140-衆-法務委員会-10号
1997年06月11日
石井郁子議員 質問部分 会議録


平成九年六月十一日(水曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 八代 英太君
   理事 太田 誠一君 理事 岸本 光造君
   理事 橘 康太郎君 理事 横内 正明君
   理事 上田  勇君 理事 鴨下 一郎君
   理事 坂上 富男君
      奥野 誠亮君    河村 建夫君
      栗原 博久君    笹川  堯君
      高市 早苗君    谷川 和穗君
      西川 公也君    福永 信彦君
      吉川 貴盛君    渡辺 喜美君
      安倍 基雄君    漆原 良夫君
      加藤 六月君    斉藤 鉄夫君
      山中あき子君    石毛えい子君
      北村 哲男君    佐々木秀典君
      石井 郁子君    保坂 展人君
      園田 博之君
 出席政府委員
        法務省民事局長 濱崎 恭生君
 委員外の出席者
        議     員 坂上 富男君
        議     員 枝野 幸男君
        議     員 石毛えい子君
        議     員 細川 律夫君
        議     員 松本 惟子君
        法務委員会調査室長      河田 勝夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 民法の一部を改正する法律案(坂上富男君外四名提出、衆法第一二号)
     ――――◇―――――
○八代委員長 続きまして、石井郁子君。

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 この民法改正については、法務省が一年半も前に法制審の答申を得ながら、いまだに法案が提出されていないということであります。これには自民党の中で強い反対意見があったからだというふうに聞いているわけでございますが、まず最初に法務省に伺いたいと私は思うのです。
 松浦法務大臣が国民の意見が真っ二つに分かれているからだという消極的な発言をされたということがございますけれども、国民の意見が分かれているというふうに言われるのは、どの部分を指してのことなんでしょうか。
 そしてまた、自民党内にある反対意見というのはどういう御意見なのかについて、ちょっと御説明いただきたいと思います。

○濱崎政府委員 国民の意見が真っ二つに分かれているということの主たる理由は、平成八年に総理府でこの問題について実施された世論調査の結果を踏まえてのものというふうに理解いたしております。夫婦別姓については、現在の法律を改める必要はないというものが三九・八%、希望する場合には別氏を名乗ることができるように法律を改めても構わないとするものが三二・五%という数字になっているということが中心でございます。
 加えまして、この法制審議会の答申がされた後におきましても各方面でいろいろな議論がされておりまして、むしろ法制審議会の答申がされたことを契機に、夫婦別姓等の改正が家族制度の崩壊をもたらすものだというような観点からの反対意見もいろいろな方面から強く提示されることになったという状況もございます。
 そういった状況を踏まえて大臣がそういう発言をされているものというふうに了解をしております。
 次に、この改正、選択的夫婦別氏制度の導入についての反対意見の理由ということでございます。
 さまざまな理由が述べられておりますが、今申しましたように、主として、家族制度の崩壊をもたらすものである、家族の一体感、一体性が損なわれるのではないか。それから、両親の氏が違うということによって子供の福祉を害するのではないか。さらには、日本の古い伝統に反するとか、それからこれは消極的な反対意見ということでございましょうけれども、いわゆる導入論の一つの重要な理由とされております社会生活上の不利益の解消、これはいわゆる通称として旧姓を使用できる、そういうことで解決できるものではないかということ、そういった点が主たる反対の理由として私どもお聞きしているものでございます。

○石井(郁)委員 同じような質問で恐縮ですけれども、こういう法案の提出がおくれている事情につきまして、提案者の方はどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。

○坂上議員 午前、午後にかけて私も答弁を各先生方にしてまいりまして、あるいはダブった発言になるかと思いますが……。
 特に私は考えていただきたいと思うのは、昨年六月の調査の結果、三二・五%の人が賛成ということなんでございまして、このうち、選択的夫婦別姓が行われるとした場合、あなたはその別姓を選択しますかという質問については、大変少なくて、五・二九%なんじゃなかろうか、こういうふうに世論調査が出ているんじゃなかろうかと思いますから、これは、やはりこういう道を講じておくということは、希望する人、それから結婚する人が、その道もあったらいいかな、場合によってはそちらを選択したい、こういうような意味を持つものでございまするから、私は、やはり立法者の立場としては、こういうことはちゃんと国民のために用意すべきことなんじゃなかろうかな、こう思っておるわけでございます。
 それについて法務省は、いわゆる法制審議会からあの答申があって、確かにもう一年数カ月放置したままなんですね。
 そこで、ちょっと聞くところによりますと、あるいは間違っているかもしれませんが、法制審議会の答申があって、法律をつくって提出をするということを、今までは必ず出したんであって、出さないでそのまま握りつぶしたなどというようなことはないそうですね。だから、そういうような観点からも、これはもう放置できない問題なんじゃなかろうか、こんなふうに私は実は思っておるわけでございます。
 それから、家族制度の崩壊とか家族の一体感が薄れるなどという言葉でございますが、これは、私は、戦後新憲法時代に勉強したんでございますが、戸主制度というのがありまして、戸主が家族を養うという制度なんですね。したがって、家督相続制度というのがあったんですね。長男だけが相続をするということなんですね。したがって、実は、裕福でない、娘さんが一人だけのところは、嫁にも行けない、戸主であるから。また、婿さんにも来てくれない、こういうことがあったそうです。
 そんなようなことから考えまして、憲法の平等の原則から親族、相続の特別措置法ができたことを知っているわけであります。このときも、戸主制度を廃止するということは日本の題しき伝統を崩壊させるものである、たとえ戦争に敗れたといえども、日本のこのような美しい家族制度は守らなければならぬというようなことを、強い主張があったんですね。
 ではどうだろうかと思って、五十年間たってみましたら、家庭生活、社会生活が崩壊するということは全くありませんでした。ましてや、今度は、おのおの、夫婦中心の生活になったんですね。夫婦中心で、しかも今度は、お互いのいわゆる人格を認めて夫婦別姓にしようじゃないかというのが今回のあれなんじゃないか。しかし、それでも選択にしようと。強制しませんよ、希望する人はどうぞどちらかを選んでくださいよ、こういうことなんです。
 さっきも、私ごとで恐縮ですが、私は家内に言ったんです。この法律ができたら、一年以内ならばおれらも別姓ができるそうだがどうしようか、こう言ったら、家内が言いました。私は坂上でいいわよ、こういう話でございます。私がよくてそう言ったのかと思ったら、彼女は私のところ、結婚するまでの間に二十五年なんですね。自後もう四十年もたっておるものでございますから、本当に積み重ねて、自分のこの氏名権というか、人格権というものをやはり自分のものとして獲得をしておるから、これに変更するということについて抵抗があるんですね。
 そんなようなことを考えますと、これから結婚する人が、いわゆる六割、八割、ぜひその道をつくってください、こうおっしゃっている以上は、法務省がせっかくの答申をいただいた、しかもこれが仮に否決になったとしても、やはり法務省の責任において、大臣の名において提出をされて、真剣な議論のもとでこの成否が決せられなければならない、私はこう思っておるわけでございます。ぜひとも次の臨時国会にでも、あるいは来年の通常国会でも結構でございますが、閣法として提出されることを何よりも期待をしたい、こう思っておりまして、以上をもって答弁にさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

○石井(郁)委員 提案者のお気持ち、また御意見もよく伺わせていただきました。
 反対意見の中にある、特にこれは自民党の中にということで限定してお話しいたしましたけれども、家族制度の崩壊とか家庭のあり方の問題として言われているということがあったわけですが、もう一点、この点で、外国の例などで、例えば選択的別姓というか、導入した場合のこういう論議など、あるいはどうなのかということが検討されたかどうか、ちょっとお聞かせいただければと思い、ます。

○松本(惟)議員 外国も、かつては日本と同じような制度であったというふうに思っておりますが、実は、六五年あたりからヨーロッパを中心にして別姓選択の自由を認める改正が行われてまいりまして、特に七〇年代以降につきまして、差別撤廃条約、先ほど私が答弁で申し上げましたように、その条約の中における条項を受けまして、各国で改正の議論が進んでいったということであります。
 諸外国の夫婦の氏の状況というのは、いろいろありますけれども、原則自由な国、それから別氏を法制度によって定めている国、それから同氏の場合もまだございますし、それから結合氏という中から選べるというふうな国もございまして、実に多様な状況でございます。
 我が国のように夫婦同姓を強制している国は、日本とインドとタイであるというふうに承知をしております。夫婦ともに選択を認めて原則自由な国としているのは、イギリス、アメリカ、オーストラリア、スウェーデン、デンマーク、ドイツなどでございます。そして、夫は不変で妻のみ選択を認める国としては、オランダ、ハンガリー、イタリア、ペルーといったような国がございます。別氏を原則とする国といたしましては、カナダのケベック州、そしてスペイン、韓国、中国、フランスといったような状況になっております。
 いずれも改正するに当たりましては、基本的人権という立場から、子供の問題も含めまして議論がなされたというふうに承っておりますが、いずれにしても、変えている国は七〇年代に既にやっているということを述べておきたいと思います。

○石井(郁)委員 どうもありがとうございます。
 我が党は、既に、一九八七年以来選択による夫婦別姓を認める民法改正を政府に求めてきたところでございます。
 ちょっと私の個人的な感慨なんですが、私も、大学で仕事をしておりましたので、論文を発表したときに、結婚後だとやはり大変不都合を感じるということもありまして、こういう問題意識も持ってまいりました。個人の尊厳と両性の本質的平等を保障した憲法二十四条を完全実施させていく上で、この選択的夫婦別姓制度は当然の要求だというふうに考えているところであります。
 それで、二問目でございますけれども、非嫡出子の相続分二分の一を平等にすることについてお伺いしたいというふうに思います。
 一九九五年七月の最高裁大法廷判決で、多数意見が、次のように述べて、これは一定の合理的理由がある、憲法十四条違反とは言えないというふうにしているわけですね。ちょっと読ませていただきます。
  本件規定の立法理由は、法律上の配偶者との間に出生じた嫡出子の立場を尊重するとともに、他方、被相続人の子である非嫡出子の立場にも配慮して、非嫡出子に嫡出子の二分の一の法定相続分を認めることにより、非嫡出子を保護しようとしたものであり、法律婚の尊重と非嫡出子の保護の調整を図ったものと解される。これを言い換えれば、民法が法律婚主義を採用している以上、法定相続分は婚姻関係にある配偶者とその子を優遇してこれを定めるが、他方、非嫡出子にも一定の法定相続分を認めてその保護を図ったものであると解される。
 現行民法は法律婚主義を採用しているのであるから、右のような本件規定の立法理由にも合理的な根拠があるというべきであり、本件規定が非嫡出子の法定相続分を嫡出子の二分の一としたことが、名立法理由との関連において著しく不合理であり、立法府に与えられた合理的な裁量判断の限界を超えたものということはできないのであって、本件規定は、合理的理由のない差別とはいえず、憲法一四条一項に反するものとはいえない。ということでございます。
 他方、少数意見でございますけれども、憲法十四条に違反するという説、また、多数意見に同調しつつも、社会情勢の変化により立法府において改正すべきだという考えもあるようでございます。
 ちょっと長くなりますので省略いたしますけれども、こういうことについて提案者はどのようにお考えになりますでしょうか。

○細川(律)議員 嫡出子と非嫡出子、この相続分が異なる。非嫡出子の方が二分の一ということ、これが憲法十四条の法のもとの平等に反するのではないかということだろうと思います。
 私どもは、今回の法律案ではこれを平等にする。嫡出子も非嫡出子もいずれも、相続分は平等ということにいたしております。それは、非嫡出子の相続分が嫡出子よりも少ないということについては、これは最高裁の判例でも少数意見で述べておりますけれども、憲法十四条違反だ。特に、非嫡出子その人がみずからの意思だとかあるいは努力によって変えることのできない、そういう身分なんです。それを法律上はかの者と差別をして相続分を少なくするということは、これは憲法十四条に反する。全くその考えに従って私どもはこの改正案を提案をしているところでございます。

○石井(郁)委員 ちょっと次の質問に移らせていただきますけれども、再婚の場合の婚姻禁止期間ですね。
 百日とすることについて、現在では科学の進歩で父の決定はほぼ一〇〇%可能ではないか、また、男女平等の見地からも禁止期間を置く必要はないとする意見が女性の多くの団体で主張されているというふうに聞いているわけですが、これらについての提案者の考えをお聞かせいただきたいと存じます。

○細川(律)議員 再婚禁止の期間、今は六カ月という現行法になっておりますけれども、必要ないのではないかという意見があることも十分承知をいたしております。
 ただ、女子の方が懐胎してそして出産をした場合に、法律上、一体父親はだれかということを決めることは極めて重要なことでございます。その場合に、法律上、こういう場合にはこの男性から生まれたんだということの推定をされるような制度もまた必要ではないかということで、いわゆる嫡出推定の規定があるわけでございます。
 その嫡出推定の規定からいきますと、やはりダブった形の推定がされるというふうに条文になっておりますから、したがって、再婚の禁止期間というのが今も定められておりますけれども、今は六カ月、これは余りにも長過ぎるので、必要にして十分な百日ということでその期間を提案した法案を出しているところでございます。

○石井(郁)委員 法務省にお伺いしますけれども、このことにつきまして法制審ではどのような検討がされたのか、ちょっとお聞かせください。

○濱崎政府委員 法制審の答申における結論も今御審議されている法案の内容と同様でございまして、現在六カ月という待婚期間を、ただいま細川提案者がお答えになりましたように、嫡出推定のために必要最小限度の百日とするという改正案でございます。
 その案に至りますまでには、ただいま御指摘のように、女子だけに存在する待婚期間をなくしてしまうという考え方も検討されたわけでございますが、その場合にはどうしても、嫡出推定の関係で何らかの必要な手当てを置く必要がある。その場合にどういう方法があるだろうかといういろんな議論がされました。そういう場合には推定を受けないという状態にしてしまうということも一つ考えられるわけでございますが、その推定がないということになりますと、必ず何らかの形で、裁判的な形でどちらが父親であるかということを決めるまではどちらが父親かということが全くわからない状態になるということで、これは子供にとって、子供の身分の安定という観点から大変ゆゆしい問題なのではないか。
 また、現行の嫡出推定を見直して、例えば重複する場合には後の方の、要するに前婚、後婚の後婚の方の夫の子と推定する。世の中の実態としては、別れた前夫と新しく結婚した後の夫とどちらの子供の蓋然性が高いかというと、後婚の子である蓋然性が高いのではないかというようなことから、後婚の子と推定するというようなことも考えられたわけでございますが、そういう推定をする。すなわち、前婚の夫と婚姻関係にありながら後婚の夫との間で懐妊したというような推定をするということが立法上許されるだろうかという大変難しい問題もある。そういう議論を経まして、結局やはり嫡出推定の関係で、最低限必要な百日の間の待婚期間というのは維持することが相当であろう、そういう議論を経たということでございます。

○石井(郁)委員 どうもありがとうございました。
 もう一点ですけれども、離婚事由について、法案が破綻婚主義に基づいて五年別居条項を採用しているわけでございますね。この破綻婚主義そのものは時代の流れだというふうに私は思いますが、現実の社会では女性の社会的、経済的立場は極めて弱い。身勝手な男性からの離婚強要が横行し、事実上これに手をかすことになって、一方的に女性が不利益をこうむる状況が生まれるのではないかと心配する向きもあるわけですね。この点をどうお考えになっておられるかという点です。
 我が党としては、女性の生活と権利を守る観点から、離婚に伴う財産分与、慰謝料、生活費、養育費を確実かつ簡易に取得できるような制度を整備することが同時に必要ではないかと考えているところでございますが、提出者はいかがでございましょうか。

○細川(律)議員 今お話がありました、確かに、有責配偶者から離婚を請求してそれが認められるというようなこと、これについては納得しにくい、あるいは一般的にもそういう感情もあろうかと思いますけれども、その点につきましては七百七十条二項におきまして、相手方に耐えがたい精神上の苦痛を与えるような場合とか、あるいはまた信義則条項といいまして、婚姻生活で協力だとか扶助とか、そういうことについて怠っていたような場合、そういうような場合には離婚を認めないというようなことを入れております。
 そしてまた、離婚をする際に財産分与というのがありますけれども、その財産分与につきましても今度の改正案では細かく規定をいたしまして、清算的な問題あるいは慰謝料的な問題、そしてその寄与分などについてよくわからないような場合には、これは夫婦双方で二分の一ずつ持っているというような二分の一条項のようなものも入れまして、その点については、一方の配偶者を保護するような、そういう規定をつくっているところでございます。

○石井(郁)委員 以上で質問を終わります。


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