられない」と教科書執筆者を含む広範な人たちが「検定外教科書」の準備をはじめました。

 今日の混乱は、学習指導要領に象徴される、国による教育への管理・統制そのものの破たんに他なりません。文科省などによる理不尽な押し付けから、教師や学校関係者の自主性を大切にする方向へ、流れを大きく切り替えるべきです。


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