平成十年五月二十二日(金曜日)
午前九時二分開議
出席委員
委員長 高橋 一郎君
理事 稲葉 大和君 理事 遠藤 利明君
理事 小川 元君 理事 河村 建夫君
理事 肥田美代子君 理事 藤村 修君
理事 富田 茂之君 理事 西 博義君
今井 宏君 岩永 峯一君
大野 松茂君 奥山 茂彦君
小杉 隆君 佐田玄一郎君
下村 博文君 田野瀬良太郎君
中山 成彬君 野田 聖子君
渡辺 博道君 安住 淳君
中野 寛成君 鳩山 邦夫君
池坊 保子君 旭道山和泰君
丸谷 佳織君 松浪健四郎君
石井 郁子君 山原健二郎君
保坂 展人君 粟屋 敏信君
出席国務大臣
文 部 大 臣 町村 信孝君
出席政府委員
文部大臣官房長 小野 元之君
文部大臣官房総務審議官 高 為重君
文部省生涯学習局長 富岡 賢治君
文部省初等中等教育局長 辻村 哲夫君
文部省教育助成局長 御手洗 康君
文部省高等教育局長 佐々木正峰君
委員外の出席者
議 員 藤村 修君
議 員 肥田美代子君
議 員 島 聡君
文教委員会専門員 岡村 豊君
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本日の会議に付した案件
中高一貫教育の推進に関する法律案(藤村修君外三名提出、衆法第一四号)
学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)
教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)(参議院送付)
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○高橋委員長 次に、石井郁子さん。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
新しくつくるという中等教育学校について、類型という問題がございますので、質問させていただきます。
中教審の第二次答申によりますと、中高一貫教育の教育内容の類型を、現在の高等学校の学科のタイプに即して、(a)普通科タイプ、(b)総合学科タイプ、(c)専門学科タイプに分類し、三つ目の専門学科タイプについては、いわゆる職業学科、芸術科、理数科、体育科、外国語科などに分けてございます。
これは中等教育学校として、この三つ、あるいは今具体的に挙げられた専門学科のこういうタイプの学校ができるというふうに理解していいのでしょうか。
○辻村政府委員 後期課程の段階あるいは併設型の場合の高等学校におきまして、そういった三つのタイプがあるということでございます。(石井(郁)委員「専門学科もいいですか」と呼ぶ)はい。専門学科もある。
普通科も総合学科も専門学科も、一般の高等学校と同じように、中高一貫教育におきます後期の段階での学科のあり方としてはあり得るということでございます。
○石井(郁)委員 特に専門学科でいうと、大変具体的に出ていますので、ここは芸術科の中等教育学校もあるということですね、今の御答弁ですと。
そうしますと、この中等教育学校の前期課程に入学するときに、私はこういうタイプの学校を選びますということになるわけですね。そう考えていいですね。
○辻村政府委員 中学校に入りますとき、あるいは中等教育学校の前期課程に入りますときに、後期課程あるいは併設型の高等学校の段階でどういったカリキュラム、教育内容が用意されているか、学科が用意されているかということを見通しながら志望者は志望をするというようなことになると思います。
○石井(郁)委員 そういうふうに考えますと、結局、中等教育学校の前期課程に入学をする、つまり、現行でいうと小学校から中学校に入学するという時点でいわば専門を選ぶということになってしまうわけですね。あるいは、自分の将来の職業を選ぶということにも重なるかもしれないということになるのですね。これはやはり大変重大な問題だろう。少なくとも現在の公教育ではそういう体系をとっていませんから、私はこれでいいのかなというふうに言わざるを得ません。つまり、学校教育法では、中学校で専門教育をするということになっていないわけでしょう。
それから、特に進路にかかわって言いますと、進路を選択する能力を養うということになっているかと思うのですね。しかし、ここではもう進路そのものを決定するということになるわけで、今回の改正でも、中等教育学校というのは、後期課程は現行の高等学校の目的、目標、前期課程は中学校の目的、目標というふうに書かれていますよね。そうすると、これは私はちょっと矛盾するのではないのかと言わざるを得ないのです。つまり、学校教育法から見てもこういうことがあり得るのかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
○辻村政府委員 先生のお尋ねは、小学校の段階で、三年先と申しますか四年先を見通しての選択ということについての御疑義についてのお尋ねであろうと思うわけでございますが、現在におきましても、小学校を卒業した、あるいは小学校の段階からそれぞれの適性を発揮する子供たちはいるわけでございます。したがいまして、中等教育学校の後期の段階において、普通科だけでなく、総合学科という形でいろいろなコースを用意するということだけでなく、芸術とか音楽とかスポーツとかというような形の専門教育を行う学科が想定されていて、それが中等教育学校の後期の課程において用意されているということはあり得るというふうに思います。
ただ、実際に、それぞれの中等教育学校をどういう規模で、そしてまた専門学科を含めてどんな内容の学科を用意するか、どういう特色を持った中等教育学校をつくるかということはそれぞれの設置者が判断するわけでございますが、生徒の実態や保護者のニーズ、そういったさまざまなものを十分に調査して決定するわけでございます。
したがいまして、その当該地域において、仮にでございますけれども、およそそういったものが求められていないというところに、そういう中等教育学校がつくられるということはないだろうと思います。
そういうことで、さまざまな調査を踏まえた形で慎重な検討を経て設置されるということであれば、それはあり得る。それぞれの設置者の判断によって専門学科が設けられるということも当然あり得る、排除する必要はない、こんなふうに考えております。
○石井(郁)委員 小学校卒業時点でいろいろな自分の能力に合ったことを選ぶというのは、例えば私学へ進む場合にはあり得ることですよ。それからまた、そういう特別な才能を持った子供さんたちもあるでしょう。
今私が問題にしているのは、学校教育法で定められている公立学校あるいは公教育、義務教育というものの考え方を言っているわけです。それにはそういう規定などないわけですから、私は今回、今局長の御答弁などを聞いていましても、これは学校教育法を事実上逸脱するというか、そういう考え方に立たない限りこれはっくれないのではないかというふうに思うのですよね。これは私は、どうしても今の御答弁では大変問題を含んでいるというふうに思っています。
それから、もう一点ですけれども、私はあるところでこんな話を聞きました。あるお母さんが、今中学校はどうなっているのか、中学校へ入学すると途端に将来何になるかをアンケートをとらされる、それで答えなければいけない、子供も親も、この子の将来なんて今から決められませんと。それは本当にそうですよね、私は大多数はそうだと思うのですよ。
ところが、これは後でも出てくると思いますけれども、現在は非常に早くその子の、個性あるいは多様化という名のもとに、将来までも中学一年で決めなければ、コースを選ぶのに学校として振り分けが困るというような形で言われているのですね。そういうことが事実上も進んでいるのだけれども、だから私は、学校教育法にちゃんと沿った考え方からすると、やはり逸脱ではないのかと言わざるを得ません。もう一遍、これは大臣にお願いしましょうか。
○町村国務大臣 中学一年でのアンケートというお尋ねがありました。
どういう状況かはよくわかりませんが、多分、漫然と学校に行ってはだめだよ、自分の将来というものを考えながら今一生懸命勉強したり遊んだりするんだよという、一つの教育的な手段としてそういうことをやっているので、そこで例えば私は弁護士、お医者さんと書けば、それに必ず行かなければならぬといったぐいの調査とは違うのではないかなという印象を持ちました。
それから、学校教育法との関連をお尋ねでございます。
これも累次御答弁を申し上げておりますけれども、確かにそれは、特色あるという意味では、中学一年の段階から一般の中学校とは違ったカリキュラムがあってもいいのだろうと思います。ただ、基本は中学校の学習指導要領、高校の学習指導要領をベースにしながら、そしてだんだん上の学年に行くほど選択肢が広がっていくということを考えているので、例えば商業高校に併設をされる中学校の、その中学一年で専ら商業のことばかりやるということには、それはならないのだろうと思います。
ですから私は、必ずしも小学校六年の段階で一種の進路を決定しなければならないということを意味するものでもないのだろう、こう思いますものですから、委員の御指摘の趣旨はわかりますが、別に法令的に見て問題はないのではないのかな、こう思っております。
○石井(郁)委員 私は、この点は大変重大な問題を含んでいるなと思っておりますので、今後とも問題にしていきたいと思うのです。
いずれにしても、いろいろ質疑でなされていることでいいますと、子供がいろいろ多面的な能力を持っているということと、それを固定的に見て将来こういうコースあるいは職業に行かなければいけないかのような、やはり職業選択と能力の多面性というのは簡単ではないというふうに思うのですね。イコールではない、まず。だから、どうもこの中等教育学校は、併設型を含めて、その辺が非常に狭く考えられているのではないかということを、これは私の考えとして申し上げておきたいというふうに思います。
次に、いずれにしても、十二歳の選抜ということが大変問題になっているわけですよね。このことで、一昨日の質疑とかかわって、もう少しはっきりさせていただきたいというふうに思うのです。
一昨日は、きょうも御答弁いただいていますけれども、新しくできる学校の収容定員、そして学校の特色がある、だから選ぶことが必要であるし、妥当性を持っているというような御答弁かと思います。その学校の特色に合うかどうか、学校の理念に合うかどうかとか、その学校の理念を実現し
てくれるかどうかということで生徒を選ぶ、その選抜が必要だということでございますけれども、そこで、この特色ということで、一方、大臣の方は、それぞれの小学校も中学校もこれからは特色が必要であるということを強調されていらっしゃったと思うのですね。
そうしますと、要するに中等教育学校以外の公立の学校、その小学校への入学も、あるいは小学校から中学校への入学も選抜が必要になるというふうにならないでしょうか。いかがでしょうか。
○町村国務大臣 それは必ずしもそうではないと思います。
通常のというか一般の公立の小学校、中学校、高等学校も特色をぜひこれからはつくり出してもらいたいということは申し上げました。しかし、そこはやはり公立の学校ということでありますから、一定の制約があって、定員というのはやはりそれなりに、先ほど答弁にあったように設けなくてもいいのだろうと思いますが、ただ、私は今一遍にそれは進まないと思いますが、通学区域の弾力化ということを少しずつ進めているわけでございます。
もう少し先に行った姿を考えたときに、例えば歩いて十分、十五分、二十分ぐらいのところに三つの小学校があるという場合に、その三つの学校にそれぞれ特色があるとします。それは比較の問題ですが、私はこの学校がいいなと思っても、今の仕組みだと、あなたはAという学校に行きなさいという形で教育委員会から指定が来てしまいます。そうすると、どうもBという学校へ、特色があって、本当は私は、距離もそんなに変わらないのであっちに行きたいのだけれども、教育委員会の指定だからAという学校に行かざるを得ないということになると、やはりそこで特色ある学校づくりというのが阻害されてしまうのではないのかなという意味で、そういう方向というものが僕は今すぐできるとは思いませんし、それこそまさにそれぞれの市町村のお考えになることだと思うのですが、私は、義務教育だから、小中学校だからもうこの学校しかないという今のやり方では、特色のある学校というのがっくりづらいのではないか。そこはそこで、やはり選択肢があってもいいのではないか。
そうすると、A、B、Cとあって、Aというところにほとんど集中してしまって、定員といいましょうか、物理的な収容能力を超えてしまったらどうするのだという御疑問が多分出てくると思います。私は、その場合には一定のルールで、それこそくじでも何でもそこはやって、物理的に入れないのだからそれはしようがないですよといって、Bという学校に若干の方々は移っていただくというような形はあろうかと思いますが、しかし、だからといって、Aという学校にたくさん集まるのだからそこで選抜をやるかというと、それは違うのだろうなと私は思います。
○石井(郁)委員 私は、やはり通学区域の弾力化とか、いろいろ文部省で議論されているわけですけれども、今の大臣の御答弁を伺っていましても、これはちょっと大変なことになるのじゃないのかなと思うのですね。
特色を出す、そして選べるということの行き着く先は、やはり選抜になるわけですよ。それもやむを得ないということまで大臣はおっしゃっているわけで、その方法はいろいろあるけれどもと。これは文部省はそういう方向で、今後、公教育についてそういう弾力化を進めるということとして確認してよろしいのでしょうか。
○町村国務大臣 誤解があったら大変失礼をしたということになります。
これは、今いささか私の個人的な考え方を、そのA、B、Cなどというのは申し上げたのでありまして、まだそこまで文部省全体が踏み切ったわけではございません。ただ、必然的にそうならざるを得ないのではないかという、ちょっと論理的帰結の話をしただけで、現実はまだそこまで行っておりませんし、そこまでの方針を文部省が固めたわけではございません。まだ内部で議論している段階。
ただ、通学区域の拡大といいましょうか弾力化といいましょうか、これは既に事例集を昨年出したり、例えばいじめがある場合はこうですよとか、こういう場合はこうですよという事例集を昨年出して、できるだけこういう事例のときは現実に教育委員会でも認めていますよ、そんなことを全国に周知をしているということで、一遍にどこまで進むかどうかは別にして、方向としては今私が申し上げた方向にある。ただ、一遍に私が先ほどちょっと御説明をしたところに今すぐ行くかというと、そこまではまだとても行かないだろうな、こう思っております。
○石井(郁)委員 大臣の個人的な御見解ということでございましたけれども、しかし、大臣の御答弁はやはり文部省を規定するのではないでしょうか。私は、そういう意味ではこれは本当に大変な発言を聞いたと思ったものですから、ちょっと一昨日の御答弁も精査をさせていただきましてきょう伺ったわけです。
しかし、どう言ったらいいのでしょう、あくまでも大臣の、個人的な見解ということで済ませていいのかなというふうには思いますが、まあ、それはおいておきます。本当は撤回していただきたいなという気はあるのですが、おいておきたいというふうに思います。
さて、もう時間が少しなんですが、私はどうしても伺いたいのは、新しくできる中高一貫と併設型と、大多数が既存のまま、この矛盾です。
先週土曜日に、いつも「教育トゥデイ」という番組をNHKで報道しておりますが、ちょうど中高一貫の特集でございまして、そこでは八〇%近くの保護者が中高一貫教育導入の動きを知っているということがございました。先ほどは、国民的な議論になっていないという意見が一方ではあるのですけれども、そういう関心も高いということも事実だと思うのです。
しかしその中で、あるお母さんが、全部を中高一貫校にするための第一歩なのでしょうかと。だから、普通皆さんは中高一貫についてそういう認識をされていると思うのですね。つまり、高校入試がなくなる、何度も言われるような、この地獄のような高校入試がなくなる、こういう中高一貫なら望ましいし、あってほしいというふうに願っていると思うのですけれども、しかし、最初に申し上げましたように、これは一部の特別な学校で高校入試がなくなるという話であって、大多数はそれは残るわけですね。
この問題は、本当に文部省としてこれでいいのかということなんですよ。既存の中学校と高校のつなぎ、入試の問題について、これも文部省の方は、入試の方法をいろいろ変えるとか、変えていただきたいとかいう形での御答弁かなと思うのですが、そうではなくて、ちょっと先を急ぎますけれども、本当に既存の中、高のつなぎをどうされるのか。この高校入試について、今後、今のような入試をずっと続けるのかということをちょっと踏み込んだ御答弁をいただければと思うのですが、いかがですか。
○辻村政府委員 高等学校の現状でございますけれども、進学率九七%という中で、特定の高等学校にということでない限りにおきましては、ほとんどの志望者が高等学校には進学しているという状況にあります。
そこで、問題は、いわゆる特定の学校に志望者が集中し、そのことが受験競争を過熱化しているということ、それから、その際の選抜の方法が知識の量の多寡を競い合うという、その点にあるという認識を我々は持っているわけでございます。
そういうことで、やはり各高等学校が教育を展開する、責任を持って預かって、責任を持って教育をするわけでございますから、それぞれの高等学校の特色等を踏まえた、選抜自体は必要であるというふうに思いますが、ただ、そのあり方につきましては、今言いましたような点が主な課題であろうかと思うわけでございますけれども、そういう課題を踏まえまして、この入試改善につきましてはさらに努力をしていく、こういうのが今の文部省の立場でございます。
○石井(郁)委員 今すぐはそういう踏み込んだ御答弁にならないのかと思いますけれども、これは明らかに矛盾ですよ。
だって、ある子供にとっては本当に、今国民的に、地獄のようなと先ほど民主党さんの議員立法にもありましたけれども、この受験戦争をやはりなくしてほしい、中学校教育をゆがめているという問題が指摘されながら、できる新しいところでは、それはありませんよと言いながら、大多数はそこを残しておく、こんなことが私は許されるのかというふうに思うのです。
教育というのは、特に子供の側から見て、公正で公平が原則だと思うのですよ。しかも義務教育という問題があるわけですから。そこをこんな形で踏み破るということは、私は許されないというふうに思っています。今の高校入試というのは、方法をいろいろと変更というか、考えれば考えるほどますますがんじがらめになっている、決して入試は緩和していないわけですから。
それから、特定のところに集中すると言いますけれども、やはり子供たちからしたら、厳しい入試での振り分けになっているのですよ。そこが中学校をゆがめているという問題なんですよね。子供たち一人一人の心をゆがめているという問題ですから、本当に今英断をもってこの高校入試を廃止する。学校教育法の施行規則五十九条にあるわけでしょう。高校入学の選抜を課すというところがここから来ているわけですから、私は、学校教育法を変えるのだったら、今こここそを本当に変えてほしかったという思いなんですね。
そういう意味で、希望する者、子供たちが全員入学できるという条件は客観的にある。そして、そこでみんなが、高校も中学校もやはり英知を絞るという段階に来ているわけです。ぜひそのことを心からお願いをします。
それから、私は多様化ということで言うと、高等学校の多様化ということでここ数年進んできたこの高校の実態が本当に何なのかということについても分析、検討を加えた上でこの問題にも接近をしたいというふうに考えています。
大変時間をオーバーいたしましたが、以上のことを強く申し上げまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
―――――――――――――
○高橋委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。山原健二郎君。
○山原委員 私は、日本共産党を代表して、学校教育法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
この法律案の主たる内容は、現行の中学校、高等学校に並立して六年制の中等教育学校を設置できるようにするものであります。
本法案に反対の第一の理由は、この中高一貫教育の選択的導入が、選抜、受験競争の低年齢化をもたらすということであります。
今、私立の中高一貫校を目指しての塾通いで、小学校に新たな荒れや学級崩壊が起きています。また、受験に失敗した十二歳の挫折が大きな心の傷を残すことも参考人から報告されました。
唯一、公立て実施されている宮崎県五ケ瀬中学校・高等学校の選抜も、約四百名の中から調査書や面接など点数化したもので六十名を選び、その中から四十名を抽せんで選ぶというものでございました。
この中高一貫校が入学者選抜を課す以上、小学校段階からの熾烈な競争と選別に拍車をかけることは明らかであります。
しかも、同じ義務教育でありながら、中等教育学校に入れた一部の生徒は、高校受験のないいわゆる安定的な学校生活や効果的な一貫教育などを享受し、ほかの多くの生徒は、これまで同様、高校受験の重圧にさらされる中学校生活を余儀なくされるのであります。
第二の理由は、この中高一貫校に多様なコースを設けるとともに、専門学科タイプの一貫校もつくろうとしていることであります。まだ判断力の不十分な小学生に進路の選択を迫り、将来の進路をも固定化してしまうというとんでもない結果になりかねません。
このように、六年制中等教育学校設置法案は、子供と教育に一層困難を持ち込むとともに、教育の機会均等保障の原則を崩すものとして断じて認めることはできません。今なすべきことは、中学校の生活が高校受験の重圧によってゆがめられているという状況からの解放であります。
私は、公選制教育委員会のもとでの教育委員として高校全員入学を実現した経験がありますが、生徒たちは生き生きと勉学に励み、学園に自由濶達な空気があふれたことを覚えております。今こそ高校進学に当たっての選抜をなくすべきであります。そのために、高校入学を希望する者すべてに高校教育を保障すべきであります。
今、中学生の人口は減少しており、高校を新たに建設しなくとも可能であります。高校希望者全員入学を実現し、中学校と高校教育を一貫性のある豊かなものにすべきであります。このことが国民から求められている改革の方向であります。
このことを強調いたしまして、私の討論を終わります。
なお、専修学校専門課程卒業生に大学への編入学の資格を与えることなどは賛成であることを申し添えまして、討論を終わります。
以上です。
○高橋委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○高橋委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○高橋委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、河村建夫君外五名から、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党、社会民主党・市民連合及び粟屋敏信君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。藤村修君。
○藤村委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
学校教育法等の一部を改正する法律案に 対する附帯決議(案)
政府及び関係者は、中高一貫教育の選択的導入にあたり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一 中高一貫教育の導入は、新しい学校種を設けるなど今後の中等教育全体の改革の端緒を切るものであることを踏まえ、「中高一貫教育研究会議」等において児童・生徒や保護者のニーズ、地域の実情に十分に配慮して実施されること。
二 中高一貫教育の内容は、「ゆとり」のある学校生活の中で、児童・生徒の個性や創造性を大いに伸ばすという本旨にのっとり検討され、受験準備に偏したいわゆる「受験エリート校」化など、偏差値による学校間格差を助長することのないように十分に配慮すること。
三 中高一貫教育を行う学校では、入学者の選抜にあたって学力試験は行わないこととし、学校の個性や特色に応じて多様で柔軟な方法を適切に組み合わせて入学選抜方法を検討し、受験競争の低年齢化を招くことがないように十分に配慮すること。
四 各都道府県等においては、中高一貫教育の導入に際して、「研究会議」等を通じて、幅広い関係者による協議を行い、一貫教育の内容、入学者の決定方法、通学区の設定など地域の実情等を踏まえたものとなるように努めること。
五 国は、中高一貫教育の推進にかかる実践研究事業の一層の充実に努めること。以上であります。
何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○高橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。町村文部大臣。
○町村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。



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