112-衆-文教委員会-5号
1988年04月13日
石井郁子議員 質問部分 会議録


昭和六十三年四月十三日(水曜日)
    午前十時三分開議
 出席委員
   委員長 中村  靖君
   理事 愛知 和男君 理事 岸田 文武君
   理事 北川 正恭君 理事 鳩山 邦夫君
   理事 町村 信孝君 理事 佐藤 徳雄君
   理事 鍛治  清君 理事 林  保夫君
      逢沢 一郎君    青木 正久君
      井出 正一君    工藤  巌君
      古賀 正浩君    佐藤 敬夫君
      斉藤斗志二君    谷川 和穗君
      渡海紀三朗君    松田 岩夫君
      江田 五月君    嶋崎  譲君
      中西 績介君    馬場  昇君
      石井 郁子君    山原健二郎君
      田川 誠一君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 中島源太郎君
 出席政府委員
        文部政務次官  船田  元君
        文部大臣官房長 古村 澄一君
        文部大臣官房会計課長     野崎  弘君
        文部省教育助成局長      加戸 守行君
        文部省高等教育局長      阿部 充夫君
        文部省高等教育局私学部長   坂元 弘直君
        文部省学術国際局長      植木  浩君
        文部省社会教育局長      齋藤 諦淳君
        文部省体育局長 國分 正明君
 委員外の出席者
        文教委員会調査室長      高木 高明君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)
 昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)
     ────◇─────

○中村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。

    ─────────────

○中村委員長 石井郁子君。

○石井(郁)委員 国庫負担法改正案についての審議でございますが、まず過大規模校の解消という問題で質問したいと思います。
 教育上大変好ましくないということでははっきりした結論が出ているこの過大規模校の問題ですけれども、文部省も一定の努力をされてきたわけでありますが、現在なお切実で急がなければいけない課題だというふうに思っています。
 まず、八七年五月時点での過大規模校、二十五学級以上と三十一学級以上、小中別でどのぐらいあるのかという点をお示しいただきたいと思います。

○加戸政府委員 昭和六十二年五月現在の調査でございますと、三十一学級以上の過大規模校が千二百三十一校、内訳としまして小学校が七百一校、中学校が五百三十校でございます。なお、六十二年度におきます二十五学級以上の大規模校は四千四百二十四校でございまして、そのうち小学校が二千七百五十八校、中学校が千六百六十六校となっております。

○石井(郁)委員 まだ大変な数が残っているということがわかるわけですが、今後この三十一学級以上をどのように解消していく計画なのか、文部省の見込みといいますか、それをお示しいただきたいと思うのです。

○加戸政府委員 過大規模校につきましては、毎年市町村に対しましてその解消方の努力を要請しているところでございまして、現在のところ千二百三十一校のうち約八六%は近い将来に解消される見通しでいるわけでございます。残りました学校につきましては用地取得の困難ということで解消のめどが立っていないものがほとんどでございますので、これは強く指導はいたしますが、そういった学校の置かれている条件下、市町村の対応状況から考えまして、今後ますますの努力を必要とする事柄ではないかと考えております。

○石井(郁)委員 見込みが立っているその計画ですけれども、何年ぐらいの見通しの中ででしょうか。一概には言えないかもしれないのですけれども、ちょっとお示しいただければと思います。

○加戸政府委員 年度として確たることは申し上げにくいわけでございますが、いずれにいたしましても今の時点から五、六年から六、七年先というおよその見通しでございまして、それは現在は過大規模校でございますけれども、児童生徒の減少によって過大規模校でなくなるケースも含めての対応として想定しているわけでございます。

○石井(郁)委員 めどが立っていない部分というのは用地の取得が大変困難だということでございますが、私も大都市におりましてそれはよくわかるわけです。そういう問題はそれとしてあるわけですが、ちょっとここでお尋ねしたいのですけれども、自治体の姿勢でおくれているという例はないのでしょうか。
 実は横浜市の場合ですけれども、ことでは三十七学級・千五百人以上という基準でしか分離しない、そういうふうに聞いているわけですけれども、過去にもこの問題は取り上げられたというふうに伺っておりますけれども、文部省としてどのように指導されてきたのか、伺いたいと思います。

○加戸政府委員 横浜市、非常に過大規模校をたくさん抱えているところでございますけれども、文部省も従来から三十一学級以上の解消を強く指導してきたわけでございますが、実はそれに至りますまでの、三十五、六学級とか七、八学級とか、もっともっとかなり過大規模校の大きいケースがございまして、横浜につきましても努力をいただきまして、五十九年度から六十二年度までの間には二十八校の過大規模校を解消していただいているわけでございます。横浜におきます過大規模校が、六十二年度ではまだ四十二校残っており
ますけれども、昭和六十七年度までには残り二十六校を解消する計画と聞いておるわけでございます。

○石井(郁)委員 市の方の姿勢としてどうなのですか。三十一学級校以上の分離ということでははっきりとしたそういう方針で臨む、国の基準に沿ってマンモス校を解消するという点でははっきりしているのでしょうか。

○加戸政府委員 何しろ他の地域と違いまして、極めて過大規模校の数の多いところでございますので、年次的にその解消を図っているわけでございますが、横浜市としましては、とりあえずこれまで三十七学級以上の超々過大規模校につきまして最重点的に解消を図っていくということで、三十七学級以上の学校を解消してきているわけでございますが、今後は三十一学級以上の過大規模校についても積極的に解消を図っていくというぐあいに聞いております。

○石井(郁)委員 本来二十五学級以上も大規模校でありますけれども、とりわけ過大規模校については三十一学級以上が残るなどということはとんでもないと思いますので、そういう方向でぜひとも指導すべきだと思います。
 次に、先ほど来出ておりますように、分離が困難な学校の問題ですね。そういう問題の対策としてどういうふうに臨まれるのかということです。用地の取得が困難だというのは、最近の地価の高騰の中でますますそうなってきているわけでありまして、そういう学校を放置しておくのか、何らかの対策を考えるのかという点で、まず文部省のお考えを伺いたいと思います。

○加戸政府委員 先ほど申し上げましたように、多くの理由が、分離新設のために校地が必要になるわけでございまして、最低でも一万五千平米から二万平米というものを当該児童生徒の所属する地域内に求めなければならないわけでございまして、特にこういった都市部の場合につきましては、もはやそういった用地を取得することは極めて至難の状況のようなところが残らざるを得ないわけでございます。その意味では、相当程度の市町村の大きな努力も必要でございましょうけれども、努力しても結果的に得られないということが実態としては残り得るのじゃないかということで、甚だ遺憾なことではございますが、最大限の努力をした結果として残らざるを得ないものというのが、数校かは依然として引き続くものというように、やむを得ない事情として私どもは考えているわけでございます。

○石井(郁)委員 残るのは数校というふうに考えていいのでしょうか。到底そんな数ではないように思うのですけれども。――私は、やはりいろいろなことを考えていいように思うのです。分離するまで待つとかまた児童が減少するまで待つとかではなくて、現に、こういう学校の適正規模という点では大変な不公平というか、そういう教育条件にあるわけですから、直ちにできることがいろいろあるのではないかと思うわけです。現実にとにかく都市部の場合にはもう用地がないということですから、その中でできるだけのいい教育条件をということでは知恵を出していいのではないかというふうに思うわけです。
 ちょっと具体的に申しますと、これは私は実際に学校を目の当たりにしたわけですが、例えば三十三クラスという中学校がありまして、そこでもプールは一つだ。一つのプールで、一時間の授業で結局三クラスがプールの授業を受けている。実際は一時間でプールに入るのはほんの一回くらい入ったくらいで終わり、大体は水着を着てプールの周りで他のクラスが泳いでいるのを見ている。だから水泳指導なんというものではありませんよ。そういう点では、今新設校の場合にはプールは屋上につくるとかいろいろやっていますよね。そういう努力はできるのではないか、現にある校舎の中の施設をいろいろ使って。だから、分離ということだけで考えるのではなくて、学校の分離というのは合意を得るまでになかなか難しいということがありまして進まないという面もあるわけですけれども、過大規模校の教育条件の改善という点では、一つは文部省の知恵をぜひとも絞っていただきたいというふうに私は思うわけです。
 もう一つ、同じような意味で、今すぐにでもできることは教員の加配という問題だというふうに思うのです。これもずっと要求が強いことだと思うのですけれども、この教員の加配という問題では文部省は検討されることがあるのかないのか、伺いたいと思います。

○加戸政府委員 先生御承知のように、教員の定数配当基準につきましては、学級数がふえますればそれにスライドした形で教員の定数が増加しているわけでございますので、ある意味では、大規模校の場合におきましては小規模校に比べますと教員の余裕といいますか授業分担の割合の余裕その他はあるわけでございますので、大規模校であるがゆえに加配をするという定数上の措置は現時点では考えてないところでございます。

○石井(郁)委員 しかし、文部省の方も、この過大規模校の解消という問題では、五十八年ですかの調査の中でもはっきりしているように、生徒指導上大変問題があるというわけですね、現に非行やそういう問題があるわけですから。そういうことで、解消が必要だという点でいいますと、やはり過大規模校であるゆえに本当に生徒に手が届かないという点では、先生方は四苦八苦している状況がありますね。だから、学級数に応じた定数の配分だけでは到底間に合わないという状況があるわけです。
 そういう意味で、標準定数法の特例措置、先ほど来この問題も出ていますように、やはり特例措置として位置づけることは可能ではないかというふうに私は思うわけです。分離できる学校と、そういう状態で大変な教育の困難を依然として抱えているこの過大規模校の教育上の差をなくしていくという点で、やはりこの特例措置ということを考えてみてはどうかという点ですが、いかがですか。

○加戸政府委員 学級数が三十何学級であるからそれに対して単純に定数を加配するということではなくて、たまたまそういった三十何学級であるがゆえに生徒指導上困難を来している、あるいは非行が多発をしているとか、そういった特殊な事情があります場合には、これは教育困難校に対する加配という視点から教員定数を加配することは可能なわけでございまして、やはりそれは学級規模に伴う定員ではなくて、結果として生徒指導上困難な状況が起きているという事態に対応した定数加配というのが現実にはあり得るわけでございます。

○石井(郁)委員 その場合は、既に行われているというかケースはあるのでしょうか。それから、いろいろと府県段階の教育委員会とのそういう協議の上で文部省としては措置をするという点では、具体的にいかがでしょうか。

○加戸政府委員 個別的に学校を審査しているわけではございませんので、各県に配りました加配定数を、各県におきまして、その地域の実情に応じどういう形で配分されているかというのは、県の判断によって措置されているところでございます。

○石井(郁)委員 ぜひともそういう方向で文部省の方も御指導いただきたいというふうに思うわけです。
 次に、今加配という問題が出ましたので、これは国の基準に照らしてぜひとも是正というか見直しをしていく必要が起きているという問題で指摘をしたいわけです。それは、同和校の加配という問題が大阪では特にありますが、これは全国的にもあるわけです。この同和校では、教職員の定数についての国の配置基準というのはどうなっていますでしょうか。

○加戸政府委員 現在、第五次十二カ年教職員定数改善計画が進捗中でございまして、六十六年度の完成年度の目標といたしましては、同和地区の児童生徒数が一〇%以上のものにつきましては一人、それから同和地区児童生徒数の段階によりまして、例えば当該学校におきます児童生徒数が八十人から百六十人までの場合にはその上に一人加
配、それから百六十人から三百二十人の場合にはさらに二人加配、三百二十一人以上の場合には三人加配という考え方でございます。今申し上げた基準以外で未配置となります同和地区の学校につきましては、その三分の一の学校について一名という配置を目標として今十二カ年計画は進行中でございますけれども、この十二カ年計画、現在までのところ総体の達成率は四二・七%でございますが、同和につきましては八三・三%という考え方で、特別に同和についての配慮をして加配措置を講じているところでございます。

○石井(郁)委員 国の配置基準はそういうものがあるということがわかりました。しかし、具体的な配置という点では各府県段階に任されるということなんでしょうか。それで、現実に文部省からごらんになりまして基準に照らして適切な配置がなされているとお考えになっていらっしゃるかどうか、伺いたいと思います。

○加戸政府委員 先ほど申し上げましたように十二カ年計画が進行中でございますので、この目標値に至りますよう一定の比率で各都道府県に同和加配定数を配当しておるわけでございます。都道府県によりましては、国が配当した定数のほかに、都道府県費で単独で負担をする同和担当教員を置いているケースもかなりございますし、そういった国加配の教員と県単の教員と合わせてどのように配分するかということは都道府県の問題でございます。国としましてはあくまでも客観的な、今申し上げた係数基準の進捗段階に応じた比率に応じまして、各都道府県に加配を行っているという状況でございます。

○石井(郁)委員 大阪市の場合で申し上げるのですけれども、実はここは同和行政についていろいろ問題があるところでして、一般校の教員定数と同和加配の数とで非常に問題が出てきているわけです。一般校の教員定数を削ってまで同和校の加配が行われているのではないかということが先ごろ大阪市議会でも取り上げられました。
 大阪市内の小中学校は四百三十校ありますけれども、そのうちの二百三十校で二百五十九人の定数割れをしているということが明らかになったわけです。しかも大規模校で削られる。ですから、先ほど局長は、大規模校はそれに応じて数が多いということが、逆にそこから削られているということになっているわけですね。そういう点で、一般校の教職員の定数が削られるということは文部省としてお認めできるのでしょうか。

○加戸政府委員 標準法で定めております教職員定数の標準と申しますのは、積算は学校ごとの定数ではございませんで都道府県ごとの定数を算定する仕組みになっております。その場合の積算をいたします計算の論拠が、何学級の学校であれば何人という積み上げ計算をしてトータル数が出るわけでございますが、そういった各都道府県について何万何千何百何十何名という計算上出た定数を各県にお配りしているわけでございます。したがって、個々の学校については部道府県教育委員会、指定都市が絡みます場合は都道府県教育委員会並びに指定都市の教育委員会がその教職員の配当基準を決めるわけでございまして、その基準に基づいて、個別の事情に基づいて定数配分がなされているものと考えているわけでございます。

○石井(郁)委員 もう少し御説明いただかなければいけないのですけれども、これは単年度に起こったことではなくて、ここ十数年来こういう状態が続いてきているわけですね。
 実は問題にしたいのは、配置基準というのは、これは受ける子供の側からしましたら、どの子もやはりみんな行き届いた教育を受けたいということがあるし、親からしてもそうですよね。そういう教育条件が公平に行われるかどうかということですけれども、大阪では同和校の配置基準というのがちょっとけた外れであります。これは市議会で明らかになった資料ですけれども、十二クラスという同じ規模の学校を取り上げてみると、教員数で何と二倍近い差があるわけです。教職員に至りますと、一般校では二十四人ですけれども同和校では何と六十七人。それはいろいろな行政区で調べてみましても、一般校で三十人のところが同和校では八十人、また一般校で四十一人のところでは七十六人というふうに、そういうことが今なお放置されているというか、まかり通っているということがあるのです。そういう点で私たちは、こういう配置の不公平さという問題について、適切な基準できちんと指導が行われなければいけないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○加戸政府委員 教職員定数を標準法で定めておりますのは、全国的に義務教育の規模並びに一定の教育水準を確保するという視点から、義務教育を受ける全国の子供たちについての教育条件の一定の水準を維持しようという視点に出たもので、また積算もそういう考え方ででき上がっているわけでございます。しかしながら、今先生がおっしゃいましたような同和加配の問題については、国の加配をはるかに何倍と超える県単の、大阪府単独の経費で負担されているわけでございまして、それは一定の全国水準の上に特別に大阪は大阪なりの考え方でそういった施策を講じられていることと思います。しかし、その結果が余りにも一般の他の府県あるいは当該府県内におけるバランスを失することは好ましいことではございませんけれども、要するにそれは府の判断としておやりになっている事柄であって、私どもは、国の全体の基準は国庫負担の関係上定数標準法に基づいた考え方で全国一律平等に水準が保たれるような定数配当をしている次第でございます。

○石井(郁)委員 国の同和校への配置基準というのを先ほどお聞きいたしましたけれども、実はその基準自身が実態と合っていないというか、加配自身がその基準どおりになっていないのです。
 と申しますのは、先ほど同和地区の子供が一〇%以上という加配条件の話がありましたけれども、現実に同和地区の人口は大変減少しておりますし、それから国民的な融合が進んでいますから、私の知っている中学校では三百七十人の学校で地区の子供は七人、現実は大体そういうような事態なのですね。だから一〇%どころか、もう数%ないし二、三%しかいない。しかいないというのは変ですが、そういう中でこれだけの加配が、今なお国の基準を上回る加配が行われている。だから二つの問題があるわけですね。国の基準自身に沿ってもいないようなことが起こっている、しかもその基準を超えるような加配がこの十数年来今なお続いているという点では、これはもう到底このまま放置できないという事態に来ているというふうに思うわけです。御存じのように、地対協の意見具申や、それから総務庁の啓発指針なども出されている折でもありますので、ぜひ同和校加配が正しくというか適正に行われているかどうかという点では、今の時点できちんと文部省としてやはり一定の調査なり見直しなりをすべきだ。私は今大阪の例で申しましたけれども、言うまでもなく、いろいろ全国的にこういう問題は起こっているというふうにも聞いておりますので、やはり適切な指導をすべきときに来ているのではないかというふうに思うわけですが、大臣いかがでございますか。

○中島国務大臣 今の先生の御指摘、いろいろ伺っておりまして、私ははっきり言って、初めてそういう実態があるかなという、率直に言ってそういうことが多かった点がございました。よく実情を勉強いたしまして、局長とも相談をしながらやらせていただきたいと思います。

○石井(郁)委員 重ねて申し上げますが、昭和四十年に同対審答申が出されましてもう二十年以上経過いたしましたし、同和地域の実態というのもその間、随分政府を挙げてお取り組みいただきましたし、また改善されました。ですから、やはりそういう時点に立って見直しを図るということが今本当に必要だというふうに思うわけです。ぜひともお願いしたいというふうに思います。
 そういう点で私は加配の問題を取り上げたわけですけれども、この過大規模校ですね、本来二十五学級以上からやっていただきたいというふうに思うのですけれども、三十一学級以上の学校につ
いては、先ほどは教育困難校については実情に応じて措置をするという話でございましたけれども、もっと前向きにといいますか、大いに文部省として取り組んでやっていただきたいというふうに思うわけです。
 次に、大規模改造の問題で質問したいと思います。今年度は、大規模改造事業ということで、文部省としても前向きに予算が計上されたという点で大変喜んでいるわけですけれども、改造対象事業の適用という問題でいろいろと問題がありますね。この弾力的な運用ということでちょっとお尋ねをしたいと思っているわけです。
 一つは、先ほど来の審議でも、体育館、プールの問題がいろいろと出ていますけれども、十五年以上が対象ということですが、例えば体育館の場合、この間の体育館の建設というのは床をコンクリートにするという体育館が多かったわけですけれども、大変傷みが激しいというふうに聞いています。だから、十五年たたなくても、ぜひともそういう点では、最近木造の見直しということもありますし、十五年でないとだめだというふうに線を引かずに、特に体育館などについては対象にするという点の検討をぜひしてほしいということが考えられるわけですが、いかがでしょうか。

○加戸政府委員 大規模改造は、基本的には、例えば鉄筋コンクリート造の建物でございますと、相当年数が経過いたしますれば、窓枠を取りかえたり屋根の防水をしたり給排水設備を改修したりするというようなことで、学校施設の質的な確保を図るという観点から設けられた制度でございまして、鉄筋コンクリートなどの建物につきましては、おおむね十年から二十年周期で部材の取りかえ等の大規模な改造工事を行えば所定の耐用年数が確保できるという観点から、建築経過年数をおおむね十五年以上と定めて従来から対応してきているところでございます。ただし、児童生徒数が減少したりあるいは教育内容、方法の多様化に伴いまして学校施設を有効利用して教育効果を上げる、そういったような教室等の改造を行う場合には、今の十五年の制限に満たないものも対象にしているわけでございまして、また今回のアスベストについても同様の取り扱いをしているわけでございますが、屋内体育館の場合につきましては、そういった十五年に満たないもので必要性があるかどうかという議論はあり得ると思いますが、例えば私どもは、子供の安全上の観点から床部分につきましては体育館の床を改修する、つまり安全上の必要性に基づいて改修するという場合については、経過年数に関しても弾力的な取り扱いをしているところでございます。

○石井(郁)委員 そういう点で安心をいたしました。やはり体育館の床というのは子供たちの体の上からも非常に大事なところでありまして、ぜひとも要望が強いことだと思います。
 もう一つ、ちょっと具体的な事例でお伺いしたいのですけれども、ここは学校の建物面積に抵触するということで補助対象にならないということで困っている例があるのです。それは、学校をつくったときに開放廊下というのをつくりました。普通は廊下まで窓枠になっているわけですね、建物としてあるわけですから。それを開放して窓枠を払った、そういうものになっているわけですね、すぐ校庭に接するという学校ができたわけですけれども、しかし、その後やはり付近の交通量が大変ふえてきている、そういう問題等々で環境が変化をいたしまして、やはりきちっと窓枠をつけなければ教育の効果の面から非常に問題が起こるということになりまして、ぜひともそういう窓枠の工事を進めたいという問題なんですね。そういう場合に、この大規模改造の対象に検討していただけないだろうかという点で、これも弾力的な運用として考えてほしいという問題なんですけれども、そういう点ではちょっと個別事例になりますけれども、いかがでしょうか。

○加戸政府委員 大規模改修あるいは今度六十三年度からは大規模改造事業でございますけれども、この考え方自体は、機能の低下した学校施設を機能を回復するという視点から行われる事業でございまして、先生が今おっしゃいましたような渡り廊下のみの改修であるとか、あるいはその結果として学校の建物の面積に増減を生ずるような工事につきましては従来から補助の対象にしていないところでございまして、大規模改修の目的とするところとはいささか異なるような感じでただいまの御質問を承ったような次第でございます。

○石井(郁)委員 学校の建物自身は改造対象になっているのです。だから、そういう中では廊下も含めて学校全体として大規模改造の対象にやはり当然していただいた方がいいという内容なんです。それは廊下だけの対象ではないのです。だから学校全体として大規模改造の対象になっているという中で、しかしその部分を取り除くとか除かないとかそういう問題でありまして、その辺をしゃくし定規に切るということではなくて、学校全体としてそれを補助対象にしていただけないだろうか、そういう考え方はできないかということです。

○加戸政府委員 公立学校施設の補助につきましては、全国的な教育水準の維持向上ということで共通の物差しによりまして学校に対する補助をしているわけでございますので、ただいま先生おっしゃいましたケースは、多分に既存の学校で国の全国共通の補助を既に受けた面積の上に付加して新しく面積をふやすような形態になりますと、言葉はよくございませんけれども、そういう方法をとることによって基準面積を膨らまして国の補助をふやすという方法が他のケースとしても出てくる危険性のある事柄でございまして、この先生のケースはそういった意図はないと思いますけれども、結果的にそれを認めれば、そういう方法でなら文部省の基準面積を膨らましてこういう二段階方式でいけば補助対象がふえるなというような形で対応される危険性を持つものでございますので、技術的に申し上げますと、今の全国的な公平の観点、バランスからいいますといかがなものかなという感じを今受けているところでございます。

○石井(郁)委員 初めからいろいろと結論を出すかどうかは別といたしまして、いろんなケースがあるわけでございますので、そういう意味でケース・バイ・ケースとしても、この大規模改造事業というのは非常にやはりそういういろんなことが出てくると思うのですね。そういう点でぜひとも御検討いただきたいということでお願いをしたいと思います。
 それから、全国の自治体から強い要望が出ている裏負担の保証といいますか起債の問題ですね、この点でちょっと文部省のお考えを伺っておきたいのですけれども、改造事業に起債を認めてほしいという強い要望に対してなかなか困難だということを伺っているわけですが、困難な理由としてはどういうことなんでしょうか。

○加戸政府委員 学校の新増改築の場合につきましては当然に交付税上財源措置がなされるわけでございますけれども、一般的な改修につきましては地方交付税の上で措置されておりまして、これは細かい修理からすべて入るわけでこざいますが、小中学校、高等学校それぞれ一校当たり何百何十万という地方交付税の措置がなされているわけでございます。そういう意味で、改修というものにつきましては、地方財政当局の立場としましては、建設事業ではなくて維持修繕的なものを含んでいるので起債を認められないという考え方で従来から来ているわけでございます。
 一方、文部省としましては、大規模改造事業を円滑に進めるためには、学校環境の整備という視点から行っていることでもございますし、ある意味では建築に準ずるような性格のものだということで、今回も名称を「大規模改修」から「大規模改造」に改めたというゆえんもそこにあるわけでございますが、できればそういった裏負担につきましては地方債の許可を取れるような形でお願いをしたいということで、地方財政当局とも折衝をしている段階でございます。現実には、こういった制度上の問題としては、今申し上げたような改修費についての地方交付税措置がなされておりま
すので一般的な形での許可はございませんが、大規模改造の内容等によりまして、市町村の財政状況を勘案して、自治省におきましても必要と認める場合には許可を出している例もございますが、これは極めてケースが少のうございまして、私どもは一般的な形で起債の許可が基本的にできるような方向での努力をなお続けてみたいと思っております。

○石井(郁)委員 ぜひとも文部省の方で一層の御努力をお願いしたいというふうに思います。
 次に、概算要求としては幼稚園から高校までを対象とされていたと思うわけですが、この辺が認められなかったのですけれども、その事情をちょっと伺いたいと思います。

○加戸政府委員 確かに六十三年度予算要求の時点では高校と幼稚園の要求をさせていただいたわけでございますけれども、本来、義務教育と違いまして高等学校の場合には、一般的には、人口急増によります特別な高校急増対策としての補助を除きましてはすべて地方交付税で措置されているところでございまして、しかもこれは、高等学校の大規模改造につきましては従来から交付税によりまして高等学校一校当たり二千四百五十万の財源措置が講じられているわけでございますので、これについて国庫補助を行うということは財源措置が重複をするというような反対意見、指摘等もございまして、とりあえず高校への大規模改造事業の適用、補助事業の適用ということは六十三年度は見送りとさせていただいたわけでございまして、今後、今申し上げた地方交付税上の措置の考え方との調整の問題もございますし、検討を続けてまいりたいと思っております。

○石井(郁)委員 来年度はぜひとも実現できるように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 もう一つ、やはり過大規模校の問題で取り上げたいことがございますが、それは障害児学校の問題でございます。私は昨年も質問いたしましたけれども、養護学校とそれから高等部の新増設という問題が大変切実になってきています。そういう点で、まず過去五年間での養護学校高等部の新増設の件数をひとつお示しいただきたいと思います。

○加戸政府委員 養護学校の高等部につきましては、従来から高等学校の新増築に比べて手厚い措置を講じて、その設置の促進に努めてきているわけでございます。
 高等学校の新増築につきましては三分の一という補助を急増対策で行っておりますけれども、養護学校の高等部につきましては、補助率は小中学校に準じまして二分の一という差をつけているわけでございまして、従来から都道府県の計画に応じた事業量を確保してきたわけでございます。この結果としまして、五十七年度から六十一年度にかけて四十六校の新設校に対する補助を行って実現を見ているところでございまして、結果的には五十七年に三百十でありました高等部が六十二年には三百八十三に増加をするという形で、在学者数も五十七年の一万五千名から六十二年には二万四千名に増加をしているという実情にございます。

○石井(郁)委員 そういう方向で一定の前進が見られるというのは大変わかるわけですけれども、過大校の問題ですね。これは、この五年間で全国上位十校というのを、私もちょっと資料をいただいたのですけれども、見てみますと全く解消されていないわけです。養護学校は三百人あるいは四百人という学校があらわれていますし、高等部についても同じことが言えるわけですね。養護学校やそれからまた高等部についても過大校がいわばこのまま残されているというか、そういう問題については文部省としてどのように実情を把握されていますでしょうか。

○加戸政府委員 養護学校につきましては児童生徒の障害の態様が多様でございまして、また年齢の幅も広いということで、一律に過大規模校を分離するという方針はとっていないわけでございますけれども、基本的には、都道府県の方で学校の実態、地域の実情を勘案いたしまして養護学校の分離新設を行うという考え方を持ちました場合には、私どもは優先的に採択を行うということで補助を行っているわけでございまして、先ほど申し上げました四十六校の新設というものの中にはこういった分離に伴います新設が相当部分あるわけでもございます。

○石井(郁)委員 しかし、現実にこの過大校が依然として大きく残っているという問題がありますので、申請があれば優先的に文部省としては予算をつけているということでありますけれども、なかなか県段階の方からの申請も上げにくいといいますか、思うように上がっていないのもあるのではないかというふうにも思われるわけです。というのは、やはり養護学校の場合の適正基準ですね、つまりどこ以上が過大校だという点ではこの基準というのはもう一つはっきりしていない、そういう点もあるのではないかということがありますので、その辺を含めて御検討をされる気があるのかどうか、伺いたいと思います。

○加戸政府委員 先ほど申し上げましたように、養護学校の場合には、通常の小中学校、高等学校と違いまして、障害の態様が極めて多様であるということ、それから学校の中に小学部、中学部、高等部という形で若干独立した形で運営される組織が存在している、それから発達段階が小中高それぞれまちまちでもある、また個人によっても差がある、それから学校の実態、地域の実情にも違いがあるということでございますので、一般的に小中学校でいいますような三十一学級以上を過大規模校として分離をするという考え方、あるいはそういったような基準はとっていないところでございます。しかしながら、実際上の問題として、当該大規模な養護学校における教育運営上あるいは学校管理上の問題というのは当然出てくるわけでございますので、そういった実情に応じまして、私どもとしましては、主管課長会議その他におきましても、そういった学校運営上困難を来すような養護学校につきましては分離をするような指導を行っているところでございます。また、そういう考え方を持っていただければ私どもは積極的に先ほど申し上げたような優先的採択を行っているわけでございまして、そういった指導に今後とも意を用いてまいりたいと思います。

○石井(郁)委員 その辺の前向きな姿勢は一応はわかるわけですが、しかし教育上あるいは運営上こういう点で困難が起こっているということで、やはり適正な学校規模というのがこの障害児学校についてはないという点は非常に問題ではないかというように思うわけですね。そういう点で、地域の実情や子供たちやまた学校やいろいろ難しい問題があるということはわかりますけれども、やはりその辺は一定の適正な基準といいますか、そういうものをお示しいただくということが、一層学校規模を適正にしていくという点で府県段階のそういう申請なども進む糸口になるというふうに考えるわけでして、その辺の御検討をされるお気持ちがあるかないかということを含めてちょっと伺いたいと思います。

○加戸政府委員 先生おっしゃいますように、そういった大規模校におきます問題点というのは十分理解できるところでもございます。ただ、客観的な線をどこで引くのかという非常に難しい問題はあると思いますが、いずれにいたしましても、そういう教育上の支障を来さないような方向で、私ども積極的に都道府県に対しても指導を強く行ってまいりたいと思います。

○石井(郁)委員 障害児学校の最後に、ちょっとプールの問題で伺いたいと思います。
 これは昨年の参議院の予算委員会でも、助成局長から、プールがないという学校がありますので整備に一層取り組むように指導してまいりたいというふうに御答弁があったわけですけれども、その辺の文部省の指導はその後どのように行われたでしょうか。

○國分政府委員 養護学校のプールにつきましては、他の学校に比べますと、保有率と申しますか、これが低いのは事実でございます。六十二年
度現在で三八・一%ということになっているわけでございます。
 御案内のとおり、養護学校が義務化されましたのは昭和五十四年度でございまして、何よりもまず校舎の整備、それから順次着手していくというような事情がありますために、他の学校に比べて保有率が低いということがあるわけでございます。しかし、昭和五十五年度に一八%でございましたのが三一・八%というふうに、ほかの学校に比べますと保有率が非常に高まっているという状況にございます。私どもも、各県からの補助申請につきましては優先採択しているところで乙ざいますので、今後ともその整備を進めてまいりたい、こんなふうに考えております。

○石井(郁)委員 こういうプールの問題でも、都道府県の計画待ちということでは今の実情ではなかなか思うような形で進まないということがあると思うのですね、現在のいろいろ地方自治体の実態の中では。そういう点では、私は、障害児学校の整備充実という問題で何よりも文部省に一層指導を強化していただく、指導性を発揮していただくということが非常に大事になっているというふうに思うわけです。そういう点で、引き続いてというか一層この分野で充実のために前向きに取り組んでいただきたいということを申し上げまして、まだちょっと時間はあるかもしれませんが、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


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