平成九年七月十日(木曜日)
午後一時開議
出席委員
委員長 二田 孝治君
理事 稲葉 大和君 理事 河村 建夫君
理事 栗原 裕康君 理事 田中眞紀子君
理事 佐藤 茂樹君 理事 藤村 修君
理事 山元 勉君 理事 石井 郁子君
岩永 峯一君 栗本慎一郎君
佐田玄一郎君 阪上 善秀君
桜田 義孝君 島村 宜伸君
砂田 圭佑君 柳沢 伯夫君
山口 泰明君 井上 義久君
池坊 保子君 漆原 良夫君
旭道山和泰君 西岡 武夫君
三沢 淳君 川内 博史君
肥田美代子君 山原健二郎君
保坂 展人君
出席国務大臣
文 部 大 臣 小杉 隆君
委員外の出席者
警察庁生活安全局少年課長 勝浦 敏行君
警察庁刑事局捜査第一課長 松尾 好將君
総務庁青少年対策本部次長 中川 良一君
法務大臣官房審議官 古田 佑紀君
法務省刑事局刑事法制課長 渡邉 一弘君
法務省人権擁護局調査課長 印部 久男君
文部政務次官 佐田玄一郎君
文部大臣官房長 小野 元之君
文部大臣官房総務審議官 富岡 賢治君
文部省生涯学習局長 長谷川正明君
文部省初等中等教育局長 辻村 哲夫君
文部省教育助成局長 御手洗 康君
文部省体育局長 工藤 智規君
厚生省児童家庭局企画課長 伍藤 忠春君
郵政省電気通信局長 谷 公士君
郵政省放送行政局長 品川 萬里君
文教委員会調査室長 岡村 豊君
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本日の会議に付した案件
学校教育及び社会教育等に関する件(児童生徒の問題行動について)
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○二田委員長 これより会議を開きます。
学校教育及び社会教育等に関する件、特に児童生徒の問題行動について調査を進めます。
初めに、神戸市須磨区における児童殺害事件について説明を聴取いたします。文部政務次官佐田玄一郎君。
○佐田説明員 佐田玄一郎でございます。
説明を前にいたしまして、まずもって、今回の一連の事件におきましてお亡くなりになりました土師淳君、そしてまた山下形花ちゃん御両名に対しまして心から哀悼の意を表すると同時に、おけがをされた児童の方に対しましても心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
それでは説明させていただきます。
今回の神戸市須磨区の児童殺害事件において十四歳の中学生が被疑者として逮捕されたことを、文部省としては重く受けとめておる次第でございます。
このため、逮捕翌日の六月二十九日に担当課長を現地に派遣いたしましたが、今回の事件の背景として推測される事柄、関係者に与える影響等が広範にわたるものと考えられるため、七月五日土曜日に、現状の把握のため、文部大臣の命を受け、私が現地に赴きました。
神戸市教育委員会との意見交換においては、子供たちや保護者等が心の安定を得られるようにすることが当面の重要課題であるとの報告を受けました。また、子供たちの教育に当たり、学校、家庭、地域がより一層連携を深めていくことが教育行政に係る今後の課題であるとの報告もあわせて受けております。
私からは、現在、今回の事件に関して政府全体として取り組みが進んでおり、文部省としても支援に努めたい旨を発言をさせていただいた次第であります。
兵庫県教育委員会との意見交換におきましては、県教育委員会として、これまで、人間関係のあり方、今の大切さを理解させる教育を重要かつ緊急の課題として進めてきましたが、さらなる検討が必要であるとの報告を受けた次第であります。その後、ホラービデオの問題なども視野に入れた県としての全庁的な取り組みの推進について意見交換を行った次第でございます。
今後、文部省としては、兵庫県教育委員会、神戸市教育委員会との連携を密にするとともに、両教育委員会の取り組みについて積極的に支援をしてまいりたい、そういうことでございます。
○二田委員長 次に、警察庁刑事局捜査第一課長松尾好將君。
○松尾説明員 本事件につきましては、五月二十四日土曜日午後八時五十分でありましたが、神戸市須磨区居住の神戸市立多井畑小学校六年生の土師淳君十一歳の家族から、所轄の須磨警察署に対しまして、被害者が午後一時三十分ごろ祖父宅へ行くと言って外出したまま帰宅しないという旨の届け出を受けたわけであります。
兵庫県警察におきましては、所要の体制によりまして捜索等発見活動を推進中でありましたが、五月二十七日の午前六時四十二分、神戸市立友が丘中学校の管理員から、男の子の頭部のようなものが学校正門前に置かれているという一一〇番通報を受けたわけであります。
その結果、所在不明となっております土師淳君の頭部であることが判明をいたしました。それには、「さあゲームの始まりです」「警察諸君 ボクを止めてみたまえ」という警察に対する挑戦的な内容が書かれていた文書が添えられておりました。
兵庫県警におきましては、即日、所轄警察署に百三十名体制の捜査本部を設置をいたしまして、聞き込み捜査等初動捜査を開始したわけでありますが、その後、同日午後三時になりまして、現場付近を捜索中の捜査員が、頭部遺棄現場の中学校から西方約七百メーター離れました竜が山所在のケーブルテレビアンテナ基地敷地内の機械室の床下におきまして被害者の胴体部を発見したものであります。
その後、六月四日に至りまして、地元の神戸新聞本社に対しまして、「ぼくと同じ透明な存在である友人に相談して」「今回の殺人ゲームを開始した」というようないわゆる犯行声明文が送達をされてまいりました。
兵庫県警におきましては、本事件が極めて反社会性が強く、残虐な特異犯罪でありますことから、捜査本部体制とは別に、京都、大阪両府警からの応援も含めまして再発防止のための警戒活動をとりながら、現場付近を中心とする聞き込み、あるいは被害者の足取り捜査等を強力に推進してまいったわけであります。
その結果、現場付近の聞き込み捜査等から、不審者として、神戸市須磨区居住の中学三年生A少年十四歳が浮上いたしまして、身辺捜査を行いました結果、本件の容疑が濃厚となりましたために、六月二十八日朝、少年を兵庫県警察本部に任意同行し、取り調べをしました結果、本件を自供し、あわせて実施をしました自宅の捜索によりまして、本件に使用したと認められるナイフ等の証拠品を発見、押収をいたしたわけであります。こうした点から同少年を本件の被疑者と断定をいたしまして、同日の午後七時五分に通常逮捕したものであります。
被疑者につきましては、六月二十九日の午後、身柄を神戸地方検察庁に送致をいたしまして、勾留決定がなされ、現在、捜査本部を設置しております須磨警察署に勾留して、動機、背景等を含めた事実関係の取り調べを強力に推進しているところであります。
さらに、その後の自宅の捜索によりまして、書籍類ですとか、あるいはビデオテープ等多数の証拠品を押収するとともに、七月六日には、被疑者の供述に基づきまして、犯行に使用した凶器を投棄した現場付近の池について捜索をいたしました結果、本人の自供どおり、凶器の金のこ一個を発見、押収をしたものであります。他の証拠品の発見もありますために、本日も引き続きその他の捜索は実施をしているところであります。
なお、本年三月、同じ須磨区内で発生をいたしましたいわゆる通り魔事件につきましても、早期に解決しなければならない事件と認識をしておりまして、これに関してもいろいろな報道がなされているところではありますが、当面は淳君殺害事件に全力を投入して捜査を行っていく所存であります。
また、被疑者が十四歳の少年であるということから、今後とも、法に照らし、少年の特性に配慮しながら適正な捜査を推進し、事件の全容解明に努めてまいりたいというふうに考えているところであります。
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○二田委員長 次に、石井郁子君。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
小学生が殺害される、また、傷つけられるという痛ましい事件が続いたわけであります。私は、まず最初に、被害者の方々の御冥福をお祈りしたいと思いますし、またお見舞いを申し上げたいと思います。そして家族の方の心中は、本当に察するに余りあると思います。また現地では、三月の事件以来連日、地域の関係者、自治会の方やPTAの方や、また学校関係者も、本当に大変な御努力をされているのですね。そういう御活動に敬意を表したいというふうに思います。
今回、逮捕はされましたが、まだ被疑者の段階ですから慎重に推移を見ていかなければいけないというふうに考えます。しかしながら、十四歳の、中学三年生になったばかりという子供が被疑者として挙がったわけでありまして、その中で、弱い者ならだれでもいいとか、人を殺してみたかったというふうに伝えられているのですね。私は、このことに大変衝撃を受けました。子供たちの中に一体何が起こっているのか。それはやはり日本の今の教育、社会の問題として深くえぐらなければいけないというふうに思っています。
そこで、最初に大臣にお尋ねですけれども、この少年が逮捕されたときに、先ほど来出ておりますように、マスコミに、ここまで来たのかという感想をお述べになりました。私はその感想から、やはり教育をめぐる状況がこういう深刻な事態を迎えているという認識として受けとめたわけです。
私も先日現地に参りました。そこでもさらに大変胸の痛い話を聞いてきたのです。お母さん方もようやく初めてお互い同士この事件について話し合う場を持てたということだったのですけれども、中学生、高校生を抱えたお母さんが、あの通り魔事件のことになると口をつぐんでしまう。もしやうちの子ではないのかというふうに頭をよぎるからだと。中学生、高校生を持つ御父兄の方が自分の子供の問題として話せないということになったということを聞いたのですね。
その後、新聞では、福井県で中学生の男子が自殺をしています。その遺書では、自分も一皮むけば恐ろしい人間だ、自分が何もしないうちに死ぬことができればという遺書だったのですね。私はこれも大変ショックでした。
そして、こういう事件でマスコミがいろいろ中学生にインタビュー等々もしていますし、そのことは全部そのとおりだというふうに私たちは考えるわけにはいきませんけれども、多くの中学生たちが、あるいは高校生も、あの子供に共感ができる、わからなくもないという子供たちが大変多いのですよ。これをどう考えたらいいのかというのは、私たちにも今まさに突きつけられているというふうに思うのですね。
そういうことで、まず大臣に、こうした事件が起きて、しかも大変根が深いし、子供たちにいろいろな影響を与えているという点で、今の教育の何が問題なのか、あるいはどこを直していくというようなおつもりでいらっしゃるのか、最初にお聞きしたいというふうに思います。
○小杉国務大臣 中学生の時代というのは、非常に心身の発育が著しい時期であり、自我に目覚める時期でもありますし、また特に受験ということを考えますと、非常に精神的な動揺とか将来に対する不安というものがあるわけでありまして、学校全体あるいは社会全体に対する批判の気持ちがあるというふうに考えられますが、ただ、多くの中学生の意見、共感するというのは、そういう不安感があるという部分では共感するのだと思うのですけれども、しかし、あのような事件を起こすことまでを容認した発言ではないというふうに私は受けとめております。
この事件の背景も、何があったのか、それは今懸命に捜査をしている段階ですからはっきりいたしません。私は、家庭、学校、社会、こういうもののあり方を含めて、今の教育に、特に心の教育の重要性というものを痛感して諮問をしようとしている段階でございます。
○石井(郁)委員 そういう中で、私は、兵庫の教育委員会あるいは神戸市、それこそ当該の教育委員会の対応は、何か極めて遺憾に感じることがあるのですね。それで率直に申し上げたいというふうに思うのです。
これは、県の教育委員会が七月一日付で「基本的考え方」というものを発表してございます。六項目あるのですけれども、全部は読み上げる時間がありませんが、全く予期せぬことだった、衝撃を受けているということと、「事件の背景、動機等についても全く掌握し得ない状況にある。」という言い方。それで、その五番目に、「しかしながらそのような中で、十四才の中学三年生が小学生を殺害し、遺体を遺棄した容疑で逮捕された事実は厳粛に受け止めなければならず、その子どもに生命の尊厳や弱者への思いやりの念などが十分であったか、また学校の生徒指導上の問題など、今後の教育への課題であると認識している。」
ここで問題は、その子供の問題というふうにあえて限定していることなのですね。私は、今本当にひどく子供たちの中に、先ほど気持ちがわからないでもないと言った意味は、学校教育はこれでいいのかを問いかけているというふうに思っているわけですけれども、それは、その子供の問題だというふうに済ませようというふうに思わざるを得ないのですが、この「基本的考え方」は、文部省の指導もそのようにされたのでしょうか、あるいは文部省の指導でそうしたのか、あるいは文部省も同じ見解なのかということをまず伺います。
○辻村説明員 ただいま御指摘のように、「基本的な考え方」として兵庫県の教育委員会が七月一日時点で発表したということは私どもも承知をいたしております。
ただ、この「生命の尊厳や弱者への思いやりの念などが十分であったか、」これはみずから課題を投げかけたものだというふうに承知しているわけでございますが、これは、こうした事件発生の現場となった教育委員会の心情として述べたものであるわけでございますけれども、これを、ただいま先生が御指摘のように、子供個人の個人的な問題に限定してよいかどうか、これについては今現在捜査が進行中であるわけでございます。そういう意味で、事件の動機や背景がまだ明らかになっていない段階においてこれを云々するのは差し控えなければならないことだろうと思います。
なお、この発表は、その場におきます兵庫県教育委員会としての真情が吐露されたものでございまして、文部省と相談し、あるいは文部省の指導を受けてというようなことではございません。
○石井(郁)委員 次に、事件後の学校の対応というのが大変国民的に話題となっているわけで、あえて私は申し上げたいのですけれども、学校とは関係ありませんという校長の対応でございましたね。そして、事件のことは学校で一切問題にしない、これはそういう方針だ、指導方針として明らかにされているということも報道されているわけです。これほど大きな衝撃的な事件、自分の学校の仲間ですからもちろん子供はよく知っている。知っているというにもかかわらず、三十日から始まる試験は一日延期されただけ、そして学校の中でこの問題では一切議論もされないというか話し合いもされない、校長先生は型どおりの訓話を述べただけということになっているわけですね。
そして、それはこの学校だけではないのです。神戸市内の周辺の学校も同じような事態になっているというふうに聞いているわけですね。私は、先ほど来も出ていますけれども、神戸、兵庫の子供たちは、震災で本当に心の傷を負っているのですね。子供ほどその傷はまだいえていないというふうに言われています。その上に今回の事件ですから、このショックは本当に大きなものなのですね。
そこで、こうしたこの現場の学校の対応は、やはり神戸市の教育委員会の指導のもとでそういうふうに対応されたのか、あるいはもう議論をするなという指導もされたのかということをお聞きしたいのです。これは文部省と協議の上でそうされたのでしょうか。
○辻村説明員 校長先生の記者会見等を指してのことかと思われますけれども、神戸市の教育委員会と学校の間でどのようなやりとりがあった結果か、私ども承知いたしておりません。少なくとも、私どもがこうした対応をすべしというような指導と申しましょうか、アドバイスをするというようなことはございませんでした。
なお、ただいま先生から、学校の対応が責任がないというような対応であったのではないかという御指摘でございますけれども、学校は大変重たく受けとめておりまして、当該学校だけでなく、県下の多くの学校におきまして、校長先生が在校生に対しましてお話をする、あるいは各学級において人権とかあるいは命のとうときについての話し合いを行う。あるいは当該学校におきましては、御案内のとおり、全校集会を開催して、校長から生徒に対してさまざまな指導をするとともに、心のケアということで、全校生徒を対象にした個別面談等も実施しているわけでございまして、決して、私ども、市の教育委員会から学校等の対応につきまして許される範囲の情報を聞いておりますが、学校も真剣に取り組んでいる、対応している、さまざまな御意見があろうかと思いますけれども、そういうふうに私どもは聞いておるところでございます。
○石井(郁)委員 それではちょっと重ねて伺いますけれども、逮捕という報が知らされたときにその学校に先生方が集まってこなかった、これもまた国民の目には異常に映っているわけで、しかし、それは教育委員会が何かそのような指導をしたという話も一説にあるのですね。その点ではどうですか。もしそういう形で対応したとしたら、文部省としてはそれはどう指導されますか。
○辻村説明員 当日の対応につきまして市の教育委員会とどういうやりとりがあったのかは承知していないわけでございますが、私どもが承知しておりますのは、当日の夜の時点では、警察の方からの公式な発表は、須磨区内の中学三年生の少年ということにとどまっておりまして、個人名はもちろんのことでございますけれども、学校名も発表されない、そういう前提で対応する必要があるという判断があった、その判断のもとで学校は、その夜、ああした対応をしたというふうに承知をいたしております。
○石井(郁)委員 この当該学校も、また周辺の学校も、職員の間でこうした十四歳の現役の中学生の逮捕ということについての議論が行われている節がどうもないのですね、神戸の場合。それが一つは気になるという問題と、それからもう一点は、期末の時期であるとはいえ、ただ一日間を置いただけでいわば平常どおり試験が始まるというのも異常ではないかというふうに私は思うのですね。子供たちは実際大変落ち込んでいたり動揺したりしているわけです。一日置いて試験が始まる。結局、その試験の成績でまたランクづけされていくという中で、私は、そういうことは本当に心を踏みにじるやり方ではないのかというふうに言わざるを得ないのですね。だから、これが学校のやり方なのかというふうにやはり思うわけです。先ほど来、心の教育を重視されていると言いますけれども、これこそ本当に子供たちの心を痛めつけている、やはり非人間的なやり方だ。どうですすか。
文部省としては、それは教育委員会があるいは当該学校がおやりになったことだというふうにしか言えないだろうと思いますが、しかし、これは異常ではないのか。校長先生も、早く平常心に戻るようにと。事態の中身や、そしてそのことについての議論がなくて、子供たちがどうして平常心が持てるのだろうか、動揺があって当たり前ではないのかというふうに思うのですね。そういう点はいかがですか。
○辻村説明員 学校におきましては、期末試験を延期いたしまして全校集会、その後、全生徒を対象にした個別面接を行ったということで、その後の判断として、試験は実施しても大丈夫であろうという学校の御判断であっただろうと思います。そのことについてどういうふうに判断すべきか、今先生からは大変厳しい御指摘があったわけでございますけれども、学校は学校としての、学校を預かる立場でさまざまな観点からの御判断であったであろう、こういうふうに承知をしておりまして、文部省としてこれにつきまして云々というのは控えざるを得ないだろうというふうに思います。
○石井(郁)委員 神戸の事件を見る場合、私は、歴史的にぜひ見ておく必要があるというふうに考えているわけです。
ちょっと申し上げますけれども、兵庫県でこの七年間に大変な事件が次々に起こっています。七年前には、あの県立高塚高校の女子生徒の校門圧死事件というのがございました。それから、龍野小学校では体罰を苦にして小学生自殺事件がありました。そして、県立吉川高校生の同級生殺害事件というものがありました。それから、県立神戸商業高校ではいじめを苦にした女子生徒自殺事件です。そしてこの五月にはもう一件、相生中学校というところで先輩殺害事件、やはり十五歳、中学三年生が起こしているわけですね。これは今回の事件の陰で余り大きくなっていませんけれども、あるのです。そして、あの有名な風の子学園の児童虐待事件ということなのですね。七件八名の児童生徒、いわば学校にかかわって死亡しているのです。
私は、とりわけ風の子学園の問題は、民間の施設ではありますけれども、これは今長くは申しませんけれども、学校関係、教育委員会、あるいはまた関係者等がかかわってこの子供を風の子学園にと送り込んだという話になっているわけで、大変重大な問題なのですよね。だから、これは全国的にこういう事態なのか、私は、やはり異常な多さではないのかと言わざるを得ません。
そこで、一つは、こうした事件について、当の教育委員会はどう対応して、どういうふうに対策を立ててきたのか。また、文部省はそのことについてどういう報告を受けているのか。実は一つ一つ伺いたいぐらいですが、もう時間がありませんので、一件だけ、龍野小学校の事件について、つまり、どういう教訓を引き出しているのかということが重要だというふうに思うのですね。ちょっと短くお答えください、余り時間がありませんので。
○辻村説明員 まず、兵庫県としての取り組みでございますけれども、私ども、兵庫県の教育委員会を通しまして、県におきましては、ただいま先生から御指摘のありました自殺事件等につきましては、大変重たい問題としてこれを教訓として対応するという取り組みをしているというふうに聞いてございます。
具体的には、生徒指導のあり方等と今後の方向について検討するための有識者で構成されます教育懇談会を設置して、思春期の人間関係のあり方、今の大切さ、生きる力をはぐくむ教育などのあり方について検討するということが一つ。それから自然学校、自然体験教室などさまざまな体験活動を通して人間的な触れ合い、あるいは自然との触れ合いを深めて豊かな心をはぐくむ授業の実施、さらには、専門のカウンセラーを配置した教育相談センターの設置などの教育相談活動の機能の充実というような具体の取り組みを報告する中で、県としてもこの問題を重く受けとめているというふうに報告を受けております。
さらに、こうした取り組みが進められますように、文部省としては、兵庫県教育委員会を通しまして、指導助言ということについて努力をしてまいりたいと思っております。
それから、個別の龍野市立の小学校の件でございますけれども、自殺した件、あるいは他殺等そうした事件がございますと、県の教育委員会を通しまして、私どもの方には事件の経緯、それに対する学校、市教委、県教委等の認識等が報告されるということになっておりまして、この龍野市の学校の子供の死亡事故につきましても報告がされております。そのとき、当日、授業後の指導中に体罰の事実はあったということも含めまして私ども報告を受けておりますが、この件は、ただいま体罰と自殺の因果関係につきましては係争中の件でございまして、それ以上のコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、そういう報告は受けでございます。
○石井(郁)委員 私は、ここで、結論を急ぐわけではありませんけれども、兵庫、神戸にこういう事件が大変多発しているという問題でいえば、やはりこの教育の管理主義的なあり方ということにどうしてもメスを入れなければいけないし、とりわけ体罰の問題なのですね。つまり、体罰というのは教師による暴力なのですよ。こういう暴力が日常茶飯にあるようなところでは、どうして子供たちの心が育つだろうかというふうに言わざるを得ないわけですね。
それで、実は、きょう私は東京新聞を見てなおショックを受けているわけです。この新聞によりますと、先ほど来出ていたこの当該の学校での全校集会がございましたけれども、校長の説明のときに中学生がひそかにメモを回している。小さな紙切れのメモが回った。校長はうそつきだ。そして、このメモを読んだ二年生の女生徒が、一年のときテストをサボったら生徒指導室で顔を二発殴られた、ブラウスが鼻血で赤くなったということを書いています。
一つは、私はぜひ伺いたいのは、指導室というのがあって、ここは何か本当に密室で、相当なことをされているという話は聞いているわけです、少なくともマスコミで言われている限り。今回の調査でも、あなた方は文部省としてこういう事態を把握したのかどうか、聞いたのかどうかということをちょっとまず最初にお尋ねしたいと思います。
○辻村説明員 ただいま先生が御指摘されましたその件につきましては、まだ私ども実情を把握しておりません。
○石井(郁)委員 逮捕された子供にかかわって言えば、体罰があったかなかったかというのは一つまだわからない点ではありますが、しかし子供のいろいろな発言があるわけですね。これは、一年のとき受けた屈辱を忘れられないと言っている。その子供に、先生は、おまえは邪魔や、もう学校に来ぬでいいと言ったということまでこのきょうの新聞で報道されています。
ぜひ、一つは、この体罰の実態はきちんとつかんでもらいたい。それから、やはり体罰を、体罰というか私はもう暴力だと思うのですね、決して教育上認められるものではないわけですから、この暴力を学校から一掃する、この点で文部省は今毅然としてやはり貫いてほしい、そういう立場に立ってほしいということを思います。本当に暴力はあるのですよ。どうですか。
〔委員長退席、河村(建)委員長代理着席〕
○辻村説明員 教師の体罰は、先生御案内のとおり、法律をもって明確に禁止されているわけでございます。したがいまして、この趣旨の徹底というのはこれまでも随分努力をしてきたつもりでございますけれども、ただいまの御指摘も踏まえまして、さらにその趣旨徹底に努力をしたい、こういうふうに思います。
○石井(郁)委員 趣旨徹底じゃもうだめなのですね。やはり本当に実態に踏み込んでほしいというふうに思います。
私は、このことを強調するのは、やはり今回の事件とか今出ている教育問題でいえば、教師の多忙化ということを言われますけれども、教師と子供の間が疎遠になっているのですよ。それから、子供は教師に本音をしゃべらなくなっています。ここが問題なのです。だから、子供の姿が先生から見えない、またつかめない、こういう現場になっているのですよ。こういう状態では事故の再発防止なんてできないと思うのですよね。こういう実態になっているというのはどこから来るのかと考えざるを得ないのです。
先ほど受験競争の問題もありましたけれども、もう一つは、やはりいい学校と言われている、あるいはいい子でなければいけない、この物すごい圧力があるのですよ、子供たちの中に。それを、やはりどうしてそういうふうになっているのか。この内申書重視、子供たちが教師の顔をうかがう、いつもいい子ぶりっ子でいなければならない。そして、全部それは受験の点数につながる、いい学校を選ぶためにつながる。だから、部活もボランティアもいろいろなところで教師に見られている。いい子でいなければいけない、いい学校に行けない、こういうことをしていって、本当にもう行き着くところまで私は今来ているのじゃないかというふうに思います。
ですから、子供たちの中のむかつき、ストレス、いらいら、よく言われていますよね。いじめはなくならない。だから裏に隠れていじめをするわけですよ。そのいじめも先生には相談しない、学校に言っても解決されない、こういうことだったら、本当に今の教育はもう何とかしなければならないというふうにやはり思わざるを得ないわけですね。
それで、私は兵庫の教育についてあえて申し上げているのですけれども、問題を起こす子供とか、あるいはそういう点数競争から外れた子供というのを学校から排除していく、こういうことに行き着いていないのかということを大変心配するわけですね。そういうことの中でいろいろな問題が起きているのじゃないかというふうに思うわけです。
もう時間がありませんので、私はぜひ、今学校の教師たちが本当に多忙で子供と向き合えないと言っているわけですから、その学校の多忙さ、業務量もあるでしょうし、それから教え込む量が多過ぎるということもあるでしょうし、いろいろな会議もあるでしょうし、文部省として、この多忙の実態をまずつかんでほしい。本当にこれを解消するにはどうするか。先ほど来、定数問題もございましたけれども、それは根本にはそうですけれども、今すぐでもできるようなことは手を打つべきだと私は思うのですね。どうですか。その多忙の実態についての調査などはお考えになりませんか。
〔河村(建)委員長代理退席、委員長着席〕
○辻村説明員 調査というとなかなかいろいろな観点から検討しなければならないと思いますが、一つの御提言として受けとめさせていただきたいというふうに思います。
○石井(郁)委員 以上で質問を終わります。



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