147-衆-文教委員会-14号
2000年04月26日
石井郁子議員 質問部分 採決部分 会議録


平成十二年四月二十六日(水曜日)
    午後一時開議
 出席委員
   委員長 鈴木 恒夫君
   理事 飯島 忠義君 理事 小川  元君
   理事 奥山 茂彦君 理事 栗原 裕康君
   理事 肥田美代子君 理事 藤村  修君
   理事 西  博義君 理事 石井 郁子君
      岩永 峯一君    小此木八郎君
      河村 建夫君    倉成 正和君
      小島 敏男君    下村 博文君
      平沢 勝栄君    松永  光君
      松本  純君    柳沢 伯夫君
      渡辺 博道君    田中  甲君
      松沢 成文君    山元  勉君
      池坊 保子君    旭道山和泰君
      中林よし子君    松浪健四郎君
      三沢  淳君    笹山 登生君
      保坂 展人君    粟屋 敏信君
    …………………………………
   文部大臣         中曽根弘文君
   文部政務次官       河村 建夫君
   文部政務次官       小此木八郎君
   政府参考人(文化庁次長)      近藤 信司君
   文教委員会専門員     岡村  豊君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)(参議院送付)


    午後一時開議
     ――――◇―――――

○鈴木委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――

○鈴木委員長 次に、石井郁子君。

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 今回の改正で障害者の情報アクセス権が確保されます。聴覚障害者の方々はリアルタイム字幕で、緊急時のニュースだけでなくてさまざまな番組が今後楽しめるということで喜ばしいと思います。
 そのリアル通信のことですけれども、今後どのように具体的に実施されていくのかということがあるかと思うのです。
 そこで一点、最初にお伺いしたいのですけれども、サービス提供のためにはいろいろ、入力技術の向上ですとか、いつでもこたえられるように入力者を組織するとか、こういうこともあるでしょうし、また、どこであるいはどういう団体でこれをされるのか、その選定などがあるかというふうに思うのですが、私は、やはりいつでもどこでもできるということが大事かなと思うのですけれども、そういうふうに考えているのかどうかという点でございます。いかがでしょうか。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。
 リアルタイム字幕は、音声を文字化する際に音声内容を一部要約する必要がある場合が多いわけでございまして、著作権者等の利益を不当に害することなく正確かつ適切な利用が図られるように、私どもといたしましては、この利用主体につきましては、字幕作成に必要な一定の能力を有する事業者を政令で定める、このような予定をいたしておるわけでございます。
 それで、今後の問題ではございますけれども、そういった利用主体の限定を行いまして、著作権者等の利益を不当に害することのないよう責任の所在を明確にしていきたい。ただ、その場合に、先生がおっしゃいましたようにいろいろな、利便と申しましょうか、例えば実際の入力作業がその事業者の施設において行われなければならないかといえば、必ずしもそういうことではなくて、例えば政令で指定されました事業者の管理のもとであれば、自宅からリアルタイムの字幕の入力を行う、こんなことも可能であろう、このように考えております。

○石井(郁)委員 最初にちょっと通告していなくて申しわけないのですが、ここでちょっと一点。
 きょうは、聾唖者の方々が傍聴にいらっしゃっておりまして、皆様どうお思いになるかと思うのですけれども、情報の入手という点でも、障害者の方というのはやはりまだまだ不便を持っていらっしゃるわけでしょう。
 これは私どもの文教委員会でも前にも問題になったと思うのですが、国会に入るときには、いろいろな器具を持って入ってはいけない。今の状況で、パソコンの持ち込みは禁止されているのですね。それで、ノートを持参して、翻案をして、きょうの質問を聞いていらっしゃるわけです。
 だから、おかしいでしょう。パソコンを使えると、それでもうここで打ったら、それこそリアルタイムでわかるのに、こういうことが国会でまだ実現していないという、私は、やはりこのことこそまず解決しなければいけないのじゃないかと。
 どうでしょう、皆さん。これは、ぜひ大臣と総括政務次官にそのように、文教委員会は率先してそういうことをやるという決意をお示し――済みません、委員長ですね、いかがでしょうか。

○鈴木委員長 委員長もよく承知いたしますけれども、文部大臣、発言はありますか。

○中曽根国務大臣 先ほどから私はこちらで、皆さん方がそういうふうにノートにお隣の方が書いて御説明されておられるのを拝見していて、今石井委員がおっしゃったようなことを感じておったところでございます。どんどん情報機器が発達しますし、私どももそういうものを使っておりますけれども、均等に、公平に、国民どなたもが情報を同じように受けることができるように私たちは最大の配慮をしていかなければならないと思っていまして、私からも委員長にお願いをしたいと思います。

○鈴木委員長 委員長はよく心得ました。

○石井(郁)委員 本当にそのように、当文教委員会こそぜひ進めていきたいというふうに思います。
 二つ目の問題でございますけれども、テレビの字幕放送との関連でお伺いしておきたいと思うのです。
 今回の著作権法の改正は、もともとテレビに字幕が付与されていれば何ら起こらないことでもあったわけですよ。そういう点で、障害者団体の方が問題化をする必要もないことだったのです。テレビの番組に字幕がないためにボランティアで始められた。そこから、いや、これは許諾が要るんだという話になっていって、法改正が必要だということになったという経緯があるかというふうに思うのですけれども、今、実は今回の著作権法改正によりまして、放送事業者がみずからの義務を放棄して、政令で定めた者がテレビ番組を聞きながらリアルタイムで字幕化すればよいではないかと、責任転嫁をするということが懸念されるわけです。
 私は、やはりテレビの字幕の拡充というのは今後も一層進めなければならないものだというふうに思います。この点で、リアルタイム字幕が可能になったということでもって、放送事業者が字幕を減らすとか、あるいはおくらすとかいうことがあってはならないと思うわけでありまして、このテレビの字幕の拡充という問題についてどのように思われていらっしゃるか、これは総括政務次官にお願いしたいと思います。

○河村政務次官 御指摘の点、私もそのように思います。
 もともと、このリアルタイム字幕というのは、生放送などであらかじめ字幕を付与することが非常に困難な、そういう放送番組について、障害者の情報保障の観点から認めるということで、むしろ字幕放送の補完的なものだというふうに考えておるわけであります。郵政省においても、字幕付与可能なすべての番組については二〇〇七年までに字幕を付するという方向で、今、各放送局に促進を図っておるわけでございます。
 文部省といたしましても、これは関係省庁ともしっかり連携をとりながら、字幕放送普及推進といいますか、全体的にまだ非常に低いわけでございまして、NHKでも一六・五%、民放はわずか二・何%と言われていますので、この促進を図ってまいりたい、このように考えております。

○石井(郁)委員 力強いお答えをいただきまして、どうもありがとうございます。
 この際、関連して一点ですけれども、今出ましたように、NHKの番組で、特に教育番組、これの字幕が大変少ないのですよ。総合テレビでは一六・五%ですけれども、教育テレビでは八・三%というふうに、少ないというのが一つ問題になっています。関連してですけれども、学校放送、子供たちが学校で見る教材番組、これにもぜひ字幕が欲しいという声が大変強くあるのです。そういう点でも、私は重ねて文教関係からも字幕が必要だということを大いに声を上げていただきたいと思います。
 次の問題ですけれども、実演家の権利についてお聞きをしたいと思うのです。
 今、テレビ放映向けのアニメがビデオに転用される際の二次利用料が支払われていないということをめぐって、二月十四日、東京地裁への提訴という事件がございました。これは三百八十一人もの声優さんたちが、アニメ制作会社の大手日本アニメーションと子会社の音響映像システムを相手に裁判をされているわけです。私は、この裁判についてお聞きするわけじゃありませんけれども、著作権法では実演家の方々の二次利用の権利が確立していないということが、やはりこの問題の背景にあるかなというふうに認識しているわけであります。
 そこでお伺いしたいのですけれども、この視聴覚的実演家の方々の権利の問題、ここ数年国際的にもいろいろ論議されているところでございますけれども、ちょうど今月、WIPO著作権常設委員会と一般総会が開かれたというふうに聞いていますけれども、そこではどのような議論だったのか、その状況をちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。
 先生御案内のとおり、平成八年十二月に、著作権に関する世界知的所有権機関条約とともにWIPO実演・レコード条約が採択をされたわけでございますが、この条約の検討の際に、アメリカ等の反対によりまして、実演については音の実演に限られた内容になったわけでございます。そこで、視聴覚的実演を対象として新しい条約を作成するための検討が、現在、WIPO、世界知的所有権機関で行われている。
 現在のいろいろな検討状況でございますが、大きく言って、実演家の人格権、これにつきましては、我が国を含めまして、大体各国とも付与することで一致をしておるわけでありますが、その人格権の範囲等につきましてさらに検討が必要である、このような状況でございます。
 それから、実演家の経済的権利でございますが、固定されている実演に関し複製権等を付与することにつきましては、各国ともおおむね意見の一致を見ているのでありますが、放送あるいは公衆への伝達に関する権利につきましてなお意見が分かれている。
 それから、現在一番大きく課題になっておりますのは、この実演家の権利行使の方法をめぐりましてアメリカとEUの意見が対立をしておる、これが新条約採択に向けての最大の課題であろう、こんなような状況でございます。

○石井(郁)委員 状況を大体御説明いただいたのですけれども、WIPOはことし十二月にも外交会議を開いて、この条約の一定の結論が出されるというふうにも聞いているのですけれども、ことしの十二月に向けて、日本政府として、文化庁として、やはりどういう姿勢で臨まれるかということが大事だというように思うのです。ちょっとそれをお聞かせください。

○中曽根国務大臣 この視聴覚的実演の保護に係る新しい条約につきましては、これまでもアメリカとEUの間で対立をしておりまして、我が国といたしましては、そういう中で、調整役といいますか、両方の、両地域のかけ橋のような形で今努力をしているところでございます。
 そういうことから、両者の言い分をそれぞれ取り入れたような形の日本からの条約案を提示するなどいたしまして、そして、この新しい条約の早期採択に向けての検討に積極的に参加をしてきているところでございます。
 私どもとしては、国内の関係者の意見を十分にお聞きしながら、そして外務省や関係省庁とも連携を図りながら、ことしの十二月に外交会議が行われるわけでありますけれども、これが成功するように、一層の国際的な貢献に努めていきたい、そういうふうに思っているところでございます。

○石井(郁)委員 ようやくというか、ここに来て実演家の人格権という点では前向きな方向を見るかなという感じがしているのですけれども、これは経済的権利の問題ですよ。この辺で、先ほども申し上げましたように、やはり日本の隣接著作権ということをもっときちっと確立しないと、実演家の方々の権利というものは守られないというふうに思うのです。その辺で、もう少し何か文部省のお考えというものをお示しいただけませんか。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。
 現在、視聴覚的実演に係ります実演家の経済的権利に関しましては、一たん実演家の許諾を得て固定をされますならば、その後の利用には権利は及ばない、いわゆるワンチャンス主義がとられておるわけでございます。
 WIPOにおきましては、映画あるいはビデオ等の視聴覚的実演の利用方法の拡大等に対応いたしまして、実演家の権利保護について検討が行われているわけでありますが、この実演家の権利行使方法につきましては、ワンチャンス主義のあり方も含め、依然として各国の中に意見の対立があるということが現実でございます。
 また、国内におきまして、私ども文化庁におきましては、映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会というものを設けておるわけでございますが、その場におきましても、このワンチャンス主義につきましては、賛成の意見と反対の意見がそれぞれ出されておりまして、なお収束の方向には現時点では至っていない、このような状況でございます。
 いずれにいたしましても、今後、こういったWIPOでの動きあるいは国内におきます検討におきまして、このワンチャンス主義のあり方につきまして、実演家の権利保護、一方では映画の円滑な利用の観点、こういった両方をにらみながらさらに議論を深めていく必要があろう、こう考えております。
 いずれにいたしましても、私どももそういった意見を踏まえまして適切な対応をしてまいりたい、かように考えております。

○石井(郁)委員 時間がなくなってきたのですけれども、特に映画関係者の方々が大変危機感を持っていらっしゃるのは、もう御存じのとおりだと思うのです。一回その会社と契約したらもうそれっきりだというのがワンチャンス、いろいろ言われていると思うのですが、しかし、このところビデオ、デジタル、いろいろな形で出回っていて、本当に権利の侵害ということが行われているという問題があるわけです。
 実はこの問題は、ちょうど私、九六年十二月の当委員会の著作権の審議のときにも質問いたしまして、当時の政府からの答弁では、WIPOの新条約の中で実演家の方々の権利がきちんと保護されるように文化庁の立場としては努力していきますという御答弁もいただいているのですね。ちょうどあれから四年近くなろうとしていて、ことしにも外交会議でまた新たな条約が議論になるということでもありますので、やはり前進的に、進んだというふうにしていただきたいと思います。
 著作権の問題というのは、本当にいろいろな問題がまだまだありますけれども、私は、とりわけこの隣接著作権の問題は、日本の文化の発展、特に映画やその他の発展という点からしてもきちんとやっていかなければいけないということを強調して、きょうの質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。

○鈴木委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、参議院送付、著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○鈴木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。


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