トップ>国会報告>168/衆/質問主意書/2007年12月13日

学童保育の拡充に関する質問主意書      日本共産党 石井郁子

学童保育が、「放課後児童健全育成事業」として児童福祉法に位置づけられて、今年で十年になる。今年十月には「放課後児童クラブガイドライン」も策定され、学童保育の水準向上に向けた一歩が築かれた。これを機に、学童保育の新・増設による大規模化の解消や学童保育の質的な拡充を緊急に行うべきと考える。

そこで以下質問する。

 一 「放課後児童クラブガイドライン」にかかわって

 地域の実情やさまざまな設置・運営主体があることから柔軟な対応をと、一定水準の確保にさえ、消極的だった厚生労働省が「放課後児童クラブガイドライン」を策定したことは学童保育の制度拡充にとって意義あるものと考える。

 一方、「放課後児童クラブガイドライン」の内容には大きな問題もあり、学童保育や指導員が役割や責任を果たすことができるよう「放課後児童クラブガイドライン」の見直し、改定も必要と考える。

(一)今後こうした方向での「放課後児童クラブガイドライン」の見直し、改定は行うのか。あわせて、「質の向上」をめざすための財政措置も不可欠と考えるがいかがか。

また、ガイドラインにとどまることなく、子どもたちが放課後や学校休業日を過ごす施設にふさわしい設置基準や運営基準を早急に政府の責任で策定すべきと考えるがいかがか。

(二)「放課後児童クラブガイドライン」では、放課後児童指導員を必置としながらも配置にかんすることや勤務体制などの記述がまったくなく、問題である。

現状では、非常勤や嘱託、臨時職員といった不安定雇用の指導員が非常に多く、日替わりやローテーション勤務をしている。指定管理者制度や民間化の導入もすすんでおり、代行先等との契約見直しによっては慣れ親しんだ指導員が一気に全員入れ替わる事態もおこりかねない。「放課後児童クラブにおける職員と児童との関係は、児童の健全育成の観点から重要であることから、職員にはできる限り継続していただけるよう、自治体において研修の充実などに配慮していただくことが重要」(二〇〇六年三月十五日・衆院厚生労働委員会、川崎二郎厚生労働大臣・当時)との政府・厚生労働省の認識は、今日重要であると考える。この認識にたって、緊急に施策を構ずるべきと考えるがいかがか。

(三)放課後児童指導員が「放課後児童クラブガイドライン」に示された役割や活動を行うには、開所時間前後に一定の準備時間が必要である。開所時間のみを勤務時間としてみなす学童保育も少なくないが、指導員の勤務時間にはそうした準備時間も含めるべきと考えるがいかがか。

 二 学童保育の大規模化解消について

七十一人以上の子どもたちが入所している学童保育への補助金が、二〇一〇年度で廃止されることになった。安全面や子どもたちの情緒面で問題のある大規模学童保育の解消につながる措置である。

厚生労働省は補助単価の引き上げを行ってはいるが、学童保育の新・増設に消極的な自治体も少なくない。全国学童保育連絡協議会は、公営以外で自治体から助成金がでている学童保育の助成額を調査しており、二〇〇七年度調査によれば平均は四百三十万円となっており、二〇〇六年度の国の補助単価は、二十人から三十五人以下で約百六十二万円、三十六人から七十人未満でも二百四十八万円であるから、自治体が国の補助単価の倍近くを上乗せして助成していることになる。この調査結果によれば、国の補助単価は学童保育の運営実態にみあっていない。

そこでうかがうが、国からの補助単価算定の根拠を具体的に示していただきたい。あわせて早急に、学童保育の運営実態に照らし補助単価の抜本的な引き上げを検討すべきと考えるがいかがか。

 三 放課後子どもプランにかかわって

今年四月から実施されている「放課後子どもプラン」は放課後子ども教室と学童保育の「一体的あるいは連携」によって実施されていくこととしている。

政府は、「放課後子どもプラン」を子育て、教育施策の柱の一つと位置づけ全国展開することを掲げている。ところが、二〇〇七年六月十四日の衆院青少年問題に関する特別委員会でも指摘したように、「放課後子どもプラン」=「放課後子ども教室」と受け取れる内容となっている。これでは関係者らに、学童保育を吸収した形での両事業の「一体的」実施なのかと誤解させるばかりか、「学童保育がなくなってしまう」とか、「学童保育の質が低下するのではないか」との懸念を抱かせている原因ともなっている。

そこで、以下質問する。

(一)「放課後子どもプラン」で、放課後子ども教室と学童保育を「一体的」に実施すれば、学童保育の固有の役割である継続した生活の場の保障ができなくなる。両事業の目的や性質が異なることは政府も認めているところであり、「放課後子どもプラン」は両事業を拡充させながら「連携」させていくことですすめるべきと考えるがいかがか。

(二)学童保育においては、生活の場としての機能を確保するために専用室を必要としている。一方、放課後子ども教室が実施されている場所では、つねに不特定多数の子どもたちが出入りすることが想定される。同じ学校施設内で両事業を実施する場合、専用室をどのように確保すべきと考えるか。

あわせて、「間仕切り等」で仕切ることを求めているが可動式の間仕切りでは専用室の確保とはならないと考えるが、「間仕切り等」とは具体的に何をさしているのか。

右質問する。


平成十九年十二月二十一日受領
答弁第三二〇号

  内閣衆質一六八第三二〇号
  平成十九年十二月二十一日

内閣総理大臣 福田康夫


       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員石井郁子君提出学童保育の拡充に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員石井郁子君提出学童保育の拡充に関する質問に対する答弁書



一の(一)について

 厚生労働省としては、御指摘の放課後児童クラブガイドライン(以下「ガイドライン」という。)については、本年十月に策定したばかりであり、今後の運用状況等を踏まえた上で、必要な見直しを検討してまいりたい。
 また、お尋ねの財政措置や基準策定については、本年十二月十八日に取りまとめられた「子どもと家族を応援する日本」重点戦略において、子どもの健やかな育成の観点から一定のサービスの質を担保すること等を考慮した上で、次世代育成支援に関連する給付・サービスを体系的かつ普遍的に提供する具体的な制度設計の検討を進めることとされているところであり、この検討を行う中で、放課後児童健全育成事業(以下「放課後児童クラブ」という。)に対する財政措置やその実施基準の在り方について、併せて検討を行うこととしている。

一の(二)について

 ガイドラインにおいては、放課後児童指導員は、保護者との対応・信頼関係の構築等に留意の上、放課後児童クラブに係る活動を行うこととされており、厚生労働省としては、こうした点も踏まえ、放課後児童指導員が継続して活動を行い、保護者との対応・信頼関係を構築できるよう、放課後児童クラブの安定的な運営のための経費補助を行っているところである。

一の(三)について

 お尋ねについては、個別具体的な事実関係に即して判断する必要があり一概にお答えすることは困難であるが、一般には、使用者の明示又は黙示の指揮命令下において、放課後児童指導員が放課後児童クラブの開所時間の前後に準備等を行う場合には、当該準備等の時間は労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)上の労働時間に該当するものと考える。

二について

 御指摘の国の補助単価については、放課後児童クラブの運営に係る諸経費を基に年間平均児童数に応じて算定したものである。
 厚生労働省としては、これまでも、放課後児童クラブの実施状況等に応じて国庫補助の拡充に努めてきたところであり、補助単価を引き上げることは考えていない。

三の(一)について

 御指摘の「放課後子どもプラン」は、「放課後子ども教室推進事業」(以下「放課後子ども教室」という。)と放課後児童クラブの連携を深めつつ、両事業を一層効果的に実施することを目的に創設したものであるが、放課後児童クラブについては、ガイドライン等において、これを放課後子ども教室と一体的に実施する場合であっても、放課後児童のための専用の部屋又は間仕切り等で区切られた専用スペースを設け、生活の場としての機能が十分確保されるよう留意することを求めているところである。

三の(二)について

 お尋ねの専用室の確保については、例えば、教室を二つ確保し、一方を放課後児童クラブを実施するための専用部屋とするなどの方法が考えられる。
 また、お尋ねの間仕切り等については、放課後児童クラブのための専用スペースを設け生活の場としての機能を十分確保するとともに、子どもの怪我を防止するという観点から、例えば、アコーディオンカーテンや衝立は適当でないと考えている。


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