衆院 教育再生に関する特別委員会会議録 第9号 2007年5月10日
派遣委員の福岡県における意見聴取に関する記録
一、期日
平成十九年五月九日(水)
二、場所
ホテル日航福岡
三、意見を聴取した問題
学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)、教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案(内閣提出)、日本国教育基本法案(鳩山由紀夫君外五名提出)、教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案(藤村修君外二名提出)、地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案(牧義夫君外二名提出)及び学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案(笠浩史君外二名提出)について
四、出席者
(1) 派遣委員
座長 中山 成彬君
やまぎわ大志郎君 野田 佳彦君
笠 浩史君 伊藤 渉君
石井 郁子君
(2) 意見陳述者
福岡県知事 麻生 渡君
遠賀郡芦屋町教育委員会教育長 中島 幸男君
福岡県中学校長会会長 野中 秀典君
(3) その他の出席者
文部科学省大臣官房審議官 辰野 裕一君
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午後一時開議
○中山座長 これより会議を開きます。
私は、衆議院教育再生に関する特別委員会派遣委員団団長の中山成彬でございます。
私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
皆様御承知のとおり、当委員会では、内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案及び教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案並びに鳩山由紀夫君外五名提出、日本国教育基本法案、藤村修君外二名提出、教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案、牧義夫君外二名提出、地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案及び笠浩史君外二名提出、学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案の審査を行っているところでございます。
本日は、各案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、当福岡市におきましてこのような会議を催しているところでございます。
御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願い申し上げます。
それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。
なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。
次に、議事の順序について申し上げます。
最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
まず、派遣委員は、自由民主党のやまぎわ大志郎君、民主党・無所属クラブの野田佳彦君、笠浩史君、公明党の伊藤渉君、日本共産党の石井郁子君、以上でございます。
次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
福岡県知事麻生渡君、遠賀郡芦屋町教育委員会教育長中島幸男君、福岡県中学校長会会長野中秀典君、以上三名の方々でございます。
それでは、まず麻生渡君に御意見をお述べいただきたいと存じます。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。最後の質問になりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
今、法案審議中の国会ですけれども、この三法案の審議に当たって、それぞれのお立場から率直にきょうは問題点を御指摘いただいたと思っています。また、地域やそれぞれの学校でいろいろ御苦労されながら、創意的にいろいろな活動をしていらっしゃる中で、何を教育改革に求めていらっしゃるかというようなこともお聞かせいただけたというふうに思っております。
その上で、幾つかの問題でさらに御意見を伺えればというふうに思うんですが、まず、日本の教育行政の問題ということで、よく一般的に、文部科学省、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、学校、縦割りの上意下達の仕組み、システムというようなことが指摘をされるんですね。この点は、地方六団体の意見としても、こういう上意下達の仕組みを変えていくことだということが述べられていたかと思うんですが、具体的にはどういうことが現場を縛っているのか、そして、本当にどの点を変えていったら日本の教育の現場が活性化していくのかというような点で、具体的に現場で感じておられることをお聞かせいただければと思います。これは、三人の参考人それぞれから伺えればというふうに思います。
○麻生渡君 上意下達自体を問題にするというよりも、やはり、国と我々地方との教育におけるそれぞれの役割分担はどのようにすべきかということをよく考えなきゃいけないと思うんですね。今までのやり方は、どうしても文部省が非常に強くて、いろいろな通達とか指示を仰ぎながら県の教育委員会が活動し、そのもとでまた市町村の教育委員会が活動しておったという実態がございます。
我々は、先ほどからありますように、ミニマムのことについてはきちっと国が設定をすればいい。さらにそれを超えてもっとやらなきゃいかぬという分野の設定あるいは水準の設定については思い切って地方側に任せてもらって、そして、それぞれ個性のある教育を展開しようではないか。
その場合に、もう一つ国の役割で重要なのは、それぞれの活動をやった場合に、やはり評価ということは避けて通れないわけでありますから、非常に難しい問題でありますけれども、やはり評価機能はある程度国が持っておって行っていくことが必要ではないかというふうに思っています。
そういうことでありますので、先ほどから教育の地方分権をやらなきゃいかぬのだと言いますのは、そのような国と地方の役割において、もっと地方の創意工夫、自由度を高めていって、多様な教育をし、多様な人材を育てていくという仕組みに変えてもらいたい、また、変えなきゃいかぬのだということを主張しているわけであります。
○中島幸男君 私も、国としてはナショナルスタンダードという形で指導要領を出したりしていますが、そのあたりは、日本国民をどう育てるかという最も基本的なことでミニマムとおっしゃいました。多分そのとおりだろうと私は思っています。
問題は、私たちのように地方の教育委員会にとりましては、地方らしさ、スタンダードプラス、それをどう企画して実践していくか、地域の住民の方々のニーズにどうこたえるか、そして地域の子供たちをどう育てるか、そこが我々の仕事だというふうに思っています。
それは、そんなに県教委なり文科省に縛られていると私は思っておりません。むしろ、私たちはどんどんやれる。今のところは町村の場合やりにくい。それは、冒頭に申しましたように、やはり指導主事なりそういうスタッフ機能が町村の場合は非常に弱いんだ。そこを高めていただくと、必ずそれぞれの地域に合った教育ができるというふうに私は思っています。
以上です。
○野中秀典君 学校は、目指す子供像を持っております。やはりそれに向けて、校長が夢を持ち、その実現のために先生方に理解をしていただきながら教育活動を進めていく、これが一番大事なことだろうというふうに思っております。
そのためには、組織というものは、私たちのリーダーシップのもとに先生たちが一緒になって子供たちの教育活動に当たっていくことが大事だろうと思っていますので、私としては、上から下にいろいろなことを物申すじゃなくて、先生方の考えをしっかり聞きながら、そしてそれを具体化していくことが大事だろうと思っていますので、今のところ、先生たちとは一緒に仲よく教育活動をやらせていただいております。
○石井(郁)委員 しかし、今回の法改正では、やはり地方分権の流れに逆行する中身になっているんじゃないかという問題は依然としてあるんですね。それが先ほど来議論されている地教行法の四十九条、五十条の問題の是正の要求また指示という中身でございますけれども、これは、昨年来のいじめ隠しとか高校の未履修問題で教育委員会に責任があるんだと言われていることがありますけれども、これは前から文科省自身が知っていたことでもあり、そういうことは先にまず文科省が責任を負わなきゃいけない話だというふうに私は思うんです。
それはそれとしても、是正要求、指示ということで国の関与を今後強めるという中身でいいますと、これは委員会の審議の中でも、決して生命の危険あるいは子供の教育権の侵害ということにとどまらない、いや、それをどう広くとらえるかということもありまして、例えば、学習指導要領に反するような行為を黙認する教育委員会も是正要求の対象に入るというのが文部科学大臣の答弁でもございました。
そしてまた、教育再生会議の方も、国と教育委員会との関係でいうと、国が定める大綱的な基準、指針にやはり従わなければいけないというのも出てきているんですね。
私は、そういう一連のことを考えますと、非常に限定されたという理解で済まないことが起こり得るのではないかということを大変懸念しておりまして、この点では麻生参考人の御意見を伺いたいと思います。
○麻生渡君 この条文そのものは、よく読みますと非常に限定された条件下における指示であり、また是正要求になっています。そして、その中身は、地方自治法に書かれておる範囲を超えていない、非常に注意深く書かれているというふうに思います。
その意味で、地方自治法のかねて国が持っておった権限を改めて確認的に書いたというものであるし、それ以上のものではないというふうに私は理解をいたしております。逆に言いますと、あえてこの部分を引き出してもう一度書く必要があったのかということなんですけれども、これは立法政策の問題かと思っております。
この実際の運用に当たりまして、言われたように、これを手がかりにどんどん広げるというようなことになってはいけないわけでありまして、その点について、やはり条文の非常に限定された中身でこれは運用されるべきであるし、法律である以上当然そうであるというふうに理解をしております。
○石井(郁)委員 今回の三法があるわけですけれども、教育委員会のあり方、教育委員会の機能回復といいますか、そういうことが改めてクローズアップされたというふうに思うんですね。これは国民的にも議論するということで、大変大事だというふうに私は思うんです。
そこで、ちょっと一般論になるかもしれませんけれども、中島参考人にぜひ伺いたいんですが、現状の教育委員会制度では、先ほど来指導主事の話がございましたけれども、もう少し広げて、教育委員会制度として活性化するにはどういうことが求められているのかということで御意見を伺えればと思うんですが。
○中島幸男君 教育委員さんが、今私のところは五人いらっしゃいます。制度と申しましょうか、まずは教育委員会といった場合に、非常に抽象的な意味がある。教育委員の五名をもって教育委員会という場合もあり得るし、教育委員会の事務局が教育委員会ですよという言い方がありまして、果たしてどうなんだという、一般の方々に非常に見えにくいというのがあろうかと思っています。
それで、活性化するためには、一つはやはり事務局職員の活躍というのが非常に大きなものがありまして、冒頭申しましたように、小さなところではまず人数が足りないということもありまして、今教育長、私は前職は教員でございます。町村の場合、主に教員出身の方が多いようでございますけれども、それでも、自分のところの町の教育をどうしようかという場合に、それが施策までなかなかつながっていかない、これはやはり非常に問題があるんだろうと僕は思っています。そこの教育委員会事務局のことが一つ。
もう一つは、教育委員会の委員さん、私どもは五名おりますが、私のところの五名のうち、今の委員長は中学校の元校長先生、それから専業農業の方がお一人、主婦の方、会社経営の方と、比較的お若い。そういう方ですと意見が非常にたくさん出てまいりまして、私たちも、こうやってやりたいという施策をできる限り出します。
そういうところの二つがありまして、教育委員さんにどういう方を選任するかというのが一つあろうかと思います。そして、事務局をどう活性化するか。その二つがうまくまとまると地域の教育課題は相当いけるのではないかと思っています。
○石井(郁)委員 どうもありがとうございます。
私もおおむねそういうような考えに立っているんですけれども、やはり、地域の教育は地域で行うという原則は、私は、戦後確立されてきた原則でもありますし、本当にもっともっと大事にしなくてはいけないというふうに思っています。
そういう意味で、教育委員会がより機能する、本当に住民の参加あるいは住民の声も反映する、そして、本来、教育委員会は市区町村の学校に対して権限があるという点でいうと、それがより発揮されるような方向でそれぞれ努力していかなきゃいけないなというふうに思っているところでございます。
次の質問なんですけれども、きょう私は参考人の意見を伺いながら、最後に言われたことがとても胸に響いているんです。たしか野中参考人だったと思うんですが、今逆風に立ち向かっている教師という言葉があったかと思いますし、教師たちは非常に風評被害を受けているというような表現もあったかと思うんです。やはり、これは本当に、現場の教師、教職に携わっている皆さんの実感なんだろうなというふうに伺ったんですね。
非常によく頑張っていらっしゃる、子供も大変だ、そして多忙な中でいろいろなことを工夫してやっていらっしゃるという中で、政府のやっていることは、それを励ますんじゃなくて、何か、本当によくしているのか、支援しているのか、後戻りさせているのか、やはりそこのところが見えなくなっているのかなというふうに私は思います。
ぜひ率直な御意見を伺いたいのは、文科省自身が、もう二十年来、いじめ問題、高校中退もあるし、校内暴力、非行等々、たくさんの教育の課題を挙げながら、教育改革という旗を振ってきたと思うんですね。しかし、教育改革を言えば言うほど、何かよくなったかといえば、それが見えないという状況があるのではないかというふうに思います。本当に今日本の教育を、それこそいい意味で立ち直らせていく、子供たちや親の皆さんの願いにこたえるためには、本当に今求められているのは何なんだろうかというふうに思うんですね。
その一つとして、もう言うまでもありませんが、きょうは中学校の先生ですけれども、例えば、大変深刻な状況にある中学校の学級定数が四十人だというのは、私は本当に、やはり世界的に見ても放置しておけないというふうに思います。きょう博多小学校へ行きましたら、一クラス大体三十人でした。そういうところも生まれていますけれども、依然として中学校段階ではやはり四十人というクラスになっているかと思うんですね。
先ほども御指摘がありましたけれども、こういう教育の現場を本当に国が一刻も早くサポートしていくということで、学級定数の問題も含めて、国に支援策としてもっと求めていらっしゃることは何なんだろうかということで、教師の実態も含めてもう少しお聞かせいただければと思います。
○野中秀典君 確かに、保護者の方々はいろいろなことを学校に求めてまいります。でも、やはり保護者の方々も、自分の子供かわいさに学校を訪れられるんですよ。それにやはり私たちがしっかり耳を傾けて聞いていくことが大事だろうというふうに思っております。
その中で、本当にこんなことまで言うのかというふうなところを、私じゃなくて一人一人の先生方に働きかけてこられます。そういうときに一人一人の教師の力量が試されていくんだろうと思うんですよ、人間性も含めて。そういった意味では、私たち校長、教頭がしっかりリーダーシップをとりながら、学校の中でそういう先生方も含めて力をつけていくことがまず大事ではないかな、このように思っております。
しかし、そこに限界も少しずつ出てきているわけですので、今回のそういう制度改正をてこに、新たな方向に進むべく、やはり後ずさりしてはいけないんだろうと思っているんです。これからの公立の小中学校、義務教育というものが将来にわたって地域の方から本当に信頼されていくような学校づくりをすることが大事だろう。法が悪ければ反対だということではなくて、そういったことを学校の現場に即して生かしていくような手だてを私たちがつくっていくことが一番大事ではないかな、このように感じております。
○石井(郁)委員 本当に、ぜひ皆さんのそういう御苦労やまた努力にこたえるような国会の審議でありたいというふうに思っておりますし、きょういただきました御意見を参考にしながら、さらに慎重な審議を国会としても尽くしていきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。