昭和六十三年十月十九日(水曜日)
午前十時二分開議
出席委員
委員長 中村 靖君
理事 愛知 和男君 理事 岸田 文武君
理事 北川 正恭君 理事 鳩山 邦夫君
理事 町村 信孝君 理事 佐藤 徳雄君
理事 鍛治 清君 理事 林 保夫君
逢沢 一郎君 青木 正久君
井出 正一君 石破 茂君
石渡 照久君 工藤 巌君
佐藤 敬夫君 斉藤斗志二君
杉浦 正健君 谷川 和穗君
渡海紀三朗君 前田 武志君
江田 五月君 嶋崎 譲君
中西 績介君 馬場 昇君
橋本 文彦君 山田 英介君
北橋 健治君 石井 郁子君
山原健二郎君 田川 誠一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 中島源太郎君
出席政府委員
文部政務次官 船田 元君
文部大臣官房長 加戸 守行君
文部省初等中等教育局長 古村 澄一君
文部省教育助成局長 倉地 克次君
文部省高等教育局長 國分 正明君
文部省高等教育局私学部長 野崎 弘君
文部省学術国際局長 川村 恒明君
文部省体育局長 坂元 弘直君
委員外の出席者
文教委員会調査室長 松原 莊穎君
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本日の会議に付した案件
学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百十二回国会閣法第三九号)
文教行政の基本施策に関する件
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○中村委員長 これより会議を開きます。
第百十二回国会、内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
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○中村委員長 次に、石井郁子君。
○石井(郁)委員 学校教育法の一部改正について質問をいたします。
まず、定時制、通信制課程の設置目的について、またこれまでその果たしてきた役割について文部省はどのように評価をしておられるのか、伺いたいと思います。大臣の所見もあわせてお伺いできればと思います。
○中島国務大臣 学校教育そのものが生涯学習の重要な一環であるということは再三申し上げておるわけでございますが、その中でも学校教育ということになりますと、特に後期中等教育、これはあらゆる面で一番重要な時期であろう、こう考えます。そういう中で、特に御指摘の定時制、通信制ということにつきましては三つの観点があろうかなと考えております。
一つは、もちろん勤労学生の方々によき学習の機会を与える、そういう意味での後期中等教育である。もう一つは、多様な履修形態にできるだけ沿うようにしていくべき後期中等教育である。三つ目は、言うまでもなく生涯学習の一環としての後期中等教育、そういう三つの要点を含んでおるものだ、こう思うわけでございます。
それだけに、その三つを包含いたしますと、定時制あるいは通信制、こういう中で特に通信制の方は社会人になられた方々が再び学び加えたいという方々も多いようでございます。人数でいけば大体この数年間は平準化した推移をたどっておりますけれども、そういう中でできるだけそういう方々にとって学びやすい方向を模索し、そして改善をしていくべきであろう、こう考えておるところでございまして、まさに今回学教法の四十五条の二あるいは四十六条で御提案を申し上げておりますのはこの趣旨に沿って御提案を申し上げておるところというふうに御理解をいただきたい、このように存ずる次第でございます。
○石井(郁)委員 今回の改正の一つが定時制、通信制の修業年限の短縮ということでございますね。これまで定時制、通信制課程が四年で修了ということになっていたわけですけれども、その根拠はどういうことだったのでしょうか。
○古村政府委員 定時制、通信制教育は、いわゆる働きながら学ぶ者を戦後想定してできたわけでございまして、そうしますと、やはり勤務というものは二方あるということになると、全日制の高等学校で三年間であったものでありますが、定時制では三年では無理だろうということから四年以上というふうになっていたわけでございます。
○石井(郁)委員 単にそれだけで考えるのはちょっとどうかと思うのですけれども、定時制が発足したときの文部省の最初の見解を振り返ってみますと、やはり全日制と同等の教育を保障するという点で、全日制は三年であるけれども、勉強の時間等々勤務条件とか考えますと、あるいは精神的な肉体的な疲労等々考えますと、四年はかかるということだったと思うわけです。
そういうところを押さえていただきたいわけですけれども、伺いたいのは、それでは今日の定時制について、夜間、昼間、多部制といろいろあると思うのですけれども、その設置形態の数と割合がどのようになっているでしょうか。それから、働きながら学んでいる生徒、その勤務状態というか、特に労働時間の問題について文部省として調査などでつかんでおられることがありましたら伺いたいと思います。
○古村政府委員 まず、定時制の昼夜別の学校数、それから生徒数ということで御説明をいたします。
昼の学校数が百五校、生徒数でいきまして一万二千人。それから、夜の学校が八百四十八校、生徒数で十一万九千人。それから、昼夜併置が三十四校、生徒数で九千九百人。それから、昼間やったり夜間やったりというのが三十三校、生徒数で四千八百七十九人というような概略でございます。
それから、学ぶ者の勤務形態ということでございますが、まず生徒の有職状況ということで見ますと、定時制の子供につきましては大体七八%が職を持っております。その職の中身を見ますと、正規の社員というのが三五%ぐらい、それからパートのアルバイトというのが三七%、それから自営あるいは家業の従事というのが六・四%、無職が二一・四%ということでございます。
それから、勤務日数別の生徒数ということで見まして、一番多いのが一週間に六日間働くのが大体七九%、次が五日間働くのが一〇%、その他が残りの一〇%強でございます。
それから、一日の勤務時間別の生徒数ということで見てみますと、一日八時間労働が一番多い四七・八%、それから七時間が二二%、それから五時間、六時間というところが一五%、大体そんなような状況でございます。
○石井(郁)委員 やはり圧倒的に夜間部設置が多いというふうに考えていいですね、定時制というのは。今、生徒の勤務状態、勤務時間も伺ったわけですけれども、どうですか、八時間以上の労働が大変多いということも実態だろうというふうにわかるわけですね。働きながら学ぶという生徒がこのように現実に定時制に通っているということで言えば、こうした生徒の教育を保障するという定時制高校の役割というのは決して変わらないというふうに考えていいでしょうか。そうだとすれば、夜間部の生徒が三年で卒業するというのは大変困難なことだというふうに思わざるを得ないわけですが、いかがでしょうか。
○古村政府委員 私たちが今御提案申し上げております学校教育法の改正案は、定通については、現在四年以上とありますのを三年以上ということでございまして、すべて三年ということで一律に規制するものではございません。したがって、現状、全国でかなりの学校の数が三年で卒業できるだけの教育課程を組み得るというような現状にありますときに、やはりそういった三年で卒業できるという道を開いてやる。私たちは何もすべてをそういった形で、三年でやれ、やれというふうな形で旗を振っていくつもりはございません。そういった生徒の勤労状況というものを十分見た上で、それが可能であればそういったことについて道を開くのが生徒側にとってよりベターではないかという観点から御提案申し上げているわけでございます。
○石井(郁)委員 全日制課程と同じ教育水準を保障するために四年が必要だということは変わらないと思うわけですね。しかし、三年で単位修得が可能だという学校も出てきているという話が再三言われているわけですけれども、三年に短縮して卒業できる場合のカリキュラムとか履修形態というのは具体的にどういうことになっているのでしょうか。
○古村政府委員 若干敷衍して申し上げますが、履修形態から申し上げますと、三年であるからどうかということとストレートに結びつく問題ではございませんが、履修形態がかなり弾力化してきた。戦後の定時制、通信制が発足して以来四十年の中で、例えば定時制、通信制の併修でありますとかあるいは定時制、通信制と技能教育施設との連携でありますとか、そういった点で学校へ来て学ばなければならぬという授業時間がかなり減ってきた、そういった履修形態弾力化による可能にする道というのが一つございます。
それと同時に、労働条件というのがかなり変わってきている。先ほど私が申し上げましたように、いまだにそれは八時間労働あるいは一週間六日間の労働が多いわけですが、やはり世の中はこれからかなり動いていくと思います。そういった中で、労働時間が少なくなれば余暇が出てくる、余暇が出てくればなるべく学校へ行って、従来四年であったものが三年で卒業できればなおいいのではないかというふうなことから、そういった点で考えているわけでございます。
○石井(郁)委員 私もちょっとデータを見たのですけれども、これは東京の定時制高校の実態ということで、ことしの夏発表されたものですが、ここでもやはり六時間以下という勤務時間というのは三割ですね。だから、七時間以上、八時間以上、もっとということですね。事実、定時制に通われる生徒は零細企業ですとか非常に不安定なところに職場を持っているということからしても、そうだと思うのですね。この東京の定時制高校の生徒八千五百人の調査でありますけれども、健康と感じている生徒が半分以下です。三分の二以上の生徒が睡眠不足で慢性的な疲労を訴えているということです。
今の話では、結局三年で卒業になると、定通併修とか技能連携だとかそういう形で学校の教科以外に単位を集めてこなければいけないということになるわけですね。定通併修というふうに簡単に言われますけれども、こういう状態にある生徒たちにとっては、通信制のレポートを課されるわけですから、レポートを書かなければいけないということでは一層負担が過重になるということでもあるわけですね。
こういうふうに考えますと、そういう条件があれば三年でできるということであって、本来働きながら学ぶ生徒の教育を保障するという定時制の設置目的、最初に第一に言われましたけれども、そういうことからすると相入れないものになっていくのではないか、結局働きながら学ぶ生徒は三年では続かなくなるということになるのではないかと思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。
○中島国務大臣 先生の御指摘のように、私どもも現在働く方々の就業形態も多様化しておるとは思います。しかし、やはり今御提示したように八時間あるいは週六日という就労形態も多い中でございますので、そういう方々に焦りを生ずるような、あるいは過重を生ずるようなことはできるだけ避けていかなければいけない。したがって、その点が私どもは三年以上としたところでございまして、局長答弁を繰り返すようでございますけれども、中には七十単位、八十単位以上を三年間で修得することが可能な部分がある、そういう方々にもう一年待てよというようなことは、かえって社会人のあり方としてもあるいは御自分の生き方としても一年待たせるということは逆にどうであろうか、その方々に新しい道を開いてさしあげるということも一つの改善であろうということで、四年以上というのを三年以上にさせていただいたわけでございます。
そうなると、また先生御指摘の、一方では要するに技能連携というようなものが盛んになるであろう、そういう点でさあその技能連携制度というものがうまく作動するかどうか。こういう点で今までは文部大臣がその施設の指定まで所掌しておったわけでございますけれども、一定の基準さえ定着しておればそこだけを私どもが持たせていただいて、あとは地域で地域の実情に応じて、そしてそこに通われる方々あるいは履修される方々のよりよい御意見が反映できるような都道府県の教育委員会にその施設の指定はおろした方がかえって履修される方々にとってもプラスであろう、そういうことを含めて施設の指定と三年以上という修業年限を一緒に御提案をしたのはまさにそういうところにあるわけでございまして、私どもは新しい道を開くという方に重点を置いて御提案を申し上げておるところでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
○石井(郁)委員 少し立ち入って伺いますが、三年卒でできる課程というのは、先ほどの林議員の質問にもちょっとございましたけれども、学校ごとになるのか、それとも一つの学校に三年コース、四年コースというふうにあるのか。大体両方、一つの学校の中にも三年で卒業できるコース、四年で卒業できるコースがつくられると考えてよろしいですね。
そうしますと、そのコースに入学する時点で、私は三年で卒業するとか四年で卒業するコースを選ぶと決めるわけですね。このことも、定時制などの学生は非常に職場もいろいろ変わる条件が多いということを考えますと、選ぶ方からしても最初からそんなふうに決められるだろうか。だから、最初は気持ちとしては三年で卒業したいというのがあったとしても途中でやっぱり四年かからなければ出られないということもあるのではないでしょうか。そういうことは考えていらっしゃるでしょうか。
○古村政府委員 学校教育でございますから当然カリキュラムというものを生徒に対して提示するということになりますと、この学校はこういったカリキュラムを持っております、これでいけば三年で卒業するコースあるいは四年で卒業するコースと一校で二つあれば二つあるということは当然公になるわけです。ですから、そのときにそれがはっきり決められるかとおっしゃいますが、やはりそれは中学校での進路指導あるいは雇用主との関係というもので、中学校の進路指導の先生等が十分そういった点で御指導をいただければそういった入学時においてそこの選択はできるものだと私は思っております。
○石井(郁)委員 先ほど三年卒の課程は設置者が決めるということでございましたけれども、設置者が決めるに先立って学校の主体的な判断、自主的な判断がどこまで保障されるのかという問題。
それから定時制に三年制で卒業できる課程をつくるということについて文部省として都道府県教育委員会にその促進を大いにしていくというお考えやおつもりがおありなのかどうかということを伺っておきたいと思います。
○古村政府委員 何年の定時制とするかということは権限的にいえば設置者の権限であろうというふうに申し上げましたが、もちろんそれはその学校におきます生徒の状況というものを十分頭に入れて学校側との間で御相談なさるべきことだと思っております。
なお、文部省としてなるべく三年にというふうに積極的に奨励していくというつもりはございません。
○石井(郁)委員 先ほど大臣の御答弁をいただきまして、これは新しい道を開くものだ、三年で卒業したいという子供もいるのではないかという話がございました。しかし多くの定時制に学ぶ生徒は、また逆にやはり四年じっくり勉強したいという生徒もおられると私は思うわけです。私はちょっと生徒の声を聞いたのですけれども、今まで勉強が十分わからなかった、定時制で四年間じっくり時間をかけてわかろうとしているのに三年間で出ていけというのか、僕たちを学校から追い出すのか、こういう声もあるわけでございますね。
そういう点で、定時制の発足の趣旨、設立の目的、こういう点からしても、今日なお働きながら学ぶという生徒たちの教育の保障ということは非常に大事な課題だと私は思うわけです。教育の機会均等を壊してはならないという立場からも、先ほど大臣も勤労青年というか働きながら学ぶ子供たちの条件をよくするためのものだ、こういうふうに言われたわけですけれども、その点で再度、定時制の充実という観点を踏まえていただきたいということでお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○中島国務大臣 御指摘のとおり、後期中等教育の重要な部分でございますこの定時制、通信制の高等学校というものがまさにまず第一に働きながら学ぶ勤労学生の方々にとってよき学びやでありますように、私ども最善の努力をいたしてまいります。なお、つけ加えれば、履修の体系あるいは生涯学習という意味で、一度社会に出られた社会人
の方々が年齢を問わずまたそこで学んでいかれるという意味におきましてもよき学びやでありますように、これまた最善の努力をいたしてまいります。
○石井(郁)委員 技能連携について伺います。
技能連携が現在職業科、普通科でそれぞれ行われているという話でございますけれども、ちょっとその実態をもう少しお聞かせ願いたいと思います。
○古村政府委員 技能連携についての実態ということでございますから、数点にわたって御説明をいたします。
まず第一に指定技能教育施設の数ということで御説明いたしますと、全体で三百二十五施設でございます。類型別に見ますと、専修学校、各種学校の系列に入りますものが百五十四校。その中でいわゆる教科、科目別といいますか、そういった関係で見ますと、家庭科系が九十施設、商業系が五十四施設、工業系が十三施設ということになります。それから職業訓練所の類型に入りますのが六十七施設、その中で公共職業訓練所が四十一、企業内職業訓練所が二十六ということになります。それから准看護婦養成所は百二、農業大学校高等科というのが二、合わせて三百二十五施設が指定されているわけでございます。
なお、連携措置の対象となっております生徒数ということで申し上げますと、定時制の課程の生徒は二千七百五十二人がその連携措置の対象になっております。それから通信制の課程は三万三千二百五人ということで連携の対象に相なっております。
それから技能連携単位数別の、どういったどこまでの単位を技能連携しているかということで申し上げますと、一番多いのは三十単位から三十九単位を連携しておりますのが百六施設でございまして、全体の四四%、その次が二十単位から二十九単位が五十一施設、四十単位以上が五十施設というふうな現状になっております。
それから施設別の連携生徒数といたしまして見ていきますと、全体で三万五千九百五十七人の子供が、先ほど連携生徒数というふうに定通分けて御説明いたしましたが、その中で専修学校、各種学校との連携に入っておりますのは三万八百八十、それから職業訓練所との連携が四千百二十五、准看護婦養成所が八百七十六、農業大学校高等科については七十六というふうなのが全体の状況ではないかというふうに思っております。
○石井(郁)委員 伺いたかったのは、やはり職業科に技能連携が多くあると思うのですね。普通科の場合にはこの技能連携というのはそれほど多くないのではないかということなんです。それは後で御答弁いただきたいのですけれども、やはり制度としては昭和三十六年からずっとあると思いますけれども、現実に技能連携というのは非常に少ないのですね。指定施設はありますけれども、そこで単位を取って云々というのは少ないのではないかと思うのです。それは技能教育施設との連携について、高校教育の立場からいろいろな批判もあると思うのですね。もともと企業の要求を受けて設けられたという点もありますし、全日制と同様の教育水準を本当に維持できるのかどうかという問題点があると思うわけです。
そこで、今回の改正は単に技能教育施設の指定を文部省から都道府県にかえたという問題なのか。それとも、今後この技能連携を一層拡大、促す方向に道を開くものなのか。その点、いかがでしょうか。
○古村政府委員 技能教育施設との連携が始まりました昭和三十六年のときの考え方は、生徒の学習負担をなるべく軽くしたいということがメーンのポイントであったというふうに思います。したがって、そういった角度からすれば、ある程度技能連携というものは進んだ方が生徒の学習負担の軽減になるということは基本的にあろうかというふうに思います。
そこで、今度の改正の中身は、権限を文部大臣から都道府県の教育委員会におろすということでございまして、考え方として前から申し上げておりますように、文部大臣は指定の基準というものを示しまして、その基準に沿って都道府県の教育委員会は具体的にこの施設を連携施設として認めるということを、具体的なことを都道府県の教育委員会にお願いするということでございまして、それはなるべく近回りのよくわかった人がよくそこのところを調べて指定をした方がいいだろう、その方が実態に合うだろうということで御説明いたしておりますが、現実問題、都道府県の教育委員会が指定するということになりますれば、子供の二重負担を軽減するためにどういうことを考えればいいかというのは、きめ細かく行政が行われるだろうということを期待いたしておるわけでございます。
○石井(郁)委員 先ほどの技能教育施設の指定校の中身を見ますと、やはり准看護学校であるとか各種専門学校、そういうところが多うございます。後で単位制高校に触れるわけですけれども、単位制高校のカリキュラムで、技術コースの生徒がある一年間技術学校へ行って電気工事、デザイン、建築等々の専門的な技術を学ぶということが出てきておりますね、これは金沢中央高校ですけれども。そうなりますと、こういうのは普通高校からすると随分変わったものになっていくのではないか。高校の専門学校化に近くなっているというふうに言わざるを得ないわけですね。
ですから、局長は学習負担を軽くするというふうに言われましたけれども、学習負担の重さ、軽さという問題だけではなくて、高校の教育内容をどう保障するのかという問題を抜きにしてこの技能教育施設を語ることはできないわけですね。その点で、まだ御答弁をいただいていないわけですが、普通科にもこの技能教育施設との連携を広げていくというお考えがおありでしょうか。
○古村政府委員 普通科といいますか、いわゆる教科としての普通教科は技能連携の対象にはいたしておりません。ただ、普通科の中でもいわゆる情報処理というふうな教科を教えるということになれば、情報処理についての各種学校との連携というのは考えられる。いわゆる国語とか社会とか数学とか、そういったものとの連携ではなくて、いわゆるそういった職業科目との連携ということは普通科でもあり得るということでございます。
○石井(郁)委員 やはりそういう方向が非常に強まっていくというか、技能教育施設での単位履修の比重がふえていくということになれば、大変問題を持つというふうに思うのですね。その辺は、単に指定を都道府県におろしたら済むという問題ではなくて、やはり文部省としても教育内容の水準をどう保つかという点で目配りが要るんではないでしょうかということを申し上げておきたいと思います。
さて、単位制高校なんですけれども、定時制、通信制の中の特別なものという位置づけで単位制高校がこの春からスタートをしております。文部省が省令で学校教育法施行規則の一部を改正しまして、定時制にも通信制と同じく「学年による教育課程の区分を設けないことができる。」というふうにいたしました。私どもは、単位制高校が今回の法案にかかわるものでありながら、この審議に先立って三月、一方的に省令が改正なされたという点で単位制高等学校の教育規程が制定されたわけですけれども、国会の審議を非常に無視したものだという点で、まずこういうやり方にひとつ問題を感じているわけでございますが、それを申し上げた上で質問に入りたいと思います。
臨教審の言う単位制高校、既にこの春三校ほどスタートしているわけですが、その場合でも結構ですけれども、それと従来の高校とどこが異なるのか、ちょっと具体的にお示しいただきたいと思います。
○古村政府委員 単位制高等学校は現在三校できておりますが、これは定時制、通信制の課程の範疇に入ります。入りますが、いわゆる学校運営の方法として、単位の累積で卒業ができるとかいろいろなことがあるわけですが、例えば具体的に申し上げれば、学校としては単位を学年制であれば一学年において二十単位取りますということに決
まっているわけですね。ところが、二十単位取れなければその子供は落第、いわゆる原級留置ということになるのが学校の運営のやり方だろうというふうに思います。しかしながら、今度の単位制高校は、単位を落としてもそれは何も原級留置という考え方を持ち込まない。ですから、学年の枠を取り外していますから、ほかの単位は生きてくるわけです。学年制の高等学校ですと、ほかの取った単位も全部もう一回もとからやり直すというのが、今の学校運営の仕方との非常に大きな違いの一つです。
それからもう一つは、単位の集積によって卒業資格を認めるということでございますので、例えば中途退学、一回高等学校に二年まで行って四十単位取ったけれども、中途退学をいたしました。そして社会に出てみたけれども、もう一回学校へ帰りたいということで帰ってきたとき、残りの四十単位を取れば合わせて八十単位ですから、高等学校の卒業資格ができる。これが一番ここでのほかの高等学校との大きな差であろうかというふうに思っておるわけでございます。
○石井(郁)委員 今、二点おっしゃられたわけですけれども、学年制をとらずに単位制をとるという高校ができるわけですね。それは単位の累積加算で、昼夜開校、土日開校などいろいろ考えられておりますね。そういうことになりますと、一体、生徒にとってその高校というのはどんな教育機関になるのだろうか。ちょっと文部省として、学校としてのまとまりというような点でどういう見通しを持っていらっしゃるのか、伺いたいと思うのです。
○古村政府委員 高等学校とはどういうものかということになりますと、これはかなり哲学的な話になりまして、私も一概にこれはこうだということを申し上げるあれを持っておりませんが、いずれにしてもいろいろなパターンの高等学校があっていいではないか。非常にかたい形でできている学校、そして、非常に緩やかな形でできている学校、とにかく生涯学習ということが言われておりますときに、ある程度入学について特別な特例を設けたり、入学の時期についても特例を設けたり、言ってみればある程度いつでも入れるような高等学校というものが社会に提供されて、そして将来、会社に勤めていても勉強の意欲があればそこへ戻ってくるというふうなことがあってしかるべきではないかというふうに私は思うわけでございます。したがって、高等学校は一つのパターンではなくて、いろいろなパターンの中の一つの単位制高校として発展してくれることを私たちは期待いたしたいというふうに思います。
○石井(郁)委員 私も金沢中央高校には現地へ行ってまいりました。いろいろ先生方に伺ってみたわけですけれども、半年経過した段階で既にいろいろな問題が出てきております。先生方は純粋の単位制は物理的にも生徒の質からも不可能だというふうにおっしゃって、単位制を修正という方向で考えざるを得ないとおっしゃっているのです。文部省、つかんでいらっしゃるでしょうか。
具体的にちょっと申し上げますと、前期を終了した段階で既に留年確定の生徒が出ているのですね。もう単位が取れない。学年制をとらないために留年にもならなくて救済措置ができないのですよ。生徒の方は、ここは学年制がないのだから、単位を取らないけれども何年かここにいてもいいのでしょう、そういう生徒の方が出てきているということです。だから、四年たっても卒業できない卒業延期の生徒が大量に出るのではないかと心配されているわけです。つまり、現実には定時制に来る子供たちは高校中退、あるいは偏差値の輪切りの底辺の子たちが来ている。とりたい科目を好きなようにという話は、逆にとれない状況をつくり出している、その授業を投げ出すようなことになっているわけですね。大変な問題が起きているわけです。
文部省は、この単位制高校については中等教育改革の推進に関する調査研究協力者会議をつくりまして、先ほど来六年制中等学校とこの単位制高校ということで検討されていると思うのですが、現場の方からも単位制導入については賛否両論併記があったという中で、いわばもう問題がわかっていたのか、わかってないのかがちょっと私はわからないのですけれども、とにかく踏み切ってしまっているということがあるわけですね。文部省は、今金沢中央高校などで起きているこういう実態は予想していたのでしょうか。
○古村政府委員 金沢中央高校につきましては、具体的に私ども詳しいことを知っているわけではございませんが、石川県の教育委員会が金沢中央高校を単位制に切りかえることについて大変熱心であった、私は、その意気あるいは努力というものは非常に評価すべきだというふうに思います。
そこで、今おっしゃいましたいろいろな問題点というのは知っているか。私は、新しい制度でございますからいろいろな問題点が出るだろう、それは出ても、そこをどう克服していくかという問題があろうかと思いますが、大きな流れとしては、この単位制高校というのは国民の、いわゆる勤労青少年、あるいは生涯教育という観点から期待されるものになっていくだろうというふうに思います。したがって、いろいろな問題点というものについては、それはそこでやはりちゃんと対処していくべき事柄であろうというふうに思っておるわけでございます。
○石井(郁)委員 ただきれいごとに、単位制は単位の加算ができますとかこれまでの単位が生かされますとかいうことでは済まないという現実が出ているということを今申し上げているわけです。非常に個々の興味と関心による選択というようなことで言われますけれども、今の高校ではそれ自身が大変なんです、特に定時制高校では。だから、先生の方が非常に手厚い学習の指導または生活指導をしなければとてもそういう学習などやり切っていけない、そういう子供たちが来ているわけですから、ただ好きな単位が取れますという言い方では、単位を取らない子供は結局放置されていくということにもつながるのですね。その辺を本当にどうお考えになるのかということが大事だと思うわけです。
ここで私は、ちょっとアメリカの例で申し上げたいのですけれども、実はこういう単位制高校に似た考え方は、もう文部省は御存じだと思いますが、七〇年代世界の先進国で一時はやりましたね。アメリカでも、子供に適合した内容と彼らの自主性に任せた学習方法、こういう文句でカリキュラムを多様化しました。そうしますと、カリキュラムのアラカルトで、いろいろなメニューはあるけれどもメーンディッシュがわからないということが出てきているわけです。生徒の方は、とにかく幅広く選択できるようにとしましたけれども、結果として、国語、数学といった基礎的な科目をとる生徒が減りまして、料理、運転、そういう科目がふえました。この点で日本の共通一次に該当するような進学適性テストがあるのですけれども、それによりますと、成績が十五年にわたって低下をする、社会問題になりました。それで七〇年代後半からアメリカでは、逆にベーシックに帰れということが言われるようになっているわけですね。
だから、子供たちにはしっかり学習させるということを教育機関としてやはりどう保障するかという観点が抜けますと学力低下になるのです。勉強をしない子供はもう放置されていくということになるわけですね。こういうことを文部省は当然御存じだと思うのですけれども、私は、今回の法改正は、まさにこういうことに行き着くという結果が見えているような点がありますし、アメリカの轍を踏まないとは言えないという点で文部省の御見解を伺いたいと思います。
○古村政府委員 先生おっしゃいますように、アメリカは確かに非常に自由なカリキュラムに対する反省から必修教科をぐっと締めてきた、締めていこうというふうな傾向がございます。同時に、今度は日本側を見ますと、日本はちょっとかた過ぎるのではないか、もうちょっと選択の幅を広げた方がいいではないかということを日本の中では言われている。ですから、私たちといたしましては、高等学校の教育水準をきちっと保つというこ
とは当然考えなければなりません。
したがって、必修教科というものをきっちり置いて、必修教科の水準というものをやり、そして選択教科の幅をある程度広げるということで選択の問題は処理をいたしたいと思っておりますけれども、今言っておりますのは、単位制高校は単位の修得によって積み重ねるということですから、一つ一つの単位というのは、これは必修教科であれ選択教科であれ、一定の水準を修得したということを証明することになるわけでございます。したがって、そのことが直ちに学力水準につながる話ではない。学力水準を決める問題は、学習指導要領の中での教科の決め方だろうというふうに思うわけでございます。
○石井(郁)委員 その多様なカリキュラムの中に先ほど来の技能連携もございますし、これは驚いたことに、実務代替というのが入ってきておりますね。この実務代替についてちょっと伺いたいのですけれども、職業一般あるいは家庭一般という科目の中で自分の職場にいる勤務も単位として認めるという中身ですね。家庭一般の例で言いますと、結婚している方は家事もその単位の一部として認めるということがありまして、私どもちょっと驚いたわけですけれども、こういう実務代替、ここまで広げられますと、一体そういうものをどうやって単位として認定するのか、非常に難しいのではないか。また、それを教育をしている高校の側が教育をしてないのに単位として認めなければいけないということになりますと、単位の考え方自身も非常に変わってくるのではないかというふうに思うわけです。
実務代替について、特に家庭一般の例で、一体家事なんというのはどういうように単位として評価されるのですか。文部省、いかがですか。
○古村政府委員 一般的に実務代替というのはどういう考え方かということを申し上げますと、定通課程におきまして職業科目を履修する生徒が現にその教科、科目と密接な関係を有します職業に従事している場合で、その職業における実務等がその各教科、科目の一部を履修した場合と同様の成果があると認められるときは、その実務をもって一部にかえることができるというのが実務代替でございます。
したがって、具体的には、家事というのは私もちょっとあれでございますが、一般的に考えられますのは、工場に勤務いたしております、そのときにその工場におきましてやっております仕事と高等学校におきます工業実習というものとの兼ね合い、その共通性というものを学校側が十分認識をしてやっていく。単に工場に勤めていますというだけではなくて、その実務の実態も評価をした上で認定をするというのが現実にとられております実務代替の制度でございます。
○石井(郁)委員 この点で多様なカリキュラムという形でいろいろなものが入ってくるということが考えられるわけですけれども、私はやはりそういう方向を進めると全日制とは異なった高校教育のレベルダウンということになるのではないかというふうに思うわけです。
その点で、ぜひとも文部省がこういう点でのしっかりとした高校教育の理念をゆがめないというお考えに立っていただくことが大事だというふうに思うわけです。また、高校としての、学校としての教育をいわば一部崩していくということにもなっているわけですね。だから、そういう教育の責任のいわば放棄と、強く言えば言わなければならないような中身になると思うわけです。その点、ぜひ大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
○中島国務大臣 御意見を伺っておりまして、私も教育に関しまして、できれば教育の系統性あるいは集団性、そういう中での教育の意義というものは十分認める一人でございます。しかし、系統的、集団的な教育体系をたまたま受ける環境におられない方、こういう方々に教育の機会を失わしめるということは教育の機会均等に相反する、こう思うわけでございまして、いろいろな形で就労されておられる方々がいらっしゃるわけでありまして、そういう方々に教育の機会をできるだけ広める、これが教育の機会均等の一つの思想であろうと思うのですね。
そういう意味で、私は二つ申し上げたいのですが、全日制の中でも、それではそういう環境にありながら二%の十一万四千人の方々が中退される、これについてはやはり高校そのものがもう少し個性的になって、それぞれ学校を選ぶのと同時にその教育内容を選べるというところまでいくのが一つの理想だと思っております。また一方で、そういう環境にない方々のために、先ほどから高校の教育のあり方というのは何かという御指摘もありましたけれども、高等教育におきましては、優秀な研究者を輩出すると同時に質の高い職業人を世に送るということがありますし、じゃ高等学校の教育はどうかと申しますと、よりどころとしては、教育の目標としては学教法の四十二条にありますように、これはやはり社会人としての自覚をまず持つということが前提にあると思うのです。
そういう中で自分の進路を定め、その中で一般教養あるいは専門教養を修めせしめる、そういう中に一致させていくということが大事なことだと私は思いますので、今進めておりますのは、そういう中での、特に先生おっしゃいますように勤労学生の方々により機会を与えよう、それで定時制、通信制の一つの形態としてこの単位制も考えたわけでありまして、この出発に際しましては当然長所もあれば改善すべき点ももちろんあると思います。しかし、これを進める上にやはり目標というものは掲げていく必要がある。それには、先ほどから再三申し上げておりますように、そういう方々への機会の拡大、こういうものの上で新たに発足をさせていただきました単位制高校というものは必ずやよき学校教育の一環として発展し得るもの、その長所を今後精いっぱい伸ばしていきたい、そのように私どもは考えておるところでございます。
○石井(郁)委員 大臣が高校中退の問題にお触れになりましたので、その点でも私ども再度伺いたいと思うのですが、現場の方でもこの単位制高校が高校中退者対策としての意味はある、あるのではないかというふうにつかんでおられるわけですね。現実にそういう生徒たちも入ってきているというのはそうだと思うわけです。しかし、先ほどの金沢中央高校では、もう前期の単位が取れなくて卒業延期になりそうな生徒、そういう生徒に対して学校側が、一度学校をやめてまた勉強したくなったら来なさい、こういう指導をせざるを得ないというわけですね。これだったら単位制の理念そのものが少しも生きてないということになりませんか。単位も取らずに学校でぶらぶらする生徒が出てくるのが困るという話なんですね。
そこで、局長の御答弁もありましたけれども、この単位制高校というのは、今十一万人という高校中退者、異常なわけですけれども、そういう全日制からの中退者を通学させやすい学校、そういう形で考えておられるのでしょうか。そういう中退者の対策として本当に有効だというふうにお考えになっておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○古村政府委員 専ら単位制高校が高校中退者に対する対策であるというふうには考えておりません。しかしながら、高校の中退者が単位制高校に入っていけば、普通の学校であればもう一回高等学校の一年からやり直すということが、そうでなくて残った単位を取ればいいということになれば、それはより社会的に評価されるものになるのではなかろうかと思うわけでございます。
○石井(郁)委員 ちょっとまた角度を変えまして、単位制という考え方は全日制にも導入していく方向で文部省としては検討が進められていますか。
○古村政府委員 先ほどから私も申し上げておりますが、高等学校の今後の行き方というのはやはり十分検討すべきだろうということで七月に高等学校の個性化に関する調査研究会議というものを発足させたというふうに御説明を申し上げました。その中で、今後高等学校の運営の中で単位制でいくのか、学年制をどういくのか、その間の接
点があるのかというものは検討の課題になると私は思っております。ただ、今その方向性についてはっきり申し上げるつもりはございませんが、それは十分検討してもらいたいというふうに思っております。
○石井(郁)委員 大臣の御見解も伺いたいと思いますが、続きまして、先日来のこの審議の中で大臣の御答弁もありましたけれども、単位制高校の設置の趣旨が生涯学習としての観点からだということが強調されているわけですね。そうして今のお話のように、単位制は全日制にも適用する方向で検討ということになりますと、高校が限りなく社会教育へ接近することにならないでしょうか。生涯学習としての観点という点で、高校に社会人の受け入れとかが非常に進むわけです。それは今までの高校からすると全く違ったものに変わっていくと考えられるわけですが、その点で大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○中島国務大臣 これについては、二つまた申し上げたいと思うわけでございます。
後期中等教育が変わっていってしまうのではないかという御懸念が一方にあると思うのですが、私が生涯学習の観点で考えるべきだと申し上げるのは一つありまして、具体に先生おっしゃいますように、一度社会に出た方がまたそこで学ぶところという意味もございますけれども、もっと正しくは、私がさっき申しましたように、生涯学習の観点と申しましたのは、限られた八十年の生涯をいかに意義ある社会人として過ごすか、その中の重要な教育の一環である。それではそこで限られた高等学校の教育は何を目指すのかと申しますと、中学校教育をもとに置きましてその上に普通教育、専門教育を学ばしめるところであるというのが四十一条でございます。四十二条の二号にまさにその目標としては「社会において果さなければならない使命の自覚に基き、個性に応じて将来の進路を決定させ、」というのが前提にありまして、そして一般的教養、専門的技能を習熟せしめる、こういうことでございますので、私はそのものをつまり生涯学習の視点でとらえていった方が正しいのだ、これがそれぞれに御自覚があれば私は単位制高校に学ばれる方が自分の自覚がしっかりしておれば、単位制高校というものをよりよく活用していただきながら学んでいただける、こう思っておるわけであります。それが一つです。
もう一つ、お答えしなければならぬと聞いておって思いましたのは、では一般の全日制高校に単位制というものを考えていくということは、これも高校教育というものを変形させてしまうのではないかというお気持ちはわからないではありません。しかし、先ほど私が、わざとと言っては失礼ですが、こちらから提起をいたしましたのは、全日制高校の中にも十一万四千人という中退者の方々がおられるではないか。それは高校そのものがもう少し個性化、弾力化があることによってその方々をより学びやすくすることができるのではないか。その中の一つに学年制というものがこのまま固定していていいのだろうかという議論があるわけでありますので、そういう意味で学年制の中にも単位制というものをもう少し弾力化して考えていくべきではないかということでありまして、決して今の高等学校教育を変形し、あるいは失礼ながら破壊するということではなくて、むしろそういう実態面からして弾力化していこうという考えの一環であるということを申し上げたいわけであります。
○石井(郁)委員 中退者の問題について言いますと、学年制があるから中退者がふえるということではないと思うのです。というのは、大体どのデータを見ても、高校へ入学して前半で間もなくこの高校が合わないということでやめておられる方が多いわけです。それから普通科、職業科で分けますと、二対一の割合で職業科の生徒が退学しているのです。やはり入るときに問題があるわけです。不本意入学しているわけです。だから、そこのところを見ていただかないと中退者の問題で単位制をつなげたら違うのではないか。それから、現実の高校でもやはりもっと入退学についての条件を緩和というか、それこそ弾力的に考えれば救えるという問題があると思うのですね。そちらの方こそ私はぜひ手をつけるべきだ。中退者を何か救う措置として単位制高校が非常にメリットがあるみたいに言われますと、これはやはり解決の方向を誤るのではないかということが申し上げたい点です。
それから、大臣に反論するようですけれども、まさに単位制というのは自分の自覚があればそこで教育が有効に行われるという話ですが、今の高校で一体生徒が――自覚を持って学ぶような生徒がいれば本当に問題はないと思います。そうでないから今の高校教育は現場が大変混乱をし、先生方も悩んでいらっしゃるわけですね。だから、何かそういう現実と離れたところで条件を設定してもやはり現実にはそれが適用できないという問題があるように思うわけです。
そういう点では、話が全日制の変換も含む高校教育の全面的な問題として私ども考えているわけですけれども、ぜひこの点で、今文部省内で進めておられると思いますけれども、高校教育の個性化等の推進に関する調査研究協力者会議ございますね、その議事録といいますか会議録についても逐次公にしていただいて、大いに議論を進めていただきたいというふうに、この資科の提出を要求しておきたいというふうに思います。
次に、最後に今高校教育全体の問題ということになってきましたので、特に高校中退と関連いたしますし、全日制高校の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
定時制に来る生徒も全日制に落ちたから定時制にという生徒たちが六割から七割だというふうに言われております。私どもは、そういう意味で全日制高校の増設という問題がやはり最重要の課題だというふうに思うわけです。高校の建設補助費の問題でまず伺いたいのですが、ことしで切れるのではないでしょうか。その点で、どういう状況になっていますか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
○倉地政府委員 高校の急増対策を目的といたしまして設けました新設高等学校の施設の整備の補助金でございますけれども、これは本年度限りということになっておる次第でございます。
○石井(郁)委員 文部省内では来年以降どのようにされますか。
○倉地政府委員 先ほど申し上げましたように、高等学校の急増にどのように対処していくかということついて設けられた補助金でございまして、今までやっておりました高校建物についての地方債とか交付税による措置の例外措置として設けたものでございます。高校急増に対する施設の整備は各都道府県でおおよそ終わっているわけでございますので、今後急減するような事態が来ております関係もございまして、さらにこの措置を継続していくということは極めて困難ではないかというふうに考えている次第でございます。
○石井(郁)委員 学級定数について伺いますけれども、世界の教育改革が進んだ中では、まさに学級定数の改善こそ進められてきたわけでして、上級学年に行くにつれてクラス定員は少なくなるというのが大体世界の趨勢だと思うのですね。
これはアメリカの例でも、インディアナ州は、一年から三年生、三十人、四年生―八年生が三十四人ですけれども、九年、十年、十一、十二学年、上級学年というのは二十八人以下ですね。ちょうど米ソということで比較をしますと、ソ連もそうですね。一年生から九年生までは三十人、十年、十一年生は二十五人。そういう点からすると、私は日本の高校が一クラス四十五人だ、これは本当に後進国並みですね。私立では五十人を超えるというクラスがざらにあるわけですね。私はどうしてこういうことが放置されて、世界の中の日本、二十一世紀の教育改革ということが言えるのだろうかというふうに思うわけです。
高校の生徒はちょうど九〇年をピークに激減期を迎えるわけですけれども、そういう時期こそ高校で四十人学級、三十五人学級という体制をとるべきではないかというふうに思うわけですが、こ
の対策は考えておられるでしょうか。
○倉地政府委員 高等学校の教職員定数、学級編制の問題であろうかと思うわけでございますが、この問題につきましては、現在、五十五年度を初年度といたします第四次の教職員定数の改善計画が進行しているところでございます。私どもといたしましては、この計画の着実な推進に十分努力してまいりたいと考えておりまして、この計画終了後に、今御指摘のありましたことにつきましては臨時教育審議会の答申も踏まえまして種々検討すべき課題ではないかというふうに考えている次第でございます。
○石井(郁)委員 今のままの学級定員でいきますと、一九九五年には高校がどのぐらいだぶつくことになるんでしょうか。高校廃校とか教諭の首切りというような事態は予想されませんか。
○倉地政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもまだ現在の定数改善計画の実施に十分努力しているところでございまして、今御指摘の点についての試算その他の検討について具体的にまだ着手していない状況でございまして、そうした数字を申し上げる段階に至っていないのが現状でございます。
○石井(郁)委員 第四次定数改善計画は六十六年度で終わりますね。その後についてというのは、もう今から着手しないと間に合わないんじゃないでしょうか。今、何も検討されていないというのは――では、六十六年度以降どうされるおつもりなのかですね。
○倉地政府委員 御指摘ではございますけれども、大変厳しい財政事情の中で、この五十五年から始まりました定数改善計画を今着実に実施しようと努力しているところでございまして、いろいろ個人個人が勉強はしておりますけれども、まだ、ここで申し上げるような検討をしているという段階には到達していない状況でございます。
○石井(郁)委員 私どもがちょっと調べたところでは、ピーク時と比べますと九五年度の入学者数が約二十八万二千人減るわけですね。普通科と職業科の割合が現在と同程度の七対三、適正規模を一学年八学級として計算すると、四十五人学級のままですと、普通科で六百校余る、こういうことになりませんか。ピーク時四十五人学級の必要高校数と、今度は九五年三十五人学級にした必要学校数が大体つり合うんですね。この計算が合っているかどうかを含めて、私は、文部省は当然急減期対策を考えていなければおかしい、いらっしゃるはずだと思うわけですが、世界的に見ても本当に日本の高等学校の定員が異常だというか恥ずかしい状態だと思うのですけれども、この時期に解消に向かうということでぜひとも文部省の決意をお聞かせ願いたいと思うわけです。
○倉地政府委員 御指摘の点は、私どもといたしましても大変重要かつ重大な課題だというふうに考えている次第でございます。今後鋭意いろいろと勉強を続けてまいりたい、さように考えている次第でございます。
○石井(郁)委員 大臣、いかがですか。
○中島国務大臣 御指摘の点は確かに重要なことだと思いますので、具体に局長等と検討いたしまして最善を尽くしてまいりたいと思います。
○石井(郁)委員 非常に具体的に何か一歩も踏み出ていないような感じがして残念でならないわけですけれども、高校進学率が九四%、しかも圧倒的にやはり全日制への進学を希望していらっしゃるわけですね。やはり文部省はそういう国民の願いというか声にきちっとこたえる、それが文部省としての教育条件の整備という第一の優先課題だと思うのですね。それが一向に何かあいまいで、それで盛んに単位制高校の方が何か持ち上げられるという点ではとても納得しがたいわけです。
先ほどの建設費補助費の来年度の問題もはっきり考えられていない。大阪で言いますと、マンモス校、一学年十六クラスというのが二校あります。十四クラスは十二校です。十三クラスが六校もあります。とても先生は生徒の顔も覚えられないという詰め込みになっているわけですね。そういう状態を本当にどのように変えていくのかという点で、再度文部省の決意を伺いたいわけです。
ぜひ委員長にもお願いしたいと思うのですが、この高校問題では、やはり文教委員会としても小委員会なりをつくるなりしてもっと積極的な対応を考えるべきじゃないでしょうか。
○中村委員長 今の石井委員の御指摘につきましては、理事会で各党協議させていただきます。
○中島国務大臣 繰り返すようでございますが、最善の努力をいたしてまいります。
また、先生おっしゃるように、その前の御質問でございますが、単に全日制と単位制というのでなくて、その前に私申しましたように、ここは全く先生と同感なんですが、理想的に言えば、高校そのものがそれぞれ多様化、個性化をいたしまして、履修する生徒諸君が学校を選ぶというよりは教育内容を選んで履修の機会を持てる、そういうことになるのが理想的である、私もそう思います。それに向かいまして最善の努力をいたしてまいりたい、これもつけ加えさせていただきます。
○石井(郁)委員 議論が十分ではなかったわけですけれども、先ほど来の単位制高校をめぐる議論でも、私は、やはり限りなく社会教育の方に近づくのではないかというふうに言ったわけですけれども、学校教育法で定めている高校教育の理念、義務教育の卒業者に対して高校教育を保障する、それはすべての国民に開かれているものだということからしても、やはり学校教育法の高等普通教育の理念、内容あるいは専門教育の完成、またそういう将来の子供たちの育成、そういう目的から見ても、今回の問題というのはやはり高校教育の全面的な転換につながる、その一歩になるというふうに思わざるを得ないわけですが、その点で、学校教育法上の高校教育の目的、それを文部大臣に伺っておきたいというふうに思います。
○中島国務大臣 学校のあり方、教育のあり方、これは重要でございます。したがって、繰り返すようでございますが、そのよりどころと申しますか、その目標というものは何かと問われれば、学教法四十一条、四十二条に掲げられておる高等学校のあり方、これを胸に置きまして、そして後期中等教育の充実をこれからも全力で図ってまいりたい、こう考えます。
○石井(郁)委員 本法案が定時制、通信制課程の問題ということにとどまらない問題を含んでいるというふうに私どもは認識しているわけです。高等教育全体のあり方にかかわって幾つかの質問もしてまいりました。しかし、残した問題も大変多いわけですね。そういう点で、あと幾つか課題を申し上げまして、私はやはりこの学校教育法の一部改正案にもっと徹底した審議をということを要求したいというふうに思うわけです。
一つは技能連携についてですけれども、この問題は、やはり昭和三十六年、そしてその前後にいろいろ議論されましたように今日新たな議論も必要だというふうに思うわけです。企業が行うべき職業訓練教育、それを高校教育、そこには専門教育を含むわけですけれども、高校教育でどうそこをリンクさせるかという問題は、その区別と関連があるように思うわけですね。そういう点でもっと突っ込んだ議論が必要だというふうに思っております。
また、単位制高校については、私はきょうは主として教育の水準という教育内容の面から質問をいたしましたけれども、たくさんの問題点がまだ残されていると思います。先生方の勤務条件もあると思います。それから、学校の施設設備の問題もあると思います。生徒指導という問題もあると思います。また、この単位制高校には社会人の講師ということがうたわれておりますので、そういう点でも社会教育との区別という問題をどうするのかという問題があります。このことは私は触れることはできませんでした。
それから、大きな問題点は、まさに今の後期中等教育をどうするかということですけれども、高校の多様化という政策は、文部省、戦後ある時期からずっと進めてまいりましたね。今度の臨教審の後期中等教育の多様化、弾力化というのは、高校教育を新たな段階で多様化を進めるというふう
に考えられるわけです。そういう意味で、この高校の多様化政策は、過去進めてきたものは一体どういうものであったのか、高校の現場に何をもたらしたのかということの総括や評価も必要だと思うのですね。そのことは私ども時間的に一切触れることができませんでした。
最後に、大変大きな問題は、生涯学習という問題です。生涯学習の観点から後期中等教育の多様化というふうに言われているわけですけれども、このことは今この文教委員会では議論が始まったばかりですよね。臨教審の答申はあったと言えばそうですけれども、そうなりますと、初めに臨教審ありきで、臨教審の教育改革は既成事実としてどんどん進んでいる、文教委員会ではその後追いの法改正をしていっている、私は何かそういうように思われてならないわけです。だから、文教委員会で議論もしてない生涯学習というのが大前提でいわば押しつけられてきたのでは、これはちょっと議論が本末転倒ではないかというふうに思うわけです。審議会決定を国会に押しつけるという点でも、私は国会の審議の軽視につながるという点で重大な問題を持っているというふうに思っています。
いろいろそういう点で、この学校教育法はここで後で採決ということになるのでしょうけれども、審議時間にしては八時間ですね。この単位制高校も新構想の高校として麗々しく打ち出しているわけですから、私ども、かつて新構想と言えば筑波の新構想大学を思うわけですけれども、あの筑波大学のときには、伺いますと文教では五十数時間議論をしたということであります。それから見ると、何か高等教育を軽視していることにもつながるのではないか。八時間くらいで戦後四十年続いてきた定時制教育の問題が根本的に変換されるということになりますと大変問題を残さざるを得ないというふうに思うわけです。
そういう点で、慎重に徹底した審議をあくまでも要求をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○中村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
─────────────
○中村委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。
─────────────
○中村委員長 次に、山原建二郎君。
○山原委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、学校教育法の一部を改正する法律案について反対討論を行います。
まず、本委員会に課せられた責務について一言触れなければなりません。それは、法案の基礎になっている臨教審答申が、ただいま国政上の最大の課題になっているリクルート疑惑に深くかかわっていることであります。江副氏が臨教審の専門委員に対して非公開株を譲渡し、また、江副氏自身も教育課程審議会委員、大学審議会委員になっているのであります。まさに、今日政府が進めている教育改革の根本が汚されていたという疑惑が持たれている重大問題なのであります。私は、この解明こそが法案審議に先行して徹底解明されるべきものであることをこれからも強く主張するものであります。
この法律案は、約四十年の歴史を持つ定時制、通信制の全面的な転換につながる内容を持つものであり、その重要性から見て、定通制関係者等を招いて参考人質疑をすることなども当然でありながら、それすら行われなかったことについては極めて残念と言わなければなりません。
反対理由は、第一に、定通制の修業年限の短縮は、働きながら学ぶ勤労青少年の後期中等教育の保障ができなくなるということでございます。しかも、定時制課程を三年で卒業するためには、通信制との併修、専門学校等での技能連携などが不可欠となり、生徒にとっては過重負担になることは必至であります。また、技能連携施設の指定を大臣から都道府県教育委員会に移管することは、高校と専門学校等の技能連携が安易に拡大されるおそれもあり、定時制、通信制高校で学ぶ生徒に対し、全日制課程の生徒と平等の教育内容を保障せず、低い水準の教育に押しとどめることになると言わなければなりません。
第二に、法案審議に先立ち、既に省令改正により単位制高校が発足していますが、これは学校教育と社会教育の差をなくしていくもので、学校としてのまとまりを全く欠く結果となり、容認することはできません。この単位制高校を全日制高校にまで拡大しようとする意図が感ぜられますが、このことは戦後、総合制をとってきた高校教育に複線化の道を開くものであり、断じて容認することはできません。したがって、後に提出されるであろう附帯決議につきましても、単位制高校については削除を求めるものでございますが、他の部分は改善に当たりますので、賛成する意思をここで表明をいたしておきます。
最後に、今求められているのは、勤労青少年の教育機会を保障する定通制高校の充実であり、後
期中等教育の条件整備であります。その方向に逆行する本法案の廃案を強く要求しまして、反対討論を終わります。
○中村委員長 これにて討論は終局いたしました。
─────────────
○中村委員長 これより採決に入ります。
第百十二回国会、内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立)
○中村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
─────────────
○中村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、鳩山邦夫君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。佐藤徳雄君。
○佐藤(徳)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対する附帯決議案について御説明を申し上げます。
まず、案文を朗読をいたします。
学校教育法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、高等学校教育の重要性にかんがみ、次の事項について、特段の配慮をすべきである。
一 定通課程の教育について、その充実を図るため、単位制高等学校等の教職員定数、施設・設備などその条件整備について、所要の財政措置を速やかに講ずること。
二 技能連携制度については、学校教育法に規定する高等学校の目的に即した適正な運用に努めること。
三 定通課程の制度創設の趣旨にかんがみ、今後とも勤労青少年の修学奨励策の充実に努めること。
四 第四次公立高等学校等の学級編制及び教職員定数の改善計画について、その計画期間内達成を図るとともに、その後の改善計画について検討を進めること。
以上でございます。
その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえさせていただきます。
何とぞ御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
○中村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○中村委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中島文部大臣。
○中島国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。



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