平成十一年四月二十二日(木曜日)
午前九時三十分開議
出席委員
委員長 小川 元君
理事 栗原 裕康君 理事 栗本慎一郎君
理事 小杉 隆君 理事 増田 敏男君
理事 藤村 修君 理事 山元 勉君
理事 富田 茂之君 理事 松浪健四郎君
岩永 峯一君 大野 松茂君
奥山 茂彦君 倉成 正和君
佐田玄一郎君 下村 博文君
高鳥 修君 高橋 一郎君
中山 成彬君 松永 光君
渡辺 博道君 池端 清一君
田中 甲君 中山 義活君
池坊 保子君 西 博義君
笹山 登生君 石井 郁子君
山原健二郎君 濱田 健一君
粟屋 敏信君
出席国務大臣
文部大臣 有馬 朗人君
出席政府委員
文部大臣官房長 小野 元之君
文部省高等教育局長 佐々木正峰君
委員外の出席者
文教委員会専門員 岡村 豊君
本日の会議に付した案件
学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)
午前九時三十分開議
――――◇―――――
○小川委員長 次に、石井郁子君。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。学校教育法等の一部を改正する法律案について、前回に続いてただしたいというふうに思います。
私は、十四日の質問で、国立大学の評議会、教授会について、審議事項から議事手続まで法律と省令で定めるということは重大な問題だというふうに指摘をいたしました。法案では、さらにというか、その上に、一体的運営ということまで規定されているわけであります。これは国立学校設置法第七条の七として、当該大学の教育研究上の目的を達成するために、学部その他の組織の一体的な運営により、その機能を総合的に発揮するようにしなければならないということがございます。これを書き込んだ意味はどういうところにあるんでしょうか。ちょっとお尋ねします。
○佐々木政府委員 今後国立大学は、新しい分野であるとか学際分野における教育研究を推進する、あるいは学部教育における教養教育の充実など、全学的な教育研究課題への対応が必要でございます。また、生涯学習への対応、さらには国際交流あるいは国際協力の推進などが求められているわけでございますが、国立大学の運営の現状を見ると、学部等の閉鎖性が指摘され、一つの組織体として明確な意思決定のもとに明確な方針で運営がされているとは必ずしも言えない状況というものがあるわけでございます。
そこで、国立大学等の運営の基準に関する規定を設け、国立大学が直面する課題に積極的に対応していくために、各大学が全学的な見地から一体的な運営を行い、その機能を総合的に発揮することが当然のこととして求められる、それを踏まえて今回規定したものでございます。
○石井(郁)委員 私は、やはりまた今の御答弁を伺って、これは本当に重大な内容を持っているということを改めて言わざるを得ません。これは単なる組織の一体的な、機能的な運営をということじゃなくて、まさに大学の課題、目的を一体的に進めなければいけないということを含んで出されているということを今御答弁されたというふうに思うのですね。
そうなると、本当にますますこの条文というのは重大な意味を持っている。これは機能を総合的に発揮するようにしなければならないということでしょう、しなければならないというのは義務規定ということで、法文上というのは重いんじゃないでしょうか。罰則がないけれども義務だ。
では、その義務を果たしているかいないかというのは、どこがお決めになるわけですか。やはり文部省がそれをお決めになるわけですか。
○佐々木政府委員 規定の性格でございますが、この規定はあくまで訓示規定でございます。したがいまして、各大学においては、この規定に照らし適切な組織運営を行うことが要求されるわけでございます。各大学の組織運営状況というものは、これは公表されるというふうな仕組みがあるわけでございますので、その組織運営状況がこの規定に照らし適切かどうかということについては、社会の評価を仰ぐことになるというふうに考えております。
○石井(郁)委員 その訓示的な規定というのは、まさに精神的な規定というふうに言いかえてもいいと思うのですけれども、わざわざそういうものを条文として置かなければいけないというのはどうしても理解できないわけです。
つまり、大学は、先ほど来の議論のように、先般もそうですけれども、評議会、教授会、あるいは意思形成のためにいろいろな機関をつくったりして大学として努力されているわけでしょう。それをさらにもっと一体的にせよ、決めたことを決めたようにやっていないじゃないかということで書かれるわけですから、これはやはり訓示、精神的規定にとどまらないのですよ。そしてまた、もし訓示的規定だったらわざわざ書くことはない、実際そういうふうに大学は努力されているわけですから、そういう努力をあえて法律で縛らなければ大学は動かないのだというふうに考えること自身が、私は、大学に対する、あるいは大学人に対する本当に根深い不信のあらわれだというふうに思うのですね。やはりそこまで不信を大学に持たれるのかというふうに言わざるを得ないわけです。
こういう訓示的な規定というのは、本当に必要ないんじゃないですか。そして、私は削除すべきだというふうに思うのですけれども、やはり本当に必要があるのかないのかという点で、大臣はいかがでしょうか。ぜひ大臣の御答弁をいただきたいというふうに思います。
○佐々木政府委員 大学と社会との関係というのは、今後ますます緊密化していくわけでございます。そういう中において、大学が課せられた使命というものを達成していくことが社会の要請にこたえることでもあるわけでございます。
そういう社会的存在としての国立大学について、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、必ずしも一つの組織体として十分な機能をしていないというふうな指摘があるわけでございます。そういった指摘というものを踏まえ、大学が一つの組織としてより十全に機能することをやはり積極的に求めていくことが必要である、そういう観点に立って今回訓示規定というものを設けたわけでございます。
○石井(郁)委員 大臣の御見解を伺いたいと思います。
○有馬国務大臣 さまざまなやり方で各大学が工夫していることは事実です。しかしながら、例えば、私が経験した例から判断をいたしましても、多数決原理というのは何となくみんなそうは思っているけれども、ぴしっと決まっていない大学もあるのですね。だから、そういうことに関しては、やはり多数決であるというふうなことをちゃんと決めておいた方がいいということもございまして、多少きめ細か過ぎるという御指摘もあろうかと思いますが、そういうところについて今回きちっと書かせていただくということになったと思います。
○石井(郁)委員 時間がありませんので、私は、この問題はこれで終わらざるを得ないのですけれども、非常に重大な局長の御答弁だというふうに受けとめておきたいと思います。
それで、運営諮問会議についてですけれども、この趣旨というか、学外の方から、あるいは社会的にいろいろな意見を聞くということは既に幾つかの大学でされているのですね。外部の方をアドバイザーとする懇話会などが置かれている大学だとか、それから先日の参考人の質疑でもそういう御紹介がございました。だから、既にもうそういう形で大学は努力をされている、開かれた大学を目指していろいろなことに取り組んでおられるということを考えますと、あえて法定する必要はないのではないか、大学の裁量でいろいろの学外の意見を取り入れて運営をしていくということでいいのではないかというふうに思うわけですね。
それで、その上で伺うわけですが、法案は、そのメンバーにつきましては学長の申し出を受けて大臣が任命されるというふうになっているわけですが、どういうメンバーにするか、また、どういうふうに選出されるかというあたりは各大学の判断に任せられているというふうに理解していいわけですね。
○佐々木政府委員 運営諮問会議の委員につきましては、「学長の申出を受けて文部大臣が任命する。」というふうに規定をしておるわけでございます。
したがいまして、学長の諮問機関という運営諮問会議の性格に照らし、どういう人物を委員とするかということについては学長が総合的観点から判断をすべきものというふうに考えておるわけでございます。申し出に至るまでの学内手続について、あらかじめ学内の意見を聞くことは予想されるところではございますが、それはそれぞれの大学の判断にゆだねているところでございます。
なお、各大学において学長が学内諸機関の意見を聞くこととした場合、その意見は法律上申しますと学長の判断を拘束するものではない、あくまで学長の判断において申し出を行う、そういうものでございます。
○石井(郁)委員 この運営諮問会議も、審議事項についても法定されている、そして構成について文部大臣が任命するという点では、私はやはり大学の自主性を否定せざるを得ないというふうに思うのですが、さらに勧告という権限を持たせられているわけですね。こうなると、大学の中で非常に混乱ということもいろいろ予想されるのではないかというふうに思います。勧告と評議会の意見が異なる場合はどうなるのかとか、まさに大学の意思形成がさらに難しい局面を迎えるのではないかというふうにさえ考えられるわけです。
それで、もう一点。意見聴取をするという機関として置かれているわけで、それでいいと思うんですが、意見聴取だけではなくて勧告、強い権限を持つ勧告ということをなぜ法定しなければいけないのかということはいかがですか。
○佐々木政府委員 御案内のように、勧告には法的拘束力がないわけでございます。したがいまして、これを受けた学長がその内容に従うかどうかということについては、これは学長の判断によるわけでございますけれども、ただ運営諮問会議が設置された趣旨というものを踏まえれば、学長としてはこれを参考としたりあるいは尊重することが求められるわけでございます。
運営諮問会議は、学長の諮問に応じて審議するのみではなくて、学長の諮問がなくても、学外有識者で構成されるわけでございますので、そういった方々が、学外の目から見て、大局的な観点から大学運営の充実に資すると判断した事柄につきましては、その判断により審議をし、学長に対して助言または勧告を行うことができるというふうな扱いとしたわけでございます。
○石井(郁)委員 この点は大変残念ですけれども、時間がありませんので、私は残る時間で教育公務員特例法について一点お伺いをしておきたいというふうに思います。
今回評議会を法定したことで、読みかえ規定が書きかえられたわけでございまして、人事に関する事項がこれによって明文化されることになるわけです。
そこで、教員の採用、昇任についてですが、教授会が置かれる組織の長は、教員人事の方針を踏まえ、意見を述べることができるという規定が加わりました。既に現在でも組織の長というような方は教授会で意見を述べておられると思うんですけれども、新たにこの規定を加えたというのは、この人事方針というものにやはり従えというような意図を強く押し出すためにされたんでしょうか。もしそうだとしたら、教授会の決定を大きく拘束するのではないかというふうに思われますが、この点の御答弁を伺いたいと思います。
○有馬国務大臣 今回の教育公務員特例法の改正のところでございますが、教授会が教員の選考をを行う場合には、学部長等が大学教員人事の方針を踏まえて、教授会に対して意見を述べることができるようにしたということが一つです。これまで暫定措置として附則で定められたものを本則に規定することとしたものでございます。
そういう意味で、学部長が教授会で、私はこういう人を採りたいというような格好での意見はありません。大学として、全体として、こういう方針でいきたい、例えば情報というような科学技術を伸ばしたい、あるいは環境問題をやりたい、こういうふうなことが大学として方針があり得るわけですね。そういうことに関して、各学部長が評議会等々を通じて決まった方針を各学部に持って帰って、そこでそのことを各教官に教授会で伝えるというふうなことが、教授会に対して意見を述べることができることの一番大きな眼目であると思っております。
そういう意味で、またその評議会の問題もございまして、評議会の設置等国立大学の組織運営に関する基本的な事項を法律上定めることに伴う規定の整備でございまして、規定の内容を変更するものではないということを申し上げておきます。
○石井(郁)委員 私自身は、大学院に今度研究科以外の基礎組織を置く問題、それから学長選挙の問題等々、また今の教育公務員特例法の問題でも引き続いてまだ尋ねたいことがあるわけですけれども、もう時間がなくなりました。
今大学関係者から、やはり徹底審議を求める要請書が連日送られております。私は最後に、これはきのう受け取ったものなんですけれども、本当にそうだなということがありますので、ちょっと御紹介をさせていただきます。この中にはこう書かれているんですね。
一国の高等教育、学術文化の未来を決定的に左右する重要な意思決定が、このような短期間に、教育行政の付託者、受益者である広範な国民各層の議論を経ることなく、一部有識者、官僚、政治家だけの手で推し進められようとしていること自体は不当だ、強く抗議をするということがございました。
私は全くそのとおりだというふうに思うんです。大学の自治、学問の自由への不当な介入になりかねないこの法案に私は強く反対を表明して、一応質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
―――――――――――――
○小川委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。山原健二郎君。
○山原委員 私は、日本共産党を代表して、学校教育法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行うものであります。
これまでの短時間の審議でも、大学の自治の根幹にかかわる重大な問題が浮き彫りとなりました。しかも、大学関係者から、慎重に審議せよ、法案に反対の声が次々寄せられています。
一九七三年の筑波大学法案では、本委員会審議だけでも五十九時間行いました。国立大学全体にかかわる本法案を、このようにわずか十二時間の審議で議了、採決をするということに対して、強く抗議をするものであります。
その反対の理由を述べます。
第一に、これまで大学が長年にわたり築いてきた大学自治を無視し、大学の管理運営に関する規定を事細かに定めることによって、国立大学の自主性、自律性を否定し、学長中心の新たな管理運営の枠組みをつくることであります。
本法案は、多くの国立大学で意思決定機関として位置づけられてきた評議会、教授会を審議機関とし、意思決定は学長、学部長などにゆだねることを目的としています。しかも、構成員、審議事項、審議手続に至るまで一律に法定するなど、政府、文部省が国立大学の運営を微に入り細に入り管理、統制しようというものであります。
大学は、営利企業とは違い、学問の府であります。大切なのは、学生も含めた大学構成員の英知を結集することであり、そのための民主主義の徹底であります。そこにこそ、学長、学部長の真のリーダーシップが求められているのであります。それを、有無を言わさず国がトップダウンの体制を大学に求め、学内の十分な意思形成、意思決定の道を閉ざすなど、言語道断と言わなければなりません。
また、運営諮問会議についても、既に各大学で懇談会や世話人会などを置いて広く学外の意見を取り入れようと努力しているのであり、わざわざ法定する必要はありません。しかも、経済界などの有力者をメンバーとして学長への助言、勧告を行うというものでは、多くの大学関係者が外部からの圧力、介入となることを不安に感じているのは当然のことであります。
第二に、例外的措置とはいえ、大学三年での学部卒業を可能とすることは、幅広い教養、学問の修得、他の学生との人間関係の構築などを軽視し、学生の人間的な成長を阻むものでございます。学校教育法第五十二条には、大学は「広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、」と定めています。四年間で修業する内容を三年で詰め込むことは、この目的とも相入れないものでございます。
今行政がなすべきことは、大学をこのように管理、統制する仕組みをつくることではありません。二十一世紀に向けて我が国の大学を学術の中心にふさわしいものにするために、高等教育予算を抜本的にふやし、大学の貧困という現状を克服することでございます。そして、大学の自主的改革を励ますことでございます。
日本共産党は、この意味におきましてこの法案に強く反対するものでございまして、反対討論を終わるものであります。(拍手)
○小川委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○小川委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○小川委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、栗原裕康君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、社会民主党・市民連合及び粟屋敏信君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。藤村修君。
○藤村委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び関係者は、新たな時代の要請に応え、大学における教育研究の自主性に留意しつつ、大学改革を積極的に推進するため、この法律の実施に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一 三年以上の在学で大学の卒業が認められる在学期間の特例については、安易な運用により大学教育の質の低下を招くことにならないよう、本法の趣旨に沿った制度の適正な運用の確保に努めること。
二 大学の運営に当たって、学長が評議会の審議を尊重し、また、学部の運営に当たって、学部長が教授会の審議を尊重するなど、適正な運用が確保されるよう努めること。
三 運営諮問会議については、その制度の運用に当たって、大学の教育研究の自主性を尊重しつつ、広く各界から大局的な見地からの意見を取り入れ得るよう配慮すること。
四 大学等高等教育機関の改革推進のため、財政措置を含む必要な諸条件の整備に努めること。
以上であります。
何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○小川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○小川委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。有馬文部大臣。
○有馬国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいる所存でございます。



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