平成十年六月三日(水曜日)
午後六時二分開議
出席委員
委員長 高橋 一郎君
理事 稲葉 大和君 理事 遠藤 利明君
理事 小川 元君 理事 河村 建夫君
理事 肥田美代子君 理事 藤村 修君
理事 富田 茂之君 理事 西 博義君
今村 雅弘君 大野 松茂君
奥山 茂彦君 小杉 隆君
佐田玄一郎君 桜井 郁三君
実川 幸夫君 下村 博文君
田野瀬良太郎君 戸井田 徹君
中山 成彬君 野田 聖子君
保利 耕輔君 宮本 一三君
望月 義夫君 安住 淳君
川内 博史君 鳩山 邦夫君
旭道山和泰君 福島 豊君
松浪健四郎君 石井 郁子君
山原健二郎君 保坂 展人君
粟屋 敏信君
出席国務大臣
文 部 大 臣 町村 信孝君
出席政府委員
文部大臣官房長 小野 元之君
文部省教育助成局長 御手洗 康君
文部省高等教育局長 佐々木正峰君
文部省学術国際局長 雨宮 忠君
文部省体育局長 工藤 智規君
文化庁次長 遠藤 昭雄君
委員外の出席者
外務省総合外交政策局国際社会協力部人権難民課長 貝谷 俊男君
文化庁長官 林田 英樹君
文教委員会専門員 岡村 豊君
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本日の会議に付した案件
教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)(参議院送付)
美術品の美術館における公開の促進に関する法律案(内閣提出第一〇六号)(参議院送付)
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○高橋委員長 次に、石井郁子さん。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
本当に短い時間ですので限られた御質問だけさせていただきますが、まず、教育職員養成審議会で述べられていることで一点お尋ねしたいと思います。
それはこういう部分なんですが、
各教科、道徳及び特別活動の指導法等に関する各科目等については、学習指導要領に掲げる事項に即して包括的な内容を教授する必要があり、制度的にもその旨を明確化する必要がある。こう書かれているわけですが、この「制度的にもその旨を明確化する」、これは一体どういうことなのか。省令などの中に具体化されるというふうな意味でとらえるのか、ちょっと御説明ください。
○御手洗政府委員 御指摘のとおり、本法案改正後の教育職員免許法施行規則におきまして具体的な科目等につきまして規定をしてまいりたい、こう考えているわけでございますけれども、その中で、御指摘の教養審の答申の趣旨というものをしかるべく書き込みたいと考えているところでございます。
○石井(郁)委員 私は大変重大な問題だというふうに思うのですね。
前回、一九八七年の教養審では「学習指導要領や教科書等の基本的な事項について十分な研究を行う必要がある。」ということで、研究の必要性を述べていたと思うのですが、今御答弁のように、今回の答申で、学習指導要領に即してと、これは事実上大学の教育内容まで学習指導要領によって規制するということになるわけで、本当にこのことは、きょうはもう残念ながら議論できませんけれども、大学の教育研究の自由という点から見て重大な問題であるということを指摘しておきたいと思います。
次は、国立の教員養成大学学部の問題なんです。
文部省は、二〇〇〇年度までに国立大学の教員養成課程の入学定員五千人削減ということを出されています。これはピーク時から見ると二分の一以下ということになるわけで、今年度既に千二百六十人削減ということになっているかと思うのです。
この五千人削減計画の内訳で、小学校が二千人、中学校が三千人ということを聞いているわけですが、昨年度の中学校教員養成課程の入学者数の総計が三千二十五人ですよね。というごとは、教員養成系大学の中学校課程は今後丸々なくなるというふうにとっていいのかどうかということを含めまして、伺いたいのは、大変大きい問題なんですが、この五千人削減計画と、今、教員養成系大学学部にいろいろ改組、改革が要請されているかと思うのです。
もちろん各大学は自主的な取り組み、改革をしているところだと思いますけれども、文部省として、この削減計画と学部改組と新しい教免法の改正ということで今後の教員養成大学がどういうふうになるのか、その将来像を含めてちょっとお聞かせください。
○町村国務大臣 今から十年ちょっと前、昭和六十二年の時点を見ますと、教員に就職した人の率が六割ございました。最近は四割まで落ちてきております。当然これは児童生徒数が減少しているという実態のあらわれなわけでございますが、その実態をやはり、厳密にパラレルとは言いませんが、相当程度反映をする必要があるというようなことで、今委員御指摘のような形で五千人程度削減して約一万人程度にしようと。内訳のことは後ほど局長の方から答弁を申し上げたいと思います。
いずれにしても、義務教育諸学校の教員を養成する、しかもできるだけ質の高い人を養成する、同時に、現職教員の研修機会を提供するという二つの目的を持って教員養成大学があるわけでございまして、そうした目的というのはこれからも変わらないだろう。ただ、人数に関して言うならば、そうした実態を踏まえて適正化を図っていくということが、やはり国民の税金を使ってやっているわけでございますので国立大学は当然でございますが、そこの点はしっかりと考えてそうした対応をしていかなければいけないのだろう、こう考えているわけであります。
○佐々木政府委員 平成十二年度までに約五千人の削減を考えておるわけでございますが、具体的な削減につきましては、各大学の所在地域を中心として、中期的な教員需給の動向あるいは地域内の他の養成機関の状況などを見ながら総合的に決めてまいりたいと考えておるところでございまして、小学校教員を何人減らす、あるいは中学校教員については何人というふうな具体的な内訳を持っているわけではございません。
いずれにいたしましても、各大学と個別に調整しながら入学定員の削減等を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
○石井(郁)委員 学部の改組、改革との関連で伺っているのですが、全然お答えがありませんけれども。
○佐々木政府委員 平成十年度におきましては、秋田大学の教育学部を教育文化学部に、新潟大学と山梨大学の教育学部を教育人間科学部に改組をいたしたわけでございます。
この学部の改組は、地域の要望も踏まえ、同時に、教員以外のさまざまな分野のニーズにこたえるということで改組を行ったものでございまして、これらの改組も含めまして、今回、全体として千二百六十人の削減を図ったということでございます。
○石井(郁)委員 もっとお尋ねしたいのですが、残念ながら時間がありません。
教員の年齢構成比でいいますと、今大変いびつな形になっているということは指摘されているとおりです。これは、昨年三月の時点で、小中の教員で四十代が三四・二%、三十代が三四・八%です。これに対して、二十三歳から三十二歳の先生が二〇・五%なんですね。若い先生が今いない。教師は若ければ若いほどいいというふうに言ったのほかのルソーなんですけれども、このことが学校の活力というか、子供との関係でもいろいろな問題を生んでいるということは、言われるとおりなんですね。
私は、残念ながら今文部省から、将来の教員養成大学のあるべき姿というか、こういう話を聞くことができませんでした。先ほどの大臣の御答弁ですけれども、今、削減計画で採用数が減っている、税金を使っている大学はいかがなものかという話があったのですけれども、本当に教員養成大学をいわば目的大学というふうにして、とにかく教員養成にならなければその大学の存在価値というか存立の意味がないというふうにしてしまうのかどうかということも一から今議論すべきところではないのか、大学のあり方として。
例えば、教員の免許を取るだけが教育者ではないということも含めて、やはり広く教育者を養成するということも考えられるし、それから総合大学的な考え方をもっと導入するということもあるというふうに思うのですね。その辺は、大変議論をしなければいけないところなんです。
ですから、それを拙速に、削減そして改組という形で一方的に縮小するという方向をぜひとらないでほしい。大学の中の自主的な改革や各界の国民的な議論を経てこういう問題は対処すべきだということ。また、もちろん財革法の問題に私たちは反対ですけれども、そういう財政難を理由に大学の削減計画を一方的に押しつけるということをすべきでないということを強く申し上げておきたいというふうに思います。
あと最後に一つだけ。
教育職員養成審議会のメンバーに公正さを欠いているのではないかということが指摘されております。これは課程認定という重要な仕事をする機関ですから、ぜひ教員養成の現場を踏まえていらっしゃる方、団体、そういう方々を審議会に加えていただきたいということを一言申し上げておきたいのですが、大臣、いかがでしょう。
○町村国務大臣 できるだけ現場のことがわかっている方が委員であってほしいと私どもも思っております。
そんなこともございまして、昨年七月の答申の正員二十七名について見ますと、八人が国立大学の関係者、一人が公立大学の関係者、九人が私立大学、短大の関係者、その中には実際に教員養成に携わっていた方々がかなりいらっしゃるわけでありまして、そういう意味で、バランスがとれた人選の結果こういう答申が出てきた、私どもはこう思っておりますが、委員の御指摘もございますので、今後とも、委員の改選等に際しては適切な委員構成になるように努力をしていきたいと思っております。
○石井(郁)委員 終わります。
―――――――――――――
○高橋委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。石井郁子さん。
○石井(郁)委員 私は、日本共産党を代表して、教育職員免許法の一部改正案に反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、この改正案が、戦後教員養成制度の根幹をなす開放制の原則を崩すことになりかねないからであります。
戦後の教員養成は、戦前の師範教育の閉鎖性と国家の教育支配の反省の上に立ち、開放制という原則のもとで進められてきました。しかし、本改正案は、教職に関する科目を中学校一種免許で十九単位から三十一単位にふやすなど、一般大学などでの教員養成に大きな困難を持ち込み、開放制教員養成制度を縮小、崩壊させるおそれがあります。
また、学習指導要領によって大学教育に枠をはめることは、学問研究の自由と大学の自主性を損ない、戦前の閉鎖的な師範学校制度へ逆戻りさせるものと言わなければなりません。
反対の第二の理由は、社会人の活用の拡大が大学における教員養成と免許状主義を否定するものとなりかねないからです。
教員免許を持ち、教師を希望しながら教職につけない人や臨時教員が多数存在する現状を放置する一方で、特別非常勤講師制度と特別免許状制度の拡大という形で、教職について専門的に学んでいない社会人の活用を安易に広げることは問題があります。
今、いじめ、不登校、ナイフ事件など、学校教育現場はかつてなく厳しい課題を抱えています。そういう中での教員養成の課題として重要なことは、子供と教育に関する大学での自由な研究を活発化させ、教師の自主的で集団的な実践・研究活動を励ますことであって、大学の教育内容を子細に規制したり、過大な単位を学生に押しつけることではありません。
今行政がやるべきことは、三十人学級の実現などで教員採用枠を大きく拡大し、教育労働条件を改善する道に踏み出すことです。
以上の点を指摘して、私の討論を終わります。(拍手)
○高橋委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○高橋委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、参議院送付、教育職員免許法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○高橋委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、河村建夫君外五名から、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党、社会民主党・市民連合及び粟屋敏信君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。富田茂之君。
○富田委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
教育職員免許法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、教員免許制度の重要性にかんがみ、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一 教員養成における「開放制」の原則を堅持し、教員養成系大学を含む教員養成を行っている全ての大学・学部における教員養成に係る諸条件に十分に配慮し、一層の充実に努めること。
二 教員養成における大学と学校現場との連携を積極的に推進すること。特に、教育実習への参加を希望する学生は、総てその機会を得ることができるよう、また、充実した実習指導を受けることができるよう、引受け先学校への支援に努めること。また、教員養成の充実のため、学校での教職経験を有する者を大学教授等に積極的に登用することや、大学の教職課程における実践的な教員養成カリキュラムの開発研究を重点的に進めること。
三 教員養成大学・学部以外の一般大学・学部における教員養成が、今後も引き続き円滑に実施することができるよう、「教職に関する科目」の単位を卒業単位に算入することを可能とすることや、教職課程における単位互換制度の導入などにより弾力化を図り、また、専任教員基準の緩和を図るなど十分な対応措置を講ずること。
四 養護教諭の特例措置の実施に当たっては、養護教諭の本務や保健室の機能が低下することのないように配慮するとともに、保健室の一層の機能充実や養護教諭の適正配置など諸条件の整備充実に努めること。以上であります。
何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○高橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。町村文部大臣。
○町村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意して対処してまいります。
――――◇―――――
○高橋委員長 内閣提出、参議院送付、美術品の美術館における公開の促進に関する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
―――――――――――――
○高橋委員長 次に、石井郁子さん。
○石井(郁)委員 本法案は、個人や法人が所蔵している価値ある美術品などを、所有者の自発性を前提に文化庁に登録させ、全国の美術館、博物館などで広く国民に公開していこうとするものでありまして、我が党は賛成するものでございます。
一点お伺いしたいのは、所有者の自発性に基づいて美術品の公開を促進するということにかかわってですけれども、いろいろ出ておりますように、所有者の方で、諸般の事情からためらいが生じるということは考えられるわけでありまして、価値ある美術品を持っている所有者が、この法案の目的に共鳴して積極的に登録しよう、そして公開しようという意欲を引き出していく上で、この法案自身にどのようなプラスのインパクトといいますか、そういうものがあるのかどうかという点を改めてちょっと御説明願いたいと思います。
○遠藤(昭)政府委員 所有者に対する登録のメリットといたしましては、三点ございまして、一つは、美術館の負担により美術品を安全かつ適切に保管できるというのが一点でございます。ある程度のすぐれた作品になりますと、保管をしているというだけで経費等が相当かかるものですから、これは所有者にとってかなりプラスになるのではないか、大金持ちの場合はちょっと別かもしれませんが、そういうメリットがある。それから相続税の物納の特例の適用がある。それからもう一つは、国による情報提供を行わせていただく、それも所有者にとりましては、場合によってはメリットになるのではないかという、メリットとしてはこういった三点くらいがあるのではないかと考えております。
○石井(郁)委員 私は、次に価値あるそういう美術品の国民にとっての鑑賞の機会の問題について伺いたいと思います。
この点は、法案にも、国民の鑑賞機会を拡大するということが述べられていると思うのですが、まず、もうすぐ学校五日制に移行するわけで、特に子供たちにとって、美術品の鑑賞ということが人間形成の上でも大変重要なことはもう言うまでもありません。
国立の美術館、博物館の無料の観覧日をもっとふやしていく必要があるかというふうに思うのですね。現在どのくらいそういうことが実施されているのか。これは割引制度の拡充も含めて、無料観覧ということをさらに拡大するということに積極的に取り組むべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○遠藤(昭)政府委員 無料観覧を拡大していくということは、こういった美術品や文化財の鑑賞機会を拡大していくという点で大変有効な方策だというふうに私どもも考えております。
無料観覧の拡大につきましては、七つの国立の美術館、博物館があるわけなんですが、そこの状況を申し上げますと、毎月第二、第四土曜日の常設展、これは広く無料観覧としております。ただし、博物館によりましては小中学生のみに限っている場合もありますが、それ以外のところでは広く無料観覧としております。親と子供が一緒に行って見られるようにという配慮をしております。
このほか、これらの国立の美術館、博物館におきましては、文化の日とか成人の日、敬老の日など、館によって違うのですけれども、それぞれ無料観覧日としておるわけでございまして、その意味では、国立関係はかなり努力をしておるというふうに考えております。
それから地方公共団体が設置する美術館、博物館に関しましては、市町村立の施設につきましては私ども必ずしも十分に把握しておりませんが、都道府県の施設についてデータを集めてみましたら、かなりの施設で、これは二十六道府県でございますが、学校休業土曜日などに子供たちに無料観覧を行う、これも若干、県によってやり方が違いまして、常時小中高は無料だとか、あるいは授業の一環として来たときには無料だとか、いろいろパターンはありますが、そういった努力をしております。
それから私立の美術館、博物館についてですが、これは各館の、それぞれの経営とかお考えもありまして、一律に実施するというのはなかなか難しいのだろうというふうに思います。
博物館法に基づく登録を受けた私立博物館で、年間開館日数が二百五十日以上とか、かつ学校休業日に児童生徒の入場を無料とするなど、青少年、親子等の利用に対する優遇措置を講じている私立の博物館については、特定公益増進法人として税制上の優遇措置を受けることができるという措置を講じておりまして、これによって、間接的ですけれども、私立の美術館に対しても無料観覧を奨励いたしているところでございます。
○石井(郁)委員 かなりいろいろな形で行われているということがわかりました。子供たちのために、もっとその方向を進めていっていただきたいというふうに思います。
もう一点、大人にとっても美術鑑賞への希望というものは高くなっていく、入館者数もふえ続けているかというふうに思うのですね。この辺は、文化に関する世論調査にも出ているところかと思うのですけれども、一方で、サラリーマンの方々あるいは都市勤労者の方々は、平日の開館時間帯になかなか足が運べないという問題が言われているところであります。せめて週末での美術館、博物館の開館時間を延長してもらいたい、あるいはそうしてはどうかという声がいろいろあるわけでありまして、この辺は、欧米諸国ではもう当たり前のようになっているということもあるかと思いますけれども、我が国の場合、大変不十分です。
この点は、職員の方の労働強化の問題等々、いろいろあるかと思うのですけれども、職員の配置とかローテーションだとか、そういった工夫などをしながら、美術館、博物館のせめて週末の開館時間の延長ということを積極的に検討すべきだというふうに思いますけれども、この辺は、大臣の御決意はいかがでしょうか。
○町村国務大臣 国立の博物館、美術館は、大体毎週金曜日には閉館時間を二十時にするというようなことで、仮に五時、六時に終わると、それでも二、三時間のことですが、社会人を含めて広く一般に見ることができる。公立、私立の方につきましては、今委員御指摘のような人の問題などもありまして、なかなかそう順調にというわけにもいかないようですが、平成九年度の調査、サンプル調査ですが、夜間に開館しているという博物館は一七%程度で、それでも四年前と比べると六ポイントぐらい上昇しているということですから、次第にそういう方向に向いているのかな、こう思っております。
いずれにしても、先ほどの無料観覧とか開館時間の延長、こうしたことにつきましてはできるだけの働きかけをし、大勢の皆さん方が鑑賞の機会が持てるように努めていきたいと思っております。
○石井(郁)委員 ぜひそのような方向も進めていただきたいというふうに思うのです。
次に、私はこの法案には基本的に賛成ですけれども、今政府が進めている動きの中で、一方でこの法案の立法目的を危うくするような事態もあるのではないかということでちょっとお伺いをいたします。
中央省庁等の改革基本法案の問題でありまして、これは現在、参議院で審議中ですけれども、この法案の第三十六条に、独立行政法人制度の導入ということがございますね。そこでは具体的な名前等々は出ていないわけですが、行政改革会議の最終報告には、この独立行政法人の検討対象として、東京、京都、奈良の国立博物館三館、東京の西洋美術館、東京と京都の国立近代美術館、大阪の国立国際美術館の四美術館、計七館が含まれているということであります。
これも大臣にお答え願えたらいいかと思うのですけれども、独立行政法人のキーワードは、この法律の性格から考えても、効率性、効率化ということにあるかと思うのですね。美術館とか博物館の問題をそういう効率性という角度から考えていいのか、そして、それを適用をしていいのかという点がありますので、この七館を独立行政法人の適用対象にしているのかどうかということを伺いたいと思います。
○町村国務大臣 きょうも一日、参議院で、この独立行政法人のことも含め、中央省庁再編等の法律の議論をやっていただいたところでございます。
確かに、行革会議の最終報告には一覧表が載っておりまして、委員御指摘のものがそれぞれ検討対象ということでリストアップされています。文部省も、こうやってリストアップされている以上、そのメリットあるいは問題点ということを整理し、また検討をしているということでございます。
その際には、当然のことでありますが、まず、そもそも独立行政法人というのは基本的にどういうものなのかということについて、まだ必ずしもはっきりとしたイメージなり内容なりが固まっているわけでもございません。いずれもしつくる場合にしても、そうした独立行政法人に関する法律というものが一本できて、その後にまた各論がついてくるということのようでございます。そしてさらには、具体的にどの機関をそれに該当させるかといったようなことは、法案が成立後に設置される予定の中央省庁等改革推進本部、ここを中心に検討が行われることになろうと思いますので、文部省としても、その本部と十分連絡をとっていきたい、こう思います。
ただ、委員御指摘のように、国立の博物館、美術館は、日本に数多くあります。そうしたものの言うならばセンターでもありますし、基本的にはもとより採算性が低いものだと私も思います。私も、個人的な体験で、諸外国の例を若干見たり聞いたりしておりますが、なかなか独立採算で成り立つというようなところはほとんどないと言っても過言ではない状態だろう、こう思いますので、やはり相当程度国による財政支出を続けていかないと多分成り立たないのだろう。そのことと独立行政法人という基本的な性格がなじむのかなじまないのか、その辺はやはり慎重に検討していかなければいけないのだろうなと。
したがって、私ども、頭からそうするとも決めておりませんし、頭からだめですと決めているわけでもございませんが、そうした数々の問題点があるということを認識しながら、ただ、別途、今まで国民の皆さん方にいろいろな展示物を見ていただく努力が十分行われていたかどうかという点に関しては、いま少しそれぞれの美術館、博物館の努力も必要なのかな、そういう意味の、ある種の民間的感覚という表現が適切かどうかわかりませんが、そうしたことなどもやはり考えてもらう必要もある、そんなことで、今後のあり方を慎重に、また幅広く検討していきたいと考えているところであります。
○石井(郁)委員 この三十六条では、もう全部を読み上げる時間はありませんけれども、独立行政法人にするに当たって「国が自ら主体となって直接に実施する必要はないが、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがある」云々というふうにあるわけでしょう。私は、美術館、博物館というのは、採算性で云々できない性格のものがありますから、まさに国がやらなければいけない、そういう種類のものであるという点では、やはりこの三十六条から外して考えるべきだというふうに思うのです。ぜひ大臣には、そういう立場でやっていただきたいなと思うのです。
採算性ということで言われましたけれども、その点でも「独立行政法人の会計は、原則として企業会計原則によるものとする」という規定もありますよね。これは三十八条第三号なんですね。それから第六号では「職員の給与その他の処遇について、当該職員の業績及び当該独立行政法人の業務の実績が反映されるものとする」というような規定になっているということになると、やはりいろいろと厳しい条件になるのだろうというふうに思うのですね。
先ほど私は、子供たちには無料で観覧をというふうに言いましたし、国民にも本当に広く美術品の鑑賞の機会をということで言いますと、やはり観覧料が高くては美術館に行けないわけですから、国民の文化を享受する権利というか、そういう点からしてもこれは本当にそぐわないものだというふうに思います。
ぜひ大臣のその点での御決意をもう一度お伺いして、質問を終わりたいと思います。
○町村国務大臣 今委員が御指摘になられたことを十分に踏まえながら、しかし、今この時点で外しますということを頭から申し上げるのはいかにも時期尚早でございますが、委員の御指摘などをしっかり踏まえ、また、この問題について非常に関心をお持ちの方々もたくさんいらっしゃいます。当然、国立の博物館、美術館に働いておられる、一生懸命頑張っておられる方々のお気持ち、考え方もあろうかと思います。そうしたことを踏まえながら、対処をしてまいりたいと思っております。
―――――――――――――
○高橋委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、参議院送付、美術品の美術館における公開の促進に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○高橋委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、河村建夫君外六名から、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び粟屋敏信君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。河村建夫君。
○河村(建)委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
美術品の美術館における公開の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、国民の優れた美術品を鑑賞する機会の拡大を図る観点から、次の事項について特段に配慮すべきである。
一 美術品登録制度が社会的に幅広く活用されるよう、広く国民に対しその周知に努めるとともに、本制度を利用する美術品の所有者及び美術館に対する一層効果的な奨励措置を講ずるよう努めること。
二 美術展覧会の保険の在り方等について調査研究をすすめ、美術品の公開促進のための多様な方策を検討すること。以上であります。
何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○高橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。町村文部大臣。
○町村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意して対処してまいります。



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