140-衆-予算委員会-20号
1997年02月27日
石井郁子議員 質問部分 会議録


平成九年二月二十七日(木曜日)
    午前九時三十分開議
出席委員
  委員長 深谷 隆司君
   理事 小里 貞利君 理事 高橋 一郎君
   理事 中川 秀直君 理事 藤井 孝男君
   理事 石井  一君 理事 権藤 恒夫君
   理事 二階 俊博君 理事 中沢 健次君
   理事 穀田 恵二君
      相沢 英之君    石川 要三君
      臼井日出男君    江渡 聡徳君
      江藤 隆美君    尾身 幸次君
      越智 伊平君    越智 通雄君
      大原 一三君    菊池福治郎君
      桜井  新君    関谷 勝嗣君
      田中 和徳君    高鳥  修君
      中山 正暉君    野中 広務君
      葉梨 信行君    松永  光君
      村山 達雄君    谷津 義男君
      愛知 和男君    愛野興一郎君
      石田 勝之君    太田 昭宏君
      岡田 克也君    北側 一雄君
      小池百合子君    田中 慶秋君
      中井  洽君    西川 知雄君
      平田 米男君    生方 幸夫君
      海江田万里君    佐々木秀典君
      日野 市朗君    石井 郁子君
      中路 雅弘君    松本 善明君
      矢島 恒夫君    上原 康助君
      北沢 清功君    岩國 哲人君
      新井 将敬君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 池田 行彦君
        大 蔵 大 臣 三塚  博君
        文 部 大 臣 小杉  隆君
        厚 生 大 臣 小泉純一郎君
        農林水産大臣  藤本 孝雄君
        通商産業大臣  佐藤 信二君
        運 輸 大 臣 古賀  誠君
        郵 政 大 臣 堀之内久男君
        労 働 大 臣 岡野  裕君
        建 設 大 臣 亀井 静香君
        国 務 大 臣(内閣官房長官)梶山 静六君
        国 務 大 臣(総務庁長官) 武藤 嘉文君
        国 務 大 臣(防衛庁長官) 久間 章生君
        国 務 大 臣(経済企画庁長官)      麻生 太郎君
        国 務 大 臣(環境庁長官) 石井 道子君
        国 務 大 臣(国土庁長官) 伊藤 公介君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 大森 政輔君
        人事院総裁   弥富啓之助君
        人事院事務総局管理局長    尾木  雄君
        内閣総理大臣官房管理室長   榊   誠君
        総務庁長官官房審議官     西村 正紀君
        総務庁人事局長 菊池 光興君
        総務庁行政管理局長      陶山  晧君
        総務庁行政監察局長      土屋  勲君
        防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君
        防衛施設庁長官 諸冨 増夫君
        防衛施設庁施設部長      首藤 新悟君
        経済企画庁調整局長      土志田征一君
        経済企画庁総合計画局長    坂本 導聰君
        経済企画庁調査局長      中名生 隆君
        科学技術庁原子力安全局長   池田  要君
        環境庁企画調整局長      田中 健次君
        環境庁企画調整局地球環境部長 浜中 裕徳君
        環境庁大気保全局長      野村  瞭君
        国土庁大都市圏整備局長    五十嵐健之君
        国土庁防災局長 福田 秀文
        外務省総合外交政策局長    川島  裕君
        外務省北米局長 折田 正樹君
        外務省条約局長 林   暘君
        大蔵大臣官房総務審議官    武藤 敏郎君
        大蔵省主計局長 小村  武君
        大蔵省主税局長 薄井 信明君
        大蔵省理財局長 伏屋 和彦君
        大蔵省証券局長 長野 厖士君
        大蔵省銀行局長 山口 公生君
        大蔵省国際金融局長      榊原 英資君
        文部大臣官房長 佐藤 禎一君
        文部大臣官房総務審議官    富岡 賢治君
        文部省生涯学習局長      草原 克豪君
        文部省初等中等教育局長    辻村 哲夫君
        文部省教育助成局長      小林 敬治君
        厚生大臣官房総務審議官    中西 明典君
        厚生省健康政策局長      谷  修一君
        厚生省薬務局長 丸山 晴男君
        厚生省社会・援護局長     亀田 克彦君
        厚生省老人保健福祉局長    羽毛田信吾君
        厚生省保険局長 高木 俊明君
        農林水産大臣官房長      堤  英隆君
        農林水産省農産園芸局長    高木  賢君
        通商産業省貿易局長      伊佐山建志君
        通商産業省環境立地局長    稲川 泰弘君
        通商産業省基礎産業局長    白川  進君
        通商産業省機械情報産業局長  中川 勝弘君
        資源エネルギー庁長官     江崎  格君
        運輸省運輸政策局長      相原  力君
        運輸省港湾局長 木本 英明君
        郵政大臣官房総務審議官    高田 昭義君
        郵政省電気通信局長      谷  公士君
        労働大臣官房長 渡邊  信君
        労働省婦人局長 太田 芳枝君
        建設大臣官房長 小野 邦久君
        建設大臣官房総務審議官    村瀬 興一君
        建設省河川局長 尾田 栄章君
        建設省道路局長 佐藤 信彦君
        建設省住宅局長 小川 忠男君
        自治省行政局選挙部長     牧之内隆久君
        消防庁長官   佐野 徹治君
 委員外の出席者
        会計検査院事務総局第二局長  諸田 敏朗君
        参  考  人(社会福祉・医療事業団理事長)      黒木 武弘君
        予算委員会調査室長      大坪 道信君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成九年度一般会計予算
 平成九年度特別会計予算
 平成九年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――

○藤井(孝)委員長代理次に、石井郁子さん。

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 ことしは憲法施行五十周年という記念すべき年であると思います。あわせて、労働基準法、児童福祉法、教育基本法も施行五十年を迎えるわけであります。
 しかし、今国会の提出予定法案を見ますと、戦後五十年の民主主義的な進歩をひっくり返すような改悪法案が幾つも用意されています。私は、このような制度改悪を許すならば、国民の生活はこの先どうなるのだろうか、また二十一世紀の日本がどうなるのだろうか、そういう立場から、きょうは労働基準法改悪問題と教育改革について質問をさせていただきます。
 総務庁長官にまずお伺いいたしますけれども、この数年間、世を挙げて規制緩和こそが日本を救うことができるのだというような主張がマスコミでも喧伝されてまいりました。私は、この間国会にいなかったのですけれども、国会でも各委員会で規制緩和の大合唱だというふうに聞いています。日本共産党は、緩和しても構わない規制もあれば、逆に規制を強化しなければならないものもある、こういう立場で対処してまいりました。
 ところで、昨年三月二十九日に閣議決定されております規制緩和推進計画、この労働分野での規制緩和として、女子労働者の時間外労働、深夜業規制が明記されています。この女性の残業、深夜業の規制を緩和すべきだという、これを検討項目にした理由は何でしょうか。また、どんな団体から御要望があったのでしょうか。

○武藤国務大臣 これは御承知のとおり、いわゆる女子に対する差別をすべて撤廃するという条約を批准をいたしまして、それに基づいて男女雇用均等法というのができ上がり、そしてそれを踏まえて、女子の方も男子と同じように働いていただくように、こういうことになってきておるわけであります。規制緩和計画の中にもありますけれども、それはそういうことを踏まえて規制緩和計画の中に入れてきたわけだと私は承知をいたしております。
 それから、そういうことをぜひということを言ってこられた団体というのは、例えば日経連であるとか経済同友会であるとか、あるいは日本自動車工業会であるとか、あるいは日本鉄鋼連盟であるとか、どちらかというと産業団体が中心であったと私は聞いております。

○石井(郁)委員 この時点では労働組合からのその女子保護規定廃止の要望というものはなかった、今おっしゃらなかったわけですから、なかったということを確認してよろしいですね。いや、総務庁長官にお聞きしているのです。

○西村(正)政府委員 事実関係でございますので、私の方からお答えさせていただきます。
 この規制緩和推進計画に時間外労働等についての保護規定の見直しを入れるに当たりましては、主なところといたしましては、先ほど大臣が言われたところ、あるいは民間の専門委員等から成ります行政改革本部、ここに規制緩和検討委員会というのが開催されておりますが、こういうところからも意見をいただいております。

○石井(郁)委員 労働者の側からの要望は聞いていなかった。とりわけ女性からの要望も聞いていないということははっきりしたというふうに思うのですね。
 規制緩和について、これは七〇年代からアメリカで進めてこられましたけれども、アルフレッド・カーンという経済学者が、カーター大統領からの要請でホワイトハウスに入り、規制緩和の推進役を果たしたというふうに言われています。
 そのアルフレッド・カーン氏や、そのスタッフであったポール・デンプシー氏らが文芸春秋誌の取材に対して、アメリカの規制緩和の結果についていろいろ述べていることがございます。
 ちょっと読み上げたいのですけれども、まず規制緩和の中で、「アメリカの終身雇用制が終わりを告げた。」「つまり、規制緩和と終身雇用制は両立しない二つの概念だった」。さらに「富の分配の不均衡が増大した。」とも述べているわけですね。
 そして、こう言っています。「もし、あなたが日本で規制緩和をしようと言うのなら、こう理解しておけばいい。要するに規制緩和とは、ほんの一握りの非情でしかも食欲な人間に、とてつもなく金持ちになる素晴らしい機会を与えることなのだと。一般の労働者にとっては、生活の安定、仕事の安定、こういったもの全てを窓の外に投げ捨ててしまうことなのだと」。新しい産業と雇用はふえたのか。「確かに、新産業は生まれた。しかしそのことの意味は、中流の豊かな暮らしを楽しめる給料が貰えた仕事が失われ、そのかわりに、とにかく生きていけるだけのお金を貰える仕事が生まれたということなのである。」
 つまり、低賃金で不安定雇用の労働者がふえたということが強調されているわけであります。これは文芸春秋の九四年の八月号なのですけれども、この記事が載っておりますけれども、長官はお読みになったでしょうか。

○武藤国務大臣 残念ながら目を通しておりません。

○石井(郁)委員 ぜひ御検討いただきたいと思うのですけれども、きょうは長官は大変お忙しいということで、以上で結構でございます。どうもありがとうございました。
 労働大臣に伺いますが、今回提案された均等法の改正法案は、募集、採用での差別を禁止規定にしております。男女差別の是正勧告に従わない企業には社会的制裁として企業名を公表する。また、これまで、差別を受けた女性は労働省の婦人少年室長に調停の申請をしても、相手の企業が応じなければ調停は開始されませんでした。これは、私、大阪なのですが、大阪で住友系の女性たちが婦人少年室長を国家賠償請求で裁判に訴えておりますが、そういうこともあって、今回は一方側の申請で調停を始めることができるようにした、こういう、わずかですけれども、改正点もあると思います。
 そこで、お聞きしたいのですが、身障者雇用促進法のときにも企業名の公表という制裁制度がございました。法定雇用率を守らない企業の公表を労働省はなかなかやりませんでした。今度、均等法違反の企業に対しては、その実効性を確保する制度として、企業名の公表というのを本当におやりになるのか、果敢におやりになるのか、この御決意をお聞きしたいと思います。

○岡野国務大臣 石井先生もう御存じのとおり、男女雇用機会均等法、十年の歴史を踏まえてまいりました。その過程の中でいろいろな、先生おっしゃいますように、言いますならば差別を受けた女性、一方的な調停の申請ができないというようなことで、件数が非常に少ないというような数値も我々は踏まえておりました。
 したがいまして、これから御審議をいただく予定になっておりますところの男女雇用機会均等法は、おっしゃいますような企業名の公表というものに一歩割り切ることになり、加えて、一方的な調停申請もできる。加えて、私どもはこの法内容につきまして、十分な周知をし、あるいは御指導申し上げるところは指導して、この法律の本来の目的、趣旨が定着をするよう、これから努力を十分いたしてまいりたい、こう存じているところでございます。

○石井(郁)委員 今も大臣からも御指摘がございましたけれども、均等法にはわずかな改正点も確かにございます。問題は次にあるのですけれども、このわずかな改正部分と抱き合わせに、労働基準法の女子保護規定である残業あるいは深夜業規制、休日労働、これを全面的に撤廃しようとしていることなんですね。
 そもそも、均等法の改正と労基法の改正とは、立法論的には私は全く別の次元の問題だというふうに考えます。
 日本の男子労働者が、残業規制とか深夜業規制が労基法で明文規制がないために、大変な状態に置かれている。これは、過労死という言葉が国際語になっているという不名誉な話があるわけですけれども、その実態もあるというふうに思います。
 十年前、確かに一九八六年に均等法が施行されましたときに、女子の保護規定も部分的に緩和されました。しかし、一定の範囲で女子の残業、深夜業規制が緩和されてしまったために、この十年間にいろいろな問題が起きてきたというふうに思うのですね。
 そこで、二点お伺いいたします。
 その第一は、この残業、深夜業の規制を緩和した結果、どのくらいの女性たちが新たに長時間残業や深夜業に従事するようになったのでしょうか。
 第二点目は、その女性たちの健康や、あるいは母体保護という、女性は特別な機能を持っていますから、その母性にどのような影響があったのでしょうか。
 これは、調査していないということを実は先般の労働委員会で私は伺ったのですけれども、調査する必要がないというふうに判断されたのでしょうか。だとしたら、その理由もあわせてお聞かせいただきたいというふうに思います。

○太田(芳)政府委員 先生御指摘の、深夜業に従事されるようになりました女性労働者の数でございますが、これは均等法ができる前から、保健衛生業とか接客娯楽業のように除外をされていた方々もございます。そしてまた、新しく六十一年に均等法ができましてから、指揮命令者それから専門業務従事者等、新しく深夜業が除外される労働者と、両方合わせた数字でございますけれども、約五百二十万、女性労働者の約四分の一に当たるというふうに考えております。
 それから、この十年間でございますけれども、私どもは、新しく均等法を施行いたしまして、女性たちの職域の拡大等々で随分女性の活躍の場がふえてきたと思っております。そしてまた、深夜業に新たに従事することになった女性たちにおきましても、例えばタクシーの運転手等々にも見られますように、立派に務めを果たしている女性がふえてきているというふうに存じております。

○石井(郁)委員 今の五百万という数字は、この十年間に各産業別に深夜業についている女性の数というふうに考えていいですか。それは、ちゃんと統計がありますか。

○太田(芳)政府委員 お答えいたします。
 深夜業に従事することができる女性労働者の数でございます。
 ただ、申しましたように、いろいろときちっとした形での統計ではございませんで、正確に把握するというのは難しい。例えば指揮命令者であり保健衛生業というような形でダブルでカウントされる方もありますので、正確な把握は難しゅうございますけれども、私どもで労働力調査、国勢調査、賃金構造基本統計調査、業界調査等に基づいて推計した数字でございます。

○石井(郁)委員 お尋ねしているのは、深夜業に実際に従事している女性労働者の数なのですよ。これはつかんでいないでしょう。そしてまた、その深夜業についている女性たちがどういう健康の状況というか問題を抱えているかということも、調査はないのじゃないでしょうか。
 私は、そこのことを指摘したいというふうに思うのですね。これは、外国ではちゃんとそういったような調査があるわけですよ。これは持ってまいりましたけれども、ありますよね。
 だから、労働省というのは、やはり労働者保護を使命とするところじゃないのでしょうか。ところが、そういうことについてのちゃんとした調査も持っていないというのは、私は、労働省としての責任を果たしていないと言わざるを得ないというふうに思うのですね。
 私ども実際、本当にこの十年の間に、放送関係、出版関係を初めとしていろいろな分野で、女性たちが本当に深夜も働くようになりました。最近では、郵便局にも新夜勤として導入されましたでしょう。これは女性の声なのですけれども、このニュー夜勤というのは、本当にすごいのです。これは三年数カ月の間にもう三十四人の突然死の方が生まれているのですけれども、二十一歳の女性は、五日置きにこの勤務が来るのです、夜中に数回嘔吐しながら勤務を続けたことがあります、結婚、出産を待つまでもなく、あと数年したらこんな勤務は無理だと思うという声もございます。
 私は、長時間残業が人間の命を縮めてしまうというのは、もう世界的な常識だというふうに思うのですね。これは、深夜業というのが人間の生体リズムに合わない。それから、これを繰り返しやってなれるようなものでもないといりことも言われています。これは医学的にもはっきりしている。国際的にもそうです。だからこそ、近代資本主義社会の初めの段階から、女子、年少者の保護が始まったのだというふうに思うのですね。そしてまた、男子労働者の労働時間の短縮も進められてきたというふうに思います。
 今、こういう労働者保護の歴史が、やはり逆に戻されようとしているのじゃないか。それとも労働大臣は、こういう深夜業を本当にこの後続けても、女性の健康に悪影響がないと言い切れるのですか。ちょっと御答弁をいただきたいと思います。

○岡野国務大臣 先生、この前もお話を申し上げましたが、今度男女雇用機会均等法がぜひ改正をさせていただきたいわけでありますが、これに伴って、今お話しの深夜業でありますとか、あるいは時間外労働でありますとか休日労働でありますとか、これを女子雇用者の皆さんにも制限を撤廃をしようということでございます。
 制限を撤廃ということは、深夜業をしなければならないのではなくて、女性の皆さんの職域を拡大をし、女性の皆さんがお持ちになられる力を存分に発揮をし、正当な社会的評価も大きく受けていくという前進みの方向で、今度これが均等法との絡みで撤廃になるわけであります。そういう意味合いで、ひとつ積極的に評価をいただきたい。
 それから、母性ということがございますものですから、妊産婦の皆さんの場合におかげんが悪くなるというようなことも考えまして、男女を問わず、深夜業に従事する皆さんは六カ月に一遍、一般には一年に一遍の健康診断でありますが、六カ月に一遍は診断を受けなければならない。そうして受けた結果、医師の診断によりまして、あるいは勤務場所を変えましたり、あるいは勤務時間を制限をいたしましたり、いろいろな手の差し伸べをしまして、女子におきますところの母性保護、これにつきましても新たな法律の中で規定をしているところでございます。

○石井(郁)委員 今大変重大なことを幾つか言われたんですけれども、これは後で触れたいと思うんですが、結局、労基法の女子保護規定撤廃をするということは男子労働者と同じにするということなんですよね。それがあなた方の平等だ、職域拡大だということなんですけれども、今男子労働者がどういう状態にあるんでしょうか。
 残業の時間や回数も、これは労基法では上限規制はありません。深夜業はもともと規制がありませんでした。だから、実際今大変な状況があるんじゃないでしょうか。これは、自動車、電機そして製造業の分野では二交代勤務、三交代勤務、もうフル稼働だという状態ですよね。これはもう大臣に言うまでもないというふうに思うんですね。
 驚いたことには、通常勤務というのは八時間ですけれども、残業八時間ということもある。だからもう夜中の二十三時から朝七時まで残業だ、連続十六時間の勤務になることがたびたびある、食事も休憩時間もとれない過密労働だということはあちこちから言われているわけであります。ですから、こういう状態に女性が正規社員として置かれたら、働き続けられなくなるんじゃないでしょうか。また、フルタイマーとして働き続けられないということは容易に予測できるわけです。
 それで、ちょっと例を申し上げたいと思うんですけれども、日本たばこ、JTですね。ここは八五年に民営化されました。今は深夜業でなくて日勤二交代なんですけれども、早番は朝の六時から遅番は夜の十時まで働く。その結果、導入前にいた女性は四百五十人でしたけれども、導入後の今日では二百十人です。二百四十人が退職、出向してしまっているんです。だから深夜業の導入じゃなくても、今こういう長時間労働で女性がやめざるを得なくなってくる。だからここに、全産業にいわば深夜業が導入されたら一体どういう事態になるだろうか。
 ちょっと具体的に申し上げたいんですが、私はやはり女性として本当にこういうことが許されるのかというふうに思うんですね。この日本たばこの女性ですけれども、早出のときは朝四時に起きているんですよ。朝食や子供たちの弁当をつくる。遅出のときも夕食をつくって出勤する。午後十一時に帰宅しても朝は六時に起きて朝食をつくる。こういう実態ですね。多くの日本の男性労働者も家に本当にいる時間がないと言われているのも、そのとおりであります。
 ですから、これは日経新聞です。ことしになってこの「均等法改正 どうなる女性労働」という連載をしましたら、その後の読者の声がもう多数寄せられた。皆さん何て言っているでしょうか。大多数は、こういうことになったらこの先本当に働き続けられるだろうか、こういう声であります。
 ですから、本当にこういう女性の声に対して、大臣は、そうならないということを言えますか。

○岡野国務大臣 先生も十分御理解の上でだと思うのでありますが、私ども、労働基準法あるいは今度の週四十時間労働制、これはあくまでも最低基準ということで労働省が定めるものであります。
 残業の時間が非常に長いという例をお引きになりました。しかしながら、その一つの職場で雇用者の諸君がどのくらい休日労働に従事し、あるいは時間外労働に従事するか、これは使用者の方が一方的に命ずることはできません。御存じのとおりであります。その職場におきますところの労働組合と使用者側とが、可能な残業時間なら残業時間につきまして、労働基準法三十六条、これに基づきまして協定を結びます。その協定の範囲で雇用者の皆さんにも残業に従事をしていただく、これが日本の労働法制の構えでございます。
 これを御理解をいただきまして、よろしくお願いいたします。

○石井(郁)委員 私は、今のそれはとんでもない発言だというふうに思うんですね。
 あえて労働大臣にお返しいたしますけれども、労働基準法は、まさに女性労働者の権利を守るものです。今あなたは、これは強制すべきでない、強制するものではないというふうにおっしゃいますけれども、大体、強制するようなことってありますか。強制するようなことというのは、まさに国家総動員法みたいなそんなことになるじゃありませんか。
 そして、今三六協定の労使協定と言いますけれども、本当に今働く国民の皆さんがこのもとで守られていると本気で言えますか。そうじゃないでしょう。使用者の側が、使用する側でありますけれども、個々の労働者が一人一人では到底拒否することもできないという中でこの労基法が生まれているわけであります。だから、今そういう契約自由の原則にゆだねたら労働者の生存が脅かされるということで法律が定められているわけでしょう。その法律を今変えようとするんです。一体どうして女性労働者を守ることができますか。
 ですから私は、大臣のそういう発言では本当に日本の労働者はとんでもないところに追い込まれてしまう、多くの女性労働者が。まず正規社員で働き続けられなくなります。パートの労働者になるしかなくなります。パートの労働者がどんなに労働条件が劣悪かということもあるでしょう。そういう点でも、これはそういう労働大臣としての答弁では、私はもう到底本当に女性の怒りはおさまらないということも重ねて申し上げたいというふうに思います。
 さてそこで、今回もっと重大なのは、この雇用の条件だけじゃないんですね。それで文部大臣にお聞きします。
 今お聞きのように、子供のいる女性労働者は本当に大変です。それで、フルタイマーをやめてパートになったとしても、時間外労働の規制もなくなります、長時間残業も強制され得ます、これは実際そうです。その上深夜業もということになるわけです。
 これでは余りにも大変だということを考えてか、育児休業法の改正で、子供が小学校に入学するまではその母親労働者は夜勤の免除申請はありますね。しかし、これは夜勤をしなくてよいというのではなくて、あくまでも免除申請であります。だから、これは逆に言えば今度一年生になったらどうなるんでしょうか。深夜業の免除申請さえ出せない。小学校一年生が一人で留守番をする、また夕食をとって一人で寝る。今まさに少子化でもありますし、こんな状態がこの先大いに出てくるんじゃないでしょうか。
 こういう状態はもう既に始まっていますから、これはさきの奥田文部大臣が、昨年、日経連に対して、父親を子供のもとに帰すように、こういう申し入れもなさっているわけですね。ですから、一方でそういうことを言いながら、今度の改悪ではもっと、父親どころか母親までもが子供と触れ合う時間を奪われていくということになるわけです。
 私は、六つの子供を泣かすなというふうに言いたいと思うんですけれども、子供の健全育成という立場からも、文部大臣としてこういう残業規制の廃止や深夜業の規制の撤廃ということをやはり、こういう政策をどのように思われますか。

○小杉国務大臣 家庭は、親と子の触れ合いの中で、基本的な生活習慣あるいは倫理観、道徳観などの生活態度を身につける最初の場であるということから、家庭教育の重要性ということは大変私も認識しております。
 近年、御指摘のように女性の社会進出がふえ、さらに都市化現象、少子化現象の中で、家庭における教育力というものは非常に低下しております。
 そこで、文部大臣といたしましても、特に家庭教育についての学習機会とか、あるいは情報の提供、あるいは親子の共同体験の充実とか、あるいはまた父親の家庭教育への参加、こういうことについての施策をいろいろと講じているわけでございまして、今後ともこうした社会の変化に対応した家庭教育の充実、これは家庭と学校と社会と共同連帯してやっていかなきゃいけない課題だと考えております。

○石井(郁)委員 文部省があれこれ言われるのは文部省としてそうかなというふうに思いますけれども、しかし、そういうことを本当に実行する基盤というのが崩されているんじゃないですか、あるいは崩されていくんじゃないですか。だったら、そういうことは本当に文部大臣として、やはり閣内でどうなのかということもぜひ私は御発言いただきたいなというふうに思うのですが、それはおいておきます。
 次に、厚生大臣もおいでいただきましたけれども、厚生大臣は郵政大臣のときに、先ほどのニュー夜勤の導入に関係した我が党の質問に関してだったと思いますけれども、人間は昼働き夜眠る、そうすべきだというような御答弁をされたというふうに思うのですが、今も、国民の健康を預かる立場から、どうでしょうか、そのようにお考えですか。

○小泉国務大臣 私も、人間というのは朝起きて夜寝る、これが自然の姿だと思います。健康的に考えても、早寝早起き三文の徳といいますけれども、健康にとってもいいのじゃないかなと今でも思っております。

○石井(郁)委員 そういう信念というか哲学を持っていただくのは、私大変結構だというふうに思いますし、本当にそうなんですよね。人類の長い歴史からして、そうですよ。やはりそのようにすべきだというふうに私も思います。
 もう一つ、しかし、厚生大臣にお伺いしたいのですけれども、今度の女子保護規定の撤廃で、私は、雇用における男女平等実現どころか、やはり男女平等を進める基盤そのものが破壊されるというふうに考えているわけです。健康破壊、母性破壊、そしてまた家庭破壊、そういう結果、少子化もさらに加速するだろうというふうに、想像にかたくないわけですね。そこで今の少子化はさらに加速される。そうすれば、二十年後の日本の社会が活力を失うだけじゃありません、社会保障制度も含めて非常にゆがんだ社会になるという点で、厚生大臣として、今、どうでしょうか。この残業規制、深夜業規制の撤廃ということで、少子化をさらに加速しないというふうに言えますか。

○小泉国務大臣 少子化の問題は、これさまざまな意見がありまして、一つだけの理由ではないと思っています。むしろ生活水準が向上している国において子供が少ないという傾向を見ても、理由は一様ではないと思います。さまざまな理由があると思います。そういう観点から、この一つの、深夜業だから少子化になるというのは、ちょっとこう短絡的じゃないかな、もっといろんな意見があるものですから、さまざまな意見を聞いて、子供は社会の宝であるという共有認識のもとに、子供の健全な成長ができるような環境を整えていかなきゃならない、そう思っております。

○石井(郁)委員 先ほど御紹介しましたけれども、日経新聞、これは二月二十日付ですけれども、やはり「深夜業の解禁 「少子化を加速」」、多くの声はそういう声ですよね。女性自身が、とてもじゃないけれども産めないと言っているわけですから。だから、私も確かに少子化問題はこれ一つだというふうには言いません。しかし大きな要因になっている、ならざるを得ない。だって子供を産むのは女性なんですから、その女性が本当にきちんと産める条件をつくらなくて、どうしてこの少子化がとめられるかという点で、ぜひ、これではやはりまずいという、どうですか、大臣、言いただけませんか。

○小泉国務大臣 雇用機会均等法というのは、むしろ女性の方から要求してきたものじゃないかな、私はそう思っているんです。女性の職場を広げようということなものですから、これが悪政であるかのごときというのはちょっと誤解じゃないかな、むしろ、働きたいという女性の立場を勘案してこの法律を設けたというふうに私は思っておりますが。

○石井(郁)委員 先ほどの質疑をどのようにお聞きになったのでしょうか。女子保護規定の撤廃を、女性の側からの要望というのは出ていなかったと確認したじゃありませんか。財界ですよ、これをみんな要望したのは。職域拡大とか均等法、また、均等法とこの保護規定の撤廃とは全く別の問題なんですよ。これをセットにすること自身がおかしいのです。そういうことをやはりあいまいにしてもらいたくないというふうに思います。
 私は、ですから、本当に今申し上げたように、これは女性の健康、母性を損なうというだけじゃなくて、女性が正規常用労働者として働き続けられなくなります。だから、大量の女子パート労働者が生まれます。その結果、何が生まれるのでしょうか。それはやはり、労働市場の中では男子の常用労働者もさらに低賃金化していくということにつながるんだというふうに思うのですね。
 最初に述べましたけれども、アメリカの例ですけれども、この女子保護規定の廃止という規制緩和の結果、労働者全体の賃金が下げられました。当然の結果として、消費購買力も低下しています。だから日本経済の再建もやはり困難だという、また、一方で、国際的には野蛮な競争力という問題もあります。貿易摩擦が一層激化するでしょう。国際経済社会での対日批判という問題も考えなければいけないということだと思います。
 もう時間がありませんから、こういうことを本当に二十一世紀に持ち込んでいいのか。私は、男性も女性も人間らしく生き、働きたい、また家族的責任も負わなければいけません、そういうやはり本当の男女平等を進めるべきだというふうに思うのですね。だから、保護規定というのは、労働時間の短縮や労働条件の改善という歴史の中では死滅していくべきものであります。だけれども、そのようなレベルに達しない段階では、こういう必要な規定はなくすべきではないと思います。だから労基法の保護規定の廃止法案は撤回すべきだ、このことを強く要求して、この項の質問を終わりたいというふうに思います。

○岡野国務大臣 小泉厚生大臣が、女性としても男女雇用は均等でなければならないということのはずだというお話がありました。冒頭武藤長官からお話がありましたが、今度のこの法律については、やはり国連の条約がございます、先生御存じのとおりであります。この女子差別撤廃条約、これの中で男女は均等に扱うべきだ、そのものの中で深夜業についてもというのが入っておりますことを申し添えます。

○石井(郁)委員 全然違いますよ、そんなの。聞かないことを言わないでください。
 次に、教育問題で質問いたします。
 一月二十四日に小杉文部大臣、教育改革プログラムを公表されました。この教育改革プログラムは、橋本首相の指示で文部省が作成したというふうに聞いていますけれども、提出後、閣議決定したというふうには聞いていないんですね。橋本内閣が掲げる六大改革のうちの一つである教育改革というふうに受けとめていいのでしょうか。

○小杉国務大臣 新年の一月七日に総理から、教育はすべての社会経済システムの基礎であるから、教育改革プログラムをまとめてほしい、こういう指示をいただきまして、文部省挙げて作業をいたしまして、一月の二十四日に総理に報告をいたしました。その後、二十七日の閣僚懇談会で各閣僚にも協力を求めたところであります。
 おっしゃるように閣議決定とか閣議了解という手法はとっておりませんが、内閣の方針というのは何も閣議決定とか閣議了解ばかりではなくて、そのほかの形態もあるということで、こうした手法をとったことが問題であるとは考えておりません。

○石井(郁)委員 どうもすっきりしない説明のようですけれども、まず、中高一貫教育の導入という問題で具体的にちょっとお伺いしたいのです。
 「学校制度の複線化構造を進める観点から、中高一貫教育を導入することができるよう」というふうになっているのですけれども、この学校制度の複線化構造というのは一体どういうものでしょうか。また、総理大臣もそういうことがあっていいという御答弁も聞いておりますけれども、現在、六・三・三・四制の単線型というふうになっているわけですね。ちょっと手短に言っていただきたい。

○小杉国務大臣 戦後の教育は六・三・三・四制という単線型でありましたけれども、最近は、もっとこの複線化を図ってほしい、こういう要望がございまして、特に中高一貫教育につきましては、ゆとりの中で子供の人間性を育てたい、そして複線化をしてほしい、こういう要請から、この中高一貫教育というものが提唱され、今、中教審で鋭意審議しているところでございます。

○石井(郁)委員 それで、ちょっと具体的に伺いたいのですけれども、この中高一貫ですけれども、東京には現在二百三十校の全日制、百八校の定時制の都立高校がございます。この高校全部を中高一貫の対象とするのでしょうか。それとも、東京都内に数校の一貫校を置くということなのでしょうか。
 また、現在、子供たちは受験競争で本当に苦しんでいますけれども、受験競争が軽減されるのかということで、ちょっとお聞きいたします。

○小杉国務大臣 中高一貫教育をすべての学校に実施する、つまり全国化を図るという考えはありません。こういう制度も選択肢の中にあっていいではないかという複線型であります。
 それから、確かに中高一貫になりますと、小学生段階で進路を決めなきゃいけないとか、受験競争がそこで起こるということで、受験競争の低年齢化という問題点はあります。しかし、そうならないように、今、その方法あるいは運営の仕方、そういうことは十分検討しているところでございます。

○石井(郁)委員 それで、東京の公立中学校は現在六百六十七校がございますけれども、その中の数校ということになったら、当然、その中高一貫を目指して受験競争が低年齢化するということはもう予測されるわけですね。ですから、私は、この数校の中高一貫教育ということでは、十二の春に泣いてまた十五の春に泣くというような、受験競争が激化するのではないかというふうに思うのです。どうですか、こういうことになったら、まさにエリートを集めるということにならないというふうに言えますか。
 労働大臣、結構でございます。ありがとうございました。

○小杉国務大臣 質問の趣旨がちょっとはっきりしないのですが、私は、何もすべての学校を中高一貫教育にしようというのではなくて、中高一貫教育という制度も選べる、こういうことであります。したがって、例えば、中学、高校、三年ごとに一つのチャレンジの機会があるわけですから、自分はそんな六年間なんて行かないで三年後にもう一度再挑戦をしようという人はそういう学校へ行けばいいし、それから、自分はもうそんな三年目ごとに受験戦争に巻き込まれるのは嫌だという子供は、これはもう六年間ゆったりと教育を受けたい、そういうふうに子供さんの希望によって選択ができる、こういうふうに考えております。

○石井(郁)委員 入るところが本当に間口が狭いわけですから、そこを目指しての競争が激しくなるということは言えるのじゃないでしょうか。それはそうならないなんて言ったら、余りにもまた現実と違うというふうに思うのですが。
 それで、私はちょっと、今の高校と中学校の問題で、具体的にぜひ東京の例で伺いたいのですが、東京では高校進学率を九五・五%というような形で設定しています、来年は九六%なのですけれども。だから、生徒減にあわせてわざわざ学級数を減らして選抜制度というのが維持されてきています。それで、一九九〇年度から九七年度の八年間でどれだけの学級を減らしたのか。大臣は東京でございますから御存じかと思うのですが、ちょっとお聞かせください。

○辻村政府委員 平成元年から平成八年度までの都立高校の減少数でございますが、私ども、約千二百学級が減少したというふうに承知をいたしております。

○石井(郁)委員 ですから、子供の数にして約一万四千七百二十人、約二十校分の高校を廃止した勘定になるのですよね。私は、こういうことをしなければ、今、高校生、高校進学を希望する生徒全員を受け入れることができるというふうに思うのですね。
 ところが、今は本当に、受験制度がどうなっているかということでいいますと、隣接区受験というのも可能だということで、六十八から七十二校の学校から一校を選んでいる。一発勝負をするということで、偏差値で輪切りです。内申点もある、入試素点というふうにある。これはもう市販されているから御存じと思うのですけれども、高校の受験案内などを見ますと、それはもう本当に、一点刻みのすさまじいランクづけ、高校のランクづけになっているというわけです。
 だから、偏差値をなくするなんということを言われましたけれども、全然現実は違う。しかも、ボランティアで今度はさらに内申点が入ってくる。だから、子供たちは学校でいい子ぶりっ子というふうに言われるような形で、本当に疲れ切っているわけですよね。だから、何としてもこういうことをなくさなければいけないという点で、私は、希望者を全員受け入れることができる、そういうことがどうしても必要ではないのかというふうに思うのです。
 それで、私ども日本共産党は、皆さんとも大いに議論もしながら、やはり高校の希望者全員入学の大前提ということを明確にすべきだ、そして入りたい人がやはり全員受け入れられる中高一貫教育、地域の総合制高校、こういう建設が可能だというふうに思うのですね。そして、その中では生徒の個性、能力をさらに伸ばすための教育課程が多様に、多彩に、豊富に準備される、そういう高校ができたら、本当にどんなに子供たちが伸び伸びとするだろうか。学校のランクづけもなくなるというふうに思うのです。
 ぜひ大臣として、高校の希望者全員の入学を受け入れるような高校建設、建設というかそれをぜひしていただきたい。そして、数校の中高一貫教育だけで受験競争を一層激化する、本当に、子供たちが十二で泣いて十五で泣いてという、こういうことをやはりやるべきではないということを強く申し上げたいというふうに思うのです。ちょっと大臣、いかがですか。

○小杉国務大臣 高校もかなり入りやすくなっているという現状があります。それで、子供がどういう能力、どういう適性を持っているか、そしてどういうことに興味を持ち、関心を持って、どういう進路を選ぶかということは、やはりそれを見きわめて進路指導が行われるのがふさわしいと思うわけでございます。
 私は、やはりただ機械的に全部署り振るというような形ではなくて、そうした子供の適性、個性、あるいは自分の興味、関心、あるいは今後の進路の問題、こういうものを生徒自身あるいは保護者も考えてできる、そういうことから、一定のやはり選抜は必要であろうと思っております。
 ただし、ただペーパーテストの成績とか偏差値だけで決めるのではなくて、もう少し入試選抜の多様化あるいは成績の評価の多元化、こういうことは必要だろうと思っております。

○石井(郁)委員 私は、やはり大臣の御答弁をお聞きして、これでは子供たち救われないなという率直な感想を持たざるを得ません。受験競争で本当にどんなに疲れ切っているか、またいじめなども起こっているかというようなことも考えますと、今やはりそういうことに抜本的に取り組むべきだというふうに思うのですが、きょうはもう一つ、これは予算と関連して御提案したいことがあるのです。
 教育改革プログラムには、教職員の今本当にすさまじい多忙な実態、そしてまた学級編制の縮小というか、そういう問題については全然触れられておりません。もう時間もありませんので手短に申し上げますけれども、いじめ問題、登校拒否や不登校の問題のふえよう、今、親も教師たちも大変心を痛めています。何とかしたいとみんなが思っています。私は現場の先生方から本当に随分お話を伺いましたけれども、やはり教科指導でも生徒指導でも、ゆとりが欲しい、そして子供たちの話を聞きたいという声は本当に多いのですよね。ところが、なかなかその時間がとれないという実態です。
 これは全日本教職員組合の調査なのですけれども、授業、部活、そういう時間を除いて子供と触れ合うのは、小中学校とも一日わずか十五分程度だという調査もございます。小学校の教師の八割は、もっとやりたいことは何かといえば、子供との触れ合いということを挙げています。今、都市部の中学校では一クラス三十六人以上、こういうクラスが約九割ですよね。ですから、本当にこの状況を打開するには、やはりクラスの人数を減らすこと以外にないわけです。これも、今の教職員の多忙の問題というのはいろいろな角度から考えなきゃいけないことがあるのはもちろんですけれども、しかし、やはり抜本的な対策というのはそこをやる以外にないというふうに思うのですね。
 子供の数が多いほど個別指導ができないというのは、もう経験的に先生方が言われているし、また研究の報告でもあるとおりであります。それから何よりも子供自身が、やはりクラスの人数は少なくなってほしい、これは千葉大の教育行政学の研究室の千葉県の高校生のアンケートというのがございますけれども、そこではそういうことが出ています。それから、いろいろな方がそういう発言をされていまして、これは筑波大の下村哲夫教授も、今本当にやるべきことは何か、教師も頑張っているけれども限界だ、教師にゆとりを持たせるには人手をふやすしかない、これは教職員定数増だということがあるでしょう。だから、やはりそういう世論は本当に今高まっているのではないでしょうか。
 ぜひこの三十人学級をやる、踏み出すということについて、ひとつ大臣の御見解を伺いたいというふうに思います。

○小杉国務大臣 四十人学級という制度を一応持っておりますけれども、実態を調べてみますと、全国を平均いたしますと、小学校は一クラスの平均大体二十八人、それから中学校で三十二名ぐらい、詳細はまた必要があれば答えさせますが、そういう実態になっております。
 それから、現在の四十人学級というものに基づいて教職員の配置改善計画というのを、平成五年から十年まで六年間でやっております。そして、生徒さんの数が減るに従って教師も減っておりますが、その中で特にチームティーチング、複数の先生がきめ細かな教育をやるとか、あるいは生活指導、生徒指導の教員を配置するとか、そういう中で、私は、制度は四十人学級であっても実態はかなりもう三十人学級に近づいているというふうにお答えしたいと思います。
 なお、詳細な数字、必要があれば政府委員から答弁させます。

○石井(郁)委員 私、最初にちょっと御紹介しましたけれども、それはあくまでも全国平均なんですよ。だから、特に中学校ですね。今、小中合計で言われましたけれども、中学校は絶対にそんなことありません。先ほど三十六人以上のクラスは九割を超えているということを申し上げました。これは事実そうであります。それと第六次の定数改善、今行われているとおりですが、平成十年で終わりますね。その後どうするのかということもあります。そして、この第六次の定数改善でも、実際は何と自然減で六万四百人の先生が減っています。だからふやしていると文部省言うけれども、マイナス三万人なんですよ。だから、現場は本当に大変なんです。
 私は、きょう資料を一応作成いたしました。これは文部省なかなかやらないものですから、三十人学級が本当にできないのかということで試算をしたものなんですけれども、私はやってみて驚いたのですね。六年間で三十人学級にする場合というのは、一九九七年、九八年、九九年、マイナスなんですよ。特に持ち出しをしなくていいということです。二〇〇〇年で四百四十三億です。ということですから、本当にできる条件にこの点でも来ているのではないでしょうか。
 そういう点で、今予算審議の国会として我が党も公共投資、特にゼネコン型予算のむだを削れということを言っていますけれども、例えば軍事費の問題で見ても、今年度予算では、中期防の中のF2支援戦闘機、これは一機百二十億円するというふうに聞いていますが、八機も購入するということがございますね。ですから、本当にそういうことに予算を振り向けて、子供たちの教育、そして日本の未来にかかわるこういう問題、人間を大事にするという点では余りにも予算が削られ過ぎているという点だと思うんですね。私は、今この三十人学級に踏み出すことがどうしても必要だというふうに思います。
 それから、この点でもう一枚資料をきょう入れましたけれども、ぜひごらんください。
 これは学級編制の基準ですけれども、アメリカでは上限最大三十、これは一九七二年からなんですよ。もう二十数年前じゃないですか。ヨーロッパでも七八年から八〇年にかけてこういう数字になっているわけです。日本だけ本当にこういう点では異常です。だから大臣、実態はそうなっているというんじゃなくて、それはあくまでも平均なんですから、そんなことはありませんよ。そして、やはり教師の数をふやすということをしなければ教師たちの仕事にゆとりが持てないわけですから、今この学級編制基準を変えるということにぜひ踏み出してほしい。わずかこれだけの予算でできるわけですから、やはりその決意を、これは文部大臣がしなくて一体どうするんでしょうか。ぜひ私は大臣にしていただきたいというふうに思うのですね。
    〔藤井(孝)委員長代理退席、委員長着席〕

○小林(敬)政府委員 お答えいたします。
 先生から資料をいただきました。私ども、学級編制をこれまでも五十人から四十五人、四十五人から四十人というふうに引き下げてまいりましたときに、計画的に行ったわけでございますが、その際にやはり全国の市町村に協力をお願いして、正確に言えば通学区ごとの子供たちの増減状態というものを的確に把握をした上で計画を策定いたしておるわけでございます。
 そういうわけでございますので、確かに数字は見せていただきましたけれども、一定の前提を置かれた数字だというふうに思っておりまして、私どもがもしこういうふうなものを考えるとすれば、相当な膨大な作業をした後でないと出てこないというふうに考えておる次第でございます。

○石井(郁)委員 それはもう政府としては当然そのぐらいの作業をすべきではありませんか。私どもも大変でしたよ、この作業は本当に。ぜひこれはやってください。それはもう当然文部省としての責任においてやってほしいというふうに思います。
 それから、地方自治体、地方のことを言われましたけれども、私もいろいろ取り寄せましたけれども、これは岡山県で七十八の自治体のうち、三十人学級をすべきだという採択をされている自治体がどんどんふえ続けていますね。これは昨年から、七十八のうち五十近い自治体は三十人学級をするという請願を採択する、もう地方自治体、随分進んできているのではないでしょうか。
 それから、あえて申し上げますけれども、これ
は経団連、新しいもので去年の三月「創造的な人材育成のための「五つの提言、七つのアクション」」というのを発表されましたけれども、この中でやはり「一クラス二十―三十人程度の充実した授業が可能となるように工夫する」と言っているではありませんか。私は、やはりこれが世界の趨勢だし、また日本の国内的な世論の高まりだというふうに思うのですね。だから、今本当にこれを踏み出さなければ、もう六次定数終わるんですよ、十年で。本当にこのことこそ教育改革としてやはりやるべきだ、やってほしいということを重ねて要望、要求いたしまして、質問を終わります。
 大臣、一言、ぜひ御検討、いかがですか。

○小杉国務大臣 繰り返しになりますが、現在四十人学級というもとでいろいろな工夫をしております。チームティーチングとか、できるだけ一人一人の生徒に応じたきめ細かい教育をやろうということで第六次の計画に基づいてやっているわけでありまして、今委員から試算が出されましたけれども、これは一定の前提条件のもとでの試算でありまして、私どもの計算では、もし三十人学級とか三十五人学級をやりますと先生の数がすごい勢いでふえてしまう。今の厳しい財政状況の中で、それはなかなか不可能である。しかし、四十人学級のもとでも、さっき申し上げたように実態としてはかなり三十人学級に近づいているということを御理解いただき、また今四十人学級の中でさまざまな工夫をしているということを御理解いただきたいと思います。

○石井(郁)委員 終わります。


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