140-衆-文教委員会-10号
1997年04月25日
石井郁子議員 質問部分 採決部分 会議録


平成九年四月二十五日(金曜日)
    午前九時四十一分開議
出席委員
  委員長 二田 孝治君
   理事 稲葉 大和君 理事 河村 建夫君
   理事 栗原 裕康君 理事 田中眞紀子君
   理事 佐藤 茂樹君 理事 藤村  修君
   理事 山元  勉君 理事 石井 郁子君
      岩永 峯一君    栗本慎一郎君
      佐田玄一郎君    島村 宜伸君
      谷畑  孝君    中山 成彬君
      松本 和那君    柳沢 伯夫君
      山口 泰明君    渡辺 博道君
      井上 義久君    池坊 保子君
      旭道山和泰君    西 博義君
      西岡 武夫君    三沢  淳君
      鳩山 邦夫君    肥田美代子君
      山原健二郎君    保坂 展人君
      粟屋 敏信君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 小杉  隆君
 出席政府委員
        文部政務次官  佐田玄一郎君
        文部大臣官房長 佐藤 禎一君
        文部省生涯学習局長      草原 克豪君
        文部省初等中等教育局長    辻村 哲夫君
        文部省高等教育局長      雨宮  忠君
 委員外の出席者
        文教委員会調査室長      岡村  豊君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 放送大学学園法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)
     ――――◇―――――

○二田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、放送大学学園法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。

    ―――――――――――――

○二田委員長 次に、石井郁子君。

○石井(郁)委員 今回の改正では衛星による放送が開始されるわけで、また放送大学の放送が全国で受信できるということになるわけですから、全国的に卒業生を送り出すことが可能となるということかというふうに思うんですね。そうしますと、そういう全国放送の開始とともに、放送大学を卒業したい、こういう希望者も大幅にふえるだろうというふうに思われるわけです。
 そこで、当然ですけれども、それにこたえる体制というものが必要だろうということで、特に、全科履修生に義務づけられている面接授業の体制あるいは学習センターの拡充、これは先般の質疑にもございましたけれども、その点についてもう一度伺っておきたいと思います。

○草原政府委員 現在各県に設置を進めております地域学習センターにおいてはビデオテープ等を活用した学習が行われているわけでありますけれども、全国化に伴って、委員御指摘のとおり、卒業に必要な面接授業を実施する場としてこの地域学習センターをさらに整備していく必要があると考えております。当面は、地域学習センターそのものがまだ設置されていない県が四県ございますので、これら四県においては早期に地域学習センターを設置していきたいと考えております。
 またその後、全国化に対応した学習センターの整備ということにつきましては、先ほど申し上げたような面接授業の実施ということを踏まえまして、これも平成十年度に全国一挙にそういう体制を整えるということは難しいかと思いますけれども、年次計画によって、平成十年から四年間を目途にすべての地域において全科履修生が受け入れられるように整備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

○石井(郁)委員 地域学習センターがどのようになっているのかということで、私も、大阪の場合、たまたま大阪教育大学がセンターとなっている、私は大阪教育大学におりましたのでちょっと尋ねてみたんですよ。そうしましたら、やはり学生からも、全科履修で大学を卒業したいという声は大変多い、熱望されていると聞きました。全科履修センターとしての設備の拡充ということはぜひやってほしいということでございました。
 今のお話の中では、そういう点では、例えば大阪の地域学習センターでは、土曜、日曜はもう二百人を超えている、ビデオの再視聴学習室には四十台で、待ち時間などもあるということも聞いていますし、また全科目履修センターということになると、やはり設備の増設が要るんだということですね。特に大阪教育大学は老朽化しているところもございますので、そういう点の充実ということも当然考えておられると思いますけれども、念のため一言例答弁いただきたいと思います。

○草原政府委員 地域学習センターを全国化に対応した学習センターとして年次的に整備していくに当たりましては、まず地域間のバランスとかあるいは学生の規模それから地域的な特性等を考慮しながら、そしてまた財政当局とも調整した上で
順次進めていきたいと思っております。
 そして、平成十三年度を目途にそのような体制の整備を完了させたいと思っておりますが、その整備に当たりましては、面接授業等が実施できるようにということは当然でございますけれども、しかし同時にコスト意識ということも十分考えなきゃいけないわけでありまして、設置されている大学あるいは周辺の教育機関の協力をいろんな面でできるだけいただきながら、地域学習センターの機能が十分に果たせるように整備を進めていきたいと考えております。

○石井(郁)委員 面接授業についてさらにもう一点ぜひ伺っておきたいんですけれども、放送大学がテレビやラジオの受講だけでよいというものではないのはもう言うまでもないことであります。多くの学生が、本格的に学びたい、特に面接授業というのを大変望んでいるということも強調したとおりでありますけれども、その点は、放送大学学園要覧、入学案内にもはっきり書かれてあるとおり、面接授業は、教室等において教員から直接指導を受ける機会として重要であるばかりではなく、学生相互の啓発や親睦の面において大きな意義がありますというふうにあるわけですが、実際に放送授業科目の単位取得率が三割であるのに対して、面接授業科目では八割以上なんですね。ですから、いわゆるスクーリングが学生の単位取得を大いに励ましているというふうに言ってもいいかと思うんです。
 そういう点は当然だろうと思うんですが、にもかかわらず、今開校から十年以上が経過して、先ほど来学習センターの未設置県があるという問題もございますし、もう一つ、これは放送大学が九五年三月に出されました「放送大学の現状と課題」がございますね。この中では、全国化に備えて面接授業の義務制を緩和する、こういう方向が打ち出されているんです。ちょっと私は驚いたわけです。
 この点は、スクーリングの重要性というのは当委員会でも何度となく審議され強調されてきたというふうに思うんですね。また、文部省が基本構想として重視してきた正規の大学である、こういう方向とも逆行するというふうに私は思うんですが、文部省の見解をぜひ伺いたいと思います。

○草原政府委員 放送大学を含めて通信制の大学にとっては、実際に学生が教師と接する場である、それから学生同士が顔を合わせる場である面接授業というのは大変重要な役割を果たしているというふうに思っております。
 「放送大学の現状と課題」という報告書ですが、これは放送大学の中に設置された自己点検・評価委員会が平成七年三月に取りまとめたものでございます。その中で面接授業の「義務制については、これを緩和する方向で検討する必要があると思われる。」こういうふうに提言されているわけでありますけれども、この趣旨は、全科履修生の中にも多様な学習目的を持っている者がおりますので、面接授業を一律に必修にする必要はないのではないか、こういう指摘もあるということを言っております。
 それからまた、放送大学の場合にはテレビによる授業でございまして、一般の通信教育とは異なって、ある程度テレビによる授業そのものに対面的な要素もあるので、面接授業に代替できるんではないか、そういう考え方もある、こういう考え方を紹介した上で、その緩和について検討をする必要がある、こういう内容の提言でございます。
 これはあくまでも放送大学の中における検討結果でございますけれども、いずれにしても、この面接授業のあり方については現在大学審議会において議論されているところでもありますので、それを見守ってまいりたいと考えております。

○石井(郁)委員 私が申し上げたのは、文部省としてスクーリングの重要性、あるいは正規の大学としての方向をこの大学に課してきたわけですから、そういう点を今後もきちんと踏まえていくのかどうかという点なんです。大学の中のいろんな議論はあるかもしれません。しかし、文部省としてどうなのか。やはりもう少し責任ある答弁が求められると思うのですが。

○草原政府委員 面接授業は大変、放送大学を含めて通信制の大学で重要な役割を果たしているわけでありまして、この点については考え方は特に変わることはないと思いますけれども、ただ、先ほど御紹介しましたように、放送大学の検討の中で、いろんな学習目的を持っている者に対して一律に面接授業を必修にする必要があるのかどうか、あるいは、テレビによる授業にはそういう対面的な要素も含まれているから、それである程度は代替できるのじゃないかという考え方にもそれなりの理屈はあるような感じがいたしますので。しかし、これは放送を使った通信教育における面接授業のあり方という基本的な事柄でもありますから、大学審議会における検討を待って対応したいと思っております。

○石井(郁)委員 放送大学に入学された四十八歳の女性の方が、授業だけでなく合宿ゼミあるいは自主ゼミ、こういうところにも参加されて、こんな感想を述べられているわけです。「それまでの人生には経験したことのない学ぶ楽しさを知りました。」それで、放送大学の役割をやはり大いに感じるというか、意義を果たしているということは思うわけですけれども、また、そういうスクーリングの大切さということがこういうところにもあらわれているというふうに私は思いますけれども、ここで、こういう問題と関連して伺いたいのは、この授業をされたのは教育学研究者の深谷昌志氏でございます。
 深谷先生の授業に対してこういう感想が述べられているのですが、放送大学は任期制を導入した日本で最初の大学ですよね。しかも五年という任期であります。一九八九年に、この深谷先生を含む三人の方が大学を離れるという事態になっています。なぜ再任されなかったのか、このことについてちょっと簡潔に御説明ください。

○草原政府委員 平成元年の三月三十一日に任期満了となった深谷教授はか二名の教員については、当初はこの三名とも任期制を守って、任期到来を待って退職をする、こういう意思表示をしていたわけでありますけれども、その後、そのうち二名が当初の意思表示を撤回して再任を希望した、こういう経緯がございました。このことについて当時の放送大学の評議会において議論をいたしまして、その結果、今回は任期をそのまま遵守し、再任を行わないことが放送大学の将来にとって最善であるという共通認識に達した、こういう結論を出しております。そして、二名の教授から提出された再任審査の希望に対しては、この理由によって再任審査を行わないこととした、こういうふうに決められたわけでございます。

○石井(郁)委員 今の説明ではどうもよくわかりません。なぜ再任されなかったかというふうに私は聞きましたし、そのためになぜ再任の審査をされなかったのか、この理由も述べられませんでした。
 それで、この問題については当事者の先生方がこういう本を書かれていますよね。「放送大学で何が起こったか あらためて「大学」を問う」という本がありますので、その中に基づいてちょっと私は質問したいわけですけれども、再任がされないということを学長がその先生方に通告されるわけですよね、学長からの申し出というか。その理由はこういうものでありました。「懇親会などの酒席に出席する率が低い。」二点目に、「研究業績があまりに多いのは、自分で論文を書かずに、名前だけつけているのではないかという人もいる」、三つ目には「卒論をあなたのもとで書く学生が多い」、こういうことが言われたそうです。
 一体、こういうことは理由になるんだろうか、私は驚くべきことだというふうに思うのですが。ですから、この人事というのは非常に恣意的なものではないのか、客観性もなければ透明性もないという点でもそう言わざるを得ないわけですけれども、文部大臣はこの事態をどのようにお考えでしょうか。

○小杉国務大臣 私は、放送大学の任期制という
のはぜひ必要だと思っております。といいますのは、これからCS放送によって全国化が図られて、受講生が激増すると我々も期待しておりますし、努力をしていかなけりゃいけない。そのためにはすぐれた教員をやはり確保する。これはもう地域的にも全国規模でいい人材を集める、あるいはまた各分野、特にこの放送大学は三百講座ぐらい、非常に多岐にわたっておりますので、それぞれの道のすぐれた教員を確保するということで、そういう見地から考えますと、同じ人がずっとやっているということよりも、まあ五年程度で任期をつけて新陳代謝を図るといいますか、いい人材を確保するということは大事だと思いますので、基本的に私は任期制が必要だというふうに考えております。
 そこで、今御質問の具体例につきましては、先ほど草原局長からお答えしたわけですけれども、これはさっき答弁したとおりで、これは放送大学の自主性において、そこの評議会で十分審議をしていただいた結果、今回は任期をそのまま遵守し、再任を行わないことが本学の将来にとって最善であるとの共通認識に達した、こういうことで最終決定をした、そして本人もこの決定を承諾したというふうに聞いておりますので、御指摘のような問題は、私は杞憂だと考えております。

○石井(郁)委員 私はちょっと事実が違うのじゃないかと思いますが。この本をお示ししたわけですけれども、決して本人は承諾していないんですよ。だから、なぜ再任されないかということと、なぜ再任の審査も行わなかったのか。本人は再任審査を要求しているわけですけれども、その審査さえ行われない、このことが問題なんですよ。ですから、こういう形で再任拒否されるということがあっていいのかという問題を言っているわけであります。
 先ほど理由を、本当に驚くべき理由ですよね、こういう理由を言われて、当事者として当然引き下がれないじゃないですか。どうでしょうか。これから任期制が議論になるわけですが、例えば研究業績はどうかとか、学生の指導がどうかとか、こういうことが幾つか言われているわけですけれども、先ほどの理由でもいわば、論文はたくさん書かれている、それから学生の指導も熱心だ、卒論でつく学生も多いということがあるわけで、こういうことが逆に拒否の理由になるとしたらやはり、とにかく任期制のもとではその任期内でみんなやめてもらうということでしかないわけですね、何が何でもやめてもらう。
 じゃ、内規などにも再任の可能性も書いているわけですよね、それは全く有名無実というか意味がないということになるわけですね。大臣に再度伺いたいと思います。

○草原政府委員 大学の教員大事については、これは放送大学の自治で行っているものですから、私どもとしてその判断そのものについてコメントをすべき立場ではないと思いますけれども、いずれにしても、このお二人の方については大学の最高意思決定機関である評議会において、先ほど申し上げたような形の決定を十分議論した末出したわけでありますし、最終的にはこの決定をお二人とも承諾しているというふうに開いておりますので、問題はないと思います。

○石井(郁)委員 放送大学はそういう内規をもって進めているわけですけれども、学長とか評議会に非常に権限が集中している。だから評議会にも学長が議題を提案するということですよね、それ以外にないわけですね。そしてこの経過のように学長が、あなたはこういう理由でやめてくださいと言ったら、その根拠も示されない、どういう議論があったかの中身も示されない。ですから、本人にはもう本当に不明朗な形で一方的に通告される。私は、これがやはり任期制なんだろうというふうに思うのです。だから、教員の人事、大学の教授会の自治にゆだねられている、その教授会の自治ということが全くこれではまかり通らないというふうに言わなければいけません。
 それで、この審議はこの復されるわけですけれども、最後に一点だけ、アメリカの大学では、テニュア、終身雇用の保障という制度がございますね。教員の解雇などが相次ぐ中で、こういう権利侵害を起こさせてはいけないという形でテニュア法などが制定されている。だから、教員の身分の保障、または定年までの安定雇用ということは世界の流れだというふうに私は思うのです。そしてまた、それは歴史にも学んでいるからこそ、そういう任期制などをつけてはならないということだというふうに思いますので、このことを指摘をいたしまして、きょうの質問は終わりにしたいと思います。

    ―――――――――――――

○二田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、放送大学学園法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○二田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。


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