トップ>国会報告>164 /衆/文部科学委員会/2006年4月21日

衆院文部科学委員会 議事録第15号 2006年4月21日


   文部科学大臣       小坂 憲次君
   文部科学副大臣      馳   浩君
   厚生労働副大臣      中野  清君
   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君
   政府参考人
   (文部科学省生涯学習政策局長)          田中壮一郎君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君
   政府参考人
   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君
   文部科学委員会専門員   井上 茂男君
  
     ――――◇―――――

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 私は、初めに、先月三月三十一日に規制改革の民間開放推進三カ年計画が閣議決定されておりまして、その中に認定こども園のことが出てまいりますので、その点でまず確認をさせていただきたいと思っております。
 この閣議決定のもとになったのは、昨年十二月二十一日、規制改革・民間開放推進会議の規制改革・民間開放の推進に関する第二次答申でございました。そこでは、認可保育所への直接契約制導入、利用者に対する直接補助への転換、既存の育児支援関連予算などを統合したものと保険料を財源とした育児保険を創設する、それから、認可保育所の保育料も利用者との契約に基づき自由に設定できる方式として保育料設定方式を変える等々、その検討ということが書かれているわけでございます。
 最初に、政府は、まずこれらの内容、事実そのとおりかどうかということと、昨年の第二次答申を受けた閣議決定では、最大限尊重するという文言がございますが、そのように尊重して、今後進めていかれるのか、この点を伺います。

○中野副大臣 本年三月の閣議決定におきまして、いわゆる認可保育所への直接契約及び利用者に対する直接補助方式の導入につきましては、総合施設の実施状況等を踏まえ、その可否について長期的に検討するということとされてございます。
 これは、委員がおっしゃるとおりでございますが、導入を決定したわけではございませんので、御理解願いたいと思います。
 また、保育所における直接契約、それから直接補助方式の導入につきましては、低所得者や母子家庭を初めとする保育の必要性の高い者の利用を確保する必要がある、これは児童福祉の面から当然だと思いますけれども、そういう問題、それから、対象者やサービス給付の増大が予想されることから、給付に必要な財源を確保する必要があることといった課題があるということは、私ども認識いたしております。
 したがいまして、厚生労働省といたしましては、閣議決定の趣旨を踏まえまして、総合施設の運営状況などを勘案しながら、保育所一般について直接契約とか直接補助方式を導入することについては、その可否を含めまして長期的に検討することとしておりますので、御理解願いたいと思います。

○石井(郁)委員 では確認させていただきますけれども、今の御答弁は、総合施設や認定こども園の実施状況を踏まえて、保育所において一体的に導入することの可否について長期的に検討と。これは、導入することを前提にした検討とも読めるし、導入するかどうかも含めた検討だというふうにも読めるんですか、もう一度、どちらですか。

○中野副大臣 可否をということでございますから、後者だと思います。

○石井(郁)委員 ただ、私は、やはりこういう重大な内容、いわばそれこそ保育制度の根本が変わるという重大な内容がもう閣議決定されているということに大変驚いているわけです。今、もう政府は閣議決定で、いわば何でもありで進んでいるという状況がありますから、この一つ一つの内容というのは大変重いものだというふうに考えるわけですが、そのことだけをやっている時間がありませんので先に行きます。
 それでは、これは大臣に伺いますが、この総合施設、認定こども園の実施状況を踏まえというのは、踏まえて、今後いずれにしても検討するわけですから、それでは今法案審議をしているこの認定こども園というのは、今後認可保育所で直接契約とか保育料の自由設定をするための、いわば先取り的にこの法案が行われている、こういうことになりませんか。

○小坂国務大臣 本年三月三十一日の規制改革・民間開放推進三カ年計画につきましては、ただいま厚労の副大臣の方から御説明申し上げたとおりでございます。
 私ども、今回の認定こども園につきましては、平成十六年十二月の中央教育審議会、社会保障審議会の合同の検討会議の審議のまとめというところに、利用形態については直接契約が望ましい、利用料金設定については、その利用形態、直接契約を踏まえ、各施設で行うことが適当とされておったわけでございます。また、平成十七年三月の閣議決定におきまして、総合施設については、利用者が直接希望する施設に申し込み、当該施設が審査、決定する直接契約を導入するとともに、利用料は応益負担を基本とするとされているところでございまして、今回の法律案はこれらを踏まえて制度設計を行ったものでございまして、今委員が御指摘のような、本年の三月三十一日の閣議決定を先取りして行ったものではございません。

○石井(郁)委員 しかし、いずれにしても、規制改革・民間開放推進会議の答申の方向と今回の認定こども園というのが、まあクロスしてというか、進んでいるということは言えると思うんですね。
 規制改革・民間開放推進会議が、現行の保育制度については、保育に欠ける子を対象として政府から与えられる福祉だ、保育サービスが提供される市場とはほど遠いという規定もされている。そして、認可保育所での直接契約制導入などの保育サービスを自由に選択できる環境づくりが必要だというふうに述べておりまして、現在、これまで推し進められてきた公的保育制度ということを大きく変えようとしている、そういう方向が打ち出されているということは間違いないと思うんですね。そこにあるのは保育に市場原理を持ち込むということでありまして、私は、この方向というのは、国の公的保育責任というのを放棄することにつながるという点で大変重大視をしているわけでございます。
 しかも、中には、今介護保険が実施されていますけれども、それと同じような仕組みを保育、育児の場にも導入したいという、育児保険という、ここまで具体的にもう挙がっているわけでありまして、これを三カ年計画で検討課題にしているという点でも、私、きょうはこれ以上の議論はできませんけれども、この問題では別の機会にきちんと議論しなければいけないというふうに思うところでございます。こういう保育や教育の分野に市場原理を持ち込むことには私はもちろん反対でありまして、いずれかの機会にきちんと議論させていただきたいというふうに思っております。
 さて、法案の中身で具体の問題でお尋ねしたいことがありますのは、やはり保育料の問題なんですね。認定こども園となった私立保育所については、これは第十三条五項でありますけれども、「保育費用を勘案し、かつ、当該保護者の家計に与える影響を考慮して当該児童の年齢等に応じて定めなければならない。」というふうになってございます。この設定の際の指針というのは、市町村が決めた保育料徴収基準というふうに理解していいでしょうか。

○白石政府参考人 認定こども園の認定を受けました保育所の保育料は、御案内のように、市町村ではなく施設が決定するということになっておるわけでございまして、このため、市町村が定める、認定こども園でない一般の保育所の保育料と必ずしも同一のものになるものではございません。

○石井(郁)委員 今のように、市町村は決めない、各園が決めるということになるわけですが、同時に、十三条五項に適合しないと認められる場合は変更を命ずることができるというのもあるんですよね。市町村として、これはいかがかということかと思うんですが、だからこのことは、やはり各園が自由に設定できる、しかし相当高い設定もあり得るということを想定しているんじゃないでしょうか。
 それでは、市町村の保育料徴収金額よりも低額だったりあるいは高額であったりという場合には、市町村の金額に合わせるような変更を命ずるというような理解ができるんでしょうか。

○白石政府参考人 今御質問の中にもありましたように、認定こども園の保育料は、保育サービスの提供に要する費用を勘案するとともに、家計に与える影響を考慮して児童の年齢等に応じて定めるということでございますので、これに適合しない保育料は、市町村による変更命令の対象となるわけでございます。
 この保育料に関する考え方に適合する保育料といいますのは、市町村が認定こども園でない一般の保育所について定める保育料に限られるものではございませんということは先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、市町村が保育料の変更を命ずるという場合であっても、市町村と同じでないからということではないということです。

○石井(郁)委員 この十三条五項というのは、保育費用を勘案する、あるいは家計に与える影響も考慮して、当該児童の年齢等に応じて、確かに二歳児と五歳児とでは保育内容が違うでしょうということぐらいしか書いていないんですよね。だから全く各園が自由に設定できるんですよ。これは大変幅の広い範囲が想定されるというふうに私は思うんですね。市町村では保育料の徴収基準というのを決めているわけでしょう。今おっしゃったように、必ずしもそこに合わなくてもいいということになりますと、本当にばらばらの保育料が設定されるということになりますよね。
 しかし、余りにもどうかという、この十三条五項に合わなければ市町村は変更を命ずることもできる。では、その市町村の変更命令というのは、命令というか変更を命ずるというのは、どのくらいの強制力を持つんですか。今の御答弁だと、それはもう園の決めたことですというような御答弁でしたから、市町村はどのような関与の仕方をするんですか。

○白石政府参考人 私どもの方で今想定しておりますのは、どういう場合に変更命令をかけるかということで想定しているものはでございますけれども、例えば生活保護世帯から利用料を徴収するということであるとか、あるいは同一所得層の方なのに、例えばサービスの提供によりコストのかかる低年齢児の利用料を低くして、三歳児以上の利用料を高くするとか、そういうふうにコストシフティングみたいなことを極端にする場合。あるいは、実際にサービスの提供に要した費用よりも高いような利用料を設定することによって、結果として低所得者の利用を排除するというふうなケース。そういったケースについては変更命令の対象になるものだろうなというふうには考えておりますが、繰り返しになりますが、市町村の定める料金と同じでないからということではないというふうに考えております。

○石井(郁)委員 大変重大な問題が含まれているというふうに私は思いますが、現在、既に保育園、幼稚園の保育料というのは、若い家庭には大変負担となっている。これはいろいろデータもあるとおりでございますね。
 私はたびたび引用していますけれども、東京の認証保育所の例であります。国は保育料の上限を決めていますけれども、その範囲内でということになっていますが、各施設ごとにもう保育料というのは設定しているんですよね。
 ちょっと調べてみましたら、二十三区内にある認証保育所A型というのは、企業が設置する駅前の保育所ですけれども、平均の保育料、〇歳で六万五千三百円、二歳で六万二千四百円です。三歳児で五万九千五百円なんですね。二十三区内の認可保育所、公立ですね、認証保育所の場合はどうかといえば、保育料最高額は、三歳未満児で五万七千五百円で、三歳児で二万二千六百円ですよ。三歳児で二万二千六百円ですから、約三万七千円もの差がついています。〇歳でも約八千円の差がついています。大きいですよね。
 東京都が二〇〇四年に実施した認証保育所の実態調査によりましても、利用者の半数が保育料の高さを不満と感じている。今後充実させてほしい点としては、保育料の値下げを求める、これは七六%です。だから、一応国の保育単価は上限があったとしても、今本当に保育料はばらばらです。子供を抱える家庭はもう既に大きな負担を抱えている。
 認定こども園の保育料設定もこのような事態が起こるのではないかと思いますが、どのようにお考えですか。

○白石政府参考人 御指摘のように、東京都の認証保育所の保育料については施設が定めるわけでございます。認可保育所について国が定める基準の保育料の上限を上限としてやっておるというふうに承知しておるわけでございますが、いずれにしろ、地方裁量型の認定こども園の保育料は施設が定めるわけでございまして、今御指摘の東京都の例のように、これは自治体が責任を持って地方独自に支援してきた例でございますが、認定を行う地方自治体において適切な保育料の設定について対応されるものだと私どもは考えております。

○石井(郁)委員 保育料の負担ということを申し上げておりますので、少しそのことにかかわっていきたいんですけれども、二〇〇五年版の少子化白書がありますが、二十代、三十代の若年層でパートやアルバイトで働く人がふえている、男性で三十四歳以下、女性では二十四歳以下の層では、他の世代よりも所得格差が拡大しているという問題がありますし、貯蓄ゼロ世帯も二十代で三七・四%です。三十代では二五・三%にふえているということが、これは政府の少子化白書で紹介されている中身でございます。
 それから、二〇〇五年版の国民生活白書でも、二十代、三十代の場合、子供のいる世帯では共働き率が低いなど、収入が少ない上に子育て費用が生じている。だから、子供のいない世帯よりも自由に使えるお金が少なくて家計状況が厳しいと、ここで指摘されている。
 今、政府は一方でこういう現実を指摘する、調査を発表する、そうしながら、政策的には、こういう認定こども園で保育料は自由設定ですよと、非常に矛盾しているんですよね。今後、本当に保育を必要とする人たちというのは、こういう世帯のところでどんどんふえていくわけですよ。これは、保育に欠ける子もふえていく。しかし、施設は払える保育料によって選ばなくちゃいけない、高いところの方がちょっと多くならざるを得ないということになると、どういうことになるのかということでございます。
 だから、自由設定の導入というのは大変問題があるんじゃないかというふうに私は思いますし、保育料が決して安くならないで、現状か、あるいはもっと高くなっていくという予想がされるのではないかという点ではいかがでしょうか。

○白石政府参考人 認定こども園の保育料は、繰り返しになりますが、施設が定めるわけでございますけれども、例えば、そこが幼稚園の認可を有する場合には、一般の幼稚園同様、私学助成による財政措置とともに、就園奨励費というものもございます。また、保育所の認可を有する場合には、一般の保育所と同様に、運営費負担金による財政措置とともに、利用料は家計に与える影響を考慮して定めるということが法律上規定されているわけでございますので、適切な利用料金が設定されると考えております。
 また、今御指摘の地方裁量型につきましても、繰り返しになりますが、これまでも自治体が責任を持って地方独自に支援してきたわけでございまして、認定を行う地方自治体において適切な保育料の設定について対応がなされるものと考えております。

○石井(郁)委員 もう時間が参りましたので、最後に大臣に一言御感想と、やはり国の責任でちゃんと保育費用、運営費、ふやすべきだという点での大臣の御決意を伺いたいなと思うんです、この法案にはそこがないというのが問題なんですけれども。
 実際、ある無認可保育所の園長さんにお聞きしますと、保育料が払えなくて、利用したいけれども控えている、こういう声がいっぱいあるんですよ。こういう状態を放置しておくのか。私は、やはり認定する自治体が保育料もちゃんと設定すべきだし、保育料という問題では、もっと公的負担をきちんと確保しなきゃいけないというふうに思うんですが、もう時間でございますので、いろいろな事例は申し上げませんけれども、保育料の引き下げあるいは幼稚園への運営費の補助等々、やはり政府としてきちんと行うということはぜひ言っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○小坂国務大臣 認定こども園の認定を受けた保育所の利用料ということを中心に、今回の法律の審議でございますから、御答弁申し上げたいと思います。
 これは、みずから定めることになるわけでありますけれども、低所得者の利用が排除されることのないようにという御指摘のように、利用料は、保育サービスの提供に要する費用が家計に与える影響を考慮して定めることとしておりますし、また、こうした利用料を市町村に届け出ることを義務づけております。そういうことから、市町村長が不適切な利用料についてはその変更を命ずることができるという規定をもって、これらをある意味の担保をして、そして家計に過大な負担をかけるような費用設定が行われないように見守ってまいりたい、このように思っておりますし、また、委員の御指摘の意味を私なりに心にとめて見守ってまいりたい、このように思います。

○石井(郁)委員 以上で終わります。ありがとうございました。


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