平成九年二月二十六日(水曜日)
午前九時二分開議
出席委員
委員長 二田 孝治君
理事 稲葉 大和君 理事 河村 建夫君
理事 栗原 裕康君 理事 田中眞紀子君
理事 佐藤 茂樹君 理事 藤村 修君
理事 石井 郁子君
栗本慎一郎君 佐田玄一郎君
阪上 善秀君 島村 宜伸君
新藤 義孝君 戸井田 徹君
中山 成彬君 能勢 和子君
山口 泰明君 井上 義久君
池坊 保子君 旭道山和泰君
西 博義君 西岡 武夫君
三沢 淳君 鳩山 邦夫君
肥田美代子君 山原健二郎君
保坂 展人君 粟屋 敏信君
岩永 峯一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 小杉 隆君
出席政府委員
文部政務次官 佐田玄一郎君
文部大臣官房長 佐藤 禎一君
文部大臣官房総務審議官 富岡 賢治君
文部省初等中等教育局長 辻村 哲夫君
文部省高等教育局長 雨宮 忠君
文部省学術国際局長 林田 英樹君
委員外の出席者
厚生省薬務局企画課長 吉武 民樹君
文教委員会調査室長 岡村 豊君
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本日の会議に付した案件
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)
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○二田委員長 石井郁子君。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。提出されました国立学校設置法改正案について質問いたします。
まず、国立大学の学部の名称及び筑波大学の学群の種類を法律事項から政令事項とすることについて伺います。
もともと、国立学校設置法で大学の学部等が法律事項とされてまいりました。この趣旨は何でしょうか。
○雨宮政府委員 国立大学の学部の名称につきましては、国立学校設置法が昭和二十四年に制定されたわけでございますが、それ以降法律で規定されてきたわけでございます。このように学部の名称につきまして法律で規定されてきた、少なくともこれまでの意味と申しますのは、学部というものが、やはり大学におきます教育研究活動を実施する上での基本的な構成単位であるということから法律事項とされてきたというように理解しておるところでございます。
○石井(郁)委員 それでは、一九八三年に国家行政組織法が改正されまして、各省庁の内部部局等がそれまでの法律事項から政令事項とされたわけですけれども、そのとき大学院も政令事項とされました。我が党はこれについては改悪ということで反対したのですけれども、しかし、その際にも大学の学部は従来どおり法定事項のままということにされたわけですね。この理由について、当時政府は国会でどのように説明されたのでしょうか。
○雨宮政府委員 昭和五十九年の七月の国立学校設置法の一部改正、これは今先生御指摘のように国家行政組織法の改正の考え方に従って整理されたわけでございます。その際に、大学院を置く大学の指定でありますとか、あるいは国立大学に附置される研究所の名称でありますとか、大学共同利用機関の名称でありますとか、これらにつきましては政令事項とされたわけでございますが、学部につきましては、これらとの比較の上で、なお基本的な大学の構成要素たる地位があるのではなかろうかという理解のもとで法律事項として整理した、こういうことでございます。
○石井(郁)委員 この間の経緯のことをちょっと私、振り返りたいのです。
国家行政組織法改正案が審議された第百国会の衆議院行革特別委員会で当時の中曽根首相が、大学院を政令としたのに学部は法律事項のままにする、このように答弁されているわけでございます。「大学院の場合は必置ではなくして、大学院は設けることができる。学部は必置になっています」と。「大学というものができる以上は学部のない大学というのはあり得ない。そういう意味においてちょっと性格が違うのじゃないか」ということがございました。
また、百十八国会の参議院の文教委員会で、当時の坂元局長が述べておられるわけです。少し長いのですけれども、ちょっと御紹介します。
「私どもも文部省部内でいろいろ検討をいたしました。その際に、私どもとしましては、国立大学というのが国民の教育機関として広く国民に利用されておる、国民の生活にある意味では重要な関係を持つ機関であるということ、それから教育の機会均等の確保という要請から、地方などはむしろ国立大学が地方の高等教育の重要な機能を持っておるというようなこともございまして、国立学校設置法において大学の名称と位置は当然設置法で規定すべきであるという結論にまずなったわけでございます。ついては、文部省内で学部についてはどうするのかなということを議論したわけでございます。当時、私、担当の大学課長であったわけですが、そこの結論としましては、学校教育法の五十三条におきまして「大学には、学部を置くことを常例とする。」と規定されているわけでございます。大学にはまず常例として学部があるんだということ、それから伝統的に、我が国の総合大学もそうでありますが、学部を中心にしてまず単科大学ができ、それから総合大学に発展してきたというようなこと等も考えますと、学部は大学の教育研究の基本的な組織であるから、これもやはり大学の名称、位置とあわせて法律事項として法律に書き、その都度国会の御審議を仰ぐべきではないかという結論になりまして、学部まで国立学校設置法で規定することにしたわけでございます。」と答弁がありました。
ところが今回、学部を法律事項から政令事項とするということですね。大学の学部は、大学を構成する基本的な構成要素、大学の教育研究の基本的な組織ではなくなったという御認識ですか。
○雨宮政府委員 学校教育法でも規定されておるわけでございますが、大学には数個の学部を置くことを常例とするということでもございますし、学部が主として高等学校卒業者に対する基本的な入口であるという意味合いは現在も基本的には変わっていないというように考えておるわけでございます。
○石井(郁)委員 ですから、なぜ政令事項とするのか、このことをお聞きしているわけです。もう少しはっきり御答弁ください。
○雨宮政府委員 いかなる事項を法律事項とし、あるいはいかなる事項を政令以下の事項として整理するかということにつきましては、もちろん私どもの考え方ということもあるわけでございますけれども、基本的に、法律事項として何を残すかということにつきましては、やはり国会の御審議の上でということになろうかと思うわけでございます。
近年、御案内のように、文教委員会の場におきましても、ここ三年そうでございますけれども、国立大学の学部名称の変更等につきまして、必ずしも法律で規定しなくてもいいのではないか、そういう角度からの御議論もあったわけでございます。
私どもなりに種々検討いたしまして、また近年の学部改組の実態、すなわち、社会経済情勢の変化等に応じまして、各大学で大学改革ということの一環といたしまして学部改組というものを非常に頻繁に行ってくるということが現実にあるわけでございます。そのような動きとも関連しまして、全体の行政の簡素化というような観点からも、この際、法律事項から政令事項に移行させるということの方が、国会の御審議の動向やらあるいは私どもの見ております大学の改革の動向やらによりふさわしい考え方ではなかろうかということで、御提案申し上げているわけでございます。
○石井(郁)委員 文部省の資料も見てみますと、今回の法改正について、今御答弁のように、国会の審議等を踏まえということも確かにございました。
確かにこの問題では、ここ数年の衆参の文教委員会で各議員の皆さんから、学部をつくるのにどうして国会で法律を変えなければならないのか、新しい学部をつくるのにわざわざ国会で審議しなくても役所限りで政令等にゆだねてしかるべきではないかとか、また、学部の改組を法律事項とすることは時間も手間もかかるという質問があったというふうに伺っております。今御答弁でも、簡素化を図りたいということもありました。
それでは確認したいんですけれども、法律事項だったら時間がかかる、手間がかかるということですか、政令にすると時間と手間はかからないということなんでしょうか。
○雨宮政府委員 時間がかかる、かからないということにつきましては、これは国会の御審議の問題でございますので、私どもの方からとやかく言
うべき事柄ではないとは思うわけでございますが、少なくとも手続といたしまして、例えば新しい学部を設ける一あるいは学部改組をするということにつきましては、これは予算に当然かかってくるわけでございます。予算事項として御承認いただけるということでありますれば、その段階で私ども政令でしかるべき制度的な措置を講ずることができるわけでございますが、それに対しまして、法律でということになってまいりますと、その上に法律の御審議を経た上で、その成立を見た上で初めて学部の名称変更等々の措置がとれる、こういう違いが出てまいるわけでございます。
○石井(郁)委員 どうもいろいろ言われているのがもう一つはっきりしないんですけれども、結局、学部の設置や改組等については、法律事項だったら文部省が法案をいろいろ作成して国会に語る、そういう手続が要る、時間と手間がかかるということじゃないか、それをやはり省略したいということじゃないのかというふうにとらざるを得ませんし、また、今予算のことを言われましたけれども、確かに大学の予算としてはかかるわけですけれども、また学部の設置、改組も予算を伴いますけれども、このことで国会に諮られるということと、学部の改組をちゃんと法改正で行うということは全く違う問題ですよね。ですから、やはりそれを一緒くたにするわけにいかないというふうに私は思います。
それで、この問題については大学の方面から要求はあったんでしょうか。国立大学協会など、具体的に大学側から、これはもう政令事項にしてくれという御要望は聞いておりますか。
○雨宮政府委員 大学改革の一環といたしまして、大学内部の組織編制をできるだけ柔軟にかつ弾力的に一また手続的にも簡略にした方がいいという考え方自体は大学審議会の中でも示されておるわけでございますし、また、学術研究という側面からは、特に近年、科学技術基本計画の中におきましても柔軟な組織編制ができるようにというような指摘があるわけでございまして、このような法律事項を政令事項にするということの基本的な考え方自体は大学関係者から支持されている、むしろ歓迎されているというように理解しておるところでございます。
○石井(郁)委員 御提案のこの資料にも、より柔軟で弾力的な学部編成を促すことができるというようなことなどが書かれているわけですけれども、私はやはり、文部省の政令事項というふうにすれば、大学の改革がどうなるのかということを考えざるを得ないわけです。
そこで、ぜひこれは大臣にもお聞きしたいわけですが、この学部の編成などに当たって、各大学の自主性を尊重して行う、そして、文部省は大学改革あるいは学部の編成等に口出しはしないというようなことについて、どうですか、言うことができますか。
○小杉国務大臣 大学が社会の期待にこたえてその役割とか使命を果たしていくためには、各大学における教育内容とか方法が一層改善充実されることが必要だと考えておりますが、こういうことは、基本的にはそれぞれの大学の自主性にゆだねられるというか、自主的な努力によって実現されるべきものだと考えております。平成三年の大学設置基準の大綱化ということを契機として、各大学ではそれぞれの理念とか目的に沿って特色のある教育研究活動を展開しておりまして、そのためのカリキュラム改革を何度もやっております。それから、自己点検とか自己評価というようなことで、積極的に自主的な大学運営、大学の教育研究の成果を上げておられると思っております。
今後とも、各大学において教育研究活動の状況を継続的に点検、評価をして、不断に改革を推進していくことが望ましいと考えておりまして、我々はそうした各大学の努力を支援してまいりたい、こういう基本的な考え方を持っております。
○石井(郁)委員 大学改革に当たっては大学の自主性にゆだねるというか、自主性を尊重するということでございましたので、ぜひそれを貫いていただきたいというふうに思います。
しかし、この間、これは一九九一年に大学設置基準の大綱化がされまして以降、大学改革ということが、大臣おっしゃいましたように、各大学で進められてまいりました。しかし、その際、当初大学が構想したものについて何度もやり直しをさせられたとか、また、予算を伴う改革は文部省の意に沿わないものはできないとか、文部省の顔色ばかり見て学内の論議がおろそかになっている、こういう声を私どもは一部聞くわけでございます。大学関係者から聞いております。
ですから、政令事項となって国会の審議がなくなるということになれば、設置者としての指導とか助言というような名目で、ますます政府、文部省の意向が大学の改革に反映されるということになるおそれがありはしないかと言わざるを得ません。文部省が学部の改組などを認可する仕組みはそのままなんですね。ここをそのままにしておいて国会の審議はなしにする。ですから、これでは、国民の教育機関であり、また、国民生活にも重要なかかわりのある大学の学部の設置、改組ということが、国会に語らずに、政府、文部省の一存だけでできるようになるというものと思うんですね。これはもう国会をないがしろにするものであり、私ども重大問題であるというふうに考えています。再度、大臣の御答弁をお願いします。
〔委員長退席、河村(建)委員長代理着席〕
○小杉国務大臣 国民の血税を使って国立大学は運営されているわけですから、全く野放しに自主性に任せるというわけにはまいらないと思います。したがって、私どもはそうしたことを踏まえて、しかし、なおかつ大学の自主的な運営ということを尊重していきたいということで、例えば、今度の平成九年度なんかでも、従来の教養部とか理学部とか農学部というような学部を編成して、理工学部とか農学生命科学部というような設置をしたり、横浜国立大学のように教育学部を改組して教育人間科学部というようなこととか、それから長崎大学でも環境科学部というような、従来の縦割り学部編成ではとても対応できないような実態を、大学の独自の考え方で、そういう学際的な分野とかもっと国際的な視野を入れなきゃいけないということで、かなり自由裁量で編成がえができるようになったということは、私は非常に前進だったと思います。
今御心配のことは、これから国会としても十分関与できるわけですね。例えば、こうやって毎年予算審議の中で大学のあり方についての審議ができるわけですから、こういう国会審議を通じて関与ができる。それから、今度の改正で、例えばこの法律事項を政令にしましたといっても、今度こういう学部をつくりましたということは、必ず次の国会に報告をしなければいけない、こういうことになっているわけですから、決して御心配の向きはない、私どもはそういう考えで臨んでまいりたいと思います。
○石井(郁)委員 次に、今回新設される政策研究大学院大学について伺いたいと思います。
まず、この大学院大学の設立の経緯について御説明いただけますでしょうか。
○雨宮政府委員 まず、制度的なところから簡単に申し上げたいわけでございますが、大学院大学というものが設置できるようにした、これが昭和五十一年の学校教育法の改正であったわけでございます。また、あわせまして、それに二年ほど先立ちまして、学部に基礎を置かない研究科、これを独立研究科と言っておるわけでございますが、これが可能であるというのを昭和四十九年にやったわけでございます。これらの制度的な措置を受けまして、昭和五十年代の初めに、五十二年でございますが、埼玉大学におきまして、埼玉大学は御案内のように、教育学部でありますとか工学部でありますとかあるわけでございますが、それらの学部に基礎を置かない独立の研究科といたしまして政策科学研究科というものが設置されたわけでございまして、この政策科学研究科におきましては、先ほど来の御論議にもございましたように、留学生それから地方公共団体の職員等を対象として、政策科学の分野で教育研究上の実績を上
げてきたわけでございます。
この教育研究上の実績をもとにいたしまして、これをさらに飛躍的に拡充したいということで、埼玉大学のもとに置かれました創設準備委員会におきまして、数年かかりまして準備を進め、昨年の九月に一つのまとめを出したわけでございまして、それに示されますような諸準備というものが整ったものだというように考えまして、来年度創設ということでお願いをしているところでございます。
○石井(郁)委員 今御答弁いただきましたように、埼玉大学、具体的には埼玉大学の大学院政策科学研究科から構想が持ち出された、検討の結果、この大学院を発展的に解消する、つまりこの大学院が独立する形で今回新設される、こういうふうに確認してよろしいわけですね。
次に、この大学院大学の目的ですけれども、この大学院大学の設立の主な目的は何でしょうか。これも先ほど来の質疑がございましたけれども、ちょっと手短に御答弁いただけますか。
○雨宮政府委員 創設準備委員会が昨年の九月に「政策科学教育研究機関(仮称)の創設準備について」ということで、今回法案でお願いしようとしております大学院大学の基本構想を示したものがあるわけでございます。それと今回のものとほぼ同じだというようにお考えいただきたいわけでございますが、それによりますと、「本大学院は、現実の政策課題の解決を志向した学際的・実学的・国際的・中立的な機関として、各界、各分野との連携・協力により政策研究を推進するとともに、この分野の研究者の養成及び政策企画能力の強化に必要となる高度な専門的能力を有する国内外の人材の組織的養成及び再教育を行うことを目的」とする、こういうように書いてあるわけでございまして、今回お願いしておりますのもこのような目的を持ったものだ、こういうように御説明申し上げたいわけでございます。
○石井(郁)委員 今伺っておりますと、つまるところ、この大学院大学の主な目的というのは、高度な政策企画能力を持った行政官、この養成と再教育にあるというふうに理解できるのですけれども、どうでしょうか。違いますか。
○雨宮政府委員 今の目的で申し上げましたように、現実に行政機関の職にある者、これが再びこの大学院大学に入学して研さんを積む、これもあり得ることでございます。またそれ以外にも、政策研究の分野での研究者になるというようなこともあるわけでございますし、また、これは必ずしも行政機関とは限りませんで、民間企業におきましても、幅広い経営政策というような分野におきます研さんを積むということもあり得るわけでございまして、必ずしも行政機関の職員相手ということだけではございません。
また、かねて埼玉大学の政策科学研究科といたしましては幅広く留学生を受け入れておるわけでございまして、この機能につきましては、引き続きこの政策研究大学院大学でも大きな活動の要素として考えておるということでもございますので、それらのすべての人材養成を目的とする、こういうように御理解いただきたいと思うわけでございます。
○石井(郁)委員 それでは伺いますけれども、今局長が例に引き出されましたその埼玉大学の大学院政策科学研究科、ここでは実際どうだったのかということでちょっと具体的に挙げてみたいのですけれども、この大学院は七七年に修士課程の大学院として設立されたわけですが、設立以降の大学院生の構成は、全体で五百三十名のうち、学部学生が三十二名です。留学生が二百二十四名、中央官庁からが九十六名、地方自治などからが百七十名、民間企業が八名ということです。ですから学部学生がほとんどいない。留学生といってもこれも行政官ですけれども、留学生を除くと、ほとんどの学生が中央官庁と地方自治体などからの学生で占められている。
また、大学院修了者で見ると、研究者や民間企業等への就職者はごくわずかです。ほとんどがもとの中央官庁と地方自治体等に原職復帰をしているわけであります。
また一方で、大学院大学の教官ですけれども、毎年、約三割は中央官庁の官僚が教官として在籍しています。延べ三百二十三名の教官のうち、中央官庁からが百六名です。三二%です。通産省、自治省、文部省、外務省などです。
文部省にお聞きしたいのですけれども、教官の約三分の一が中央官庁の行政官が占めている、学生もほとんどが現職の行政官である、国立でこういう大学院あるいは大学がほかにありますか。
○雨宮政府委員 現実の政策課題を教育研究するということで埼玉大学として努力してきたわけでございまして、その教育研究活動の上で、他の既存の大学とは異なった特色も出てきたかと思うわけでございまして、その意味で、先生御指摘のように、他の大学では見られないような面というのは確かにあったわけでございます。
ただし、これらの特色というもの、これは基本的には、現実の政策課題を教育研究するというところにある程度由来するところもあるわけでございますが、基本的に政策研究大学院大学といたしましては、このような埼玉大学の傾向をそのまま引きずる引きずらないはともかくといたしまして、ともかくといたしましてというのはちょっと語弊がございますが、いずれにいたしましても行政機関の職員だけではなくて、当該政策科学研究という分野に興味、関心を持ちます学部卒も幅広く求める、それから民間企業の方々からも学生を求める、留学生からも求めるというように、幅広く入学者を求めるという考え方で対処したいということでございます。
○石井(郁)委員 私は、一般論として、大学における政策研究あるいは行政官の養成ということを頭から否定するものではありません。しかし今伺ってみましても、こうした大学院ということになると、大学と行政機構とのかかわりなど、危惧の念をやはり抱くものであります。
次に、具体的にちょっと伺いますけれども、この埼玉大学の大学院政策科学研究科で、八一年に、安全保障と防衛政策の講座が開議されまして、その講座の講師に防衛庁の現職幹部、防衛審議官を依頼するということが学内で大問題となりました。当時のマスコミにも取り上げられていますけれども、文部省は御存じでしょうか。
○雨宮政府委員 今具体的な資料が手元にございませんので確として御返事申し上げられないわけでございますが、官公庁からの教官ということでそのようなこともあり得たかと思いますが、ちょっと今具体の資料を持ち合わせないものですから差し控えさせていただきたいと思います。
○石井(郁)委員 続いてですけれども、この計画は結局取りやめになっているのです。この大学院については、過去にほかにもまた問題が指摘されています。
これは、一九八五年に、この大学院の教官四名が、この研究科の現在のあり方が学問の自由と大学の自治を侵すものであるとして、研究科の内容について次のように告発をして辞職をされているのですね。
それによりますと、当時の吉村科長が政策科学研究科委員会でこのように述べている。官公庁等への年始回りは毎年行っているが、今回は喪中で回れないので、教授の方に手分けをしてお願いしたい、こういう発言があった。それで、実際に、吉村研究科長の名刺を持たされて、官公庁や政治家への年始回りが行われている。
また、アメリカの出張から帰国された二人の教官に対して、内閣調査室、いわゆる内調ですけれども、そのある人物が、直接にあるいは吉村科長を通じて、大統領選直前のアメリカの経済情勢について報告を求められている。しかも、その際、報告は内調のプロジェクトメンバーの義務とまで言ったそうであります。その二人の教官は、内閣調査室のプロジェクトに参加することを承諾した事実はないというふうに言っておられるわけです。
さらに、この研究科では、官庁からの出向人事というのが、吉村科長と行政官庁の人事担当者と
の密室取引の形で進められている。これは八四年の新任人事、通産から二人、自治、農林、文部各一について、選考委員会を発足させないままに、科長の独断で選考が進んでいる。一括して研究科委員会に諮られて決定されている。事前に十分な時間的余裕を持って候補者に関する資料が委員会のメンバーに配付されたことは皆無だったというふうに言われています。これが事実だとすれば、私は、重大ではないかというふうに思います。
ですから、こうした大学院がいわば発展的に解消する形でというふうにして今回できるわけですけれども、今回の大学院大学が本当に国民に開かれた大学としてふさわしいものとなるのかどうか、責任が持てないのではないかというふうに指摘せざるを得ません。大臣の御見解を伺っておきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○雨宮政府委員 教官組織のためにいわゆる中央省庁の職員に出向を求めるということは当然あったわけでございまして、これについて、埼玉大学の政策科学研究科の方といたしまして、何らかの形で関係省庁に適任者を求めるというようなアクションがあるということは、これまでもあったことでありますし、これ自体はとやかく言うことはなかろうかと思うわけでございまして、ある意味で、他に人材を求めるということであるとしますれば、そういうこともあっただろうかということでございます。
○石井(郁)委員 今の答弁では全然、本当に重大性を認識されていないというふうに思うのですね。どこに人材を求めているのかということを問題にしているわけではなくて、学内の選考委員会も開かれていないじゃないか、書類も回っていないじゃないか、全く独断専行で進められているということがやはり学内の手続として問題じゃないのかと言っているわけですから、その点ではもっときちんとした認識を持っていただきたいというふうに思うのですが、大臣、いかがでしょうか、大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○小杉国務大臣 この問題は、教育研究活動とか大学運営の問題であって、これはまさに大学自身がお考えになるべき問題だと思っております。
事実関係について私はよく承知しませんが、今までの大学院大学、三つありましたけれども、北陸それから奈良、これは主として自然科学を中心とした大学でありますし、総合研究大学院大学というのは、これはやはり横浜にあるわけですが、これは主として研究機関を中心としてできた大学院でありまして、今度の政策研究大学院大学というのは、いわばそういう自然科学とか研究機関ではなくて、人文科学というか社会科学というか、専らそういう分野、そういう政策の企画とか政策立案、こういうものに資するための大学でありますから、私は、いろいろな専門家の意見も聞いたり、あるいはいろいろな機関と協力するということは大切なことだと思っておりますから、一方的に、防衛庁を呼んだからけしからぬということではないと思いますし、今安全保障をどうするかというようなことについては、最も専門的に研究している人を呼ぶということは、決して差し支えのあることではないと思っております。
いずれにしても、この政策研究大学院大学の活動なり運営については大学の自主性の問題だと思っておりますから、とやかく文部省から、あれしちゃいかぬ、これしちゃいかぬとか、これはけしからぬなんということは言うつもりもありませんし、できない、そういう建前になっていると思います。
○石井(郁)委員 私も、社会科学の分野で大学院大学ができるということで、ある面で新しいわけですし、なおその内容というのは非常に重大だというか、吟味しなければいけないという面もあると思うのですね。行政とそういう学問とのあり方、癒着だとかそういう問題というのは、厳にきちんと見ていかなければいけないというふうに思うわけです。
それで、今述べましたように、やはりこの政策研究大学院は、経緯あるいはその目的等からして、幾つかの疑念を持たざるを得ません。このことを指摘して、私はこの質問を終わりたいというふうに思います。
時間がもう少しありますので、最後にもう一点、大学の予算について御質問させていただきます。
有馬大学審議会会長の「大学貧乏物語」という本がございますけれども、本当に大学の危機というのは一向に打開されていません。時間の関係。上、本当に絞ってですけれども、大学の基幹的教育研究経費である教官当積算校費、学生当積算校費、そして族費の問題で伺いたいのです。
一九九〇年十二月に、国立大学教官三万四千人を対象に、国大協の「教官の直面する教育研究費の現状」という調査がございましたけれども、これがきっかけで大学の危機打開策が政府挙げて取り組まれるようになりました。その中で、現状は必要額の二分の一以下です、旅費、図書費で自己負担という指摘がございました。回答者の七割、八割の方が最も増額を要望する項目として挙げたのが、教官当あるいは学生当積算校費、旅費でございました。
文部省、この間、この問題でどういう改善策をとられたのでしょうか。
○雨宮政府委員 教育研究の基幹的経費であります教官当積算校費それから学生当積算校費でございますけれども、これにつきましては、平成九年度、対前年度単価増〇・四%ということでございまして、教官当積算校費につきましては約千五百四十一億円、また学生当積算校費につきましては約四百九十億円をそれぞれ確保したところでございます。
少ないではないかという御指摘かと思うわけでございます。現在の財政事情のもとで精いっぱい努力したつもりでございます。
○石井(郁)委員 私は極めて重大だというふうに思うのですね。だって、倍増しなければならないという指摘があったにもかかわらず、八年間で教官当積算校費がわずか八%、学生でも八%の伸びです。この間の物価上昇率が七・一%ですから、実質据え置きという事態です。旅費に至っては、伸び率はゼロ%なのですね。だから大きな減額だ立言わなければなりません。
結局、今文部省予算で見ますと、高度化推進特別経費とか大学院最先端設備など配分されるところとそうでないところの貧富の差が極端になっているんじゃないでしょうか。とりわけ学部では、学部空洞化と言われるような貧困な状態であります。ぜひこれは大臣の御決意として、この大学の貧困を解消するために、基幹的教育経費である教官当積算校費、学生当積算校費の抜本的増額を図る、こういう点でのやはり努力をされるべきだという御決意を伺いたいというふうに思います。
○小杉国務大臣 平成九年度の予算の編成に当たりましても、大変危機的な厳しい財政状況の中で、私どもも精いっぱい努力をさせていただきました。特に、国立大学における教育研究費、そういうことで、科学技術研究費についてはほかの予算よりも大幅にふやしまして、先ほど申し上げたような数字で伸ばしたわけでありますし、また私立学校の助成についてもやりました。
しかし、一方において、財政難の中でいろいろな批判もあるわけでございまして、我々としては、やはりこの研究予算というものが本当に適正に使われているかどうか、それは常にチェックしていかなければいけませんし、またその研究費が本当にいい研究に使われているかどうかという評価、こういう問題も必要でありまして、そういう中にあって、私たちは、限られた財源をどうやったらできるだけ有効に、そして重点的に使うことができるか、そういう観点から今予算執行に当たっているところでございます。
○石井(郁)委員 私は、とてもそういう消極的な姿勢では大学の危機打開はできないというふうに思うのですね。少ない予算の中でどうするか、こういう発想になっているわけですから、その予算配分をめぐって文部省が大学改革に口を出す、文部省の言うことを聞くところには予算が配分され
ると言われるような状態が続くわけであります。私は、大学改革の大前提として、やはり教育研究条件の改善こそ最優先にする、この点で、大臣あるいは文部省挙げてもっと頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいというふうに思います。どうもありがとうございました。



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