トップ>国会報告>166/衆/教育再生特別委員会富山公聴会/2007年5月14日

衆院 教育再生に関する特別委員会会議録第11号 2007年5月15日


○大島(理)委員 富山県に派遣された委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、私、大島理森を団長として、理事野田佳彦君、委員馳浩君、田島一成君、伊藤渉君、石井郁子君の六名であります。
 昨十四日、現地において、富山市立桜谷小学校を視察した後、富山市の名鉄トヤマホテルにおいて会議を開催いたしました。
 なお、現地視察におきましては、授業参観、学校関係者との意見交換、給食をともにして児童たちと触れ合うなど、学校現場の生の声に接することができました。
 会議におきましては、まず、私から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びにあいさつを行った後、富山市長森雅志君、富山県教育委員会委員長八木近直君及び富山国際大学付属高等学校長西川弘君の三名から意見を聴取いたしました。
 その内容について簡単に申し上げますと、
 まず、森君からは、教員免許更新講習の具体的な運用に当たり、子供及び学校にとって大きな負担とならないよう配慮が必要であること、教育委員会の点検、評価を他の行政委員会に先行させるのはバランスを欠くこと、中核市への教員人事権の移譲が行われるよう制度改革を求めること、
 次に、八木君からは、副校長等の新しい職の設置については、現状の定数枠の中で配置した場合、学校現場の負担が一層増大することが懸念されること、文部科学大臣の教育委員会への是正の要求は地方自治法の範囲内であり、指示については、恣意的にならないよう基準を設けて運用すること、教員免許更新制の導入に当たっては、新たに県負担をすべきではなく、地方における受講機会の確保など、国の責任において実施体制を整備すること、
 最後に、西川君からは、私学の自主性、独自性が損なわれることを懸念していたが、助言、援助としたことは評価できること、中小の経営規模の私学にあっては、毎年免許更新講習に必要となる非常勤講師の確保が困難なこと
などの意見が述べられました。
 次いで、各委員から、陳述者に対し、中核市への人事権の移譲についての見解、教育委員会の必置規定の見直しについての見解、修士課程修了を要件とする教員の資質向上策の妥当性、私学に関して知事が教育委員会の意見を求めることの妥当性、国と地方の権限の所在及び責任のあり方などについて質疑が行われ、滞りなくすべての議事が終了した次第であります。
 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。議事録は、本委員会の会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。
 今回の会議の開催につきましては、多数の関係者の御協力により極めて円滑に行うことができ、深く感謝の意を表する次第であります。
 以上、御報告申し上げます。

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 本日は、三人の方々、それぞれのお立場からの貴重な御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございます。
 国と地方の教育行政のあり方、あるいは責任、権限の分担といいますか、どうあるべきかというようなことも今回の法改正の中での論点の一つ、焦点の一つになっているというふうに認識していますけれども、初めにその点から伺いたいと思っております。
 森陳述人に伺いたいと思います。
 一般論として、日本の教育行政が、国、都道府県、市町村、学校、こういう上意下達の仕組みというかシステムになっているじゃないかということが言われますけれども、地方から見ると、具体的にどういうあらわれ方をして、やはりその点はまずい点だ、あるいは改善すべき点だというふうにお感じになっていらっしゃるか、率直なところをお聞かせいただきたいことが一点。
 続けて、もう出ておりますけれども、今回、地教行法四十九条、五十条での例の是正の要求と指示が、これは国が要求するという形で新たに加わったわけですね。この点で先ほど冒頭の御意見をいただきましたけれども、森陳述人は、これが本当に国の責任の果たし方としてどうなのか、条文化までする必要はないのではないか、現行法でいけるのじゃないかということをちょっと言われましたので、どういう点でこのままでいいのかということをもう少しお聞かせいただければと思います。

○森雅志君 私の立場からは、教育の内容についてまで論評する立場ではありませんので、制度論というか、そういう範囲でしかお答えできないということだろうと思います。
 基本的な一本通った考え方というものは、やはり国の中に教育全体の基本をきちっと示したものがあって、それは当然のことだと思いますので、したがって、学習指導要領を初め教育基本法の考え方というものがまず示されて、それを踏まえながら、現場でそれをベースとしながら独自性をどこまで発揮できるかということなんだろうと思います。
 その象徴が、一番わかりやすく言うと、先ほど来議論のあります公立と私学との建学の精神の違いというようなものは、現場の教育の内容に反映されていく、反射されていくのは当然だろうと思います。ですから、一本貫いているものがまず踏まえられて、その上で派生して色彩については独自性が出される、そうあっていいのではないかと思います。その際に、手続あるいは伝達の仕方、そういったところにどうもスピード感がないという感じを受けているわけでして、そこをもう少しスピード感を持って現場ができるようにしていくということだろうと思います。
 例えば富山市の教育委員会は、去年から始めて、ことしから夏休みを五日間短縮する、夏休みを短縮してそこで授業日数を確保する。行事が多いからとかいろいろな現場がある。こういうことについては市の教育委員会の判断ですぐにも実施できるということ。ところが、それはできるのですが、人事権に絡むことになるとできてこないというようなことなどは先ほど来申し上げたように感じているわけでして、そういう関与という意味では、なるべく現場に任せていける範囲のものは任せていくということが望ましいのではないかと思います。
 さて、その際、後で御質問になりましたことですが、つまり、今この条文が要請されている背景にあるものは、冒頭のお話にもありましたが、地方教育委員会の中にはその対応にかなり問題があるというようなところが、制度的にはそんなことはないはずですが、現実に起きてきた。そのことを踏まえて、それではそれを放置しておいていいのかというような御議論だろうと思うのですが、当然の法理として、制度が期待しているように一つ一つの教育委員会が機能していないとすれば、それはあくまで独自に動いていい教育委員会だと、独立性があるとは申せその五人の教育委員に任せておいたのでは、国民、市民の期待にこたえられる行政を展開できない。その蓋然性が高いとすると、かなり限定的な縛りをした上で、上から、上というのは文部科学省であり県の教育委員会なり、さまざまな形で単位教育委員会に対して指導助言するということは当然のことだろうと思います。
 そして、私は細かな制度をわからずに言っていますが、そのことは当然できるはずだろうと思いますので、きちっと条文化することの意味はそれほど大きくないのではないか。ただし、さっき伊藤先生の御質問にもありましたように、地方自治法の範囲というような解釈を前提にするならば、重ねて条文化することによって明確化するという意味では全く無意味ではないとは思います。
 わかったようなわからぬようなことを言っていますが。

○石井(郁)委員 ありがとうございました。
 同じような観点で八木陳述人にも伺いたいと思うのです。
 未履修問題では大変苦渋の中でいろいろ対応されたというふうに思うのですが、今も出ておりますけれども、今回の是正の要求、指示という問題が、これを一つの、私たちは口実というふうに言いたいぐらいですけれども、きっかけとして行われている、そういう政府からの答弁もあるわけですけれども、しかし、この未履修問題は、特定とか一部の教育委員会で起きたわけじゃなくて、当時、わかりましたけれども、四十四都道府県だったと思います。だから、これはほぼ全国網羅して起きたことだったのですよね。
 それで、私どもは国会でも、これについては教育委員会だけの責任ということではなくて、やはり文科省自身もどうだったのかというようなことも取り上げましたけれども、そういう意味で根の背景もあるし、いろいろなことから考えなければいけない問題をはらんでいた。私は、これはまだ十分解明されていないと思っているのですけれども。
 そういう中で、先ほども野田委員の方からも出ていましたけれども、ぜひ一つこれに関係して伺いたいのは、この是正の要求、指示の中身はどうも特定のことだけにとどまらないで、私たちは危険があると思っておりまして、例えば国が学習指導要領を決める、その学習指導要領の範囲がきちんと守られているかどうかというようなこともその視野に入りそうだとなると、ちょっとこれは事が大きな問題になるのじゃないかなというふうに思うのですね。学習指導要領自身は、例えば教科目をどれにするかということも、戦後を見てもいろいろと変遷もしてきておりますし、国が決めることは大綱であって、その細かな内容は全部地域、各学校を縛るということになったのでは、教育の自主性ということが大きく損なわれるのじゃないかというふうに思っておりますので。
 そういうことで伺うのですけれども、先ほど未履修問題で国へ要望も出された、弾力化は認めてほしいという言葉をちょっとお聞きしましたので、その要望の中身ですね、それは野田委員も触れたのですけれども、もう少しお聞かせいただければというふうに思いました。よろしくお願いします。

○八木近直君 国にいろいろお願いを申し上げましたのは、主として学習指導要領に関することなわけでございますが、今度さらに改訂の時期が来ておりますので、それのいろいろな御意見などが今飛び交っているところでございます。
 そこで、これまでも学習指導要領が大綱として行われていなかったと申し上げるつもりはないのです。十分に大綱化はしていたと思います。ただ、学習指導要領を改訂、改訂、改訂と重ねていく段階で、例えば必修科目が非常に多くなったとか、それは多くなればなったで、それをいろいろと組み合わせていくときに、もう少し弾力的な取り扱いなどもできるようになるということが望ましいのではないか。あるいは、情報などという科目、ちょっと細かい話になって申しわけありませんが、そういうものの必修化ということも取り上げられたので、そのこと自体を考えますと、今の世の中ではITというものが出てきております、それは私どもが昔は全然考えなくてよかったことです、ですから、そういうものを考えなければならないというのは十分理解できます。ただ、それらを全部積み重ねて必修ということに相なりますと、なかなか負担が重くなる。そういう点、例えばこういったものはほかの科目の中で取り扱うようなことでもいいのではないかといったようなお願いをしたということでございます。
 これらの事柄は現在審議も行われていることでありますので、またいろいろと、私どもだけの考え方が通ればいいというものではございませんから、そういうことは考えておりませんけれども、そういった点も一つ配慮してお考えいただければもっといい姿になるのではないか、こういうことでございました。

○石井(郁)委員 ありがとうございます。
 次に、評価の問題をそれぞれお述べになりましたので、これは西川陳述人と八木陳述人に伺いたいと思うんです。
 もう既に学校評価はいろいろな形で工夫されて行われていらっしゃるということですし、加えて、今度は国として、評価の項目、教育活動も含めて文部科学大臣が定めて評価を行う、そしてまた、点検もするし公表もするということになっているかと思うんですけれども、その辺について、現在学校が独自に行っていらっしゃるのを国が行うということについていろいろと懸念などがございましたら、今の行っている評価との関連で少しお聞かせいただければと思います。

○西川弘君 先ほど舌足らずで申しわけございませんでした。私どもがやっておりますのは、私学でいえば、それぞれの学校がそれぞれでやっています。したがいまして、必ずしも全部同じではありません。
 それから、やるに当たりまして、当然、それらのものを見せていただける分につきましては見せていただいたり、それから公立学校でおやりのものも見せていただいたりしながら、独自で自分たちに最も合うものをという形で今進めてやってきているところでありますし、これからもできればそのような形でやらせていただいた方がありがたいというふうには思います。

○石井(郁)委員 同じ質問で八木陳述人にお願いします。
 とやま型の評価システムを既に開発されていらっしゃるというお話でしたので、それと今度国が行うということの関係について御意見をお聞かせください。

○八木近直君 現在でも評価ということは、これは昔からそうだったわけでありますけれども、今日はっきりとした形で定めていかなければならないというのは当然のことだと思います。さようなこともあって、現在、既に富山県では学校の評価ということも行いつつあるわけでございます。
 そこで、全体的な一定の方向性を示す必要はあろうかと思いますけれども、全部それというのでは、それぞれの学校、地域などの特性というものをなかなか生かし切れないものも出てくるのではないか。さような意味合いで、先ほど申し上げましたのは、私どもがやっているようなものが十分に生きていくような形でまたお考えいただければありがたいという意味でございます。
 全体のものを国の方でその方向性をお定めになるということ自体は、それはそれで差し支えはあるまいと思いますが、その中で各地方ではいろいろなことをやっておるわけでありますので、そういうものがちゃんと生きていくような形が望ましいのではないか、このように思います。

○石井(郁)委員 それでは、最後に一問、大きな質問になるかと思うんですけれども。
 ずっと教育改革ということがもう十年、二十年来言われてきておりますから、これはある現場から、これは公聴会の御意見だったと思いますが、教育改革と言われてテンポが速過ぎる、現場が振り回されているという御意見が多く出されたかと記憶しておりますけれども、それでぜひ率直なところを伺いたい。
 国会で審議されているこの委員会は教育再生の特別委員会という名称でございまして、決して教育三法じゃないんですよね。安倍内閣のもとで教育再生ということが言われているわけですが、教育改革と教育再生とどう違うかということもあるかもしれませんけれども、教育再生と言うからには、今の日本の教育が本当にもうだめになっているのかということがあると思うんですね。
 私は、きょう、桜谷小学校を見せていただきまして、先生方も本当にしっかり取り組んでいらっしゃるし、先ほど来いろいろ問題はあるかもしれないけれども子供たちも一生懸命学んでいるというふうに思うんですね。だから、学校、教師、子供たちも、そしてその背景にいる親も、それぞれ悩みや要求を抱えながら努力をしているというのが地域の現実の姿ではないのかなというふうに思っておりまして、決して私はだめだというふうには思っていない。もちろん、日本の教育は解決しなきゃいけない課題もたくさんあるかと思いますけれども。
 そういう中で、ぜひ皆さんに率直なところ、今、国会での審議、議論に際して、本当に教育の問題をどういう視点からどういう中身のことを審議すべきだというふうにお考えになっていらっしゃるのか、お一人ずつお聞かせいただければ幸いだと思います。

○森雅志君 個人的な見解を述べさせていただくという御質問だろうと思いますので、僕は、教育というのはひとり学校教育だけがすべてではない、当然のことですが、そのことをまずみんながもう一度考えることが大事ではないかと思います。
 したがいまして、地域がどういう教育力を発揮するのか、あるいは、先輩、後輩というような人間の縦の関係を含めて、縦も水平も含めた子供を取り巻く環境の中で、一人一人がどういう役割分担をしてその子供の成長の中で教育的な効果を発揮していくのかということを一緒に考えていくことが大事だろう、こう思っています。
 そういう中で学校教育はかなり大きなウエートを占めるわけですから、その学校の教育現場におけるさまざまな問題があるとすると、それは、先ほど来どなたかもお話しでしたが、予算がどうだとか、あるいは今までの流れがどうだとかというようなことを少し飛び越えて、あり方論の議論は柔軟にやっていく必要があるのではないかというふうに思います。
 もう一つは、この学校教育のもうちょっと狭い範囲で、今度は受験のための教育というのが世の中に大きなウエートを占めていて、それは学習塾なども含むさまざまなものが入ってくるわけだろうと思います。ですから、そういう中で行政がしっかり責任を果たすべきもの、あるいは、ちょっと口幅ったいですが、我々が今の時代の地域のリーダーとしてどういうことを発信していくのかということを考えたときに、極端に限定的な領域ではなくて、地域の教育の問題だとか時代が持っているものに対して普遍的なものはどういうことをやっていかなきゃいけないのか、そういうことを大変多様な幅広い人たちとしっかり意見交換をしていくということが求められているのではないかというふうに思っています。

○八木近直君 教育の変革ということでございますけれども、教育と申しますものは、なかなか一朝一夕にでき上がらないという面があるのでございます。したがいまして、そこの中にはいろいろな、つまり、長いスパンで物を考えなければならないこと、あるいは情勢の変化に応じて短いスパンで考えなければならないこと、そういうことがいろいろとまじっているように思います。
 例えば、今、森市長の方から詰め込み教育云々というような受験教育の問題がございましたけれども、詰め込み教育などの弊害について演説が最初に行われたのは、二十世紀の初めのころ、文部大臣が行っております。それならそれで解決するかというと、なかなかそうはまいらない。何十年かたつと、またそういう問題が起こってくるというような性格もあるわけでございます。したがいまして、一概に改革のテンポが速過ぎるというようなことはないのだと思いますが、そう思わせるようなところは確かにあり得る、さように思うのでございます。
 ですから、何度も何度も念を入れてやらなければならないこともあるし、世の中が変わればそれに応じた手を打たなければならないこともある。そういうような事柄を、全体をよくよく考えて改革というものは行われなければならない。今の改革がすべて速過ぎると言うのはちょっとおかしいだろうと思いますし、さりながら、改革というものはもっとゆっくりいろいろ考えてやらなければならないということも、それは当たる面が確かにあるのだと思います。
 制度などの問題一つ取り上げてみましても、制度疲労というものを起こしているというようなことはないかと言われれば、それはあるだろうと思うのですね。そういった点などをやはりよくよく考えて、その都度その都度直していかなければならないだろうというように思うのです。

○西川弘君 難しいことはよくわかりませんが、ただ、私が若いころ、生徒を一生懸命教育している、育てているつもりで、何かの盆栽を育てていたというような反省をしています。山の下草を刈って日当たりをよくしてやって、木がその中で自分で伸びていく、そんなようなことをしてやらなかったのかなという。ここは枝ぶりが悪いから切ってしまえ、ここは伸ばしてやれ、ここは曲げてやれという、そんなような教育をしてきたということについて大変反省をしております。
 以上です。

○石井(郁)委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。


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