平成九年五月二十一日(水曜日)
午前九時三分開議
出席委員
委員長 二田 孝治君
理事 稲葉 大和君 理事 河村 建夫君
理事 栗原 裕康君 理事 田中眞紀子君
理事 佐藤 茂樹君 理事 藤村 修君
理事 山元 勉君 理事 石井 郁子君
岩永 峯一君 栗本慎一郎君
佐田玄一郎君 阪上 善秀君
島村 宜伸君 戸井田 徹君
中山 成彬君 柳沢 伯夫君
山口 泰明君 渡辺 博道君
井上 義久君 池坊 保子君
旭道山和泰君 西 博義君
西岡 武夫君 三沢 淳君
鳩山 邦夫君 肥田美代子君
山原健二郎君 保坂 展人君
粟屋 敏信君
出席国務大臣
文 部 大 臣 小杉 隆君
出席政府委員
文部政務次官 佐田玄一郎君
文部大臣官房長 佐藤 禎一君
文部省高等教育局長 雨宮 忠君
文部省学術国際局長 林田 英樹君
文部省体育局長 佐々木正峰君
委員外の出席者
議 員 島村 宜伸君
議 員 河村 建夫君
議 員 船田 元君
議 員 柳沢 伯夫君
議 員 川端 達夫君
議 員 福留 泰蔵君
議 員 松浪健四郎君
議 員 山元 勉君
議 員 小坂 憲次君
議 員 望月 義夫君
人事院事務総局任用局企画課長 関戸 秀明君
労働省労働基準局監督課長 青木 登君
文教委員会調査室長 岡村 豊君
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本日の会議に付した案件
大学の教員等の任期に関する法律案(内閣提出第八三号)
スポーツ振興投票の実施等に関する法律案(島村宜伸君外十二名提出、衆法第二一号)
日本体育・学校健康センター法の一部を改正する法律案(島村宜伸君外十二名提出、衆法第二二号)
スポーツ振興法の一部を改正する法律案(島村宜伸君外十二名提出、衆法第二三号)
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○二田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、大学の教員等の任期に関する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
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○二田委員長 次に、石井郁子君。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
端的にいろいろ伺ってまいりたいというふうに思いますが、法案第二条で、「当該期間の満了により退職」と書かれているわけであります。任期満了時にどこかの大学なり研究所なりに職を得られなければこれは失職をするというふうになると思いますが、そうでよろしいですか。
○雨宮政府委員 任期を付されたポストについている教員につきましては、任期が満了した際には、今御指摘のように、同じ職に再任されるとか、あるいは他の国家公務員等の職に引き続き任用されるとか、あるいは私立大学において新たな労働契約が締結されるということでない場合には退職するということになるわけでございます。
○石井(郁)委員 失職ということですよね、そういうふうに聞いたわけであります。
では、もう一つですが、国公立大学の教員の場合、雇用保険の適用外とされているわけです、これも出たことでありますけれども。失業しても失業保険も受給できないという点もどうですか。
○雨宮政府委員 国家公務員につきましては法律によって身分が保障されておるわけでございまして、民間の労働者のように景気変動によります失業が予想されにくいというようなこと等の理由から、基本的には雇用保険法の適用対象から除外されているということでございます。したがいまして、保険料を負担するということもないかわりに失業給付もないということでございます。
ただし、国家公務員の場合には、退職後、職を失っている、失業している場合につきましては、雇用保険法による失業給付程度のものは保障する必要があるという考え方があるわけでございまして、このような考え方によりまして、国家公務員の退職手当法の第十条の規定におきましては、支給された退職手当の額が雇用保険法の規定による失業給付相当額に満たない者が退職後一定期間失業している場合には、その差額分を特別の退職手当として支給することとされている、こういう制度的な措置になっているわけでございます。
なお、地方公務員についても同様の制度の仕掛けになっておるわけでございます。
○石井(郁)委員 私は、大学の教員あるいは将来ある若手の研究者がこういう失職の不安に絶えずさらされる、これが任期制の重大問題だというふうに思うわけです。そこからやはり教育研究のさまざまなデメリットが生まれてくると言わざるを得ません。とりわけ肝心の学生の教育の手抜きが問題だというふうに思うのです。ですから、国大協、私学団体連合会、大学基準協会など多くの大学関係者の皆さんがこの点を指摘されておられるわけであります。
ところが、先日の本会議で、大臣は、教育上のメリットはあるのだというふうに御答弁されていますが、教育の面でのデメリットということをどのようにお考えですか。ないと考えているのでしょうか。
○小杉国務大臣 たびたび申し上げているように、任期制の導入は、これを通じて教員の流動性を高める、そして異なった経験とか発想を持つ多様な人材が交流をして相互に学問的な刺激を与え合う、そのことによって、教員の教育研究能力を高めるということで大学の活性化を図る、こういうことが目標というかメリットとして考えられるわけでございます。
今任期制の導入に伴うデメリットとしてさまざまな懸念が表明されておりますけれども、これは、各大学において、業績評価の工夫とか改善を図りながらこの制度の趣旨にのっとった適切な運用が行われるというふうに私は考えておりまして、御懸念のような心配はないようにそれぞれの大学が努力をしていただけるものと期待しております。任期制導入自体がデメリットを持っているとは私は考えておりません。
いずれにしても、この法案は各大学の見識ある判術を前提とした選択的任期制ということでありますので、各大学が教育研究の活性化のためにこの制度を有効に活用していただきたいというのが率直な気持ちであります。
○石井(郁)委員 イギリスでは、八〇年代の末にサッチャー政権のもとでこの任期制が導入されているわけです。その結果、今日ではさまざまなデメリットが生じているということが言われているわけです。国立教育研究所の教育政策研究部長の調査を私見ました。それでは、大学の教職に魅力を感じないと大学を去る教員が激増している、多くの大学で、専任教員が手が回らないで大学の一年生の授業はほとんど大学院生などに任せている、こういうデメリットが現にイギリスで起きているわけです。大臣、どうでしょうか。
○小杉国務大臣 大学教員の仕事は、研究のみならず、教育ということも非常に重要な部分を占めているわけでありまして、最近は、今御指摘のように、学生のニーズも多様化しておりますし、学生に対する教育機能というものの充実は強く求められているところだと思います。
今御懸念がありましたように、研究業績のみが重要視されて教育業績の評価がおろそかにされるのではないかというような懸念があることは承知しておりますけれども、昨年十月の大学審議会の答申におきましても、単に研究業績のみならず、教育上の業績の適切な評価も行っていくべきだと
いうことを促しているところでございます。
各大学で教育業績の評価についてさまざまな工夫を行う、具体的にはいろいろあると思います。授業科目とか、学生に対する教育研究指導とか、教材、教育課程の開発とか、学生の厚生補導とか授業担当時間とか、休講の状況とか、同僚の評価とか、学生による授業評価一そういった多面的な教育業績の評価というものに基づいて、任期つきの教員が教育にも熱心に取り組むことができるようになるというふうに考えております。
○石井(郁)委員 大臣は、いろいろとおっしゃるわけですけれども、私、本当に現場をどの程度、どのように御存じなのかなと率直に言わざるを得ません。現場の先生方は、一番の悩みは授業をよくするための時間がない、今大学の教師は時間がないとおっしゃっているのですよ。この点は、実業の日本の四月号では、文部省の産学協同懇談会メンバーの一人でいらっしゃる生駒俊明さん、日本テキサス・インスツルメンツ社長、この方が本当にリアルに書いていらっしゃいます。「産学協同研究で産業界がおカネを出したり、研究者を派遣しても、研究する場所がない。膨大な書類をつくる人がいない。」「日本の先生はアメリカの先生の二倍ぐらい働いている。研究をすればするほど、雑用がふえる。」こういう実態なんです。
ここ数年、大学院生も倍になりました。留学生もふえています。また、入試の業務というのは実は大変な労力でしょう。年に三回は最低されているのですよね。さらに、職員の定員削減、八次にわたって二万数千人も減る、教員はふえていません。ですから、受け持ちこま数というのはもう大変ふえている。こういう状態の中で任期制を導入したら一体どうなるのか、やはりこのことを文部省はリアルにつかむべきですよ。任期五年の場合、四年目、五年目では職探しに走るわけです。公募に応ずるには業績書類の作成をしなければいけません。もちろん業績そのものもつくり上げなければいけません。そういう膨大な実務があるわけです。だから、ますます時間をとられて教育どころではない、こういうことになるのじゃありませんか、どうでしょうか。
○雨宮政府委員 大学の教員につきましては、昨日の参考人のお一人もおっしゃっておられましたけれども、教育と研究と両輪の職務を持っているわけでございます。医学部の臨床系の先生でありましたら、それにさらに診療という職務が加わるわけでございます。それぞれどれをとりましても重要な職務であるわけでございまして、そのうちのどれかをなおざりにするというようなことはあってはならないことでありますし、大学の教員といたしましても両方とも重要だというように考えておるに違いないと私どもは確信しておるわけでございます。
教育をよくしようと思ったらそれなりの手間暇がかかるわけでございまして、その分教員の労力の負担というものが増す面というのは、もちろん先生の御指摘のとおり出てくるかとは思うわけでございます。例えば少人数教育をする、あるいは同じ語学の点につきましても、従来の本を読むということだけではなくて実用的な能力を持たせる、すべて手間暇のかかることであります。かかることでありますが、やはり大学の先生としてはやっていただかなければならぬことだと思うわけでございまして、これをなおざりにすることは、当然大学の機能としてやってはならないことでありますし、これは、任期制をとるとかとらないとかということに直接かかわりなく、やはり期待されることではないかというように考えておるところでございます。
○石井(郁)委員 イギリスのことを私引き合いに出しましたけれども、イギリスの任期制について、文部省の役人のレポートにも書かれていますよね。任期制の教員は、契約期間の後半になると、次の職場探しを始めるため、研究に身が入らない。私は、研究にも身が入らないと、まして学生の教育には身が入らないのだと思うのですね。ですから、今のところ大臣は教育面のデメリットをお認めになりませんけれども、私は、やはりこういう実態をリアルに見るべきだということを重ねて申し上げて、この点を強く要求しておきたいというふうに思います。
さて、もう一点大事な問題は、こうして任期制導入が教育と研究にデメリットがあるのだということは、いろいろな大学関係者の意見、きのうの参考人質疑の中でも明らかになりました。やはり多数の共通認識だというふうに思うのですが、そういう中で、いわば押しつけというこの問題は二重、三重に許されないというふうに思うわけです。
本会議で大臣御答弁されました、概算要求や新学部、新研究科の設置の際には任期制の導入を強制するようなことは考えていないということですけれども、これは任期制導入を概算要求や新学部、新研究科の設置の条件にはしないというふうに考えていいでしょうか。
○小杉国務大臣 本会議で答弁したとおり、任期制ということを強要したりということは考えておりません。
○石井(郁)委員 しかし、この間いろいろな問題がございます。文部省がいろいろと進めてきた教養部改組など最近の大学改革では、予算や許認可権を盾にした干渉というのがいろいろございました。この点、昨年のNHKのスペシャル「大学改革」がありましたけれども、その中でも、実は国立大学に自主性というものはない、私はこういう発言を聞いて、本当に改めて驚いたのです。
最近のマスコミでも大変なことが書かれていました。「文部省では、高等教育局の二、三十代の官僚が、新しい学科をつくりたいと願う私学の五、六十代の学長を呼びつけ、三時間ほども廊下で待たせたあげく、四十分ほどの面会で偉そうに申請書類をぱらぱらとめくり、「これじゃあだめだよ、これじゃあ」と突き返す、悪夢のような「下剋上」が日常である。」これはロンザの四月号でございます。だから、任期制でもこういう予算誘導で押しつけるのではないかというふうに思われるわけですね。
ある国立大学ですけれども、概算要求の打ち合わせの際に、窓口となっている文部省の役人から任期制の導入を示唆された。それが引き金になって任期制導入に走ったということが伝えられています。文部省の窓口の示唆が条件と受け取られるわけです。こうした指導はもうやめるべきだ。しないということを御答弁できますか。
○雨宮政府委員 任期制の導入を押しつける押しつけないということに関しましては、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、さまざまなことの条件として任期制導入を強制するというようなことは考えておらないということでございます。
先生が最初に引き合いに出されました記事の根拠たる事実を私どもは承知しておりませんが、多分、設置認可の関係ではなかろうかと思うわけでございますけれども、書類の不備についていろいろ御指導申し上げるということは当然あるわけでございまして、そのような場面について、そのこと自体、問題とするということではなかろうかというように考えておるわけでございます。
○石井(郁)委員 重ねて聞きますけれども、今後、任期制の問題をいわば窓口で、おたくの大学では任期制どうなっていますか、こういう形で示唆をする、これを条件と受け取られるようなことはしない、そこを尋ねているのですよ。きちんと答えてください。
○雨宮政府委員 担当者がある大学に対して、任期制を導入しようとなさっていますかいませんかということを尋ねること自体まで誘導であるというように考えられたら、私ども大変困るわけでございます。また、おたくの大学で任期制を導入していますかいませんかということについて調べるということは、これは役所としては当然なすべきことであろうかと思うわけでございまして、そこまで誘導だと言われても困るわけでございます。
私どもとしては、誘導だと先生が御指摘になっておられるのは、これはぜひやってもらわなければ困るというような形での強制的なこと、それを強制的な問題だというように理解しておるわけで
ございます。
○石井(郁)委員 今の大学にお金がないことは皆さんが御存じのとおりであります。周知の事実です。ですから、最近大学では兵糧攻めという話も出ているわけですね。少しでも予算が欲しいという大学にとっては、任期制があるかないか、このことが予算の獲得に影響するのかどうかとか、概算要求の添付資料などとなれば、結局、任期制ありと答えた方がいいというふうにならざるを得ないわけですね。だから、任期制がありと答えた方が予算や認可にいい心証を与える、こういうふうに考えて、これは事実上強制力として働くのですよ。そこを問題にしているのです。
だから、一般的な場合で文部省はそれはいろいろ指導されたりするでしょう、しかし、概算要求というときに口頭でも言う、これは予算誘導そのものじゃないですか。
○小杉国務大臣 たびたびの御指摘ですが、概算要求とか新学部、新学科の設置とこの任期制とは全く別個の問題であります。
私は、そういう懸念を抱かれないようにするためには、できるだけ大学の設置あるいは学部の設置についての透明性を高める、そういう工夫も文部省としてはやっていかなければいけないと思っておりますし、現にやっております。
それから、先ほど答弁の中にありましたように、任期制を採用するに当たっては、大学の学術情報センターというのが昨日からインターネットを通じていろいろ情報を広く公開しておりますし、また業績評価についてもそういうところで透明性を持ってやっていく。
したがって、それだけ情報が公開され透明性が高まれば、そういう疑惑を招くようなことにはならないということで、その懸念はないというふうにお考えいただきたいと思います。
○石井(郁)委員 概算要求のヒアリングの際に、文部省は随分といろいろなことを言ってきているのです。これは本当にたくさんの事実があります。だから私は、そういうヒアリングの際に任期制を口にするなど。単純な話ですよ。このことをちゃんと約束してください。
○雨宮政府委員 先ほど来大臣からも申し上げておりますように、任期制を導入するということが当該大学の予算措置に影響するようなことのないようにはいたしたいというように考えております。
○石井(郁)委員 さらに、この法案の中ではプロジェクト型の研究ということも出されております。プロジェクト的な講座を含む大学院新設の場合、これはどうするのでしょうか。この場合でも本当に、その部分を任期つきにすることが条件だなどということは、押しつけになるわけですから、言わないということも聞きたいと思います。
○雨宮政府委員 講座を設ける設けないということは予算事項でございます。したがって、任期制を導入するならばつけてやるとかやらないとかということは当然やらないわけでございます。
○石井(郁)委員 もう一点伺います。
助手などで紳士協定として任期制を行っている教育研究組織はいろいろございます、きのうも出されましたが。そういうところで、法制化された任期制に変更するようにといったようなこともしませんね。これもちょっと確かめたいと思います。
○雨宮政府委員 いわゆる事実上の任期制でございますけれども、この法律が制定される前と申しますか、立案される前というべきかと思いますけれども、その前におきまして、それぞれの大学の部局の判断によりまして、当該部局の教員に対して、一定の教育研究期間の目安を示しまして、その期間経過後には他大学等へ異動するなどの取り組みをしていたことを指すものであるというように理解しておるわけでございます。
これらの取り組みは、ねらいといたしましては、今回の法案のねらいと同様に、それぞれの大学の部局の教育研究の活性化にあるものというように理解しておるわけでございますが、国の制度上の裏づけを欠いているということのために、文字どおり関係者間の、仲間内のと言ってもいいかとも思いますけれども、関係者間の紳士協定のごとき性格が強いわけでございまして、おのずとその要件や効果について明確に定められて運用されていたとは言いがたい面があるわけでございます。
今回の法律が制定された後は、大学の判断によりまして、改めてこの法律に定める要件によって一定の手続を経た上で、制度上明確な裏づけを有する任期制が実施されることが当然考えられることでございますし、また期待されるところでございます。
ただし、今のお尋ねに直接かかわることでございますけれども、大学や部局が、これまでの経緯を尊重するという観点から、今回の法律に基づく制度に切りかえずに従来の取り組みを継続することも考えられなくはないわけでございまして、それは違法なものでない限り、これをすべて一律に今回の法律に基づく任期制に強制的に変更させるというようなことは考えていないわけでございます。
ただし、この場合におきましては、これは従来からの事実上の任期制の問題点とされていたことでもございますし、また昨日の参考人の陳述の中にも一部ございましたけれども、運用によりまして不明朗なことになってはいけないということでもございます。それは大学の責任に属することではございますけれども、そのようなことのないように、不明朗で公正さに欠けるようなものであってはならないことは当然でございますので、それぞれの大学に対してはそのような留意は促したいというように考えております。
○石井(郁)委員 私学に対する影響というのも非常に大きいというふうに思うのです。
時間がありませんので、私は一問だけ質問をいたします。
大学審答申では、教学側の意見を十分踏まえて行うことが適切と述べられていました。ところが、本法案では、学長の意見を聞くだけでいわば経営者が決められるということになっているわけです。今私学の場合では、学長と理事長が同一人物というところが多々あるというふうに聞いています。ですから、理事会が理事長に聞けば、これで任期制が通ってしまうということにもなるわけですね。
文部大臣、どうでしょう。こういう実情を考えますと、やはり私学においても教授会の議を経て行うことが望ましい、このことはやはり確認されるべきだと思いますが、伺います。
○小杉国務大臣 この法案の目的はあくまでも教育研究の活性化ということでありますから、今度の法案でも、任期を私立大学が決める際には学長の意見を聞くべし、こういうことにしているところでありますし、また各私立大学でも、教学部門の運営に関しては独自に規則を定めて、それに基づいて運営が行われていると承知しております。
仮に、御指摘のように理事長が学長を兼任していて、理事長が恣意的に大学運営をやるというような場合も懸念されるわけですけれども、各大学の運営のルールに従って、単に経営上の見地からだけではなくて、教学部門の意見が適切に集約されるように、制度の趣旨に沿った運営がなされるように私どもとしても十分注意してまいりたいと思いますし、そう期待をしたいと思っております。
しかし、教授会の意見を聞くかどうかというのは、これはそれぞれの大学の自主的な判断にゆだねられておりますので、今ここでそういうことを答弁することは控えたいと思います。
○石井(郁)委員 突っ込みたいというか、もっとお尋ねしたいんですけれども、時間の関係で、次にもう一点伺います。
任期制と女性研究者の問題なんです。
この点は、先日の委員会で局長の次のような答弁がございました。女性研究者にはマイナスに作用するとは考えていない。私は、これは大変驚いているんです。女性研究者、私もその一人でありましたけれども、若い時代に女性が結婚し、出産し、育児をする、これは避けられないことであります。その若い研究者にとって、三年、五年という任期がつけられた期間というのが出産、育児と重なったりすれば、次の転職は大変難しい。ですから、この任期制というのは、女性にとっては事実
上、結婚、出産、退職制につながると私は言わざるを得ないわけであります。どうでしょうか。
○雨宮政府委員 私が前回お答えいたしました中で申し上げたかったのは、一つには、我が国の大学教員の中に占める女性の割合というのが先進国に比べて必ずしも高いものではない、むしろ低いということで、女性の教員の就業の機会というものはもっとあってしかるべきである、大学の側としてもっと多くの女性教員が採用されてしかるべきだという期待感を持っているということを申し上げたわけでございます。
もう一つは、今回の任期制でございますが、これはもう先生御案内のように、男子教員であれ女子教員であれ、同様の機会を付与しているわけでございまして、私ども、これによって女子教員にのみ不利な条件が新たにつけ加えられたというようには考えていないということを申し上げたわけでございます。
○石井(郁)委員 女性にとって研究職が大変厳しい道だということはもう言うまでもないと思うのですね。出産、育児、そういうハンディを越えて、しかし、近年女性研究者たちは随分頑張ってきたというふうに私は思います。ですから、研究を志すそういう女性たちにとうてこういう任期制は、まさにその研究者への道を閉ざすものになるんですよ。男性も厳しいから女性も厳しい、そうですけれども、しかし、女性にはもっと厳しい。女性はもう大学に残れなくなるじゃありませんか。研究活動が続けられなくなるということになるんだということを私は強く主張したいというふうに思います。
女性研究者の多くの皆さんがそういう声も上げておられるのです。大臣、この点では、そういう女性の研究者にぜひ一言あってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○小杉国務大臣 男女共同参画型社会ということで女性の社会進出が非常にふえておりますし、教育研究の場においても例外ではないと思います。
私は、やはり保護的な規定というもので今まで男女差別があったわけですけれども、これからは、女性研究者だからといってただ保護されるという甘えは許されないと思うのです。それは、最近のほかの法案の状況を見てもそのとおりでございます。しかし、女性はまた特に家庭とか育児とかいろいろなものを持っているわけですから、その点は十分配慮しなければいけないと思いますけれども、女性だからといって、そのことによって差別をするとか別の扱いをするということはあってはならないと考えております。
○石井(郁)委員 大変残念ですけれども、時間でありまして、しかし、世界から見ても日本の女性研究者が大変少ない、環境が非常に厳しいということの中でこういう任期制を導入するということはどういう意味を持つかということを私は言いたかったわけであります垣
時間になりました。わずかな審議で、本当に、これでは任期制問題が尽くされていないということを私は強く申し上げたいというように思います。このわずかな中でも、研究と教育を根底からやはりゆがめるということも明らかになりました。そういう点で、本当に日本の将来を思えば、こういう任期制の法案は撤回以外にないということを私は強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。
―――――――――――――
○二田委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。山原健二郎君。
○山原委員 私は、日本共産党を代表して、大学の教員等の任期に関する法律案について反対の討論を行います。
本法案は、大学の教育研究の活性化の名のもとに、国立、公立、私立の大学教員に五年や三年などの任期をつけて、期間の満了により退職という極めて身分不安定の状態に置くものであります。だからこそさまざまな弊害が出ることが、この間の極めて短く、しかも不十分な質疑の中でも、また参考人の招致の中でも明らかになりました。大学が最も進めなければならない中長期研究を困難にし、時代を画する研究の芽を摘み取る危機、また、教員が研究業績を上げることに追われ、教育どころではないという状況に追い込まれることも明らかになりました。また、財政誘導による任期制強制の危機も指摘をされております。
今、ユネスコで高等教育の教育職員の地位に関する勧告草案を検討中でありますが、任期制ではなく、教員の身分保障によって教育研究を活発化していこうとしています。しかしながら、日本政府は、大学審議会答申が出ていない段階で、しかも本法案が提出されていないにもかかわらず、任期制を先取りする修正案を提案したのであります。言語道断であり、政府のとっている態度は、明らかに世界の流れに逆行するものであります。大学の研究教育を本当に活発にするというのなら、政府が行うべきは任期制の導入ではありません。
自由な人事交流を可能にするため、大学間格差を根本的に改めるべきであります。参考人各位が指摘していたように、大学予算を欧米並みに引き上げるべきであります。任期制導入によって学術の中心たるべき大学の教育研究をゆがめてはなりません。
今、教育と研究を守れと、多くの大学で過半数を超える教員が任期制反対の意見表明を行っています。この声にこたえ、将来に禍根を残さないためにも、本委員会はあくまでも徹底審議を貫くべきであります。解明すべき課題は山積しているのであります。
日本共産党は、学問の自由と大学の自治を守り、教育研究の一層の充実のために全力を挙げる決意を表明いたしまして、反対討論を終わります。
○二田委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○二田委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、大学の教員等の任期に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○二田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○二田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、河村建夫君外四名から、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合及び太陽党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。藤村修君。
○藤村委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合及び太陽党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
附帯決議の案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
大学の教員等の任期に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、学問の自由及び大学の自治の制度的な保障が大学における教育研究の進展の基盤であることにかんがみ、この法律の実施に当たつては、次の事項について、特段の配慮をすべきである。
一 任期制の導入によって、学問の自由及び大学の自治の尊重を担保している教員の身分保陣の精神が損なわれることがないよう充分配慮するとともに、いやしくも大学に対して、任期制の導入を当該大学の教育研究条件の整備支援の条件とする等の誘導等を行わないこと。
二 任期制の適用の対象や範囲、再任審査等において、その運用が恣意的にならないよう、本法の趣旨に沿った制度の適正な運用が確保されるよう努めること。
三 任期制を導入するに際して、教員の業績評価が適切に行われることとなるよう評価システム等について検討を行うとともに、特に、中長期的な教育研究活動が損なわれることがないよう、大学の理解を深めるよう努めること。
四 国公立大学については、公務員制度における均衡等に配慮して、任期付き教員の給与等の処遇が一層適切な取り扱いとなるよう検討すること。
五 高等教育の活性化と充実を図るため、各地の大学が優れた教員を確保できるよう、それぞれの大学の特色に応じた教育研究条件の整備に配慮すること。以上であります。
何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○二田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○二田委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小杉文部大臣。
○小杉国務大臣 ただいまの御決議に関しましては、その御趣旨に十分留意して対処してまいりたいと思います。



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