2007年10月27日(土)「しんぶん赤旗」
![]() (写真)質問する石井郁子議員=26日、衆院青少年問題特別委 |
日本共産党の石井郁子議員は二十六日の衆院青少年問題特別委員会で、福田康夫首相が所信表明でふれた「男女共同参画社会の実現」に取り組む政府の姿勢をただしました。
「男女共同参画」は、戦前の日本を美しかったとする「靖国」派の攻撃の的になり、安倍晋三前首相の過去二回の所信表明演説では、「男女共同参画社会」の言葉が削られていました。
こうした動きについて、石井氏が「内閣の姿勢を疑った。青少年問題を考えるうえで、女子、女性の視点をはずすわけにはいかない」とのべたのに対し、上川陽子少子化対策・男女共同参画担当相は「大変大事な施策の一つと位置づけたものであり、(福田)総理が所信で述べた通り、女性も男性もすべての個人が個性や能力を発揮できる男女共同参画社会の実現に向けて全力で取り組む」と答弁しました。
石井氏は「女性の自立にとって進学や就職といった進路の選択は大事だ」として、四年制大学、大学院への進学率の男女差などを指摘し、解消を求めました。
また、石井氏が、一部には男女共同参画社会基本法に逆行する動きがあるとして、政府はこの基本法を貫く立場にあるかとただしたのにたいし、上川担当相は「基本法も男女共同参画基本計画も大切な段階にあり、積極的に取り組んでいきたい」とのべました。
衆院 青少年問題に関する特別委員会 会議録 第2号 2007年10月26日
国務大臣
(少子化対策担当)
(男女共同参画担当) 上川 陽子君
内閣府副大臣 中川 義雄君
文部科学副大臣 池坊 保子君
厚生労働副大臣 岸 宏一君
内閣府大臣政務官 西村 明宏君
厚生労働大臣政務官 伊藤 渉君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 荒木 二郎君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 柴田 雅人君
政府参考人
(内閣府食育推進室長) 齋藤 敦君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 井上 美昭君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 武内 信博君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 三浦 守君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 布村 幸彦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 前川 喜平君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 田中 敏君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 村木 厚子君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局次長) 大槻 勝啓君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 岡崎 淳一君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 羽藤 秀雄君
衆議院調査局第一特別調査室長 金澤 昭夫君
――――◇―――――
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。
大臣は男女共同参画の担当でもいらっしゃいますので、きょう、私はこの分野とかかわって質問をさせていただきます。
福田総理が所信表明におきましてこのように述べられたんですね。女性も男性も、すべての個人が喜びや責任を分かち合い、個性や能力を発揮できる男女共同参画社会の実現に取り組むということでございました。私、この男女共同参画社会という文言にちょっと注目をしたのは、安倍前総理は、所信表明の際にはこういう言葉を使われませんでした、私は本当にそのとき内閣の姿勢を実は疑ったんですけれども。
政府が男女共同参画社会基本法を定めています。二〇〇五年の十二月には第二次男女共同参画の基本計画も策定されているという状況ですので、青少年問題を考えるときには、大体で言いますけれども、やはり半数が女子、女性ですから、女性の問題を考えないわけにいかないと思うんですね。つまり、女性の視点ということを考えないわけにいかないというふうに思っております。
まず最初に、担当大臣として、この基本法そして男女共同参画の基本計画の実施についての御決意を伺いたいと思います。
○上川国務大臣 福田総理の所信表明演説において、先ほどお読みいただきましたとおり、女性も男性も、すべての個人が個性と能力を十分に発揮することができ、ともに責任を分かち合い、またお互いに認め合って、喜びを共有することができる男女共同参画社会の実現に向けてしっかり取り組みますというこの所信については、国の大変大事な施策の一つということで福田内閣で位置づけ、そして私がその所掌ということで、全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。
今の我が国の社会の実態を見ますと、まだまだ、女性の活躍の状況については、他国と比較してみてもなかなか厳しいものがあるという現実はございますので、これから、各種施策も含めて、精力的にこの目的に向かって力を合わせていけるような環境づくりも含め、頑張ってまいりたいというふうに思っております。
政府としては、第二次男女共同参画基本計画に基づきまして、政策、方針決定過程への女性の参画の拡大、そして女性の再就職、起業等の支援、そして働き方の見直しを含めた、ワーク・ライフ・バランス、仕事と生活の調和の推進ということで施策を総合的にかつ計画的に推進してまいりたいというふうに思っております。
特に、男女共同参画社会の実現には、世代や性別を超えて、広く国民の皆様の御理解を得ることが重要であるというふうに考えておりますので、私としては、国民の皆様との対話、そして同時に、ともに力を合わせて取り組むということでの協働ということを図りながら、施策の積極的推進に取り組んでまいりたいと思っております。
○石井(郁)委員 本日の大臣の所信におかれましても、若者の社会的自立の支援の取り組みが一層必要だということがございまして、私はぜひ、この若者という中には本当に女性が入っていなければいけないというふうに思ったところでございますが、今、女子に多いリストカットとか、あるいは性犯罪に巻き込まれる女性たちとか、社会問題にもなっているわけですね。
それから、十代、二十代の女子、女性というか、非常にやはり自立が困難な状況にあるんじゃないかというふうに私も感じておりまして、そこにもっと施策としてきちんと手を打つべきではないのか、支援をするべきではないのかというふうに思っているものですから、きょうはわずかな時間で、ちょっと二、三の問題で具体的に質問したいんです。
一つは、やはり自立という場合には、教育的な意味で進学そして就職ということになっていくと思うんですよ。この進学、就職という進路の選択というのは大変大事なんですけれども、例えば四年制大学や学部、大学院への女子の進学率、これは近年上昇はしていますけれども、依然、男女格差があるんですね。
男女共同参画白書でもこれは指摘をされておりまして、二〇〇六年度で学部進学、男子は五二・一%、しかし女子は三八・五%です。大学院に至ると、男性は一五・一%、女子は七・一%ですね。女子の場合、前年度比で〇・一%減ってもいるんです。
それから、今よく言われるのは、専攻分野に大変偏りがある。学部では、女子学生が最も多い社会科学系で三一・二%ですけれども、工学系になりますと一〇・五%、理学系になりますと二五・三%です。修士課程で、人文科学系は五九%、工学系で一〇・三%、理学系二二%というふうになっているんですね。
これは余りにも偏りあるいは格差があるんじゃないかというふうに言えるわけですが、この点、OECDの諸国と比較してみましても、OECDの平均というのは二〇〇五年のデータで、学士で女性五五%、修士で五一%なんですね。今申し上げました日本の進学率は、OECD加盟国二十七カ国の最下位なんですよ。
私は、こういう男女格差の現状について、ぜひ、大臣はどう御認識していらっしゃるのか、なぜこういう状況が生まれているのかというようなことで、御所見を一たん伺わせていただきたいと思います。
○上川国務大臣 今、石井委員の方から御指摘がございましたが、大学の進学率、大学にも短大、大学、そして大学院ということでございますけれども、この進学率をとってみまして、まず、年々上昇はしている、しかしながら男女の格差がまだ大きいという御指摘がございました。
データ的にも、この間の、十八年度、短大レベルを含めた大学への進学率は女子五一・〇、そのうち大学への進学率は女子三八・五ということでございますので、この点をとってみてもなかなか厳しい状況にあるというふうに思いますし、OECDの各国の平均の最下位というお話がございましたが、かなり平均を下回っているということについてはまだまだというふうに私自身も思っているところでございます。
先ほど御指摘いただいた専攻課程ということにつきましても、人文学部専攻が非常に多いという傾向がございますので、そうした面で、社会の中で学生というか若い世代が、自分の専攻をしっかりと、自分のやりたいこと、またそれに向かって努力をして実現することができるような、そういう意味での指導をしていくというのは大変大事なことではないかというふうに思います。
内閣府では、とりわけ女性の少ない理工系の分野ということでございますが、女子高校生の時代で関心や理解を深めていただくために、本人及びその進路選択に影響のある先生、そして親、これを対象にした女性研究者等のロールモデル情報の提供でありますとか、またシンポジウムを開催して、そういう中で前向きに関心を持ってもらえるような情報提供をしていく、あるいはウエブサイトにおきましても、こうしたさまざまな今の現状を踏まえた上での情報提供を発信しているということで、こういう動きを女性の生徒が自分の問題としてとらえて、そして自分の選択に反映することができるように、しっかりと指導していくことが大事ではないかというふうに思っております。
さらなる取り組みに全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。
○石井(郁)委員 この問題は、男女共同参画の基本計画の重点項目の一つにも入っているわけでございまして、それで取り上げたんですけれども、そしてこの問題は国連のレベルでも大変重要な位置づけがなされていますよね。二〇〇〇年に国連総会でミレニアム宣言というのを出されておりまして、幾つかの項目があるんですけれども、その中に、二〇一五年までにすべての教育レベルにおける男女格差を解消すると。すべての教育レベルですから、小中はもとより、中等教育、高等教育を含んでいるわけですね。
このことについては、基本計画の中でも書かれているわけです。「「ミレニアム開発目標」の実現に努める。」というふうにありますので、一五年というともうそんなに遠い先じゃありませんから、本当にこれはどうなのかなという思いもありますし、全体として基本計画はやはりフォローアップしていかなきゃいけませんから、ぜひ文科省にこれは伺わなきゃいけないんですが、どういうふうにしてこれを達成しようとされるのか、いかがですか。
○布村政府参考人 お答えいたします。
女性の大学への進学状況については、先ほど先生御指摘のあった実態でございますが、日本の場合どうしても短期大学へ進学される女性が多いという実態で、四年制学部の方への進学状況が、女性の方が男性に比べて低いですとか、理工系の場合は、薬学ですとか看護系の人材育成の学部以外のところではどうしても低いという実態を踏まえてございます。
将来の進路選択あるいは職業選択というのは、あくまで一人一人の個性、能力に応じて選択されるものでございますけれども、女性が最初から理工系分野への進路を回避するということがないように、進路指導を含むキャリア教育によりまして、できるだけ早い段階から職場体験、経験を積むことなどを踏まえて、適切な指導助言を行っていくこと、あるいは、理科教育、数学教育を通じて、理工系分野への興味、関心を深めるという取り組みが大事であると認識してございます。
その中で、一つの取り組みとして、科学技術分野で活躍する女性研究者、技術者、そして大学生と女子中高校生の交流の機会の提供、あるいは、実験教室、出前授業などの実施を行う女子中高校生の理系進路選択支援事業という取り組みも、大学あるいは研究所等の協力をいただいて取り組んでいるところでございます。
今後とも、男性も女性も、主体的に理工系分野への道を選択できるように、進路指導あるいは職業指導、キャリア教育にさまざまな施策を通じて取り組んでまいりたいと考えてございます。
○石井(郁)委員 たびたび引用しますけれども、男女共同参画の基本計画にはこのように書かれているんですね。「男女が共に、各人の生き方、能力、適性を考え、固定的な性別役割分担にとらわれずに、主体的に進路を選択する能力・態度を身につけるよう、男女共同参画の視点を踏まえた進路指導、就職指導に努める。」と。努めるということで終わっているわけですが、しかし、本当に男女が平等にというか、各人がそれぞれの能力を発揮できる、やはりそういう視点で進路指導、就職指導をしていかなきゃいけないというふうに思うんですね。
その立場をぜひ今後とも大いに貫いてほしいというふうに思うんですが、私はここで、なかなか日本の社会で女性の進出が難しくなっている、進まないという問題の背景に、やはり性別役割分担意識というのが根強くあるんじゃないかと。
これは基本計画の中にも書かれていることなんですけれども、その点でちょっと伺うんですが、ことしの九月に内閣府が発表しました、これはいつも男女共同参画社会に関する世論調査をしているわけですが、夫は外で働き妻は家庭を守るべきだという項目で、ずっと経年的にやっていますよね。ことし初めて、これに賛成と答えた方は四四・八%、半分を切ったんですね。十年前には五七%もあったんですよ、夫は外で働き妻は家庭を守るべきだという。だから、急激にこの点での意識の変化は見てとることができるわけです。
しかし、ここでも世界と比較すると、本当に際立って、まだまだこういう考えは日本では根強いということがあります。韓国の場合では賛成という方は一三・二%です。アメリカでは一八・一%なんですね。こういう、夫は外で働くものだ、妻は家庭を守るべきだという、伝統的にというか、日本社会にまだ根強くある考えなんですけれども、私は、こういうのが出てくるのは、いろいろな要因がありますし、意識ですから、いろいろ考えはあるんですけれども、やはり女性が家庭を持つあるいは子供を持つ、持って働き続けるということが本当に日本の社会では困難だ、そういう環境がこういう意識をつくっているんじゃないかなというふうに思うんですが、この点、性別役割分担意識について、大臣いかがお考えでしょうか。
○上川国務大臣 委員が引用なさいました毎年行っている男女共同参画社会に関する世論調査ということで、ことしの調査結果は初めて反対が過半数を上回ったということで、大変画期的な、一歩前進したなと私自身も、このスピード感はこれまでなかったかもしれませんが、徐々にそうした意識が定着し、浸透しつつあるということを確かめる結果になったというふうに思っているところでございます。
しかし、御指摘のとおり、各種国際比較の調査によりましても、性別役割の意識についての部分については、他国と比べますとまだまだ大変根強く残っているということを裏づけるような調査結果でございますので、その辺については、これからの徐々の動きと同時に、いろいろな面での取り組み、先ほど申しました男女共同参画社会の実現を政府がしっかりとリーダーシップをとってやっていくというようなことの中で、第二次基本計画、そうしたことの実践に向けて、目標を達成できるように精力的に取り組んでいくということが大事ではないかと思っております。
とりわけ、働き方の見直しというのはこれから男女共同参画の分野におきましては大変大きな課題でございますので、この点での問題と、そして同時に、女性の就業の継続あるいは再就職においての支援ということについては総合的に取り組んで、そして女性が社会進出するときに、御自分のさまざまな選択に合った形で選ぶことができるかどうかということが大変大事なことでありますので、そういうことについての施策を総合的に推進し、そしてまた同時に、意識改革というのは絶えざる啓蒙活動というものも大事だと思いますので、こういった面についても積極的に展開してまいりたいというふうに思っております。
○石井(郁)委員 この問題をぜひきょう大臣に伺いたかったのは、この間の動きの中で、男女共同参画という、これはもう間違っていたんじゃないかなとか、基本法を根本から見直すべきだろうとか、実はそういう意見が一部から出てきていたんですよね。これは性差を否定するものだから見直すべきだというような考え方が出されて、例えばジェンダーという言葉を使うべきでないだとか、いろいろありました。
私はそういうことがちょっとあったものですから、これは実際、各地方自治体、そしていろいろなところで影響は多少与えておりまして、ある自治体では、男は仕事、女は家庭を見直す、こういう講座を開きたいと言ったら、それはもうできにくくなったということまで出たんですよね。だから、そういう動きというのはほっておけないなということと、まさに男女共同参画社会基本法に逆行する考え方ですから、いかがかなということがありましてお尋ねしたわけでございますけれども、やはりその点、大臣はいかがお考えでしょうか。男女共同参画社会基本法の理念、そしてまた計画の方向性というのをきちっと踏まえて進めていくということは確認してよろしいんでしょうか。
○上川国務大臣 男女共同参画基本法及び第二次基本計画ということの実践という今大変大事な段階であるというふうに思っておりますので、今回、所信表明のとおり、女性も男性もすべての個人がということで、男女共同参画の実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○石井(郁)委員 残りもう一点だけ伺っておきたいんですが、この基本計画は本当に包括的に、そしてまた多岐にわたって、そして全省庁にまたがっていろいろ計画が出されておりまして、二〇二〇年までという長期的な方向性を持って実施に向けていくものですけれども、私が注目した一つに、要するに、男女共同参画の施策を進める上では、あらゆる施策にこの共同参画の視点を盛り込むためには基礎資料というものが要るんだと。だから、いろいろな分野で置かれている女性の状況、これをきちんと統計的にも、あるいは調査し、情報収集し、そしてまた国民にも返していくことが要るということが大変強調されているように思いまして、まずこれは足がかりとして大事だなというふうに思いましたので、ぜひ、いろいろな分野で進めていただきたい。
時間なんですが、例えば、高校生の就職先で見ましても、やはり男性と女性との差が非常にあります。その中で、例えば不安定雇用の割合でも、これは日本高等学校教職員組合と全国私立学校の教職員組合、毎年調査していますけれども、不安定雇用、今、大問題になっていますね、男子が二・六%に対して女子が六・二%。やはり女子がそっちの方に多いんですよ。だから、こういうことをやはりきちっと調査を挙げないと実態がつかめない、そしてまた有効な手を打てないということもありますので、ぜひこの分野も進めていただきたいということを、もう時間ですので、申し上げまして、きょうの質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。