昭和六十三年四月二十二日(金曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 中村 靖君
理事 愛知 和男君 理事 岸田 文武君
理事 北川 正恭君 理事 鳩山 邦夫君
理事 町村 信孝君 理事 佐藤 徳雄君
理事 鍛治 清君 理事 林 保夫君
逢沢 一郎君 青木 正久君
井出 正一君 石渡 照久君
工藤 巌君 佐藤 敬夫君
斉藤斗志二君 杉浦 正健君
谷川 和穗君 渡海紀三朗君
松田 岩夫君 村上誠一郎君
江田 五月君 嶋崎 譲君
中西 績介君 馬場 昇君
有島 重武君 北橋 健治君
石井 郁子君 山原健二郎君
田川 誠一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 中島源太郎君
出席政府委員
文部政務次官 船田 元君
文部大臣官房長 古村 澄一君
文部大臣官房総務審議官 川村 恒明君
文部大臣官房会計課長 野崎 弘君
文部省初等中等教育局長 西崎 清久君
文部省教育助成局長 加戸 守行君
文部省高等教育局長 阿部 充夫君
文部省高等教育局私学部長 坂元 弘直君
文部省学術国際局長 植木 浩君
文部省社会教育局長 齋藤 諦淳君
文部省体育局長 國分 正明君
文化庁次長 横瀬 庄次君
委員外の出席者
人事院事務総局任用局企画課長 谷 仁君
文教委員会調査室長 高木 高明君
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本日の会議に付した案件
教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)
昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)
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○中村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
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○中村委員長 石井郁子君。
○石井(郁)委員 本日、異例の委員会審議になりまして大変遅い時間になっておるわけでございますが、私が本日のしんがりということです。これは順番でこうなっているわけでございまして、お疲れがそれぞれ出ていると思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
質疑に入る前に、一昨日の委員会運営について一言申し上げたいと思います。
文教委員会は日本の未来を担う青少年の教育を取り扱う委員会であります。その委員会運営はあくまで民主的で、教育を語るにふさわしい場であるべきだ、そのように思うのです。その意味からして、一昨日の運営と国立学校設置法の採決は大変遺憾であり、抗議を込めて一言表明したいと思います。
私は、国立学校設置法については補充質問を行うべきだと思っています。このことを強く求めたいと思います。
ただいま審議に入っている教育公務員特例法について言えば、徹底した審議を要求します。理事会で山原議員も申し上げているところでございますけれども、質疑時間については、さしあたって一人四時間、計八時間を要求します。
また、重要な問題ですので、参考人についても、私どもはぜひ諸先生の御意見をお聞きしたいというふうに思います。
このことを申し上げまして、委員長の所見を伺いたいと思います。
○中村委員長 ただいまの石井君からの御提言につきましては、各党理事の方々と御協議をさせていただきたいと思います。
○石井(郁)委員 本日ずっと議論されてまいりましたように、教員の研修のあり方、またその内容ということが今後大変重要な問題になってまいります。そのことに深くかかわりますので、社会科解体問題について少しだけお伺いをしたいと思います。
一昨日、新聞報道によりますと、この秋から着手されるというか、学習指導要領の作成協力者会議のメンバーの更新の時期で、社会科教育学会に所属されております七人の大学の教授が再任されなかったということでありますが、理由はどういうことでしょうか。
○西崎政府委員 社会科を含めまして新しい学習指導要領をこの年末までに作成いたすわけでございますが、その基本は昨年末の教育課程審議会の答申でございます。
教育課程審議会の審議のプロセスにおきましても、各教科・科目別に協力者をお願いしてきた経緯がございますが、最近の任期といたしましては三月三十一日で任期が切れる、こういう事態でございました。今後、やはり指導要領作成に向けて協力者会議を構成し審議をお願いする必要があるわけでございますが、やはり昨年末の教育課程審議会の答申の趣旨に沿って協力者会議を構成し御審議をいただく、こういう考え方で、新たなる立場で委員会の運営、協力者の委嘱を行ったということでございまして、結果といたしまして、今先生御指摘のような方々が今回入っていないということがございますが、私どもはあくまで指導要領を十全に作成するプロセスとしての協力者会議の構成を十分考えて委嘱をさせていただいた、こういうふうな考え方でおるわけでございます。
○石井(郁)委員 それでは、この七人の先生方は教育課程審議会の答申の趣旨に賛成できない、あるいはそういう立場に立てないという表明があったのでしょうか。
○西崎政府委員 先生御指摘の七人という方々がどなたとどなたであるかということはちょっと差し控えますし、七人という数字の人数についてもちょっとコメントを差し控えますが、全体で申し上げますと、三月三十一日現在、委嘱申し上げておりましたのが五百七十二人でございました。新たに委嘱した方々が百四十五人で、従来お願いしておりました方で今回委嘱しなかった方々が百二十三人おられるわけでございます。
先生が御指摘の方々もあるいはこの百二十三人の方々の中に入っておられるのかもしれませんが、私どもといたしましては、やはり今後の一年余にわたる協力者会議において十分御出席をいただけるようにというふうな立場、あるいはいろいろなポストの変更がございますのでポスト変更に伴うこともこれありで、ポストに着目したお願いということもございますので、そういう点もお願いの要件に入っておるわけでございます。
それから、第三点といたしましては、やはり教
育課程審議会の答申の趣旨に沿って御審議をいただけるような方々をお願いする、こういうことでございまして、私どもがやはりそういう見地から新たなるお願いをした、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○石井(郁)委員 二つの点で私はちょっと御意見を申し上げたいのですけれども、委員の再任方針という問題は、これまでの慣例としては、いろいろな事情で本人から辞退の申し出がある、そういうケースが一般であったというふうに聞いているわけでありまして、この社会科の先生方についていいますと、もう作業が進んでおりまして、指導要領の改訂の問題でも七、八割方ができ上がっていた、そういう協力をされてきた。それが一方的に、御苦労さんということで再任されなかった。こういうことは、この先生方はもう何度も、一年ずつですよ、再任という問題はあった。ですから、大変異例な事態だと受けとめていらっしゃるわけです。
もう一つの問題は、この先生方が、特に高校社会科の解体という問題でいろいろ御意見を発表されていたということは事実であります。しかも、学習指導要領の社会科という問題ですが、社会科の教育課程についてはこれまで戦後四十年近く御努力をされてきましたし、これからも社会科の充実のために指導要領を作成するという側で協力するという意思をお持ちの方々だというふうに思うわけですね。だからその意味で、一つは、これから小中高の学習指導要領の改訂という大変な大事業が始まるわけですけれども、一体、社会科の教育課程について今まで中心を担ってこられた先生方を外して、果たしてこれが保障されるのかどうか、この点をちょっと伺いたいと思うわけです。
○西崎政府委員 ただいま先生のお話の中に、指導要領の内容が七、八割でき上がっているのではないかという新聞報道の御引用がありましたが、もし七、八割もできておりますれば、五百人余にわたる協力者をお願いする必要もないわけでございます。私どもとしては、課程審答申を昨年の十二月にいただきまして、新たなる立場から協力者会議を構成してこれから年末に向けて指導要領の内容について十分御審議をいただく、こういう立場でございますので、この点は最初に申し上げておきたいと思う次第でございます。
それから、端的に、先生お尋ねの社会科についての経緯と、今後文部省でどういうふうに対処するかという点についてのお答えでございますが、確かに戦後四十年にわたりまして社会科が日本の教育において果たしてきた役割というものは大きい点があったと思うわけでございます。しかし、この社会科の、特に高等学校教育における社会科のあり方につきましては、もう既に長い年月にわたりまして各審議会において議論がされてきた経緯があるわけでございます。そのような経緯があったところで、最終的には、教育課程審議会において、高等学校の社会科についてはいわゆる地歴科、そして公民科というふうにこれを分割し、科目は変わりませんが、それぞれの教科として十分なる教育が行われるようにという結論に至ったわけでございますので、私どもの立場といたしましては、教育課程審議会の答申を受けまして、それを尊重して、地歴科、公民科という姿での、高等学校のそれぞれの従来の社会科の科目等も内容を見直しまして、これからの高等学校教育の、生徒諸君に対する教育が十分に行われるようにという見地でこれからの指導要領を作成してまいりたい、こういうふうな考え方に立つわけでございまして、これから一年余、我々の責任も重かつ大であるというふうに認識している次第でございます。
○石井(郁)委員 この問題だけで時間をとるわけにいきませんので、教育課程審議会の答申の出る過程、これは後で少し問題にいたしますが、そういう問題もありますし、また、審議会の答申に対して国民や研究者は自由に意見を述べる権利もあるはずでありまして、そういう反対意見の方々を排除するというか一方的に解任する、そういうのは大変問題を残しているというふうに思うのです。そういう点で、これは非常に重大な、今後の問題に尾を引いていると思うわけであります。
そういうことで、今問題になっています高校社会科の解体について、それでは伺うわけです。本当に一体どういうプロセスと手続を経て高校社会科解体、それから世界史の必修が決まったのかという点で、初めに簡単で結構でございますが、世界史必修がいつ、どのような審議の場で決定されたのかをちょっと御説明いただきたいと思います。
〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕
○西崎政府委員 教育課程審議会の答申が出るまでの経緯を簡単に申し上げる次第でございますが、この社会科問題につきましては、昭和五十七年の中央教育審議会の審議、それから臨時教育審議会の審議、それぞれ経緯があったことは先生御案内のとおりでございます。
時間の関係もありますので、教育課程審議会に絞ってお答えをいたしますと、第三委員会というものが課題別委員会で設けられました。この第三委員会は社会科に関する委員会でございます。この委員会は八回討議をしておるわけでございますが、そのうち五回が社会科関係のこの問題についての討議をいたしております。その第三委員会における審議のまとめにおきまして、やはり社会科に属する各科目相互の関連性、高等学校教育全体の教科・科目のあり方等について、社会科の枠を外してはどうかとの意見も出されたというふうな点が審議のまとめにございます。それから六十一年十月二十日でございますが、中間まとめにおきましても、社会科の枠を外すかどうかについて、いろいろ両論があることについてのまとめが行われております。それからさらに、社会委員会という教科の委員会がございまして、ここでも社会科問題の討議がなされたわけでございます。これにおきましても、やはり両論併記という経緯がございました。最後に、高等学校教育分科審議会におきまして、最終的に高等学校社会科の問題が討議されまして、その結論といたしまして、十一月二十日のところで、高校分科審議会としてはこの分割が決められた、そしてそれが総括委員会に付されて答申にまとめられた、大体こういうふうな経緯になっておる次第でございます。
○石井(郁)委員 今の局長の御答弁ですと、何かいかにも教育課程審議会の教科別委員会あるいは社会委員会の数回の審議を経てこの世界史必修がまとめられたというように聞こえるわけですが、事実は大変違うのじゃないでしょうか。
教育課程審議会自身は二年間の審議期間ですよね。その間に今話されたような委員会は数回持たれていたと思いますけれども、昨年十一月のまとめと、年末の答申というところで、この社会科の関係の委員会では、昨年の九月二十五日までだれもこういう解体が行われる、あるいは世界史必修というのを思ってもいなかった、そうなんじゃないでしょうか。これは、私どもは議事録を要求しましたら提出されていませんので、そういう点では残念なんですが、しかし入手したところでは、三月四日のこの社会科関係者では、現状維持が圧倒的意見、九月二十五日のまとめでも高校社会科については触れられないということで来たわけです。ところが、事態は、十月二十七日に突如として、この高校分科会で世界史必修が出てきたということじゃありませんか。じゃ一体何を審議してきたのですか、この二年間にわたって。おかしいですよね。そして十一月十三日に高校分科会が決定をする。しかし、この決定に当たっても大変もめたというふうに議事録はなっております。にもかかわらずこれを決定したという点で、ここに何かがあったのではないか。
そういうことで、これはいろいろ各紙が報道したわけですが、この委員会でもたびたび取り上げております高石事務次官の名前が出ているわけですけれども、高石事務次官の政治的打算が働いた。高校分科会の会長の諸沢さんが泥をかぶってでも強引に社会科解体を決める、それには中曽根前首相がやはり地歴独立、社会科解体をすべきだという意見があったということが話されているわ
けです。ですから、指導要領作成の協力者のメンバーの二人の先生が、これはもうまるでクーデターだということで辞任をされたのではなかったでしょうか。いかがですか。
○西崎政府委員 教育課程審議会のプロセスにおきましては、それぞれの先生方がそれぞれの識見に基づきまして大変熱心な御討議をされた経緯があるわけでありまして、もちろん慎重論を述べられた方もありますし、積極論を述べられた方もございます。それがまさに審議会のプロセスであったわけでございまして、最終的な姿としては、高校分科会においても全員一致、それから総括委員会、総会におきましても全員一致という形で結果を見たわけでございます。
先生御指摘のプロセスについていろいろな報道があったり、あるいはいろいろなコメントがあるようでございますけれども、私どもは、やはりそういう問題についてはかえって審議会の先生方に失礼なことではないかと思うわけでございます。教育課程審議会の先生方は、みずからの責任において審議をし結論を出されたわけでありますから、内部的な圧力によってインフルエンスを受けたのではないかということは決して考えられないことでありますし、そういうことを私どもがいろいろ討議することについては、課程審の先生方にもかえって失礼ではないかというふうな気持ちでおるわけでございまして、課程審の先生方の責任においてこの答申は出されたものであるというふうに私どもとしては申し上げたいと思うわけでございます。
○石井(郁)委員 最終的には満場一致というお話でございますけれども、高校分科会と教育課程審議会のいわば総会というか、そういう場ではそうかもしれません、そこが問題なんですね。しかし高校分科会では、社会科の解体を強力に主張されたお二人の先生方にいわば押し切られた格好にもなっているわけです。それでは、教育課程審議会の総会という場ではこの社会委員会に所属された先生方というか社会科関係者の方々というのは何人いらっしゃいますか。ですから、教育課程審議会の総会の場ではいわばそういう社会科関係者の意見が反映されない形で決まっている。審議の経過がそこに反映されるならいいけれども、反映されずにそういうふうに決まるというのは、今の審議会の一つのあり方を示しているわけですね。
もう一つ重大なことなので申し上げるわけですけれども、皆さんが臨教審、臨教審と言われるこの臨教審ではどう言っていますか。歴史独立ということを言っているだけですね。地歴科独立というのは臨教審にありましたか。どこから地歴料というのが出てきたのでしょうか。
○西崎政府委員 臨時教育審議会の答申におきましてもこの問題については触れられておるわけでございまして、そのくだりについて若干申し上げたいと思うわけでございます。
第三次答申、六十二年四月一日でございますが、ちょっとパラグラフを申し上げましょうか、先生御案内かもしれませんが。
国際社会に通用する日本人として、主体性を確立しつつも自らを相対化する態度と能力を有することが要請される。すなわち、日本文化はついて深い素養をもち、しかも、日本の在り方を相対化して、自らをらせん型に深めかつ高める視点が必要である。
そして、ちょっと飛ばしますが、
世界にはいかに異なる生活、習慣、価値観が存在しているかを具体的に学び、全世界的、客観的な視点から日本の在り方を相対化して見つめ直す態度と能力とを身に付ける必要がある。また、日本はアジアを離れて存立し得ないとの認識のもとに、近隣アジア諸国に目を向け、その実情を知る努力を怠ってはならない。このような国際社会の中に生きる者として必要な知識については、比較文化的視点を重視し、地理教育とあわせつつ日本および世界の歴史教育の中に織り込んでいくことが必要である。
こういうふうなことを述べておられるわけでございます。
臨時教育審議会は、やはり臨時教育審議会としての立場と役割があるわけでございますから、教科・科目の構成とか分割とか必修の問題まで立ち入られることはお立場として控えられたというふうに思うわけでありまして、臨時教育審議会のこのような世界的な観点、地理教育と歴史教育とのいろいろなお考えというものを踏まえて教育課程審議会ではいろいろ御議論がある、教育課程審議会の役割としては教科・科目の具体の問題について結論を出す、こういうふうな関係にあると私どもは理解しておるわけでございます。
○石井(郁)委員 文部省の方では、戦後社会科についてこの役割を終わったと考えられているのでしょうか、今の時点ではどのように評価されているのでしょうか、これもちょっと簡潔に一言伺いたいと思います。
○西崎政府委員 現在の社会科の目標は、広い視野に立って社会と人間についての理解と認識を深め、民主的、平和的な国家社会の有為な形成者として必要な国民的資質を養う、こういう内容が社会科の目標でございます。この目標自体はやはり私どもとしては引き続き維持していく必要があるというふうに思っております。
しかし、今回、地歴科と公民科が分かれてそれぞれに目標を立てるという教育課程審議会が結論を出された背景には、やはり現在の時代的要請として、国際的視野に立って日本と世界との関係における青少年の育成という一つの大きな目標をあわせて立てるというふうなお考えがあるわけでありまして、この現在の社会科の目標だけではなくて、あわせてそういうふうな目標も立てた教育を社会科の各科目において行っていく必要がある、そういう意味においては教科としても地歴科と公民科というものを分ける必要がある、こういうふうなお考えが背景にあると思うわけであります。したがいまして、社会科の目標も地歴科あるいは公民科で引き継ぐわけでありますが、大きくは公民科において従来の社会科の目標は達成されるように、また内容も充実していかなければならない。そして地歴科は、従来の社会科の目標を引き継ぎながら、あわせて世界史的な観点とかグローバルな観点を取り入れたものとして新たに目標を構成していく必要がある。これは、これから一年間の作業が必要であるというふうに考えておるわけでございます。
○石井(郁)委員 社会科についてはもう余り詳しく言うまでもありませんけれども、戦後の民主主義を根づかせるということで、学校教育の中で大変大きな役割を担ってきた教科だというふうに私は考えています。特に高校社会科について、これは昭和二十六年の学習指導要領はこのように書いているのです。「民主主義がその真価を発揮するためには、すべての人人がじゅうぶんにその個性を生かしつつ、民主主義そのものの原理を理解し、尊敬し、実践していくことが必要であり、そのためには国民のひとりひとりがよく教育されていなければならない。」という民主主義の徹底、理解ということをはっきりうたっているわけであります。私は、この役割というのは今なお大変重要だというふうに考えています。
今回、そういう意味で、低学年の社会科を廃止し、そして中学校では社会科の時間を削り、高校のいわば社会科解体、余り理由が成り立たない形で強引に押し切ったという点では、学界また学校現場挙げて圧倒的なこれは反対意見なのですね。そういう点で、そういう意見に本当に文部省は誠実にこたえたのかどうかという点でも、こたえていないというふうに思うわけです。そうして、いわば議論を抑える形で協力者を解任するというのは、もはやこれは民主主義とは言えないというふうに私は言わざるを得ません。また、そういう面で教育内容の統制だということにもやがてつながるような重大な内容を持っているというふうに考えるわけです。この委員会でもいろいろ問われているわけでありますけれども、教育の問題については、特に学界で意見が対立するという問題については、やはり公の場で徹底して審議を尽くす、そういう立場にぜひとも文部省が立っていただき
たい、また立たなければいけない。見解の違う意見を封ずるとかいうようなことは絶対あってはいけないというふうに私は申し上げたいと思います。
さて、そういう点で、次に、今審議されている教特法の法案に即して審議に入っていきたいというふうに思います。
まず、研修のあり方ではっきりさせておきたいというふうに思います。やはり今回の改正の中心問題は、教員の研修というものをどうとらえるのかということだというふうに思うのです。それは、教師の仕事というのをどういう性格のものとして見るのか、こういうことが大きな前提にあるというふうに思います。そのことで教員の研修とは何かということでもうたびたび取り上げられているわけですが、教特法の第十九条の一項ですね。「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」この規定は教員に自主的研修の努力義務を課しているというふうに見ることができるわけですけれども、なぜこういう条項を起こさなければいけないのかということをちょっと伺っておきたいわけでございます。
○加戸政府委員 御承知のように、国家公務員法あるいは地方公務員法におきましては任命権者側が行う研修ということを念頭に置いた規定になっているわけでございます。一方、これに対しまして、教育公務員特例法におきましては教員の特殊性という観点からの規定が十九条の一項でございまして、これは教職といいますものが、その活動が人間の心身の発達という基本的な価値にかかわるものでございまして、高度の学問的な修練も必要とし、しかも、その実践的な活動の場面では個性の発達に即する的確な判断に基づく指導力が要求される職業でございます。そういう意味で、それにふさわしい能力は教員の一生を通じる不断の努力によって養われていくものでございますから、教育公務員特例法は教育公務員に対しましてこのような「研究」と「修養」に努めなければならない責務を規定したものでございます。
しかし、このことは教員が自主的な研修あるいはほかの研修も含めてでございまして、行政側といいますか、任命権者側におきまして研修を実施し、教員のその研修への参加を求めることを排除するという趣旨に解すべきでないことは、教育公務員特例法の制定の趣旨から明らかであると私ども思っております。
○石井(郁)委員 その後段のことは今特にここでは伺っていないわけですけれども、今御答弁のように、やはり教育という営みですね、そういう特殊性というかそういうものから来ているということで、やはり一般公務員の研修と違う。その辺はどうなんですか。一般公務員の研修と同列に論じられない、このことが十九条の意味だというふうに確認してよろしいですか。
○加戸政府委員 一般の公務員でありましても国民の税金で負担されているわけでございますし、それぞれの職責遂行のためにはそういった研修をし、かつ、自己を磨くということが潜在的には要請されておると思いますけれども、それは一般的な常識的な感覚でございまして、法律上は先生おっしゃいますように、一般公務員よりも特に教職の重要性にかんがみまして、教育公務員が「絶えず」、ということは一生を通じてその職にある限り「研究」と「修養」に努めてもらいたいという願望と期待を込めてその責務を規定しているわけでございますので、確かにおっしゃいますように、制度の問題といたしましては、一般公務員に比べてはるかに教員の場合の研究、修養、研さん義務、義務といいますか責務が課せられているというぐあいに理解いたしております。
○石井(郁)委員 私どもは、やはり研修のあり方が違うというふうに考えなければいけないと思うのですね。つまり、一般公務員の場合ははっきりと、地方公務員法では任命権者が研修を課すということで最初から任命権者が特定されているわけですね。だから、一般公務員の場合は与えられなければいけない研修という位置づけだというふうに思うわけですね。それに対して、最初に伺いましたように、教員の場合というのは十九条の一項、また二十条の二項で自主的な研修、みずからが主体的にそういう研究、修養に努めるのだという、そこの強調がやはり大きな違いではないかというふうに思うわけです。そして、それは単に努力というあるいは期待されているということだけではなくて、そのために行政がそれを保障するということを含んでの内容なわけですね。こういう点では、国際的にも教員の研修のあり方として常識のことだというふうに私は思うのですが、国際的な動向についての文部省の御見解をちょっと伺っておきたいというふうに思います。
○加戸政府委員 国際的な動向というお尋ねでございましたが、諸外国の情勢をつぶさに私ども知っているわけではございませんけれども、教員に対しますこういった研修類似の形での研さんを求めている典型的な例といたしましては西ドイツがございます。西ドイツにおきましては、四年間の大学を卒業しました者に対しまして教員採の一次試験を行いまして、教員にふさわしいかどうかの試験に合格した者につきましては一年ないし一年半の試補という身分に置きまして研さんを積んでいただき、その結果を受けまして二次試験を行いまして成績優秀な方を教員に採用するというような形で、教員に至りますまでの間に非常に厳しい教育訓練が行われていると理解しているわけでございます。しかしながら、今の西ドイツのケースは試補制度でございまして、特に最近は、児童生徒の減少は日本と同様でございますので、一次試験に合格し一年ないし一年半の各州の法令で定めますこういった試補期間を経ましても、現実に教員に採用されるケースは極めて少ないという厳しい競争の中をくぐり抜けるという制度でございます。
そのほかの制度としては、それぞれの欧米先進諸国等におきましても研さんの場の提供等はございますけれども、イギリスにおきましては仮採用制度ということで一年間の措置がございまして、それは教員が研さんを積んだ結果として正式採用を決めるという形でございます。この場合の仮採用から本採用への移行するプロセスというのは、比率的には、排除される教員の数の方が極めて少ないというケースがございますけれども、そういう意味では正式採用になるための各種の研さんをする、あるいはそれに対する教員の一年間の便宜供与というような形のものも行われている状況でございます。ちなみに、このイギリスの制度につきましては、現在の教員の質の低下を憂える観点から、今の仮採用期間を二年または三年に延長するという動きが出ているようでございます。
それからアメリカの場合でございますけれども、本来、アメリカの場合は特殊な雇用制度でございまして、当分の間は一年間で雇用が更新されますので、一年たっても採用されないというケースがあるわけでございます。そういった不安定な身分が、これは州により異なりますけれども、三年または七年続くという状況でございまして、教員としての資格を磨き、資質能力が認められました場合には、テニュアという地位を確保いたしまして、三年ないし七年間の後に獲得しましたテニュアの場合には教員は解雇されないというような形になるわけでございます。その間もかなり厳しい試練が続くというような状況に理解いたしておるわけでございます。
概括して申し上げますと、それぞれの国におきます教員の資質向上に関します各般の施策で、私どもの承知しておりますのはそんなところでございます。
○石井(郁)委員 確認したい点は、教員の研修というものは自主的なものだ、その機会をいかに保障するかということを基本として考える教育公務員特例法の趣旨、また精神もそういうことだという点を、あえてというか再度確認したいわけです。その上で行政の研修という問題もあると思うのですけれども、あくまでも自主的な研修を補う位置づけという点で、その辺ははっきりさせておかなくてはいけないのではないかと思うわけで
す。教育公務員特例法の趣旨と精神という点で、再度自主研修の問題を確認したいわけです。
○加戸政府委員 教育公務員特例法の趣旨は、先ほど申し上げましたように教員の不断の切磋琢磨ということを期待し、またそれを責務として課しておるわけでございますが、本質的に地方公務員法三十九条の規定を排除しているわけではございませんから、当然地方公務員法の規定に基づく任命権者が行う研修を前提としているわけでございます。
〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕
しかしながら、任命権者が行う研修のみならず、教員の場合には自主的、意欲的にみずからを磨いてもらいたいというのが教育公務員特例法十九条一項の趣旨でございますので、先生おっしゃいますように、教員の場合には自主研修に努めるべき責務があると同時に、また、教員が自主研修をしたいといった場合に対します便宜供与等が十九条の二項あるいは二十条の二項等で規定されておるわけでございまして、両々相まって教員の資質が向上することを制度としても期待しておるところでございます。
○石井(郁)委員 今回の改正でこの二十条の二という形で一項、二項を新設しているわけですけれども、再度確認してきましたように、十九条との関係では、この新設というのはどういう意味を持っているのでしょうか。
○加戸政府委員 教育公務員特例法十九条一項は、教育公務員がみずから研修に努めなければならない旨を規定したものでございまして、今回提案申し上げております教育公務員特例法の二十条の二の新設条項におきましては、任命権者が新規採用教員に対しまして一年間の研修を実施しなければならないという任命権者サイドからの規定でございます。
さらに付言して申し上げますれば、地方公務員法の三十九条第二項で、「前項の研修は、任命権者が行うものとする。」という、任命権者が行う内容の一つとして、重要なものとして、初任者研修の一年間の実施義務を都道府県教育委員会並びに指定都市教育委員会である任命権者に義務を法律上、課そうとするものでございます。
○石井(郁)委員 私どもの理解では、十九条と二十条というのは非常に矛盾した内容を持つものでもある、こういうのが今度新しく加わったというふうに考えられるわけです。やはり法の構成からいって十九条の規定が基本だという点でいいますと、後で任命権者の義務という問題では触れますけれども、十九条の自主的な研修をきちんと保障するということで、その辺は文部省としての立場と解釈をはっきりさせていただきたいと思うわけです。
任命権者の義務についてということでは、一般公務員法にはそういうことでありますけれども、一般公務員法にあるからそこに持ってきたというだけでは、今度は逆に、では教育公務員特例法は何だということになるわけですね。一般公務員法の研修の内容と教育公務員特例法の研修の内容がまた違う。これは明らかに法文上でも、地方公務員法では勤務能率、そういう向上、遂行状態を見るということになっているのに対して、教育公務員特例法では「職責を遂行」となっている。この「職責」というのは、やはり教師としてこれは国民に負託された全体の奉仕者であるという点から来る教師の職責という点での規定となっているわけでございまして、任命権者が義務として課すという中身自身も違うというふうに思うわけです。そういう点で、十九条の規定というのをやはり基本に据えてあくまでもこの教育公務員特例法の趣旨を考えるという点では、何度にもなりますけれども、これを確認をしたいと思うのです。
○加戸政府委員 教育公務員特例法十九条の一項は、教育公務員について勤務時間の内外を問わず職責遂行のための研修の責務を道義的、理念的な意味において規定したものでございまして、この場合におきます「研究」と「修養」は、職務である研修のみならず自発的研修の双方に関する規定を包含するものでございまして、みずから研修をしてみずからを切磋琢磨すると同時に、任命権者側において実施します研修を受けて研さんに努めなければならない、両様の意味に解されるわけでございます。その点において、地方公務員法上の一般公務員と異なります点は、確かに先生おっしゃいますように自主的な研修ということの意欲を大いに期待しているわけでございますから、そのことに伴いましてそれぞれの、例えば二十条二項に基づく自宅研修とか、二十条三項の現職のままでの長期研修というような各制度がこの十九条の一項の趣旨を踏まえて設けられているわけでございますが、十九条の一項は、今申し上げましたように職務研修、自発的研修の双方を包含した、あらゆる機会を利用して自分を研さんしていただきたいという願いを込めて規定されたものでございます。
○石井(郁)委員 この点で大臣に一言所見を伺いたいわけですが、十九条の基本を尊重するということですね、研修のあり方として自主研修を基本に据えて考えるということで、大臣の所見を伺いたいと思います。
○中島国務大臣 十九条につきましては一項、二項にありまして、教育公務員がみずから絶えず研究と修養に努めるということと同時に、また第二項で任命権者の規定がございます。これは教育行政機関が一定の方針に基づいて教職生活全体にわたる研修を実施しまして、そして、教員に対して研修への参加を求めることを排除しているものではないわけであります。それを受けまして今回の初任者研修に関する法案を御提案したところでございまして、まさにおっしゃいますように、第二十条二の第一項の新設並びに第二十条二の第二項の新設によりまして、十九条にありますように、「教員の経験に応じて実施する体系的な研修の一環をなすもの」であるということを明記した次第でございます。
○石井(郁)委員 それでは、初任者研修試行の問題点について伺いたいと思います。
試行が一年間済みまして、ことし二年目に入っているわけでありますが、先ほども、この一年間どのような実態だったのか、各県教育委員会などから報告が出されているという点で報告書を提出していただくということがお話にあったわけですけれども、本当にできるだけ早くこの報告書を提出していただきたい。本来ならこの委員会審議中に出していただくのが筋だというふうに思うわけですが、この点再度御要望申し上げたいわけですが、いかがですか。
○加戸政府委員 先ほど馬場先生の方からも御要求があったわけでございますが、私ども各任命権者が実施しました詳細な報告を受けておりますが、これはちょっと集約が難しゅうございます。しかし、初任者研修の対象教員の所属いたしております校長先生並びに初任者教員に対します指導を行いました指導教員、さらに初任者研修を受けました教員、その三者の方々それぞれにつきまして御意見をいただいておるわけでございますので、その集約、集計を急ぎまして、そのいただきました三者の意見の集約をできる限り早い機会に当委員会に提出をさせていただきたいと考えております。
○石井(郁)委員 それでは、試行の実態について文部省はいろいろと掌握をされていると思いますけれども、どういう問題点があるのか。先ほど大臣からもちょっと御意見というかがあったのですけれども、今まとめられた段階で、特にメリット、デメリット、特徴的な点を伺いたいというふうに思います。
○加戸政府委員 現在集約中でございますので全部を見たわけではございませんが、それぞれのケースについていろいろの問題はあり得ると思っております。例えば研修期間が、校内研修七十日間、校外研修三十五日間、それぞれ程度ということで実施をしていただいておりますけれども、多くの都道府県はこの七十日、三十五日というのをきちんと守っていただいておりますが、これに対しましてもう少し期間が短い方がいいのではないかという御意見も相当ございますし、あるいは児
童生徒との触れ合いの問題にいたしましても、やはり児童生徒との触れ合いが欠けるという点においての問題意識を強く感じていらっしゃる先生方も、比率としては少数ではございますがあります。さらに、指導教員の負担の問題あるいは研修を受ける初任者研修の教員の負担の問題についての意識も調査いたしておりますけれども、特に初任者研修の場合には、多少の負担は感じるけれども自分のためだと思って頑張っているというような御意見が非常に多いわけでございますが、一方において、大変に負担を感じているという御意見も少数ではございますが一定の比率ございますし、そういった問題は、今後の運用を通じまして改善をすべき一つの大きな判断材料として私どもは受けとめておるわけでございます。
○石井(郁)委員 私どももいろいろと伺うわけですけれども、ある県では成果と問題、課題というふうに何か文部省に報告しているようですけれども、見るところ、成果の方はそれほど書けることがなくて、むしろ問題、課題の方が多いというようなこともあるようですね。その中で、本当に見逃すことができないのは、一人の教員がずっと学習に責任が持てないというかそういう体制をとれないので、円滑な連携がとれないためにいろいろな教員が入るわけですね。そういうことで、円滑な連携がとれなくて学習の一部に重複とか欠落などが出てきている、学習進度がおくれがちだという問題も出ているのですね。それから、先生が何回かかわるので子供たちに落ちつきがなくなる、学習に対する不安感を持つ、そういう子供たちが出てきている、こんな深刻な話がございます。そういう点で、今お話しのように、研修の日数が長いということで学校としても学校の経営の体制をとるのが大変だ、そういう研修の計画を立てるけれども、実際に研修が効果的に上がったというようなふうには思えないというような話等々あるわけです。
そういう点で伺うわけですけれども、そういう問題点がもう相当わかっているわけでありまして、ことしの試行についてはまた同じようにやろうとするわけですか、何かこういう点での改善の手が打たれているのかということを伺いたいと思います。
○加戸政府委員 昭和六十二年度で実施いたしました初任者研修の試行対象教員は二千百四十一名でございますので、試行されました状況等をある意味ではウの目タカの目で欠点、長所を掘り出していけば相当あると思います。それはある意味では、試行というのは本来、本格的実施に備えまして問題点の解明をするわけでもございますし、また現実に、その教職員あるいは新任教員あるいは指導教員の負担の問題といたしましては、試行状況を報告するということをやっておるわけでございますから、その報告をするための事務がまた負担になっているという現象は確かにあると思います。この問題は本格実施になれば解消されるわけでもございます。そこで、いろいろな問題点というのを解明するために試行したわけでございますから、当然昭和六十二年度に試行いたしました三十六都府県指定都市におきましては、みずから実施した中におきます反省点あるいは改善すべき点はおわかりのようでございますから、当然六十三年度の継続した試行につきましては、対象地域は異なりあるいは対象教員はかわるわけでございますけれども、それなりの六十二年度の結果を踏まえました対応というのをお考えいただいているところだと思っております。ただ、六十三年度に新たに試行に入ります残りの二十一県市につきましては初めての形でございますけれども、これも既に試行を行いました県のノーハウ等も踏まえましてそれなりの対応をしていただくことであろうと思っております。そういう点では、六十三年度の試行は六十二年度よりもなお一層改善された道を歩むものだと期待もしているところでございます。
○石井(郁)委員 どのように改善されるのかというのは今の御答弁からは余りはっきりしないわけですけれども、この試行の実態というのは非常に学校現場では深刻になっているのではないでしょうか。特にこういうことがあるのですね。これは東京の養護学校の例でございます。名前も出したいと思うのですけれども、港養護学校では高校一年に三名の女性教員ですけれども、そのうち二名が新任、一名が都合で休む日とまた初任研が重なると女性教員が一人もいなくなるということで、トイレの介助とか着がえなどに大きな支障が生じているということが言われております。立川聾学校では九名の新任教員がいます。一度に研修で抜けると、学校運営の問題だけにとどまらず、子供たちの安全にもかかわる重大な問題だ。養護学校は、御存じのように新しく入られる先生が大変多いのですね。こういうところで、新任者は逆に後ろ髪を引かれる思いで研修に参加しているということでは、研修にも身が入らない事態になっているということです。また御父兄の方も、先生方が一度に抜けるということで大変不安を感じておられるということですね。
ですから、今は試行ということでそれぞれピックアップされた状況で行われているでしょうけれども、これが全国的に実施されるということになったら、本当にどんなことになるのかという点では大変問題は深いというふうに思うわけです。特に辺地校なんかでも、かわりの先生がいないということで非常に問題があるということも聞いているわけでありますし、この試行についてはいろいろ各地から御意見が寄せられています。先生方は本当に、子供たちや親の目との関係でも、大変な思いで研修を受けているわけですね。子供たちは研修を受けている先生を「ひよっこ先生」というふうに呼んでいる。だから、逆に子供との信頼関係が失われる。そして、教師の権威もかえって失墜しているわけですね。今、どうも文部省の方は、教師にもっと権威を持たせようというような動きにもなっていると思うのですが、私は、この初任者研修というのは、逆に先生の地位や権威を失墜させるということになっているというふうに思うのです。
また、研修を受けている先生は、七十項目の研修ノートを毎日点検される。この点検の作業に追い回されて、子供たちとの触れ合いができないということがあります。だから、ある先生は、これは立場的には教師であるけれども研修生だ、実際上これはもう研修生、こういう意識になっていくのですね、ならざるを得ないと思うのです。
それから、特に研修の内容で私は問題にしたいのは、校外研修で企業研修というのが大変入ってきています。どんなことをやっているのでしょうか。デパートの制服を着て九十度の礼をする、売り場で実習をしているのですね。一体こんなことが本当に教師の研修になるんだろうか。それから、一日行軍であるとか軍隊式訓練まがいの強行登山だとか、これは戦前的な発想じゃありませんか。これが研修なんですか。文部省はそれをどんどん奨励するのですか。そういう点では、これは研修という名で教師の研修にはならないというものになっているわけですね。そういう実態が非常にございます。簡単に、こういう実態について大臣はいかがお考えでしょうか。
○加戸政府委員 今いろいろな御意見等ございました。多くは教職員の負担の面でございますが、私どもは、こう申し上げては恐縮でございますけれども、勤務をしながら、かつ、一年間にわたる初任者研修を受けるということは当然教員の負担になることだと思います。負担にならないとするならばそれはもはや研修ではないわけでございまして、ただ、その負担が当該教員にとって、将来を考えて本人のためになるという意識を持って、我慢できるものかあるいは許容限度を超えるものかという問題ではなかろうかと思うわけでございます。そういった点では、私ども先ほど申し上げました意識調査の中におきましても、負担はあるけれども子供たちのためだと思って、あるいは自分のためだと思って頑張っているという御意見が圧倒的に多いのはその趣旨だと思いますし、また、私自身が洋上研修で乗り組みまして、研修生と話をざっくばらんにひざを突き合わして申し上
げましたときにも、そういった御意見がございました。
それから、デパート等の企業研修のお話がございました。確かにある県におきましては、デパートで実地の訓練をいただいております。しかしながら、これは学校の先生が、自分の住んでいらっしゃる学校以外の世界がどういう世界であるか、あるいは自分たちの教え子が巣立っていって就職する場がどんな場であるのか、その勤務形態がどんなものであるかということを体験することは非常に貴重なことでございますし、また、企業参観その他につきましては大変好評でございますし、新任教員も目が開かれたという御意見が多いわけでございます。
さらに、今教員の権威の問題についてお話がございましたけれども、お言葉を返しとうはございませんが、学校の穴埋めのそういった事柄につきましては、本人の意識が、将来の教員生活におきまして必ずや、初任者研修を受けた一年間がすばらしかったという形で、立派な教員に育っていただく、それこそが教員に権威を持たせるゆえんではないかと私どもは考えております。
○石井(郁)委員 今の点で大臣、ぜひとも御答弁をお願いしたいと思います。
○中島国務大臣 教職に身を置く方にとりましても、初任者というのは初めて社会人として教鞭をとられるわけでございます。そのときの研修というのは非常に必要だ。先ほどもおっしゃったように、社会的にはいろいろな新入社員に対する研修というのはほとんどあるではないかという言葉もございます。まさに人が人をつくる重要な職務でございますから、幅広い知見を得ていただく、そして実践的な指導力を養っていただく、こういうふうに私ども申し上げておるわけであります。そういう意味で、限られた時間でありますけれども、社会のあらゆる面を見ていただくということは、やはり教鞭をとる方にとって必要な研修の一環である。今伺っておりまして、いろいろ工夫して研修をやっていてくださるなという感じを率直に持った次第でございます。
○石井(郁)委員 デパートの売り場に立ってマナーを身につけることがどうして教師の研修になるのか。大臣がそれを評価されるというのは私は大変疑うわけですけれども、その問題で、今洋上研修のことが出ましたので、ちょっと伺いたいと思います。
洋上研修の講義内容は、私ども資料としてぜひとも提出していただきたいわけですけれども、どうですか、出していただけますか。
○加戸政府委員 洋上研修におきましては、十一人でしたか、ちょっと数字は不正確でございますけれども、各界各層の講師の方々、その中に私も含めてでございますが、それぞれの講義をいただいております。しかしながら、この講義に関しましては、速記、録音その他とっておりませんので、記録はございません。
○石井(郁)委員 政府が行うということでありますし、講義には当然講義メモや講義ノートがあるのじゃないでしょうか。やはりこれは行政研修としてそれこそ権威を持ってやるわけですから、どうして記録ができないのでしょうか。これもおかしな話ですね。研修内容をオープンにするのは当然のことじゃないのでしょうか。オープンにできないからそういう処置をとったんでしょうか。それは大変問題だ。そういう点で、これは私も洋上研修を受けた方々からいろいろお聞きしているわけですけれども、第一回目の洋上研修は、加戸局長の講義の内容もいろいろ聞いているところでありますが、大変重大な講義内容になっているのですね。ちょっと申し上げたいと思います。
一つは、結団式におけるあいさつは、臨教審のこの精神でこれから教育改革に取り組むんだということで言っている。それをちょっと確認したいわけです。それから、教員である前によき日本人、社会人であれ、――これは、その抽象的な言葉だけでは何とも言えませんからおいておくといたしまして、要するに臨教審を強調しているということが一点です。
お二人目の講師の方は伊勢神宮と法隆寺、それはいいんですけれども、不易の思想ですね。不易と流行は表裏一体、これも臨教審で言われている話であります。中曽根さんが大変これを好まれたんだというふうに思いますけれども。だから、全部臨教審路線だということを一つ言いたいわけです。
それから御存じの、これはテレビにも映されましたけれども、バレーボールの三屋さん、これは根性を説いたということであると思いますけれども、ある方は北方領土の問題を取り上げていらっしゃるわけですね。その中で、ソ連によって不法占拠された問題という形で、(発言する者あり)いや、だからこれはあなた方の見解かもしれないけれども、自民党の見解かもしれないけれども、国民の間には意見の分かれるところですよね。だから意見の分かれるという問題を言っているわけです。いいか悪いかは言っていません。
それから、特に日経連の方も講師として出ていらっしゃるわけです。
そういう点では、どうですか、講師は全く、まさに自民党の政策を宣伝される方々ばかりではありませんか。これはどうなんですか。公平の原則の問題からしても一方的な見解を、洋上研修でいわば閉じ込めて、一方的な自民党の政策をここで講義している、こういうふうに言えるのではありませんか。臨教審についても、一体臨教審というのは、それは答申がありましたけれども、国民的な合意としてはありますか。そういう意味では大変重大だという点であります。
もう時間がありませんので、加戸局長にちょっと伺いたいわけですけれども、先ほど申しましたように現場の方では高校生がこのように言っているのですね、先生方が初任者研修を受けると、一体僕たちはモルモットなのか、こういう声が出ているわけです。さて、どうですか、局長はこの第二回目の洋上研修で先生方をモルモット扱いして大変恐縮でございます、こういうことをおっしゃってないでしょうか。これはあくまで試行で、やって間違うこともある、先生方は研修を受けられていると同時に実験的な立場での研究台になっているわけです、これは重大な発言じゃないでしょうか。
○加戸政府委員 まずその講義内容の話でございますが、私は一昨年まで文化庁の次長をいたしておりまして、他人の講義を無断で録音する、あるいは速記をとるということは著作権法に違反することでございます。したがいまして、講師の了解なしには録音はできないというシステムをまず御理解いただきたいと思います。(発言する者あり)
それから、この講演の講師団の話につきましては、それぞれ時期は三日間ずつでございますが、第一団も第二団も記者団が乗り組んでおりまして、第二回目の洋上研修の際には私の講義を記者団の方が聞いておられます。
それから、冒頭のあいさつで私が、臨教審に基づく教育改革を進めるべきときであるということを申し上げましたのは、臨教審答申を最大限尊重すべき政府の義務に基づきまして、私も政府の一員として申し上げたわけでございます。
それから、よき教師である前によき日本人であれということを申し上げたと思いますけれども、これは私の持論でございますが、そのことが非難されるべき筋合いではないと思っております。
それから、今記憶には余りございませんが、言うなれば試行でございますので、あるいはそういった先生方を、今後の問題解明のため先生方が土台になっていただいているということを表現する言葉として、「モルモット」を使ったか「試験台」を使ったか定かではございませんが、先生方には大変申しわけないが、皆様方の試行の結果が将来の後に続く後輩のための材料とさせていただくのだから勘弁してほしいという、そういった趣旨のことは確かに申し上げております。
○石井(郁)委員 試行だからといって記録がないということで済むのかどうかという問題、そういう問題をいろいろ突っ込みたいわけですけれども、申し上げましたように、この洋上研修の内
容、非常に重要な問題を持っているというふうに思います。私はやはり、これが教員の研修ということで、試行というのはそれを実施することを見込んでやっていらっしゃるわけですから、試行はこうだけれども、実際は全然違うことをやりますというのだったらまた試行の意味もないわけです、やはりそれが実際の場でやることの意味をそこで確かめているわけでありますから、こういうのが結局初任者研修の、行政研修の中身だということになりますと、これは大変な問題だというふうに私は思うわけです。そういう点で、今後とも洋上研修その他の行政研修についてはやはり内容を公開する、あなた方はいいことをやっていらっしゃるのだったらどんどんと公開したらどうですか。どんどんと公開をして、そして国民的な議論を起こすという点で、非公開はやめていただきたい、研修の内容は必ず公開をしていただきたいということを強く申し上げたいと思います。いかがですか、大臣の見解を求めます。
○加戸政府委員 その前に、実情認識から申し上げたいと思いますが、今回の、昨年実施をしました洋上研修は、第一団、第二団ともに、記者クラブに対しまして自由に申し込みをいただきまして、そして乗り組んでいただきました。その結果として、何しろ十日を超す洋上研修でございますので、記者団の方から三日間という形で、東京を出発し、釧路へ到着してまでの三日間、それから第二団の方は時期的には、多分大分から……。ちょっと記憶が薄れましたけれども、いずれにいたしましても記者クラブの取材には全部応じ、講師の話も自由に聞いていただくという対応をさせていただいたところでございます。(発言する者あり)
○中島国務大臣 一連の中で御理解をいただくことが必要だと思いまして、こういう行政研修の意味というものはありますし、私どもはそれは大切なことだと思っておりますし、その研修の一環として洋上研修のことが取り上げられました。これは別に研修全体について非公開ということもないと思いますし、それからまた、研修の中で先生おっしゃるように臨教審のことが取り上げられた、これは私は大変ありがたいことでございまして、私どもは勝手に申しておるのではなくて、臨教審三年間の大変な御審議の中から生まれてきた声を最大限に尊重して私どもは進めたい、こう思っておるところでございますし、また洋上研修というのはもう一つ大きな意味がありまして、多くの県から出ておる方々がその間、一緒に起居をともにし、それぞれの体験、それぞれの長所短所を話し合って、またそれは、さっきおっしゃるように十九条の一と二がまさに一緒になったような、行政研修の中でそれぞれの県から出た方が一緒に話し合うという自己研さんの場でもある、そういう意味では大変価値ある、意義ある研修の一環だと私は思っておりますし、そのように御理解いただきたいと思う次第でございます。
○石井(郁)委員 大変時間がなくなりましたので、きょうは人事院もおいでいただいていますので、ちょっとそちらの方に移りたいと思います。
条件つき採用期間の延長、これが今回の一つの大きな内容でありまして、このことで伺いたいと思うわけです。現行の公務員制度は六カ月が原則でありますが、まず、この六カ月を原則としているのはどういう根拠に基づいているのか、人事院に御説明いただきたいと思います。
○谷説明員 一般職の国家公務員の採用につきましては、職務遂行能力についての競争試験または選考により行うことになっております。競争試験あるいは選考におきまして能力のすべてにつきまして判断をすることは大変困難でございますので、条件つき採用期間の制度が設けられておるわけでございます。
すなわち、条件つき採用期間の制度につきましては、競争試験あるいは選考によりまして職員を採用いたしました場合の職務遂行能力につきまして、採用後の一定期間の職務を通じまして最終的に確認をするというものでございますけれども、その期間としては通常六カ月程度が必要であるという考え方に基づくものでございます。
○石井(郁)委員 公務員の場合はもちろん公務員試験、そして採用試験をクリアしているわけでありますから、資格があるということを前提にしているわけですね。ですから六カ月以上延長という場合、これが例外的措置になっているというふうに思うのです。この例外的措置というケースですね、どういうケースがあるのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○谷説明員 条件つき採用期間の開始後六カ月間におきまして実際に勤務した日数が九十日に満たない職員につきましては、その日数が九十日に達するまで条件つき採用期間が引き続くものというふうにされております。ただし、この期間は最長一年間でございます。
○石井(郁)委員 だから、非常に具体的な理由に限って、そういう事由が発生した場合だけ延長ということだと思うのですね。今、この法改正では教員に限って一年間に延長する、この根拠は何ですか。これは人事院と文部省に伺いたいと思います。人事院の方からお願いします。
○加戸政府委員 本委員会でもたびたび答弁申し上げましたが、いわゆる一般の公務員の六カ月の条件つき採用期間を、初任者研修の対象となります教員につきまして一年間にこれを延長することを提案しておるわけでございます。
これは、一年間にわたる初任者研修を受けますから、実際の勤務形態が研修を受けながら勤務をするという、ある意味では一つの仕事の遂行ぶりが勤務でもあり研修でもあるという形態、これは一つの状態でございますけれども、そういった教員の特殊な勤務形態になる、しかも、実際に職務を遂行する場合に職務遂行が本人の主体性において行われているか、あるいはアドバイスを得ながらやっているかということによりましてもまた違いは出るわけでございますが、いずれにいたしましてもそのような特殊な勤務形態になっているということが一つの理由でございます。
第二の理由といたしましては、これは教員全体について言えることでございますけれども、教員の職務というのは一年間にわたる学級経営活動の展開の中でその職務遂行能力を判断するわけでございますが、通常の職種と違いましてその進度その他におきまして教員の勤務の特殊性が非常にあるわけでございます。したがって、それに基づいて具体的な職務遂行能力を判定するということは、特に教員の仕事が全人格的な職務でもある、子供たちとの触れ合いの中で子供たちの信頼をかち取っていくということでございますから、そういう意味では、成長を遂げながら一年間の過程においてどのような形で職務が遂行できたか、研修が終わった時点で教員の職務遂行の実証といいますか能力の実証をするということが適当という観点に立って、一年間への延長を措置するべく提案させていただいておるところでございます。
○谷説明員 一般職の国家公務員につきましては、条件つき採用期間については先ほど申し上げましたように六カ月と定めておるわけでございますが、教員の職務の特殊性によってただいま文部省からお話がございましたような内容の御提案がなされているというふうに承知いたしております。
○石井(郁)委員 重ねてちょっと人事院に伺いますけれども、条件つき採用と正式任用では身分上はどういう違いが出てくるのでしょうか。具体的に御説明いただきたいと思います。
○谷説明員 条件つき採用期間中の職員につきましては、国家公務員法の八十一条の規定によりまして身分保障に関する規定の適用除外となっております。正式に任用されました職員につきましては、法律に定められる事由によらなければ免職、降任等は行われないわけでございますが、条件つき採用期間中の職員につきましては、勤務成績その他その官職に引き続き任用しておくことが適当でないと認められる場合にはいつでも免職し、これを降任させることができるというのが、国家公務員法上の定めでございます。
○石井(郁)委員 それでは結局、六カ月の条件つ
き採用が一年に延長されるということで、教員は一年間身分上大変不安定というか、身分保障が適用されないということに置かれるわけですね。どうしてこういう一般公務員より地位を低下させることをあえてしなければならないのか、そういう問題が一つありますね。それじゃ新採用の教員というのは一体一年間一人前扱いされないということで見ていいのでしょうか。
○加戸政府委員 法律制度的にはただいま人事院の方から答弁がございましたが、身分保障がないということではございません、法律上の分限規定が適用されないということでございます。しかしながら、実際問題として、条件つき採用期間中の職員を免職するに当たりましてはそれなりの合理的な理由が必要でございますし、最高裁の昭和五十三年の判決によりましても、そのことは任命権者の自由裁量でない旨明らかにされているわけでございます。具体的には今の分限規定に準じました考え方、つまり教員としての職務を遂行するに足りる適格性を有しない場合であるとか、あるいは心身の故障のために教員として身分を続けることができないというような、今の分限規定に準じました考え方で裁判所は判断しているわけでございますし、また現実の運用におきましてもそのような形で運用されているところでございまして、公務員として採用されて公務員として勤務しているという点におきましては身分に関しましては全く同一である、ただし、今申しました分限規定の適用が法律上はないということのみをもって不安定と言うことはできないと思います。
○石井(郁)委員 それはおかしいと思うのですね。現実に先ほどの人事院の御答弁はそうだったわけでありますし、人事院にもう一度伺いますけれども、教員だけ一年間条件つき採用ということで身分保障が適用外になる、こういうことは公務員法上許されるのでしょうか。そういう点の問題点はないのでしょうか。
○谷説明員 先ほど申し上げましたのは、一般職の国家公務員につきまして条件つき任用の場合の身分関係がどうなるかというお尋ねでございましたので、国公法上正式に任用された職員に適用される一部の規定、分限上の規定が条件つき任用期間中の場合には適用除外となっているということを申し上げたわけでございます。
○石井(郁)委員 研修を受けながら勤務するという、何か大変苦しい御答弁がされているように思うのですけれども、研修が本来の目的であるということならばなぜ六カ月の条件つき採用でいけないのか。身分保障の問題と研修の問題とは本来別のことではないのでしょうか。だから、行政の研修と条件つき採用の延長というのがセットになっている、ここが今最も重大なんですね。そういう点で大臣の御見解を伺いたいと思います。
○加戸政府委員 法律論でございますので、私の方からお答えさせていただきます。
いわゆる教員の初任者研修を一年間実施するわけでございますが、その初任者研修の実施によりまして教員の勤務形態が大幅に変わってくるわけでございます。そういう意味におきまして今申し上げた条件つき採用期間を一年間と研修にスライドさせているということは事実でございますが、もう一つの理由といたしましては、あくまでも教員の職務遂行能力の実証といいますものは先ほど申し上げましたように教員と児童生徒との全人格的な触れ合いの中で評価されるべき事柄でもございますし、そういう意味におきまして、この教員の特殊な勤務形態があり、六カ月で通常の一般公務員と同様な観点で職務遂行の能力の実証を得ることは極めて困難だと考えまして、提案をさせていただいているところでございます。あくまでもこの事柄は、こういった教員の置かれます立場と、学校教育におきまして適格性を持った教員にいい教育を実施していただくことをどのようにして確保するのか、両面のサイドから比較考量すべき事柄でございまして、そういう意味におきます、現行制度の六カ月のままで初任者研修を受けた状態で十分な実証ができるかどうかについては、私どもは疑問に思っているというところでございます。
○中島国務大臣 私は、身分の不安定ということについて、先ほどから他の議員からも試補制度との差をわざわざ御指摘をいただいているわけでございまして、試補制度であれば身分の不安定ということがありましょうけれども、この初任者研修の場合には、教育公務員としての資格を持って、そして一年間、なぜ一年間かということは局長から申し上げましたように、教職にある者として一年間を通してその資質能力を養い、また資質能力の判定は一年をもって適正とする、これはまた私は正しいと思うわけでございます。ただ、今局長が言ったのは、そういう法律論ではあるけれども具体の問題であるという意味であると思いますが、さはさりながら、教職員として継続的にその職責を遂行できない理由、この理由をいろいろ確かめながら、その理由が確かに複数の目から見て適正であるというもの以外はこの身分がそのまま保障されるということでありますから、したがって、今までの御議論の中で試補制度、そしてこの研修、そして今の一年間の判定、この答弁をもってして御理解をいただけると私は考えております。
○石井(郁)委員 局長が言われましたように、全人格的活動だからこそというか一年が要るんだというのは、だからこそ私は逆におかしいと思うのですね。身分を不安定に置いといてどうして子供と本当に真剣に教育活動に専念できるのかという点では、これは到底賛成できない、また矛盾をしている御答弁だというふうにも思うわけです。また、適格性を見るという大変重大な御発言もありまして、今後この点をめぐって本当に本格的な論議をしなければいけないというふうに思うわけであります。
そういう点で、大変まだ議論が続くわけでございますけれども、時間が参りましたので本日はここで終わりたいと思いますが、続いて二十七日の委員会ではぜひとも質問を行いたいということを申し上げて、きょうは終わりにしたいというふうに思います。



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