トップ>国会報告>164 /衆/文部科学委員会/2006年3月29日

衆院文部科学委員会 議事録第9号 2006年3月29日


   文部科学大臣       小坂 憲次君
   文部科学副大臣      河本 三郎君
   文部科学副大臣      馳   浩君
   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   舟橋 和幸君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局次長)   金澤 博範君
   政府参考人
   (総務省大臣官房長)   森   清君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 稲見 敏夫君
   政府参考人
   (外務省大臣官房広報文化交流部長)        岡田 眞樹君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局アフリカ審議官)      小田部陽一君
   政府参考人
   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房長) 玉井日出夫君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君
   政府参考人
   (文部科学省生涯学習政策局長)          田中壮一郎君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長)            石川  明君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局私学部長)         金森 越哉君
   政府参考人
   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       小田 公彦君
   政府参考人
   (文部科学省研究振興局長)            清水  潔君
   政府参考人
   (文部科学省研究開発局長)            森口 泰孝君
   政府参考人
   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君
   政府参考人
   (文部科学省国際統括官) 井上 正幸君
   政府参考人
   (文化庁次長)      加茂川幸夫君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  中島 正治君
   文部科学委員会専門員   井上 茂男君
 
     ――――◇―――――

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。
 きょうは、まず就学援助の問題でお聞きをします。
 昨年度、準要保護の就学援助が国庫補助の対象から一般財源化されたわけです。そのため、多くの自治体で財源不足を口実にして基準が下げられる、また交付額も下げられたりしております。
 例えば、大阪市の場合でございますが、援助を受けられる収入、所得額で世帯人数が多いほど基準が下げられたんですね。〇五年度、五人世帯で総収入が五百四十五万円まで受けられましたが、〇六年度は五百十六万円になった。つまり、二十九万円下がっているわけです。また、総所得でも、三百八十二万円だったのが三百五十九万円と二十三万円も下がっているわけですね。それから、七人家族の場合では、収入で三十九万円、総所得額で三十五万円引き下げられるという形で、申請枠そのものがこれでは結局狭まっていくわけですね。
 厚生労働省の国民生活基礎調査を見ても、児童のいる世帯の年収が二〇〇一年度、七百二十五万円だったのが、〇四年度では七百二万円へと減少しているわけです。私は、今、大変庶民の生活、いろいろ厳しいという状況が進行している、格差社会が進行しているという中で、この状況で基準を引き上げることこそがやはり必要だというふうに思うんですが、逆に二十万円から四十万円近い引き下げをしているという状況なんですね。
 そこで伺いたいわけですが、就学援助の申請枠あるいは受給を狭めていく、引き下げていくということは大変な問題ですから、私は、文科省として、基準引き下げは行うべきではないという指導をすべきだと思いますが、御答弁、いかがですか。

○銭谷政府参考人 平成十七年度の各市町村におきます就学援助の認定基準、これについては、現在実態を把握中でございます。
 現在のところ、ただいま先生からお話がございましたけれども、一部の市町村におきまして、市町村の合併に伴ったり、あるいは近隣市町村との比較などの理由によりまして、準要保護の認定基準の引き上げ、緩和、あるいは引き下げ、縮小が行われている状況がございます。現在、どの程度の市町村において、どの程度の内容の変更が行われているかを精査、確認をしているところでございます。
 ただ、これらを含めまして、準要保護の認定基準というものは、各市町村が地域の実情に応じて判断をするというものでございますので、私どもとしては、義務教育の機会均等を図る観点から、就学援助が適切に実施をされるように、今申し上げました市町村の取り組み状況の把握等に努めまして、必要に応じて指導してまいりたいと考えております。

○石井(郁)委員 現在、各自治体がどういう実態、状況かということを、縮小あるいは基準引き下げ等々、精査中だということですが、それはいつごろまでにされるんでしょうか。

○銭谷政府参考人 私ども、二つの今調査をやっておりまして、一つは準要保護の認定基準について、ほぼ悉皆に近い形で調査をいたしております。それについては、できるだけ速やかに状況を整理したいと思っておりますが、ちょっと今しばらくかかる状況かと思います。
 それからもう一つは、百二十五ほどの市町村を対象にいたしまして、いわゆる聞き取り調査を実施いたしております。これは、最近、準要保護の認定を受けて就学援助を受給する人がふえている中で、どういう理由でふえているのかということを各市町村にお聞きをしたりしている調査でございまして、こちらの方は、先ほど申し上げました調査よりは、ちょっともう少し早くまとめることができるかなというふうに思っております。

○石井(郁)委員 私は、もちろんそういう調査、実態を把握するということは大事でございまして、これは可及的速やかに報告をしていただきたい、発表していただきたいというふうに思うんですね。
 というのは、事態は進行しているわけですから、もう各自治体でどんどん基準の切り下げが行われている。受けられない子供たちが広がっている、出てきている、こういう状況ですから、それをやはり把握して、そして対応する必要があるというふうに思うんですね。
 ちょっと例を申し上げますが、新潟市で聞きますと、財政難を理由にして、生活保護基準の一・四倍まで今まで対象にしていた、ところが、所得額に応じて支給額を引き下げるという方針がもう既に決められてしまって、生活保護基準の一・一倍以下にしか全額支給されない、こういう仕組みがつくられつつあるということです。これは、大阪・泉南市なんですけれども、給食費、修学旅行費とも一割カットというようなこと。また、岡山市でもこれは聞いております。給食費について、実費の六割しか支給されない等々、たくさんいろいろ事例が出ているんですね。聞き取り調査をされているということですけれども、本当に急いで、こういう実態をどうするのかということの対応が迫られるというふうに思います。
 この点で申しますと、昨年のこの一般財源化の審議の際に、私、質問いたしまして、中山当時文部科学大臣が、このようにおっしゃっておりました。「文部科学省としてもしっかりウオッチして、必要に応じて指導していく、」という答弁でございました。ですから、一般財源化されることによってどういう実態になっているのか、本当にどういう指導をされるのかということが急がれるわけですね。
 もう一度、めどとしてはどのように考えていらっしゃるのか。再度、御答弁ください。

○銭谷政府参考人 昨年、準要保護に係る国の補助を廃止して税源移譲をいたしました際に、私どもの方からも通知を出しまして、各市町村におきまして、きちんと税源移譲をされて交付税措置もされるわけであるので、準要保護者に対する就学援助はしっかり実施をしてほしい、そして必要に応じて指導するということを言っているわけでございます。
 私ども、その一環として、今、先ほど申し上げましたような調査を実施しているわけでございますので、ちょっと時期について、できるだけ速やかにということでございますけれども、昨今の状況をかんがみまして、私ども急いで資料は整えていきたいというふうに思っております。

○石井(郁)委員 私、この問題は、やはり義務教育の無償制という重要な原則からなされている措置でございますので、本当にないがしろにできないというふうに思います。ぜひ、この点の指導を急いでいただきたいというふうにお願いします。
 関連しまして、準要保護の就学援助が一般財源化されるに伴いまして、就学援助に関する法律の施行令が変えられたと思うんですが、これはどのように変えられたのか、簡単に御説明ください。

○銭谷政府参考人 十七年度から準要保護への補助を廃止、税源移譲したことに伴いまして、就学援助法等について所要の改正を昨年行ったわけでございます。この中で、政令でございますけれども、就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律施行令についても所要の改正を行い、昨年四月一日から施行されているところでございます。
 この改正の主な内容は、就学援助法の改正によりまして、国庫補助の対象を要保護者に限定することに伴いまして、準要保護者の認定に係る規定を削除するということと同時に、要保護者に対する国庫補助の基準等について規定の整備を行ったものでございます。

○石井(郁)委員 私の尋ねている中身はもう少し先にあると思うんですが、民生委員のことについて、いかがですか。

○銭谷政府参考人 なお、今のお尋ねの点について申し上げますと、準要保護者の認定に係る規定を削除したということを申し上げましたが、それに伴いまして、これまで規定をされておりました、市町村教育委員会は、準要保護者の認定を行うため必要があるときには民生委員に対して助言を求めることができるとの規定もあわせて削除しているところでございます。

○石井(郁)委員 その点は、私、大変重要だと思っておりまして、お尋ねしたわけでございます。つまり、今の民生委員に対しての指導を求める項を削除したというのは、助言を求める必要がなくなった、法的根拠がなくなったということかと思うんですね。
 ところが、この問題が徹底されていないんです。これは、宮城県のある市の話でございますけれども、子供が五人います、うち四人が義務教育の就学中なんです、その七人家族はやはり生活が苦しいので就学援助を申請しました、ところが、民生委員がだめだと言うので、これがだめになってしまったという例なんですね。これは理由にならない理由での却下であります。就学援助の適用基準を満たしているけれども、このことで却下になっている。
 しかし、これでは納得できないので、再申請をして、これは最終的には認められているんですけれども、今お話のように、こういう民生委員の助言ということは、法的根拠はないにもかかわらず、こういうことが今起きているという点で、民生委員には聞く必要は今はないという点はきちんと徹底すべきだと思います。いかがでしょうか。

○銭谷政府参考人 まず、準要保護の認定に当たりまして生活状態の把握ということが必要になってくるわけでございますが、それが、機械的、画一的に流れず、できるだけ実態に応じて把握をして、これらの世帯に属する児童生徒の就学が確保されるよう配慮する必要があろうかと思います。
 これまで政令にございました民生委員に対して助言を求めることができる旨の規定は、これは先ほど申し上げましたように削除したわけでございますけれども、この規定は民生委員に助言を求めることができるということを念のために規定したものでございまして、この規定がなくても、市町村教育委員会は必要に応じて民生委員に対して助言を求めることができるというふうに認識をいたしております。
 民生委員につきましては、地方自治法の二百四十五条の四の第三項によりまして、普通地方公共団体の執行機関は、その他の都道府県の執行機関、これが民生委員に当たるわけでございますが、に対しまして、技術的な助言もしくは勧告または必要な情報の提供を求めることができるという規定があるのと、民生委員法上、民生委員の職務の一つとして、関係行政機関の業務に協力することと規定をされておりまして、民生委員が、学校を初めとした関係機関の求めに応じて協力を行うということは法的に可能になっております。こうしたことから、就学援助法施行令の改正後においても、市町村教育委員会等と民生委員等が、必要に応じて協力し合いながら、就学援助を適切に実施をするということは可能なわけでございます。
 ただ、従来から、民生委員の助言を求めるか否かは、あくまでも必要に応じて、市町村教育委員会の判断で行うものであるということを御理解いただければというふうに思っております。

○石井(郁)委員 どうも文科省の態度というか対応というのは何かはっきりしないんですね。市町村に対して民生委員の助言を求めることができるというのは、何か文書で通知か何かを出されているというお話ですか。法的には削除したにもかかわらず、やはりこれはできるんだということを何か通知を出しているという御答弁のように今聞いたんですが、そういうことはあるんですか。もうはっきり、あるかないかだけお答えください。

○銭谷政府参考人 要保護者に係る就学援助につきましては、認定基準を含めまして、地方が責任を持って事業を実施していただく必要があるわけでございまして、準要保護者の認定に伴う民生委員の助言などにつきましても、これはあくまでも市町村の判断で適切になされるべきだ。これは、必ず聞きなさいとか、聞いてはいけないとか、そういうことではなくて、その認定に当たってさまざまな配慮の一つとしてあり得ることだというふうに私どもは考えているわけでございます。

○石井(郁)委員 私、それは、やはり法的に根拠がなくなったことをあり得るという形で行うというのは変だと思うんですね。準要保護の児童の認定というのは市町村が行うことだ、これはいいと思うんですね。しかし、認定基準というのははっきりしているわけですから、それで済む話だと思うんですね。これは本当に無用のいろいろ混乱を生むわけです。だから、そこら辺はやはりきちんと指導すべきだというふうに思います。
 ここに、ある市の場合、これは草加市から伺ったんですけれども、やはり民生委員の所見というのを書く欄がありまして、これが大変大きなウエートを占めちゃうんですよ、学校長の所見というのもありますけれども。それから、就学援助の申請、認定に当たって、これは非常に大きなウエートを占める。そのことが、非常に保護者あるいは学校との間の関係でぎくしゃくを生み出しているということで、現実に起きていますので、やはり民生委員の助言について施行令で削除したんですから、もうそこは法的にきっぱりとすべきだというふうに思います。
 この点は厳しく、文科省はあいまいな態度をとらないように指導していただきたい、徹底すべきだということを申し上げておきたいと思います。どうも銭谷さん、局長の答弁が何か煮え切りませんので、再度答弁を求めませんけれども、私は、やはり徹底すべきだということを強く申し上げて、この件は終わりにしたいと思います。
 次の問題なんですけれども、卒業式と入学式のシーズンでございまして、東京都の日の丸・君が代の異常な押しつけという問題で質問をいたします。
 まず、確認させていただきたいと思うんですけれども、これは一九九九年の国旗及び国歌法に関する法律案の国会審議の際、これは当時野中広務官房長官の答弁でございます。「学校現場におきます内心の自由というものが言われましたように、人それぞれの考え方があるわけでございまして、」「それぞれ、人によって、式典等においてこれを、起立する自由もあれば、また起立しない自由もあろうと思うわけでございますし、また、斉唱する自由もあれば斉唱しない自由もあろうかと思うわけでございまして、この法制化はそれを画一的にしようというわけではございません。」明快な御答弁でありました。これは当時の政府答弁です。この立場は今も変わりはないということを確認できますか。

○銭谷政府参考人 国旗・国歌法の制定時の衆議院の内閣委員会におきます官房長官の見解、すなわち、国として強制したり、あるいは義務化することはないというこの見解は国民生活一般について述べたものでございまして、政府のこの立場に変わりはないものと認識をいたしております。

○石井(郁)委員 わざわざ国民生活一般と言いかえなくてもいいんです。学校現場においてと野中官房長官はちゃんと御答弁されているんです。国民生活一般、学校現場においてもしかりだということなんですね。
 ところで、東京都で起きている問題といいますのは、これは平成十五年の十月二十三日の通達というものがあります。それで式の実施要項が事細かに決められました。校長が職務命令を出すんですね。服務上の責任を問われるということにされた。つまり、このとおり従わなければ懲戒処分を受けるという処分がかけられているわけであります。実際、多数の処分者が出ております。私は、今、現場と教師の苦悩というのは、本当にはかり知れないというふうに思っています。
 それだけじゃないんですね。実は、生徒にも起立による国歌斉唱が強制されるという事態にまで至っているという問題でございます。ここでも私は当時の国会答弁を引き合いに出させていただきますが、御手洗局長でございますが、このように言っていました。
 「学校の教員並びに校長は、この学習指導要領に基づきまして適切に教育課程を編成し実施しなければならない、こういう法的な関係に立つわけでございまして、最終的に子供たちがその指導をどう受けとめるかということは、これは教育の指導の結果の問題でございますので、そこまで学習指導要領は義務づけておりません。」という答弁ですね。そして、こう言っていました。「指導の結果、最終的に児童生徒が、例えば卒業式にどういう行動をとるかあるいは国旗・国歌の意義をどのように受けとめるか、そういうところまで強制されるものではないという意味で、強制するものではないと申し上げている。」と。これも、政府の立場として、確認できますね。

○銭谷政府参考人 少し答弁が長くなるのをお許しいただきたいと存じますけれども、学校における国旗・国歌の指導は、国旗・国歌法の成立以前から行われていたところでございます。児童生徒に我が国の国旗と国歌の意義を理解させ、これを尊重するとともに、諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てるために行っているものでございます。このことは、児童生徒の内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨のものではなくて、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくことを意味するものでございます。
 また教員は、国旗・国歌法の成立以前から、学習指導要領を基準として教育課程を編成し、これに基づいて国旗・国歌に関する指導を含め教育指導を実施するという職務上の責務を負っているわけでございます。こうした学校教育における国旗・国歌の取り扱いについて、その立場に変更はございません。
 それで、お尋ねの件でございますけれども、国旗・国歌につきまして、校長、教員は児童生徒に対し国旗・国歌の指導をするわけでございますけれども、これは指導の結果までを求めるものではなく、あくまでも教育上、指導上の課題として指導を進めていくことを意味するものでございます。
 お話にございました当時の初等中等教育局長の答弁も、指導の結果、最終的に児童生徒が、例えば卒業式にどういう行動をとるか、あるいは国旗・国歌の意義をどのように受けとめるか、そういうところまで強制されるものではないと答弁したものでございます。そのことは、児童生徒に対する指導の結果までを求めるものではなく、あくまでも、教育指導上の課題として受けとめて指導を進めることが必要であるという趣旨でございまして、その立場に変わりはございません。

○石井(郁)委員 そのように余り長々と繰り返されなくても結構なんですけれども。
 実は、ことしどういうことが起きているかという、ちょっと事例を申し上げます。これは、東京の都立の定時制高校の卒業式なんです。定時制です。ですから、成人の方がいらっしゃるわけでしょう。
 そこで、卒業生となる石川弘太郎さん、もう実名で申し上げます、この方は自分で訴えていらっしゃいますので。六十四歳です。二月、副校長が来て、日の丸・君が代のことで話したいと言ってきた。何だろう。内心の自由を守ることなら話し合ってもいいと述べたけれども、その日は帰られた。お別れ会には来ますと言って別れた。二月二十七日、お別れ会があった。この日は話し合いはなかった。ところが、三月二日には、午後六時十分ごろ、自宅に副校長から電話が入り、実は君が代のことで電話した、起立して歌ってほしい、四年前の入学式には歌いませんでしたねというふうに言うんですね。その副校長先生は去年赴任されたばかりだから四年前のことを知らないはずだ。そして、三月八日、やはり六時三十分ごろ、給食室に校長と副校長があらわれまして、校長は立ち去ったけれども、副校長は横に座り込んで、歌ってほしい、やはり歌わないんですか、起立だけでもお願いしたい、こういうことがあったと。
 これは事実の話です。三度にわたって、しかも過去の事例まで持ち出して、やはり起立、歌うことを強要する。これは強制でなくて何でしょうか。強制そのものじゃありませんか。いかがですか。簡単にちょっと御答弁ください、もう時間がないので。

○銭谷政府参考人 その方は、教員になるのでございましょうか。(石井(郁)委員「いや、生徒です」と呼ぶ)生徒でございますか。
 児童生徒に対しましては、教育という立場からすれば教え導くことでございまして、国旗・国歌を学習指導要領に基づいて適切に指導するということは、教え導くという形で行われるわけでございまして、例えば、長時間にわたって指導を繰り返すなど、精神的な苦痛を伴うような指導ということは適切ではないかもしれませんけれども、入学式、卒業式等において起立して国歌を歌いなさいと生徒に指導するということは、これは特に思想、良心の自由を侵すものではないと考えております。

○石井(郁)委員 私は、指導一般を否定しているんじゃなくて、指導を超えた強制という事態がここにはあるんじゃないですかと。こういうことが起こり得るということが危惧されたから当時の国会審議の中でもいろいろ質疑があったわけでしょう。
 だから、御手洗局長がこう言っていましたよ。やはり、子供の心を傷つけるような形で指導が行われたり、あるいは子供に精神的な苦痛を伴うような形での長時間にわたったりあるいは執拗に指導が行われたりするということになったら、これは通常の教育指導の範囲を超えた不適切なものだと。今、この不適切なことが学校現場で生じているんじゃないですか。
 しかも、これは私が申し上げたように、強調したように、定時制なんですよ。六十四歳という、しかしこの方は生徒なんですね。その方に対してまでこういうことをしなきゃいけないというのは、異常きわまりないんじゃないかというふうに言わざるを得ないわけですね。
 だから、この方はこう言っていました。ここまでやるのかという戦慄を覚える、内心に踏み込まれてパニック状態になったくらいだ、これが十代の生徒だったらおかしくなるかもしれない、まさに言いなりになるかもしれない、若い人たちには絶対体験させたくない。
 どうですか。私は、まさに憲法十九条の言う思想、良心の自由を本当に侵すものではないかと思うのですね。しかも、この方だけじゃないんです。ほかの生徒の方にも同じようなことが行われている、こういうことなんです。
 当時、御手洗局長が、この憲法十九条で保障しておりますのは、内心の自由まで立ち入って強制することがあってはならないと言っているわけでしょう。これははっきり局長の御答弁です。学校教育におきましても国民一般の場合におきましても、何ら異なることはないと。「教育に当たる学校の教員が、憲法に保障された基本的人権であります内心の自由にまで立ち入って強制すると判断されるような教育活動を行ってはならない。」これが当時の局長の見解なんですよ。これは確認できますね。簡単に。

○銭谷政府参考人 国旗・国歌につきまして教員が生徒に対して指導する場合に、一般論で申し上げますと、教育的に見ても適切でないような指導を行い、児童生徒に心理的な強制を与えるといったようなことであれば、これは許されないとの答弁があるということでございますが、これは、指導というのが適切な教育的配慮のもとに行う必要があるという趣旨であって、その立場に変わりはございません。

○石井(郁)委員 私は今、ことしの事例を申し上げました。東京都の教育委員会が教育長名でさらに通達を出しているんです。「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の指導について」、これは三月十三日です。今般、一部の都立高等学校定時制課程卒業式において、国歌斉唱時に学級の生徒の大半が起立しないという事態が発生した。校長は、みずからの権限と責任において、学習指導要領に基づき適正に児童生徒を指導することを教職員に徹底するように通達する。
 つまり、教職員が生徒たちをちゃんと歌わせるように指導ができなければ、また処分をしますよという話なんです。もう既に三百名からの処分がなされているじゃないですか。私は、これは本当に今の答弁に全く反すると思うのですね。つまり、起立して斉唱せよということを児童生徒に強要する、それを教師に指導せよとまで言うと。ここまでのことは本当に国会審議になかったことですし、反すると言わなければなりません。
 それで私は、もう時間ですけれども、やはり繰り返しますが、教育に当たる学校の教員が、憲法に保障された基本的人権であります内心の自由にまで立ち入って強制すると判断されるような教育活動を行ってはならないとあるわけですから、こういう立場でちゃんと文科省として、政府として、異常な事態について指導をすべきじゃないですか。こういう通達は撤回させるべきじゃないですか。簡単に御答弁ください。

○銭谷政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、児童生徒に対する学校の指導はあくまでも教育上の課題として指導するものでございまして、そのことが児童生徒の内心の自由を侵すということには直ちにならないと思っております。

○石井(郁)委員 卒業式も入学式も、子供も生徒も親にとっても、その成長を喜び合う楽しい場面であるはずです。ところが、今申し上げたように、東京都では、処分でおどして、そして人間にとって最も大事な思想、良心の自由を侵す、教育にあってはならないことがまかり通る、こういう事態になっているわけですね。
 私は、国会審議をあえて持ち出しましたけれども、こういう事態を危惧したからこそ徹底したあの時期の審議があったと思います。だから、ぜひこの思想や良心の自由、内心の自由を本当に大事なものとして、崇高なものとして守る立場にやはり文科省として毅然と立っていただきたい、このことを強く申し上げて、質問を終わります。


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