衆院内閣委員会 議事録第6号 2006年4月28日
議員 枝野 幸男君
議員 小宮山洋子君
国務大臣
(少子化・男女共同参画担当) 猪口 邦子君
内閣府副大臣 山口 泰明君
内閣府大臣政務官 後藤田正純君
法務大臣政務官 三ッ林隆志君
政府参考人
(内閣府国民生活局長) 田口 義明君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長) 舟橋 和幸君
政府参考人
(金融庁総務企画局審議官) 畑中龍太郎君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局消費経済部長) 谷 みどり君
内閣委員会専門員 堤 貞雄君
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○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
この法案は、適格消費者団体に二重、三重の大変厳しい規律と負担を課しておりまして、私は、この負担が適格消費者団体の活動を萎縮させるのではないかと懸念します。
その点で、認定取り消し規定についてお聞きをいたします。
一昨日の参考人質疑でも、日弁連の佐々木参考人は、本来、消費者団体が活発に使うべき制度が、重い手続になる、消費者団体が萎縮し、制度の性格が変わってしまったという感さえあると述べていらっしゃいました。
まず確認させていただきますが、取り消し事由の一つである三十四条一項四号の前段部分ですね、このようにあります。「当該訴訟等の当事者である適格消費者団体が、事業者等と通謀して請求の放棄又は不特定かつ多数の消費者の利益を害する内容の和解をしたとき、」という規定ですが、事業者と通謀していない場合であっても、結果的に消費者利益を害する和解をすれば認定取り消しの事由になるのでしょうか。
○田口政府参考人 お答え申し上げます。
法案の第三十四条第一項第四号に言います通謀とは、適格団体が請求の放棄または不特定かつ多数の消費者の利益を害する内容の和解をするべく相手方である事業者等と意思を通じ合うことをいいます。
この規定の「事業者等と通謀して請求の放棄又は不特定かつ多数の消費者の利益を害する内容の和解をしたとき、」といいますのは、「不特定かつ多数の消費者の利益に著しく反する訴訟等の追行」という後段の方の取り消し事由の一つの例示でございまして、必ずしも、通謀しているということが適格性認定の取り消しの要件になっているわけではございません。
○石井(郁)委員 だから、通謀をしていなくても適格消費者団体の認定取り消しがあるということなんですね。
では、消費者利益を害するというのは、例えばどういう事態のことを指すのか、少し例示をしてお答えいただければと思います。
○田口政府参考人 ここの規定の中心的な部分は、後段の方の「その他」、ここがバスケットクローズになっておりまして、「不特定かつ多数の消費者の利益に著しく反する訴訟等の追行を行ったと認められるとき。」ここが中心的な規定で、前段で今委員の御指摘になられました部分はその一つの例示ということでございます。そういう意味で、通謀というのが必ずなければいけないという意味ではございませんということでございます。
そういたしますと、この「不特定かつ多数の消費者の利益に著しく反する訴訟等の追行」というのがどういう場合かということになるわけですが、前半で例示されております、事業者等と通謀して請求の放棄または不特定かつ多数の消費者の利益を害する内容の和解をすること、これに類するような場合を想定しておりますが、具体的には、例えば、消費者に明らかに有利で重要な証拠を意図的に改ざんして不利な証拠として提出するというような事例が想定されると考えられます。
〔委員長退席、木村(勉)委員長代理着席〕
○石井(郁)委員 適格消費者団体というのは、大変厳しい要件をクリアして認定されるわけであります。しかも、いろいろ議論にありましたように、差しとめ請求の要件も、第三者の不正利益を図り事業者に損害を与える目的の請求はできないと。だから、厳格に規定されているわけですね。その上で、消費者の利益に反する訴訟ということですから、私は、二重、三重のやはり縛りになっていると言えると思うんですね。
こういう規定は、消費者団体に萎縮をもたらすだけではなくて、制度の機動的で効果的な運用も欠くことになるのではないか、消費者団体は、認定取り消しが怖くて、和解、調停、即決和解等の話し合いに極めて消極的になりはしないかというふうに思われるわけです。また事業者も、裁判所等が関与した解決でないと再訴されるおそれがあるために、消費者団体との話し合いに応じないようになるおそれも出てきます。
こうして見ますと、これでは双方に負担ばかりがかかる、制度の実効性が危ぶまれるわけであります。国生審報告でも、事業者と消費者団体の交渉の充実ということが提言されておりますけれども、そういう趣旨からしても、事業者にとっても消費者団体にとっても、交渉がやりやすくなる、そういう方向での設計が必要ではないのかと思いますが、いかがでしょう。
○田口政府参考人 お答え申し上げます。
この規定により適格消費者団体が和解をしづらくなるのではないかという御質問でございますが、この法律における差しとめ請求権は、消費者全体の利益を擁護するために適格団体に特別に付与されるものでございますが、それにもかかわらず、消費者全体の利益に著しく反する形で差しとめ請求権を行使する適格団体というのは、差しとめ請求権を引き続き行使するにふさわしいものではないと言えることから、その適格性の認定を取り消すことができるとしているものでございます。
また、この第三十四条第一項第四号の認定の取り消しの対象となりますのは、例示しております、事業者等と通謀して不特定かつ多数の消費者の利益を害する内容の和解をしたときというような、消費者全体の利益に反する度合いが著しく高い例外的な場合に限られておりまして、通常の真摯な折衝を経た和解であれば、これに該当するおそれはないものと考えられます。
特に、ある適格団体が和解をしようとする際には、当該適格団体が他のすべての適格団体に対しまして和解の方針を事前に通知することによりまして、適格団体同士がその和解の方針の適否等について意見交換をする機会が確保されております。また、他の適格団体の意見に真摯に対応するなど、相互チェックの過程を適切に経た和解である限り、消費者全体の利益に著しく反する訴訟追行というように評価されるおそれは通常ないものと考えられるところでございまして、一般に、適格団体が認定取り消しを恐れて和解をしづらくなるという心配には及ばないのではないかというふうに考えております。
○石井(郁)委員 どうもいろいろ御丁寧にありがとうございます。
でも、やはりその中に、消費者全体の利益に反することを行う場合ということがずっとあるんですけれども、そもそも消費者の利益のために団体訴権を行使するというこの団体が何で消費者全体の利益に反することをするのかということが、一つは何か私は矛盾しているんじゃないかと思うわけですね。
そもそも、裁判所が関与して行った和解や判決の内容、また経過の妥当性について、今度は内閣総理大臣、具体的には内閣府ということでしょうけれども、そういう行政機関がその結果の妥当性を判断するということも出てきておりますので、非常にこれは困難で問題があるというふうに思うんですね。
いずれにしても、認定取り消しということですから、やはりこれは適格消費者団体の資格を剥奪するという重大な行政処分だというふうに思うわけでございます。この点ではぜひ大臣に御答弁をお願いしたいと思いますけれども、こういう行政処分ということにつきまして、慎重かつ抑制的に運用する必要があるのではないかと思いますが、御答弁ください。
○猪口国務大臣 先生がおっしゃるとおり、認定取り消しというのは非常に重いことでございます。ですから、これは極めて悪質な場合に限定されると考えてまいりたいと思っております。また、先生の本日の御指摘も踏まえまして、できるだけ認定の取り消しについては、これから運用の基準を明確化することを考えております。
まさに、適格団体が萎縮して本来の活動が損なわれるような懸念がないよう、環境整備に私としては努めてまいります。
○石井(郁)委員 ぜひ、やはりそのような方向で進めていただきたいというふうに思います。運用の基準も示されるということでしたね。それをお願いしたいと思います。
先ほどの御答弁に少しありましたけれども、適格消費者団体の事前通知制ということについても少し伺っておきたいと思います。
確認もしたいと思うんですけれども、後訴の原則禁止を回避するための制度として、適格消費者団体が和解等する場合に、他の適格消費者団体に事前の通知制度、これは二十三条四項十号ということで設けられているわけですけれども、しかし、その和解の内容というのは、期日によって違うことはあるし、代理人間の交渉等で刻々変わるんじゃないかということですね。だから、どの段階、どのところでこれを通知するのかという問題が出てくると思いますし、具体的にどの程度の内容を通知しなければならないのかということがわかりましたら、よろしくお願いします。
○田口政府参考人 お答え申し上げます。
この事前請求の規定でございますが、この法案では、相手方の事業者に対しまして、不当な行為があれば、まず、みずから是正するための機会を与えまして、紛争の早期解決と取引の適正化を図るという観点から、適格消費者団体に対しまして、書面による事前請求を義務づけているところでございます。この趣旨から、事前請求の書面に記載する内容を考えていくということで、どの程度の具体的なこと、通知を要することになるかということにつきましては、今後その細則を詰めまして、内閣府令で定めてまいりたいというふうに考えております。
○石井(郁)委員 では、これも今の段階ではまだはっきりお示しされないということで、ちょっと不安が残るわけですね。
例えば、他の適格消費者団体から事前に通知を受けても、和解を中止せよという権限は他の適格者団体にはないわけですよね。どうでしょうか、そういう場合、それが普通ではないのかと。通知を受けたとしても、その和解を中止せよという権限は持つんでしょうか。他の適格者団体が、それはやめてほしいというようなことにはならないんじゃないかと思うんです。
○田口政府参考人 お答え申し上げます。
他の適格団体への通知でございますが、これは、適格団体相互間で連携をいたしまして、それによってその事案に対して最も効果的に対応していく、そういう観点から、通知を受けました適格団体としては、必要な情報を提供するとか、その通知をいたしました適格団体の行動について不安があれば意見を述べて、適切な訴訟追行をやっていただくということになるかと考えます。
それで、通知を受けて意見を述べるときに、それが原告になっている適格団体の意思と反するというようなことがなきにしもあらずということかと思いますが、もしそういうことについて御懸念があるということであれば、それは、その通知を受けた適格団体としては、その同じ裁判所に対して同じ事案について差しとめ請求をするということをしていただきますと、両案が併合しなければならない、必要的併合ということになってまいります。その中で、いわば原告となる適格団体が共同で訴訟を起こすということになりますので、そういう形で、後の方から加わった適格団体の訴訟行為が、いわば当事者としての影響力を持ち得るということになろうかと考えております。
○石井(郁)委員 どうも、かなりいろいろと適格団体自身の連携というか協議というようなこともこの中では進められていくだろうと予測されているということもわかりましたけれども、なかなか難しい問題があるなということも、今お聞きして感じておりました。
私は、適格者団体が自主的にやはり判断するという、それぞれが団体自治権の問題というのもあるんじゃないかというふうにも思いまして、そういうことで、そこに関与する設計という点で、今お話しのあったように、いろいろと制度的にもなかなか硬直的になりはしないかということをちょっと感じたものですから、質問しているわけでございます。
それから、後訴遮断を含めてさまざまな不都合が出てきはしないかと、現に起きるだろうということで消費者団体からは強い反対意見がこの点でも出ておりまして、私は、こうした制度を設けること自体が極めて不合理で、制度の実効性を欠くのじゃないかということで質問をさせていただきまして、また、指摘もさせていただきます。
ちょっと時間がありますので、最後に、お話がありました適格消費者団体への環境整備の問題なんですけれども、一つ伺っておこうと思います。
適格消費者団体に提供される情報というのが、四十条一項、消費生活相談に関する情報で内閣府令で定めるものということになっておりますけれども、これも、具体的にはどういうようなものを指すのですか。
○田口政府参考人 お答え申し上げます。
この法案の第四十条第一項に規定しております消費生活相談情報といいますのは、国民生活センターで運営されておりますいわゆるPIO―NETによって収集された情報を想定しているところでございます。
このPIO―NET情報につきましては、差しとめ請求権の対象となっております事案に関して、同じような被害の広がりぐあいを分析、検討する上で大変有益でございます一方、被害を受けた個人が識別できない形で情報がオンライン化されておりまして、また、裁判所の調査嘱託でありますとか弁護士会照会等、法令に基づく照会への対応として情報提供のルールが既に確立しております。こうした点を踏まえまして、消費者団体訴訟制度におきましても、このPIO―NET情報の提供規定を整備したというところでございます。
○石井(郁)委員 今、いろいろお話しいただきました。私は、やはりそれだけでは紛争の具体的な状況がわからない、大変不十分じゃないかというふうに思っております。だから、もっと具体的に、消費生活センター等の約款の内容、具体的な勧誘事例等の情報、資料等々が提供されるべきではないかということを申し上げまして、きょうは大体時間でございますので、質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。