平成九年五月九日(金曜日)
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議事日程 第十九号
平成九年五月九日
午後一時開議
第一 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)大学の教員等の任期に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
包括的核実験禁止条約の締結について承認を求めるの件及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時三分開議
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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大学の教員等の任期に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、大学の教員等の任期に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。文部大臣小杉隆君。
〔国務大臣小杉隆君登壇〕
○国務大臣(小杉隆君) 大学の教員等の任期に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
変化の激しい時代にあって、大学が学問の進展や社会の要請に適切に対応して教育研究を推進していくことが求められている今日、各大学において不断に改革を進めて教育研究の活性化を図る必要があり、これを担う教員の果たすべき役割がますます重要になっております。
このため、大学教員の流動性を高めて大学における教育研究の活性化を図るための方策として、国公私立の大学を通じて、各大学の判断で教員に任期制を導入できるようにする必要があり、これがこの法案を提出する理由であります。
次に、この法律案の概要について申し上げます。
第一は、この法律案の目的についてであります。
これは、大学等において多様な知識または経験を有する教員等相互の学問的交流が不断に行われる状況を創出することが教育研究の活性化にとって重要であることにかんがみ、教員等の任期について必要な事項を定めることによって、大学等への多様な人材の受け入れを図り、もって大学等における教育研究の進展に寄与することを目的として定めております。
第二は、国立または公立の大学の教員の任期についてであります。
これは、国立または公立の大学の大学管理機関が、教員について任期を定めた任用を行う必要があると認めるときは、教員の任期に関する規則を定め、これを公表することとするとともに、任命権者は、この規則を定めた大学の教員について、次の三つのいずれかに該当するときは、当該任用される者の同意を得て、任期を定めて任用できること等を定めております。
一は、教育研究の分野または方法の特性にかんがみ、多様な人材の確保が求められる教育研究組織の職につけるとき、
二は、みずから研究目標を定めて研究することを主たる職務とする助手の職につけるとき、
三は、大学が定め、または参画する特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職につけるときであります。
第三は、私立の大学の教員の任期についてであります。
これは、国立または公立の大学の教員について任期を定めた任用ができる三つの場合に該当するときには、学校法人は教員との労働契約において任期を定めることができるとしております。この場合、学校法人は、学長の意見を聞いて、あらかじめ教員の任期に関する規則を定め、公表すること等を定めております。
第四は、大学共同利用機関等への準用についてであります。
これは、大学共同利用機関等の職員のうち専ら研究または教育に従事する者について、国立または公立の大学の教員の任期に係る規定を準用することとしております。
このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
以上が、法律案の趣旨でございます。(拍手)
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大学の教員等の任期に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
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○議長(伊藤宗一郎君) 石井郁子君。
〔石井郁子君登壇〕
○石井郁子君 私は、日本共産党を代表して、大学の教員等の任期制に関する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
大学は、我が国の学術の中心であるとともに、学校教育の最終段階としての高等教育機関です。それだけに、国民は、国民の利益と社会の進歩に貢献する基礎的な研究などが旺盛に行われること、学生の教育が充実されることを期待しています。これらにこたえることこそ、二十一世紀を前にした大学の社会的使命であります。
ところが、本法案は、大学の教育研究の活性化の名のもとに、国立、公立、私立の大学教員に五年や三年などとの任期をつけて、期間の満了により退職という極めて身分不安定の状態に置くものであります。大学教員解雇法案という声が上がっています。
大学の教員が研究をしながら次の職探しに心を奪われるという前代未聞の提案に対して、多くの関係者が反対の声を上げたのは当然です。国立大学協会、私立大学団体連合会、大学基準協会などは当初から危惧を表明していました。今、国会には、全国から任期制反対のアピールが続々寄せられています。それらの声は、任期制を導入すれば、大学は活性化するどころか、混乱と低迷を招きかねないとの警告ではありませんか。
そこで、質問をいたします。
第一に、本法案によって導入される任期制が学問研究の発展を促すものかどうかです。
独創的、創造的な研究は、その成果を上げるまで長期の期間を要するものが少なくありません。湯川秀樹博士も、五年間論文を書かず、研究を重ねた末に有名な中間子論を発表し、ノーベル賞を受賞しました。また、考古学研究に必要な遺跡の発掘作業は、調査結果の公表まで十年単位の作業と言われています。次の職も危うい任期制のもとで、こうしたじっくり腰を据えた研究ができるでしょうか。任期制が時代を画する研究の芽を摘み取る危険を持つことについて、総理の御認識をお伺いいたします。
第二に、任期制によって大学教育が国民の期待するものになるのかという問題です。
今大学では、高学歴のエリートがかかわったオウム事件の衝撃も相まって、大学自身が大学教育のあるべき姿を真剣に探求しています。東京大学では、百二十年の歴史上初めて教育問題の全学的な検討を始めていますが、他の大学でもそうした努力が生まれつつあるのです。
大学教育の充実改善にとって大きな障害となっている一つに、我が国の大学教員が、欧米に比べ、近年特に入試業務などで過重な負担を負わされ、多忙化していることがあります。このような中で任期制を導入すれば、教員が研究業績を上げることに追われ、教育どころではないという状況に追い込まれるのは明白ではないでしょうか。また、次々に教員が入れかわるようでは、とても系統的な教育はできません。総理並びに文部大臣の見解を求めます。
任期制は、世界の流れに反しています。アメリカでは、教授職まで対象とした任期制をとっていましたが、学問の自由を守るために、教授などに終身在職の権利を保障する制度がほとんどの州で確立されるなど、身分保障を厚くする方向で進んでいます。文部大臣、一体、教授までも含めて任期制を導入している国はどこにあるのですか。
しかも、今ユネスコで検討中の、高等教育の教育職員の地位に関する勧告草案は「終身在職権は学問の自由を擁護する」と述べ、教員の身分保障によって教育研究を活発化していこうとしています。本法案は、明らかに世界の流れからも逸脱しているではありませんか。総理の見解を求めます。
文部省は、任期制導入は大学の判断にゆだねる選択的任期制だと言います。しかし、本当にそうかという声が大学から上がっています。なぜな
ら、財政誘導などによって大学に文部省の方針を押しつけるやり方は、この間目に余るものがあり、産業界の大学提言にも、「文部省による厳しく不透明な窓口指導」と指摘されているではありませんか。文部大臣、概算要求や新学部、新研究科設置の許可の際の条件などで任期制を押しつけないと断言できますか。
さらに、国立大学には、民営化を踏み絵に任期制を押しつける動きすら伝えられています。国立大学の民営化、地方移管というようなことを行うつもりなのか、お答えください。
大学の研究教育を本当に活発にするというなら、政府が行うべきは任期制の導入ではありません。例えば、法案提出の理由としている教員人事の流動化にしても、任期制が役に立つでしょうか。
アメリカのカーネギー教育振興財団による大学教授職国際調査によると、大学教員の定年までの平均異動回数は、任期制が基本的にないヨーロッパの方が任期制を一定範囲認めるアメリカより高いという結果が出ているのです。数字を挙げれば、アメリカは一人平均一・六二回、イギリスは一・七七回、ドイツは二回です。これは、かえって任期制をとらない方が教員の流動性が高くなることを示しています。日本は〇・七八回と確かに低い数字ですが、その原因は任期制がないからではなく、多くの関係者が指摘するように、我が国の大学間の極端な格差にこそあります。
文部大臣、この際、自由な人事交流を可能にするため、大学間格差を根本的に改めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
総理、これらを行うためにも、日本政府の高等教育予算は少な過ぎると思われませんか。我が国の高等教育費の国民総生産に占める割合は、欧米諸国と比べ四割から六割の水準にすぎません。大学の活性化を言うなら、まず大学予算を欧米並みに引き上げることを明確にして、その努力を始めるべきではありませんか。
任期制導入は、大学教員だけでなく国民全体の雇用の問題としても重要です。労働基準法は、一年以上の期間の定めのある雇用を禁じています。また、国家公務員法は、職員の期限つき任用を原則禁止しています。それを本法案は、大学教員に限って数年の任期つき雇用、任用を認めるもので、それらの法律を掘り崩す先鞭をつけるものにほかなりません。任期制の高校以下の教員への適用拡大を含めて、そうならないと断言できますか。労働大臣並びに文部大臣の答弁を求めます。
日本共産党は、以上の主張のもとに、大学教員任期制法案に断固反対するものであります。教員の身分を不安定にして、学術の中心たるべき大学の教育研究をゆがめてはなりません。
憲法の要請する学問の自由と大学の自治を守り、教育研究の一層の充実のために全力を挙げる決意を表明して、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 石井議員にお答えを申し上げます。
まず、任期制を導入することは時代を画する研究の芽を摘む危険があるという御意見でありますが、私はそうは思いません。むしろ、任期制の導入によって大学における教育研究の活性化を図ることによって、未知の分野を開拓していく創造的人材の育成や独創的研究の推進などに資するものと考えております。
次に、任期制導入による教育面への影響という御指摘がありました、
任期制は、大学において異なる経験や発想を持つ多様な人材を受け入れ、相互に刺激を与え合うことによって、教員の能力を向上させるものでありますし、これは研究面だけではなく教育面でも大きなメリットを有するものと考えております。
次に、身分保障と教育研究の関係についての御意見がありました。
身分保障を含む大学教員の人事制度は、各国においてさまざまなものがあると承知をいたしております。今回の法案は、教員の流動性を高めるための一つの方策として、各大学の判断によって、従来の定年までの継続任用に加え、任期を定めた任用もできるように法制面の整備を行うものであります。
次に、国立大学のあり方についてお尋ねをいただきましたが、現在、行政改革会議におきまして、国家機能のあり方や中央省庁の再編などを検討しております。国立大学のあり方につきましても、その中で検討していく必要があるものと考えております。
次に、大学予算についてのお尋ねがございました。
財政構造改革における歳出の改革と縮減は一切の聖域なしということを繰り返し申し上げてまいりました。高等教育予算につきましても、聖域なく見直すこととしておりまして、現在、財政構造改革会議において具体的に検討いたしておるさなかであります。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣小杉隆君登壇〕
○国務大臣(小杉隆君) 石井議員のお尋ねは、次の八点に集約できると思います。
まず第一は、任期制の導入による教育への影響についてでありますが、大学において教育面での業績評価が適切に行われることによって、一層すぐれた教育指導が期待されること、また、多様な知識経験を有する人材を大学に受け入れることによって、より充実した教育指導を受ける機会を学生に提供することなど、教育上のメリットがあると考えております。さらに、各大学において組織的な教育研究指導等を強化することにより、任期満了により教員が異動しても教育面の継続性を保つことはできるものと考えております。
第二に、教授まで任期制を導入している国についてのお尋ねでありますが、任期制を導入しているアメリカやドイツでは、助教授あるいは助手や講師といった教授に就任する以前の職については、一般的に任期を付した雇用がなされております。しかし、これらの国においても、法律上、教授に任期制を導入することは必ずしも禁止されているものではなく、教授を任期つきで採用できないわけではないと考えております。
なお、今回の法案では、助手から教授まで一律に任期制を導入するのではなく、大学の判断により、教育研究上の必要に応じて任期制をとり得ることとするものであります。
第三に、任期制導入は世界の流れからも逸脱したものではないかとのお尋ねでありますが、身分保障を含む大学教員の人事制度については、ユネスコ加盟各国においてもさまざまなものがあると承知しております。今回の法案は、教員の身分保障に十分配慮しつつ、大学における教育研究を活性化するために、各大学の判断により、従来の定年までの継続任用に加えて、任期を定めた任用も
できるように法制面の整備を行うものであります。
第四に、任期制導入を押しつけるのではとの御指摘ですが、今回の大学教員の任期制は教員の流動性を高めるための一つの方策であり、任期制を導入するかどうかは各大学の判断にゆだねるという選択的任期制の考え方をとっております。したがって、文部省としては、大学に対して概算要求や新学部、新研究科の設置の際に任期制の導入を強制するようなことは考えていないところであります。
第五に、国立大学の民営化、地方移管についてのお尋ねでありますが、国際的に見ても、高度の学術研究とすぐれた人材の養成という高等教育の基幹部分の実施は国家発展の基盤を形成するものとして国の責務と考えられており、我が国の国立大学は、高度の学術研究の推進と計画的な人材養成確保や大学教育の地域的偏りのない全国的な展開に重要な役割を果たしております。行政改革会議等に対しても、今後、このような国立大学の果たしている役割等について十分説明していく必要があると考えております。
第六に、任期制の導入は大学教員人事の流動化に役立つかとのお尋ねでありますが、任期制の導入により、任期を定めることとした職には一定期間ごとに教員の異動の機会が生じることになります。このことによって、他の大学や研究機関等との人材交流が促進され、教員の流動性が高まることになると考えております。
第七に、大学間格差を改め、大学全体の教育研究条件整備を急ぐべきとのお尋ねでありますが、各大学には固有の歴史や沿革があり、現状におけるそれぞれの規模や内容は異なっておりますが、文部省としては、今後とも、各大学の教育研究の活性化に向けた多様な取り組みを支援してまいります。
なお、大学の教育研究条件の整備につきましては、厳しい財政事情のもとではありますが、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
最後に、高校以下の教員への適用拡大についてのお尋ねですが、今回の法律案は、大学教員の職務の特殊性に基づき、定年までの継続任用の例外として、教育研究上の要請に応じて任期を定めて教員を任用する必要がある場合について任期制を導入できるようにするものであります。したがって、この法律案の対象を高校以下の教員に適用することは考えておりません。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣岡野裕君登壇〕
○国務大臣(岡野裕君) 石井先生にお答えをいたします。
終身雇用制は、先ほども総理のお話がありました我が国の労働慣行の一つでございます。したがいまして、この終身雇用制につきましても、総理お話しのとおり、労働慣行が今変容されつつあるという意味合いでは同じであります。そういうことで、任期制導入そのものが直接的には終身雇用制に影響するものではない、かように考えております。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。



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