145-衆-予算委員会-11号
1999年02月05日
石井郁子議員 質問部分 会議録


平成十一年二月五日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 中山 正暉君
   理事 伊藤 公介君 理事 臼井日出男君
   理事 北村 直人君 理事 久間 章生君
   理事 自見庄三郎君 理事 池田 元久君
   理事 海江田万里君 理事 太田 昭宏君
   理事 中井  洽君
      植竹 繁雄君    江口 一雄君
      小澤  潔君    越智 通雄君
      大原 一三君    加藤 卓二君
      亀井 善之君    河村 建夫君
      岸田 文雄君    斉藤斗志二君
      阪上 善秀君    島村 宜伸君
      園田 修光君    津島 雄二君
      中野 正志君    葉梨 信行君
      萩野 浩基君    牧野 隆守君
      村田 吉隆君    村山 達雄君
      森山 眞弓君    谷津 義男君
      横内 正明君    岩國 哲人君
      上田 清司君    上原 康助君
      生方 幸夫君    岡田 克也君
      小林  守君    肥田美代子君
      細川 律夫君    横路 孝弘君
      吉田  治君    池坊 保子君
      石垣 一夫君    大野由利子君
      長内 順一君    木村 太郎君
      草川 昭三君    斉藤 鉄夫君
      西川 知雄君    加藤 六月君
      鈴木 淑夫君    西村 眞悟君
      石井 郁子君    木島日出夫君
      佐々木陸海君    春名 直章君
      平賀 高成君    北沢 清功君
      畠山健治郎君    濱田 健一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 高村 正彦君
        大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
        文 部 大 臣 有馬 朗人君
        厚 生 大 臣 宮下 創平君
        農林水産大臣  中川 昭一君
        郵 政 大 臣 野田 聖子君
        労 働 大 臣 甘利  明君
        自 治 大 臣 野田  毅君
        国 務 大 臣(内閣官房長官) 野中 広務君
        国 務 大 臣(総務庁長官) 太田 誠一君
        国 務 大 臣(防衛庁長官) 野呂田芳成君
        国 務 大 臣(経済企画庁長官)      堺屋 太一君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 鈴木 宗男君
        内閣審議官兼中央省庁等改革推進本部事務局次長     松田 隆利君
        金融監督庁長官 日野 正晴君
        金融監督庁検査部長      五味 廣文君
        金融監督庁監督部長      乾  文男君
        証券取引等監視委員会事務局長 舩橋 晴雄君
        総務庁長官官房審議官     西村 正紀君
        防衛庁防衛局長 佐藤  謙君
        経済企画庁調整局長      河出 英治君
        経済企画庁総合計画局長    中名生 隆君
        経済企画庁調査局長      新保 生二君
        外務省総合外交政策局長    加藤 良三君
        外務省総合外交政策局国際社会協力部長    上田 秀明君
        外務省北米局長 竹内 行夫君
        外務省条約局長 東郷 和彦君
        大蔵省主計局長 涌井 洋治君
        大蔵省主税局長 尾原 榮夫君
        大蔵省理財局長 中川 雅治君
        大蔵省金融企画局長      伏屋 和彦君
        文部大臣官房長 小野 元之君
        文部省初等中等教育局長    辻村 哲夫君
        文部省教育助成局長      御手洗 康君
        文部省学術国際局長      工藤 智規君
        厚生省健康政策局長      小林 秀資君
        厚生省社会・援護局長     炭谷  茂君
        厚生省老人保健福祉局長    近藤純五郎君
        厚生省児童家庭局長      横田 吉男君
        厚生省保険局長 羽毛田信吾君
        農林水産省構造改善局長    渡辺 好明君
        郵政省郵務局長 濱田 弘二君
        労働大臣官房長 野寺 康幸君
        労働省労働基準局長      伊藤 庄平君
        建設大臣官房長 小野 邦久君
        自治大臣官房総務審議官    香山 充弘君
        自治省行政局長兼内閣審議官  鈴木 正明君
        自治省行政局選挙部長     片木  淳君
        自治省財政局長 二橋 正弘君
        自治省税務局長 成瀬 宣孝君
 委員外の出席者
        参  考  人(日本銀行理事) 小畑 義治君
        予算委員会専門員       大西  勉君
    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件
 平成十一年度一般会計予算
 平成十一年度特別会計予算
 平成十一年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
○中山委員長 これより会議を開きます。
 平成十一年度一般会計予算、平成十一年度特別会計予算、平成十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
    ―――――――――――――

○中山委員長 これにて石垣君の質疑は終了いたしました。
 次に、石井郁子君。

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。私は、子供と教育の問題で質問をいたします。
 言うまでもなく、二十一世紀を担うのは今の子供たちであります。その子供たちの間にさまざまな問題がある。荒れと言われるような問題が広がっているということは、もう大変胸が痛むわけであります。
 学級崩壊ということも言われております。授業中子供たちが立ち歩く、教室から出ていく、授業が成り立たないということなんですね。この点は、先月、滋賀県、岡山県で先生方の教育研究集会もございまして、生々しくそういう実態も報告されているわけであります。校内暴力も八〇年代に大変な社会問題になりましたけれども、今日はそれ以上という、一万件を超えて過去最高ですね。いじめを苦にした自殺ということも後を絶たないわけであります。こうした子供の現状を見ますときに、私は、本当に社会の土台が崩されかねない、社会的な危機というべき事態だというふうに考えております。
 この点で、日本共産党としましては、昨年来三つの角度で国民的な討論また運動を呼びかけ、私たち取り組んでいるところであります。
 その一つは、やはり学校教育の抜本改革が要るのではないか。これは、受験を中心とした教育がいろいろ子供たちをゆがめているという問題がございます。それからもう一つは、やはり社会全体で道義を確立する。大人の社会にモラルが荒廃をしている、政治、経済は大変責任が重いわけでありますけれども、そういう中で子供たちにだけ市民道徳を説いても空文句になるわけですよね。そういう面で、本当に大人社会が問われている問題。三つには、やはり文化の問題もあるというふうに思います。国際的に見ても、日本ほど暴力あるいは性という問題で映像あるいはいろいろな商品に子供たちが無防備でさらされている、こういう国はやはりありません。
 そういう点でも、自己規律、いろいろな問題の取り組みが求められているというふうに考え、皆さんと一緒にそうした運動に取り組んでいるところでございます。
 まず最初に、私は、こうした子供たちの現状についての基本認識について、きょうは特に官房長官にお尋ねを申し上げたいというふうに思います。

○野中国務大臣 教育の専門家の文部大臣が来ておられますので、その前で私が、委員が今御指摘になりました教育問題について申し上げるのはいかがかと思うわけでございますけれども、私どもにとって、多くの子供たちが心身ともに健全で育ってくれること、そして、それによって地域社会や国家が営々として二十一世紀に活力を持って発展をしていく、そういうのはまた私どもに課せられた責任であろうと思うわけでございます。
 しかしまた、委員が今おっしゃいましたように、暴力行為とかあるいは不登校の学童、児童がふえていくとか、いわゆる学級崩壊とも言われるさまざまな問題が今大きく教育界を覆っておるわけでございます。
 この背景というのはいろいろなものがあろうと思います。しかし、委員も今御指摘になりましたように、学校教育のあり方の問題、いわゆる教育そのものが問われておる問題が一つはあろうと思いますし、またもう一つは、お触れになりましたように、家庭や地域社会における教育力というものが低下をしてきたのではないか、あるいは、これも御指摘ございましたように、情報化の洪水のような中で、また物質的な豊かさの中に心が失われてきたのではなかろうかというように、さまざまな問題が挙げられると思うわけでございます。
 私も、最近見聞いたしました学校の中で、小さなところで、地域にCATVが根づいております。そして、保育所、幼稚園、小中学校に至るまで、入学あるいは春、秋の運動会、学芸会あるいは卒業式というのを一人も漏らさず映像で映しております。それが家庭に全部チャンネルで入ってくるわけであります。そうすると、子供が自然に、自分たちが映像の前に照らされておるという責任感を持つのか、大変行儀がよくなって、暴力がその学校からなくなったという事情を知りまして、情報というもののある意味における存在感を、地域が教育と結び、あるいは家庭と結ぶところに大きな問題があるというような認識を持ったわけでございますし、また、暴力が非常に大きく問題になった学校におきまして、先生方が勇気を持って生徒と対峙していくような、連帯的な先生方の団結ができました。そこで、やはり暴力がなくなる学校ができたように感ずるわけでございます。
 これから困難な二十一世紀の歩みを考えるときに、我々は、今一番重要な子供の教育について、教育の現場あるいは家庭、地域社会を、国家の、あるいは地方公共団体相まって、責任として人づくりをやっていかなくてはならないと認識をしておる次第でございます。

○石井(郁)委員 子供の問題についての基本認識については、今後ともさまざまな角度から議論を進めていかなければならないというふうに考えますが、きょうは各論に入らせていただきます。
 初めに、子どもの権利条約の実施の問題でございます。
 昨年、これは五月から六月にかけてでございますが、国連子どもの権利委員会で、日本における子どもの権利条約の実施状況についての審査が行われました。大変厳しい内容だと私は受けとめていますが、二十二項目に及ぶ勧告が日本政府に送付されているわけであります。その勧告の中では、今議論にも入っております高度に競争的な教育制度が日本の子供に発達障害さえもたらしているという指摘を初めといたしまして、子供の健康、発達問題、遊び、暴力、ポルノの問題など、多岐にわたって日本の施策の検討を迫る内容になっているというふうに私は考えているわけです。
 こうした勧告について、まず政府としてどう受けとめておられるのか、またその勧告をどういう体制で検討を進めていこうとされているのか、その点を、これも官房長官、ぜひよろしくお願いいたします。

○野中国務大臣 ただいま御指摘がございました児童の権利に関する委員会の昨年六月五日の最終見解に基づきまして、政府といたしましては、この提案及び勧告を十分検討した上で体制をつくり上げたいと考えまして、自来、関係省庁の責任者会議の開催を数回にわたって行って、今後、それを受けまして、この勧告と提案に対して十分な施策の対応が総合的にできるようにただいま取り組んでおるところでございます。
 詳細につきまして、必要とあらば政府委員からお答えをさせていただきます。

○石井(郁)委員 数回にわたって既に検討が始められているということで、大変結構なことだというふうに思うのですが、しかし、今政府に求められていることは、この勧告全体を各省庁に割り振って終わりではなくて、やはり全体として、あるいは包括的にどうこれを検討するのかという、そこではないのかというふうに思うんですね。
 施策というのは各省庁で行われていくわけですけれども、この勧告の中には、例えば子供の権利に関する体系的な研修及び再研修のプログラムということがございます。これはもう警察官、司法関係者、教育関係者、児童福祉の職員、医者とか看護婦など、子供にかかわる大人たち全体に求められているわけであります。これだけでも各省庁にまたがるという問題。
 それから教育の問題でも、過度のストレス及び不登校という問題も、それをやはり防止して、そのための適切な措置をとらなければいけないということになりますと、これは文部省だけの問題じゃないわけですね。児童相談所、あるいは民間のフリースクールもそうでしょうし、子供たちの遊び場、学習塾、あるいは親の労働時間の問題、あらゆる問題の検討が必要とされるのではないかというふうに思います。
 そして、実際この勧告の一つに、これは三十項目めなんですが、こういうふうに書かれております。子供に関する包括的な政策を発展させること、並びに本条約の実施の実効的な監視及び評価を確保することを目的として、子供の権利に関するさまざまな政府機関間の調整、これを中央及び地方レベルにおいて強化すべきだというところがございます。私は、これは大変今大事だと思いますし、日本政府には、国連の権利委員会からも特にこの点を力を入れるべきだということがいろいろ議論の中で出されたというふうにも聞いているわけでございまして、政府として、こういう勧告を受けとめる包括的な機関の設置、政府間の調整機関、そういうものを設置するというように踏み込んだお考えはございませんでしょうか。

○野中国務大臣 先ほど申し上げましたように、文部省が主管をいたしまして、現在のところは、総務庁、警察庁、法務省、外務省、文部省、厚生省、労働省の各省庁の責任者が出まして、省庁横断的にこの最終的な、児童の問題につきまして取り組みをして討議を重ねておるところでございまして、最終見解の取りまとめができました段階で、また今後の推進のあるべき方向を見出していきたいと考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、児童の権利に関する問題でございますので、積極的に、先ほど申し上げましたように、今後の新しい世紀を担っていく子供たちの健全な発展のために、その児童の権利に関する委員会の最終勧告を厳守する形で、一層努力してまいりたいと考えておる次第でございます。

○石井(郁)委員 それでは、重ねて伺いますが、その総合的な政府間、各省庁での何か連絡会議というもの、これは官房長官のもとに置かれているというふうに理解してよろしいでしょうか。

○野中国務大臣 今申し上げましたように、文部省が主管をいたしまして、それぞれ関係省庁が一体となって取り組んでおる次第でございまして、その会合を集約いたしました結果、どのような組織でこれを積極的に推進するかは、その結論をもって取り組んでいきたいと考えておる次第であります。

○石井(郁)委員 私は、野中官房長官でございますのであえて申し上げたいんですけれども、例えば、女性の問題で見ますと、労働省女性局は、労働問題にとどまらず、女性の地位向上、その他女性問題の調査及び連絡調整という役割を持っていますし、男女共同参画室というのができましたね。この点では、大変官房長官の積極的な姿勢を伺っているところでございますけれども、そういう点でいいますと、やはり子供の問題についても、各省庁に子供担当というふうに置くのがいいのか、あるいは子供連絡会議というようなものを置くのがいいのか、そこはいろいろもっと考えが、知恵があるかと思いますけれども、やはり政府として、内閣として、子供の問題を、本当に調整役を果たして積極的に取り組んでいるんだということを見せていただきたいなということを強く願うわけでございまして、そしてまたそれは勧告の趣旨に沿っているという点でも、このことを強く申し上げているところでございます。重ねてよろしく。

○野中国務大臣 私、条約でございますので、主管は外務省でやっておりまして、今後、その結果を待って、今おっしゃいましたように、内閣としてどのように総合的にこれを施策の上に生かしていくかは、委員のおっしゃったようなことを踏まえながらも、検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

○石井(郁)委員 やはり、ちょっと出ましたように、主管は外務省だ、いや文部省だ、こういうふうにどうしてもなりがちなものですから、私は強くきょうも主張したところでございまして、官房長官からそういうお言葉をいただいておりますから、ぜひ前向きにこの権利条約の実施についての体制をつくっていただきたいということを、重ねて強く要望しておきたいと思います。
 次の問題ですが、私は、公共事業と文教施設の整備の問題、特に危険校舎の解消の問題について質問いたします。
 冒頭申し上げましたように、今子供たちのためにやはり何ができるのか、政治が問われているわけですし、政治が真剣に取り組まなければならないということだというふうに思います。
 そういう点で見ますと、子供たちへの施策というのはどうなのか、政府の姿勢は極めて冷たいものがあると言わなければなりません。実際、この小渕内閣が進めたことの一つに、財政構造改革法の凍結がございましたけれども、教職員の定数の改善計画、第六次の計画は二年先延ばし、この見直しはされておりません。また、来年度予算案を見ましても、公共事業の予算というのは大きく伸ばしているわけですね。しかし、学校建物の改築、改修予算が削られているわけであります。今、全国至るところから、大変危険な校舎の状況を何とかしてほしいという声が寄せられております。
 私、具体的に御紹介したいんですが、大阪では、小学校でトイレの水が漏れて、その下の階にしみ出している、外壁にひびが入って落下の危険がある、あるいは講堂の雨漏りで天井が脱落しかけている。高校の場合でも、築後四十年たっているが、一度も改修されたことがないという問題があります。これは和歌山県なんですけれども、特に聞いていますのは、トイレが男女共用になっております。これは、まだまだ多くのそういうところが残っているんですね。小学校四、五年生になると、もう思春期に差しかかっていますから、女子生徒などはとてもそういうトイレに行けないということで、もう体調を壊してしまうわけです。私は、このトイレ問題というのはまさにもう人権問題でもあるというふうに言わざるを得ません。それから、東京の江東区では、小中学校の七三%で雨漏りがするということです。それから、老朽化した体育館の床からくぎが出て、教職員が金づちでたたいて回っている、こういう状況にもかかわらず、予算がつかなくて修理ができないというんですね。
 これは十年前には、大学の老朽化問題で、我が党も調査団を全国に組みまして、このときに、文部大臣御出身の東大の老朽施設も見せてもらったことがあります。そのときには、その東大で赤水が出る、実験に差し支えるということで大問題になったんです。今、この水問題は、小学校で赤水が出るんですよ。だから、水が澄むまで三十分も蛇口で流しておく。しかし、こういう水はやはり子供たちが飲んでいいのか、はらはらするわけですよねという状態であります。
 私は今こうした危険校舎の一部の例を申し上げましたけれども、まずこの実態について、官房長官、大臣、それぞれどう御認識をされていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○有馬国務大臣 危険校舎についてのお尋ねでございますが、平成十年五月一日現在、全国の公立小中学校でおおむね改築の時期を迎える、大体三十年と見ているんですが、建築後三十年以上を経過したものの保有面積は約二千九百二十三万平米になっております。それで、この面積は公立小中学校の建物全体の約二割弱を占めております。今後さらに増加する傾向にあることは、よく知っております。学校は、学習の場でありますとともに、子供たちが一日じゅう多くの時間を過ごす生活の場所でありますので、学校施設の整備を図ることは極めて重要であると私どもも考えているわけであります。
 このため、文部省といたしましては、平成十一年度予算において千六百三十八億円を計上しているところでございます。今後とも、厳しい財政状況のもとでございますが、緊急度の高い改築及び耐震、特に耐震補強事業を中心に、市町村の計画に支障が生じないよう、必要な事業量を確保してまいりたいと思っております。

○石井(郁)委員 こうした危険校舎問題というのは、やはりもう早急に対応しなければいけないというか、解消しなければいけない、そういう問題だろうというふうに思うんですね。
 今大臣からいろいろと御説明がございましたけれども、公立小中学校の学校の施設整備費、これは一九八〇年には五千七百十三億円でございました。今お話しのように、来年度予算では千六百三十八億円ですね。これは、昨年は千七百三十一億円ですから、昨年よりもことしは少なくなっているんですよ。だから、一九八〇年から比べますと、二八・七%まで落ち込んでいるわけですよ。
 それで、こういうことでいいのかという意味でいいますと、まず、どうしてこんなふうに予算を減らされるのでしょうか。

○有馬国務大臣 一つ御注意いただきたいことがございます。
 今御指摘のように、確かに、来年度の予算は千六百三十八億円で、十年度よりも少し減っているように見えております。
 御注意いただきたいことが一つある。それは、平成十年度の場合に、第一次補正が三百十三億円入って、合わせて二千四十四億円でございますが、平成十一年度の中では、第三次補正は一緒に考えるという考えがございます。したがいまして、両方合わせまして、平成十一年度予算額は千六百三十八億円、御指摘のとおり当初予算としては減っておりますけれども、第三次補正予算額が五百六十九億円でございまして、合わせて二千二百七億円ということになりますので、この点、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
 このことによってやはり大きな金額、二千二百七億円となりますので、これで市町村の事業計画が円滑に実施されることを希望しておりますし、そうなるものと考えております。

○石井(郁)委員 先ほど、小中学校での危険校舎面積が二割程度残っているというような数字を挙げて御説明がございましたけれども、中学校だけで見ますと、危険校舎面積は、十年前には七十七万九千平米なんですね。ところが、九八年度には五十万六千平米ですから、多少減ったとしても、まだまだこれほど残っているという問題なんですよ。今、多少事業量を確保されたということで大臣おっしゃっていただきましたけれども、しかし、本当に足りないということはもうはっきりしていると思うのですね。
 それで、なお、この小中学校についても、二十年を超える建物が今全体の五五%です。だから、今後もっともっとこれは改築が必要になってくるだろうという問題でいいますと、私は、今予算をつけなければ、十年前の大学老朽化問題と同じような事態を迎える、小中学校でもこの危険校舎の改修にやはり追いつかないという事態を迎えるのじゃないかという意味で、大変危惧をしているわけであります。
 公立学校の施設整備費、これをやはり抜本的に増額する、あるいは補助金も引き上げるというぐらいの姿勢を政府として持つべきだと考えますが、いかがでしょうか。これは官房長官、そういう御決意はございませんか。

○有馬国務大臣 確かに、戦後急激に生徒数が伸びてきた、大学にしても学生数が伸びてきたというふうなことがあって、急激に建物を建てましたが、その後児童の数が減ってきたというふうなことで、昭和五十五年度のピーク時五千七百十三億円に比べまして、その後ずっと減ってきていることは確かでございます。しかしながら、今申し上げましたように、平成十一年度の予算においては、現在の厳しい財政状況のもとで極めて努力をいたしたということを御理解賜りたいと思っております。
 なお、もう一つ、地方分権を推進するという意味で、国と地方の役割分担の一層の明確化を図る観点ということも必要であると考えております。

○野中国務大臣 今文部大臣からもお話ございましたけれども、学校施設というのは健全な学習の場であり、生活の場であるわけでございますので、より立派な施設が望まれることは言をまたないわけでございます。
 けれども、委員十分御承知のとおり、本来、義務教育学校は市町村が管理運営をするわけでございまして、市町村の財政と大きなかかわり合いを持つわけでございまして、私どもは、文部省における危険校舎の予算の増額に相努めるとともに、市町村がまた取り組みができるような状況というものを十分配慮していかなくてはならないと思うわけでございます。
 ただ、先ほど御指摘がございましたように、赤い水が出るとかあるいはくぎで補修しなきゃならないとかいうような問題というのは、これは全く市町村段階で解決がされなくてはならない基礎的な問題であると考えるわけでございまして、今後、市町村の関係の向きにつきましても十分連携をとって、私どももそういう点、遺漏のないようには配慮をしてまいりたいと考えておる次第であります。

○石井(郁)委員 もちろん、市町村が進めるべき問題でありますが、しかし、それはもう言うまでもなく、財政難の中でやりたくてもできないという声を上げているわけですから、それはやはり国の問題なんですよ。それから、やはり文部省として、子供たちの命それからちゃんと人権を守る、この危険な校舎を放置してはいけないのだという文部行政の根幹にかかわる問題として、文部省自身がやはりそういう姿勢を示すことが大事ではないのかというふうに私は思うのですね。
 そういう意味で、こういう危険な校舎について、文部省としての何らかのこういう姿勢をも、通達になるのか何になるのかわかりませんけれども、お示しされるということも、これだけの危険な実態が出ているわけですから、そういう中では必要ではないかというふうに考えますが、文部大臣、いかがでしょうか。

○有馬国務大臣 たびたび申し上げることになりますけれども、まず第一に、国立大学にしてもあるいは公立学校にしても、実態を把握しておくことは大切なことでございます。ですが、その点に関しましては十分把握をしていると思います。
 しかしながら、特に公立学校に関しましては、地方分権との関係がございますので、余り国が一々言うことはむしろいけない。それは各地方で、各地域でのきちっとした役割分担の上で、どこから早くやるべきかなどということについては御努力を賜りたいと思っております。その上で、国としてどうしてもやらなければならないようなことが緊急にあれば、私どもとして大いに努力をさせていただきたいと思っております。
    〔委員長退席、伊藤(公)委員長代理着席〕

○石井(郁)委員 私は、本当に今の学校の危険な状況あるいは校舎問題を解消するために必要な予算がつけられているとは到底思えません。また、そういう予算を要求しているというふうには思えません。そういう点では一層のやはり努力が要るというふうに思うのです。
 そもそもこの問題は、やはり、大規模な公共事業には国民の税金をどんどんつぎ込んできたじゃないか、その一方で子供たちの予算が大幅に切り詰められている、そういう国民に冷たい政治の典型の姿がここにあらわれているのですね。そういう意味で問題にしているわけであります。
 実際、学校の改修の事業は、この深刻な不況のもとでも、中小企業の皆さんには直接に役立つ事業なんですよ。ここが大変大事なところでありまして、この点でもう一点お尋ねをしておきたいのですが、これは建設省にちょっとお願いをしております。建設省の直轄事業における中小企業への発注実績、最近いかがでしょうか。

○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。
 私どもの所管事業でございますが、工事につきまして、官公需法に基づく中小企業への発注状況でございますけれども、平成七年度四四%、平成八年度は四五・七%、平成九年度は四七・七%、こういうことで、順調に推移をしてきているものというふうに思っております。

○石井(郁)委員 この点で、文部省はいかがでしょうか。こういう数字は把握しているのでしょうか。学校の改修改築工事などの中小企業の受注実績ですね、もしつかんでおられたら、ちょっと教えてください。

○御手洗政府委員 文部省は、毎年そういった観点から数値をとってはおりませんが、たまたま、最近では平成五年度に受注実績をとった実績がございまして、補助事業ベースで見ますと、補助事業の全体の八〇%が中小企業分だったということでございまして、これにつきましては、ほぼ毎年そんなに大きな変化はないのではないだろうかと認識しているところでございます。

○石井(郁)委員 この点は言うまでもないかもしれませんが、私はあえて、東京の場合でちょっと調べてみました。平成九年度には、「大企業・中小企業別受注実績(工事関係)」という表があるんですけれども、土木工事で中小企業は九五・五%でした。建築工事でも九八・一%、設備工事でも中小企業が九六・八%ですね。全体で見ると、九七・一%は中小企業が受注しているわけであります。大阪市の場合でもほぼ同じですね。受注件数の九二%でした。
 ですから、こういう点でまさに地域密着型の公共事業になる。当たり前といえば当たり前なんですけれども、多くの中小企業が潤うことになるわけであります。だから、景気対策上でも大変有効なものだ。だから、子供たちにも喜ばれるし、景気回復にもなり、中小企業の皆さんにも歓迎される、こうした公共事業こそやはり率先して行うべきだというふうに思うわけであります。
 だから、私どもは、公共事業のあり方の問題としてこの問題をやはり重視しているという点で、もっとこの点での予算を抜本的にふやすべきだということを重ねて要望したいわけですが、あえてどうでしょうか、官房長官、御答弁いかがでしょうか。

○有馬国務大臣 教育の上での施設の充実ということは、文部省としても一番重要なことと考えております。補正予算にせよ来年度の予算にせよ、最大限の努力をさせていただいている次第であります。今後もその努力は続けさせていただきたいと思う。同時にまた、さまざま、それ以外に教育に係ることもありますので、そういうものとのバランスをとりながら、さらなる改善を図るよう努力をさせていただきます。

○石井(郁)委員 本予算委員会でも、総理自身も、政府として責任を負って対処しますという御答弁がございましたが、やはりその立場をぜひ堅持していただきたいということで、この異常というべき事態をやはり政府として早急に解決する、あらゆる手だてを尽くすという点を強く要求いたしまして、私は次の質問に移ります。
 それで、この新しい荒れの問題とやはり三十人学級の問題なんですね。
 今、学校教育の問題は、こうした学校の改修、改築の問題だけでないことは言うまでもありません。やはり、先生の数をふやして、子供たち一人一人に目が行き届く教育が求められているわけであります。これはもう今や国民的な世論だと言ってもいいと思うんですね。三十人学級の実施を求める自治体決議は急激に広がっておりまして、五百五十を超えているかと思います。今こそ国としてやはり三十人学級に踏み出すときだ、そのことを積極的に支援すべきだと思いますが、なぜ国がやらないのか、私もたびたびこの問題は取り上げているんですけれども、あえてちょっとその理由をお聞かせいただければと思います。

○有馬国務大臣 石井先生御承知のように、現在、第六次教職員配置改善計画を一生懸命やっているところでございまして、まず第一に、この平成十二年度の完成に向けて最大限の努力をさせていただきたいと思っております。しかしながら、さらにその先をどうするかということも我々は大いに検討しているところでございます。
 まず第一に、私自身も参画いたしました中教審答申においても、教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みにしてほしいというふうな提言をいただいております。平成十四年になりますか、二〇〇二年、学校週五日制時代に入ります。そこでは新しい教育課程の実施になりますので、そういうことを視野に入れまして、現在専門家の協力を得て、どういうクラスがいいか、本当に三十人がいいのか、それともチームティーチングをさらにふやすのがいいか、さまざまなやり方があると思いますし、けさは、岩國先生より、むしろ大きなクラスにしたらどうか、ただし学校は小さくしたらどうかというふうな御指摘も賜りました。これも、私も非常に気になっているところでありまして、本当に一番いい構成はどういうものかというふうなことを、あと一年ほどをめどに検討させていただきたいと思っております。
 ともかく、非常に国家財政が厳しいので、その厳しい国家財政の中で最もいい教育はどういうふうにしていけるか、今後さらに検討をいたしたいと思っております。

○石井(郁)委員 この点では、きょうは時間がありませんので別にしたいと思いますが、やはり少人数学級が本当に効果があるということは、もうあちこちで実証というか実践がされてきておりますので、私は、早くそこに踏み切るべきだということを重ねて要望しておきたいというふうに思います。
 あと、本当に残り時間わずかなんですけれども、私はきょう、特に内申書問題、高校入試のときに使われる調査書という問題、その中の観点別評価というのがあります。この問題で御質問いたします。
 これは、国連の勧告でも、高度に競争的な教育制度の具体的な問題として審議になったというふうに聞いているんですが、なぜ日本で高校入試があるのかという問題です。それは置いておきまして、その高校入試のときに、今申し上げましたように、内申書を最近使われるようになりました。その観点別評価という名のもとに、これは中学生に対する人格評価ではないのかという問題です。
 観点別というのは、各科目、授業が、関心・意欲・態度という項目が真っ先に来て、そこが点数化されたり、いろいろな評価がされるわけですね。クラブ活動、生徒会活動あるいは行動の記録それからボランティア活動、こういうものが全部評価されて調査書に書かれるという問題であります。
 この点は、先月の十日、NHKの教育テレビで、文部大臣も御出席されておりまして、十四時間の生放送がございまして、大変多くの意見が出されました。私も、部分的ではありましたけれども見ております。その中でも、子供たちの多くが、こういうものをやはりやめてもらいたいということを強く主張していたわけであります。それは、子供がやはり仮面をかぶってしまう、先生の前でいい子でなければいけない、それから友達関係が壊れるし、あるいはそれがいじめの原因にもなったりする、さまざまなことを言っていましたね。
 大臣、あのテレビにも出演をされまして、そしてそういう子供の生の声を伺いまして、どういう感想をお持ちでしょうか。この評価というものを、もうこういうものを続けちゃいけないなというような御感想は持たれなかったんでしょうか。

○有馬国務大臣 どういうふうに入学試験を行うかというのは、大変難しい問題だと思います。中教審でもさんざん議論を何年も重ねてまいりましたし、例えば、今のは高等学校についての御質問でありますけれども、大学入試をどうするかというのは、大学審議会でもさんざん議論を積み重ねてまいりました。同じように、高等学校でもそういう問題があるわけです。
 特に、観点別評価についての御質問でありますが、やはり学力試験だけでもって高等学校の入試を行うということに対しては、大変世の中の御批判が強かった。内申書ということを使ったらどうかというような御意見が大変多い。逆に、余りにも内申書に偏りますと、今度は学力の方がいいとか口頭試問とか、いろいろな問題が起こってくるわけです。そういう点で、大変難しい問題だということを最初に申し上げた。
 さて、観点別学習状況というものでありますが、この評価、どういうことを行っているのかということを私も勉強いたしてみました。
 第一に、関心・意欲・態度、自然事象への関心・意欲・態度。あるいは思考・判断、科学的な思考。技能・表現、観察・実験の技能・表現。知識・理解、自然事象についての知識・理解の四つの観点から評価することになっています。しかし、重要なことは、子供たちの相対的な位置だけではわからない、子供の努力をしている状況やよさなどを評価する上では、私は意義のあるものと考えております。

○石井(郁)委員 私は、子供たちから随分率直な声が出されていたと思いますが、それを聞いてなお大臣は、やはり必要だ、意義があるというふうに御判断されるというのは、ちょっと解せないことなんです。
 実際、本当にこの行動の記録というのは、この調査書で見てみますと、例えば明朗快活かどうかだとか、思いやりがあるかどうかだとか、あなたは向上心があるかどうかだとか、協調性があるかどうかだとか、こういう項目を全部評価されるんですよね。では、例えば明朗快活を、あなたはネクラですとかよく言われると、もうその子はそれだけで落ち込んでしまうわけです。
 こういう人格という内面に関する問題というのは、こんなふうに評価できるものなんでしょうか。しかも、それが入試の手段となるということがあっていいのでしょうかということが、今社会的には大問題になっているんですよ。だから、私は、子供の人格の発達あるいは教育界にどんなゆがみをもたらしているのかについて、もっとやはり真摯に考えていただきたい。でなければ、子供たちは本当にかわいそうですよ。とんでもない問題なんです。
 時間がありませんので、私は結論を急ぎますけれども、実は調査書というものが各県どんなふうになっているのか、ちょっと取り寄せてみました。そうしたら、もうほとんど全国一律なんですよ。今申し上げましたような行動の記録というのは、全部同じような項目ですね、全国が。それを点数にしているか、どういう形式にしているかはいろいろあるかと思いますけれども、結局そういうものを文部省がやはり推進してきた。それは指導要録という形で学校に記録が残されるわけですから、まさに指導要録と内申書は同じ項目なんですよね。
 ですから、こういうことを全国一律にやはり学校に押しつけているという問題、まさに子供たちはもう全国どこでもよい子競争に駆り立てられるわけですよ。そういうことで、学校が非常に行きにくい場所だ、行きづらい場所だ、もう苦しい、嫌になるという声がたくさん出ているわけですね。
 私は、文部省の責任は本当に重い、こういう害をもたらしているということについて、本当に真剣に反省をして、これはもうやめる、あるいは見直しをするということに今こそ踏み切らなければ、日本の教育は、本当に子供たちはとんでもないことになってしまうというふうに思うわけで、文部大臣、重ねて、もっと真剣にここは検討してもらいたい。いかがですか。

○有馬国務大臣 しかし、一般的に学力検査だけでは、私は入試がいいとは思わないわけですね。どうしても調査書というものが必要だと思う。なぜならば、子供たちが三年間どれだけ努力をしてきたかということを何にも評価しないで、一回の学力試験だけで決めることは私は賛成できないわけです。ですから、両方を組み合わせていくということが必要だと思う。
 そこで、今、高等学校の新しい教科書に対する指導要領などを終わり次第、調査書とか入学試験のやり方についてさらに検討を進めてもらうべく、教育課程審議会にお願いをしつつあるところであります。
 それから、もう一つ申し上げておきますと、今回、中高一貫というふうな制度を導入すると同時に、高等学校の入学試験において、調査書及び学力検査の成績のいずれも用いない方法による選抜を可能といたしました。そこで、各高等学校での御検討を待つところでございます。

○石井(郁)委員 私は、今ここで議論しているのは、高校入試のときに一発勝負の試験がいいのか、それともそういう調査書を使うのがいいのか、そういう議論をしているのじゃないんです。調査書というもので使われている観点別評価というのは人格評価ですよ、これは教育的な意味は持ちません、ここを言っているわけです。だから、入試のあれこれの方法を論じているわけじゃないということをはっきりさせておきます。
 それから、入試問題でいえば、十五歳人口が急激に減っています。高校をふやさなくても受け入れる条件があるわけでしょう。だから、希望者はやはり高校に入れるということに踏み切っていいんですよ。この点でも、私は、文部省の英断が本当に今求められているというふうに思うんですね。だから、高校が子供を選抜するのではなくて、子供が高校を選択するんですよ、子供が選択をする。こういう道を今こそ開くべきだというふうに思うんですね。むだなことで本当に子供たちを苦しめたくありません。そういう意味でも、私は、ぜひ有馬文部大臣、その英断を求めたいというふうに思います。
 私は、きょう最初に申し上げました。本当に子供たちのために政治は何ができるのか、そこが問われているんですよ。できることを思い切ってやろうじゃないですかということで、きょうは幾つかのことを御質問させていただきました。
 どうもありがとうございました。

○伊藤(公)委員長代理 これにて石井君の質疑は終了しました。


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