委員長 桝屋 敬悟君
理事 鈴木 恒夫君 理事 田野瀬良太郎君
理事 西村 明宏君 理事 平田 耕一君
理事 藤村 修君 理事 笠 浩史君
理事 遠藤 乙彦君
阿部 俊子君 秋葉 賢也君
新井 悦二君 伊藤 忠彦君
飯島 夕雁君 江崎 鐵磨君
小川 友一君 小野 次郎君
小渕 優子君 加藤 紘一君
小島 敏男君 佐藤 錬君
坂井 学君 柴山 昌彦君
鈴木 俊一君 冨岡 勉君
西本 勝子君 馳 浩君
平口 洋君 福田 峰之君
藤田 幹雄君 二田 孝治君
安井潤一郎君 山本ともひろ君
内山 晃君 奥村 展三君
田島 一成君 高井 美穂君
野田 佳彦君 牧 義夫君
松本 大輔君 松本 剛明君
柚木 道義君 横山 北斗君
漆原 良夫君 西 博義君
石井 郁子君 保坂 展人君
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文部科学大臣 伊吹 文明君
文部科学副大臣 池坊 保子君
文部科学大臣政務官 小渕 優子君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山中 伸一君
政府参考人
(内閣法制局第一部長) 山本 庸幸君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局長) 田中壮一郎君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 銭谷 眞美君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 樋口 修資君
政府参考人
(文化庁次長) 加茂川幸夫君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 宮田 年耕君
文部科学委員会専門員 井上 茂男君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学行政の基本施策に関する件
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○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。
きょう、私は二つのテーマで御質問をいたしますが、基本的に伊吹文科大臣の御認識を伺いたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
まず、いじめ問題でございます。
福岡県筑前町で自殺した子供の学校の教師ですね、クラスの生徒に対して、成績に応じて、「あまおう」という、イチゴの銘柄なんですか、赤くて甘くて大きなイチゴのことのようです、「とよのか」などと呼んで、成績の悪い生徒を出荷できないイチゴと呼んでいたということが報じられています。自殺された、御両親が生徒を人間として扱っていない証拠だと言っていましたが、私もこういう表現はそのとおりだというふうに思います。
そして、こういうふうに言った教師は、なぜ息子をいじめたのかとの両親からの問いに対して、からかいやすかったからだということを御両親の前で答えたというんですね。教師としては、これはもう言語道断の言動と言わなければなりません。だから、教師がいわばいじめの先頭に立っている、この教師を見て子供の間でさらにいじめが助長される、こういう構図になっているということであって、私は断じて許せないというふうに思います。
生徒をイチゴになぞらえていわばランクづけをしているわけですね。これこそ、よい材料を仕入れてよい製品を出荷するという、まさに市場原理の発想そのものが学校に行き渡っている、学校はここまで来ているのかと言わざるを得ないわけであります。
福岡県では、昨年五十七の市町村で独自の学力テストを行っている。今年度は全校で学力テストを行うという形で、競争教育というのはやはり強まっているわけですね。だから、点数の高い生徒はよい生徒、低い生徒は悪い生徒、できが悪い生徒ということで、これはやはり子供を商品のようにしか見ない考えがこういう中で生み出されているというふうに言わざるを得ません。
この問題については私は後日改めて質問したいと思っておりまして、今回は、いじめが起きた、文科省が発表されている数字と、それから現状というのが余りにも乖離している、かけ離れているんじゃないか、これが今大きな問題になっているわけでございますので、この点で伺いたいと思っています。
例えば、不登校の生徒の数は、福岡の場合、千人当たりに二十・七人なのに対して、いじめの発生件数が〇・三人なんですよ。これはだれが見てもおかしいというわけですけれども、この三輪中学校の校長先生は、ここ数年七、八件のいじめがあったにもかかわらず、報告はしていなかったというわけですね。
今、メディアなどでも、いじめによる自殺が九九年度以降ゼロということが話題になっている。文科省の統計の発表数字ではゼロなんですよね、いじめの自殺がゼロ。
このようにして、報告されている数と実態というのが本当に乖離しているという現実、まずこの問題について文科大臣としてのお考えを伺わせていただきます。
○伊吹国務大臣 いじめの問題の調査の際に私が痛感をいたしましたことは、先ほど民主党の藤村先生から御質問があったことなんですが、文部科学省というのはどこまで個別の小学校に関与できるかということです。
文部科学省、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、学校という流れの中で、どこかで物事を隠すというのか、外へ出したくないという流れがあって、最終的に文科省へ上がってくるときは、いじめによる自殺がゼロと。自殺の原因は確かに非常に多重的ですから、原因の認定というのは非常に難しかったんだと思いますが、先生が御指摘のように、現在の実態を見ると、余りにも実態離れしている。
ですから、何度も何度も通達を出しておるんです。例えばいじめについては、教育委員会がいじめと認定できなくても、児童からいじめがあったという訴えがあった場合は数字として出せとか。そういうことを必ずやっておるんですが、それでも、このかばい合いの体質の中でこういうことになっておりますので、昨日もう一度、そこのところをきっちりと、その数字を隠さずに出す。
私は、先ほど申しましたように、文科省へ行きましたときは、報告、連絡、相談、確認だけはきっちりやれと。隠すなと。失敗はだれでもあるから、隠すなと。それさえやれば、失敗した責任は私がとるからと。ただ、隠した場合はやめさせるぞということは言ってあります。
ですから、どういう調査をしたか、ちょっと、お許しいただければ、参考人からきのうの状況をお話しさせたいと思います。
○石井(郁)委員 やはり数字が正確な実態を反映していないということをお認めになったと思うんですが、何かが隠されているという問題だと思うんですね。これはやはりこのままにしておくわけにいかないということだと思うんですね。
そこで、私はきょう、いじめや不登校に関する調査が現実にどのように行われているんだろうか、このことでちょっと事例をお示ししたいと思って、資料を用意いたしました。これは十八年度の新潟市の学校評価表というものなんですが、四月に学校が新潟市の教育委員会に提出するという資料のようです。
これによりますと、一枚目、「取組分野」として「いじめ・不登校の減少」というのがあるんですね。年度当初には、「評価項目」で、いじめ発生件数がゼロ件だ、二つ目には、不登校の件数が十件未満であるということがあって、これがいわば目標に当たるものですけれども、このように、いじめ発生件数をゼロというふうにしないと教育委員会からは突き返されるというんですよ。だから、もうゼロと書いて報告をする。
それで、「評価基準」として、ここにはA、B、C、Dというふうにありますが、Aだったらゼロ件、Bは一件等々とありますけれども、こんなふうに四段階の評価基準というふうになっているということですね。不登校についても、A、B、C、D、それぞれ十件未満、十二件未満等々というふうに四段階の評価基準になっているわけです。
いじめについては、年度当初の数値目標がゼロ件だから、九月末と年度末評価も、ゼロ件のAにしないと受け付けないというふうに言われている。だから、ゼロ件のAに丸をつけて提出するというふうになっているわけです。
文科省はこういう実態というのは把握しているんでしょうか。
○銭谷政府参考人 お尋ねの、児童生徒の問題行動等に関する数値の目標を挙げて取り組んでいる都道府県、政令市につきましては、本年度については私どもちょっとデータは持ち合わせておりません。
平成十五年度の調査結果では、いじめに関する数値目標を市としてあるいは県として掲げているという県、政令市が十県政令市でございました。それは、例えばいじめをことしはその市として一割減らしましょうとか、二割減らしましょうとか、半分にしましょうとか、こういったような目標を掲げていじめの問題に取り組んでいるという市でございます。
なお、私ども従来から、先ほど大臣の方からもお話ございましたように、いじめの把握につきましては、教育委員会が確認をしたあるいは学校が確認をしたいじめではなくて、子供の方からいじめに遭ったと申し出たものをぜひ報告してほしいということを言っているわけでございます。
ですから、私ども、件数の多寡にこだわるとか、そういう姿勢でいじめの問題に取り組むわけではもちろんありませんで、昨日緊急に行いました課長会議などにおきましても事例報告がございましたけれども、いじめが一件もないという、本当に実態を把握できなくていじめが一件もないというよりは、仮にいじめが五件あっても、その五件についてこういう取り組みをして、迅速にやったというところの学校の方が本当はいいんだといったような事例報告もございました。ただ、こういうふうに、学校としていろいろ取り組みをやって、いじめの未然防止に努めようということは、これはあり得ることだと思っております。
○石井(郁)委員 現実に、いじめがどんなふうに調査されて、実態報告をされているかということで私は伺ったわけです。
もう一つ、きょうの資料で、「学校訪問資料」という中にもそれははっきりと書かれておりまして、ここでも評価基準としてあるんですね。これは指導主事が学校訪問の際に、その学校が提出する資料となっているわけですが、ここでも、「生徒指導にかかわる実態」というところに「いじめ」と、「不登校」という項目がありますけれども、十七年度の件数はそれぞれゼロになっているんですね、一年生ゼロ、二年ゼロ、三年ゼロと記入されています。だから、これは学校評価表でAをゼロ件としたために、ここでもゼロ人というふうになっているわけですね。不登校の方は、数字を隠せないために一定の数字が出ておりますけれども。この数字はこの資料では学校が特定されるので消してあります。
私は、こういう数字の操作というのはそもそも許されるわけではないと思うんですね。しかも、これは教育委員会の指導のもとで行われている、これが現実だ、実態だというところが重大だというふうに思うんですよ。だから組織的ないじめのいわば隠ぺいがこういうところで進んでいると言わざるを得ませんけれども、大臣、いかがでしょう。
これは大臣に。もう時間がありませんので、大臣にきょうはお願いします。
○伊吹国務大臣 やはり、自分をよく見せたい、自分の組織をよく見せたいという中から、実態と違うような数字を出してくるということは、それは否定できないと思いますね。
しかし同時に、一定の目標を決めて、その目標に合うように学校をうまく運営し、つくってくれというやり方を、これもいけないと言われると、ちょっと学校の指導の基準というものをなかなか見つけにくいというものがありますから。要は、これはやはり校長、教頭あるいは教育委員会の人の、まあ、言葉は悪いですが人間力をしっかりしてもらうより仕方のないことなので、そこはきのうの会議でも厳しく、隠すよりも実態をしっかりした人の方が立派なんだということを厳しく言えということを言ったわけです。
○石井(郁)委員 私も目標一般を否定するつもりはありませんが、事はいじめ、あるいは不登校、しかも子供たちが命をかけて訴えている、こういう深刻な問題なんですよね。この問題の性格からして、一年間ことしはもうゼロにしますと言ったところでできるわけがないということがあるじゃないですか。だから、主観的なそういう希望はわかります、そうしたいという。それは皆さんもそうだと思うんです。そのことと、このことを数値化してやるということとはやはり別問題だというふうに思うんですね。
それで、もう一つですが、なぜこういうことが今現実に起こったのかということなんですよ。大臣、その点ではいかがですか。教育界に一般的にそういう問題があるという話もされましたけれども、今あちこちで、ある面で、進んでいるわけですね。こういう、数値化して何年に何割削減とかいう形のことが行われているんですけれども、実は、この背景となっているのに、平成十五年、三年前の中央教育審議会、中教審の答申がどうもあるんですよ。
中教審の答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」という中にありまして、今後の審議において計画に盛り込むことが考えられる具体的な政策目標の例として、いじめ、校内暴力の五年間で半減を目指すというのがきちんと書いてあります、これはもう当然大臣は御存じと思いますけれども。それで、安心して勉強できる学習環境づくりを推進すると。だから、いじめも不登校も大幅な減少を目指すということがここに掲げられているんですよ。まさにこれと同じことがある面で現場に一斉におりていっている、そういうことではないのかと思いますが、大臣、いかがでしょう。
○伊吹国務大臣 やはり、困ったことは減らすということを目標として、人間は努力しなければその目的を達成できないわけですから。ただ、そういう目標があるからといって、失敗しているのに、意図的にその目標に合うように事実を隠ぺいするということに問題があるんじゃないでしょうか。
だから、そういう体質を除去するように、我々は各教育委員会にお願いしますし、都道府県教育委員会や政令市の教育委員会でも、必ずしも数値目標をすべてが掲げて学校を指導しているわけではないんですよ。先ほど参考人が申しましたように、十の教育委員会ではそういうことをやっている。そこでどういう問題が起こったか、掲げていないところではどうだったか、これは一度調べさせていただきます。
○石井(郁)委員 今問題の福岡県でございますけれども、ここでは不登校については十四年度の数値目標を設定しました。五年間で十三年度比二割削減というふうに掲げたんですね。それから、いじめについては一件もあってはならない、その基本スタンスで根絶を目指すというふうに書いているわけです。ですから、先ほどの福岡県の挙がっている数字は〇・三人などという信じられないような数字なんですよ。目標を掲げるけれども、だから数字をごまかす、隠ぺいする、これはおかしいじゃないですか。
私は、こういう対応というのが、こういうやり方というのが、こんな異常な報告数の少なさと、そしていじめの隠ぺい、さらなるいじめが深まっていく、そして死にまで追いやっている、いじめが解消するどころか、深刻化しているという実態につながっているんじゃないですか。ここはやはりきちっと考えるべきだというふうに思いますし、私は、何年間で半減だとか、これはもうこの中教審の教育基本法絡みで新教育振興基本計画にありますから、いわば先取り的に進んでいるんじゃないのかと言わざるを得ないわけですけれども、こういう数値目標の設定はやはりもう間違いだということをこの時期に文科省としてお認めになるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょう。
○伊吹国務大臣 それは、先生のおっしゃるように、すぐ、そうだと私はお答えはすることはできません。
やはり、困ったことはこの程度努力をして減らしていくんだという目標を立てないといけないので、先生がそういうことをおっしゃっているわけじゃないと思いますが、いじめについては目標を達成、いじめはこういう目標を持って減らしていくということを記述しなくてもいいというわけにはいきませんよね、これは。
では、先生の場合はどういう記述が適当だとお考えになっているんでしょうか。むしろ、いじめというものはやはり直さねばならない、直すのであればその直すべき目標をある程度持って指導してもらわねばならない。ただし、その目標があるからそれに合うようにつくって、自分はいかにも、うまくやっていないのに、やったような表現をする人に問題があるんだと私は思いますよ。
○石井(郁)委員 私は、やはり、前年度比何割減らすとか、五年間で半減とか、こういう設定の仕方は無理があるでしょうということを申し上げているわけです。それは、いじめや不登校というこの問題の性質を全く理解していないということから出ているというふうにも言わざるを得ないわけですね。
私はこれから本格的な議論をぜひさせていただこうと思いますけれども、やはり、いじめは早期に発見する、早く解決をする、それは傷が深まらないわけですよ。そのためにも、学校、地域、親、家庭、一体となって取り組まなきゃいけませんし、それから教育的にその克服を考えていく。それから、どういう取り組みをして一つ一つの事例が解決されたかという、その取り組みにこそ意義があるわけであって、そこを支援するのがやはり行政の一番のやるべきことだ。ゼロになったからいいと、ゼロになることはいいことですよ、いいことですが、事はそれほど機械的にはいかない性質の問題だということを申し上げているわけで、そういう取り組みのプロセス、そういうものをきちっと支援するという姿勢に立ってもらいたいということを申し上げているわけであります。
だから、ぜひ、その数値目標を押しつける、まあ、それぞれの地方自治体、教育委員会がやるということ自身が問題なんですけれども、文科省としてはそこをきちっと見るべきだということを申し上げているわけであります。
それで、委員長にぜひこの機会に提案したいと思うんですけれども、このいじめ問題というのは本当に深刻ですし、また大きな問題、いろいろな角度から考えなきゃいけない問題をはらんでおりますので、また学校の評価とか人事評価制度、そして、今の学校のあり方等々を含んでおりますので、また社会の問題としてもいろいろあると思いますし、やはりこの問題での当委員会での集中審議を私はぜひ要請したいと思いますが、いかがでしょう。
○桝屋委員長 理事会で議論をさせていただきます。
○石井(郁)委員 もう一つのテーマのことですが、ちょっと、がらりと変わるんですけれども、文化財の保護に関係したことでありまして、これは木簡の保護ということなんです。
つい先ごろも、大阪難波宮、難波宮跡とも言いますけれども、七世紀中ごろの万葉仮名が書かれた木簡が発見されてちょっと話題になりました。木簡というのは古代の文字史料として非常に貴重だ、また歴史的な史料だというふうに思うんですが、今、平城宮跡のすぐそばに地下にトンネルを掘って高速道路を建設するという計画があります。平城宮跡は、申し上げるまでもなく、国指定の特別史跡であります。またユネスコの世界遺産にも登録されております。それで、問題は、トンネル工事によって水位が下がると地下に埋蔵されている木簡が消滅の危機にさらされるのではないかという危惧の声が市民の方々、市民団体、研究者の間から上がっておりますので、この機会に一つ伺いたいと思うんです。
ちょうど今、九月二十二日から十月二十六日までに、大和北道路の環境影響評価準備書、いわばアセスメントの準備書ですね、その公告がされて地元で縦覧されております。それによれば、予測結果について非常に簡単な記述しかありませんで、このようにあるんですね。道路建設による地下水位変動は数センチ程度だ、年間平均変動幅約八十一センチメートルより小さいため、地下水位変動への影響は極めて小さいと予測されるという、これだけの記述なんですね。
私は、これでは住民の方々がわからないんじゃないかということで、きょうはちょっと国交省にもおいでいただきましてお聞きしたいんですが、水位観測点は二十カ所にあるんですよ、平城宮跡の中とその周辺とで。しかし、その観測点ごとの水位変動の数値は示されておりません。だからそのバックデータがわかりませんので、その影響は小さいという結論だけがあります。
そういうことで、ちょっとお伺いしたいのは、各観測点の水位変動はどれだけなのかということと、数センチ程度の変動というのは水位が下がったままだというふうに理解していいのかどうか、これは簡潔に、国交省にお願いしております。
○宮田政府参考人 お答えを申し上げます。
大和北道路に関しましては、この九月から公告縦覧されております環境影響評価準備書には、これまでに実施しております地下水調査の結果や地質調査の結果を踏まえて、二十一カ所の観測データを用いてコンピューター解析を行い、大和北道路が整備された場合の地下水位変動の予測結果として、道路建設による第一帯水層、これは木簡が埋蔵されていると考えられる層でございますが、第一帯水層の地下水位変動は数センチ程度であり、季節変動より小さいため、地下水位変動への影響は極めて小さいと予測されます。先生がおっしゃったとおりでございます。
この根拠でございますが、道路建設による地下水位変動数センチ程度と判断しておりますのは、地下水位に影響を与えると考える地域の中で最大の変動量が二・五センチとのシミュレーションによる予測結果、これによるものでございます。なお、文化財が集中していると想定される平城宮跡内の地下水観測をしている四地点の変動量は、〇・五センチあるいは一・三センチの幅でございます。
引き続き、地下水の状況を把握しまして、地下水保全の考え方について検討するために設置いたしました大和北道路地下水モニタリング検討委員会で検討するとともに、いろいろな方の御意見を伺い、文化財の保全と調和のとれた大和北道路となるよう計画を進めてまいる所存でございます。
○石井(郁)委員 現在国交省で進めている調査結果については以上のようなことかと思うんです。
それで、文化庁にぜひ伺いたいと思うんですが、やはり文化財保護というのは文科省文化庁の管轄だと思うんですね、範囲だと。それで、この水位の変化なんですが、地下の木簡にこれでどういう影響が出るというふうに考えておられるんでしょうか。また、問題なく木簡が保存されるというふうに認識をお持ちなのかどうか。いかがでしょう。
○加茂川政府参考人 お答えをいたします。
平城宮跡の発掘調査で見つかりました木簡につきましては、委員御指摘のように、私どもも大変貴重な文化財だと認識をしておりまして、この保護を図っていくことが課題であることも十分承知をしておるわけでございます。
したがいまして、今の大和北道路建築にかかわることにつきましても、この保護の立場から積極的にかかわっていきたいと思っておるわけでございますが、御指摘のございました環境影響評価準備書に記載されております事項は、私ども関心を持って注視しておりました専門家の意見、地下水についての専門家から成る地下水検討委員会の調査結果が既に出ておりますけれども、これ等も同様の評価になってございまして、私どもとしては、木簡保護の立場からもってしてもその影響は少ないのではないかと考えておるわけでございます。
ただ、この後のウオッチングといいますか、影響評価についてきちんとした対応をとるべきという認識もまた同時に持っておるわけでございます。
○石井(郁)委員 影響は少ないというのは、非常にあいまいな表現なんですよね。影響がないとは言い切ってないわけですから。そういう意味では、私は問題は非常に残っているというふうに思うんですね。
先ほども、季節変動と比べると数センチだから少ないという話があるんですが、季節変動というのは、これは国交省がコンサルタントに委託した調査結果にあるんですけれども、夏場には水位が下がるけれども、これは農業用水のくみ上げが終わるともとに戻る、こうあるわけですね。平城京というのは、千三百年間変わらなかった水位がこれから水位が下がったままだ、数センチといえ水位が下がったままになる、これははっきりしているわけですから、では、本当に今後木簡が安全だというふうに断定できるのかどうか。いろいろ不測の事態ということも考えられるんじゃないかというふうに思いますが、その不測の事態という問題は考慮に入れていますか。
○加茂川政府参考人 先ほど影響は少ないのではないかと私ども考えておると申し上げましたのは、お話にも出ておりましたが、評価準備書における地下水位の変動幅が数センチである、一方で季節変動による地下水位変動が平均で、これは場所によって上下ございますけれども、八十センチ程度あるということの比較において影響が少ないのではないかということを申し上げておるわけでございます。
それから、今後もしっかり注視していく必要があると認識を持っておることは申し上げましたけれども、大和北道路地下水モニタリング検討委員会というのが既に設置をされておりまして、私どもの奈良文化財研究所の責任者もこれに加わっておりますが、この委員会にかかわることによりまして、予測しないような変動に対してもきちんと対応できる体制をとっていきたい、努力をしていきたいと思っております。
○石井(郁)委員 もう時間でございますので、できれば最後に大臣からも伺いたいと思いますけれども、やはり文化財の保護というのは文科省が第一義的に責任を負って進めなければいけない、また国民の財産であり、後世にそれをちゃんと残していくというのは私どもの責任でもあろうというふうに思うんですね。やはりそういう立場でこういう問題でもぜひ対処をしていただきたい。
文化庁として主体的にかかわって、道路建設というのはいろいろな利害が絡むわけですけれども、やはり文化庁の立場でしっかりと意見を上げていただくということが私は非常に今大切ではないのかと。ユネスコの世界遺産でもありますので、そういう立場できょうは申し上げましたが、ぜひ大臣から一言いただければと思います。
○伊吹国務大臣 文化財というのは、一度壊しちゃったら、もうこれはだめですから、我々の職務としては、これは日本人、人類の大切な宝である文化財というものは、できるだけこれは守っていかねばならない。一方、道路を通すことによって、公益というか、地域住民のみならず、その道路を利用する人の公益は増進するわけですが、受忍の範囲というものがございますから、よく国交省と協議して、我々の立場も侵されないようにしっかりとやらせていただきます。
○石井(郁)委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。