委員長 森山 眞弓君
理事 稲葉 大和君 理事 河村 建夫君
理事 斉藤斗志二君 理事 鈴木 恒夫君
理事 町村 信孝君 理事 中井 洽君
理事 牧 義夫君 理事 西 博義君
阿部 俊子君 新井 悦二君
井脇ノブ子君 稲田 朋美君
猪口 邦子君 岩永 峯一君
上野賢一郎君 臼井日出男君
小野 次郎君 大島 理森君
大塚 拓君 海部 俊樹君
亀岡 偉民君 北村 誠吾君
小坂 憲次君 木挽 司君
佐藤 剛男君 島村 宜伸君
戸井田とおる君 中山 成彬君
並木 正芳君 西川 京子君
西本 勝子君 馳 浩君
鳩山 邦夫君 原田 憲治君
やまぎわ大志郎君 矢野 隆司君
渡部 篤君 太田 和美君
北神 圭朗君 古賀 一成君
土肥 隆一君 西村智奈美君
野田 佳彦君 藤村 修君
古本伸一郎君 前原 誠司君
松原 仁君 松本 大輔君
三日月大造君 横山 北斗君
鷲尾英一郎君 赤羽 一嘉君
坂口 力君 石井 郁子君
保坂 展人君 糸川 正晃君
保利 耕輔君
…………………………………
議員 藤村 修君
議員 高井 美穂君
議員 大串 博志君
議員 笠 浩史君
文部科学大臣 伊吹 文明君
国務大臣
(内閣官房長官) 塩崎 恭久君
国務大臣
(少子化・男女共同参画担当) 高市 早苗君
内閣官房副長官 下村 博文君
文部科学副大臣 池坊 保子君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山中 伸一君
政府参考人
(内閣府大臣官房長) 山本信一郎君
政府参考人
(内閣府大臣官房タウンミーティング担当室長) 谷口 隆司君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局長) 田中壮一郎君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 銭谷 眞美君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 清水 潔君
衆議院調査局教育基本法に関する特別調査室長 清野 裕三君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
教育基本法案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第八九号)
日本国教育基本法案(鳩山由紀夫君外六名提出、第百六十四回国会衆法第二八号)
派遣委員からの報告聴取
――――◇―――――
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
初めに、私はいじめ問題で伺いたいと思います。
十二日には大阪府富田林で中学一年の女子が命を絶ちました。その日、埼玉県の本庄市でも中三の男子が、いじめを苦にと言われておりますが、自殺でございます。そして、十三日には奈良でも中学三年生が命を絶つということでございます。その上に、北九州市では、いじめを金銭トラブルと教育委員会に報告したということで、みずからが責めを負ったのかどうか、校長が自殺をされました。
私は、御遺族の方々の心中をお察し申し上げますと、本当にいたたまれない思いもいたしますし、心からお悔やみを申し上げたいというふうに思います。
その上でですが、福岡県の筑前町でいじめ自殺があったばかりであります。また、自殺の予告が相次いでいる。そういう中で、文科省は全国担当者会議を開いておりましたけれども、いわばいじめ自殺がとまらない、連鎖が起きているという状況だと思うんですね。
そこで伺いますけれども、文科省としては、この教育基本法案の審議を一たんやめても、このいじめ自殺という緊急の、しかし根本的な大きな問題にやはり総力を挙げて対応すべきではないのかというふうに私は思います。まず、文科省としてこの問題にどのように対応しているのか、していくのか、伺いたいと思います。
○伊吹国務大臣 これは先生が御専門ですから、私が先生にこういうことを申し上げるのもなんですが、確かに残念な事案が次々起こっております。
しかし、いじめと自殺の関連というのは、自殺というのは非常に多様な要件が重なっておりますので、例えば奈良の案件などは、御家族のお気持ちとして、またこういういじめという範疇の中で議論してほしくないという御意向もあるやに承っております。ですから、先ほど私お昼休みに政府委員控室に戻りましたら、国会の議員会館を取り巻いておられる労働組合の方々のおっしゃっていることが耳に入ってきまして、先生のおっしゃっているのと全く同じ御主張をしておられましたけれども、私はそれはやはり少し違うんじゃないかと思いますね。
つまり、教育委員会のあり方、学校現場の教師の規範意識、しかしそのことだけが実はいじめの原因ではないわけですけれども、教育委員会のあり方あるいは学校現場の規範意識、教師の規範意識、いろいろなことが一体となって、例えばいじめが起こった場合の報告が不十分であるとかあるいは隠しているとかいうことが起こってくるわけですから、教育基本法は、まさにこれをお認めいただくことによって、これにつながっている諸法を改正することによって新しい教育体制を確立していきたいということですから、これをストップしていじめの問題に全力を費やせというのは、ちょっと私はそういう感じは持っておりません。
○石井(郁)委員 いじめというのは、人間に対する軽蔑、侮蔑ということであり、また暴力行為でもあります。だから、人格を否定するという点で本当に子供たちが追い詰められるわけですね。それが学校にあるということが私は深刻だと思うんです。
そして、子供が命を絶つというのは確かにいじめだけではないかもしれない。しかし、命を絶つ子供たちが後を絶たない、出てくるというのは、やはり今の教育が持っている深刻な問題を示しているんだと受けとめなきゃいけないと思うんですね。しかも、校長先生までが自殺をされる、こういうことが起こっている。私は今、学校、まさに教育というのが非常事態だというふうに思うんです。
そういう意味で、私は、大臣の今の御答弁を伺いますと、この問題の重大性やまた緊迫性ということがちょっと感じられないというふうに言わなくちゃいけないと思うんですね。
そこで、きょうは少し大きな問題にもなりますけれども、教育基本法の審議と私はこれは深くかかわっていると思いますので、逆に言うと、政府提案の法案はストップしても、きちんとやはり今の教育行政のあり方をただすべきだという立場で伺うわけです。
現行教育基本法は、前文で「われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」とありますし、また、第一条、教育の目的では「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、」というふうにしている、有名でございますけれども、あるわけですね。これが教育基本法の核心部分だというふうに思います。個人の尊厳、個人の価値ということに重大な重きを置いておりますし、そういう教育が徹底されていけば、人間を大事にする、そういう教育ということが進んでいくのではないかというふうに思うんですね。
そこで伺うわけですが、教育基本法が制定されて六十年だということですが、やはり、残念ながらというか、この教育基本法が現場に根づいていない、こういう状況があるんじゃないかということが一点。そして、そういう状況で考えると、今問われているのは、現行の教育基本法という問題じゃなくて、そのもとでの戦後六十年の教育行政のあり方、教育行政そのものではないのかというふうに思うわけですが、大臣の御答弁をお願いします。
○伊吹国務大臣 それは、先生、いろいろな要因があると思います。根づいていないとは私は思いませんし、また今の教育基本法というのは非常に大切な、普遍的なことが書いてございます。
しかし、個人がやはり個人として尊厳を持って生きていけるためには、個人が乗っている共通の船、つまり公ですね、公というものに対する義務を果たして初めて崇高な権利というものは主張される。大切な守るべき自由には、やはり規律というものが裏にある。このことをやはり正確に子供たちに教えてこそ、いじめだとかそういうものがなくなるのであって、個人が何をしても個人の権利だということだけであれば、個人の尊厳だということであれば、やはり団体の規律というのは私は守れないと思いますから、今の法律は今の法律として私は立派なものだと思いますけれども、足らざるところをこの今お願いしている基本法で補っていきたいというのが我々の提案した理由です。
民主党さんも同じようにお考えになっていると思います。ですから、いろいろ具体的な、条項によっては違うところがありますが、対案として教育基本法改正案というものをお出しになっているんだと理解しております。
○石井(郁)委員 やはり個人の尊厳ということは私は大変重い中身を持っていると思うんですが、それは、子供といえども一人の人間としてその人格を尊重するということだと思うんです。
きのう、札幌の地方公聴会での公述人の方のお話を伺いまして、教育行政について伺ったところ、やはり子供の意見をきちんと吸い上げる教育行政になってほしい、そうなっていないところに問題があるのではないかということを言われたんですね、私も全くそのとおりだというふうに思ったんですが。
きょうは、私は、いじめ問題は、本当に防止とまた解決のために徹底した審議が必要だ、やはり深くて大きな問題、日本の教育を正していく大きな問題を含んでいるんだということで申し上げたわけですけれども、当委員会としても徹底審議が必要だということを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
次に、きょうは、文部科学省における教育改革に関する広報広聴活動についてということで伺いたいと思います。
文部科学省としては、国民との直接対話ということを位置づけまして、これまでいろいろな活動を行ってきたというふうに思いますが、その活動を教えていただきたいと思います。
○田中政府参考人 お答えを申し上げます。
教育基本法に関しましては、中央教育審議会で平成十三年十一月に諮問を受けまして、教育基本法の審議に入るわけでございますけれども、その後、中央教育審議会におきまして、特に、中間報告を提出した後、一日中教審、公聴会でございますけれども、これを全国五会場で開いておりますし、また、有識者七名、それから教育関係団体三十一団体からヒアリングを行っております。また、手紙、ファクス等で意見募集等も行い、これらを審議に反映しながら、中央教育審議会から御答申をいただいたところでございます。
この御答申を踏まえまして、文部科学省におきましては、さらに国民的な議論を高めるための取り組みといたしまして、教育改革フォーラムあるいはタウンミーティング等、それから答申パンフレット等の関係機関への配付、各種会議における説明等に取り組んできておるところでございます。
○石井(郁)委員 先般問題になっておりますタウンミーティングは八回行われていたということでありますが、この教育改革フォーラム、それからスクールミーティングは、いつ、どこで、何カ所行われていますか。
○田中政府参考人 お答えを申し上げます。
教育改革フォーラムは平成十三年から行っておりますので、中央教育審議会答申後の教育改革フォーラムについて御報告申し上げますが、平成十五年の五月十七日に山口県、十八日に熊本県、二十五日に新潟県、そして六月の一日には北海道、六月八日に愛知県、そして十月四日には東京と石川と香川県を衛星通信で結びまして、三会場で同日開催をしておるところでございます。また、本年九月には、九月十日に宇都宮、九月十七日に岡山で開催しておるところでございまして、中央教育審議会の答申後、全部で八回、十会場において開催をしておるところでございます。
また、スクールミーティングにつきましては、平成十七年一月から七月までに、四十七都道府県を網羅する形で、計三百八十校で実施したところでございます。
○石井(郁)委員 スクールミーティングも相当数行われていることはわかりましたが、特に教育改革フォーラム、今各地で行われていることをお述べいただきましたけれども、このフォーラムでのやらせ質問というのは調査しましたか。
○田中政府参考人 教育改革フォーラムにおきます御指摘は、発言候補者の確保等についてのお尋ねだと思いますけれども、教育改革フォーラムにつきましては、これまで当時の担当者等に確認したところでございまして、発言候補者の確保や発言のための資料の作成といったことはなかったというふうに承知しておるところでございます。
○石井(郁)委員 一応調べていただいたということは伺いましたけれども、いわゆるやらせ的なものはなかったと。ちょっとこれは驚いているんです。内閣府主催のタウンミーティングでは非常に広範囲にあった、八回のうち五回まで行われていたということが明らかになったと調査報告されたわけですけれども、教育改革フォーラムでは本当になかったのかということですね。
私は、到底そのようには考えられませんから、ちょっと調べてみました。これは文科省のホームページに出ているわけですけれども、発言要旨というのが大体各会場ごとに見ることができるんですね。
きょうは、そのうちから、配付資料として準備もいたしましたので、皆さんのお手元にあるかと思うんですが、今お話しの、例えば山口の会場、熊本の会場、新潟の会場、そして北海道、愛知とあるわけですけれども、そこを見ますと、タウンミーティングのやらせ質問とほぼ一致する発言がございました。
例えば山口会場では、「教育は時代に合わせて変わっていくべきものだと思う。」激しく時代が変化して、教育も変化する、変わらないのはおかしいということを言ったりする。それから熊本会場では、「教育基本法の改正とともに、教員の資質向上を特にお願いしたい。」等々あります。新潟では、「国民一人一人が家庭教育の重要性、しっかりとした家庭教育を行うことを自覚するためにも、その根本法である教育基本法に盛り込むことが大事」だ云々等々があるわけです。
あとは資料にお示しをいたしましたけれども、実は、この資料に、青森1、和歌山2云々、こうありますのは、さきのタウンミーティングで、いわゆる質問項目、三項目がございました。八戸で三項目ありましたね。その質問項目と同じ発言をする方が、依頼されて、実際に発言されたということが問題になったわけですよ。これは政府のタウンミーティングの調査報告書から私は引用いたしましたけれども、後の方で質問項目というのがそれぞれありまして、その質問項目に対応する発言者がこのようにあるという問題なんです。
これはもうはっきりと、タウンミーティングと同じようなやらせ質問のペーパーがやはりつくられていたのではないかという重大な疑惑を持たざるを得ないわけです。この点でも、本当になかったと言えるんでしょうか。
○田中政府参考人 教育改革フォーラムにおきます参加者の御意見についてでございますけれども、平成十五年五月から六月に開催いたしました教育改革フォーラムにおきましては、基調講演やパネルディスカッションの後、会場からの意見を紹介し、登壇者の方にコメントを求めたというような議事次第になっておるわけでございますけれども、これらの御意見は、あくまでも、教育基本法の改正など教育改革に関する自由な御意見として会場の参加者からいただいたものであると認識しておるところでございます。
委員、表現が似ているのではないかという御指摘でございますけれども、皆様方の意見の趣旨を簡潔にまとめたところでございまして、その段階で、ある程度、そういう項目ごとに似た表現になることはあり得るのではないかと考えております。
○石井(郁)委員 さらに、それぞれの会場での発言を見てみますと、違う会場で同じ内容で発言が行われているということがわかるんですね。
これは、私、資料の二ページ目にまとめましたけれども、例えば、権利のみを強調し過ぎているんじゃないか、これは先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、そういう質問の趣旨が同じように出てくる。これは、山口でも新潟でも北海道でも出てきます。
それから文化伝統の尊重、ここのところも、やはり同じように出てくる。「これまでの教育基本法で最も欠けていたのは、我が国の文化と伝統を尊重する精神の涵養であったと思う。」という形で出てくるというようなことですね。
それから、公共とは何かというようなことで出てくるわけですね。
こういう点でいいますと、私は、タウンミーティングの場合には質問項目のパターンがあったわけですから、それと同じようなことがやはり教育改革フォーラムにも出てくるという問題を指摘しているわけですよ。そして、しかも、今申し上げたこの文化伝統の尊重、公共とは何か云々というようなことでいいますと、これは、提出の教育基本法案のいわばポイントとなる、中心点となる問題でもあるわけですよ。
だから私は、このやらせ質問というのは、一般的に世論誘導、世論操作という話ではなくて、まさにこの政府提出の教育基本法案に賛成していく、それを誘導していく、そのために使われているというところが非常に重大だというふうに思うんですね。
それで、先ほど、一定調べてみたというお話ですが、本当にきちんと調査されたんでしょうか。改めて伺います。
○田中政府参考人 お答えを申し上げます。
調査に関しましては、当時の担当者からそのときの様子を聞きますと同時に、それ以外の関係者からも当時の状況についてお聞きをしたところでございます。
○石井(郁)委員 一応それでお聞きをしておきますけれども、この件にも関係いたしまして、過日、我が党の笠井議員が質問をいたしました。この点でも、その調査結果がどうなっているかをまず伺いたいと思います。
それは、八戸以外についても、内閣として速やかに文科省の具体的な関与の調査結果を調べていただきたいと。どの局、どの課のだれが内閣府に開催を依頼したのか、だれが連絡をとったのか、だれが質問項目を作成したのか、だれが指示し、だれが承認したのか。それから、文科省から内閣府への連絡文書を含めて、国会に資料を提出してほしい、報告してほしいということをお願いしたと思いますが、それはいかがですか。
○田中政府参考人 タウンミーティングにおける詳細につきましては、大臣の御指示をいただいて、省内に調査体制を整えまして現在調査をいたしておるところでございます。
○石井(郁)委員 その調査結果はいつ出していただけるんですか。
○田中政府参考人 文部科学省としては、一生懸命調査いたしまして、内閣官房長官のところに置かれます調査チームのところとも連携をとりながら、調査をきちんとしてまいりたいと考えております。
○石井(郁)委員 これは、いつまで調査され、いつ委員会に報告されるのかということをはっきりとお答えいただかなければ審議はできないと思いますが、それはいつですか。
○田中政府参考人 速やかに調査はしたいと思っておりますが、いつまでにできるか、現時点でお答えすることはできないと思っております。
○石井(郁)委員 それは本当に困りますよ。これでは審議続行できないじゃないですか、到底。この教育基本法にかかわってのやらせ質問なんですから、これは本当にこの法案の審議そのものに関係する重大問題です。それをきちっとこの審議中、この委員会の審議中にきちんと出していただきたい、そのことを重ねて、いつ出せますか。お出しになりますか。
○伊吹国務大臣 先生、ずっと座って聞いていただいているから、私が申し上げていることも聞いていただいたと思いますが、いろいろな民意のとり方があるんですよ。そして、一番の原点は、やはり国民の信託を受けた我々が、国民の代表として民意を背負ってここへ来ているんです。そして、その間接民主主義を補完する仕組みとして、タウンミーティングも一つでしょう。それから、いろいろな世論調査あるいは新聞の論説、いろいろなものがございます。そういうものを合わせて、最後はやはり国会で御判断をいただかなければなりませんので、調査というものはもちろん今鋭意進めさせております。
ただし、これは内閣の方針として、タウンミーティング全体の問題として文部科学省の分も官房長官に御提出をして、官房長官が整理をして立法府との対応を御協議になると思いますから、私どもの方は急がせてやらせたいと思います。
○石井(郁)委員 現在、本当に国民からすると、一体この法案の審議は何なのか、教育基本法というこんな重要な法案について、文科省が、いわば政府がこういう世論誘導をしていた。そういう意味では、私は、本当に今文科省は信用が地に落ちていると思いますよ。
だから、そういう状態のままでこの法案を例えば採決するだとか成立させるということは、到底できないじゃないですか。だから、やはりきちんと審議中に、この問題がなぜ起きたのか、その責任と反省はどうするのか。特に、責任の所在を明確にしてもらわないといけないと思うんですね。これは、政府として国民に対する本当に説明責任だと私は思いますよ。それがなくして調査中、調査中ということでは、この委員会もそれまでずっと開かなきゃいけないということになりますよ。
○伊吹国務大臣 責任の所在や、あるいはどういう経路でこういうことになったのかということは、それは調査をして、責任者は、全く責任の所在に従っておのおのの責任を果たさねばならないと思います。しかし、そのことと、この委員会で法案をどうお取り扱いになるかということは、これは私がお答えすることじゃなくて、委員会の皆さんがお決めになることです。
○石井(郁)委員 政府が教育基本法案をお出しになった、しかし、そのお出しになった経緯にこういうやらせ質問的なことがあって世論操作がされていた。重大じゃないですか。だから、本当にこれは、提出の資格そのものが問われる、そういう問題でもあるんですよ。そういう意味で私は申し上げているわけですね。
それでは、もう一つの、文科省としてこの問題は、一体、どの課というか、どこが担当されて、どういう仕組みの中で行われたかということをぜひ明らかにしていただきたいと思うんですが、そのために一つ伺いたいと思います。
ここに、私、文科省のホームページからとらせていただきました。それによりますと、「教育改革に関する広報・広聴活動の具体的な進め方」というのがございます。それで、そこでは三点あって、「スクールミーティングの実施」、それから「文部科学省等政府主催」、それでタウンミーティングがあり、教育改革フォーラムの開催というのがあるんですよ。だから、タウンミーティングと教育改革フォーラムは政府主催でやっているということであります。それで、三つ目に、「教育委員会、教育関係団体等主催の会議等への参加等」がある。この三つのことで行われてきたと。
そして、このようにあります。上記を総合的、効果的に行うため、平成十六年に教育改革広報・広聴プロジェクトチームを生涯学習政策局政策課に設置し、十七年一月七日にも同じプロジェクトチームを発足させたというふうにしてあります。
その総括責任者としては大臣官房審議官、チームリーダーとして生涯学習政策局政策課生涯学習企画官、チーム員として大臣官房、生涯学習政策局、初等中等教育局の職員九名、総勢十一名が当たっていると書かれております。ですから、この広報活動というのは、文科省を挙げての取り組みだということになるわけですね。
こういうところがいわば中心となって、今、ずっとこの間問題になっているやらせ質問的なことが行われてきたんじゃありませんか。これはいかがでしょう。
○田中政府参考人 御指摘のように、教育改革広報・広聴プロジェクトチームを生涯学習政策局の中に設置いたしまして、積極的な広報・広聴活動に取り組んでまいってきたところでございます。
○石井(郁)委員 だから、ここが、いわば質問項目をつくったり、発言者を組織したり、運営をしたり、そういうやらせ質問をしてきたんじゃありませんかと。広報活動をしてきたということ、それは、広報活動をする機構としてつくったわけですから広報活動でしょうけれども、質問に答えていませんよ。
○田中政府参考人 お答えを申し上げます。
現在、教育改革タウンミーティングにおいての調査結果につきましては、十一月九日に御報告しておりますように、平成十五年十二月十三日の岐阜におきますタウンミーティングにおきまして、文部科学省が岐阜県教育委員会に発言候補者の推薦を依頼し、そして文部省が発言のための質問案を作成し、岐阜県教育委員会に送付し、また内閣府にも送付したということと、平成十六年五月十五日の愛媛県でのタウンミーティングにおきまして、文部科学省が愛媛県教育委員会に発言候補者の推薦を依頼し、文部科学省は、発言のための項目案を作成し、愛媛県教育委員会に送付したところでございます。
○石井(郁)委員 どうも微妙にちょっと答弁をぼかしていると思うんですが、きょうは、全部文科省がしてきたと。それは、文科省がしてきたことは確かですよ。今、問題は、文科省内のどの担当で、どういう指示のもとで、だれが行ったんですか、そこをはっきりさせてくださいと。こんなのは何にも答えていないじゃないですか。全然答えになっていませんよ。
○田中政府参考人 お答えを申し上げます。
ただいま御指摘いただきました文部科学省の中で、だれが、どういう手順で、どういう了解を得てつくって御提出したかということにつきましては、現在、文部科学省の中に新たな調査体制をつくりまして調査に取り組んでおるところでございますので、その調査を踏まえまして御報告させていただきたいと考えております。
○石井(郁)委員 先ほど来、タウンミーティングについても、八戸以外のところについても調査中だ、教育改革フォーラムについてはそういうことはなかったという話になっているんですよ。しかし、本当になかったのかどうかという問題も疑惑として出てきているわけですよ。
だれが、どのようにして、どういう手順でという話は、今調査中と。そんなのは、省内で調べたらすぐわかることじゃないですか。何でそれがそんなに時間がかかるんですか。今、大事な審議をしているときですから、やはりすぐにも調べて報告をする、それが文科省の今とるべき立場ではありませんか。おかしいですよ、これは。
○田中政府参考人 お答えを申し上げます。
重ねての御質問でございますけれども、先ほど申し上げましたように、現在判明いたしておりますことにつきましては先般御報告をいたしたところでございまして、具体的な、だれがつくり、だれが決裁を得て、どういうふうに提出したか、その中身につきましては、現在調査をしておるところでございます。
○石井(郁)委員 本当にもう文科省は、文科省がしたということだけにとどめて、内部については何ら説明をしようとしないというのがありありとしているわけです。
もとに戻りまして、教育改革の広報・広聴プロジェクトチーム、これは文部科学大臣の了承のもとに設置されたんでしょうか。
○伊吹国務大臣 当時は私が大臣ではございませんので事実関係はよくわかりませんが、当然、当時の大臣は御承知であったと考えるのが役所としての常識だと思います。
○石井(郁)委員 それはまさにそのとおりでありまして、これは、私も見てみますと、当時、中山大臣だったと思いますが、大臣会見の概要がございまして、そこにははっきりと書いていますね。「教育改革につきまして、国民と直接対話をする機会を積極的に設け、」「現場の声をしっかり聞くということで、私自身もできるだけ現場に行って、生の声を聞きたいと思っています。このため、本日、教育改革広報・広聴プロジェクトチームを省内に発足させたところ」だというふうに述べております。
私きょう問題にしていますのは、本当にこのやらせ質問は、一体どこで行われたのか、だれの責任のもとで行われたのか、どういう仕組みでされたのか、これが何にも明らかにされていないわけです。ただ、八戸の問題については、総務課の広報室長というところが指示を出した、その了承のもとで行われたというところまではわかったんですね、そこは。
ですけれども、さらに、このやらせ質問がやはり文科大臣の了承のもとであったのかとか、あるいは、このプロジェクトチーム、教育改革の広報・広聴プロジェクトチームが、チームとして、これは相当な規模を持っていますから、総勢十一名ですよ、それで広報活動に当たった。タウンミーティングも、教育改革フォーラムも、スクールミーティングも、みんな進めてきたという大がかりな広報プロジェクトチームなんですよ。そこが全く知らないということは考えられません。一広報課の室長のところだけだったということは考えられない。
文科省と内閣府が連絡をとりながら政府主催で行ってきたということですから、そこら辺、この質問の中心となったのは一体どこなのか、大臣はそれをどのように御承知されていたのかということは、はっきりしていただかなければならないと思います。
○伊吹国務大臣 私は別に責任回避をするつもりはありませんが、当時の大臣は私ではございませんので、大臣としての私がどこまで知っていたかというと、そのときは、国会議員としての私は全く存じません。
しかし、役所の常識からしますと、これもあくまで推測ですよ、先生、推測ですが、これだけの組織を立ち上げるについては、大臣が了承をしなければ普通は立ち上げられない。これは役所として、私の長年の経験から、そのとおりだと思います。
ただ、おのおのの質問の内容について、こういう質問を、タウンミーティングについてですよ、内閣府に送りますとかどうだとかいうことは、多分大臣まで普通は上げないものですね。ですから、先日の当委員会における御質問に対して、政府参考人が広報室長という具体的な名前を挙げました、しかし、私はそれはちょっと軽率なんじゃないかと。
つまり、システムとして、今先生がおっしゃったこのプロジェクトチームの中で、だれが最後にそれじゃそうしろと言ったのか、広報室長が独断でやったのか。そこのところはしっかり調べてから答弁をしてやらないと、もしも上でそのことを了承している人がいれば、それは広報室長としてはたまったものじゃありませんから。窓口になっている人間は広報室長だけれども、そのあたりの仕組みをきっちり私は調べるようにということで、先ほど参考人が答弁しましたように、広報室とか生涯学習局というラインはこの中に組み込まれているわけですから、そこのラインの外にいる人間を調査の本部長に指名をして、けさ調査を始めろということを言ったわけです。
○石井(郁)委員 私がこの質問をしたのは十一月の一日でした。もうかなり日がたっています。重大問題だと、もう皆さんが認識をされていらっしゃいます。遅いんじゃないですか。しかも、この提出の教育基本法案の審議も、もう採決なんて声も聞こえるわけですけれども、本当にとんでもないと言わなきゃいけないと思うんですね。
だから、今のお話を聞いても、どうも総務課の広報室長だけではないようだと。しかし、この教育改革のプロジェクトチームがどうかかわったのかは、まだはっきりしないというか、お述べにならない。一体、だれが、どこで、どんなふうにかかわっていたのか。そんなに調査に時間がかかると思えません。やる気になればできるんじゃないですか。なぜしないんですか。私は、そういう答弁のまま、とてもこの法案の審議を終えるわけにいかないと思うんですね。
いつまでにきちんと調査、報告されるか、もう一度伺います。
○伊吹国務大臣 それは、先生が御質問になってから、これはもう役人の性癖ですから、私も役人をやっておりましたからよくわかりますけれども、当然、当時の事情はどうであったろうかということは、内々に調査していると思います。
しかし、少なくとも責任者である私のところへ持ってくる限りは、隠し立てをしたり、現場でやっている者に責任を押しつけたりするということは私は認めたくありませんから、その流れがどうなっているかということをはっきりしろと。しかも、その中へ入っていた、例えば広報室であれば、普通はこういうことは大臣官房長にやらせるのが普通なんですよ。しかし、広報室というのは大臣官房長のもとにある組織ですから、大臣官房長が調査の責任者になることは私は認めないということを言っておるわけです。
だから、最終的にその取りまとめをしたものを私のところへ出せということをきょう指示したということで、何も手をこまねいていたわけじゃありません。
○石井(郁)委員 私は本当に、ここで座り込んで、しっかりした答弁をお聞きしなきゃいけないということなんですが、しかし、きょうわかったことは、やはり、やらせ質問というのは文科省として省を挙げてやってきたということですよね。私は本当に恥ずかしい事態だと思います。安倍総理も、教育基本法を変えるのは規範意識を育てるためだとさんざん言っておられるわけですけれども、規範意識が最もないのが文科省じゃないですか。そのことを露呈したと思うんですね。
ですから、いつまでも調査、報告を引き延ばしていたのでは、ますます国民の信頼を失うというふうに思います。各新聞も、本当に厳しい批判をこの問題で寄せています。この調査を審議中に必ずお出しいただくように強く求めて、きょうは質問を終わりたいと思います。
派遣委員の北海道における意見聴取に関する記録
一、期日
平成十八年十一月十三日(月)
二、場所
札幌全日空ホテル
三、意見を聴取した問題
教育基本法案(第百六十四回国会、内閣提出)及び日本国教育基本法案(第百六十四回国会、鳩山由紀夫君外六名提出)について
四、出席者
(1) 派遣委員
座長 鈴木 恒夫君
やまぎわ大志郎君 牧 義夫君
横山 北斗君 西 博義君
石井 郁子君
(2) 意見陳述者
札幌国際大学人文学部教授 西田 豊君
元高校教諭 加藤 義勝君
北星学園大学経済学部教授 岩本 一郎君
(3) その他の出席者
文部科学省大臣官房総括審議官 金森 越哉君
――――◇―――――
午後一時開議
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
札幌での公聴会ですけれども、きょうはそれぞれの立場から教育についてのお考えをお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。
教育基本法に関する特別委員会の審議が、いじめ問題や高校の未履修問題が大問題となっている中で、かなりその問題に集中して審議が行われるという状況にもなっておりますけれども、私は、これ自身は、今現場が抱えている、また子供たちがぶつかっている、また親も教師もぶつかっている大問題だというふうに思いますので、しっかり議論をしなきゃいけないことだと考えているところです。
それで、実はこの週明け、私も本当にかなり胸を痛めてというか、迎えたところなんですが、いじめの自殺予告の報道などがございまして、そういうことがなければいいなという思いで週末を迎えたんですが、きょうは新聞の休刊日ですけれども、スポーツ新聞を見ていますと、何と大阪と埼玉で子供が自殺をしている。また、このいじめ問題で、いじめ隠しということになって、校長先生が自殺されるというような記事なんですね。だから、さらに問題が深まり、深刻化しているという状況できょうを迎えているというふうに私は考えております。
それで、最初に西田陳述人に伺いたいと思いますが、こういう現場が今抱えている深刻な問題、この問題にきちんと解決に向かうというのが一つは国の政治の責任ではないのか、文教行政の大きな課題ではないのかと思いますが、それについての御認識を伺いたいことと、そして、では、今教育基本法を変えるという審議をしているわけですけれども、政府提案の教育基本法案では、こういう問題に果たしてどういう有効性を持つのか、政府案はどの点が有効性たり得るのかということについてお聞かせいただければと思います。
○西田豊君 まず最初の、いじめ等にかかわる件でございますが、これは、私、個人的にはこういうふうに思っております。
いわゆる学校が社会性を育成するための教育機関だとすれば、これは知識だけの話ではないわけでございますから、そういう場所で子供たちを育成していくとなると、いわゆる多人数の社会性を身につけさせる、その中で、実は、人が二人以上いましたら、いじめがないということはないんだろうと思うんです。すなわち、これは受け取る側の心の問題でございまして、そのときに、いやいや、そんなことまで言わなくたってと思う、そのレベルのことは多々出てくるだろうと思います。
だとすると、いじめというのはなくならないものだとすれば、どうするのか。それこそ心の強い子供を育てればいいというのは簡単でございますが、それだけで済むことではない。やはり弱い心のときに、自分の心を支えてくれたり温かく包んでくれる、そういう環境が各一人一人の子供の中に必要なんだろうと思う。では、学校教育の中でそれはできるのか。実は、家庭との連携を密にしていくことによって、お母さんたちにそこら辺のことを教えながら、そして、子供を家庭と学校で四六時中見詰めながらアンテナを張っていくことが大事なんじゃないか。
そしてもう一つは、私、書きましたとおり、資質の高い先生を欲しいというのはそこなんでございます。人間性豊かな、困ったときに温かく包んでくれる先生をたくさん現場に派遣していただくことがこれの解決のまず第一なのかな、こんなふうに思うわけでございます。
こればかりしゃべっていると時間がなくなりますので、その次でございますが、二つ目、どれでしたか。
○石井(郁)委員 今回の改正案というか、それがこういういじめ問題にどのように有効ですかと。
○西田豊君 それで、改正案のそこのところにつきましては、今言いましたように、この教員のところが明記されてきておりますので、その「崇高な使命を」というところあたりを具現化した形での教員の採用をしていただくことが大事なことなんじゃないかしら。これは、採用だけではなくて、たしか先ほどやまぎわさんの方から御質問がありましたように、ぜひ、そういう評価の面や何かも、やる気の出る評価というのをやっていく必要がある、こんなふうに考えております。
○石井(郁)委員 どうもありがとうございます。
私は、現実の問題にはもっと現実的な対応、そしてまた、その原因をしっかり見るような対応が必要かなというふうに思っていますが、それはおきまして、未履修の問題で加藤陳述人に伺いたいと思います。
高校の先生をしていらしたということでございますので、高校の必修の未履修の問題、今、世界史を受けていなかったという問題、このことでございます。これが発覚をいたしまして、そして一応文科省、また与党の間でも対応策が考えられたようなんですが、これで解決するとは思われない。当面の鎮静化のようにも見えるんですけれども、子供たちの多くは納得していないだろう、または教師、親の側も国民の側も、これで一件落着とはいかないというふうに思うんですね。
それで、今、国会でも審議をしておりまして、どうも政府の方から聞こえるのは、学校が虚偽の報告をしている、学校がうそをついているという話や、また、教育委員会がだまされていたのではないかという話や、文科省も結局だまされていたんだという話で終わっているわけですね。しかし、どう考えても、今私はここでどこが責任ということは申し上げませんけれども、こういう問題がなぜ起きるのか。これは明らかなルール違反ですから、学校で子供たちにうそをつくなと言いながらうそをついているということは、全く本当に許されないわけですから。
こういう問題がなぜ起きるのか、どうしたらこういう問題を今後なくしていけるのかというのは、実は日本の教育、高校教育のあり方や入試制度や受験競争全体にかかわる問題だというのは多くの方々が御指摘をされるとおりだと思うんですけれども、端的に、学校の現場でなぜこういうことが起きてしまうのかということについてのお考えをお聞かせいただければと思います。
○加藤義勝君 一昔前の学生は、高校生は大分勉強したと思うんですよね。かなり勉強にかける時間が多かったと思うんです。ところが、だんだんと少子化になりまして、余り努力しなくてもそれなりの大学に行ける。ということは、どういうことかといいますと、生徒の能力といいますか努力の量が足りないので、学校側で配慮して、余り負担にならないような方法で何とか自分の学校も名を上げたいというような気持ちもあるんではないかと思いますけれども。
私、きのう、おとついと、今現職の高校の教員に数人当たってみたんですね。そうしたら、今発表されているような状態ではない、ほとんどの学校がやっているんではないかと。それが現実だということは、やはり学校側も、いや、私が校長だったら生徒になんか謝りたくないと思いますよ。なぜかといったら、君たちの将来を考えてこっちの方はやったんだから、私だったら謝らないと思いますよ。あれはおかしいと思うんですよ。生徒のためを考えてやっているのに校長がなぜ謝らなきゃならないか、そういうような考えですけれども。
○石井(郁)委員 正直なというか率直な声をお聞かせいただきまして、これが公聴会の公聴会たるゆえんかなと思いまして、本当にありがとうございます。
もう時間でございますけれども、最後に岩本陳述人に伺いたいと思います。
国会でも、今のような形で、教育基本法の現行法と政府案と民主党案が出されてありますけれども、この法案の内容自身についての議論というのはなかなかできない、できにくいところがあるんですね。時間的にもまだまだ足りない、こういった御意見があるかもしれませんけれども。
そういう状況でございますので、この機会に伺いたいんですけれども、やはり政府案は、現行の教育基本法に全くないもの、先ほど来、「人格の完成」等々の、いろいろ文言はちりばめられているというのは言われていますけれども、現行法と全く違うのが、第二条に新たに「教育の目標」と置いたところなんですよね。「教育行政」のところも、国民全体に直接責任を負うという文言がなくなったという大問題もありますが、一つ、この「教育の目標」というのが五項それぞれ、愛国心でも議論になりましたが、目標が態度を養うというところになっているんですよ。それで、やはり根本法、法律に態度を養うという、態度を国民にいわば義務づける、こういうことが果たして法律としてなじむのかどうかというのは一つ大問題だと思うんですね。
岩本陳述人からは、現行の憲法と現行教育基本法との精神というか理念上の一致点をお聞かせいただきまして、私も全く同意見なんですけれども、今の、国民に結局態度を強要するという法律というのは一体どういうものになっていくのか、これは日本の教育に今後どんな影響をもたらして、もしこれが通ればですよ、どういう影響をもたらすものなのかということについてお聞かせいただければと思います。
○岩本一郎君 今御質問いただいたのは、法律と道徳との関係だと思うんですけれども、私の基本的な考え方は、近代法の原理というのは、法律と道徳というのは分離すべきものであって、道徳的な態度を法律によって養う、あるいは強制するということは、これは近代法において、あるいは立憲主義においてあってはならないことだというふうに考えております。
しかしながら、法と道徳というのは全く無関係なものではございません。例えば刑法のようなものというのは、例えば人を殺してはいけないとかそういった事柄というのは、確かに道徳との一致点はあるわけです。しかしながら、法律の中で、そこに組み込まれている道徳というのは最低限の道徳であって、これは、さまざまな人間が暮らしていて、さまざまな考え方を持っている人間たちが暮らすこの社会において最低限の守らなければならない道徳、すべての道徳観において共有されている、コンセンサスを得られる、理にかなった道徳でなければならないというふうに思うわけです。
しかしながら、ここに書かれている、教育の目標に挙げられている徳目というのは、これは国民の間にかなりの理解の違い、あるいは議論があるわけであって、この道徳が決して国民にコンセンサスを得たような、そういう最低限の道徳だというふうには私は思えません。
したがいまして、近代法の原則であります法と道徳を分離すべしというこの考え方に立ち戻れば、こういった教育の目標を教育基本法という理念法の中に盛り込むということは、憲法的にもあるいは法理論的にも間違っているというふうに私は思っております。
以上です。
○石井(郁)委員 どうもありがとうございます。
そういう点でも、私も大変心強く思うんですけれども、もう一点、今最初に申し上げましたように、やはり現在のさまざまに生起しているこの教育問題、そして現場が本当に解決してほしいという問題、これに取り組んでいく上での、解決する上での教育行政の役割というものについてもどのようにお考えになっていらっしゃるか、岩本陳述人、もう残り時間わずかなんですけれども、最後にお聞かせいただければと思います。
○岩本一郎君 教育行政につきましても、これも現行の教育基本法十条を踏まえた上できちんとやるべき事柄であって、これは学校あるいは教育行政も含めて、自由と参加ということがきちんと踏まえられていなければならない。そこで一番だれの声を聞くかというのは、やはり子供です。子供の意見を聞かなければならないわけであって、子供の意見をきちんと吸い上げるような行政であり、そして教育であってほしいというふうに思うわけです。
先ほどの家庭の話の中でも、ジェンダーバイアスがかなりありまして、お弁当をつくるのはお母さん、そして学校に行くのもお母さん。そうではなくて、本当は父親が出ていくべき話であって、それがきちんとなされない限りにおいては、学校は自由にはならないし、この仕組みは変わっていかないだろうというふうに私は考えております。
以上です。
○石井(郁)委員 どうもありがとうございます。
時間が参りました。ただいまのいただいた御意見を踏まえまして、国会での慎重審議をしてまいりたいというふうに思っております。どうも本当にありがとうございました。