平成十年三月十九日(木曜日)
午後一時五十八分開議
出席分科員
主査 小澤 潔君
河井 克行君 村田 吉隆君
村山 達雄君 北脇 保之君
小林 守君 倉田 栄喜君
西川 知雄君 青山 丘君
東 祥三君 西村 眞悟君
兼務 上田 清司君 兼務 鍵田 節哉君
兼務 中桐 伸五君 兼務 永井 英慈君
兼務 細川 律夫君 兼務 吉田 治君
兼務 石田 勝之君 兼務 太田 昭宏君
兼務 福島 豊君 兼務 石井 郁子君
兼務 上原 康助君 兼務 保坂 展人君
出席国務大臣
建 設 大 臣 瓦 力君
国 務 大 臣(国土庁長官) 亀井 久興君
出席政府委員
国土庁計画・調整局長 河出 英治君
国土庁防災局長 山本 正堯君
建設大臣官房長 小野 邦久君
建設省建設経済局長 五十嵐健之君
建設省都市局長 木下 博夫君
建設省河川局長 尾田 栄章君
建設省道路局長 佐藤 信彦君
建設省住宅局長 小川 忠男君
分科員外の出席者
環境庁自然保護局計画課長 小林 光君
国土庁長官官房会計課長 高橋 健文君
大蔵省主計局主計官 樋口俊一郎君
大蔵省主計局主計官 勝 栄二郎君
気象庁地震火山部地震予知情報課長 吉田 明夫君
建設大臣官房会計課長 河崎 広二君
参 考 人(日本道路公団理事) 黒川 弘君
予算委員会専門員 大西 勉君
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本日の会議に付した案件
平成十年度一般会計予算
平成十年度特別会計予算
平成十年度政府関係機関予算
〔総理府(国土庁)及び建設省所管〕
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○小澤主査 この際、政府当局に申し上げます。
質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井郁子さん。
○石井(郁)分科員 日本共産党の石井郁子でございます。
私は、大阪市の平野区というところに住んでおりまして、きょうは地元の公営住宅の問題について御質問させていただきます。
平野区役所の概要説明では、平野区は、市内東南部に位置し、各種の公営住宅が集中し宅地開発で人口は市内第一位であり、さらに世帯数の三四%は府・市営の賃貸住宅であり、その五五%が第二種住宅である。また相対的な高齢化が進み、さらに母子世帯の構成比は大阪市第一位、大阪市平均の倍なんですね。被保護世帯の八一%は第二種公営住宅居住者であると分析しています。
これほど一つの行政区に公営住宅が集中をし、さらに旧法の第二種住宅が圧倒的という地域は全国に例を見ないと思います。ここまで公営住宅が集中した主な原因は、大阪市内でも際立って地価の安い地域に狭いが安い公営住宅を集中し、地方出身者などの居住地としてきたことにあるわけでございます。
ところで今、平野区の団地住民の皆さんから、家賃の改定の通知が来た、何で値上げになるのか、三年後には二倍の家賃にされている、このまま住み続けられるのか、不安だという声が寄せられています。
申し上げるまでもなく、第百三十六国会におきまして新しい公営住宅法が成立いたしました。我が党は問題点を指摘し反対したものであります。現在地方自治体の条例制定と合わせて新しい家賃制度などが居住者に通知されていますけれども、住民からの不満、新しい矛盾が広がっております。
そこで最初に大臣にお伺いいたします。この公営住宅法の改正目的はお年寄りや低所得者層を公営住宅から追い出すような目的ではないというふうに理解してよろしいでしょうか。
○瓦国務大臣 石井委員から御地元の住宅事情を踏まえての切々たるお話でございました。
平成八年度に改正され、本年から施行されますいわゆる公営住宅法の改正に基づく作業でございますが、公営住宅は住宅に困窮する低所得者に対しまして低廉な家賃で賃貸をする、こういうことを目的といたしておるわけであります。よって、今回の改正につきまして、高齢化社会の到来を踏まえた上で、高齢者、障害者に配慮して入居資格を一般と比べて幅広く認める、さらに家賃につきましても、入居者の収入等に応じまして適切な負担となるよう新たな家賃制度を導入いたしたものでございます。これらによりまして高齢者、低額所得者等の真の住宅困窮者に対しまして的確な公営住宅の供給が図られるもの、かように考えておるわけでございます。
○石井(郁)分科員 どうも御丁寧にありがとうございました。
この法改正で家賃については応能応益を原則としています。収入に応じた家賃設定となりました。また近傍同種家賃が導入されました。この近傍同種家賃についてます具体的にお尋ねいたします。
この近傍同種家賃が適用されるのは、収入超過者に対して従来の割り増し賃料にかわるものとして考えたらよろしいのでしょうか。建設省住宅局が編さんした「QアンドA新しい公営住宅法」の説明どおり、基準を超えたら直ちに近傍同種の家賃とするのではなく、収入が上昇するにつれて家賃も上昇し、最終的には近傍同種となるということですね。どうでしょうか。
○小川政府委員 お答えいたします。
ただいま御指摘の近傍同種の家賃でございますが、お説のとおり、収入超過者あるいは高額所得者の家賃を算定する場合に計算式としましてその上限を画するというふうな一つのメルクマールとして近傍同種家賃というふうな概念を用いております。
○石井(郁)分科員 ところが、大阪市の条例改正で近傍同種家賃を設定したのですけれども、当初の公住法とは違う大変な矛盾が生じていると私たちは見ています。
建築後二十年、三十年前後を経過した中層住宅など、特に二Kなどの住宅に多いのですけれども、新公営住宅法の本来の入居者とした収入分位二五%の範囲、基本額の第三、第四区分で一気に近傍同種家賃まで引き上がることになっているわけでございます。例えば平野区の加美地域というところの二Kの市営住宅では近傍同種は三万一千三百円と設定されています。現在一万五千円の家賃である第三、第四区分の方々が一気に近傍同種に引き上がることになっているわけです。このような事例が平野区の団地では数多く見られるわけですね。このことは、収入に応じて家賃を決めるという新法に照らしても、また先ほどの近傍同種家賃の考え方からも矛盾していると言わざるを得ません。
そこで御質問ですけれども、このような事例というのは全国どこにでも起きているのでしょうか、それともこの大阪市の特殊なケースだと言えるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○小川政府委員 若干の補足説明が必要かと思いますが、改正公営住宅法におきます家賃は、言うなれば応能主義といいますか、収入に応じた負担可能額を求めていくというふうな形で算出されるものでございます。
先ほど申し上げました近傍同種の家賃でございますが、先ほどの収入超過者ですとか高額所得者の家賃を算出する場合に、一種の理念型として、近似値として周辺の家賃を求めるというふうな算式でございます。したがいまして、負担可能額を
求めるというふうなところからアプローチする家賃の考え方と近似値として近傍の家賃相場を求めるというふうなことが必ずしも理論的に一致するわけではない。といいますのは、若干補足的に申し上げますと、例えば公営住宅の規模が極めて小さい場合であるとかあるいは建設してから極めて年数が経過しているというふうな場合には理論的には近傍同種の家賃は極めて低く算出されるというふうな計算式になっております。
したがいまして、こういうふうなケースというのは御地元の大阪市の場合だけではなくて、理論的には全国的に起こり得る現象であろうかと思います。ただ現実問題としてそういうふうなケースが頻発するのかどうかというのは、詳しい状況は申しわけございませんが承知いたしておりません。
○石井(郁)分科員 今理論的算定の仕方の問題を御説明いただきましたけれども、私はどうもまだ十分納得ができないわけであります。私これは家賃の算定方法にやはり矛盾や問題点があるのではないかというふうに考えざるを得ません。
そこで、法改正とともに政令で決められた家賃の算定方法に基づく係数がございますけれども、地方公共団体がその地域の実態に沿って独自の裁量を持っているという部分というのはどんな内容なのでしょうか。
○小川政府委員 具体的な家賃は、収入をベースとしてはじき出されます家賃の算定基礎額に、住宅の便益をあらわします市町村の立地係数でございますとか、あるいは規模係数、経過年数係数、利便性係数と四つの係数を掛けて算出する、こういうふうな算式になっております。
今御説明いたしました係数のうちで前の三つ、市町村の立地係数ですとか規模係数、経過年数係数、これは全国一本で決まっております。ただ利便性をあらわします係数でございますいわゆる利便性係数でございますが、これは具体的なそれぞれの住宅の立地の場所に応じて同じ市町村内においても利便性は異なるというふうなことですとか、あるいは建物によって設備の度合い、使い勝手が違う等々の具体的な状況を反映させるというふうなことから公共団体が判断をして決めるというふうなことでございますので、この一点につきましては地域の実情に応じて公共団体が御判断されるというふうなことであろうかと思います。
それから、極めて特殊なケースでございますが、特異な制度でございますが、例えば収入が極めて低い方々でございますとかあるいは病気になったあるいは失業をしたというふうな特殊な場合には公共団体の判断で家賃を減免するというふうな手当てもしております。その減免の仕方については公共団体の御判断でされればよいというふうなことでございます。
○石井(郁)分科員 地方公共団体が持っている裁量の範囲というか、そういう内容もあるということがわかりました。しかし、この間大阪市当局はこのように言っているわけでございます。家賃設定には国基準が事細かに決められていて独自にはなかなか難しいというふうに私どもは聞いているんですね。政令で全国一律の家賃算定基礎額や各種の係数を決め縛りをかけているということはあるわけですね。
なぜ古い住宅などでも家賃が引き上がるのかという問題がやはり重大なわけで、ちょっと私も考えてみたのですけれども、一つには経過年数係数〇・〇〇四四、これでは新築と二十年経た住宅が八%余りしか差がつかないということになってしまいます。
それから立地係数にも問題があると思うのですね。東京都は特別区ごとに立地係数を定めておりますけれども、同じく大都市と言えるこの大阪市が全市一律なわけでございます。大阪は政令指定都市ですよね。だから大変もう無理があるのです。平野区というのは、郡部地域との合併、また農地など地価が安かったからこそ大量の公営住宅が建設されたわけであります。その平野区の一・二五という係数、一方、高級住宅地で有名な兵庫県芦屋市の場合では一・一五なんですね。吹田市千里、ここも大変マンションとか住宅の多いところですけれども一・一です。平野区と隣接している八尾市、藤井寺市などでは一・○であります。本当に地域的な条件はそこと平野区とは変わりありません。そういう比較をしますとこの家賃実勢に合わないと言わなければなりません。だから大阪市は一方で、地価の安い地域の住宅には負担を軽減するために調整率というのを決めているわけでございます。
こういうふうに見ますとこの経過年数係数だとか立地係数などについての見直しというのは今後必要になるのではないかというふうに思われますけれども、どうでございましょうか。
○小川政府委員 現在全国で三千前後の公営住宅の管理者におきまして一斉に改定の大作業をやっております。したがいまして、少なくとも当面は今回の改正に伴います運用実態というふうなものを少し見きわめて、全国的にいろいろな状況を集約した上で仮に長期的に見て問題がある改善する余地があるというふうなことであるならば長期的には検討する問題というのもあるいは出てこようかと思います。
○石井(郁)分科員 現に私のところの例としてですけれども、そういう矛盾を申し上げましたので、これは恐らく全国的にもいろいろ出てくるんじゃないかと私は思います。そういう点では柔軟にというか将来見直しをぜひ御検討いただきたいというふうに思います。
次の問題なんですけれども、別の角度からもう一つのお話をさせていただきます。平野区の一つの団地の実例を申し上げたいと思うのですね。瓜破府営住宅というのがございまして、千五百四十四戸ですけれども、この団地で四つの町内会を構成しています。この団地の高齢者世帯比率は三五・八%です。しかもそのうちの七割以上がお年寄り夫婦またはひとり暮らし。区内にはこのような団地が幾つもあるわけでございます。
若い人たちの姿の少ない町で活気がないとか、震災でもあれば不安で仕方がない、団地周りにあった個人商店が売り上げ激減で成り立たなくなっていく、だから近所からは商店が消えていくということがいろいろ起こっておりますし、そういう声が上げられているわけです。
ところが、公営住宅法の改正では、入居資格の適正化として、高齢者の基準とともに一般世帯は収入区分二五%までの入居を促進するという内容になっているわけですよね。そうしますと、この入居方針を進めていきますとこの団地はますます高齢者の団地と、低所得化の道を進むわけであります。地域の活力の低下あるいはコミュニティーとしてのあり方というのは大きな打撃を受けることになると予想されます。建設省の昭和六十三年の「特定目的公営住宅の供給について」の通達の中で、「良好なコミュニティーの形成に資するため、適宜入居の分散を図るものとする。」という項目がございまして、これは現在も有効だと私は思います。
そこで二つ御質問ですけれども、一つは一般の入居基準を二五%から四〇%水準までに拡大するつもりはないかどうか。もう一つは、これら既設の団地の周辺に建設されている民間住宅を公営住宅として借り上げていく。入居を促進すれば地域の活性化にも役立つわけであります。都市部の高齢化が進んでいる団地周辺に傾斜配分すれば町は生き生きしてくるというふうになるのじゃないでしょうか。民間住宅借り上げの予算措置は今度の予算でどのようになっているのか。この二つをお聞かせください。
○小川政府委員 公営住宅に限らず公団住宅でもそうでございますが、団地がつくられて十年二十年たちますといろいろな意味でコミュニティーのありようについての問題が生じてきております。その意味では、すぐには改善されるわけではないと思いますが、やはり長期的な住宅政策のありようとしては、同じような形、入居者の団地ができるというふうなことではなくて、基本的には町としてあるいはコミュニティーとして通常の形での生活が行われる形態というのは私も望ましいと思
います。
ただ、今御指摘されました入居収入基準を二五%から四〇%に引き上げてというふうなことでございますが、基本的には私ども、前回の公営住宅法の改正におきまして、むしろ御意見とは逆でございますが、戦後五十年かかって二百数万戸を整備いたしました。これは多いと見るのか少ないと見るのか、五十年かかって二百万戸と見るのか、いろいろな議論はございますが、ただ、これは幾ら努力をしても三百万戸四百万戸というオーダーには私は絶対にならないと思います。したがいまして、今必要なのは、入居者を拡散するのではなくて、本当に必要な方に必要な時期にきちっとした形で公営住宅にお入りいただく。その意味では、どなたに入っていただくかをきちっとやはり枠をはめた上で最も適切な入居者を選ぶというふうな政策が必要であろうと思います。したがいまして、基本的には私どもといたしましては二五%を上限としているというふうなことについて変える考えはございません。
それから二番目の借り上げでございますが、公営住宅のありようとして民間がおつくりになった建物を借り上げるというのも一つの方策であろうかと思います。そういうふうなものを駆使しながら既存の団地の周辺に借り上げを配置していくというのも政策的にはあり得る判断だろうと私は思います。それはやはり公共団体で大いに知恵を出されれば結構でないかと私は思います。
それから、どの程度の戸数かというふうなことでございますが、財政構造改革のもとで若干予算が苦しいという状況もございます。そういうふうな中で必要な戸数を確保したいというふうな思いもございまして、借り上げ戸数でございますが、平成九年度に比べましてプラス一千戸の五千戸で予算をお願いしております。
○石井(郁)分科員 私はやはり将来的にこの民間住宅借り上げという要求というのは強まっていくだろうと思うのですね。ことし一千戸ですけれども、さらにもっとふやしていくということでぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
最後になりましたが、大臣にもう一度お尋ねさせていただきます。
きょうは大阪市の幾つかの実例を私の地元ということでお示しをいたしましたけれども、今の局長の御答弁もありましたけれども、根本的にはなお公営住宅そのものがやはり不足している、私はそう考えるものであります。この五年間の平均で、大阪市営の住宅入居の競争率ですけれども、空き家住宅で二十倍です。新築住宅で五十六倍を超えているわけです。だから引き続き公営住宅の大量建設の推進はやはり必要だと思うわけですけれども、大臣にその点の御所見を承っておきたいと思います。
また、先ほど指摘しましたけれども、全国一律の家賃算定基礎額や立地係数あるいは経年係数ですね。今後の状況を見て見直しをする必要が生じた場合、遅滞なく見直しをするのかどうか。先ほどは前向きな御答弁もございましたけれども、その点も大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
そして地方公共団体の独自裁量の幅をふやすことがやはり必要だというふうに私は考えますけれども、いかがでしょうか。
以上三点、ぜひ大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
○瓦国務大臣 石井郁子先生から何点かお尋ねございまして、公営住宅の建設戸数の拡大について所見を求められました。
低額所得者の居住の安定を図ることは大切なことでございます。このため公営住宅の供給促進に努めておるところでございまして、平成十年度予算案におきましても、財政構造改革という私どもの担う大変大事な課題のもとではございますが、民間住宅の借り上げ方式によるもの等も含めまして前年度と同水準の四万一千戸の戸数を確保することといたしております。この内数を見ますと、公営住宅で三万七千戸、高齢者向け優良賃貸住宅等につきましては四千戸、こういうことでございますし、地域の住宅需要に的確に対応した公営住宅等の供給を推進してまいりたいと思っております。
家賃算定にかかわる係数についてのお尋ねもございました。今後の制度移行後の施行状況を踏まえまして、改善すべき点が出てくれば、これまた局長から先ほど答弁もございましたが、将来的には見直しも含めまして検討してまいりたい、かように存じております。
○石井(郁)分科員 もう一点ございました、大臣の御答弁をお願いしている点。地方公共団体の裁量の問題です。
○小川政府委員 先ほどお答えいたしましたように、利便性係数のありようについて公共団体でいろいろ知恵を出していただければというふうに思います。
○石井(郁)分科員 きょうばいろいろとどうもありがとうございました。
私は、住民の暮らし、福祉を守り、活気ある地域をつくっていくために公営住宅法の見直しが必要だと考えておりますし、このことを強く要望いたしまして、きょうの質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○小澤主査 御苦労さまでした。
これにて石井郁子さんの質疑は終了いたしました。



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