140-衆-逓信委員会-3号
1997年03月17日
石井郁子議員 質問部分 採決部分 会議録


平成九年三月十七日(月曜日)
   午前十一時三十分開議
出席委員
  委員長 木村 義雄君
   理事 亀井 久興君 理事 岸本 光造君
   理事 熊代 昭彦君 理事 古屋 圭司君
   理事 河合 正智君 理事 河村たかし君
   理事 伊藤 忠治君 理事 矢島 恒夫君
      飯島 忠義君    佐藤  勉君
      斉藤斗志二君    園田 修光君
      竹本 直一君    中川 昭一君
      野田 聖子君    野中 広務君
      山口 俊一君   吉田六左エ門君
      赤松 正雄君    石垣 一夫君
      遠藤 和良君    神崎 武法君
      永井 英慈君    原口 一博君
      北村 哲男君    肥田美代子君
      石井 郁子君    横光 克彦君
      小坂 憲次君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 堀之内久男君
 出席政府委員
        郵政政務次官  野田 聖子君
        郵政大臣官房長 天野 定功君
        郵政大臣官房総務審議官    高田 昭義君
        郵政省放送行政局長      楠田 修司君
  委員外の出席者
       参  考  人(日本放送協会会長)     川口 幹夫君
       参  考  人(日本放送協会専務理事・技師長)       長谷川豊明君
       参  考  人(日本放送協会専務理事)    齊藤  曉君
       参  考  人(日本放送協会理事)      中井 盛久君
       参  考  人(日本放送協会理事)      菅野 洋史君
       参  考  人(日本放送協会理事)      河野 尚行君
       参  考  人(日本放送協会理事)      石渡 和夫君
       参  考  人(日本放送協会総合企画室〔経営計画〕局長)  稲葉 和彦君
       参  考  人(日本放送協会経理局長)    酒井  伸君
       逓信委員会調査室長       丸山 一敏君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
 放送法第一二十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
     ――――◇―――――

○木村委員長 これより会議を開きます。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。
    ―――――――――――――

○堀之内国務大臣 ただいま議題とされました日本放送協会の平成九年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして、御説明申し上げます。
 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣の意見を付して国会に提出するものであります。
 まず、収支予算につきまして、その概略を申し上げます。
 受信料につきましては、現行のカラー契約月額千三百七十円を千三百九十五円に改める等の改定を行うこととしております。
 一般勘定事業収支につきましては、事業収入、事業支出とも六千百九億円となっております。
 一般勘定資本収支につきましては、資本収入、資本支出とも七百四十七億円となっており、放送設備の整備など建設費に六百二十二億円を計上しております。
 次に、事業計画につきましては、公正な報道と多様で質の高い放送番組の提供に努めること、デジタル放送技術等新しい放送技術の研究開発に取り組むこと等を計画しており、あわせて、経営全般にわたり効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努め、視聴者に信頼され、かつ、創造性と活力にあふれた公共放送を実現していくこととしております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。
 郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等につきまして、おおむね適当であると認めた上で、事業計画等の実施に当たっては、事業運営の刷新、効率化を徹底するとともに、配意すべき事項として、受信料収納の促進と経費の節減、財務内容の開示等を指摘した意見を付することといたした次第であります。
 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。

○木村委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長川口幹夫君。

○川口参考人 NHK会長の川口幹夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ただいま議題となっております日本放送協会の平成九年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。
 平成九年度の事業運営に当たりましては、公正な報道と多様で質の高い放送番組の提供に努めるとともに、新しい時代や社会の要請にこたえるため、番組編成の積極的見直しと番組の充実を行い、国民生活に欠かせない公共放送としての役割を果たしてまいります。また、新しい放送技術の研究開発などにも積極的に取り組むことといたします。
 あわせて、協会の主たる経営財源が視聴者の負担する受信料であることを深く認識し、経営全般にわたり効率的な業務運営を徹底するとともに、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努め、視聴者に信頼され、かつ、創造性と活力にあふれた公共放送を実現してまいる所存であります。
 平成九年度の主な事業計画につきまして、御説明申し上げます。
 まず、建設計画につきましては、緊急報道体制強化のための設備の整備を行うとともに、衛星放送やハイビジョン放送設備の整備及び放送会館の整備等を実施することとしております。
 次に、事業運営計画につきまして申し上げます。
 国内放送におきましては、多様な視聴者の要望にこたえて、番組の充実を図り、信頼感のある公正で的確なニュース、情報番組及び人々の共感を呼ぶ豊かで潤いのある番組の提供に努めるとともに、地域に密着した放送サービスの充実強化、字幕放送の拡充等の福祉番組の充実を行ってまいります。
 国際放送におきましては、国際間の相互理解と国際交流に貢献するとともに、海外在留の日本人に多様な情報を的確に伝えるため、音声による国際放送の充実に努め、映像による国際放送を拡充いたします。
 契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度の周知徹底を図るとともに、効果的、効率的な営業活動を行い、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めてまいります。なお、受信料の月額は、引き続き据え置くことを基本としますが、消費税率の引き上げ及び地方消費税の導入に伴う税負担の適正な転嫁を行うことといたします。
 調査研究につきましては、新しい放送技術の研究開発を行うとともに、放送番組の向上に寄与する調査研究を積極的に推進し、その成果を放送に生かし、また、広く一般にも公開することとしております。
 以上の事業計画の実施に当たりましては、経営全般にわたり業務の見直しを一層徹底し、要員については、年度内九十人の純減を行い、総員一万二千九百八十六人とし、給与につきましては、適正な水準を維持することとしております。
 これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支で収入総額六千百九億九千万円を計上し、このうち、受信料については、五千九百四十五億円を予定しております。これは契約総数において四十六万件、衛星契約において八十万件の年度内増加を見込んだものであります。
 これに対し、支出は、国内放送費など、総額六千百九億九千万円を計上し、収支の均衡を図っております。
 次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百二十二億円、出資二十一億一千万円、放送債券の償還等に百四億二千万円、総額七百四十七億三千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源として、前期繰越金、減価償却資金及び借入金など、総額七百四十七億三千万円を計上しております。
 なお、受託業務等勘定におきましては、収入四億九千万円、支出四億一千万円を計上しております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものでございます。
 以上、日本放送協会の平成九年度収支予算、事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、効率的な業務運営を行い、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。
 委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようにお願いいたします。
 ありがとうございました。

○木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――

○木村委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。

○木村委員長 石井郁子君。

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 来年度予算の最大の問題は、消費税増税分を転嫁することによる受信料の値上げたと思うわけでございますが、まずこの問題で伺います。
 五%への税率アップは、さきの総選挙での公約違反という点でも、また経済白書でさえ異常と言うほどの長期にわたる低成長のもとでの大増税という点でも絶対に許されないことであり、日本経済のかじ取りを誤るものです。しかも、多くの国民が今なお強い反対を持っている中で押し切られようとしているわけであります。
 NHKが昨年十二月に実施いたしました「くらしと政治」の世論調査がございますけれども、消費税率については引き上げるべきではないとした人が五六・三%でした。やむを得ないという方が三〇%ですから、二倍近くに上っているわけであります。これが国民の意思でありまして、日本共産党は消費税の税率アップに反対を貫くものであります。
 同時に、受信料が消費税増税分値上げされるということは、受信料の基本にかかわる問題だというふうに思います。
 言うまでもなく、受信料はNHKの放送サービスの対価ではありません。公共放送であるNHKを財政的に国民全体で支えるという趣旨の制度であります。政府もNHKも、この受信料を、特殊な負担金という言い方で、放送サービスに対する料金ではないと説明をしてきました。一方消費税は、その名前のとおり消費とサービスの対価に課税する税金であります。放送サービスの対価でない受信料にサービスの対価に課税する消費税がかかる、これは根本的に矛盾することではありませんか。
 NHKは、消費税導入時から、受信料は放送サービスの対価ではないので消費税が課税されるのはおかしいと言ってきました。例えば前の会長の島さんは、私どもといたしましてはあくまでNHKの受信料は消費税の対象にならないという考え方で当初おりまして、これは関係各方面に強く働きかけましたとか、NHKの受信料についての消費税はなくしてもらいたいという気持ちはあるかという質問に対しまして、そういう希望は持っておりますけれども国会の意思で決まる問題という答弁をされているわけです。この見解は現在も変わらないでしょうか。
    〔委員長退席、熊代委員長代理着席〕

○中井参考人 島会長の答弁を引用されましたけれども、消費税そのものについては、これはどちらかというと前会長が言われているような範疇に入ると思っております。
 ただし、今、ことしのこの予算においては、既に放送サービスに類似するものという政府の判断が出まして、既に三%の消費税は今現在入っております。それのなお二%、五%にしたということでありまして、そういう改定をさせていただいたということであります。

○石井(郁)委員 NHKとしまして、受信料にかかる消費税を納税しなければならないということはあるかと思います。この点で言えば、すべての業者に共通することであります。
 しかし、このことと、サービスの対価ではない
受信料を消費税の対象にするのはやはりおかしい、こういう正論を言い続けることや、また課税対象としている税務当局に改善を求め続けるということとはやはり次元の違う問題だというふうに思うわけです。既に今三%が決められているというお話ですけれども、受信料への消費税の課税というのは、消費税法の中にあるのではありません、消費税法施行令、つまり政令で決められているわけです。ですから、消費税の対象になるべきでない受信料がこうした政令によって課税対象となったのは御存じのとおりでございまして、売上税失敗の教訓から、当時の竹下内閣が、非課税品目をつくらない、こういう強引な姿勢で臨んだというふうに言われているとおりであります。NHKの受信料を非課税にすれば民放や新聞も非課税にしろということになるわけでして、こういう政治的な戦略の犠牲にやはり受信料がさらされたのではないかというふうに思うわけです。
 会長に改めて伺いますけれども、こういう受信料への消費税の課税は不合理だという認識はお持ちでしょうか、また、受信料への課税はなくしてもらいたい、そういう希望は今でもお持ちかどうか、ぜひ伺いたいと思います。

○川口参考人 島会長がそのような発言をしたことは知っております。私はそのときに実はNHK外におりましたので、いわゆる消費税というものの性格については、受信料がそれに当たるかどうかについては私も多少疑問を持っていました。
 それで、局内としては、島君のそういう考え方をもとにして、たしか消費税は受信料にはなじまないという考え方でもっていろいろお諮りしたはずです。ところが、税務当局の方とのいろいろな折衝の結果、やはり受信料も消費税対象にせざるを得ないというふうな判断が出たということを聞いておりまして、判断が出た後は結局それに従わざるを得なかったというふうな経過だろうと思います。
 それで、私は、平成三年に島君の後に会長になりましたので、この問題については決まった形で受けとめましたので、今さら、もう一遍その消費税問題をもとに返して云々というところまでは実は考えておりません。
 ただ、消費税が上がればそれは全部転嫁すればいいのだというふうな単純な理屈も持っておりませんで、現にこの前の当委員会で、矢島委員の御質問にそのことは初め考えていないと申し上げた。ところが、事務当局と話をしますと、その段階で、消費税の分のお金が年間に大体百十億入ってこなくなる、そうすると、これまで立てていたNHKの経営計画というものが大幅に崩れてくることになります。それを崩してもいいから新しくやり直せばいいではないかという考え方は当然あるわけです。それをどのようにするかいろいろ悩みましたけれども、結果としては、税率をそのまま受信料に転嫁することによって協会の経営的基盤を何とかきちんと安定化しようというふうに思ったのでございます。そういう御返事をしましたので、本日もそのような考え方を持っているということをお伝えいたします。

○石井(郁)委員 そういうNHKとしての事情ということも述べられましたけれども、やはり受信料は、放送サービスの対価ではない、また、国民みんなで公共放送を財政的に支えるお金なのだ、サービスとか、消費とか、また役務の提供などということに当てはまる性格のお金ではない、こういうことを言い続けることはやはり大変大切だというふうに思うのです。それは、受信料への消費税課税が間違いだ、この間違いを正すことがやはり受信料のこうした性格を守ることになる、受信料制度の基本を守ることになるというふうに考えるからであります。
 NHKとして、こうした受信料制度と消費税課税はやはり矛盾する、こういう原則的な立場に立ってほしいと思いますし、また、今は既に納税しなければいけないということですけれども、やはり改善を求め続ける、こういう立場に立ってほしいというふうに思うわけです。こういう点で、再度、ちょっと会長の御見解も伺えたらというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

○川口参考人 そのとおりに、変えますというふうに申し上げたいところですけれども、消費税の問題については、既に私の覚悟は決まっておりましたので、これを今がらりと変えて、また消費税については考え方を改めますというふうにはちょっと今のところ申し上げられません。
 ただし、これを、受信者、消費者の立場から見ないといけないと思うのです。それはもうごもっともです。ですから、余りにも不当なことにならないように、きちんと私どもが受信者を説得し、一々お回りするときにそのことについては御理解を得たいというふうに思っておりますので、御承知いただきたいと思います。

○石井(郁)委員 私は、筋論で話したかもしれませんけれども、消費者にお願いするという筋ではなくて、受信料の性格と消費税課税ということとは矛盾するのだという点をNHKとしてはやはり主張されるべきではないかという、そのことが消費者にやはり納得していただく道ではないかというふうに思うのです。こういうことで申し上げましたけれども、この点は以上で終わらせていただきます。
 次に、番組編成に関して、具体的な例で一つ御要望を申し上げたいと存じます。
 現代社会では、子育てが大変難しくなっているということが言われていますし、そういう子育てに関する的確な情報ということが大変必要になっているというふうに思います。NHKでは、今、「すくすく赤ちゃん」という四十五分番組が教育テレビで放映されていますが、時間帯を見ますと、土曜日の一時二十分です。再放送が月曜日の三時十五分からなのです。これでは働く女性がなかなか見られる時間帯ではない。総合テレビでも、私の印象では、最近子育てに関する番組というものは少なくなっているようにも思うわけであります。
 核家族化が進んで、母親も父親も子育てに大きな悩みを持っています。その一方では、ダイレクトメールや雑誌などで赤ちゃんや子供向けの商品の情報は次々と届けられている、病気やけがのときどうしたらいいかとか、ミルクや離乳食やおむつやおもちやや絵本などについていろいろあるわけですが、商品提供とは無縁のNHKに、良質の番組をつくってほしい、そしてまた、知りたい情報を提供してほしいという声は大変強うございます。さらに、働く女性が見ることのできる時間帯でそうした番組が検討されてもいいのではないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
    〔熊代委員長代理退席、委員長着席〕

○齊藤参考人 確かに、今先生がおっしゃるように、直接子育てに役立つような番組そのものはそう多くはございません。いろいろな形で支援する情報はこれからもいろいろ考えていきたいと思っております。
 今お話しのように、教育テレビで「すくすく赤ちゃん」というのが育児に関する番組として定時化されておりますけれども、四月から、土曜日の昼一時台、それから金曜日の二時台に放送する予定にしております。土曜日の放送は、週休二日制がだんだん浸透している中で、これは、子育てについてはお父さん、父親にも見てもらいたいという考えからでございます。
 そのほかに、総合テレビの朝の「生活ほっとモーニング」という主婦向けの番組がございますけれども、ここでも随時取り上げております。それから、土曜特集等で、つい最近でございますけれども、「愛しの三つ子ちゃん」というのを取り上げまして、三つ子の子育てを通じて一般の母親などに役立つ子育てのヒント、情報を多く伝えました。たくさん反響もいただきました。
 いずれにしても、これからそういった子育てを支援する情報もだんだん取り組みを強化していきたいなというふうに思います。

○石井(郁)委員 総理府の調査を見ても、一九九〇年代に入りまして、働く女性が全体で五〇%を超えています。それから、出産、子育ての世代と
思われる二十代後半から三十代で見ても、過半数が働いているのです。これは、今までは、そういう出産、子育ての時代は家に入ると思われていたのですけれども、そうではなくなったという点で、新しい変化ですよね。そういう点では、ぜひこうした時代の変化にあわせて番組編成も検討されて、子育て支援番組というものを、今御答弁いただきましたけれども、もっと充実をしていただきたいという希望を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。

○木村委員長 矢島恒夫君。

○矢島委員 私、まず、字幕放送の充実の問題で幾つかお尋ねしたいと思います。
 私もこの委員会でしばしば、NHKは公共放送として字幕放送にも積極的に取り組んでいただきたい、こういうことを申し上げてまいりました。これに対して、川口会長を初めそれぞれ積極的な決意がこれまでも表明されておりました。特に、昨年は計画をもって拡充していく、こういう答弁をいただきました。確かに、総合テレビでは、決して十分とは言えませんけれども、放送時間はふえてきております。しかし、NHKのテレビ放送全体から見ると、遅々として進んでいないのが現状ではないかなと思うわけです。
 そこでお尋ねしますが、NHKのテレビ放送全体の中で、いわゆる字幕放送が占める割合、これは何%ぐらいか、お答えいただきたいと思います。

○齊藤参考人 これは、平成八年度について申し上げますけれども、総合テレビの字幕化率、これは現在一一・八四%でございます。私どもは、まだ教育テレビあるいは衛星等では今現在始めておりませんけれども、そういう中で、衛星二つ、それから教育、総合と全部合わせた全体の字幕化率で申し上げると、三・三一%、これは九年度ですから、八年度で申し上げれば二・九二%ということになります。

○矢島委員 今お答えいただきました地上二波、衛星二波、それの割合が九年度で三・三%ぐらい。あとハイビジョンもありますが、試験放送だという意味はありますけども、さらにNHKの放送ということになれば、全放送に対する割合となるとこれよりも下がってきてしまうというのが現状だろうと思うのです。
 これまで、NHKの字幕放送といいますと、どうしても総合テレビの中の字幕放送がどれだけふえてきたかということが問題になってきた。また、それだけが問題になってきていた。
 例えば、これは郵政省の「視聴覚障害者向け専門放送システムに関する調査研究会報告書」、昨年度のです。これにも、こんなふうな記述になっているのですね。「NHKについては、昭和六十年の開始以降、着実に増加してきており、平成八年三月現在、」先ほど御答弁があったとおりですが、「全放送時間に占める割合は一一・八%となっている。」全放送に占める割合はというのは、これは総合放送の中に占める割合が先ほどの御答弁のように二・八四%、こういう意味でこの報告書には書いてあるわけなんですが、実は、その中に、いわゆる総合テレビの全放送という注釈は何も入っていないのです。これくらい字幕放送というものが、総合テレビの中でどうなっているかということだけしか問題になってこなかったという点を私指摘したいのです。
 先ほども申しましたように、地上、衛星、ハイビジョン、五つの波があるわけであります。この五波の中で、いわゆる聴覚障害者は総合テレビだけ見ていればいいんだよ、決してそういうものではないと思うのですね。総合でやっと二けた台ですから、先ほどのNHKの教育、衛星を含めますと三・三%という状況、これは在京の民放局と比べて、まあ多いですがそんなに変わらないのじゃないかという点。
 ですから、そういう現状認識といいますか、NHKの放送の中で、どれだけを今字幕放送は占めているのか、こういう認識をきちっと持っていただきたいと思うわけです。
 そういう点で、会長の現状の御認識と見解をお聞きしたいと思います。

○川口参考人 おっしゃるように、NHKの字幕放送自体が、特に諸外国に比べて相当まだ低率であるということは率直に認めます。私どもの努力も足りませんでしたし、それから、時代の認識がやはり弱かったのだと思うのです。これは、今度は法律にも規定していただきましたし、相当我々としては取り組みを新たに、新たな覚悟でやらなければいけないと思っております。
 アメリカの七〇%というのは、これはもちろんそういう字幕放送をできる機械をつけないと売れないというふうなことをやった結果でもありましょうけれども、せめてイギリスとかカナダとか、そういうところのレベルまでは早く到達したいと思っております。
 今、私どもは、この時代の要請に早く沿うために、どのような経営計画を立てたらいいのか考えておりますので、九年度で一応ちょっと前進はします、十年以降には、またさらにいろいろな形でもって努力をしたいと思います。

○矢島委員 ことしの秋ごろから、衛星第二でも字幕を開始するということを聞いております。このこと自身は確かに前進であります。
 昨年の通常国会のときに、全会一致で、字幕放送の拡充の請願、これが採択されました。その中に、NHK教育テレビも字幕放送を実施してください、こういう項目があるのですね。このことは、難聴の子供たちや、あるいはそういう子供を持っていらっしゃる親にとって非常に強い要望になってきているわけです。教育テレビの字幕放送というのは、ノーマライゼーションの精神から考えても、一日も早く実施してもらわなければならない問題だと私も考えております。
 学校教育放送というのは、多くの小中学校で授業で使っております。一般の学級の中にも、少なくない難聴の子供たちも一緒に学んでいる、こういう状況があるわけであります。ですから、そういう子供たちは、特にテレビの音声は聞き取りにくいとか、あるいは字幕がないためにどうしても授業についていけないということが言われているわけです。
 私、ここに実は難聴の子供たちが書いた手紙を持ってまいりました。非常にたくさんあるので、もちろん全部を御紹介するわけにはいきませんが、例えばこれは小学校三年生であります。途中省略して、
  三年生になって、理科の時間にも、「ふしぎなたまご」のテレビを見るようになりました。先生は、ほちょうきのマイクをテレビの前においてくれました。でも、音ばっかりうるさくて、わかりません。外国のえいがみたいに、字まくがついていたら、いいのになあと思います。べんきょうのテレビだけでなくて、「ヤンボウ」や「一人でできるもん」にも、ぜひ、字まくをつけて下さい。
というような手紙だとか、それから、「NHKのおじさんへ」、こういうので出てきております。
  どうとくの時間にテレビを見ることがあります。ぼくは、よくきこえないから一ばんまえのせきで見ます。でも、はなしているないようがわかりません。もじほうそうだったらよくわかるのになあと、思いました。ぼくは、忍玉らん太ろうの大ファンです!
これは小学校二年生であります。
 こういう手紙がたくさん届いているわけですけれども、やはり、学校教育番組だけではなくて、子供向けの番組も教育テレビには結構多いわけですから、聴覚障害を持つ子供たちのファクスの中には、忍玉に会いたいというようなファクスもございました。ですから、NHKの人気アニメの「忍玉乱太郎」は、かつては総合テレビで放送されておりまして、このときは字幕がついていたのですね。ところが、教育テレビに編成がえになったら字幕がなくなってしまった。そこで、今のようなファクスが届いたわけですけれども、昨年、字幕放送拡充の請願が採択された後、郵政省は、新しい補助制度の創設をやったり、放送法の改正の準
備などを進めているわけですが、先ほども申し上げましたとおり、請願の中に、教育テレビに字幕を、こういう項目があるわけです。NHKとして、教育テレビの字幕放送実施について、今どのように検討しているのか。テレビ放送全体を視野に入れて、ぜひ教育テレビの字幕放送の開始ということを、会長、決断していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○齊藤参考人 おっしゃるように、今まで総合テレビを中心に取り組んでまいりましたけれども、これからは、教育テレビ、それから衛星第二テレビを中心に、年次計画できちんと取り組んでまいりたいというふうに思っております。差し当たり、平成九年度につきましては、衛星の第二テレビで六番組程度、これは週でございますが、一週間に、時間数にして六時間半ぐらい実現したいと思っております。それから、教育テレビにつきましては、確かに聴覚障害者のお子様からの要望が強いのですけれども、これは、いろいろ準備もやはりございます。ハードの方も整備しなければいけません。そういう意味では、平成十年度から具体的に実現したい。それで、十年から十三年、この四年間で、およそ週八時間、具体的に字幕放送を実施したいというふうに考えております。

○矢島委員 ぜひ、会長を含めて、平成十年からということで、時間数もできるだけ検討の上、もし長くなるのだったら、子供たちは非常に楽しみにしているわけですので。
 また、この問題は、ただ単に難聴者だけの問題じゃないのですね。普通のクラスで授業をするときに、字幕放送をやりますと、健聴者の子供も非常によく理解できるということ、現場の先生もそう言っていますが、私も幾つか見せてもらいました。耳から入るだけのあれじゃなくて、同時に目で読みますから、日本語、耳から入りますと、同じような言葉で違う意味のものもあります。そういうのを、字幕を追っていると健聴者も非常に理解しやすいというようなことを聞きました。また、実際にそう思いました。
 そういう点から、何よりも、根本的には、学校教育の現場で使用するものには、たとえ少数であっても耳の聞こえにくい難聴の子供もいるわけですから、オープンキャプションで文字を入れるということも検討されるべきではないだろうかと思うのです。ドラマなどと違いまして、字幕が邪魔になるというより、健聴者の理解を進めることにもなりますので、そういう意味では、クローズドキャプションによる字幕放送だけではなくて、オープンキャプションの字幕というのも考えてもらっていいんじゃないか。あるいは、やはりナレーションでずっと流れてくるわけです、大体、番組を見ますと。そういう中で、一つには、例えば、オープンキャプションでなくても、何か、スーパーなりなんなりで入るということだけでも、大分いろいろな違いが出てくるということは、私の、もう紹介する時間もなくなりましたが、そういう意味での手紙もたくさん届いております。字幕が入ることによって非常に理解が深まったというのがあります。最後に、会長、一言、字幕放送について。

○川口参考人 御指摘、御助言をありがとうございました。我々としても、よりこれから努力を重ねまして、とにかく、諸外国の進んでいるところの地位に早く到達するように努力をいたしてまいります。
 それから、矢島先生には番組の宣伝をしていただいて、ありがとうございました。「忍玉乱太郎」というのがありますが、これは忍者の卵の乱太郎という意味でございますので、ぜひごらんください。

○矢島委員 終わります。

    ―――――――――――――

○木村委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。

○木村委員長 矢島恒夫君。

○矢島委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました一九九七年度NHK予算案に反対の討論を行います。
 反対の理由は、消費税の増税分を受信料に転嫁することによる値上げであります。
 NHK受信料は、政府やNHKの見解でも特殊な負担金とされ、放送サービスの対価ではありません。これに資産の譲渡や役務の提供の対価等に課税するという消費税を課税することは、放送法の規定からも消費税法の規定からも根本的に矛盾するものであります。
 同時に、受信料への消費税課税の不当性を明らかにし続けることは、受信料制度の根幹を守り続けることであることも強調しておきたいと思います。
 直ちに消費税施行令を改定し、受信料を消費税課税の対象から外すことを強く要求するものであります。
 また、四月一日からの消費税増税は、さきの総選挙で三百人を超える議員が反対や見直しなどを公約して当選したという問題、個人消費や中小企業の設備投資という日本経済の原動力に多大な打撃を与えるという問題、さらには、そもそも消費税が持つ逆進性などの問題、いずれをとっても決して許されないことであります。
 日本共産党は、消費税増税反対を貫くことを表明して、討論を終わります。(拍手)

○木村委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――

○木村委員長 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決をいたします。
 本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○木村委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
    ―――――――――――――

○木村委員長 ただいま議決いたしました本件に対し、古屋圭司君外五名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。古屋圭司君。

○古屋委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明を申し上げます。
 まず、案文を朗読をいたします。
    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
  政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。
 一 放送の不偏不党と表現の自由の確保に一層努めること。
 一 協会は、放送に対する視聴者・国民の信頼を確保し、放送倫理の確立を図るため、放送番組審議機関の審議内容、視聴者の意見及び訂正放送制度の運用状況を視聴者に分かりやすい形で積極的に公開するように努めること。
 一 協会は、厳しい財政状況を深く認識して業務の効率化による経費の節減を図るとともに、受信料の公平負担の観点から衛星放送を含む受信者の確実な把握と料金収納の確保に努めること。
 一 協会は、視聴者の十分な理解が得られるように、経営の方針を明らかにするとともに、関連団体を含む財務内容等の公開を推進すること。また、衛星放送に係る収支の一層の明確化を図ること。
 一 ハイビジョン放送を含む衛星放送については、既存視聴者の利益保護に十分配意して実施すること。
 一 協会は、放送・通信の融合化時代にかんがみ、公共放送の先導的役割として、視聴者の立場に配意しつつ、デジタル放送の導入に向けた新たな放送技術等の研究開発の促進に努めること。
 一 視聴覚障害者や高齢者向けの字幕放送、解
説放送等の一層の拡充、番組内容の充実に努めること。
 一 映像国際放送については、我が国の実情を的確に諸外国に伝えるものでもあることを十分認識し、その充実に努めるとともに、関係機関が十分な連携を図りつつ、その在り方についても検討すること。
 一 協会は、地域放送の一層の充実・強化に努めるとともに、地域からの情報発信の推進に努めること。
以上のとおりであります。
 この附帯決議案は、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び太陽党の六派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○木村委員長 起立総員。よって、本件に対し、附帯決議を付することに決しました。
 この際、堀之内郵政大臣及び日本放送協会会長川口幹夫君から発言を求められておりますので、これを許します。堀之内郵政大臣。

○堀之内国務大臣 ただいま、日本放送協会の平成九年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、御承認いただき、厚く御礼申し上げます。
 本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
 まことにありがとうございました。(拍手)

○木村委員長 日本放送協会会長川口幹夫君。

○川口参考人 日本放送協会平成九年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして、厚く御礼申し上げます。
 本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。
 また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを体しまして、執行の万全を期したいと考えている次第でございます。
 まことにありがとうございました。(拍手)


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