平成十一年七月九日(金曜日)
午前九時十二分開議
出席委員
委員長 石田 勝之君
理事 小野 晋也君 理事 河村 建夫君
理事 岸田 文雄君 理事 佐藤 静雄君
理事 田中 甲君 理事 肥田美代子君
理事 池坊 保子君 理事 三沢 淳君
岩下 栄一君 岩永 峯一君
江渡 聡徳君 大野 松茂君
奥谷 通君 奥山 茂彦君
倉成 正和君 小坂 憲次君
小島 敏男君 佐田玄一郎君
佐藤 勉君 実川 幸夫君
下村 博文君 水野 賢一君
目片 信君 吉川 貴盛君
石毛えい子君 坂上 富男君
松本 惟子君 山本 孝史君
太田 昭宏君 旭道山和泰君
一川 保夫君 松浪健四郎君
石井 郁子君 大森 猛君
保坂 展人君
出席国務大臣
国務大臣(総務庁長官) 太田 誠一君
出席政府委員
警察庁生活安全局長 小林 奉文君
総務庁行政監察局長 東田 親司君
法務省矯正局長 坂井 一郎君
外務省総合外交政策局国際社会協力部長事務代理 赤坂 清隆君
外務省アジア局長事務代理 安藤 裕康君
文部省教育助成局長 矢野 重典君
文部省体育局長 遠藤 昭雄君
厚生省医薬安全局長 中西 明典君
通商産業省貿易局長 佐野 忠克君
委員外の出席者
内閣審議官 田中 法昌君
総務庁青少年対策本部次長 久山 慎一君
厚生大臣官房障害保健福祉部長 今田 寛睦君
衆議院調査局青少年問題に関する特別調査室長 大久保 晄君
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
青少年問題に関する件(薬物乱用問題等)
午前九時十二分開議
――――◇―――――
○石田委員長 これより会議を開きます。
青少年問題に関する件について調査を進めます。
本日は、薬物乱用問題等について質疑を行います。
――――――――――
○石田委員長 次に、石井郁子君。
○石井(郁)委員 こんにちは。日本共産党の石井郁子でございます。
薬物乱用問題等についての審議ということでございまして、私は、きょうは、この薬物問題で今我が国の施策がどういう到達点にあるのかということを、私もこういう機会に勉強させていただくというつもりで御質問いたしますので、どうかよろしくお願いいたします。
その場合に、私は、子どもの権利条約を手がかりに質問をしたいと思っております。
申し上げるまでもなく、子どもの権利条約の三十三条では、このように書いてあります。
締約国は、関連する国際条約に定義された麻薬及び向精神薬の不正な使用から児童を保護し並びにこれらの物質の不正な生産及び取引における児童の使用を防止するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置を含むすべての適当な措置をとる。
と定めているわけであります。この「立法上、行政上、社会上及び教育上の措置を含むすべての適当な措置」、だから、この問題で、本当に真剣に向かわなければいけないことかというふうに私は思います。
まず、この条約で定めているこういう措置について、既に政府としてのいろいろな取り組みがあるわけでございまして、膨大な資料等々もいただいているところでありますので、ちょっと簡潔に、この「立法上、行政上、社会上及び教育上の措置」という点では私たちはどういうふうに理解をしたらいいのかということで、御説明をお願いしたいと思います。
○赤坂政府委員 お答え申し上げます。
ただいま、この条約第三十三条を踏まえ、政府としてどういう措置をとっているかという御質問でございますが、立法上の措置といたしましては、刑法にあへん煙に関する罪が規定されておりますほか、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法等麻薬五法により、正規の麻薬等の流通に関する規制や不正取引等の規制が行われております。また、これに違反した者を罰することにより、不正事犯を防止し、児童の保護を図っていると承知しております。
行政上、教育上の措置といたしましては、特に青少年を中心とした薬物の乱用、再乱用防止及び予防、啓発のために、財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターの啓発用キャラバンカーが中学校、高等学校等に出向きましたり、警察の薬物乱用防止広報車を活用した薬物乱用防止教室を開催するなど、学校等におきましても啓発活動及び薬物乱用防止教育の徹底を図っておられるものと承知いたしております。
○石井(郁)委員 今御説明いただいた点というのは、子どもの権利条約の、国連の調査に当たりましての政府の報告書というのがありますけれども、大体そこにも書かれているとおりかと思うんです。
きょうも議論が始まったように、いろいろなことがあるかと思うんですけれども、この権利条約に照らしてみますと、児童の権利に関する委員会での政府報告に対する審査ということになりますと、この薬物乱用の問題では措置が不十分だという勧告になっておりますね、これはCの二十六項目にあるんですけれども。私たちはだからこそ今審議をしているわけです。
政府の認識として、今おっしゃっていただいたような措置というのがあるわけですけれども、何が不十分なのか、ではどうしたらいいのかというか、そこまでいかなくても、この措置ではなぜ不十分だという指摘を受けたのかということについてお答えいただきたいと思います。
○赤坂政府委員 ただいま御指摘のとおり、昨年行われました児童の権利委員会の審査及びその最終見解において、御指摘のような懸念が最終見解の中に含まれております。
児童の権利に関する委員会が出しましたこの最終見解に含まれる提案及び勧告につきましては、関係省庁において、それぞれの所管事項につき十分に検討の上、適切に対処していかれるものと外務省といたしましては理解しております。
○石井(郁)委員 私は、勧告全般について申し上げているのではなくて、当委員会でこの薬物問題で議論をしているわけですから、その項目に限っての質問をしたわけであります。
薬物乱用の問題では日本政府の措置は不十分だ、そういう指摘に対して、皆さんの認識はどうなのか。だから、その点は外務省というよりもやはり関係省庁になるんでしょうか、どこになるのか私はちょっとあれですけれども、関係のところからお答えいただきたいと思います。
○小林(奉)政府委員 我が国における覚せい剤を初めとする少年への薬物汚染が極めて深刻な状況にあるということ、また、少年が薬物を乱用した場合には、大人以上に依存状態に容易に移行しやすく、薬物による心身の影響が深刻な形であらわれやすい、そういう状況がございます。そういった観点から見まして、警察といたしましては、児童の権利に関する委員会最終意見書の勧告というものを重く受けとめているということでございます。
そういった認識のもとに、少年の薬物乱用を防止するため、供給の遮断と需要の根絶の両面からさらに総合的な対策を進めていかなければならないと思っております。
○石井(郁)委員 私、念のためにちょっと読み上げたいと思うんですけれども、この勧告の二十六項目では、
委員会は、締約国において児童に対してますます影響を与えている薬物及びアルコールの濫用の問題に対処するためにとられている措置が不十分であることを懸念する。
というふうにあるわけですね。ですから、今お答えいただきましたように、もっともっといろいろな措置というか取り組みが求められているかなということだと思うのですね。
もう一点なんですけれども、この勧告の中には、四十七項目にはこういうこともございます。
委員会は、締約国が、児童の間における薬物濫用を防止し、これと闘うための努力を強化し、学校の内外における広報活動を含め全ての適切な措置をとるよう勧告する。委員会は、また、締約国に対し、薬物濫用の被害児のためのリハビリテーション・プログラムを支援することを勧奨する。
ということがございます。
それで、私は、特に、この被害児のためのリハビリテーションプログラムを支援しなさい、これをどのように理解していいのかという問題と、では、こういう取り組みというのはどうなっているのかという問題をお聞きしたいと思います。
○今田説明員 薬物依存につきましては、当然、児童を含めまして、その社会復帰のために、相談でありますとかあるいはリハビリテーションの体制を充実すべきである、こういった意味で御指摘をいただいたものというふうに理解をいたしているわけであります。
現在、薬物依存者全体に対します取り組みといたしましては、一つは、保健所あるいは精神保健福祉センターにおきまして、医療機関等との連携を図りながら、本人あるいはその家族に対しての相談に応じているところであります。
さらに、依存者のリハビリテーションということから、回復者の支援活動を行っておる民間団体、先ほども出ましたダルクでございますが、これらにつきまして、グループホームでありますとかあるいは小規模作業所としてその要件を満たされている場合にありましては、その運営に要する費用について補助を行っているという状況であります。
また、児童相談所におきます相談支援でありますとか、あるいは児童自立支援施設、いわゆる教護院ですね、こういったところで、シンナーを含めて薬物乱用を繰り返す人たちに対しまして、その自立支援のための生活指導等を行っているというのが現状でございます。
○石井(郁)委員 私、次に、ちょっと角度を変えましてお尋ねしたいと思うのです。
子どもの権利条約を取り上げましたのは、今、日本の子供たちに非行だとかこういう薬物依存だとかさまざまな深刻な問題があるわけですけれども、この問題を考えるときに、今、日本の子供たちは、いろいろ子供の調査からも浮かび上がってきているのですけれども、自己肯定感が持てない。つまり、自分を好きになれないとよく言いますよね。あるいは自分を大事に思わない。自分を大事に思わない子供が、他者を尊敬するとかあるいは他者を大事にするということにはならないわけで、こういうところが今の子供たちをめぐる一つの大きな問題だろうというふうに思うのですね。それから、自己肯定感でいいますと、非行に走る子供というのは、中でも自己肯定感を持てない度合いが強いということも出ていますね。
私は、この薬物問題でも非行問題でも考えるときに、いろいろ密売をする、そして子供に売りつけるという大人社会のこの大きな大もとがあるわけで、そこはそことして見なきゃいけないのですけれども、何でそういうものに走っていくのかというか手を出すのかという、その子供の問題もあるわけですから、やはり子供たちをきちんと育てるという大きな取り組みも必要かなというふうに思うのですが、そういうときに、私は、子どもの権利条約というのは大変大きな役割、意味を持つと思っているのです。
つまり、子どもの権利条約というのは、子供というのは特別な保護及び援助についての権利を持っている、だから、あなたたちはそういう権利を持つ存在なんだということを子供自身が自覚をする、そういう問題なんですね。だから、この権利条約というのは子供自身が読まなきゃいけない。そして、自分についてのそういう権利を自覚する、それは、他者をも大事に思う、そういうことにもつながるわけですから。そういうふうに考えますと、とても大事だというふうに私はずっと思っているのです。
そこで、こういう権利条約の問題で、私は、きょうは総務長官もおいででいらっしゃいますのでぜひ伺いたいのですが、この子どもの権利条約は内容的には四十一条から成るわけです。この勧告も四十九項目にわたって勧告として出されているわけですけれども、日本政府の子供の施策についての評価というのは、肯定的な部分というのは三項目しかなかったわけでしょう。だから四十六項目ですか、非常に問題だ、日本の子供に対する施策は権利条約に照らして問題だという指摘がされているわけですよ。これは非常に重く受けとめなきゃいけない話なんですね。
ところが、これはいろいろ外務省が中心に取りまとめていらっしゃるわけですけれども、では、この権利条約の勧告だとかこういう措置だとか施策というのはどこが進めていくのかというのがどうもわからないのですね。
それで、総務庁に伺うのですが、総務庁は、いわば青少年対策本部をつくっていらっしゃる。そして青少年白書にも、青少年行政に関する基本的、総合的施策の樹立というふうにあるわけですね。各省庁のいわば取りまとめをするということになるわけです。
そうすると、こういう勧告を、全体を扱うところというのは総務庁しかないのかなというふうに思うのですが、どうも日本の政府はそこをはっきりしないのですよ。内閣でやるんですか、総務庁でやるんですか、それとも各省庁で、それぞれ項目を振り分けて、この項目は厚生省だ、この項目は文部省だということでやるんですかということになるんですよね。
この権利条約のいわば推進というか、あるいは勧告を受けとめてその施策を進めるという点では、総務庁はどういうふうに考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
○久山説明員 お答え申し上げます。
児童の権利条約の最終見解につきましては、先ほどおっしゃいましたように、外務省が関係省庁の連絡会議も開催しながら、各省庁におきまして、それぞれの所管事項につきまして検討しているところでございます。
総務庁といたしましては、従来から、青少年の健全育成あるいは非行防止等の観点から、児童を含む青少年に関する施策の総合的推進に努めてきておるところでございまして、今後とも、そのような立場から、関係省庁との緊密な連携を図りながら、条約の趣旨も踏まえた施策の総合的かつ効果的な推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○石井(郁)委員 総務庁としても、もっとこの権利条約を国民の間に、あるいは子供たちにちゃんと読んでもらうという立場での取り組みというのはお考えになっていますか。これは私はぜひしていただきたいと思うわけですけれども、長官、いかがでしょうか。
○太田国務大臣 政府としての窓口を整えるべきではないかという、この件につきましては、三月にも参議院の総務委員会でお答えをいたしましたように、今後の課題として検討してまいりたいというふうに考えております。
○石井(郁)委員 私は、必ずしも総務庁が窓口になるべきだというふうに今言っていいかどうかという問題もあると思うのですね。
例えばこんなことも考えられるわけでして、男女共同参画室というのがありますよね。何かそういう形で、子供何とか室というのになるかどうか、やはり子供の問題というのは総合的なんだ、決して省庁を分割してやるような問題じゃないという点で考えますと、何かそういうものが要るんじゃないのかなというふうにも思うのですが、これは大変大きな問題になりますから、ぜひ政府としても真剣にその問題を検討してほしいという気持ちは持っているわけです。だって、国際条約として批准しているわけですから。
そして、政府の報告書というのは、第一回目は条約批准後二年目に出ましたけれども、五年に一度ずつ調査報告をしなきゃいけないのでしょう。報告書を国連に提出しなきゃいけないということになるんですよ。
今回、これだけの厳しい指摘を受けているわけですから、今後、次にはまたどういう報告書を出すのかということも差し迫ってくるわけですから、その窓口が、何か外務省が取りまとめて、こうやって、はい、レポートを提出しましたというのでは、やはり済まないのじゃないか。
子供の問題は、そういう意味ではどの省にも重なっているし、予算上でもそうですよね、どの予算上も各省庁にもまたがっているという点でいいますと、もっとそこをちゃんと総合的に考える、責任あるところが要るのではないかということでありまして、ぜひよろしく、総務庁からもそういう観点でぜひ問題を取り上げていただきたいということであります。
時間が参りまして、きょうは主にそういう点なんですが、最後に一点だけ。
私は、やはりこの薬物問題というのは、なるべく子供たちがそこに手を染めない、まずそういうところが大事だと思うのですが、しかし走ってしまった、その場合の依存というのは、本当にそれから抜け出すのに時間がかかるということをきのう私も伺いました。どうも再乱用防止というのは大変な仕事だということがありますし、抜け出すには十年から二十年かかるというのですね。だから、薬物乱用とか常用しないという、そこの入り口はやはり本当に大事だと思うのです。
しかし、もう既に相当な子供たちがやはり汚染されているという実態もあるわけで、そういう点では、さまざまな民間の取り組みがあるかと思うのですが、その民間の支援団体をどう認識していらっしゃるか、今どういう支援団体がいろいろあるのか、把握していらっしゃったらお聞かせいただきたいと思います。
○今田説明員 薬物依存から脱却するということは、まさに依存という性格からいたしましても、みずからの意思ということをどう支え続けるかということに尽きるかと思います。そういった意味では、民間の方々が力を合わせて、自分たちがそういった薬物の使用に再び手を出すことがないようにということで、支え合う団体といたしましてダルクという団体がございます。これは全国に十数カ所あるということでございますが、こういった方々の力をかりながら、幅広くこの依存者の皆さん方のリハビリテーションに、お力をかりつつ私どももこういった取り組みの強化を図っていきたいと思っております。
○石井(郁)委員 どうもありがとうございました。
文部省にも何かお尋ねしなきゃいけなかったと思うのですが、ちょっと時間がなくて申しわけありませんでした。
以上で質問を終わります。



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