2002年7月7日「しんぶん赤旗」より

学校5日制はいま

授業時間が増え、行事減る

自主的な時間割つくる学校も

「ゆとり」が売り物だったけど…
平日が忙しくなった!


 「ゆとり」が売り物だったはずの学校五日制。それなのに「平日がどんどん忙しくなっている」という声が各地であがっています。授業時間が増え、楽しい学校行事や休校日も減る傾向。そんななかで、自主的な時間割・授業づくりなどで実りある五日制にする努力も始まっています。

「しんどい」…週30時間こす授業

 「新学期に、〃土曜日が休みになってうれしい〃と言っていた子どもたちから、〃これなら土曜日に授業があったほうがいい〃という声が出ています」。大阪府の小学校教諭、黒田亮さん(仮名)はこう言います。

 近隣のどの小学校も高学年は週二十九時間、中学校は三十時間です。小学校でもほとんど毎日六時間になります。黒田さんの小学校は、それに加えて五時間目が六十分授業。通常の四十五分授業に加えて「復習タイム」が十五分です。この時間を「三日分で一時間」と計算すれば、週三十時間を超えてしまいます。

 学習指導要領では、小学校の高学年は週二十七時間。これでも去年までの平日より過密ですが、さらに二時間以上「上乗せ」です。学力低下への不安を背景に、教育委員会主導で各学校に授業時間の「上乗せ」された結果です。

教師は多忙に、親は学力に不安

 その結果は―。「まず午後の授業は、子どもが疲れてきて大変」と黒田さん。「しんどい」と言って保健室を訪れる子どもも増えています。去年と比べて朝の授業開始時刻を十分早めていますが、それでも六時間目が終わると三時三十五分。翌日の連絡をしたりしていると、下校は早くて四時。黒田さんは「冬は暗くなるのが早い。放課後に外で遊ぶ時間がほとんどない」と心配します。

 「子どもは疲れてかわいそうだけど、授業時間が減ると学力が心配。〃それでもがんばれ〃というしかない」――。ある母親の声です。

 塾や家庭教師などの案内電話やグイレクトメールが毎日のように届くなか、学力低下への不安が、親にのしかかっているのです。

 教師は、多忙化に拍車がかかっています。職員会議も授業が終わった四時以降から。放課後、子どもに〃勉強教えて〃〃鉄棒するから見て〃とか言われても相手ができません。授業準備は勤務時間内にほとんどできず七時八時まで残業。それでも間に合わず、帰宅後にまた仕事というのが実態です。「五日制も『総合的な学習の時間』も、子どもにどんな力をどう付けるのかを議論する時間もないまま見切リ発車。子どものための教育を作り上げる時間的保障が何よりほしい」。黒田さんの一番の願いです。

ゆとりを奪って詰め込み授業…

 子ども全国センター代表委員の三宅良子さんはこういいます。「ゆとりは毎日必要なのです。土日が休みでも、月〜金曜日が追い詰められていては、何のための五日制なのか分かりません。ゆとりを奪って詰め込み授業をしても学力は身につくものではありません。国連子どもの権利委員会が〃日本の子どもはストレスにさらされ、余暇や身体的活動、休息が欠け、発達にゆがみをきたしている〃と勧告していることを、真剣に受け止めるべきです」

よりよい学校へ自主性の尊重を

 子どものためによりよい教育を進めようとする取り組みも始まっています。

 関西のある小学校では二年間かけ、教職員ぐるみで新旧指導要領を比較検討しました。結論は「(決して良いとはいえないが)前の指導要領の方がまし」。基礎学力形成を重視して各教科ごとに〃何をどこまで教えるのか〃を話し合いました。年末には、「総合」の時間を遠足・運動会などでまとめどりするなどで授業時数を確保し、「上乗せ無し」の独自時間割を決定。保護者にも考え方や各教科の内容を丁寧に説明しました。この学校では「学校五日制でよかった」が実感になっています。

 大阪教職員組合教文部長の古田明徳さんは「教育課程は、子どもの実態などをもとに父母の理解を得ながら各学校で自主的に決めるべきものです。多くの矛盾が生まれているときだけに、とくに重要になっています」と言います。


機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


Copyright(C)石井郁子事務所 2001
本サイト内のテキスト・写真等全ての掲載物の著作権は石井郁子事務所に属します。
リンク希望の方は、お手数ですがメールにてお知らせください。


石井郁子トップページはこちらから