114-衆-文教委員会-5号
1989年06月21日
石井郁子議員 質問部分 採決部分 会議録


平成元年六月二十一日(水曜日)
    午前十時三十九分開議
出席委員
  委員長 鳩山 邦夫君
   理事 麻生 太郎君 理事 臼井日出男君
   理事 北川 正恭君 理事 鴻池 祥肇君
   理事 船田  元君 理事 佐藤 徳雄君
   理事 鍛治  清君 理事 中野 寛成君
      青木 正久君    小川  元君
      岸田 文武君    工藤  巌君
      古賀 正浩君    斉藤斗志二君
      杉浦 正健君    渡海紀三朗君
      平泉  渉君    福島 譲二君
      松田 岩夫君    渡辺 栄一君
      江田 五月君    木間  章君
      嶋崎  譲君    中西 績介君
      馬場  昇君    有島 重武君
      塚本 三郎君    石井 郁子君
      山原健二郎君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 西岡 武夫君
 出席政府委員
        文部政務次官  町村 信孝君
        文部大臣官房長 國分 正明君
        文部大臣官房総務審議官    佐藤 次郎君
        文部大臣官房会計課長     吉田  茂君
        文部省生涯学習局長      横瀬 庄次君
        文部省初等中等教育局長    菱村 幸彦君
        文部省教育助成局長      倉地 克次君
        文部省高等教育局長      坂元 弘直君
        文部省高等教育局私学部長   野崎  弘君
        文部省学術国際局長      川村 恒明君
        文化庁次長   遠山 敦子君
 委員外の出席者
        文教委員会調査室長      松原 莊穎君
    ―――――――――――――

○鳩山委員長 これより会議を開きます。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 このたび、私が文教委員長の重責を担うことになりました。委員各位の御指導と御協力を賜りまして、公正かつ円満な委員会運営を図ってまいりたいと存じます。
何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――

○鳩山委員長 この際、文部大臣西岡武夫君及び文部政務次官町村信孝君から発言を求められておりますので、順次これを許します。西岡文部大臣。

○西岡国務大臣 このたび、新内閣におきまして、引き続き文部大臣を拝命いたしました西岡武夫でございます。
 国政の基本である教育、学術、文化、スポーツの担当大臣として、みずからに課せられた役割と責務を十分認識いたしまして、文教行政の充実発展のため、決意を新たにいたしているところでございます。
 委員長並びに各委員の皆様方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げます。
 よろしくお願いをいたします。(拍手)

○鳩山委員長 次に、町村文部政務次官。

○町村政府委員 このたび、文部政務次官を拝命いたしました町村信孝でございます。
 微力ではありますが、大臣を補佐し、全力を尽くして教育改革の推進を初め、我が国の教育、学術、文化、スポーツの振興に努力してまいる所存であります。
 委員長並びに各委員の皆様方の御指導、御鞭撻を心よりお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――

○鳩山委員長 この際、先刻の理事会の協議に基づき、委員長より一言申し上げます。
 我が国の宇宙開発は、これまで着実に進展し、宇宙科学の分野においては、文部省宇宙科学研究所の開発したM3SU型ロケットによる科学衛星の打ち上げを通じて、国際的に評価される数々の顕著な実績を上げてきているが、一九九〇年代以降における大規模な科学ミッションに対応するには、従来より規模の大きい科学衛星の打ち上げが必要とされるに至っている。
 この要請に適切に対処し、宇宙科学の分野において将来にわたり積極的に研究を進め、国際的にも貢献していくためには、科学衛星打ち上げ用ロケットの大型化について前向きに対処すべきものと考える。
 なお、ロケットの開発に当たっては、宇宙開発委員会の総合調整のもとで、我が国全体としての整合性を保ちつつ、効率的にその進展が図られるべきであることはもとよりであり、今後も引き続きこのことを踏まえ対処していくべきである。以上であります。
     ――――◇―――――

○鳩山委員長 内閣提出、参議院送付、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。西岡文部大臣。
    ―――――――――――――

○西岡国務大臣 このたび、政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約、いわゆる実演家等保護条約の締結に伴い必要となる国内法の整備を図ることを目的とするものであります。
 実演家等保護条約は、昭和三十六年にベルヌ同盟、ILO及びユネスコが中心となって、著作物を公衆に伝達する役割を果たす実演家、レコード製作者及び放送機関の国際的保護を図ることを目的として作成されたものであります。我が国は、昭和四十五年の現行著作権法制定の際、この条約を参考として国内的には著作隣接権制度を導入しましたが、同条約の締結については見送った経緯があります。その後、著作隣接権制度は国内において定着し、また国際的にも締約国が主要先進国を中心とする三十二カ国に増加していること、近年における我が国の国際的地位等を考慮すると、我が国がこの条約を締結し、著作隣接権の国際的な保護の充実を図ることは極めて意義があることと考え、今国会において別途その締結について御承認をお願いしているところであります。
 この条約の締結により我が国が負うこととなる義務は、他の締約国における実演家等の権利者に対し、条約に従って所定の保護を与えることであり、今回の著作権法の一部改正の趣旨は、同条約上の保護義務を果たすために必要な規定の整備を行うことにあります。
 次に、本法律案の内容について申し上げます。
 第一は、著作権法による保護を受ける実演、レコード及び放送に、実演家等保護条約により我が国が保護の義務を負うものを追加することであります。
 現行の著作権法は、許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約により保護の義務を負うレコードを除き、外国で行われた実演、外国人をレコード製作者とするレコード、外国人である放送事業者の放送等については保護の対象としておりませんでした。このたび、我が国がこの条約を締結することに伴い、同条約により保護の義務を負う実演、レコード及び放送を新たに保護の対象として加えることとしております。
 第二は、著作隣接権に関する規定を、国内に常居所を有しない外国人である実演家についても適用することとすることであります。
 現在は、国内に常居所を有しない外国人である実演家については、著作隣接権による保護が与えられておりませんが、実演家等保護条約の締結により実演家の国際的な保護の仕組みができることから、これらの外国人である実演家についても著作隣接権による保護を与えることとしております。
 このほか、商業用レコードの二次使用料に関する規定を我が国に対して適用しないこととしている締約国の商業用レコードについては、二次使用料に関する保護を与えないこととする等、この条約が認める相互主義の原則に基づいた措置を定めることとしております。
 最後に、施行日等であります。
 この法律は、実演家等保護条約が我が国について効力を生ずる日から施行することとし、所要の経過措置を講ずることといたしております。
 以上が、この法律案を提案いたしました理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。

○鳩山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――

○鳩山委員長 次に、石井郁子君。

○石井(郁)委員 著作権法の改正でございますけれども、今回の改正にかかわる基本的問題につきましては前回伺っていますので、省略したいと思っています。
 出版者の権利創設問題で若干御質問いたします。
 著作権審議会の第八小委員会が昨年十月に出しました中間報告で検討内容が明らかになっていますが、出版者の権利の創設については反対また強い危惧の念を表明している著作者団体があるはずだと思うのですが、その点、いかがでしょうか。

○遠山政府委員 著作権審議会第八小委員会が昨年十月に報告書を出しまして、関係団体から御意見を伺ったところでございます。
 ヒアリングを行いました団体のうち、出版者団体は、出版者に新たな権利を認めることは時宜にかなっている、また文化的役割を果たす出版者の活動を活発化、安定化させることになり、賛成する旨の意見を提出しております。
 著作者団体からは、私どもが把握しております範囲内では、出版者の新たな権利が著作者の権利に影響を及ぼすことのないようにとの意見を聞いているところでございます。その他幾つかの団体から御意見を伺っているところでございます。

○石井(郁)委員 この中間報告が出た段階で、いろいろな著作者の団体、協会などが意見を求められまして、意見を文化庁の方に上げていると私どもは聞いているのですけれども、違うのでしょうか。

○遠山政府委員 幾つかの団体から御意見を伺っていることは確かでございます。

○石井(郁)委員 私どもはその中で、著作者の立場から反対をはっきり表明している団体があると聞いているわけです。
 そこで、伺いますけれども、出版者の権利の創設について、出版者の権利を保護するという点では私どもも理解はできるわけですけれども、著作者の権利がどうなるのか、あるいは著作者団体などがいろいろ懸念を持っておりますので、著作権が損なわれることはないという保障が明確にされる必要があると思うのですね。そういう点でどうなっているのでしょうか。

○遠山政府委員 著作者団体の御意見としましては、確かに出版者の権利が新たに認められることによって著作者の著作権に影響があるのではないかという懸念を表明しておられることは確かでございます。また、出版者の権利は複写問題に対応した限定的なものであるべきで、その性質は報酬請求権が適当であるという御意見をいただいております。

○石井(郁)委員 ですから、出版者の権利の創設によって著作者の権利が損なわれることはないということが具体的にどう保障されるのか、そこなのですね。それをもう少し明確にしていただきたいと思うのです。

○遠山政府委員 このことは中間報告でも非常に明確に書いてございます。中間報告の中で、新たなる権利が「著作者の権利に変更を加えるものではない」というふうに明記されているわけでございます。
 さらにそれを敷衍いたしますと、出版物が簡易に複製されることに対しまして、出版者がその出版活動の安定性を確保できる必要な限度において出版者に権利を認めるということでありまして、「出版者の権利は、著作者の権利に変更を加えるものではない」というふうに書かれているわけでございます。これの具体的な権利の関係の行使のことにつきましては、今後のいろいろな工夫によって保障されていくものであると考えております。

○石井(郁)委員 出版者の保護が必要であるというのは言うまでもありませんし、大体そういう大方の認識になっていると思うのです。ただ、そのことと出版者の権利の創設ということは、直接的にはちょっと結びつかないのではないかと思うわけです。
 そういう点で、この権利の創設ということで著作者や著作者団体が懸念があるということでございますから、今後とも十分に詰めていかれて、また合意が得られるように進めていただきたいということで、拙速はしないでいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○遠山政府委員 当然ながら、その新しい権利というものをどのような形で定めていくかということについては十分な議論がなされるべきであると思います。特に外国の例を見ましても、イギリスではパブリッシュト・エディションという形の権利ということで制度をつくっているわけでございますが、諸外国のあり方、あるいはむしろ日本において複写が諸外国よりさらに頻繁に行われているような現状にかんがみまして、日本にとって一番ふさわしい出版者の権利の保護のあり方というものを今後探っていきたいと思います。
 いずれにいたしましても、現在第八小委員会におきましてこの問題について非常に精力的な御議論がなされているところでございますので、その推移を見守りながら対処したいと考えております。

○石井(郁)委員 ぜひそのようにお願いします。
 次に、学校の巡回公演に対する助成の問題について伺いたいと思っています。
 学校の巡回公演は子供たちに大変喜ばれているわけですけれども、劇団側は要保護、準要保護児童生徒からは観劇料を徴収していません。劇団負担としているところが大半でございます。八七年度の調査によれば、全国で小中学校での観客数が五百二十万人ということで、非常に大きな影響を与えているわけです。しかし、一人当たり小学校で四百円から五百円、中学校では八百円の観劇料を、要保護、準要保護の子供たちの分を負担するとなりますと、これは日本児童青少年演劇劇団協議会、八十一劇団で構成されていますが、そこの調べでは一億四千万円自己負担となっています。
 文化の退廃ということが目に余って、子供を持つ親が大変心を痛めているという中で、この学校の演劇というのは教育上の貴重な役割を果たすし、意義を持っているわけです。そういうことで、学校教育の一環として位置づけられて当然の文化活動だと思うわけですが、なぜ就学援助の対象として検討されないのか。また、当然検討されるべきではないのかと思うのですが、その点を伺いたいと思います。

○遠山政府委員 確かに児童生徒あるいは青少年が芸術に親しむことによって豊かな人間性を形成するという意味で、巡回劇団の公演の果たしている役割は非常に大きいと思うわけでございますが、文化庁でも、この事業の重要性に照らしまして、従来から補助金を交付しているところでございます。
 現在、補助事業で実施しております巡回公演は、学校または都道府県教育委員会、市町村教育委員会が予算に計上して上演契約を結び実施しているのがほとんどでございまして、まれに児童生徒から鑑賞料を徴収することもあるようでございますけれども、要保護、準要保護の児童生徒の分は教育委員会で負担しているのが通例であるというふうに私どもは把握をしているところでございます。
 公演料につきましては、劇団と学校等との契約によって行われているのでございまして、要保護生徒の鑑賞料の非徴収分があるといたしますと、その非徴収分をどうするかということは契約の問題でございますけれども、学校によりましては学校負担を明らかにするというふうな形もとっておりまして、この問題は私どもといたしましても、劇団の公演の重要性にかんがみましてできるだけの補助金等の措置をしたいところではございますけれども、現在の財政上の課題がございまして、その金額そのものが必ずしも十分でないということは認識をしているところでございます。

○石井(郁)委員 ですから問題は、就学援助費というのがありますね。それは一定の費目があるわけですけれども、こういう文化活動を学校教育活動の一環として考えるかどうか、そして就学援助の対象項目に演劇鑑賞ということを入れるかどうか、このことなんです。担当者はいませんか。

○遠山政府委員 就学援助の問題に関しましては担当が別でございますので、私は必ずしも正確なことは申し上げられないのでございますけれども、これまでは要保護及び準要保護児童生徒の援助費の費目となっておりますところのものは、学用品費でございますとか通学用品費、通学費、修学旅行費ということでございまして、観劇に要する経費というものはその対象になっていないところでございます。

○石井(郁)委員 それはよくわかっているわけで、ですから、それを入れるべきだということですね。
 先ほど学校負担と教育委員会等々いろいろな実情ということが話されましたけれども、これは児童青少年演劇劇団協議会、一億四千万円は劇団が負担しているという事実ははっきりしているわけですから、こういう問題をどうするのかということなんですよ。だから、今のところ就学援助の項目になっていないのはわかっていますけれども、それをやはり検討する段階に来ているのではないかということをお尋ねしているわけです。どうですか。

○遠山政府委員 これは必ずしも担当でございませんので答えにくい話ではございますが、この巡
回演劇の公演を拡充していくという角度から見ますと、従来とっておりますような補助金の充実でありますとか、あるいは各都道府県教育委員会なり学校の負担というふうな形での対策という方がむしろふさわしい方向ではないかというふうに考えます。

○石井(郁)委員 やはりそういうのでは困るのですね。就学援助の対象項目には校外活動も入っていますね。ですから、私は文化活動として演劇鑑賞など当然入っていいと思うのですね。しかも、たかだか額が一億四千万円ですよ。リクルートでどれだけこういう千万、億単位の話が飛び交ったのですか。文部省が一億四千万円を出せないなんと言ったら本当に笑われますよ。大臣、どうですか。

○西岡国務大臣 お答えいたします。
 遠山次長からお答えを申し上げたのが当面文部省としてお答えをできる限界でございますけれども、委員御指摘の、方向としてはそういうことが文部省としてもできるようにすべきである、またできることが望ましい、このように私も認識をしているわけでございますけれども、直ちにそれでは平成二年度から御期待にこたえられるようにすることができるかと申しますと、それは非常に困難であると申し上げざるを得ません。

○石井(郁)委員 今この文化関係の団体は、消費税の導入で一層深刻な影響を受けているわけですね、それはもう皆さんも御存じのとおりだと思うのです。こういう学校公演の小規模の劇団が経営が存続できるかどうかという瀬戸際にさえ追い込まれるという事態であります。消費税を文化にも教育にもかけたということで国民は大変に怒っているわけです、そういう中ですから。
 さて、それではちょっと伺いたいのですが、文化庁はこの劇団が巡回公演している回数は一体全国でどのぐらいになっているかつかんでいらっしゃいますか。

○遠山政府委員 全国的な全体の数値というのはかなりな数に上っているということは存じておりますが、国の方での補助対象としておりますのは大体年間三百ぐらいというふうに考えております。

○石井(郁)委員 ですから、こういう点でも本当に目配りをして、ぜひ実態をつかんでいただきたいというふうに思うのです。
 さっきの協議会の調査によりますと、小中だけで一万二千回です。幼稚園から高校などすべてを含めますと二万七千回だということですね。子供を持っていらっしゃる皆さんのところにみんな劇団が回っているわけですけれども、それに対して文化庁が助成しているのは、今遠山次長お答えのように年三百回、三千万円だけなんですね。これは児童演劇協会に対して僻地巡回のみを対象にしているということです。本当にこれでは子供たちに申しわけできない、また寂しいというふうに私は思うのです。
 子供によい文化を、すぐれた演劇を、そういう劇団の方が頑張っていらっしゃるわけだし、子供たちもそれで感動している、日本の教育のために大事な活動をしているわけですから、ぜひこの助成も充実強化するという立場に立っていただきたいということでこの予算増も積極的に考えていただきたいというふうに思うのですが、いかがですか。

○遠山政府委員 これらの事業は文化庁といたしましても長年大事にしてまいっている事業でございます。
 先生御指摘の金額でございますが、例えばこども芸術劇場に関しましては一億四千万余、青少年芸術劇場に関しましては二億六千万余、中学校芸術鑑賞教室には一億四千万余というふうな形で予算措置をしているわけでございます。これが十分かどうかといいますと必ずしもそうでないわけでございますが、数値といたしましてはそのような数値になってございます。

○石井(郁)委員 そういうこともありますけれども、今私が問題にしていますのは、そういう学校の巡回公演にもっと予算増をするという問題です。その点、最後にまた大臣にも伺いたいと思います。

○西岡国務大臣 お答え申し上げます。
 文部省といたしましても、委員御指摘の点につきましては、できる限り御期待にこたえるように、これからの平成二年度の予算編成にかけまして努力をいたす考えでございます。

○石井(郁)委員 ぜひそういう立場で、またそういう姿勢で頑張っていただきたいというふうに思います。
 さて、残りの時間ですが、私は新学習指導要領の問題で若干質問したいと思っています。
 今国会ではきょうが最後の委員会ということになりますし、この新学習指導要領はもう既に文部省が講習会を実施をしておりますし、実施に向けて省を挙げて取り組んでいるということかと思うのですが、しかし一方、各界から強い批判、疑義が生じているという中身でございます。本来私は文教委員会でこういう問題も集中的な議論をすべきだと思っていますが、大変短い時間の中で基本的な問題について若干文部省のお考えを伺っておきたい、今そういう気持ちで質問したいと思っています。
 まず一つは、指導要領の作成に当たりまして教育課程審議会等々をつくられ、いろいろあるわけですけれども、憲法と教育基本法にのっとってつくられている、そういうふうに当然理解するわけですけれども、このことは確認してよろしいでしょうか。

○西岡国務大臣 お答えいたします。
 当然のことでございます。

○石井(郁)委員 もう一つ、学習指導要領と申しますのは、子供たちが学校で学ぶ内容であり、また先生方が教える内容だ、そういう教育内容が書かれているわけですけれども、そういう教育の内容を決める、それは大綱であったりいろいろするわけですけれども、内容を決めるというのは例えばどういう基準でお決めになるのでしょうか。

○菱村政府委員 教育内容の基準は学校教育法の規定に基づきましてそれの委任を受けました学習指導要領で決めているわけでございますが、それを作成するに当たりましては、御案内のとおり教育課程審議会を開催いたしまして教育課程審議会で数年の御審議をいただいて基本的な方向、場合によっては具体的な教科ごとの方向を出していただきまして、それに基づきまして今度は学習指導要領の作成のための協力者会議を教科別に開く。ここにはそれぞれ小・中・高等学校の先生方、それから各県の指導主事の方々、さらには教科ごとの大学の専門家等が、延べにしますと数百人入られるわけでございますが、その方々が、同じく延べにしますと数百回にわたります教科ごとの協議を重ねられまして、そこで学習指導要領をつくっていく、こういう形で教育内容が決まっていくわけでございます。

○石井(郁)委員 伺っているのは、そういう手続や機構や体制の問題ではないのです。そういう形でつくられているということはわかりますが、そのときにある内容は盛り込まれ、ある内容は削られる。内容というのはこういうことで決めていくわけでしょう。それは一体どういう議論で、またどういう基準があって最終的に決まるのですか。
 また、それはそれぞれの教科や教育課程審議会、いろいろな会議で議論があると思いますけれども、最終的に文部省が責任を負うわけですね。文部省はこれが今ふさわしい内容だというふうに言うわけですから、文部省の見解で結構です。文部省はこれがふさわしい内容だと決めるときの原則というか基準というのは、根本にあるものは何ですかということです。

○菱村政府委員 これは基本的には、先ほど申し上げましたように教科別の協力者会議で議論を重ねまして行うわけでございますが、その土台になるものはもちろん近代学校制度が始まって以来の各教科が持っております伝統的な考え方というのがございます。特に戦後は、戦後できました学習指導要領の経緯をずっと経ておりまして、大体十年ごとに改訂しておりますが、その過去の積み重
ねによりましてできるわけでございます。
 そのときに、もちろん基準となりますのは憲法、学校教育法、教育基本法というのももちろん踏まえまして、あとはそれぞれの教科の持っております論理というものがございます。それから、例えば数学の教育内容でございますと、およそ初等教育ではこの程度の内容を押さえる必要がある、中等教育ではこの程度の内容を押さえる必要があるという教科の指導の専門家ないしは教科の専門家によりますおのずからなるコンセンサスがございます。それをもとにしまして議論を積み重ねて原案を作成するわけでございますが、最終的にはもちろん文部大臣の責任においてこれを決めるということになるわけでございます。

○石井(郁)委員 この問題だけで議論しても相当いろいろあるのですが、私はそういうことだけでは大変不満なんですけれども、私流にまとめますと、教育の目的、それからどういう人間にしていくのかという人間像、それから子供たちが教育を受ける権利、学校教育できちっとある内容までは学習して力がつくという、基礎的な力を学校でつけてあげなければいけないという問題、それから、ある内容を選んだりこの内容を体したりというのは恣意的な話ではないわけでして、子供たちにわかるかどうかだとか、それから科学や学問の成果に基づいて決めていくだとか、そういうことがあるのだろうと思うのですね。一応そういうふうに私は理解しているということでおきまして、ちょっと具体的に問題点を挙げたいと思うのです。
 前回の指導要領改訂のときには、ゆとりと精選ですか、ゆとりと充実とかいうことで進められましたけれども、あのときに英語が中学校で三時間になり、大変中学生に英語嫌いをつくったり、また塾へ追いやるというようなことが生まれました。それでこの十数年、中学校でも小学校でも落ちこぼれと言われるような現状が大変深刻な教育問題になりましたね。だからそういう点で、内容を精選と言ってきたけれども、その時間数だとか、それから何年生で何を教えるかという漢字の数だとか算数の問題だとかが現場では大変な混乱を起こしているわけですね。私はそういう点で今回の改訂が、この落ちこぼれの問題で文部省がこれで本当に現状を改善していけるというふうに考えているのかどうかということをまず伺いたいのです。
 具体的に言いますと、一つは例えば算数でも一年生が二けたから三けたの数を扱うだとか、それから最大公約数とか最小公倍数は今まで中学一年生でやっていたのが五年生におりてきましたね。そういう種類の問題。ミリリットルという単位は六年生で習っていたのを今度は二年生で教える。こんなのは現場の子供たちも先生方も親も、聞いたらみんな驚くのですよね。どうしてこういうのが出てくるのか、そういう問題なんですよ。これでもって本当に落ちこぼれがなくなると文部省は言えるのでしょうか。

○菱村政府委員 教育内容の精選ということはこれまでも随分文部省も努力してきたわけでございますが、御指摘のように、確かに今日の学校教育の現状からいいますと、なお教育内容が多過ぎるのではないかという御指摘もございます。
 そこで、文部省では数年かけまして小中学校におきます学習到達度の調査等も行っております。そして一体どこにその子供たちのつまずきの問題があるのかというようなこともデータ的に調べまして、そして先ほど申し上げました教育実践の場の先生方、それから教科の専門家等が慎重に御議論いただきました結果、今回告示しましたような学習指導要領の内容になっているわけでございます。
 御指摘の数学の問題等につきましても、いろいろ専門家の御議論、それから過去の子供たちの到達度に関しますデータ等を詳細に吟味いたしまして作成したものでございます。特に今回では理科、数学、社会等につきまして詰め込み教育にならないようにかなり思い切った精選を図っているというのが実態でございます。

○石井(郁)委員 到底そういうことでは納得できないし、そういう点では私どもも本当に時間をかけて尋ねてみたいことがたくさんあるわけですけれども、これはちょっと置いておきます。
 今の改訂された中身は、本当に子供たちの学習権を保障するというものからはるかに離れているかというか、そういうものになっていないという点でも大変憲法に抵触すると私は思っているわけです。
 もう一つの中身は、これはちょっと簡単にお聞きしたいのですけれども、小学校で習う六年生の憲法の原則ですね。それと中学校、高校で教えるような原則とが違うのですね。つまり、普通、憲法の三原則というのがありますね。ずっと学校では教えています。それが小学校では日本国憲法をこの三つで書いているのです。国家の理想、天皇の地位、国民としての権利及び義務、これを六年生で教えているのですね。ところが中学校、高校では、いわゆる国民主権、平和主義、基本的人権ということで今までどおりきちっと押さえられているのですね。こういう小学校で教える憲法三原則と中学校、高校で教える三原則がこんなふうに食い違っていていいのでしょうかという問題、ちょっと簡単にお願いします。

○菱村政府委員 憲法学習につきましては、これは小学校から高等学校まで行っておりますが、それぞれ子供たちに発達段階がございますから、憲法の学習というのはかなり内容的には難しい内容になるんだろうと思います。しかし、憲法といいますのは、国の基本の規範でございますので、これはやはり小学校段階からきっちり教えなければいけないというので、小学生の発達段階に対応して教えているわけでございます。
 御指摘のように、憲法の三原則、国民主権、平和主義、基本的人権というのは、小学校も中学校も高等学校も押さえております。ただ、その押さえ方は、子供たちの発達段階によって少しずつ違ってきているということでございます。現実に教科書をごらんいただきますれば、その辺の事情は十分おわかりいただけるだろうというふうに考えております。

○石井(郁)委員 そうだと、これは文字どおり読みますと、これは指導要領、新しい本ですね、三十五ページには、今言った三つの原則、そういうふうに書いてませんよ。きちっとやはり小学校にも書くべきですね。教科書でちゃんと教えるというのだったら、指導要領、そもそもきちんとそういうふうに明示しなければいけないということだと思うのですが、残念ながら、ちょっともう時間がありません。
 最後にもう一つ、重大な問題ですけれども、今度の指導要領改訂に当たりましては、これは臨教審から出てくるわけですけれども、心の教育という、心の異常な強調があるのですね。道徳教育等の強調があるのですけれども、これはそもそも臨教審にさかのぼらなければいけないのですが、「人間の力を超えたものに対する畏敬の念」ということを、今度は学校内容にはっきりと入れるようになりました。これは、宗教的感情だし、特定の価値観だ、こういう特定の価値観をいわば公教育に強要していいのかどうかということを、非常に重大な問題だというふうに私は思っているんですね。どうですか。

○菱村政府委員 「人間の力を超えたものに対する畏敬の念」といいますのは、昭和五十年代の学習指導要領の改訂のときに、教育課程審議会から答申がございました。それで、中学校には従来入っていたわけでございます。それが、今回、小学校にも、芸術作品のうちに秘められた人間のわざを超えたものに感じたり、自然の摂理に感動して、それを包み込む大いなるものに気づいたりする、こういう畏敬の念を持つことが人間としてのあり方をより深いところから見詰めさせるという、人間としての教育として大事であるということから、これが入っているわけでございます。ですから、今回特にこの学校教育において初めて取り入れられたものではないというふうに考えております。

○石井(郁)委員 文部省はそういう形で少しずつ入れてきているということですけれども、しかし幼稚園から高校まで、今度の指導要領改訂はもう全面改訂ですよね。だから、そういう意味では、あらゆる改訂に全面的にこれを取り入れたという点では重大な段階なわけですね。
 ここで、こういう人間の内面にかかわる問題、こういう領域へ国家や行政が踏み込む、これはもう明らかに憲法違反じゃありませんか。思想、信条の自由という点からしても、重大な問題。それから憲法、教育基本法にのっとってと言われましたけれども、そこに書かれているのはまさに個人の尊厳ですよね。それから、思想のそういう問題ですから、そういう点では、これは大変なことだというふうに思うわけです。
 同じような意味で、日の丸・君が代もそうですね。文部大臣、義務づけになって、処分をするという発言をなされたようですけれども、一体何に基づいて処分などができるのか。まさに人間の心の内面、そういうものを処分の対象にするといったら、これはもう思想統制以外の何物でもないわけですね。
 そういう点で私は、最初おっしゃったことは、憲法、教育基本法にのっとってというのは、これは言葉だけが歩きまして、事実上憲法、教育基本法違反だというふうに言わざるを得ないわけです、この指導要領につきましては。その点で、もう時間になりましたので、大臣、いかがですか一

○西岡国務大臣 お答えいたします。
 委員御指摘でございますけれども、あくまでも今回の新しい学習指導要領は、憲法、教育基本法の精神にのっとって策定をされたものでございまして、国旗・国歌の問題につきましてお触れになりましたけれども、文部省といたしましては、別に処分を前提として国旗を掲揚し、国歌を斉唱するものとするということを定めたわけではないわけでございまして、そういう点では、せっかくの委員の御指摘でございますけれども、私どもの考えていることとは全く異なった視点からの御発言であろうと思います。

○石井(郁)委員 時間が参りました。

○鳩山委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――

○鳩山委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 著作権法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○鳩山委員長 起立総員。よって、本法律案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――

○鳩山委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、北川正恭君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。佐藤徳雄君。

○佐藤(徳)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対する附帯決議案について御説明を申し上げます。
 まず、案文の朗読をいたします。
    著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、文化の発展に寄与する著作権保護の重要性にかんがみ、著作権思想の一層の普及に努めるとともに、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 「実演家等保護条約」締結後における著作隣接権制度の円滑な運用を図るため、商業用レコードの二次使用料に関する関係者間の話し合いの促進など必要な諸条件の整備に努めること。
 二 私的録音・録画問題については、国際的動向にかんがみ、録音・録画の機器・機材に係る報酬請求権制度の導入など抜本的解決のための制度的対応についで検討を進めること。
 三 ビデオディスクの発達等により録音・録画された実演の利用が多様化している等の実態を勘案して、実演家の権利の適切な保護等について検討すること。
 四 複写複製問題については、文献複写に関する著作権の集中的処理体制の確立に努めるとともに、出版者を保護するため出版物の版面の利用に関する出版者の権利の創設について検討を進めること。
 五 コンピュータ創作物に係る著作権問題については、今後における技術の発達普及に十分対応できるよう配慮しつつ、検討を進めること。
 六 視聴覚障害等の障害者が、公表された著作物を適切公正に利用することができる方途を検討すること。
以上でございます。
 その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。
 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

○鳩山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○鳩山委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。西岡文部大臣。

○西岡国務大臣 ただいまの御決議につきましては、御趣旨を体しまして今後努力いたしたいと考えております。


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