トップ>国会報告>166/衆/教育再生特別委員会/2007年5月17日

2007年5月18日(金)「しんぶん赤旗」

侵略正当化へ“洗脳”

文科省採用の“靖国DVD”


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(写真)靖国神社で2人が語り合う内容の日本青年会議所作製のDVD「誇り」

 十七日の衆院教育再生特別委員会で、日本共産党の石井郁子議員が取り上げた日本青年会議所作製のDVDアニメ「誇り」。文部科学省が委託研究事業としているその内容は、日本の侵略戦争と植民地支配を正当化する言葉があふれています。

 「愛する自分の国を守りたい、そしてアジアの人々を白人から解放したい。日本の戦いには、いつも、その気持ちが根底にあった気がする」。靖国神社の鳥居の前で、過去から来た青年がこう語ります。「戦後その思いは打ち消され『悪いのは日本』という教育がおとなにも子どもにも施され、しょく罪意識だけが日本人の心に強く焼き付けられてしまった」

子どもに影響

 DVDでは青年の語りを通して、「日本は自国を守るためにやむをえず戦争した」「アジアを解放するための戦争だった」との主張が繰り返されます。朝鮮半島や台湾については「植民地支配」という言葉はなく、「日本はこれらの国を近代化するために道路を整備したり、学校を建設した」と述べています。「従軍慰安婦」や強制連行などの加害の事実にはいっさい触れていません。

 DVD「誇り」は日本青年会議所が地方青年会議所との「協働運動」として進めている「近現代史教育プログラム」の教材です。同プログラムでは学校の総合学習などで中学生にこのDVDを見せたあと、会議所のメンバーがコーディネーターになって詳しい説明を加えながら討論。子どもたちから「日本を守るためには戦争をするしかなかったのではないか」「日本が自分の国を守るために戦争したなんて初めて知りました」などの感想を引き出しています。

 この内容には、当の青年会議所の関係者からも疑問の声が出ています。同会議所のホームページで内容を知った地方青年会議所の関係者は「子どもたちを洗脳するようなもので、ひどいと思った。やめるべきだと思う」と語っています。

国が予算計上

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(写真)「近現代史教育プログラム」が文科省の委託研究事業に採択されたことを伝える日本青年会議所のホームページ

 文部科学省はこのDVDを使った教育プログラムを今年度の「新教育システム開発プログラム」の委託事業として採用しました。同会議所はさっそく「協働運動が文部科学省の研究事業に採択」と宣伝。学校の総合学習などの時間に、青年会議所のメンバーが教室に「誇り」のDVDを持ち込んで実践するよう全国的に呼びかけています。

 「新教育システム開発プログラム」は、「あるべき新しい教育システムを提言するための調査研究をおこなう」として文科省が二〇〇六年度から実施。研究内容を公募し、採択された団体に委託費を提供します。今年度は青年会議所のほか地方教育委員会や大学などの七十六件が採択され、計約十五億円の予算が計上されています。

 採択にあたって研究内容の審査をする文科省の有識者会議のメンバーには、青年会議所の池田佳隆前会頭が加わっています。

 池田氏は、昨年六月に衆議院の教育基本法特別委員会で参考人として意見陳述をし、「戦後植え付けられたしょく罪国家意識を払しょくするために、近現代史教育プログラムを作成している」「いまの教科書では自虐的すぎる。そこのところを教育現場が放棄するのであれば我々が買って出る」と述べています。

「アジア解放が戦争の目的」/植民地支配 一切触れず

DVDが語る主な内容

 DVDアニメ「誇り」は、過去の戦争をめぐって高校生「こころ」が、過去から来た青年「雄太」から話を聞くかたちで進行します。2人は靖国神社へも出かけます。雄太が語る戦争の歴史とは―。

【日露戦争】

 「領土拡大戦略として南下してきたロシアと、そのロシアから自分たちの国を守りたかった日本。その後、それぞれの思惑とは別に周囲を巻き込みながら、その後の大東亜戦争にまで発展していくんだ」

【日中戦争】

 「ロシアは、中国大陸における覇権争いをしていた国民党や共産党をたくみに操り、さまざまな謀略を日本にしかけはじめた。そうとは知らない日本は中国大陸で抜けるに抜け出せない、泥沼のような戦いを繰り広げていくことになっていく」

【対米戦争】

 「日本対アメリカを含む連合国軍との戦いを、当時、日本では東アジアの白人からの解放を大義目的にそう(大東亜戦争と)呼んでいたんだ」

 「日本は亡国の道を歩むか、戦争に突入するか―二つに一つの決断を迫られ、アメリカをはじめとする連合国軍との戦争という苦渋の決断を強いられた」

【東京裁判・GHQ(連合国軍総司令部)】

 「東京裁判は勝った国が負けた国を一方的に裁く復しゅう裁判だった」

 「(GHQは)戦争で残虐行為を働いた凶悪な日本兵というイメージを日本国民に植え付け、洗脳していった」

 靖国神社で、雄太は「愛する自分の国を守りたい、そしてアジアの人々を白人から解放したい―日本の戦いには、いつも、その気持ちが根底にあったような気がする」と語ります。

 雄太の話を聞いた、こころはつぶやきます。

 「私が今ここにいるのは、過去に日本という礎を築いてくれたたくさんの人たちがいたから…。そして大事なことは、正しい事実をきちんと知ること」


首相「教育再生の参考に」

 安倍首相は日本青年会議所の広報誌『We Believe』昨年十二月号で、当時の池田会頭と対談し、DVD「誇り」を受けとっています。

 池田氏が、日本青年会議所が「美しき日本」をスローガンにしていることを紹介。安倍首相が「美しい日本」という同じ理念を掲げたことに期待を表明しています。

 受け取った安倍首相は「教育再生の参考にぜひ拝見させていただきましょう」と話し、池田会頭は「美しい国づくりに生かしていただければ幸いです」とのべています。

衆院教育再生に関する特別委員会会議録 第13号 2007年5月17日

   議員           高井 美穂君
   議員           田島 一成君
   議員           牧  義夫君
   議員           藤村  修君
   議員           松本 大輔君
   議員           笠  浩史君
   内閣総理大臣       安倍 晋三君
   総務大臣         菅  義偉君
   財務大臣         尾身 幸次君
   文部科学大臣       伊吹 文明君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君
   内閣官房副長官      下村 博文君
   文部科学副大臣      池坊 保子君
   文部科学副大臣      遠藤 利明君
   総務大臣政務官      土屋 正忠君
   文部科学大臣政務官    小渕 優子君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  山中 伸一君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房長) 玉井日出夫君
   政府参考人
   (文部科学省生涯学習政策局長)          加茂川幸夫君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長)            清水  潔君
   衆議院調査局教育再生に関する特別調査室長     清野 裕三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九〇号)
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九一号)
 教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案(内閣提出第九二号)
 日本国教育基本法案(鳩山由紀夫君外五名提出、衆法第三号)
 教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案(藤村修君外二名提出、衆法第一六号)
 地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案(牧義夫君外二名提出、衆法第一七号)
 学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案(笠浩史君外二名提出、衆法第一八号)
     ――――◇―――――

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 まず、文科省にお聞きをいたします。
 新教育システム開発プログラムというのを進めていると思いますけれども、説明していただきたいと思います。

○銭谷政府参考人 新教育システム開発プログラムは、義務教育の構造改革を進めていく際のさまざまな教育課題につきまして、客観的なデータ等を収集、検証することを目的として行う調査研究事業でございます。平成十八年度から実施をいたしておりまして、研究テーマを四点ほど設定した上で、そういうテーマについて研究をしたい各団体を公募して、そして研究委託をしているものでございます。

○石井(郁)委員 日本青年会議所が提案団体となっている地域の力による学校教育の実践と検証というのが、文科省の新教育システム開発プログラムに採用されています。文科省事業として全国で実行されようとしているんですけれども、この事業には幾らの予算がついていますか。

○銭谷政府参考人 日本青年会議所の、地域力による学校教育実践と検証という事業につきましては、委託額の上限が百三十五万円とされたところでございます。その範囲内で、契約の締結に向けまして、現在手続を進めているところでございます。

○石井(郁)委員 れっきとした文科省の委託事業として行われているわけでございますけれども、この事業について、ホームページで見ますと、このように書いてありました。
 このたび、「誇り」、これはDVDのアニメーションなんですけれども、日本青年会議所が作成した歴史教材を用いた近現代史教育プログラムが、文部科学省の研究事業に採択されました、この認可を契機に、全国の青年会議所メンバーが積極的にこれらのプログラムを実践していただき、市民意識変革へ邁進されることを心より願いますというふうにあるんですね。
 だから、みずから行ってきた運動が文科省の研究事業、調査事業といいますけれども、採択されたということが宣伝されている。そして、これは全国の中学の総合の時間などで近現代史プログラムをやるというふうに言われているんですね。
 このプログラムというのは、ただDVDを見せるというだけではないんです。上映後、子供たちにグループディスカッションを行わせる、そこに青年会議所のメンバーの方々が入って議論をリードする、それで自分たちの論点を徹底しようとするものでございまして、ことし二月から六月にかけて、既に全国で百カ所近く行われているというふうに聞いています。実際にもう既に行われている学校もあるわけです。
 文科省は、この実態を把握していますか。

○銭谷政府参考人 先ほど申し上げましたように、新教育システム開発プログラムは、文部省が定めました四つのテーマのうちから、研究をしたいという団体が公募に応じて申し込みまして、テーマを決めて事業を委託して実施していただいているものでございます。十九年度では、採択件数は七十六件ございます。
 この四つのテーマをちょっと申し上げますと、学校運営と教育条件整備、学校運営の裁量拡大、地域に開かれた学校運営、新しいタイプの自律的な学校運営、この四つのテーマの中から、そのテーマの幾つかを選択して申し込んでもらうわけですけれども、今お話しの日本青年会議所の研究は、地域に開かれた学校運営というテーマの中で研究、実践をしていただいております。
 それで、この研究は、地域の人材が学校の求めに応じて教育活動に参画をするという際に、有意義な活動を行うために必要なノウハウや留意すべき事項などを検証することを目的といたしております。
 私ども、当該団体が作成をした教材の内容等を評価した上で調査研究を委託しているものではございません。むしろ、そういう外部の人材が学校に来て学校の教育活動に参画をする場合に、どういう留意事項が必要かということを実践的に検証していただくという意味で、事業委託をしているものでございます。

○石井(郁)委員 しかし、その中身は、近現代史プログラムということをもって学校でいろいろな実践をしているということがあるんですね。
 そこで、総理に伺いますが、この「誇り」というアニメーションのDVD、御存じですか。

○安倍内閣総理大臣 存じ上げておりますが、まだ私も見ておりません。

○石井(郁)委員 たしか総理は、このDVDなんですけれども、青年会議所会頭の方と対談をされて、昨年の十二月ですけれども、そこで渡されて、ぜひ教育再生の参考にしたいというお返事をされたと思うんですが、それは間違いありませんね。

○安倍内閣総理大臣 突然そのときの会話を持ち出されて、私もよく覚えておりませんが、青年会議所の皆様が、教育再生また教育に大変熱心に取り組んでおられる、また、そういうDVDをつくられたことに対しまして敬意を表したことを記憶いたしております。(発言する者あり)

○石井(郁)委員 それはしっかりこの雑誌にあるんです。「誇りある日本国を創るために」、総理大臣安倍晋三と池田佳隆日本青年会議所の会頭、この対談の中から私は見せていただきました。
 私は、このアニメーションのDVDを実際に見て、びっくりしたわけでございます。きょう、これは実物なんですが、「誇り」というタイトルになっているんですね。カバーには靖国神社が入っているんですよ。靖国神社です。
 それで、シナリオも私はきちっと読みました。このシナリオも、これもホームページにありますから、「誇り」なんですけれども、ここにもちゃんと靖国神社がしっかり入っております。こういうものでございます。
 ストーリーなんですけれども、こういうものになっているんですね。若くして戦死して靖国神社に祭られている青年が現代にあらわれる。自分の子孫である女子高校生と一緒になって、一緒に靖国神社に行かないかと誘うんですね。日本の行った戦争を大東亜戦争と呼んで、大東亜戦争は自衛のための戦争だった、愛する自分の国を守りたい、そしてアジアの人々を白人から解放したい、そういうものだったとその高校生に教えるわけであります。朝鮮などについては、日本は国を近代化するために道路を整備し、学校を設置したというだけで、日本の侵略、加害の歴史については一言もありません。植民地支配という言葉も一言もありません。そして、主人公の女の子がアニメの最後の方で、靖国までの道を歩いたあの日、あの日からほんの少しだけ周りの景色が変わったような気がする、こういうふうに言って、アニメを使って、これで結局、子供の心にすっとこういう特異な戦争観が入っていくという、周到につくられたアニメだと私は言わざるを得ません。
 だから、靖国神社の戦争観を子供に刷り込むための教育プログラムと言っていいと思うんですね。私は、靖国DVDだと言わなくてはならないと思いますけれども、総理は、今お聞きになった限りではどう思いますか。

○安倍内閣総理大臣 それは、共産党の視点からこのビデオを評価されているんだろうと思います。
 あのときには会頭にそういうふうにお話しをしたかもしれませんが、まだ私は詳しくよく見ておりませんので、また時間ができたらよく拝見させていただきたいな、こう思っています。

○石井(郁)委員 私は、今のお話の限りで、これを共産党の視点だと言われるのは本当に心外ですね。とんでもないですよ、総理。どこからそんなことが言えるんでしょうか。
 つまり、あの戦争を、自衛のための戦争だ、アジア人の解放のための戦争だった、こういう指摘でいいのかということを言っているわけでございまして、それは、総理、一九九五年の村山総理大臣の談話はどうですか。戦後五十周年の終戦記念日に当たっての談話。言うまでもありません、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」中略しますけれども、「疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。」私の言っていることは村山談話そのものじゃありませんか。では、村山談話が共産党の視点だというんですか。全くおかしいですよ。
 それで、伺います。
 安倍総理は、村山談話を継承するということは表明されていますよ。これは、総理そして政府の立場だというふうに思うんですね。そういうことからしますと、先ほどのこのDVDの歴史教育プログラムというのは全く違うんじゃないんですか。それが、文科省が受け入れた事業となって学校で普及するというようなことは政府の立場と相入れないんじゃないですか。そのことを伺っているんです。総理、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 私が申し上げましたのは、そのDVDの解説においては、石井議員は共産党に属しておられますから、それは恐らく石井さんはその立場で解説をされたんでしょう、こう申し上げたわけでございます。別に共産党の立場ということは、それが悪いということでは全くないわけでありまして、それぞれの党の人たちはいろいろな立場があるんだろうと。ただ、私はそれをまだ自分の目で確かめておりませんから、何とも申し上げようがない、こういうことでございます。

○石井(郁)委員 確かにしっかり見ていただきたいと思います。本当に見ていただきたいと思います。そして、ちゃんとシナリオもございますから、これ見ていただきたいと思います、読んでいただきたい。
 私はその中を御紹介したわけです。それがどうして共産党の立場なんですか。御紹介しただけですよ。だから、そういう言いがかりみたいなことはやめていただきたい。(発言する者あり)そのとおりですよ。(発言する者あり)いや、文科大臣はまだ。私は今総理に伺って、総理は見ていらっしゃらない。だから、ぜひ見てください。その上でしっかりと考えていただきたいというふうに思います。
 それで、重ねて申し上げますけれども、このDVDでは、要するにアジアの人々を白人から解放しただとか。侵略と植民地支配については本当に一言もないんですから。これは後で確かめてください。一言もない。そういうものでございます。ですから、村山談話の踏襲、継承というんだったら、その言葉を行動で否定するということになるわけですよ、これは。だから、極めて重大なことだというふうに思うんですね。
 さて、学校教育の問題でも、やはりこれは文科大臣に伺っておかなくてはいけませんので続けて申し上げますけれども、日本の政府は、過去の日本とアジアの問題について学校教育でどう取り組むのかということについての基準を持っているはずです。
 一九八二年の官房長官談話がございます。そこにはこのようにあります。「日本政府及び日本国民は、過去において、我が国の行為が韓国・中国を含むアジアの国々の国民に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立って平和国家としての道を歩んできた。」これは、日韓共同コミュニケ、日中共同コミュニケとして実っているわけでございますけれども、この精神は、我が国の学校教育、教科書の検定に当たっても当然尊重されるべきものという立場なんですね。
 そうしますと、今、ある団体ではありますけれども、子供たちに、学校に、こういう靖国神社という異常な歴史観を宣伝している神社に行くことを勧めているわけですよ。戦争は自衛のためだ、アジア人解放のためだ、そういう歴史観を教え込む事業を学校の授業で行うということは、こういう政府の立場に照らしても、本当に成り立たないんじゃありませんか。
 私は、こうした事業委託は直ちに撤回をして、また、上映活動をしようとしていますから、やめさせるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

○伊吹国務大臣 先生、どうなんでしょう、先生が最も嫌われることは、特定のイズムあるいは思想を押しつけるということじゃないんでしょうか。ですから、日本は国定教科書制度もとっておりませんし、文部科学省がこれを補助対象として選択したときも、この内容を検閲して補助金を出したわけでは私はないと思います。
 あと、これができたものについて、各学校にこれを持って各団体が授業をなさる際に、当然、各学校が判断をされれば、そういうものは教材としてお使いになる学校もあるでしょうし、ない学校もあるでしょうが、私が校長であれば、使いません、それは。
 だから、日本というのは、つまりそういう国だということです。特に近現代の歴史の判断は、見る人によっていろいろ立場が違います。総理が申し上げたのも、いろいろな立場での判断があるということを申し上げているのであって、一つの判断ですべてを押し切る、割り切る、そうでなければ学校現場では何も話させないという怖い国であっては日本はならないと私は思います。

○石井(郁)委員 私は、文科大臣の御答弁は問題のすりかえだと思います。やはりやってはならないことなんですよ、こういうことは。だって、政府の公式見解。
 そして今は、歴史認識、戦争認識については厳しく問われているときじゃないですか。そしてまた……(発言する者あり)もちろんそうです、教科書の採択基準もあります。村山談話を踏襲するという見解もございます。
 そういうことからして、全くまさに一方的な価値観を持ち込んで。しかも靖国神社の歴史観ですよ、これは。靖国神社を賛美する歴史観を子供たちの中に持ち込むという問題なんですよ。こういうことはやってはならないことだということはやはりはっきりさせるべきだと私は思うんです。それは決して大臣が言うような、一般的にどういう思想も自由だという話とは全く違う話ですよ。そこは私は厳しく申し上げておきたいと思います。
 今、こういう事態がもうわかったわけですから、今後文科省がどのような対応をとるかを私はしっかり見ておきたいというふうに思います。
 私は、安倍内閣が、美しい国へ、また、戦後レジームの脱却ということをスローガンにしていらっしゃるわけですけれども、これは、教育基本法を変えたことがまさにそのことだということを、昨日でしたか、おっしゃったと思いますけれども、まさに教育基本法は、戦前の国家主義や軍国主義の体制を反省して、その教育を反省してできたのが教育基本法でした。その教育基本法を変えるということは、これは普通に考えても、やはり、戦後の大事な民主主義や人権や平和の理念を否定することにつながっているんじゃありませんか。
 ですから、私は、この美しい国というのは、やはり戦前のレジームが美しかった、そういうことを言いたいのかなと言わざるを得ないわけであります。
 それで、安倍内閣はそのようにして教育基本法を変えました。そして今、学校で具体化をするために、今回、学校教育法を改悪しようとしているわけです。先ほど文科大臣言われましたが、私は逆に、本当に、特定の価値観を国家が子供や国民に押しつけるということは憲法に違反するものですけれども、まさに、安倍内閣が今、国家主導で教育に介入をする、こういうことを押しつけようとしている中身というのは、この靖国DVDにあらわれたような戦争観、こういうものが中心になっているんじゃないかということをやはり言わざるを得ませんし、戦前型の価値観そのものだというところに私は今回の法案の決定的な問題があるというふうに考えているところであります。
 もう時間ですので、そういう法律は国民は絶対に許さないということを強く申し上げまして、私のきょうの質問を終わります。

反対討論

○石井(郁)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の教育三法案に反対の立場から討論します。
 まず、学校教育法等の一部を改正する法律案は、我が国を愛する態度や規範意識などの徳目を義務教育の目標にし、それらの態度を養うことは、時の政府が掲げる特定の価値観を子供たちに強制し、憲法が保障する内心の自由を侵害するものです。また、副校長や主幹、指導教諭などの設置は上意下達の教員組織をつくり上げ、教師集団の自主的で自由な教育活動を阻害し、教員の目を子供より上司に向けさせるものです。文部科学省主導の学校評価で学校の教育活動を管理し、国による統制へ導くなどの問題点もあります。
 次に、教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案は、教員の免許状に十年の有効期間を定め、講習修了を免許更新の条件とするもので、教員の身分を不安定なものにし、ILO・ユネスコの教員の地位に関する勧告に反します。官製講習の押しつけは、現場の教員が切実に求めている自主研修を困難にします。指導が不適切な教員の人事管理の厳格化を行えば、教員に対する大きな圧力となりかねません。子供たちに向き合う時間が欲しいとの現場の切実な声にこたえず、さらなる多忙化と管理を押しつけるやり方は許せません。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案は、是正の要求で、新たに文部科学大臣が指示できるよう条文化することで、地方教育行政及び学校への国の関与を強化するものです。日の丸・君が代の実施も是正の対象としており、学習指導要領、教育振興基本計画を押しつける手段に使われることは明らかです。教育行政における国と地方の関係を、指導助言から指示命令関係に変質させるものとなりかねません。また、教育の地方分権、地方自治に逆行し、教育委員会の活性化につながりません。
 昨年改悪された教育基本法を具体化し、国、文部科学省の権限強化、教育の統制を強めるための教育三法案は、廃案以外にありません。
 このように我が国の教育の根幹を定める教育三法案をわずかな審議時間で採決することは言語道断であり、国民は徹底審議、慎重審議を望んでいます。公聴会、参考人質疑を通して、与野党を問わず、三法案に懸念や問題点が多く指摘されました。さらなる審議を要求し、反対討論とするものです。
 なお、民主党提出の法案については、賛同しかねることを申し添えます。


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