平成十一年四月十四日(水曜日)
午前九時二分開議
出席委員
委員長 小川 元君
理事 栗原 裕康君 理事 栗本慎一郎君
理事 小杉 隆君 理事 増田 敏男君
理事 藤村 修君 理事 山元 勉君
理事 富田 茂之君 理事 松浪健四郎君
大野 松茂君 奥山 茂彦君
倉成 正和君 小林 多門君
佐田玄一郎君 下村 博文君
高鳥 修君 高橋 一郎君
中山 成彬君 松永 光君
望月 義夫君 渡辺 博道君
池端 清一君 田中 甲君
中山 義活君 池坊 保子君
西 博義君 笹山 登生君
石井 郁子君 山原健二郎君
濱田 健一君 粟屋 敏信君
出席国務大臣
文部大臣 有馬 朗人君
出席政府委員
文部大臣官房長 小野 元之君
文部省高等教育局長 佐々木正峰君
委員外の出席者
文教委員会専門員 岡村 豊君
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)
午前九時二分開議
――――◇―――――
○小川委員長 次に、石井郁子君。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
提出されました法案は、大学審議会答申の「二十一世紀の大学像と今後の改革方策について」というこのタイトルに示されていますように、二十一世紀に向けての大学改革の一環というふうに言えると思うのです。また、この間、一連の改革が進められてまいりましたけれども、その仕上げ的な意味もあるかなというふうに私は感じているところでございます。
その点でいいますと、この間の大学審答申に基づく大学改革が、例えば性急な教養部改組によって教養軽視に陥っていると各方面から指摘されておりますね。また、いまだに劣悪な教育研究条件、いわゆる大学の貧困という状況にあえいでいるという点から見ても、大学審に基づく改革がうまくいっているということは到底言えない、また、国民の願う方向と逆行しているということを指摘せざるを得ません。
大学が国民に開かれたものになる、あるいは大学の社会的な使命、責任を果たしていくというのは重要であるということは言うまでもありません。ただ、その場合に、大学の改革というのは、教育研究の専門家集団である大学自身がやはり自主的に取り組む、自主的な改革をするということでなければならないというふうに思うのですね。
こういうことから見まして、私は、今回の改革が二十一世紀の日本の大学改革の発展に本当につながるのか、つながらないのではないかという危惧を持ちながら質問せざるを得ないということを最初に申し上げたいと思います。
私も、初めに、本法案と大学の独立行政法人化との関係についてお尋ねをいたします。
先ほど来出ていますけれども、政府の中央省庁改革推進本部が、昨年の十二月十七日に、国立大学の独立法人化について、五年以内に結論を得るという先送りをいたしました。もし五年後の二〇〇三年に国立大学が独立行政法人になるということになれば、この法案の審議の意味はないということになるのではないかと思うわけですね。わずか五年間の国立大学のために、こういう法案、大学の管理運営の根本を変えていくようなことを、今、法改正をするという必要はどこにあるのかということになるわけでありまして、そうでないと言うのだったら、独立行政法人に移行しないということをここではっきり言明していただかなければなりません。いかがでございましょうか。
○有馬国務大臣 まず第一にお答えいたしたいと思いますのは、現在我々が努力をしておりますことは、今の段階においてよりよい大学の運営が行われる、そして、よい教育及びよりよい研究が行われるために今努力をしていることでございます。
そういう意味で、今回の法案というのは、大学審議会、この大学審議会というのは、大学の代表が大勢入っているということを御理解賜りたいと思います。ですから、現場からの意見は随分ここで聞き取っているわけでございます。ヒアリングもやりました。そういう意味で、大学審議会の答申、それから中央省庁等改革基本法などを踏まえて、大学が一つの組織体として教育研究の質を高める、そして、期待される役割を適切に果たしていくために、責任のある組織運営体制の確立、それと情報公開の推進など、内外に開かれた国立大学を実現するものでございます。
さらにまた、今後引き続き、いろいろ御批判がある財務・会計の柔軟性について、柔軟性を向上する、そしてまた透明性の高い第三者評価システムを確立する、こういうふうなことを今後図っていきたいと思っております。
今御指摘の独立行政法人化の問題につきましては、このような改革の状況を見つつ、教育研究の質的向上を図る観点に立って慎重に検討を行うということになると思います。また、この法律ができれば、仮にいろいろなことが起こっても、国立である限りにおいてこの法律は有効であると考えております。
○石井(郁)委員 国立大学の独立行政法人化についての大臣の御見解というか姿勢について、私はもう一点伺っておきたいのですけれども、これは、昨年十一月十二日に開かれた学士会館での国立大学長懇談会の席上でのお話なんですが、このように述べていらっしゃるわけです。現在、再び国立大学の独立行政法人化についてさまざまな議論がなされていることは御承知のとおりであり、国立大学のあり方について国民の厳しい目が向けられています。各学長におかれても、今回の国立大学に関する改革と各大学の取り組みいかんによって存続が問われるものであるとの認識を持って改革に取り組んでいただきたいということですよね。
私、これを伺いますと、要するに、今回の改革というのは管理運営の法案ですよね。これは、各大学でこういう改革が進まなければ独立行政法人化にされてしまうというおどしに聞こえるわけですが、そのようにとるのはおかしいのでしょうか。
○有馬国務大臣 独立行政法人にするということを前提にしたわけではございません。このところの少子化の進行状況、経済的な面での厳しさ、こういうことを勘案いたしますと、国立大学が一層努力をしてよりよい教育研究をやっていただかなければ、今後厳しい時代が来るであろうということを言っただけであります。
その独立行政法人に関しては、今後どういうふうなものになるか、そういうことを慎重に見守った上で、いずれにしても、よりよい教育が行われるよう努力をしていこうと思っております。
○石井(郁)委員 今回の法案が、独立行政法人化の地ならしというか条件づくりではないのかという疑義がやはり生じているわけですね。それは、この法律を通して、先ほど来出ていますように、学長のリーダーシップというのが非常に強調されている。その確立のもと、企業の経営方式を取り入れて独立行政法人化に対応する、こういうふうにも読めるわけですよ。
これは、実際、ことしの二月二十六日に出されました経済戦略会議の答申が、「国立大学については、独立行政法人化をはじめ将来の民営化も視野に入れて段階的に制度改革を進める。」一方でそういう流れがあるわけでしょう。そういうことになりますと、この法案を通して独立行政法人に移行するのではないか、そういう一歩がつくられるのではないかというふうに、これもやはり強い危惧を持たざるを得ないわけであります。
ですから私は、大臣は、国立大学の独立行政法人化については反対だということを大臣としてやはりはっきりこの際言明していただかなければならないと思うわけであります。そうしないと、大学人は将来に対する不安をやはり抱えながら対応せざるを得ないというふうに思うのですね。そういう率直な大学人のお気持ちに対して、もう一度はっきりと御答弁いただければと思います。
○有馬国務大臣 私個人の意見はさまざまな場所で申し上げたとおりであり、はっきり申し上げておきたいことは、いかようなことがあろうと、現在私学に余りにも高等教育が頼り過ぎていますので、やはり国としてもっと高等教育を面倒見ていくべきだという気持ちは強く持っています。
たびたび申し上げることでありますが、アメリカと日本とは、私学がほぼ七五%あります。しかし、アメリカの七五%の私学の役割と日本の七五%の私学の役割は決定的に違う。アメリカは三〇%の学生しか教えていない。日本は七五%の学生も私学にお願いをしているわけです。こういう点から、先ほど私学化のことをお話しになられましたが、それは私は、今国際的な観点から見て、国がもっと高等教育に力を注ぐべきだという観点から賛成をしておりません。
しかしながら、現在この独立行政法人という問題が出ていることは厳然たる事実でございますので、これはやはり慎重に考えていくということであるかと思います。「国立大学の独立行政法人化については、大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討し、平成十五年までに結論を得る。」とされていることでありますので、これは既に決定した大綱でございます。したがってこれは、こういう条件のもとで我々は慎重に検討していかなければならないことと思っております。
○石井(郁)委員 それでは、法案に沿って質問をさせていただきます。
私、まず、評議会の問題について聞きたいわけであります。
今回、評議会が新たに法定されたということですね。暫定規則をやめて法制化をした意味というのはどこにあるのでしょうか。一応お尋ねをしたいと思います。簡潔で結構です。
○佐々木政府委員 国立大学につきましては、大学審議会の答申や中央省庁等改革基本法の規定により、その運営における権限、責任の明確化を早急に行うことが要請されておるわけでございます。しかしながら、国立大学の全学的な審議機関である評議会については、文部省令により、当分の間の暫定措置として置かれているわけでございますし、他方、学校教育法における教授会は、大綱的な規定となっておるわけでございます。そういったことから、両者の基本的な役割分担が明確さを欠くというふうな御指摘もあるわけでございます。
そこで、今回、設置者として国立大学の基本的な組織運営を明確に定めることが必要であるという判断に立って、評議会の設置、所掌事務等必要な規定を定めることとしたものでございます。
○石井(郁)委員 それでは、評議会の構成員についてお聞きしたいと思うのですが、私きょうは、大臣もいらっしゃった東大の例で申し上げるのですけれども、現在の評議員は五十六名なんですね。総長、総長というのは、内規では総長となっているのですが、各学部長、各学部の教授二名、各附置研究所所長、大学院各研究科委員会委員長、先端科学技術センター長から成っているということですが、この法案がもし通れば、この評議会はそのまま認められるのでしょうか。いかがですか。
○佐々木政府委員 現在、先ほどの暫定省令に基づく評議会が置かれているわけでございます。法案成立後は、この法律に基づく評議会の設置ということが必要となりますので、暫定省令下における評議会がそのままこの法律下における評議会となることはないというふうに考えております。
○石井(郁)委員 そうしますと、今回の法案が制定されましたら、各大学の評議会は一応解散、出直しということになるわけですね。
○佐々木政府委員 暫定省令に基づく評議会については役割を終え、この法律に基づく評議会が組織されるということになるわけでございます。
○石井(郁)委員 それは、一応やり直しということになるのかもしれませんけれども、先ほど私は構成員のことでお聞きしまして、例えば東大の場合は現在評議員がいらっしゃるわけですけれども、例えば大学の判断で、現在の評議員の構成は新たにこの法制のもとでこういうふうになりましたという形での、このまま移行ということもあり得るわけですか、そこをはっきりさせてください。
○佐々木政府委員 評議会の構成メンバーにつきましても、今回、暫定省令と異なった定めをしておるわけでございます。したがいまして、現在置かれている評議会が法律に基づく評議会と同一の構成メンバーで組織をされるというふうなケースというのは、一般的には考えにくいと考えられるわけでございます。
なぜならば、現在は、例えばその評議員のうち、学部から選出される評議員は二名というふうにしておるわけでございますが、今回、学部その他の部局から選出される教授につきましては、選出する部局の範囲、あるいは選出する人数を各大学の判断にゆだねておるわけでございます。そういった点から考えますと、現在の評議会が即この法律に基づく評議会に移行するということは、一般的には考えてないのではないかと考えております。
○石井(郁)委員 そうなりますと、私は、やはり大変重大な変更だ、改正だというふうに思うんですね。
条文では第七条の三の三項ですけれども、今までは学部から選出の二名があった。今度は、どういう学部からになるかわからないけれども、評議会が決めて、評議員に加えることができるという形での学部の選出があり得るということになっているんですよね。
しかしこれは、今までとはもう全く違った学部からの選出の仕方だし、それから学長指名についても、学長指名を加えることができるというのも、そういうことになりますと、評議員に加えることができるというのは、加えなくてもいいというふうにも読めるわけですが、そう読めないということですね。
この第七条の三の三項というのは、必ずこういう構成メンバーにならなくてはいけないということですか。
○佐々木政府委員 加えることができるという規定でございますので、加えるかどうかということについては、各大学の評議会の判断にゆだねるということでございます。
○石井(郁)委員 そうすると、評議会の判断で加えなくてもいいということもあり得るわけでしょう。今までの評議会の構成メンバーはそのまま移行しても構わないということもあるんじゃないですか。それはその評議会の判断になるわけでしょう。だから、先ほどの答弁はおかしいですよ。
○佐々木政府委員 先ほどお答え申し上げたわけでございますが、評議会の構成メンバーは、暫定省令に基づく構成メンバーと、それから今回の法案に基づく構成メンバーとが、大学の判断によって全く一致をするということが恐らくないわけではないだろうと思うわけでございます。
ただ、それは恐らく、一般的に言えば、極めてレアケースであろうと思うわけでございまして、一般的には、やはりこの法律に基づく評議会の設置ということをしていただくということになろうと思っております。
○石井(郁)委員 だから、文部省がこう法律をつくって、やはりこのとおりしていただくとあなた方が言うと、これは大変なことになるわけですよ、この条文の読み方を言っているわけですから。それで、今までの評議会の構成と変わらないことだってあるということでしょう。それをまず確認させていただきます。
要するに、評議会の構成というのは、暫定規則のもとで現在構成されているわけですよ。この法改正で、そのメンバーが何かがらっと変わることがあるのか、変わらないこともあるのでしょうと。あるっておっしゃったわけでしょう。そこだけ確認したいわけですよ。
○佐々木政府委員 現在の暫定省令における評議会の構成員と、それから今回の法律に基づく評議会の構成員とは違うことが当然あり得るわけでございます。
○石井(郁)委員 いや、それは大学の判断でしていいと思うんですよ。だから、違うこともあるけれども同じこともあるのでしょうと。そこを言っているわけですよ。それは大学が判断をして決めることでしょう、文部省がこうしなさいと言うことじゃないでしょうと。それだけですよ。はっきりしてください。
○佐々木政府委員 大学の判断で構成メンバーを同一とするということも当然あり得ると思います。
○石井(郁)委員 結構です。
では、次に審議事項についてお尋ねします。
これは、評議会は次の事項を審議するということで、十項目の審議内容を法定しています。この点はこれまでの暫定規則にはないものでございますよね。大学の教育研究上の目的を達成するための基本的な計画に関する事項、教員の人事の方針に関する事項、教育課程の編成に関する事項ということもあるわけで、この十項目に決めたということは、現実、各大学は、評議会の審議事項ということでのいろいろな内規を持っております。それと比べると随分異なるんですよね。
文部省ですから、各大学がどういう内規を持っているかというのはもう全部把握されていらっしゃると思うんですけれども、例えば、これも私、東京大学の例で申し上げたいんですが、東京大学は、こういう立派な「東京大学の現状と課題」という本を出していらっしゃいます。これはまさに有馬文部大臣がいらっしゃったときかと思うんですが、これを見ますと、審議事項というのは二十項目になっています。その中には、大学の式典の挙行とか、大講堂、教室、運動場などの施設使用の基準等々ございます。ほかの各大学も、私そんな全部は見ていませんが、内規ですから、そういう形であるわけですね。
では、今度、法案がこの十項目になりますと、こういう事項は違法というふうになるのでしょうか。それとも各大学の判断で、その他の重要な事項というのが十項目めにありますから、そういうことで引き続き審議していくというふうに解釈をしてよろしいのかどうか、その点お尋ねします。
○佐々木政府委員 今回の措置というのは、学内の各機関の役割分担を明確化し、それによって大学の意思決定の合理性を高めるという観点で審議事項を具体的に列挙しているわけでございます。
したがいまして、評議会の審議事項の中には、第十号として、「その他大学の運営に関する重要事項」というのを掲げておるわけでございますが、その趣旨は、第一号から第九号までに規定する事項に準ずる程度の重要な事項として評議会が審議することが必要なものと解することが適当であると考えておるわけでございまして、各大学においては、その趣旨に即してそれぞれ適切な審議事項を設定することが求められることになろうかと思います。
○石井(郁)委員 私は、そういう御答弁を聞きますと、大体この十項目めの「その他」のところにいろいろなことが入る、しかも、それも、この九項目めまでに準じたものだということになりますと、本当に各大学は画一化されますよね。それと、では、これまで各大学が持っておられる評議会の内規も全部、この際改廃というか、そういう形でなっていくんですか。
○佐々木政府委員 今回、法改正を受けて、各大学でどのような事項を評議会の審議事項とするのかについて検討がなされるわけでございますが、その状況については公表をされ、学内外の評価を受けるということになろうかと思っておりますが、文部省といたしましては、各大学において、法改正の趣旨に即した適切な対応がなされるよう求めてまいりたいと考えております。
○石井(郁)委員 そこら辺は大変重大な問題があるように思うんですが、次に、さらに最も重大な点は、この評議会は意思決定機関なのか、それともそうでないのか、ここが大事な点なんです。現在の評議会はどういう役割を果たしているのか、その点の文部省の認識をお聞かせください。
○佐々木政府委員 現在の評議会は、全学的な運営に関する重要事項について審議をする機関である、したがって、大学における意思決定機関とは考えておらないところでございます。
○石井(郁)委員 私は、局長はそういうふうに思っていらっしゃるというふうにしか聞けないので、実際は違うのじゃないですか。実際のことを私はお尋ねしているのですよ。
これも文部大臣はよく御存じのはずでございまして、先ほどの「東京大学の現状と課題」の中では、「東京大学の最高意思決定機関は、多くの国立大学と同様評議会である」と述べられているわけですよ。どうなんですか、これが現状じゃないんですか。評議会が大学の意思決定をしているという現実なんですよ。まず、そこをはっきりさせてください。
これはもう数十年来のそういう慣行でありまして、国大協もいろいろ出されておりますけれども、最終的な決定権は合議機関だというふうに言っているのじゃないですか、これは「科学技術立国をめざして」という中にあると思うのですが。現状の認識のことをお尋ねしているのです。
○佐々木政府委員 現在、大学には、大学運営の最終責任者として学長が置かれておるわけでございます。評議会でさまざまな重要事項について審議が行われるわけでございますが、このことが大学としての意思を最終的に決定するということではないわけでございます。あくまで評議会は審議機関としての役割というものを果たしているというふうに考えておるところでございます。
○石井(郁)委員 局長の答弁で、あなたはそう考えたいのかもしれないけれども、現状の各大学がやっていらっしゃることはそうじゃないのじゃないですか。
大臣、いかがでございましょうか。これは大臣のいらっしゃったときじゃないでしょうか。一九九二年ですね。こう書いてあるのですよ。
○有馬国務大臣 学長としての一番の最高の相談相手は評議会でありますね。そこで、評議会の意見がどうであったかということは、学長の意見を大きく左右することだと思っています。したがいまして、評議会に相談をし、審議をし、その上で決まったことがあれば、学長としてはそれを重要視するということはありますけれども、最終的にはやはり学長の責任であったと思います。
○石井(郁)委員 私は、この法案では審議機関という形で、意思決定機関と分けてそこら辺を位置づけているというのが非常に重大な問題だと思うのですね。それは、各大学がやはり評議会を全学の意思決定機関としてお認めになっている。これは、各大学の事実をお書きになっているわけでしょう、ここで。
それは東大だけじゃありません。ある大学でも、評議会というのは審議、決定を行うということも、内規にちゃんと書かれてありますよ。そういう認識のもとに各大学が大学運営をしているのじゃないですか。そこを聞いているのですよ。それを否定されるというのは、今の大学の実態を全部否定されることになりますよ、それは。そこは本当に重大な問題だと思いますね。局長はそういう認識なんですね。
○佐々木政府委員 学内の諸機関の関係というのは、法令によって成り立っておるわけでございます。
学校教育法において、学長は、大学の運営について最終責任者として決定をする権限と責任を持っておるわけでございます。他方、評議会は、暫定省令において審議機関としての位置づけがなされておるわけでございますので、学長は、評議会の意見を聞きながら、大学としてのあるべき姿を求めて運営をしていくということであろうかと思っております。
○石井(郁)委員 私は、別に学長との関係を聞いてはいません。学長は学長としてのそれなりの権限や、つかさどるということについての重みを持った役割があるかというふうに思うのですね。
問題は、評議会と学長との関係はこれとしてあると思うのですが、現実に大学の運営のあり方として評議会がどういう位置にあるのか。意思決定する機関という位置づけを現実にしているのじゃないのか。これを否定されるわけですか。この法案はまた別ですよ。私は今、現状のことをお尋ねしているわけです。
○佐々木政府委員 意思決定機関という言葉でございますけれども、これは、そこで決められたことが最終的な大学の意思として対外的に出ていくということになるわけでございます。そういう観点から見た場合、評議会を大学における意思決定機関ということはできないと考えております。
○石井(郁)委員 この法案の審査の前提にもなるわけですけれども、これまで国大協だとか文部省関係のところで出してきた各文書を見ても、恐らく、評議会、教授会のような合議制の決定機関というような書き方とか、あるいはそういう意思決定機関だとか、審議、決定するところとかいう形でいうと、現実にそういう機能をしてきたのじゃないですか。それをあなた方は否定するというのは、私は、これは本当に重大な問題だというふうに思うのですね。
だけれども、そこをお認めになりたくないというか、もう否定される。否定したという事実は私は大変重いと思いますよ。全国の各大学の皆さんがそれをどう受けとめるかは、今後それは考えなければいけないと思うのですけれども。
では、現実にも評議会は大学の意思決定機関ではない、そうではなかったのだ、これからもそのように考えていきたいのだということなんですね。
〔委員長退席、増田委員長代理着席〕
○佐々木政府委員 最終的な意思を評議会において決定し、学長がそれに拘束をされて対外的に行動していくという意味で、意思決定機関ではないということを申し上げておるわけでございます。
○石井(郁)委員 学長と評議会はどういう関係になるかとか、学長がどういうふうにそこで判断されるかだとか、それはまた別の問題なんですよ。
やはり大学というところは、そういう教育と研究の専門家集団として、合議制、合議して事を決めていくという、そこはもう絶対に外せないことなわけでしょう。ただ、そこで、だけれども、どういう議論とどういう合議がなされるか、どういう決定がなされるかというプロセスと、それを学長がどう受けとめてどうされるかというのは、また別の問題じゃないですか。
それから、私は、学長のリーダーシップについても、やはりそういう評議会あるいは教授会の合議があってこそリーダーシップを発揮できるのじゃないですか。それでこそ大学運営がいわば円滑にいくのじゃないですか。それを局長のように、そこのところを何か本当に分けてしまって考えたら、それこそ大学はどんなふうに変質するかということで、私は大変危惧を持たざるを得ないわけです。
それと、では、その学長との関係でいいますと、もう一点重大なことがありまして、これは大学審の答申の方ですが、学長や学部長と評議会等や学部教授会との関係については、審議機関は学部の教育研究あるいは大学運営の重要事項について基本方針を審議する。執行機関は、企画立案や調整を行うとともに、重要事項については審議機関の意見を聞きつつ最終的にはみずからの判断と責任で運営を行う。この問題を言われているのだと思うのですね。学長はもうみずからの判断でできるのだ、これをおっしゃっているように思うのですね。
それで、機能分担というのは、結局そういう関係を明確にすることだということのようですが、この重要事項についてはみずからの判断で執行できるということは、学長は評議会のいわば合議、審議に縛られないというふうに理解できるわけですが、そのように局長は答弁されているわけですね。確認してよろしいですか。
○佐々木政府委員 繰り返しになって恐縮でございますが、意思決定機関という場合には、評議会において決定された事柄が学長を拘束し、学長がみずからの判断と責任において行為することができないということになるわけでございます。
学長は、評議会で決められたことを尊重しながら行動するということは必要なことでございますけれども、最終的な行為というものは、みずからの意思と判断と責任に基づいて決定し、行われるべきものであると考えております。
○石井(郁)委員 私は、一般的には、それはみずからの判断で行うとか、それはいろいろ言うことはあるかもしれませんが、やはり大学という教育と研究の機関、教育研究を専門とする集団、あるいは教官の皆さんがそれぞれみずからの学問的な良心に基づいて研究をしていらっしゃるという、大学の組織としてのあり方というのはやはりあると思うんです。そういうところでは、まさに教授会、評議会の協議、合議という、その審議過程と決定のプロセスというのは大変重要だし、そこでの民主主義はやはり大事だというふうに思うんですね。
これは、先ほどから何度も言いますが、「東京大学の現状と課題」の中にもやはりそのように書いてありまして、いたずらに権限を集中して上意下達方式にしたら、大学の活性というのは失われる、おざなりの管理運営しか期待できないというふうに書いていらっしゃるわけですよ。
つまり、幾ら審議しても、学長が何でもできるんだ、その審議と離れて何でもできるんだ、あなたはそう言っているわけでしょう。そういうことになったら、じゃ何のための審議か、何のための評議会かということになるわけでしょう。だから、やはりその評議会なり教授会なりの審議と決定ということを重く見る、それは大学という教育と研究の機関だからこそそこを重視しなきゃいけないということをやはり私は外しちゃいけないというふうに思うんですね。だから、この中でも、大学における権限の集中はあくまで各機関のその時々の事情に応じてだ、何についてどの程度の集中をどんな手続で行なうか、そういう問題なんだということで言っているわけですよ。
どうですか、これは有馬文部大臣、大変重大な問題だというふうに思うんですね。ぜひお聞かせください。
〔増田委員長代理退席、委員長着席〕
○佐々木政府委員 評議会が意思決定機関かということでございますのでるる答弁申し上げたわけでございますが、学長が例えば具体の処分を行うに当たって、評議会で決めたことを尊重して行うことが求められる、これは、大学が教育研究機関としてその自主性を尊重しながら運営されるべきだということからすれば、これは当然のことであるというふうに考えておるところでございます。その点申し添えておきます。
○石井(郁)委員 この点ではぜひ大臣からも、重大なことでございますので。
○有馬国務大臣 今局長がお答えしたとおりだと思います。
重要な事項を評議会で審議する、それは、評議会というのは、各学部から上がってくるボトムアップ型のこともあるわけですね。それで、評議会としてボトムアップ型に出てきた議題を論ずるということも許されていますから、それはひとつ学長として、もちろん学長のところへ上がってきたものを学長として評議会にかけて審議をする、こういうことをやって、いろいろ重要な事項について評議会で審議をする以上、そこで決まったことを尊重するということは私は当然だと思います。ただ、最終的な責任というのはやはり大学の学長というものが持っているというか、持たざるを得ないと思っています。
○石井(郁)委員 微妙にやはりちょっと答弁が違うと思うんですが、学長としての最終的な責任とか判断とか、それは当然だと思うんですが、そのことと、学内でそういう評議会や教授会が果たす役割、あるいはそこできちっと意思形成と決定も行うということとの違いなんですよ。そこはやはりあいまいにするわけにいかないと思うんですね。何でも学長がすべてを決定するんだということですか、この法案によれば。
○有馬国務大臣 評議会の役割の中に幾つか書いてありますが、重要な事項を諮問するという格好になっているわけですね。それを審議するわけですから、諮問して審議をしてもらったことの結論というのは重要視する、尊重するということが当然だと思いますね。ただ、しかし、最終責任というのは、たびたび同じお答えを申し上げますけれども、学長が、そういう審議をした結果などを見て最終判断をするということになると思います。
それは、もう学長と評議会の間に判断の違いがあることは望ましくない、あくまでも両者が同じ判断ができるような方向へ持っていく必要があると思っています。
○石井(郁)委員 教授会について伺いますが、今回学部長が法定されました。教授会の場合も、教授会が最終意思決定機関でなくなる、それで、やはり学部長が最終判断を下すというふうに考えていいんですか。
○佐々木政府委員 例えば学部教授会につきましては、学部の教育研究に関する大学の自主性を尊重するために必要な審議機関でございます。したがいまして、学部の教育研究について最終的な責任を負うのは学部長ということになります。
○石井(郁)委員 どうも微妙にちょっと違いまして、最終的な責任を負うとかという話と、私が伺っているのは、やはり意思決定なんですよ。学部の意思決定権というか集約というか、それはどこが持つのかというふうに聞いているわけで、やはり意思決定権は学部長が持つというふうにこの法案ではなるわけですか。
○佐々木政府委員 さようでございます。
○石井(郁)委員 私は、もうこれは本当に、これまでの大学の自治として普通理解されてきた教授会自治、評議会の自治ということを大きく変更する、掘り崩すものだというふうに言わざるを得ないわけです。
それでは、教授会の問題なんですが、教授会も、今回三項目に審議する事項が絞られています。それから、先ほど来の議論でも、評議会は全学で教授会は学部教授会だ、学部のことを議論したらよろしいみたいな話になっているんですが、そういうわけにいかないと思うんですね。大学の学部だって、全学との関係の中で学部があるわけですから、やはり全学的な問題を教授会、学部教授会が議論することだってあり得るわけですよ。むしろしなきゃいけない話でしょう。
それを、あえてこういう三項目に、学部の教育研究と学生のあれこれという形で絞るというのは、本当に教授会の審議事項をいわば制限をするということになるわけですね。だから、これまで審議したものが審議できなくなるというふうに考えざるを得ないわけですが、そういう理解でいいのかどうかという問題。
それから、では、この法制化ができた場合、重要な事項という以外に、教授会が判断して審議するということが起こり得る、その場合にはそれは法違反ということになるわけですか。
○佐々木政府委員 今回、学内の諸機関について、役割分担と連携協力を十全に果たしていくという観点から、それぞれの所掌事務というのを規定をしたわけでございます。
その場合に、教授会が審議する事項として、教育課程の編成、学生の入退学、卒業等と並んで、学部の教育研究に関する重要事項を掲げておるわけでございますが、これは、教授会の審議事項を具体的に列挙していることを踏まえれば、教育課程の編成や学生の入退学、卒業等に準ずる程度の重要な事項として教授会が審議することが必要なものと解するのが適当であると考えておりまして、各大学においては、このような趣旨に即して適切に審議事項を設定することが求められるというふうに考えております。
○石井(郁)委員 一方で学校教育法五十九条に、大学に教授会を置かなければならないとあるわけでしょう。だから、学校教育法に基づく教授会でこれまで教授会の審議をいろいろしてきた。各大学はずっとそれを慣行としても持っていらっしゃいますよ、それが大学の自治としての理解の上でされているわけですから。ところが、今度は、それを審議すると、この三項目以外だ、設置法違反だということになるというのは、全く矛盾するわけですね。矛盾するでしょう。
それで、私はきょう本当に驚いているんですけれども、こういう重要事項の審議ということを限定、法定化するということといい、評議会も教授会も含めて、やはりこれはもう今までの大学自治の慣行を本当に掘り崩すものですよ。大学自治を崩壊させるものだと言っていいと私は思うんですね。これは、こういう法案を提出すること自体が大学自治への介入ではないのかと言わざるを得ないわけですが、これはぜひ文部大臣、いかがですか。
○有馬国務大臣 教授会で、今、三項目ですか、決まったことがありますけれども、それ以外に、その学部に関係のある他学部の問題、全学的な問題はもちろん取り上げていいことになっていますね。そういう意味では、今までと全く変わらないと思います。教授会でこれはぜひ議論しなきゃならないことであると判断をすれば、それはやっていいことだと思いますね。ただ、もちろん形式論でいえば、学部長がこれは議論するということをどこかで宣言しなきゃいけないと思いますけれども、その諮問に基づいて、他学部、他研究所に関係する話は当然あっていいと思います。
しかしながら、全く自分たちに関係のないことまで議論するということに関しては、そこで必要なことかどうかということについては、必ずしも私は必要でないと考えております。
○石井(郁)委員 では、その教授会が審議している内容は一体だれが判断されるのか。これは関係ないことだ、これは法に合っているとか、こういうことになっていくわけでしょう。重大な問題ですね、本当に。
○有馬国務大臣 それは当然、学部長なり、学部長を支える集団がありますから、そういう人々が判断をすることだと思います。
○石井(郁)委員 もっと議論したいわけですが、もう一点、第七条の六に議事の手続というのがあるんですね。「運営諮問会議、評議会及び教授会の議事の手続その他これらの組織に関し必要な事項は、文部省令で定める。」この議事の手続というのは、私は、こういうことも法令で、省令になるわけですが、定めなきゃいけないものなのかどうかというふうに思うんです。つまり、議事の手続まで定める、何かもう微に入り細に入り、こういう手続でやりなさいと言っているように思えるわけでしょう。何か大学人を、こういうことまで指図しなきゃいけないのかと、大学の人だったら私は言うんじゃないかなと思いますよ。
議事の手続というのは大体決まってあるじゃないですか。多数決にするのか全会一致にするのか、事に応じてどう判断するのか、これはもう慣行的にやっていらっしゃるわけでしょう。何でこれが入るんですか。ちょっとそれを明らかにしてください。
○佐々木政府委員 評議会や教授会の議事手続でございますが、大学審議会の答申におきまして、大学が適時適切で責任ある意思決定を行うためには、合意形成に力を尽くした上で、なお事柄に応じて必要な場合には多数決を行い得るようにすることが必要である、そのような提言をいただいておるわけでございます。この提言を受けまして、評議会や教授会の議決方法について定めることを考えておるところでございます。
○石井(郁)委員 では、その省令の内容を教えてください。一体何を定めるのですか。その議決の方法ですけれども、内容まで踏み込んだものになるんですか。
○佐々木政府委員 議決方法としては、多数決によって決することなどを定めたいと考えております。
○石井(郁)委員 私は、それもまた大変な驚きなんですよね。そういうことというのは、まさに大学の自主的な運営にゆだねるべきことなんじゃないんですか。評議会の議決を多数決に定める、こういうふうに決めるわけですか。ちょっとこれは、私はもう本当に何か信じられないです。大変なことですよ、これは。全国の大学一律にこういうことが決められるわけですか、みんなの多数決で決めていくわけですか。
これは、あなた方の出された九四年の大学運営の円滑化についての大学審答申の審議の概要でも、現在、各大学教授会の意思決定方法をどのようにしているかと。全会一致もあれば多数決もあるし、事項に応じて異なるとありますよ。多数決が必ずしも全部じゃありません。事項に応じてやはり異なるんです。問題の性質によって異なるでしょう。こういうことをすべて多数決で決める。この省令は本当に大学の自治にとって重大な内容ですよ。こんなこと、これはもう削除すべきですね。
○有馬国務大臣 理想としては、運営において、全学部、全研究所が一致することが望まれていますね。しかしながら、現在、多数決で決められないような大学があるんです。全員の意見の一致を見なければだめだというような慣習があるところがあります。そういう意味で、多数決できちっと決めてもいいということをはっきりしたということであります。
○石井(郁)委員 いや、そういうことは、こんな法令で決めるような話じゃないですよ。大学がそれぞれお決めになってやるべきことですよ。
もう時間が参りました。
私は、今回、今触れた内容も大変重大だというふうに思いますし、まだ触れなければいけない問題が山積みでございまして、この法案は徹底審議をすべきだということを強く求めまして、きょうのところは終わらせていただきます。どうもありがとうございました。



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