昭和六十三年四月十九日(火曜日)
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昭和六十三年四月十九日
午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
無限連鎖講の防止に関する法律の一部を改正する法律案(物価問題等に関する特別委員長提出)
教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時三分開議
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教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(原健三郎君) この際、内閣提出、教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。文部大臣中島源太郎君。
〔国務大臣中島源太郎君登壇〕
○国務大臣(中島源太郎君) 教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
学校教育の成否は、これを担当する教員の資質能力に負うところが極めて大きく、今後の社会の進展や学校教育の内容の変化等に応じた教育を展開していくに当たり、教員みずからがその自覚を高め、教育力の向上を図ることが必要不可欠であります。
現下の教育課題を解決し、また教育の質的向上を図るため、教員には、従来にも増して教育者としての使命感、幼児、児童生徒に対する教育的愛情、教科等に関する専門的知識、そしてこれらを基盤とした実践的指導力などが求められております。
このような教員としての資質能力は、教員の養成教育のみならず、教職生活を通じて次第に形成されていくものであります。その場合、教員自身が研さんを重ねることによってその資質能力を高めていくことが基本となることは、もとよりでありますが、これとともに、教員の任命権者が教職生活の全体にわたって適切な研修の機会を提供することが必要であります。
とりわけ、初任者の時期は、教職への自覚を高めるとともに、円滑に教育活動に入り、可能な限り自立して教育活動を展開していく素地をつくる上で極めて大切な時期であります。この時期に現職研修の第一段階として、組織的、計画的な研修を実施し、実践的指導力や教員としての使命感を深めさせ、また幅広い知見を得させることは、この時期における初任者にとって、また、その後の教員としての職能成長にとっても、欠くことのできないものであります。
そのため、今般、臨時教育審議会の答申及び教育職員養成審議会の答申を受けて、教員の初任者研修を制度化することを内容とする法律案を提案するものであります。
以下、この法律案の概要について申し上げます。
第一は、初任者研修を制度化することについてであります。
まず、任命権者に対し、国立及び公立の小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園の教諭、助教諭及び講師に対する採用の日から一年間の初任者研修の実施を義務づけることとしております。この場合、初任者研修は、教職経験に応じて実施する体系的な研修の一環をなすものとして位置づけることとし、初任者に対して一年間にわたり、教諭の職務を遂行する上で必要な事項について実践的な研修を実施するものであります。
初任者研修は、教育現場における実践的な研修であり、初任者は、学校において学級や教科、科目の担当その他の教育活動に従事しながら、学校内における研修と学校外における研修を受けるものであります。このように初任者は、日常の実務に即してその立場に立った系統的な研修を受けるものでありますから、校内における研修について、指導者を特定することとしております。任命権者は、初任者が所属する学校の教頭、教諭または講師のうちから指導教員を命じることとし、指導教員は、初任者に対して具体的な指導及び助言を行うこととしております。
初任者研修の実施に伴い、また、教員の職務の特殊性にかんがみ、初任者研修の対象となる教諭、助教諭及び講師の条件つき採用期間を一年とすることとしております。
第二は、初任者研修制度の円滑な実施を図るための措置であります。
これは、市町村立の小学校、中学校等において初任者研修が行われ、各学校に指導教員等として非常勤講師を配置する必要がある場合には、市町村教育委員会が都道府県教育委員会に非常勤講師の派遣を求めることができることとするものであります。また、その場合の非常勤講師の報酬等については、都道府県の負担とすることとしております。これは、市町村立小学校、中学校等の教員に対する研修については、都道府県教育委員会が実施者であることから、非常勤講師について都道府県が責任を持って対処することとするものであります。
第三は、初任者研修の制度化についての経過的な措置であります。
幼稚園の教諭、助教諭及び講師に対する初任者研修については、幼稚園の実態等を考慮し、当分の間、これを実施しないこととし、初任者研修とは異なる研修を行うことといたしております。
また、幼稚園を除く学校の教諭等に対する初任者研修については、教員の採用者数の推移その他の事情を考慮し、昭和六十四年度から段階的に実施することとし、昭和六十七年度までにはすべての校種についてこれを実施することとしております。そこで、昭和六十六年度までの間は、初任者研修を実施しない学校種を政令で指定することができることとしております。
このような初任者研修の実施に当たっての経過的な措置に伴い、初任者研修の対象とならない教員については、その条件つき採用期間は、従前の六カ月とすることとしております。
以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
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教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。
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○副議長(多賀谷真稔君) 石井郁子君。
〔石井郁子君登壇〕
○石井郁子君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、教育公務員特例法の改正案について質問いたします。
今国会には臨教審関連六法案が提出されています。これら六法案は、いずれも憲法と教育基本法の民主的精神を踏みにじる重大な内容を持っています。教師を研修の名のもとに国家統制する教育公務員特例法、学歴で教員間に差別をつくる教員免許法、教育長の権限を強め学校と教育内容の統制を図る地方教育行政法、財界の大学支配を確立して学問の自由と大学の自治を破壊する総合研究大学院の設置や、高校教育をゆがめ大学の格差を拡大して受験競争を激化させる新テスト導入のための国立学校設置法、定時制と通信制の課程を三年にし、安上がりの高校教育をねらう学校教育法、そして臨教審教育改革を強力に推進するための臨時教育改革推進会議設置法、まさにこれらは戦後打ち立てられた国民の教育という法体系を大転換するものであり、到底認めることはできません。(拍手)
戦後の民主教育は、戦前、天皇のため国家のために命を捨てよと教え、野蛮な侵略戦争に国民を駆り立てるために教育が最大の武器として利用されたという痛苦の反省から出発しました。国家のための教育にかわって、個人の尊厳と国民のための教育の確立にどれほど希望と期待が込められたことでしょうか。新生日本の学校はまさに楽しいところに変わりつつあったのです。私もこの新しい息吹に触れ、戦後民主教育で育った世代の一人です。
ところが、こうした国民の希望の灯もつかの間、再び国家のための教育に逆戻りさせようとしてきたのが歴代自民党政府の文教政策なのです。本来国がなすべき仕事である教育条件整備については、臨調行革によって一層なおざりにされ、先進諸外国では二十五人から三十人学級が常識なのに、いまだに四十人学級さえ完成していません。その上、四千二百四十四校に上る非教育的なマンモス校が放置されています。教育費の父母負担は大変重く、低所得者は進学をあきらめるなど、教育の機会均等の原則がじゅうりんされています。国の一般会計に占める文教予算の割合も低下の一途をたどり、ピーク時の一四%から八%にまで落ち込んでしまいました。その一方で、国がしてはならないはずの教育の不当な支配には執念を燃やし、学校と教師の活動の自由と自主性を抑圧し、君が代の押しつけを初め学習指導要領や教科書検定などを通じて教育内容に介入するなど、国家統制を強めてきました。差別、選別の教育体制がつくられ、子供たちは偏差値と管理主義教育の中でどんなに傷ついているでしょう。教育荒廃と言われる今日の深刻な教育危機をつくり出したのは、このように歴代自民党政府の反動的で貧困な教育行政にあることは明らかであります。総理、あなたは戦後民主教育の制度と理念をどのようにお考えなのか、具体的にお答えください。(拍手)
大学入試の改革は焦眉の課題ですが、ここ数年、政府・自民党は大学に圧力を加え、入試制度を猫の目のようにくるくる変えて受験生を混乱させ、国民の強い批判を浴びています。総理はどう
反省しておられるのか、お答えいただきたいと思います。
その上問題なのは、入試の安定化を求める受験生や国民の声を無視して、高校間と大学間の格差を広げ、高校教育をゆがめる新テストを来年十二月に実施しようとしていることです。このテストが、受験地獄を解消するどころか、ますます激化させることになることは明らかです。このような国民的合意のない新テストの導入は直ちに中止すべきではありませんか。総理の決断を求めます。
総理、あなたが中曽根前内閣から継承すると言われる臨教審教育改革は、個性化、多様化、世界の中の日本人を強調し、教育荒廃を口実にして一層差別、選別体制を強め、国家主義的道徳を押しつけるものとなっています。これでは、一人一人かけがえのない子供たちの可能性を伸ばすことができず、教育とは言えません。学校教育の目的は、すべての子供たちに未来の主権者たるにふさわしい基礎学力、民主的市民道徳、豊かな情操、体力などをしっかり育てることにあります。それこそが教育基本法の目指すものですが、そのようにはお考えになりませんか。
総理、あなたのふるさと島根県には、毎朝全校の教職員、生徒が、皇居遥拝の号令で東の方を向いて深々と頭を下げ、教育勅語を直立不動で合唱するという戦時中そのものの学校があるのを御存じですか。また、臨教審の影響を受けて、公立高校の卒業式で憲法否定の式辞を述べるというとんでもない校長も出てきました。憲法と教育基本法に反した時代錯誤の例ですが、これが臨教審教育改革の行き着く先ではないと言い切れるでしょうか。総理、あなたは、このような教育の姿を見て、よいことだと思われますか、お答えください。
次に、教育公務員特例法の改正案について具体的にお聞きします。
今日の複雑で深刻な教育危機の克服に当たって教師の果たす役割は重要であり、そのため教育の専門家としての力量発揮が求められていることは言うまでもありません。教員の専門的力量の向上は、みずからの主体的な研究努力とともに、子供たちとの日常的な人格的触れ合いを通じ、教職員相互の切磋琢磨の過程を通してこそ真に培われるものです。現行の教育公務員特例法が、他の公務員と違って、その第十九条において「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」と規定し、特別に教員の自主研修の努力義務とその機会の保障をうたっているのは、まさにそのためなのであります。また、このことはILO、ユネスコ共同の、教師の地位に関する勧告を指摘するまでもなく、国際的にも常識のことです。
ところが、今回の改正案は、この基本原則を根本から否定しようとする反動的、反教育的なものにほかなりません。政府が義務づけようとしている初任者研修や現職研修なるものは、研修という体裁こそとってはいますが、およそ本来の自主的研修とは異質のものであり、行政がそれこそ権力的に、文部省や教育委員会の一方的な方針や思想を注入する場なのです。現に、初任者研修の試行では、文部省主催の洋上研修で、日の丸、君が代で一日が始まり、規則ずくめの生活が強いられ、学校現場では四六時中、指導という名の監視下に置かれるなど、新任教員にとっては何よりも大切な子供たちとの接触の機会が奪われているのが実態ではありませんか。既に、研修を受けた新任教員の一割以上がやめる県さえ出るなど、初任者研修に対する批判が強まっています。子供に目が向かず、戦々恐々として指導教員や校長の顔色をうかがうような状況で、どうして教師が育ち、真の教育が成り立つでしょうか。(拍手)
政府が教員の資質向上を真剣に考えているというのなら、このような画一化された行政研修の強要をきっぱりとやめ、教育公務員特例法の趣旨を尊重して、教員だれもが望んでいる自主研修の機会と条件を最大限に保障すべきではありませんか。文部大臣、お答えください。
次に、初任者研修制度の問題です。
この最大の問題点は、教員の条件つき採用期間を六カ月から一年に延長することと、行政研修とをセットにしていることにあります。研修が本来の目的であるとするならば、現行のままでも何の不都合もないはずであり、延長などは必要ありません。このことは、条件つき採用という不安定な身分に置いたままの方が管理、統制しやすいからであり、時の権力に都合のよい、自主性を持たない教員の育成を図ることができるからです。同時に、政府・自民党の意向に沿わない教師を学校現場から排除していこうとする極めて政治的なものと言わなければなりません。新任教員の新鮮な意欲と情熱を奪い、時の権力に都合のよい型に流し込もうとするこのような初任者研修制度の導入と、それを前提にした試行は、どうしても認めることができません。文部大臣の決断ある答弁を求めます。
さらに重大なことは、教職員や国民の批判を抑えつけるために文部省通知を出して、初任者研修試行に反対する集会や署名を禁止しようとしていることです。まさに国民に挑戦する言語道断のことだと言わねばなりません。今、全国の教師が切実に望んでいるのは、行政研修の強化でも管理主義の教育でもありません。子供たちの発達を促し育てるために、自由で創意のある多彩な教育活動に全力で打ち込むことです。行政がなすべきことは、こうした教師の活動を激励し、その条件を整えることなのです。教員の教育上の自主的権限を保障し、四十人以下学級の実現やマンモス校の解消など、行き届いた教育の条件を整備すべきです。初年度二百億円と言われる初任者研修予算を、教職員と父母が願っている要求にこそ回すべきではありませんか。文部大臣の明快な答弁を求めます。
以上、教育公務員特例法の改正案並びに臨教審関連法案の持つ問題点について質問してきました。
今、なぜこのような教育改革を急ぐのでしょうか。その根源に触れないわけにはいきません。今国会は、新大型間接税導入をめぐる税制国会でもあります。政府は、新大型間接税を導入することによって大軍拡予算を確保し、西側同盟の一員として軍事的にもアメリカの核戦略体制を積極的に担っていこうとしています。その日米軍事同盟体制国家を支える人づくりこそが臨教審教育改革であり、それを法制的に実現するのが教育反動化六法案にほかなりません。税制改革も、そして教育改革も、農産物輸入自由化も、根は一つ、それは日米安保条約が存在するからであります。
日本共産党・革新共同は、アメリカと財界のた
めの、そして戦前の教育へと逆戻りさせる反動的教育改革を絶対に許すことはできません。広範な国民とともに法案阻止のため全力を挙げるとともに、国民が今日求めている真の教育改革を実現するために奮闘することをここに表明し、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まず、基礎的な見解を異にする前提に基づく御質問でございました。
戦後教育の理念、これは教育基本法に示されております目的を達成するために、基本原則を踏まえてきちんとこれからもやっていかなければならぬ。したがって、今国会にお願いしております教育改革関連法案も、まさに憲法、教育基本法の精神にのっとったものである、このように考えております。
それから、入試改革の問題がございました。
これは臨時教育審議会の第一次答申のテストについては昭和六十五年度実施をめどとしておる。したがって、各大学の創意工夫ある多様な利活用を通じて大学入試の改善のより一層の進展に寄与するもの、このように考えます。
それから、学校教育のあり方、人格の完成を目指すものであります。その中で、また、児童生徒の人間としての調和的な発展を図って、次代を担う、心身ともに健全な国民を育成することが大切である、このように考えております。
それから、島根県での反憲法の問題でございましたが、具体的例を知っておるわけではございませんが、同じ主義主張、演説の鋳型の中に流し込むようなやり方をやる考えは全くございません。(拍手)
〔国務大臣中島源太郎君登壇〕
○国務大臣(中島源太郎君) 初任者研修に対しまして、この初任者研修の責務と、それから自主的な研修との点でお尋ねでございました。
この点については、教育は人なりでございまして、まさに教育公務員特例法第十九条で、教職にある者は「絶えず研究と修養に努めなければならない。」こう書いてあるわけでありまして、そのためには、自主的な研修と同時に、やはり任命権者の研修についての責務も積極的に規定しておるわけでございます。そこで、自主的な研修と同時に、教員の職責を全うする資質能力の涵養にはそれだけでは十分でない点を、教員の主観的な判断を離れて、公教育を実施していくのに必要な研修等が存在することはもちろんでありまして、教育行政機関が一定の方針に基づいて適切な研修の機会を提供すること、それがまさに初任者研修でございますので、さように御理解をいただきたいのでございます。
それから、行政研修と条件つき採用期間をセットにしている、こうおっしゃいますが、セットにしているのではなくて、初任者研修制度そのものが重要でありますので、教員の勤務形態が特殊なものであること及び教員の職務の特殊性とそれに伴う職務遂行能力の実証の困難性にかんがみて、一年としておるわけでございまして、他の公務員と同じように、客観的な判断基準に照らしてその職務遂行能力は判定されるものでございます。
以上のように、初任者研修制度は、おっしゃるように初任者を一定の型にはめようとするものではなく、まさに個性を伸ばす研修を実施しようとしているものでありますことを御理解いただきたいのであります。(拍手)
最後に、子供たちの発達を促すために自由で創意のある教育活動、それと教育条件の整備、これをお尋ねでございます。
まさに私どももそのとおりでございますが、教員の資質能力の向上を図ることは、教員自体が生涯を通じて意欲を持って御自分の研修にいそしんでいただく、それで、ある一定水準の研修を、まさに生涯の研修の第一段階として初任者研修を一年間研修していただくということが必要でありまして、同時にまた、教育条件の整備を図ることも当然重要である。この両施策が相まって学校教育の充実を図ることができるものと考えております。
以上であります。(拍手)
○副議長(多賀谷真稔君) これにて質疑は終了いたしました。



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