トップ>国会報告>164 /衆/文部科学委員会/2006年3月15日

衆院文部科学委員会 議事録第7号 2006年3月15日


   文部科学大臣       小坂 憲次君
   総務副大臣        山崎  力君
   文部科学副大臣      馳   浩君
   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君
   文部科学大臣政務官    有村 治子君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員部長)          小笠原倫明君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長)            石川  明君
   政府参考人
   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 鳥生  隆君
   文部科学委員会専門員   井上 茂男君
   
     ――――◇―――――

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。
 きょうは、私、学校耐震化の問題と、創設される義務教育諸学校施設費国庫負担の交付金制度の問題で質問をいたします。
 まず耐震化ですが、文部科学省が昨年四月一日現在で公表した公立学校施設の耐震改修状況調査がございますが、全国の小中学校は十三万棟、耐震性が確認されている建物が全体の五一・八%です、六万七千七百五十二棟しかありません。耐震性の確保されていない建物が六万三千百一棟です。四八・二%残されています。とりわけ、耐震診断を必要とする一九八一年以前の建物八万三千六百六十三棟のうち、改修等の対策がとられた建物が二万五百六十二棟。それから、耐震化の前提となる耐震診断も、八万三千六百六十三棟のうちの半分程度でしかありません。
 深刻なおくれだと言わざるを得ないわけですが、なぜここまで耐震対策がおくれてきたのか、お答えください。

○大島政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のございました、耐震化それから耐震診断が十分に進んでいない理由ということでございますけれども、都道府県教育委員会を通じまして、設置者であります市町村に対して昨年一月にアンケート調査をやってございます。
 これは複数回答でいただいておりますが、これによりますと、当該地方公共団体における財政上の理由を挙げる市町村が最も多い回答でございました。このほかには、そもそも学校施設が他の公共施設に比べると絶対量が多いんだということ、それから学校の統廃合計画を検討している、こういった理由を挙げているところでございます。

○石井(郁)委員 やはりここでも地方は大変財政事情が悪い、それを考えるとおくれてきたということですね。学校の数が多いといっても、そういう学校をきちんと診断するというのは、これはもう行政の真っ先にやらなきゃいけないことですから、数が多いというのは理由にならないと私は思いますが、そういう答えが出されているというのはわかりました。
 今回、安全・安心な学校づくり交付金という形で交付金化されるわけですね。内閣府分も含めて五百四十九億円と聞いております。〇六年度予算案ですね。私は大変極めて少ないと思うんですが、これで学校の耐震化がどのくらい進むでしょうか。

○大島政府参考人 今御指摘ございましたように、平成十八年度予算案において、地方の裁量を高めて効率的な執行に資するために、耐震関連事業を中心に一部交付金化、安全・安心な学校づくり交付金という名前でございますが、これを図っているところであります。
 また、迅速な整備促進の観点ということから、建てかえ方式から耐震補強改修方式に重点を移す、こういったことも考えておるわけでございまして、そういったことで効率的な耐震化の推進に努めることとしているところであります。
 これらのことをやることによりまして、その交付金を含む十八年度の公立学校施設整備予算案におきまして、公立学校施設の耐震化ですが、全体で二・八%進捗すると見込んでいるところでございます。平成十七年度補正予算等もございまして、これらをすべて合わせて、十八年度の予算までで全体としては耐震化率は五八・〇%になるものと見込んでいるところでございます。

○石井(郁)委員 二・八%、わずかに伸びるということですから、極めて足りないというか少ないと言わざるを得ないわけですが、本当にこの問題は急がなきゃいけない問題だというふうに私は思います。
 一つ伺いたいんですが、先ほど申し上げた公立学校施設の耐震改修状況調査、これから見ますと、特殊教育諸学校、いわゆる盲・聾・養護学校、こういうところの耐震化率、耐震診断率というのが非常にアンバランスがあるんですよ。
 ある県では、一〇〇%いっているところもございます。しかし一方では、数%台。ちょっと例を挙げますと、栃木県では五・四%です、富山県で七・九%、徳島県に至っては一・五%だというところなんですね。私、余りにもこれはばらつきが大きいんじゃないかというふうに思うんですね。ちょっと格差が著し過ぎる。だから、耐震補強最優先で養護学校校舎の診断は後回しという県のお話も聞いております。
 そこで、こういう盲・聾・養護学校と小中学校を含めて、こんなに地方間にばらつきがあるわけですから、これをどのように是正していくんでしょうか、お聞かせください。

○大島政府参考人 公立学校の耐震化の進捗状況には地域間によって大きな差があるということは御指摘のとおりでございます。
 特に、公立の特殊教育諸学校施設の耐震化の進捗にはさらに大きな差があるという状況になっています。全体としては、小中学校ですと全国平均は耐震化率五一・八パーですが、特殊教育全体としては全国平均は七一・五ということで、割と全体としては高い。しかしながら、先ほど先生は診断の方を御指摘されましたけれども、耐震化率ということでいいましても、最高は確かに福井県の一〇〇パーから、低いところですと愛媛県の三一・八というふうに、耐震化そのものもすごく大きな差が出ている、こういう状況になっているわけです。
 こういった地域間の差というのはどういうところからくるかということで、我々、現場の担当課といったところからもいろいろ聞いて検討しておるわけですが、一つは、やはり大規模な地震が発生することに対する切迫性の認識、これが地域によって結構差があるといったことがありまして、関係地方公共団体における耐震化の取り組みの違いというものになってあらわれているんじゃないかと見ているわけです。
 そうはいいながらも、先生御指摘のように、学校施設の安全性は全国どこでもきちんと確保する、これはまさしくそのとおりでございまして、文部科学省といたしましても、全国的な学校施設の耐震化に積極的に取り組んでいるところであります。
 今回の法案では、この交付金の交付のために、国は学校施設の整備のための基本方針を定めることとしているわけでありまして、この施設整備基本方針においては耐震化に重点を置くということをしているわけであります。これを受けて、地方公共団体においては施設整備計画を策定することになるわけですから、このことによって、地方公共団体における耐震化の取り組みは一層促進されるというふうに考えているところであります。
 さらに、今後、耐震化のおくれている地域に対しましては、個別に指導を行うというようなことも考えているところでございまして、耐震化の推進に努めてまいりたいと存じます。

○石井(郁)委員 私、文科省からいただいたこの一覧というか資料、各県ごとの耐震診断実施率というのがございまして、本当にひどい差だなというふうにびっくりしたところなんです。だから、平均で計算すると、一〇〇%があるわけですから、一方で一けた台があっても、そのほか、八割のところもあるし、また七割台のところもございますから七割というふうになるんでしょうけれども、余りにもちょっと大きなアンバランスじゃないかなと思いました。
 今御答弁したのを伺って、残念ながら、なぜこういうことが生まれるかについては、地震の切迫性がないんじゃないかと。私、文科省はそんなふうにやはり言っちゃだめだと思うんですよ。最初に、やはり財政事情からおくれているんだという話があったじゃないですか。そして、私、ある県の話もしましたけれども、やはり小中の耐震補強を最優先するので養護学校校舎の診断は後回しになっているんだと。こういう考え方がどうかというのもありますけれども、やはり財政事情が根本にあるんだ、そういう前提がはっきりしていると思うんですね。
 そういう点で、私は、やはりこれを地方任せにしちゃだめだというふうに思うんですよ。地方の責任にするわけにいかないじゃないですか。国としても、耐震診断も含めた耐震化事業が進むようなやはり財政措置が求められているし、必要じゃないのかということなんですね。そのことを強調しておきたいと思います。
 同時に、これも議論になっておりますけれども、学校は避難所だと、これは阪神・淡路大震災の大きな教訓でした。だから、避難所としての機能を果たせる、そういう設備上の改修ということも今急がれているわけですね。
 そこで、実態はどうかといいますと、学校施設の多くがそういう避難所としての機能を想定してつくられていません。まだまだそういう機能になっていない。停電時の対応、救援物資の備蓄スペース確保、出入り口などの段差の解消、トイレの洋式化云々といったバリアフリー化等々がありますけれども、そういう設備上の改修というのも必要だと思いますが、この点は文科省はいかがお考えでしょうか。

○大島政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘がございましたように、学校施設は地域住民の応急避難所としても重要な役割を担っているわけでございまして、この安全性を高めて防災機能を強化することは重要なことと認識しているところでございます。このため、耐震化の推進はもちろんでございますが、避難場所として位置づけられた学校施設につきまして、今御指摘のあったようなバリアフリー化を推進する、あるいは、必要に応じて備蓄倉庫や非常電源等の防災機能の整備充実を図るということが必要であると考えておるところでございまして、学校施設整備指針におきましても、必要な機能について整備することを求めております。
 なお、公立学校施設におきましては、バリアフリー化や備蓄倉庫、それから自家発電設備の設置等に係る経費についても国庫補助の対象としているところでございまして、この件につきましては、今回の交付金化に当たっても、このような従来から補助対象としてきたものについては引き続き交付金の対象とすることとしております。
 今後とも、防災機能の強化充実が図れるよう適切に対応してまいりたいと存じます。

○石井(郁)委員 私、こういう報道を目にいたしましたのでちょっと御紹介しますけれども、中越地震の際、避難所として機能しない、そういう施設が少なくなかったと。
 これは長岡市のある学校なんですが、二〇〇三年に開校したばかりなんですよ。新しい学校ですよ。ところが中越地震では、体育館の窓ガラスが落下した、危険なため体育館は使用できない、被災者は校舎で避難生活を送った、しかし、窓ガラスや壁板が非構造材のために、原則として耐震化助成の対象外だったというところがあったと。これは、割れても飛び散らない合わせガラスというのが必要なんだそうですけれども、それにすると、普通ガラスの価格の約六倍だというんですね。だから、今すぐガラスだけをかえるのはなかなか難しい、これは小千谷の市教委の皆さんの見解ですけれども、長岡市は被災後の情報不足に対応するため、避難所となる全施設に電話やテレビの配線を備えるほか、トイレも含めて体育館のバリアフリー化を目指している。これはことしの二月の新聞報道だったんですね。
 だから、新設でもこういう状態だ、本当に避難所としての機能を備えるような施設にさらにつくりかえなきゃいけないという新たな補強を必要とするわけですね。ここでは、建物の耐震化だけでは不十分だ、いわゆる施設設備の面で災害にも備えなきゃいけないということですよね。
 こういう施設整備面での予算措置というのは、今後どのようにしていくおつもりですか。

○大島政府参考人 今後、これから交付金化を図るということで御説明申し上げているわけでございますけれども、交付金化を図るに際しましては、国として施設整備の基本方針を示すということを考えているところでございまして、これは、公立学校等の施設整備を地方公共団体が実施するに当たっての指針として示すという考えでございます。地方公共団体は、これを踏まえて施設整備計画をつくるわけであります。
 そのときに、今申し上げたような施設整備の基本方針の中には、例えば耐震性の確保を図ること、あるいは今言ったようなバリアフリー化といったような教育環境の向上を図ること、こういったものを明記するということを現在検討しているところでございまして、こういったことにより、新たな交付金化を活用してそういったものの整備が進められるというふうに考えているところでございます。

○石井(郁)委員 計画を盛り込めとか計画をつくれというようなことはいろいろおっしゃるけれども、予算措置をどうするのかというお答えがないんですよね。
 地方の実情についてもう少し御紹介しますと、東南海・南海地震で大きな被害が予想されている和歌山県がございますね。二〇〇三年度からの耐震診断計画の策定を求めているが、厳しい財政事情から思うように進まないのが現状だ、これもことしの一月のある新聞です。耐震調査は済んでいるものの、補強工事が年に一、二校のため、全部終了するのは六十年以上かかる、これは千葉県の話です。市町村の財政難が深刻です、具体的な計画や改修工事が進まない、耐震工事実施のため大規模改修が先送りされる、これは高知県の情報でございます。私は、こうして見ますと、抜本的な予算をつけなければ、本当にこの耐震化補強工事、改修は進まないじゃないかというふうに思うんですね。
 これは、大臣にその点でのまた御決意をぜひお聞かせいただきたいと思うんですけれども、藤村委員の方からも、今、施設整備費、一九八〇年には五千七百十三億あったのに、どんどんさらに下がって、十八年度では千三十九億円ですから、ピーク時の五分の一なんですよ。先ほど私は答弁もお聞きしまして、事業量が減少したという話があったと思うんですが、今お聞きのように、とんでもないでしょう。地方はやりたくてもやれないと言っているじゃないですか。それなのにどんどん減少する一方だ、どうするんですか。
 耐震化と避難所の機能を備えるような施設整備と同時に、老朽化という問題も依然としてございます。施設整備のための予算を今の実態に見合う形で確保するということが今どうしても必要だと思いますが、ぜひ小坂大臣の御決意を伺いたいと思います。

○小坂国務大臣 私も、潤沢に予算をとって理想的なものをつくるというような、そういうことが許されればどんどんどんどんやりたいと思いますが、やはり現実は国の財政状況が極めて厳しい中で対応していかないかぬということであります。したがって優先順位をつけて、そして、それぞれの地域の中での要望の強いものから実施していかざるを得ない。そういうところに、新たな要請としての耐震化というようなものも最近は加わってきているわけでございますし、アスベストの問題がまたさらに加わってきた。学校安全の問題も加わってきた。そういうことで、やりたいことはどんどんふえるのに、予算あるいは財政状況が急激に改善するという状況ではないわけですから、そこは委員も御理解の上で、決意を聞いていらっしゃるということだと思います。
 決意としては、先ほども藤村委員の方にも申し上げましたけれども、委員の御質問のポイントというのは、私どもなりに今までも努力したところとも一致している部分もございます。そういう意味で、子供たちの安全、安心な学校環境を守るためにも、そしてまた地域の災害が発生したときの避難場所等の役割も担えるように、そういった意味で、今委員の御指摘のあったようなことについても、私ももう一度、トイレをちゃんと洋式にしてあるのかとかそういう細かい配慮が一体どこまで現場に到達しているか、そういったことは、スクールミーティングやいろいろなものを通じながら、自分の目で確認しながら、そしてまた具体的な指示も出してまいりたいと存じます。
 そういう意味で、今後とも、極めて財政事情が厳しい中ではありますけれども、耐震予算関連の確保を初めとして、こういったプライオリティーをつけてしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

○石井(郁)委員 繰り返しませんけれども、本当に地方の財政は厳しい、やりたくてもやれないという中で、文科省の御答弁が、とにかくそれは地方の責任だ、地方でやってくれというようなことでは困る、やはり国として責任をきちんと持ってほしいということを私は申し上げているわけでございます。
 ちょっと一分だけありますので、最後の一つですけれども、交付金化ということについて、地方公共団体も基本計画をつくるだとか、いろいろ目標を設定するだとか、いろいろ書かれておりますよね。これは、基本方針と計画とこの交付金の交付というのはどういう関係でつかんだらよろしいのかということだけお答えいただきたいと思います。

○大島政府参考人 簡単に関係を申し上げます。
 まず、国、文部科学大臣でございますが、公立学校の施設整備を地方公共団体が実施するに当たっての指針として、まず施設整備の基本方針を定めます。さらに、それに基づいて、今度は交付金の交付に関連する事項等、これについて施設整備基本計画として定めます。
 地方自治体でございますが、地方自治体は、これら施設整備の基本方針等を踏まえて、交付金の交付を受けようとする地方公共団体が施設整備計画を定めるということになります。具体に申しますと、施設整備計画においては、施設整備計画の目標あるいは目標を達成するために必要な事業に関する事項、計画期間、こういったものをそこに記載することを予定しているところでございます。

○石井(郁)委員 以上で終わります。


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