衆院文部科学委員会 議事録第19号 2006年6月13日
文部科学大臣 小坂 憲次君
文部科学副大臣 馳 浩君
文部科学大臣政務官 吉野 正芳君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 大島 寛君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 銭谷 眞美君
参考人
(東京都立梅ヶ丘病院院長) 市川 宏伸君
参考人
(東京学芸大学教授)
(日本LD学会会長) 上野 一彦君
参考人
(DPI日本会議常任委員) 姜 博久君
参考人
(NPO法人発達障害支援センターひまわり代表理事) 高原 孝恵君
文部科学委員会専門員 井上 茂男君
――――◇―――――
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
きょうは、参考人として御出席いただきまして、本当にありがとうございます。皆様方から、発達障害についての、長年取り組まれていらっしゃる御経験、そしてまた知見もお聞かせいただきまして、大変勉強させていただきました。今回の法案改正に本当に生かしていきたいと思っているところでございます。
私自身も、特別支援という形で言われているように、一人一人のニーズに合った教育ということが、ようやくというか、言われるようになりまして、これは障害を持った子供さんにはそのことは本当に大事ですけれども、それはすべての子供たちに当てはまることだろうと私は考えているんですね。そういう意味で、そのような教育の環境をぜひつくっていきたいなということを強く思っているところでございます。
それで、最初に市川参考人に伺いたいと思いますけれども、軽度の発達障害について、その概念だとかその実態、実情をいろいろ整理していただきまして、ありがとうございました。それで、軽度の発達障害が増加している、その中でも特に高機能群の著しい増加だ、比率として四倍、十年間に四倍というのは大変な数だと思うんですけれども、等々をお知らせいただきました。
それで、私ちょっと一つ、きょうの話に出てきませんけれども、今子供の事件などで、この十年の間に出てくることでいいますと、行為障害だとか人格障害だとかそういう概念が出てきていますよね。これは私たちはなかなかなじみがない、まだ日本でも研究が十分されていない分野かと思うんですけれども、こういう軽度発達障害、先生も、中教審ですか、の専門委員としても加わったと思いますけれども、そういう中では、こういう障害というのは、どのように議論されて、あるいは今回の中には入っていない、入っていないと言ったらいいのか、これはどのように考えたらいいのかということについてちょっとお知らせいただければと思いますが。
○市川参考人 軽度発達障害という言葉は、障害が軽いという意味ではないんですね。知的障害が軽い発達障害というふうに理解いただければいいので、これは造語だと思います。はっきりした定義はないんですが、その代表例として、きょう論議になっておりますLDあるいはADHD、高機能自閉症等がある、こういうことになっております。
それから、今マスコミ等では、確かに、子供さんの場合ですと触法行為ですか、そういうものとの関係ということが言われておりますが、直接的な結びつきは証明されていないと思いますが、ほかの人とのコミュニケーションをとりにくい、あるいは意味をとりにくいようなところがございますので、思春期以降になりまして、どうして自分はこんなに努力しているのにみんなに認めてもらえないんだろうということが続いていきますと、普通、子供さんに限らず、だんだん自信がなくなっていったり、いらいらしてきたりする方がいらっしゃるわけですね。これは私見ですけれども、発想が逆転しますと、世の中が悪いんじゃないかというふうに思う方が出てくるかもしれませんね。そうしますと、その中の一部ですね、やはりマスコミ等で取り上げているようなことにつながる方があるかもしれません。
逆に言いますと、先ほど申し上げましたけれども、すばらしい業績を残している方もいっぱいいらっしゃいますし、医者の中にも実はその関係者は多いと言われておりますし、学校の先生にも、もしかすると議員さんにも多いと言っている方もいらっしゃいますので、決してそれが悪いことではないわけでありまして、いい方向に行くと、すごくエネルギッシュですばらしい業績を残す。ただ、思春期以降になりまして、つまずいてしまって、社会からの疎外感ばかりが積み上がっていきますと、逆な方向に行く方もあるんではないかというのが今の一般的な考え方だと思います。
逆に言いますと、思春期以前の、特に低年齢のころに、先ほどちょっとこの文書の中では自己有能感という言葉を使っておりますが、自分はこういうことで自信がある、自分はこういう点はほかの人よりできるというところをどれだけふやせるかということが、逆にいい方向に行くということだと思います。
そういう点でいえば、この法律の改正によって学校の先生方の対応が少しでもよくなって、いい方向に行く方がふえたらすばらしいなと私は考えております。
○石井(郁)委員 どうもありがとうございました。
いずれにしても、やはり教育的な関係というか、働きかけというか、それが大変大事だ、こういうふうに思うんですね。そういうことで、教育関係者がやはり発達障害についての深い認識をもっと広げる必要があるなというふうに私も感じたところでございます。
それで、上野参考人に伺いますけれども、先ほどお述べになりました中で、今回の特別支援教育については、通常の学級に在籍する特別な教育支援を必要とする児童生徒の全国実態調査で六・三%という結果が出た、しかし、そのときに、通常の学級に明らかに知的発達のおくれを持つと推定される児童生徒は少なくとも二%はいたと。これは大きな数だというふうに思うんですね。
それで、先生は、LD学会の会長さんでもいらっしゃいますけれども、そのLDの子供への指導という点では、今回の法改正というのはどういうことが期待されるんでしょうか。もちろん十分ではないということはお互いにわかっているわけですけれども、本当にさらにどういう点が改善というか、必要と認められるかということについてお聞かせください。
○上野参考人 一九六三年にアメリカでLDという概念が教育用語、法律用語としてブレークしていったんですね。そのとき、軽度のお子さんたちを広くとらえる、アンブレラ、傘の概念と言われました。その後、だんだん、例えばADHDのようなお子さんは、重なりやすいけれども、別の障害であろうとか、あるいは自閉症の高いお子さんは自閉症として診断すべきであってLDと分けておいた方がいいんじゃないかとかというようなこともありまして、そういう最初の広い傘から少し厳密になってきております。そういうことの中で概念というのは変化していくわけですね。
学校の中で大事だと私が思うのは、特にこの軽度のLD、ADHD等のお子さんというのは、見ようによってはできることがある。あるいは、逆に言えば、過集中といいますか、よく言うんですけれども、二倍集中して二倍疲れる、自分の好きなことだと集中するというような特徴もあって、これは他の障害とは少し違った様子ですね。したがって、先生の方も、それをお子さんの方の発達の特性としてとらえないで、努力とかあるいはしつけとかそういうふうにして考えやすいということがあります。ですから、まず何といっても、そのお子さんたちのきちんとした発達の特性ということを先生自身がまず知るということが基本ではないかというふうに思うわけです。そのことが、ただいま議員が、これは障害ということだけではなくて、すべての子供に広がることだというのは、いろいろな子供さん、これからもいろいろな名前で支援が必要だということで出てくる可能性があります。だから、そういうようなことも含めて、私たちは常に、子供たちがどんな状態で何を求めているのか、何が提供できるのかということに対して敏感であるべきではないか、まずそのスタートは学校ではないか、そのように思います。
○石井(郁)委員 どうもありがとうございました。
私も、小学校のときに特定の能力分野だといえば書くとか読むとかあるいは計算とか、そこで非常につまずいてしまうという場合を指しているように思うんですけれども、それでもってもう学校全体についていけないということで、別なところへ行かなきゃいけなかったという子供さんを知っておりまして、しかし、その子供さんは音楽でまた大変能力を発揮されたということもあるんですね。それは本当に、おっしゃるように、子供というのは多面的な能力を持っているわけですから、決められた枠だけではかってはいけないなというようなことを感じているものですから、今のお話、そのとおりだというふうに思いました。
高原参考人に伺いたいと思います。
先ほど、私も親として、本当に胸が詰まる思いで、お子さんの歩みを聞かせていただきました。十年前というのはまだまだ社会的にこういうLD、ADHDについても本当に認識が広まっていないという中での大変御苦労があったと思います。最後に、しかし今日なおこの子たちの居場所がないと言われたのに私ははっとしまして。今回の法改正では何が一歩前進になるのか。
私たちは、今度の法改正を契機に、本当に、こういう軽度発達障害についての社会的な認識、関心がもっと高まって、そしてその対応をちゃんとしなきゃいけない。ただ知っているだけではだめですよね。対応しなきゃいけないということだと思うんですけれども、本当に今学校それからまた関係機関でいろいろ、連携等々、努力をされていると思いますけれども、現状について、どこをどういうふうにまず手がかりとして直していくべきなのかというような点について、もう少しお聞かせください。
○高原参考人 私の子供がちょうど中学三年生で、ですから、小学校六年間、中学三年間という中で一番感じた居場所がないという発言の大もとは、まず、担任の先生がかわった場合に引き継ぎがどうも何かスムーズにいかない。人によって対応が変わってしまうわけですね。本来であれば、教育の場なわけですから、人がかわって対応が変わるというのは何か変じゃないかなと思います。
ですから、今言われたとおり、きちんと理解をされて対応していただく先生もいらっしゃるわけです。そうかと思うと、逆に、よく言うのは、学校全体で、校内委員会ですとかコーディネーターですとか、そういったものを配置するというようなことも今は言われていますけれども、まず先生方同士の共通認識を持ってその子に当たるというのがどうもできていないんじゃないのかなというふうに思います。
なぜかといいますと、実際、私なんかもよく先生とお話をする際には、実を言うと、お母さん、職場の中で職員同士の共通認識を図ることの方が実際問題大変なんです、中には理解をされて対応された先生が逆に非難をされてしまっている、前の担任が甘やかすからこういう結果になるんだと。これは、とりもなおさず発達障害の認識が甘いというか、薄いのではないかなと思います。
それと、やはり子供というのはその場その場だけではないと思うんですね。継続してずっと、例えば就学前、幼稚園、保育園、そして小学校、中学校、そして、まあ、今うちはまさに高校という問題を控えていますけれども、年を追うごとに何か受け入れ間口が狭くなってしまう、これも感じています。
特に学校の先生というのは転任されてしまうのがあります。担任の先生も、何か今は一年でかわってしまう。子供は、もともと順応性がいい子でもないわけですね。やっと先生になれた、一年かかってなれた、先生も一年かかってこの子の対応わかりましたと。それで担任がかわってしまうんです。そのときの引き継ぎというのが、ですから、みんな親御さん、新年度早々は、まず先生がだれになるのか、だれになったら、また脈々と今までの経過をお話しする、先生がかわるたびにそれを繰り返す。それでも、何か、同じように一貫して受けられない、でこぼこが、非常に波があるというのを一番実感しています。
ですから、できることであれば、先生、いわゆる個人の質ということではなくて、教育全体の中で位置づけていただきたいというのがまずなんですね。個々の先生方の努力だけではなくて、全体として、制度としてそこをきちんと位置づけていただきたいな、そういう意味で、やはりこの子たちの居場所がないというのを実感しています。
○石井(郁)委員 ありがとうございました。
残りの時間、ちょっと角度を変えまして、先ほど来、幼少期というか、低年齢のときにきちんとした診断が大事だということはお聞かせいただいたとおりですけれども、高原さんの子供さんももう今度高校というところにきていると思うんですが、やがて思春期に入ってなおまた難しさも出てくるかなと思いますし、それから高校に入ったけれどもその先はどうなんだ、あるいは受け入れてくれる高校自身が非常に限られているというお話もあったかと思うんです。
その問題でちょっと伺いたいんですけれども、今回の法改正には高校でも特別支援教育をということが明記されているという点は私は大変評価をしているんです。それで、ここは姜参考人に伺いたいと思いますけれども、たしか高校から通常学級へ入ったというふうに聞いているところでございますけれども、その高校での生活を振り返って、苦しかったことや、よかったことや、それからまたその後の進路、障害を持っていらっしゃる皆さんにとっては、その後の進路について、何か御要望等々あればお聞かせください。
○姜参考人 私自身は高校での生活というのは、先ほども少し述べさせていただきましたけれども、最初は頑張る頑張るでやってまいりました。ただ、その頑張るは、自分一人ではどうにもできないことに関して、やはり自分が無力であるということを思わざるを得なかったですね。自分は一人ではこの社会ではやはり生きていけないんだということ。その中で、ふと気がついてみれば、自分が声を出して協力してもらえる人、あるいは自分が困っているときに、これちょっと手伝ってくださいと言えるような関係が、なかなかつかめなかったことがやはり一番しんどかったことです。
それがようやく三年目にして、周りの雰囲気もよくて、先ほど来申し上げているように、一緒に出かけたり遊びに行ったりする同級生ができたことは、私自身が、健常児と言われるクラスメートの中でいろいろなことを感じて、この社会で生きていくにはどうすればいいのかということを身にしみて感じてきた結果だろうと思っています。
高校卒業後の進路、私は幸運にも大学へは行かせていただきましたけれども、今現状、大阪では、知的障害を持つ高校生の人たちが卒業後どうなるのかということ、非常に大きな問題となっておりますし、現に、定時制高校やそういったところに通っている障害を持つ子供たちが、やはり行き先がなくて困っているという現状があります。どうしても先生たちは、学校側は、簡単に、作業所はどうかとか、デイサービスに行ったらどうかというような形での答えを出してしまうんですけれども、私たちの経験の幅を広げる、あるいは可能性に挑戦するということであれば、やはり普通のクラスメートと一緒に職場実習をしたり、あるいはその職場開拓をしていただいて、ちゃんとした働く前の経験を積んでいく必要があるんではないかと思っているわけです。
そのためには、まだまだ一般企業や受け入れ側の事業主の理解というのは不可欠なわけですけれども、徐々に今労働施策の中で実習の場が広がりつつありますけれども、養護学校の生徒さんについてはかなり制度化されているんですけれども、やはりまだ通常学校の中に通っている障害児、通常学校の中に通う生徒さんについては、なかなか就職へのパイプが強くなっていっていないという現状がありますので、ここら辺も少し是正をしていただきたい点ではあります。
以上です。
○石井(郁)委員 大変貴重な、というか、重要な御提案をいただいたと思います。ぜひ、そういう御要望を受けとめて、私たちはしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。
きょうは、本当に、それぞれのお立場から貴重な御意見、どうもありがとうございました。
午後からの質疑
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
きょう最後の質疑者でございますので、長時間にわたっておりますけれども、どうかよろしくお願いいたします。
教育上特別な支援を必要とする子供たちの問題で審議が続いているわけでございますけれども、私は、そういう子供たちと高校での教育について、まずお尋ねしたいと思っております。
高校などへの進学はもう既に全国的には一〇〇%近いという状況かと思いますけれども、定時制、通信制だけでなくて、一部の学校では希望者全員を入学させているというところも少なくないかと思うんですね。そういう状況では、障害を抱える子供、発達障害を抱える子供も高校へ進学していると、当然そこでの成長できるような体制、保障ということが求められているというふうに思います。また現実に、もう既にそういう子供たちを受け入れているという学校も多くございます。そういう高校への支援というのは本当に急がれているというふうに私は感じております。
そこで、まず確認させていただきたいのでございますけれども、今回の法改正では、高校でも特別支援教育を実施する義務が生じたという理解でよろしいですか。
○馳副大臣 今回の法律案では、学校教育法第七十五条第一項において、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び幼稚園においては、教育上特別の支援を必要とする児童生徒及び幼児に対し、障害による学習上または生活上の困難を克服するための教育を行うものとするという旨の規定を新設したところでありますから、高等学校を含め、障害のある子供が学校に通う場合には、これまでも小中高等学校に通う場合には必要な支援が行われてきたところでありますけれども、今回、こうした取り組みについて法律上も明確化することを意図したものであり、各学校における取り組みがより一層充実することを期待しております。
○石井(郁)委員 そういう法改正になったわけでございますが、既にこの法律以前にも受け入れて、いろいろな実践や取り組みをしておられるということがあるかと思いますが、そういうことも含めて、LD、ADHDの発達障害を抱えているこの子供たちを受け入れて、高校では一体どのような支援を現実に受けることができるのか。その点ではいかがですか。
○馳副大臣 現状では十分ではないと考えております。
実は、私も高等学校の教員としておりました。あれっと思ったお子さんが大学に進学し、一流企業に就職した後に、十数年たって授産施設で会ったという、大変私はショックでありました。そういうことを思えば、まだまだ高等学校の方はそういう意味では、小学校の先生あるいは幼稚園の先生ほどは認識が強くない現状であるというふうに思っておりまして、ここはやはり大きな課題であると思っております。
○石井(郁)委員 そのとおりかと思うんですけれども、まずどういう支援を必要とするか、また、していかなくちゃいけないか、そのことを考える上でも、やはり障害を抱えている生徒たちがどのくらい普通高校、あるいは定時制、通信制などに進学しているのか、あるいは現に在籍しているのか、その辺もつかむ必要があると思うんですね。それは文科省としてはどのように把握されているんでしょうか。
○小坂国務大臣 障害のある生徒の高等学校への入学につきましては、それぞれの高等学校長が生徒の障害の程度等を考慮して、入学後に当該高等学校の教育を履修できるか、また、それに足りる能力、適性があるかどうかという観点から判断をしているわけでありまして、発達障害のある生徒が在籍している可能性はあるわけでありますけれども、現時点では、その在籍状況について把握ができておりません。
一方、十七年十二月の中央教育審議会答申におきましては、高等学校に在籍しているLD、ADHD、高機能自閉症等の生徒に対する指導及び支援のあり方についての早急な検討が必要である旨を指摘されているところでございます。本提言を受けまして、文部科学省としては、平成十七年度から高等学校も対象として実施をいたしております特別支援教育体制推進事業の実施を通じまして、高等学校における実態把握についてその方法を検討するなど、調査について、今後ともよく検討をしてまいりたい、そして、そのような形で対応してまいりたいと思っております。
○石井(郁)委員 きょうは、午前中の参考人質疑の中でも、高校で普通高校に進学された、楽しいことも、いろいろなこともあって、高校を終えることができたという話もありました。
それから、参考人のお一人の市川先生からは、病院を開設していらっしゃるわけですから、その初診者の中で見ますと、やはり思春期では約一〇%が不登校の子供たちだと。思春期の問題というのは、私、大変注目をしていまして、そこでは、青年期になって解決するというケースもあるけれども、より問題が深刻化するというケースもあるわけですから、そういうことを全体としてつかむのが、高校での在籍の実態等々かというふうに思うんですね。
今、文科大臣は、現状はつかまれていないけれども、今後そういう方向で進めていきたいというようなことかとお聞きしたんですけれども、高校でどういう支援が必要か、高校ももう今度は特別支援教育を義務として行うということがある以上、今、現状がどうなっているかということについて、やはり正確な調査なり把握が必要かというふうに思うんですが、それをきちんとされるおつもりがあるかどうか、その必要性を感じていらっしゃるかどうかについて、もう一度お答えいただければと思います。
○小坂国務大臣 高校における不登校生徒の数は、平成十六年度のことでございますが、六万七千五百人であり、不登校は教育上の課題であると認識をいたしております。不登校となった直接のきっかけとしては、文部科学省の調査によれば、友人関係や学業不振などの、学校生活に起因するものが三九%、直接のきっかけになるような事柄は見当たらないけれども、極度の不安や無気力であるなど、本人の問題に起因するものが三九%を占めておるわけでありまして、なお、発達障害とのかかわりについては、この調査単体では明らかではございません。
高校における不登校の対応につきましては、わかる授業を行うなど、楽しい学校の実現が一つ。それから、スクールカウンセラーの配置等によります教育相談体制の充実が二番目。そして三番目に、教育委員会が設置をする教育支援センター等を中心とした関係機関が連携して、不登校生徒の状況に応じた支援の実施を行うことなど、こういった事柄が必要と思って取り組んでいるところでございます。
今後とも、発達障害を抱えている場合なども含めて、不登校生徒の状況に応じて必要な支援が行われるよう、関係機関と連携をしつつ、支援の一層の充実に努めてまいりたいと考えておりますが、いずれにしても、御指摘のような、実態をしっかりつかまえてやっていくということは必要だという認識を持っております。
○石井(郁)委員 大臣の方から、不登校の高校での実態を既にお示しいただきましたけれども、私の最初の質問は、今法改正で、いわゆるLD、ADHDの子供たち、高機能自閉症の子供たちも対象にするということですから、そういう子供たちが高校に現にどのぐらい入っていらっしゃるのか、また入る要求などがあるのかということについてきちっと把握していただきたいということが一つだったんです。その関連で不登校の問題もあるわけですが、不登校の子供たちの中には発達障害を抱えている子供たちがいるだろうというのは当然考えられるわけですね。それは大臣がおっしゃったとおりだというふうに思っております。
それで、昨年九月文科省が発表した、児童生徒の問題行動等の状況というのがありましたけれども、これは高校での不登校生の実態を初めて文科省として明らかにされたと私は承知しております。大変大事なことをしていただいたというふうに思っているんですね。
これまで高校では、毎年毎年高校中退者が約十万人だ、この数はよく聞いていましたけれども、同時に、こういう不登校の子供たちもおられるだろうと。この調査によりますと、今大臣もお示しいただきましたけれども、トータルで長期欠席が十一万人ですよね。これは高校生の約三%にも上るんですよ。そのうち不登校の子供というのは六万七千五百人で、これは一・八二%、なかなかの大きい数だというふうに思うんですね。
不登校の子供はなぜそういうふうになっているのかということについて、大臣もこれからもしっかりとつかんでいきたいということでしたけれども、この問題は私にとっても、これは青少年の特別委員会だったと思うんですけれども、やはり思春期の問題というのは今社会的な問題、青年期の問題になっていますから、高校のこういう実態というのは本当につかんでほしい、文科省はやってほしいということをずっと言っておりまして、こういう結果がようやく出たということを大変歓迎というか評価しているところなんです。
だから、引き続いてもっと実態をよく把握されて、そしてこれに対してどういう対応をするのか、調査で終わらないわけですから、その対応が非常に求められているというふうに思います。
それで、もう大臣の御答弁をいただきましたので、先に行きます。
高校の場合は、小中以上に教職員の間での理解がまだ進んでいないというのは馳副大臣からもお話がありましたけれども、先ほどの参考人の話でも、小学校でたくさんの、いわば多動性とかいろいろな問題が見える形であるわけですから。それでもなお、先ほどの学校の実態で伺いますと、教職員の間の連携とか継続性というのは非常に弱い、親から見たら本当にたくさん解決してほしいことがあるという話でしたけれども、私は高校の場合は本当にこれからだという気がするんですよね。一部の高校では一生懸命取り組んでいらっしゃるところがあると思いますけれども、全体としては本当にこれからだというふうに思います。
それで、先ほどもお触れになりましたけれども、やはり高校でも特別支援教育をやるんだ、これはもう義務づけられているということになりますと、文科省としては、教職員の間の理解や、あるいは教員の専門性を高める問題だとか、その支援をどういうふうに制度化、充実していくのか。子供にとっての選択肢というのは、結局、障害を持った子供たちは、高校に入って教育を受ける、その選択肢というのは一体どのぐらい準備されているのかというような問題でもう少しお聞かせいただければと思います。
○馳副大臣 石井委員、私、これは重要な御指摘だと思っています。
法改正をお認めいただければ、やはり都道府県の教育委員会を通じて、高校の教員、これは恐らく生徒指導とか養護の教員とか、こういった形が中心になるかもしれませんが、理解を深める十分な研修をしなければいけないと思っておりますし、先ほど大臣が申し上げましたように、やはり実態を十分把握して、現在高等学校に在籍している生徒さん、また不登校の原因としてこういった発達障害という問題を抱えているのかどうかということの把握も含めて、その上で次の対応として考えられるのは、各科目、各教科を学ぶときに、そういう発達障害の問題を抱えている生徒にどういう個別の指導ができるのかとか、当然これは、高等学校ということになると、就労支援との連携がなされなければ、絶対に意味をなさないんですよね。
その場でこういう教育プログラムをしましたというだけではなくて、私の先ほど申し上げた例もありますように、大学に進学もしているんですよ、また社会にも出ていく、また、高等学校を卒業した後に社会人となるという選択肢の中で、ここは連携が十分なされなければ、その子の生い立ちの中で、どのような教育的な支援を受けてきて、どこまで十分対応できるのかということがわかっていなければ、それは恐らくジョブコーチにしたところで、十分に予備知識がなければ、また十分に高等学校においてもそういう生徒に教育の支援がなされていなければ、就労先にもどう紹介していいか、どう間を取り持っていいかわからないんですね。
この辺はきょう非常にいい御指摘をいただきましたが、高等学校における実態の把握と支援のあり方というものと教員の研修というものは当然一体として、総合的になされなければいけないと考えておりますので、今後さらに進めていかなければいけないと思っています。
○石井(郁)委員 就労の問題も在学中の教育プログラムとも関係があるのはそのとおりなんですが、それはもう少し先の話でお聞きしようと思っていたんです。
まず、在籍している、そういう障害を抱えた子供さんが高校へ入った、では、そこでどんな支援というか教育を受けられるのかというのがありますよね。現状はどうなんですか。通常学級に入る、あるいは特殊学級的なもの、特殊支援学級というのをつくるのか、あるいは通級だと思うんですが、高校では通級というのは現実にどのぐらい実施されているんでしょうか。あるいは、今後それを充実していくというお考えはございますか。通級指導についてはいかがですか。
○銭谷政府参考人 現在のところ、高等学校においては通級指導ということは行われておらないわけでございます。
高等学校においては、障害のある生徒などの指導に当たりましては、結局、各教科、科目等の選択とか内容の取り扱いについて必要な配慮を行って、指導内容や指導方法を工夫するということを中心に配慮をするということになっているわけでございます。
ただ、先ほど来、大臣、副大臣の方からずっとお話がございましたように、やはり高校における発達障害に関する指導という点ではまだまだ不十分だという認識を私どもは持っております。大臣からもお答えがございましたけれども、実態についてどういう把握が可能か、そういう点も含めてよく検討していきたいというふうに思っているところでございます。
○石井(郁)委員 現状はそういう状況だということですけれども、知的障害、発達障害を抱える生徒たちを受け入れて、しかし支援体制がないという学校は少なくありません。
私は、埼玉で発達障害を抱えている生徒たちを指導している教員の話を伺ったんですね。その学校ではこう言っていました。
ここでは、学校全体で生徒一人一人の障害、生徒の特性を理解して、日々の学習から卒業後の就労まで支援している。本当に大変だ。他校では生徒に何かあったときの対応とか生徒のフォローなどを一緒に登校してくる母親がしている。先ほど小学校でもありましたよね、結局、母親に一緒に来てくださいということでお願いをしているという例になるわけです。しかし、そうではなくて、教職員が力を合わせて、母親に頼るんじゃなくて、教職員でやっている、乗り切ってきている、こういう学校をつくっているんですね。しかし、生徒に何かあったときにすぐ相談できたり対応してくれる経験や知識を持った教員が必要だし、また医療面からのサポートをしてくれる専門家の存在が必要だと常々感じている。教職員で非常に頑張ってこういう対応をしているところもあるけれども、それでも及ばないというか、もっとサポートが必要だというのが現場の声だというふうに思います。
そういう意味で、私は、通級についてもこれからだという話ですけれども、ぜひ高校でも通級というのは早く実施に道を開いてほしいなというふうに強く思います。
同時に、今申し上げたように、専門性を持った教員の配置、それから必要な条件の整備、それからいろいろな関係の専門家との連携等々もあるんでしょうけれども、そういう配置についても、今後文科省としてお考えになるかどうかということを伺っておきたいと思います。
○馳副大臣 考えます。
ただ、発達障害児、十八歳以前はそうですけれども、加齢に従って徐々に徐々に状況がよくなるということもまたございますし、さはされども、実際に高等学校の教員が研修会に、何も指示はないけれども、自分のクラスにいるからやってきたということもよくあるんですよね。
そういうことを考えると、委員も指摘されたとおり、まず最初に実態を把握して、どの程度の支援をどのようにしたらいいのか、ここが私は一番大事なところだと思うんですよ。そして、高等学校に入学した以上は卒業まで面倒を見るというのが学校としても当然の仕事でありますから、この辺を軸に、今後支援体制を考えていきたいと思います。
○石井(郁)委員 馳副大臣から大変前向きな御答弁をいただいておりますけれども、私申し上げたように、日本の高等教育、ほぼ一〇〇%近い子供たちを受け入れているというのはあったとしても、中退者が十万人も毎年いるとか、長期欠席者が十一万人もいるだとか、不登校の子供たちが六万七千人もいるだとか、これは本当に日本の教育の解決しなきゃいけない課題だ、このまま放置しておくことはできないというふうに思うんですね。そういう意味でも、ぜひ一つ一つ取り組んでいただきたい。
きょうはもう一点、先ほども馳副大臣から言われました就労、卒業後の進路の問題がもう一つありますよね。高校は何とか入った、問題は、後は出る段階の話にすぐに突き当たってくるわけでしょう、高校の場合は。自立、社会参加をどうするのか、あるいは就職をどうするのか、それを考えなくちゃいけない、それが高校でもあるわけですね。そういう意味で、この点でも、盲・聾・養護学校には高等部などがあって、就職問題というのは長年の経験がかなりあるというふうに伺っているんですね、就職担当者の方がいらっしゃったりして。
そういう点のノウハウなんかもしっかり受けとめる必要があるというふうに思いますけれども、先ほど御紹介した教員はこのように言っていました。就職先には生徒が抱えている障害や特性をきちんと伝えた上で雇用してもらっているけれども、職場で人間関係が築けずに一、二年で解雇されてしまうとか、進路指導をしていく上で、地域でそうした生徒と職場をつなぐなど、サポートしてくれる人がいなくて困っているということをおっしゃっていました。
ですから、地域の支援体制もあるんでしょうけれども、社会的に就労先の皆さん方との理解を深めていただいたりして、学校との連携を本当に強めていくことが一人一人にとっては必要なんだろうなというふうに思うんですね。
この点では、私も、就職というとすぐ厚生労働省みたいなことになっちゃって、ニート対策、何対策という話がよくありますけれども、高校にそういう子供たちを受け入れている、その子供たちの進路あるいは就職先ということについて、文科省としてでき得る対策というのは何なのか、そういうことを当然お考えになるべきじゃないかと思いますけれども、その辺について、馳副大臣、いかがですか。
○馳副大臣 高等学校ということになると、各都道府県の教育委員会が指導的な一つの役割を果たすことと、今、法律によっていよいよ全国に発達障害者支援センターというのができておりまして、ここが福祉関係との連携役になっております。そして、就労ということを考えると、産業界との連携ということになっております。そして、現実にそういう発達障害の症状をお持ちの方と職場をつなぐときに補佐をしてくれるのがジョブコーチ。
こういう労働機関との連携が必要になってきますから、ここはやはりネットワークを活用しながら、まず高等学校の進路指導の先生方には、発達障害のそういう症状をお持ちの生徒に対する個別の指導、それから的確なマッチングができますように、就労先を探してくるということに当たってはまた発達障害者支援センターとの連携をしていただく、そして現場に入るに当たっては、産業界の方に、こういう症状で、こういう作業はできるけれども、こういうふうな人間関係はちょっと難しいですよとか、こういうことを伝えていただくということによって、生徒一人一人に責任をすべて負わせるのではなくて、うまくサポートできる体制をつくっていくことが必要と考えております。
これに関しましても、センターについても、去年がまだ全国で十六ほどしかなかった、ことしで三十ぐらいになったのかな。徐々に徐々に全国でもセンターが設置されて、そしてその機能を拡充していこう、充実していこうという段階でありますから、石井委員御指摘のことを踏まえて、教育関係者にもそのことは促していきたいと思っています。
○石井(郁)委員 最後に、寄宿舎の問題で、一点伺っておきたいと思っています。
今回、法案の七十三条の二に、「特別支援学校には、寄宿舎を設けなければならない。」ということがありますけれども、この寄宿舎について、教育的意義と役割、特別支援学校になっても本当にその充実ということは変わらないというふうに受けとめていいですか。いかがですか。
○銭谷政府参考人 特別支援学校の寄宿舎につきましては、改正法案におきましても、これまでと同様に、設置を原則としつつ、特別な事情がある場合には設置しなくてもよいとしているところでございます。
それで、寄宿舎自体につきましては、やはりそこに寄宿する児童生徒の日常生活の世話と生徒指導の場として非常に重要な役割を担っているというふうに考えております。
○石井(郁)委員 やはり寄宿舎は大変重要な役割をしているんですね。
それで、少し具体的なことで一、二点ですけれども、やはり今度、特別支援学校として障害種などがふえたりしていくわけでしょう。それで、入寮する子供たちの障害種もふえてくるということを考えなければいけないということになりますね。
そうすると、指導員の配置というのはどうなんでしょうか。また、指導体制とか居住空間も障害種ごとに配慮が必要だということを考えられると思うんですけれども、そういう場合の財政的な保障などがどうされるのかという点はいかがですか。
○銭谷政府参考人 寄宿舎の指導員は、児童生徒の日常生活の世話と生活指導である養育に従事する役割を担っておりまして、盲・聾・養護学校が特別支援学校に一本化された後においても引き続きその重要性は変わらないわけでございます。
寄宿舎指導員の配置につきましては、現行の配置水準を維持するという方針のもとに、標準法に基づきまして、現行と同等の寄宿舎指導員の定数を算定することといたしております。その上で、特別支援学校の寄宿舎の運営が円滑に進むようにしているところでございます。
具体的には、寄宿舎に寄宿する肢体不自由者を除く児童生徒数掛ける五分の一、それから、それにプラスをして、寄宿舎に寄宿する肢体不自由者の児童生徒数掛ける三分の一という数の合計数が定数ということになるわけでございます。
寄宿舎指導員の定数につきましては、こういった児童生徒数の数に着目し算定しつつも、肢体不自由者など手厚い支援の必要な児童生徒についてはこういう手厚い算定方法を今後とも維持していくということにいたしております。
○石井(郁)委員 この問題を質問いたしましたのは、お聞きしますと、全国的には寄宿舎の統廃合だとか、あるいは職員の非常勤化だとか、あるいは入寮の条件を遠距離に限定する、実質的に入寮規制をしていくということが伝わっておりますので、やはりそれはうまくないんじゃないかというふうに思います。
この寄宿舎については、文科省も、毎日の生活を営みながら、生活のリズムをつくるなど生活基盤を整えるという役割、また、自立し社会参加する力を培う重要な場だということは認めておられるわけですから、また調査協力者会議の最終答申にもそのように書かれていたと思いますけれども、ぜひ寄宿舎も充実させていただきたいということも最後に申し添えまして、きょうの質問を終わります。
どうもありがとうございました。