146-衆-青少年問題に関する特別委員会-2号
1999年11月18日
石井郁子議員 質問部分 会議録


平成十一年十一月十八日(木曜日)
    午前九時三分開議
 出席委員
   委員長 石田 勝之君
   理事 石崎  岳君 理事 太田 誠一君
   理事 阪上 善秀君 理事 戸井田 徹君
   理事 田中  甲君 理事 肥田美代子君
   理事 池坊 保子君 理事 三沢  淳君
      岩下 栄一君    岩永 峯一君
      江渡 聡徳君    大野 松茂君
      奥山 茂彦君    佐田玄一郎君
      佐藤  勉君    実川 幸夫君
      中野 正志君    能勢 和子君
      原田 義昭君    水野 賢一君
      目片  信君    北橋 健治君
      中川 正春君    中山 義活君
      山本 孝史君    太田 昭宏君
      旭道山和泰君    一川 保夫君
      松浪健四郎君    石井 郁子君
      大森  猛君    保坂 展人君
    …………………………………
   政府参考人(警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君
   政府参考人(総務庁青少年対策本部次長)           川口  雄君
   政府参考人(法務省人権擁護局長)  横山 匡輝君
   政府参考人(文部省生涯学習局長)  富岡 賢治君
   政府参考人(厚生省児童家庭局長)  真野  章君
   参考人(埼玉県中央児童相談所長)            今井 宏幸君
   参考人(社会福祉法人子どもの虐待防止センター理事長)  上出 弘之君
   衆議院調査局青少年問題に関する特別調査室長    澤崎 義紀君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 青少年問題に関する件(児童虐待問題等)

    午前九時三分開議
     ――――◇―――――

○石田委員長 これより会議を開きます。
 青少年問題に関する件、特に児童虐待問題等について調査を進めます。
    ―――――――――――――

○石田委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、児童虐待問題等につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず今井参考人、上出参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、政府参考人から説明を聴取した後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
 念のため申し上げますが、御発言はその都度委員長の許可を得てお願いをいたします。また、衆議院規則の規定により、参考人は委員に対して質疑ができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、まず今井参考人にお願いいたします。

○今井参考人 埼玉県中央児童相談所長の今井でございます。よろしくお願いいたします。
 資料をお手元に用意させていただきましたので、それに基づきまして進めさせていただきたいと存じます。
 まず、私の立場でございますが、本日は、全国児童相談所長会の会長であります東京都児童相談センター長の大久保隆氏からの依頼を受けまして参考意見を述べさせていただくものでありますことを、あらかじめお許しいただきたく存じます。
 また、児童相談所におきます虐待の取り扱いの実態等の御説明は、埼玉県のもの、また私の担当した職務の範囲内で御容赦願いたいと存じます。
 参考までに申し上げますが、平成十年度の埼玉県におきます虐待相談処理件数は三百四十七件で、全国第三位でございました。全国の処理件数六千九百三十二件の五%を占めております。
 次に、申し述べる意見の内容でございますが、三行目からでございます、法改正等の意見につきましては、現在全国所長会議には集約したものがございませんので、さきの全国会議や、私の属します関東甲信越ブロック会議での協議事項などを要約して述べさせていただくことをお許しいただきたいと存じます。
 次に、児童虐待の防止に関して、埼玉県児童相談所等の取り組みの実例、ケースの実例について申し上げたいと存じます。
 二十年以上前のことでございますが、埼玉県の児童相談所におきまして、性的虐待で娘を保護された父親が児童相談所に押しかけまして、担当の女性ケースワーカーの腹を刃物で、これは文化包丁でございましたが、刺し、職員が重傷を負った事件がございました。
 次に、児童養護施設上里学園在職中には、虐待で措置された児童は形式上は少なかったと思いますが、それは、児童相談所側が、保護者を刺激しないように、養育困難などほかの理由で入所させた結果でございました。
 しかしながら、現実には、虐待を受けた人間関係のゆがみから、職員や同室の子供にしばしば突っかかったり、また、学校帰りに子猫の口に砂を無理に押し込んで殺してしまったりというようなことがございました。
 次に、新たに中学二年生の女子が非行の果てに入所しましたが、この児童の非行の真の原因は、養父からの性的虐待から逃れるためでございました。
 また、虐待を受けた児童とは別に、知的障害があり特殊学級や養護学校へ通わせた児童が八十人中十人も混在しておりまして、通学の指導や就職先の開拓にも大変な苦労がございました。
 児童養護施設は、養護児童や軽度の知的障害児、虚弱児童を多数受け入れて、社会人として自立させてきました。今後は、被虐待児童の大部分を受け入れる受け皿の役割も果たさねばならないと思いますが、児童の処遇の実態は、自立支援には不十分であると思いますので、改善に向けて目を向ける必要があると存じます。
 次に、児童相談所での被虐待児童の取り扱い経験から、幾つかを述べさせていただきたいと存じます。
 危険の非常に大きい虐待では、精神疾患のある母親が、乳児院から強引に連れ帰った生後六カ月の乳児の泣き声に「どうして泣くのよう」と過剰反応いたしまして、家庭訪問中でありました児童福祉司の目の前で、シェーキングベビーといいますか、こういうふうに揺すぶるわけですね。そうすると脳がぐずぐずになってしまうということなんですが、そうなってしまうほど激しく揺すぶったために、その場で緊急保護した事例がございました。この母親は、保護先の乳児院へもその後も押しかけまして、強く引き取りを求めてきましたが、虐待が再発するおそれがありましたので、児童福祉法二十八条の強制入所措置を家庭裁判所へ申し出、承認されたケースでございます。
 もう一件、両親が泣き叫ぶ幼児をたたいて、両眼を、水晶体破裂でございましたが、失明させてしまった事例がありました。病院からの通告でございました。最近転居してきて、地域からは孤立していた家族でございました。乳児がたたくと泣きやむので、泣く都度泣きやむまでたたいたということでしたが、乳児を失明させてしまった悲惨な例でございました。児童は、現在県外の盲児施設で生活をしております。
 次に、ごく最近の事例でございますが、先日テレビで報道されましたように、児童の証言によりまして、虐待が日常的にしつけと称して行われ、重傷を負わされ、児童本人の、これは五歳の女の子でございますが、証言によりまして刑事事件として立件されたものもございます。
 いずれにいたしましても、児童福祉司の、児童の命を守り子育てを支援しようとする熱意とケースワーク技術、それに児童相談所の総力を挙げましても、発見の早い遅い、それから対応開始の時期等によりまして結果に差異が出てまいるかと存じます。
 次に、虐待防止活動の妨げとなる当面の問題点についてでございますが、児童を入所させる先の乳児院、それから児童養護施設の入所児童数が定員いっぱいに近くなりまして、新たな入所が困難になってきております。
 それから、ケースワーク上の進行管理がまだ徹底されていないのではないかと考えております。
 次に、虐待防止の埼玉県の取り組みについて申し上げます。
 八年度にこういう指針をつくりまして、九年度から強化事業というのを県単で始めまして、県内の関係機関のネットワークを形成しまして、ネットワークによるケース一つ一つの取り扱いをやるということにしています。それから、弁護士、精神科医師、家庭裁判所の調査官、大学の教授等を入れまして、虐待防止専門員を委嘱して相談をしているということでございます。
 それから、本年度、平成十一年度の埼玉県児童相談所の新たな取り組み、これは児童相談所で決めたものでございますが、これについて申し上げたいと存じます。
 平成十一年度は、虐待の早期発見、早期対応のために新たな取り組みを始めました。
 取り組みの基本方針でございますが、虐待の防止は、早期発見、早期対応、早期治療に尽きると考えました。
 取り組みの実施方針でございますが、虐待通告処理の進行管理を確立するということ、虐待防止関係機関ネットワークを再構築する、それから内部組織を虐待対応型に変更する、この三点でございます。
 取り組みの具体策としまして、まず進行管理でございますが、すべての虐待通告ケースを、通告受理後四十八時間以内に訪問調査し児童の現状を確認するということでございます。訪問調査の主眼は、児童の心身の状態、生活状態を児童福祉司みずからの目で確認することである、自分で見てきなさいと言っております。身柄の安全を図るべきものは緊急保護するというようなことは従来どおりでございます。児童の同意を得て保護するということも従来どおりでございます。説得も含みます。
 その後の対処は、各所での緊急受理会議等で進めることにします。対処の中身につきましては、二十九条の立入調査、助言指導、継続指導、児童福祉司指導、施設・里親委託等でございます。
 四十八時間の考え方につきましては、三番目をごらんいただきたいと存じますが、金曜日の受理ケースを翌週へ持ち越さないためには、四十八時間は最大限ぎりぎりの時間である、それ以上は延ばせないということでございます。
 もっと早くていいんじゃないかということですが、もちろん緊急、今やられているというものは即時に対応することにしております。それ以外のものにつきましては、関係機関と連絡して、家庭のアウトラインをつかむまでにいろいろ時間がかかるものですから、四十八時間の余裕を与えたということでございます。
 それから、ネットワークの再構築でございますが、全ケースを四十八時間以内に調査ということで、従来のネットワーク活動では間に合いませんので組みかえをいたしました。細分化したわけでございます。現在、国の方では市町村単位ということを考えておるようでございます。
 それから、イの2でございますが、四十八時間以内の連携調査への協力を要請するということで、これにつきましては十ページの資料四をごらんいただければと存じます。フローチャートがございますのでごらんいただきたいと存じますが、関係機関、市役所、役場、保健センター、管内警察署、学校、保育所、幼稚園等が関係先になってございます。これらでネットワークを再構築したということでございます。
 この説明を申し上げます。
 虐待通告を児童相談所で受けますと、市役所、市町村保健センター、管内保健所、学校等に電話して、家庭の状況を調べます。それから、臨時受理会議を開きましてチームを決定いたします。チームの編成は、市町村の児童担当とか生活保護担当、保健センターの保健婦さんとか警察の方とか、その都度チームをつくってその家庭を訪問するということでございます。それで、訪問調査して、現場協議いたしまして、その後どうするかを決める。そこまでを四十八時間以内にやるようにということで決めたわけです。
 とりあえず、ここまでことしはつくり上げたわけでございます。
 次に、四ページにお戻りいただきまして、七番の実績でございます。恐れ入りますが、七ページ、八ページをごらんいただきたいと存じます。
 七ページが十年度の実績でございます。一番上の、トータルで三百六十九件でございました。それから八ページ、十一年度をごらんいただきたいと存じますが、上半期、九月までの実績が三百五十二件でございます。ことしは去年の倍のスピードで通告が出ております。そのグラフが九ページにございますので、ごらんいただきたいと存じます。これは昭和六十三年から平成十年まで、去年までのものですが、このように虐待につきましては右肩上がりでございます。大変なことだなと思っております。
 それから、そのふえたことが四十八時間の取り扱いでどういう結果が出たのかということが、四ページの下の方から書いてございます。実施方針の実績ということで、ふえた経路、近隣知人からのものが、去年一年間で四十件あったものが、ことしは上半期で四十件ということで、スピードは二倍になっております。それから、福祉事務所が四倍、児童委員からのものが二倍、保健所から四倍、警察署から二倍ということで、皆さん方の対応が、関係機関の対応が大変早くなってきたということかと存じます。
 訪問調査の実績でございますが、匿名通告で該当世帯が特定できないもの以外はすべて四十八時間以内に調査を実施し、児童の実態をつかめたと考えております。
 二十九条の強制立ち入りの調査でございますが、ゼロ件でございます。早期対応した結果、二十九条を使わないで済んだかなという気がいたします。
 それから、援助状況でございますが、三百六十二件中施設入所が三十三件、一〇%が分離になっております。平成十年度は、三百六十九件中入所は六十五人ということで二割程度でございましたので、ことしは分離が半減しているのですが、通告がふえた割には、要するに、早期に来ているもので行ったことでおさまっているというケースが、率が多くなっているのじゃないか、そのように感じております。また、施設の定員が、先ほど申し上げましたように、かなり定員いっぱい子供が入っていますので、入れにくいという現実もございます。
 死亡事例は、ございません。
 行ったものについての、再発して再通告というケースは今のところないようでございます。これも効果の一部かと存じます。
 それから、四十八時間以内にやったことによる問題点でございますが、やはり仕事がきつくなってしまったということがございます。九番で1、2と書いてございますが、今後も虐待通告がふえれば、相談所の他の養護児童、非行児童、障害児童等の施設入所、通所、自立支援等の業務が、ストップといいますか、滞ってしまうということは言えるかと存じます。それから、調査や継続指導のための関係機関のネットワーク、ほかの機関の皆さん方に協力をお願いしておりますが、それも限界に来てしまうのじゃないか、そのように考えております。あくまでも協力いただいているということがございます。
 六ページをお開きいただきたいと存じます。現行法に対する意見についてでございますが、全国所長会では法改正等の意見が集約されていませんので、冒頭申し上げましたとおり、全国所長会議や関東甲信越ブロック会議の席上等で、たびたび厚生省へ向けて要望等の発言がある項目について述べさせていただきたいと存じます。
 一番目でございますが、現行児童福祉法の虐待に関する規定は法律内に分散されて規定されているために、実務的にはやりにくい面がございます。
 二番目、特に虐待の定義が示されていないので、通告義務や機関の協力等に疑問をぶつけられ、その都度説明しなければならない。また、マスコミ等も、事件の都度、虐待の一般的な定義の説明を求めてくる。要するに、社会一般には虐待そのものが何かということが、読める場所がないということかと存じます。
 通告の免責もはっきりしないために、近隣も、訴えられることを恐れて通告を渋る例がございます。それから、医師等の協力も得にくい面がございます。
 保護者は反論してくるので、虐待の定義や、国民の権利義務をはっきりさせる必要があると存じます。
 また、五番ですが、立入調査には、危害を加えられるおそれや閉じこもりのため強制立ち入りが必要な場合がありますので、警察官の立入調査権、それに、書き落としてしまいましたが、緊急一時保護の権限も必要かという意見もございます。
 また、二十八条による強制的な施設入所児童の保護者による強制引き取りを防ぐために、親権の制限、一時停止等の規定を求める意見も強くございます。
 親権剥奪後の後見人の選任が困難なために、児童相談所長が引き受けざるを得ない場合があるが、一身に属するため不都合であるという点もございます。
 これらの点を含めて、規定の改正を求める意見がございます。
 次に、独立する特別法を求める意見についてでございますが、現行法に対する意見で申し上げましたように、虐待の定義や国民の権利の制限や通告等の義務、手続の流れを明確にするために、虐待防止法等の単独法の制定を求める意見もございます。
 以上でございます。(拍手)

○石田委員長 どうもありがとうございました。
 次に、上出参考人にお願いいたします。

○上出参考人 現在、子どもの虐待防止センターの理事長をしております上出と申します。
 実は、以前に東京都の児童相談センターの所長、また全国の児童相談所長会の会長も、平成三年まででございましたが、いたしました。また、もともとが精神科の医者でございますので、そういう意味も含めまして、きょうは何か参考になることを申し上げられればと思って立っております。
 もう既に皆様十分に御存じと思いますが、大変に虐待の件数がふえております。平成二年から国の方の厚生省報告例で虐待の項目が挙がりまして、当時千百一件であったものが昨年度は六千九百三十二件、六倍以上の増加を示している。
 これは恐らくは、今まで家庭の中における虐待が潜在していた、外にはなかなか見つからなかった、そういうものが、非常に虐待に対する認識が高まるにつれまして顕在化してきた、そういうことでふえてきている、あるいは、発見のための手引等も非常にたくさん発行されまして、それが実際に子供にかかわりを持っている人々の中にかなり周知、啓発されてきた、その結果であろうというふうにも言えます。しかし、やはりまだまだ、虐待というものがさらに潜在している可能性が非常に高い。
 これは、実は私どもが民間の虐待防止センターというところで一番最初に取り上げました。平成三年でございますが、平成三年から防止センターの活動が始まっております。
 大変皮肉といいましょうか、私は、当時まだ現職の児童相談所長でございましたけれども、その児童相談所の虐待ケースに対する取り組みが大変に手ぬるい、あるいは幾ら通告をしてもなかなか動いてくれないというようなことがございました。それに対して、民間の精神科医であるとか、あるいはさまざまな子供にかかわりを持っている法律の、弁護士の方等が集まりまして、この防止センターをつくりまして、最初にやりました仕事が電話相談でございます。
 虐待一一〇番というような銘を打ちました。虐待一一〇番というような銘を打ちますと、果たしてどれだけ相談が来るだろうか、恐らくは実際に近隣で見られている虐待のケースについての通報相談はあろうかと思いましたが、実は、ふたをあけてみますと、電話をかけてくる方々はほとんどが実際の子供の母親でございます。約八割が母親からの電話である、こういう状況があったわけです。
 実際にそういう電話をかけてくる母親自身が、本当に虐待と呼べるかどうか、これはまた実は、虐待の定義、概念規定にも絡んでまいりますけれども、お母さん、母親自身としては、つい子供を殴ってしまう、言うことを聞かないのでお仕置きをしてしまう、これでいいんでしょうか、あるいは、これはもう虐待なんでしょうか、虐待に発展するんじゃないんでしょうか、そういう心配を持ちながら電話をかけてきている。
 いわばこれは虐待の予備群と言ってもいいのじゃないか。顕在群、潜在群、予備群というような私は分け方をしておりますが、そういう予備群的な虐待のケースというのは、実は児童相談所でキャッチできている件数の恐らくは十倍ぐらいはあるんではなかろうかというふうな感じを持っているわけでございます。
 同時に、これは今も前の参考人が触れておりましたけれども、虐待の概念規定というものがまだ非常にあやふやでございます。いろいろな分野でそれぞれの手引などが出されてはおりますけれども、しかし、その概念規定の中に全く統一されたものがまだできていない。法律の上にも、児童福祉法を見ましても虐待の定義は全く書いてございません、厚生省の通知等には出ておりますけれども。そういう意味で、まだ虐待の概念規定が非常にあいまいでございますが、その規定が、どのように、どの程度からを虐待と呼ぶかというようなことまで含めて規定されますと、その数はさらに飛躍的に増加するのではないかというような心配さえ持っているわけでございます。
 次にちょっと、私の精神科医としての経験を踏まえながら精神医学的な立場から虐待というものを見ていった場合には、被虐待児童に対する心理的虐待にもっともっと注目をしていかなければならないんじゃないかということを強く感じております。
 直接には心理的虐待という言葉も使われております、主に言葉による暴力、体に傷は与えないが言葉による暴力を与えるとか、あるいはネグレクト、心理的なネグレクトというものもありますし、もちろん言葉でおどすとかいうこともございますが、同時に、いろいろな身体的な暴力を受けた子供たち、特にまた性的な暴力を受けた子供たちは、その暴力を受けた結果、まさに心のトラウマというものを、心的外傷といいましょうか、それを受けております。
 したがいまして、そういう子供たちが、阪神の大震災で大分膾炙いたしましたPTSD、外傷後のストレス障害という症状を示し、大変に不安、おびえというものを示してみたり、あるいはうつ状態になってみたり、しばしばそういう、虐待でいいますと暴力を振るわれた場面を思い起こしてそこで非常にパニックな状態を起こしてしまう、こういうことが起こってくるということが知られております。
 同時に、さらに遠隔的な効果と言っていいかと思いますし、私はこれを外傷後の人格障害と呼んでおりますけれども、PTPDと呼んでおりますポスト・トラウマティック・パーソナリティー・ディスオーダーでございますが、そういうPTPDと言われるような、将来の人格形成において、特に人間関係に非常に障害を残すようなそういう症状を示してくる。これがその子供の将来にとってまさに心理的な影響が非常に強いということのあらわれであろうというふうにも思っております。
 飛びますけれども、そういった子供たち、小さいころに親から虐待を受けて育った子供が、大人になった場合にまた自分の子供に対して暴力を振るう、あるいはネグレクトをしてしまうという、また虐待の再現が起こってくる。世代間伝達というような言葉も使われておりますが、そういう現象も一つのPTPDのあらわれであるというふうにも考えざるを得ないんじゃないかということを感じているわけでございます。
 一方、虐待されやすい子供、被虐待児童、ハイリスクベビーとかチャイルドと呼ばれておりますけれども、簡単に言ってしまえば、望まれざる子供、あるいは育てにくい子供、こういう子供がしばしば虐待の対象になりやすいということも知られております。
 精神医学的な問題といたしましては、しばしばそこでは知的な障害を持っているお子さん、あるいはこれも最近云々されておりますが、いわゆる多動症候群といったものを持っているお子さん、あるいは自閉的なお子さん、こういうような障害を持っているお子さんがその標的になる可能性が非常に高い。また同時に、多胎児であるとか、低出生体重児といったような、いわゆる未熟児でございますが、そういうものも、発達が非常にスムーズにいかないということから、親から見て虐待をしてしまいやすい対象になってしまうというようなこともあるわけです。
 そういうようなことがあり、しかも、虐待の結果もまた、特に、そういう身体的な発達もそうですが、精神的な発達も損なわれてしまうというようなこともしばしばございます。そして、それがまたフィードバックしまして、虐待の連鎖が起こってくるというようなこともございます。
 というようなことを考えてまいりますと、被虐待児童に対する心理的あるいは精神的な治療、援助というものが、どうしてもこういう子供たちにとっては必要になってくるということでございます。確かに、身体的な暴力を振るわれる、性的な暴力を振るわれる、そういう子供を早く発見して、そして保護、隔離をするということで、その身体的な暴力や性的暴力からは解放されるかもしれません。しかし、そこに残っている心理的外傷に目を向けていかなければいけないということを強く感じているわけでございます。
 また同時に、虐待者の方に目を向けますと、これは全国の児童相談所長会で平成八年に行った全国の実態調査にもございますけれども、それで見ますと、虐待者の精神の状況を見ますと、精神病やその疑い、神経症やその疑い、あるいはアルコール依存、人格障害、知的障害といったような、明らかに精神的な病理を持った、精神病理を持った方々がそれぞれ一〇%ぐらいずついる。ということになりますと、虐待者全体の半数近くが、半数以上と言ってもいいかもしれませんが、何らかの精神的な問題を持っている方々であり、やはり彼らが虐待に走ったその一つのメカニズムの中に、彼ら自身の精神病理というものを見過ごすことはできないというふうに思います。つまり、彼らにも何らかの援助、治療というものが必要になってくるということを強く感じているわけでございます。
 そういうようなことを含めますと、現在の児童福祉法に基づいて主として児童相談所が行っているさまざまな援助活動というものに、もっともっと強い、何といいますか、新たな視点を持ちながら強い働きかけが必要になってくるのではなかろうかというようなことが考えられるわけです。
 私自身が児童相談所にいた関係もございますが、児童相談所の機能というのは現在まだ非常に弱いと言わなければならない面がございます。特に、最近のように非常に件数がふえてまいりますと、通告を受けてすぐに活動を始める、今の四十八時間体制というようなお話もございましたが、そういうような形で、最初の初動調査というものを非常に迅速に行わなければならない。そして、必要に応じて、危機介入というような形で子供の保護をしていかなければいけない。
 もちろん、そこでは一時保護所というものが大いに活用されるべきだと思いますが、同時に、先ほど来申し上げておりますように、そういう虐待をされている子供を発見し、あるいは虐待している親というものとの接触ができた場合には、その子供や親への対応、治療ということも進めていかなければならない。果たして今の児童相談所の機能でそれらを全部カバーできるかどうか。これは、さらにこれから件数がふえていくという状況を考えますと、大変に心配される面がございます。
 今の児童相談所に欠けているとしばしば指摘されております職員の専門性、そういう職員の任用制度なり、あるいは研修のシステムといったものを高めていくというようなことも必要になります。
 あえて申し上げますと、例えば、精神科医が常勤されている全国の児童相談所というのはごくわずかでございます。百七十四カ所中に、常勤の精神科医がいるところは、新しいのはちょっと調べておりませんが、恐らく七、八カ所にすぎないのじゃなかろうかというようなことを考えますと、そういうスタッフの充実ということも大変に必要になってくると思っております。
 それに伴いまして、実際に、さまざまな現在の児童福祉法上の問題点、これは随分と厚生省の方の通知によって改善されております。十年前、現職でおりましたころを振り返りますと、立入調査などというものは全くされない状況でございました。法上にはありますけれども、現実には行うことができないというような状況があったというふうに考えております。
 これがもう数十件、四十件余りが昨年度あたりは行われているというような状況になり、その辺は随分と改善されておりますが、ある意味では、今、児童相談所は大変に荷が重い状態になっている。これを何とか解決していかなければいけないのじゃなかろうか。そのために、児童相談所の児童福祉法に決められております機能というものをもう一度さらに強化する方向を、私は進めてまいりたいと思います。
 同時に、虐待されている子供が発見されたときに、現在は、一時保護をするなりあるいはさらに家庭裁判所へ申し立てをするなりというようなことも行いますが、片方で、親へのケースワークも行っていく。そのケースワークあるいはカウンセリングというものを行いながら、同時に、片方では子供を隔離させるというような強硬的な手段も必要になる。この辺のジレンマが、果たして一つの機関でやっていいのかどうか、この辺が十分に検討されなければならない。アメリカ等にありますところのCPSといいましょうか、子供の保護センター、チャイルド・プロテクティブ・サービスといったような機関、それを別の形の行政機関でつくるということも検討されなければならないのではないか。
 といっても、この辺は、十分にアメリカあたりの実績も踏まえながら検討を進めた上で、法的にはっきりとした、法改正あるいは新しい立法というものも考えることが必要なのかなというふうにも考えております。
 最後に、民間の虐待防止機関におります者といたしまして、民間の虐待防止機関というのは、公的な児童相談所がかかわっている場合、あるいは中心になってつくられているものもございますが、純粋に民間の草の根運動的に行われている団体が、全国でも二十カ所ぐらいございます。実は、それらはある意味では全くの手弁当で、本当にボランティア活動の延長のような形でやっております。私どものところはたまたま、一昨年になりますが、社会福祉法人の認可を受けて、国の方からといいましょうか、社会福祉・医療事業団の方からの子育て支援基金などもちょうだいして活動はやっておりますけれども、実際に多くは、私どものところも含めまして、経常的な防止活動にかけられる費用はほとんどございません。全くの持ち出しの形で、いろいろな方の援助のもとにやっているというのが実態でございます。
 こういう民間の機関の特色、これは公的な児童相談所と別の形でかなりフリーに動けます。あるいは、虐待そのものに対して、必ずしも子供だけではなくて、親に対しても大きな治療的な活動もできます。それから、転居などによっていろいろな悲惨な事件が起こったりもいたしますが、民間の場合には、多少ともその辺のところが弾力的に動けるという利点もございます。
 そういったようなことを含めまして、民間のこういう防止機関に対しても、公的な機関と同様に、あるいは連携しながら、もっともっと活動を援助していただければということをお願い申し上げたいというふうにも思っております。
 以上でございます。(拍手)

○石田委員長 どうもありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――

○石田委員長 次に、政府参考人から説明を聴取いたします。厚生省児童家庭局長真野章君。

○真野政府参考人 それでは、厚生省関係の御説明をさせていただきます。
 お手元に、「児童虐待問題への厚生省の対応について」という資料と「児童虐待対策に関する資料集」、二つの資料をお出しいたしております。分厚い方の資料は、後ほど御説明をいたします、昨日行いました児童虐待対策協議会用に作成をいたしました。本日この委員会に配らせていただきますのも大変遅くなりまして、きちんと資料を読める時間に出すべしという御指摘をいただきましたが、資料作成が大変遅くなりまして、まことに恐縮でございますが、そういうことのためにつくらせていただいたものでございます。
 また、対策協議会には、当委員会から三人の先生方がおいでをいただきまして、熱心に意見をお聞き取りをいただきまして、まことにありがとうございました。
 それでは、「児童虐待問題への厚生省の対応について」という資料に沿いまして御説明をさせていただきます。
 一ページをごらんいただきたいと思います。
 この辺につきましては、もう先生方には既に御案内のとおりでございますが、児童福祉法は、児童の福祉の増進及び健全育成を理念といたしました、いわば児童福祉の基本法であると私どもは考えております。この児童福祉法に基づきまして、都道府県等の機関でございます児童相談所が、関係機関と連携をとりながら、虐待を受けた児童への保護を実施しているという状況でございます。
 その「参考」のところにございますように、児童福祉法に盛り込まれております児童虐待防止の関係規定がございます。それぞれの条文は二ページ並びに三ページにお示しをいたしております。
 二十五条では、当委員会でもいろいろ御意見がございました、国民一般に対する、保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した際の通告義務でございます。二十六条、二十七条は、児童相談所長または都道府県によります指導並びに施設入所への措置でございます。それから、二十九条が児童相談所の職員等によります立入調査の権限、三十三条が児童の一時保護の権限でございます。それから、三十三条の六が、民法の親権喪失宣告の請求者が民法に規定されておりますが、子供の親族または検察官、こういう請求者に加えまして、児童相談所長もその請求ができるというものでございます。
 これまで、厚生省といたしましては、このような規定を適用いたしまして対策を講じてきたところでございます。
 四ページをごらんいただけますでしょうか。
 今申し上げましたような権限に基づきます、そしてまた対応の種類ごとに、いわば主な対応策を御紹介いたしております。これまでとってまいりました措置の経年的に並べたものがございまして、これは、大変恐縮でございますが、別冊の資料の三十二ページからにございますので、経年的な、何年度にこういうことをやったというのはそちらの方でごらんをいただきたいと存じます。
 まず、児童相談所等への通告に関する啓発活動の推進でございますが、とにかく早期の段階での発見をし対応するということのために、いわば通告を促そうということで、虐待の発見の目安などをわかりやすく解説をいたしまして、そして、最も子供に接する機会の多い学校の先生でありますとか保育所の保育士さん、保健所の保健婦さんなどを対象にいたしました「子ども虐待防止の手引き」というものを作成いたしまして、そういう関係機関に配付をいたしました。
 また、児童虐待に関する啓発ビデオというものを作成することといたしておりまして、保育所、幼稚園、学校などの保護者会などにおいてぜひ見ていただこうということで、そういうビデオを作成することといたしております。
 とにかく関心を持っていただいて、できるだけ早く関係方面に御連絡をいただく、そういうことをお願いしているわけでございます。
 それから、2の児童相談所によります対応のために、児童相談所がとる具体的な対応策を指示いたしております。平成十年に、通告や相談を受けました児童相談所の、通告、相談の受理から処遇の集結まで、いわば対応上のそれぞれの流れに沿いまして、ポイントになる点につきまして実務上のノウハウを解説いたしました、こちらは「子ども虐待対応の手引き」をつくりまして、具体的にどういう対応をとってほしい、特に毅然とした態度をとってほしいということをお願いいたしております。
 それから三番目でございますが、これまで何度も、前回の集中審議でも厚生省側から申しておりますように、これまでは、できるだけ親との関係を何とか維持しつつ子供の保護を図るということを主としてやってまいりましたけれども、それではなかなか対応ができにくいという状況が出てきております。そういう場合には、毅然として一時保護なり施設入所などの措置をとることを指導しておりまして、平成九年の六月に「児童虐待等に関する児童福祉法の適切な運用について」という通知を出しまして、保護者などからの分離が必要な場合について適切な保護を行うよう、とにかく児童の福祉を最優先した対応をとる、そして、必要に応じて、例えば警察への事前協議その他、そういう協力、連携もとりながら対応するようにという通知を出しております。
 それから四番目の、身近な地域での子育てに関する相談、支援体制でございますが、とにかく地域なりで孤立をしている、お母さんが孤立をしている、親が孤立をしているというようなことがいろいろな問題に関連をしているのではないかというようなことから、子育てのいわば専門機関でございます保育所を活用することによりまして、子育てに関する相談、助言、いわば地域において子育てを支援していくという地域子育て支援センターの整備を行っております。
 また、地域で活動していただいております主任児童委員、それから保育所の保育士さん、施設の職員、そういう方々を対象にいたしまして児童虐待に関する専門研修を行いました。そして、研修修了者を地域協力員として登録をしていただきまして、地域の連絡網を整備する。そして、定期的にそういう会合を持ちまして何とか地域で助け合う、そういう仕掛けをやっていきたいということで、今年度からそういう事業を行っております。
 それから次、五ページでございますが、冒頭申し上げました児童虐待対策協議会、七月の当委員会におきます集中審議でも、関係省庁がとにかく連携を十分とって対応する必要がある、こういう御指摘もいただきました。大変遅くなったわけでございますが、昨日、関係省庁並びに関係団体にお集まりをいただきまして、とにかくこの大問題であります問題に対して、関係省庁にいろいろ自分たちが持っている手段を全部協力してやっていこうではないかということをお願い申し上げましたし、また関係省庁から、ぜひそういう対応をとろうという御協力の意見表明もございまして、そういう体制をとっております。
 こういう体制をとりますことで、それぞれ管下の団体を御指導いただきまして、都道府県レベルまた地域レベルで、既に県によりましてはそういう対応をとっているところもございますが、そういう対応をとることによって地域でのネットワークで何とかそういう対応をしたいということで、昨日集まらせていただきました。適宜その後のフォローアップをしてまいりたいというふうに考えております。
 それから、七ページ以降が、平成十年度に私ども厚生省報告例におきまして把握をいたしました児童虐待相談処理件数の調査の内容でございます。
 当委員会でも御指摘をいただきましたように、実態把握が十分ではない、そういう反省に立ちまして、厚生省報告例だけではなくて、十年度は、そこの丸印の二つ目にございますように、経路別相談、それから立入調査の状況、死亡事例の把握ということを、あわせて特別集計として行いました。先ほど御紹介がございましたように、非常に相談件数がふえている。そして、それに対して対応してきているという状況でございます。
 お時間の関係がございますので、大変簡単で恐縮でございますが、八ページ、ざっと御説明をさせていただきます。
 一番が、先ほど御紹介がございましたように、総件数でございます。
 それから二番が経路別相談件数でございますが、そこにございますように、二七%程度が家族から相談がされております。そして、今回その経路別相談でわかりましたことは、そういう、家族から相談があったときに、虐待を行っている本人からの相談というのがわかった場合に、本人が母親の場合には、九割近い方が母親から言ってこられる。それから虐待者が本人以外、例えば母親が虐待をしているときに父親からの相談というのは二割ぐらいしかないというようなことが今回の調査でわかってきております。
 次、九ページでございますが、相談内容といたしましては、身体的暴行が五割を超えている。
 それから、主たる虐待者につきましては、実父母合わせますと八二・七%という状況でございます。
 また、被虐待児童の年齢構成を見ますと、ゼロ歳から学齢前児童を合わせますと四四・七%ということで、半数近くがそういう状況になっている。
 また、相談所での処理の種類でございますが、面接指導が七割程度、施設入所は二割程度という状況になっております。
 十ページでございます。この中身を今回新たに調査をいたしましたが、施設入所措置は、パーセントでは減少いたしておりますが、実数では二百二十五件ふえております。
 また、面接指導のうち、児童福祉司指導、(注)の4にございますように、複雑困難な家庭環境に起因する問題を有する児童等、処遇に専門的な知識、技能を要する事例に対しまして継続的に行う指導でございますが、これが百八十六件の増、六八%の増ということで、かなり困難な事例が多くなってきているという状況がうかがわれるのではないかと思っております。
 十一ページでございます。立入調査が十三件でございますが、そこにございますように、特に緊急を要するため警察官同行のもとに立入調査の上児童を保護したケースが二件報告されております。
 それから十二ページでございます。一時保護でございますが、これも四百六件の増ということで、いわば家庭から一時的に切り離すという必要があるというケースがかなりふえてきているということを示すものと思っております。
 十三ページが死亡例でございます。八件、児童相談所が関与していながらお亡くなりになるという、大変、まことに言葉もない状況が報告をされております。
 それから最後、十七ページには、児童相談所が関与をいたしませんでしたけれども、把握をいたしました数字として、三十三件の死亡事例があったということでございます。
 私どもといたしましては、何とか関係省庁と十分連携をとりながら、今後とも引き続き努力をしてまいりたいと思っております。

○石田委員長 次に、文部省生涯学習局長富岡賢治君。

○富岡政府参考人 私ども文部省といたしましても、最も信頼をするべき親からの虐待は非常に子供の心に大きな傷を与えるものであり、深く憂慮すべき問題と考えているわけでございます。
 子供の虐待の問題につきましては、さまざまな要因によって複合的に生じるものであると考えているわけでございますが、昨年六月に、中央教育審議会が「幼児期からの心の教育の在り方について」の答申をいたしたわけでございますが、子供の虐待の要因の一つといたしまして、夫婦関係が不安定で、互いに理解し合う、そして支え合う姿勢が欠けているということが特に大事な問題だという指摘をいただいているところでございます。
 こうしたことから、文部省といたしましては、家庭教育の支援ということに努めておるわけでございますが、第一に、親が家庭を見詰め直しまして子育てに取り組んでいく契機となるよう、家庭教育やしつけのあり方につきまして親に問題提起をするという内容でございます、家庭教育手帳とか家庭教育ノートというのを作成しまして、乳幼児とか小中学生を持つすべての親に配布いたす事業を始めておるわけでございます。
 特に、来年度の配布分からは、虐待と思われる行為を発見した場合は福祉事務所や児童相談所に通告すべき旨を明記いたすことといたしまして、全国の親への通告義務ということについての趣旨の普及を行うということで準備をしているところでございます。
 それから第二番目でございますが、地域で子供を育てる環境や親と子供たちの活動を振興する体制を整備することを目指しまして、現在、全国子どもプラン(緊急三ヶ年戦略)を立てているわけでございます。その一環としまして、子供や親の悩みにいつでも答えることのできる二十四時間電話相談事業、子どもホットライン、子育てホットラインを全国で整備することに着手しております。
 それから三番目でございますが、深刻な問題につきましては、臨床心理士、医師等の専門的な知識や能力を有する者を、家庭教育カウンセラーという形で地域におきまして活用することの事業に取り組んでおるわけでございます。
 それから、平成十二年度の概算要求におきまして、子育て中の親のしつけに関します悩みや不安に対して気軽に相談に乗ったり、きめ細かなアドバイスを行う子育てサポーターを地域に配置し、厚生省の児童虐待防止市町村ネットワーク事業と連携して、子育て支援のネットワークを構築する事業を現在要求しているところでございます。
 次に、学校教育でございますけれども、家庭を取り巻く環境の変化に対応して、親となる自覚を高め、家庭における親の役割についての理解を深めるということが大事でございますので、高等学校の家庭科を男女とも必修といたしまして、乳幼児の保育と親の役割や、家庭の機能と家族関係などについて指導しているところでございます。
 さらに、本年三月に告示しました新しい高等学校の学習指導要領では、家族、家庭の機能、子供の発達と保育に関する内容を充実いたしました。子供の健全な発達を支える親の役割と保育の重要性、親の保育責任などに関する学習の一層の充実に努めることとしているわけでございます。
 それからまた、学校におきましては、従来から、学級担任等が児童生徒との望ましい信頼関係を日ごろから醸成して虐待の早期発見に努めるということで、家庭や児童相談所等、関係機関との緊密な連携を図ることとしているわけでございますが、特に平成九年に、厚生省の「児童虐待等に関する児童福祉法の適切な運用について」の通知を受けまして、そういう要保護児童発見者の通告等につきまして適切な配慮を行うよう、文部省から各都道府県教育委員会等を通じて学校の教職員への周知を図ってきたところであります。
 文部省と厚生省では、昨年、「子どもと家庭を支援するための文部省・厚生省共同行動計画」を策定いたしまして、児童虐待の防止についても協力して取り組んでいくこととしておりますので、今後とも、関係省庁と密接に連携をとり合って児童虐待の問題に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

○石田委員長 次に、法務省人権擁護局長横山匡輝君。

○横山政府参考人 それでは、法務省の人権擁護機関の児童虐待に対します取り組み状況について御説明いたします。
 法務省の人権擁護機関では、従来から、児童虐待を看過することのできない重大な人権問題であるととらえまして、児童虐待の解消のため、各種の啓発活動に努めますとともに、人権相談や人権侵犯事件の調査、処理を通じて関係者に人権尊重思想を啓発し、被害の救済に努めているところであります。
 まず、法務省の人権擁護機関について簡単に説明させていただきます。
 法務省には、人権擁護の事務を専門的に担当する機関として、法務本省に人権擁護局が、その地方機関として、全国八カ所の法務局に人権擁護部が、四十二カ所の地方法務局に人権擁護課が、さらに法務局、地方法務局の管内に二百八十一の支局が設置されております。
 また、市町村長が推薦した地域住民の中から法務大臣が委嘱しました民間ボランティアとしまして、人権擁護委員が全国の市町村に約一万四千人配置されております。これらの法務局等の職員や人権擁護委員が、人権の擁護のため一体となって、人権啓発活動、人権相談、人権侵犯事件の調査、処理に当たっております。
 まず、児童虐待に対する具体的な取り組みでありますが、一番目に、啓発活動がございます。
 児童虐待防止のための啓発活動としましては、児童虐待などが問題となっております子供の人権を含め、弱い立場にある人たちの人権を尊重することの重要性を国民の方々に広く理解していただきますとともに、広く人権尊重思想の普及高揚を図るため、全国各地で、テレビ、ラジオ放送、新聞等のマスメディアを利用した啓発活動や講演会、座談会、シンポジウム等の開催、ポスター、啓発冊子の配布等、さまざまな啓発活動を実施しているところであります。
 二番目に、人権相談の点です。
 法務省の人権擁護機関では、法務局職員や人権擁護委員が、家庭内や隣近所のもめごとなどを含め幅広い人権相談に応じていますが、子供の人権問題につきましては、特に全国の法務局、地方法務局に、子供の人権相談所や子ども人権一一〇番を開設し、子供などが容易に相談しやすい体制をとっております。
 なお、平成六年度以降、人権擁護委員の中から、子供の人権にかかわる問題を専門に扱います子どもの人権専門委員を選任し、子供の人権相談所などにおいて人権相談に応じたり、児童虐待など、子供の人権が侵害されているおそれがある場合には、これから御説明します人権侵犯事件として、法務局と連携して調査、処理を行うなどの積極的な取り組みをしております。
 三番目に、人権侵犯事件の調査、処理について御説明いたします。
 法務省の人権擁護機関は、人権侵犯の疑いのある事案を認知しました場合は、加害者及び被害者等の関係者から事情聴取を行うなどの任意調査によって人権侵犯の有無を明らかにし、その結果、人権侵犯の事実が認められた場合には、事案に応じて適切な処置を講ずるよう努めております。
 児童虐待につきましては、重大な人権侵犯として、児童虐待の情報を得た場合には積極的に人権侵犯事件として調査、処理するよう担当者の会議等において指導しますとともに、児童虐待事件調査、処理の手引を作成、配布するなどして、調査、処理の適正を期しているところであります。
 なお、虐待されている児童の保護に当たりましては、特に、そのための各種権限を有しております児童相談所等との連携が重要でありますことから、各法務局の現場において、児童相談所を中心とした関係機関のネットワークに積極的に参加しますとともに、具体的事案において、これら機関との適切な役割分担のもとに、児童の保護に努めているところであります。
 ちなみに、法務省の人権擁護機関が人権侵犯事件として過去三年間に取り扱いました児童虐待の件数は、平成八年が二百四十件でありましたが、同九年が四百十七件、昨年が四百九十六件と、増加傾向にあります。
 また、その処理の主な内訳は、昨年では、児童虐待の排除を内容とする処理であります説示あるいは排除措置が四十五件、他の機関への連絡や法律上の助言を内容とする援助が四百二十一件となっております。
 最後に、今後の課題でありますが、児童虐待の解決のためには児童相談所などの関係機関との連携協力が重要でありまして、昨日、厚生省を中心とする関係機関により立ち上げられました中央レベルにおきます児童虐待対策協議会において、より効果的な連携協力のあり方について検討してまいりたいと考えております。
 また、法務省に設置されております人権擁護推進審議会において、現在、人権が侵害された場合における被害者の救済に関する基本的事項について調査審議が行われておりまして、児童虐待を含む子供に対する人権侵害に関しても調査審議が行われる見込みであります。法務省といたしては、その結果をも踏まえて、被害者救済方策の充実強化について今後検討してまいりたいと考えております。
 なお、この審議会におきましては、本年十二月十四日に社会福祉法人子どもの虐待防止センターからもヒアリングを行う予定になっております。
 以上でございます。

○石田委員長 次に、総務庁青少年対策本部次長川口雄君。

○川口政府参考人 児童虐待問題に関する総務庁の対応などについて御説明申し上げます。
 子供が親から虐待を受け、その生命、身体が危険に脅かされるという状況は、次代を担う青少年の健全な育成を図る観点からも極めて憂慮すべき問題であります。
 この問題の背景として、近年の都市化、核家族化、価値観の多様化等によりかつてのような地域社会のつながりが弱まり、家庭の内外において人間関係が希薄化している傾向がうかがえます。家庭や地域社会における子育て機能が低下した結果、周囲から孤立した家庭の中で親が育児不安に陥ったり育児に負担を感じる例が増加しているのではないかと思われ、そのような親が家庭内外から適切なサポートを受けられずに児童虐待に及んでしまうこともあるものと考えます。
 本年七月に提出された青少年問題審議会答申においては、家庭が地域社会に対して開かれたものとなるよう支援を充実していくべきとし、「すべての親が、自らの役割と責任を自覚し、適切な知識・情報を得て、信念をもって責任ある行動をしていけるよう、啓発、学習、情報提供等の場を拡充させること、親や保護者が子育ての在り方や成長の過程で子どもが抱える問題の多様性を実感し、自信をもって子どもをしつけていけるよう、子育ての知識や体験、悩みを伝え、共有するための場を充実していくことが必要である。」と指摘されております。
 総務庁としては、答申の指摘等を踏まえ、関係省庁から成る青少年対策推進会議等を通じて、子育てや家庭教育を支援するための各般の施策の充実、総合的展開に努めるとともに、国民運動の推進、各種の広報啓発を通じて、家庭の役割の重要性、子育てに関する親や社会の責務について国民に広く呼びかけております。
 本年十月二十二日には、政府全体の青少年対策の基本方針等を定めた「青少年対策推進要綱」の名称を「青少年育成推進要綱」に改め、その中で、「児童虐待問題等への対応の推進」を「当面特に取り組む課題」として新たに位置づけて、児童相談所を初めとする関係機関、団体のネットワーク化の促進、地域に根差した相談機能の充実、国民の理解を得るための広報啓発活動等の充実等を図ることとしております。
 これに対応して、要綱の「重点推進事項」の一つである「家庭への支援の充実」には、児童相談所の対応力強化、子供の虐待防止のための広報啓発の充実等児童虐待防止施策の充実、地域における子供のグループ活動、団体活動その他の児童・青少年健全育成活動の振興を盛り込んでおります。
 また、青少年の健全育成を図るための国民的な運動の展開を通じて、児童虐待問題に関する国民の関心を高めてまいりたいと考えております。毎年十一月を全国青少年健全育成強調月間に定めて、関係省庁、民間団体等と連携を図りつつ、集中的に各種広報啓発活動を実施するなどの取り組みを行っておりますが、本年度からは、児童虐待問題についても国民全体の意識を高めるための広報啓発活動を推進することとしたところでございます。児童虐待問題を含め青少年をめぐる問題の解決に向けて、青少年問題審議会の答申でも指摘されているように、地域住民、民間ボランティア等も含めた開かれた関係の中で、地域ぐるみの横断的、総合的かつ開放的な体制づくりを進めることが重要であると考えます。
 総務庁といたしましては、「青少年育成推進要綱」に沿った関係施策の推進や国民運動の展開等を通じて、今後とも、関係省庁、地方公共団体、民間団体等との緊密な連携のもと、関係施策の総合的かつ効果的な推進に努めてまいる所存でございます。
 よろしくお願いいたします。

○石田委員長 次に、警察庁生活安全局長黒澤正和君。

○黒澤政府参考人 警察の取り組みにつきまして御報告申し上げます。
 近時、児童虐待が大きな社会問題として指摘されておりますが、児童虐待に関しまして警察に寄せられる相談件数も増加いたしております。また、児童虐待事犯として検挙された事例もございます。
 例えば、最近の事例でございますが、六歳の娘が言うことを聞かないことに腹を立てて、素手やモップ等で殴打して死亡に至らしめた両親とその友人を傷害致死で逮捕いたしたもの、それから、四歳の娘が言うことを聞かないことに腹を立てまして、殴る蹴るの暴行を加え、ポットに入れた熱湯をかけるなどした母親とその内縁の夫を傷害罪で逮捕いたした事例などがございます。
 警察といたしましては、児童虐待は、人格形成期にある児童の心身に深刻な影響を及ぼす重大な問題であると認識をいたしますとともに、児童の生命、身体を守り、また、児童の精神的な立ち直りを支援することによりまして問題行動等に走ることを防止するという観点から、この問題を今日の少年保護対策の最重要課題の一つとして位置づけまして、積極的に取り組んでいるところでございます。
 具体的には、児童虐待につきまして、家庭内で起こる事案でありますことから、認知及びその対応に大変難しい面がございますが、特に、次に述べるような点に留意して取り組んでおります。
 その一つは、児童虐待事案は早期に認知することが重要でございますので、警察部内の、少年部門はもとより、地域、刑事、被害者対策等の関係部門が緊密に連絡をとりながら、街頭補導、少年相談・一一〇番通報事案への対応等の各種活動を通じまして早期発見に努めております。
 その二つは、犯罪に該当するものは事件として厳正に措置しており、また、保護者に監護させることが不適当であると認める児童につきましては、児童相談所等に通告を行うほか、児童相談所、保健医療機関、学校等の関係機関と連携を図りながら、現在全国の警察に構築されております少年サポートセンターに配置されております少年相談専門職員や少年補導職員等が中心となりまして、被害児童の適切な保護に努めております。
 特に、児童虐待事案への対応につきましては、関係機関とのより効果的な連携が極めて重要でありますが、最近におきましても、六歳の女の子を迷子として保護いたしましたところ、全身にあざなどがございまして、児童から事情聴取をいたしました結果、母親、そしてその内縁の夫による暴行傷害等の虐待事案が判明いたしました。直ちに、児童を児童相談所に通告をいたしまして保護をいたしますとともに、医師の診察を受けさせ、児童相談所長からの告発を受けまして、母親及びその内縁の夫を傷害罪で逮捕した事例などがございます。
 また、児童相談所、保健医療機関、家庭裁判所等の関係機関によって構成される児童虐待防止のネットワークの一員として、事例検討や研修、手引の作成等に取り組むなど、各都道府県警察におきまして関係機関との連携強化に努めておるところでございます。
 また、第一線の警察職員が児童虐待問題の重要性についての意識を十分持つ必要がありますことから、警察庁におきましては、全国警察本部長会議、全国少年課長会議等におきまして、この問題の重要性につきまして繰り返し指示等を行っているところであり、これを受けまして、各都道府県警察におきましては、第一線の職員に対しまして指導教養を行っております。
 また、児童等への支援を担当する少年補導職員、少年相談専門職員等に対しまして、児童虐待問題に関する専門的な知識、技能の向上を図るため、各種研修、専科教養等を実施いたしておるところでございます。
 警察といたしましては、今後とも、関係機関と緊密に連携し、児童虐待の防止、虐待されている児童の早期発見とその保護等に努めてまいりたいと考えております。

○石田委員長 以上で政府参考人からの説明は終わりました。
    ―――――――――――――

○石田委員長 これより参考人及び政府参考人に対する質疑に入るのでありますが、理事会協議によりまして、最初にあらかじめ申し出のありました委員が順次質疑を行い、その後、自由に質疑を行うことといたします。
    ―――――――――――――

○石田委員長 次に、石井郁子君。

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 児童虐待という深刻な問題、また緊急な対応を要するという問題につきまして、きょうは、児童相談所の取り組み、いろいろの御苦労をお聞かせいただきました。本当にありがとうございます。
 私は、お聞きをいたしまして、児童相談所の機能をやはり強化をするということは、述べられましたとおり、児童福祉司や心理判定員などの体制を拡充するというのが本当に不可欠だというふうに考えたところでございます。ところが一方で、この児童相談所の人員だとか予算というのが、たしかことしの予算でも削られているんですよね。現場でも人が減らされているということをお聞きしますけれども、こういう点は本当に重大な問題だということをまず指摘をしておきたいと思うのです。
 その上で、まず今井参考人に、先ほど来、現行法制で対応できる問題と、新たな立法が要るんじゃないかということが議論になっております。政府の方の答弁は、現行法規の積極的な活用で足りるということで、局長通知などもあったかというふうに思うのですけれども、この問題で実際のところ、現行法規で対応できる点と、やはりそれでは困難だという問題というのは、具体的なこととしてどうなのかということを一点お伺いをしたいと思います。

○今井参考人 実務的には、今の児童福祉法の中に新たに虐待というような章をつくればはっきりするかと思います。
 それから、それに合わせて、児童相談所の仕事のやり方を、虐待部門、要するに、三十三条の一時保護は警察官による保護の規定に類似するものでありますし、また二十八条の家庭裁判所への申し出につきましては親権を制限するものでありますので、検察官が刑事事件に関して公訴するのに類似していることではないかと存じます。虐待に関しては、我々、検察の仕事と警察の仕事を預けられているかと存じます。一方、法律が福祉法ということでありますので、それらの矛盾、制度の矛盾といいますか、あるのではないかと私は感じます。はっきり分けることによって、児童相談所の仕事がやりやすくなると考えます。
 と申しますのは、保健所は非常に法律を多く抱えております。食品監視あるいは環境監視ですか、取り締まりに関する法律と、それから保健婦に関する仕事とかいうことで、サービス部門と両方持っております。ですから、法律が二つになったからといって、決して、児童相談所が仕事ができなくなる、あるいは児童福祉法がもぬけの殻になる、そういうことは私はないと思います。はっきり法律を分けて仕事を分けるということが、我々にとってもやりやすいし、権限を任せられております都道府県の財政担当なり人事担当なりにも理解しやすくなる、私はそういうふうに思います。
 以上です。

○石井(郁)委員 いろいろ御説明いただきまして、本当にありがとうございます。参考にしたいというふうに思います。
 私は、もう一点、子供たちを救うという点で、一時保護とかあるいは施設入所という形がとられるわけですけれども、この一時保護という施設も本当に現状がどうなっているのかというと、もう定員がいっぱいだという話も聞くのですね。そういうことをもっと私たちも調べていかなくちゃいけないというふうに思っているのですが、施設に入る子供の側の問題として、実はこれは余り語られていないのですけれども、子供の声として、こういう施設には行きたくなかったとか、こっちの方に行きたいとかというのがやはり私はあると思うのですよ。ぜひ子供の、やはり施設を選ぶ権利といいますか、あるいは親から離されることについて子供がどう思うかも含めまして、子供の意見というのを、子供の申し立て権というふうにまで言ってもいいかもしれませんけれども、そういうこともそろそろ考えていかなくちゃいけないのじゃないか。
 例えば、施設に入った子供が、やはりもっと学校に行きたいとか、十分教育を受けたいとかいう話もあるのですね。そういう部分というのはどうなっているのかということを実は詳しくお聞きしたいのです。もう時間がありませんが、この点では上出参考人にぜひ、現状と、どういうふうにしていったらいいのかということで御意見を伺えればと思います。

○上出参考人 私は現在、児童相談所ではございませんので、例えばその一時保護から施設に子供を措置をする場合に実際どうしているかというところまでは、十分に承知しておりません。
 ただ、私がまだ現職でおりましたころから、実はそのことは大変気になっておりまして、子供自身が施設を選ぶことができるようにしなければいかぬだろう。ややもいたしますと、むしろ子供を施設に入れること自体を親が求めてきて、そして、子供の意見を無視して一時保護をするなり、あるいは施設入所をさせるなりということをやってきたという経緯がございます。これは間違いだろうと思うのですね。特に、子どもの権利条約みたいなものが出まして、意思表明権といいましょうか、意思を尊重しなければならないということで、少なくとも子供自身が意思を持てる年齢、あるいは発達段階にある場合には、十分にその子供の意思を聞いた上で、そして施設へ入所する、あるいはどこへ入所するということも選択する権利を尊重していかなければいけないだろう。
 ただし、虐待のことになりますと、これは子供自身の意思を尊重するといいましょうか、子供自身が、虐待されている親に対して意外と親をかばったりするのが現実でございます。ですから、子供の意思だけでは決められない場合もある。これはやはり客観的な判断が必要になってまいりますし、子供と十分に話し合った上で、子供が納得をした上で、一時保護もし、あるいは施設入所も図るということが必要だろう。その後の施設の選択は、私はおっしゃるとおりだろうというふうに思っております。

○石井(郁)委員 どうもありがとうございました。
 以上で時間が参りました。


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