衆院文部科学委員会 議事録第4号 2006年3月8日
文部科学大臣 小坂 憲次君
総務副大臣 山崎 力君
文部科学副大臣 馳 浩君
文部科学大臣政務官 吉野 正芳君
政府参考人
(内閣官房知的財産戦略推進事務局次長) 藤田 昌宏君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 瀧野 欣彌君
政府参考人
(総務省自治税務局長) 小室 裕一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 大島 寛君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 銭谷 眞美君
政府参考人
(文部科学省高等教育局私学部長) 金森 越哉君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 素川 富司君
政府参考人
(文化庁次長) 加茂川幸夫君
文部科学委員会専門員 井上 茂男君
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○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
提出の法案について質問をいたします。
ただいまも義務教育の根幹とは何かということをめぐってのやりとりがございました。私は、これはやはり大変大事な問題だと思いますので、はっきりさせなくてはいけないというふうに考えております。
その点からでございますけれども、先日の委員会で牧議員とのやりとりがございまして、それを聞いていて思ったんですけれども、現在、文部科学大臣の姿勢が、これまでの文部科学大臣の答弁からも大幅に後退しているんじゃないか、そう言わざるを得ないわけであります。
小坂大臣の御答弁ですが、二分の一から三分の一に引き下げるという、数字はいじらせていただきましたけれども、義務教育費の国庫負担制度というこの安定した財源保障制度は堅持するということを表明させていただく、この構造改革を推進する上で、結論を出させていただいたということだったと思います。
そこで、端的に伺いますが、二分の一から三分の一に引き下げたというものは、教職員の給与費なんでしょうか、確認させてください。
○小坂国務大臣 これは、義務教育の教職員の給与費でございます。
○石井(郁)委員 そのような御答弁なんですね。
では、その給与費ということについていえば、当委員会でこれまでの大臣がどのような答弁をされていたかということなんですね。私はそこを大変こだわりたいというふうに思っております。
二〇〇三年度、この年には、教職員の共済費の長期給付、公務災害補償基金負担金が一般財源化されました。その際に、遠山文部科学大臣でございましたけれども、このようにおっしゃっていたんですね。義務教育の根幹は守る、根幹とは教職員に支払われる給与費ということになる、その根幹である給与費についてはしっかりと守っていきたい、給与費はしっかりと守っていきたいと。翌年、二〇〇四年には退職手当と児童手当が一般財源化されました。そのときは、河村文部科学大臣でございましたが、このようにおっしゃっていたんです。給与費、これが根幹で、この根幹を守ることによって基本理念を貫くことができる。給与費はしっかり守っていく。以上が、二〇〇三年、四年、文科大臣の御答弁でございました。
ですから、そういう御答弁をいただいて、国会としては、当委員会としては、あるいは国民も、給与費は守られるものだ、こういう理解をするわけですよ。ところが、この給与費を二分の一から三分の一に削減した。これは守ったことにならないんじゃないですか。これまでの答弁に反することを大臣が行ったんだというふうに言わざるを得ないんですが、いかがでしょう。
○小坂国務大臣 全くぶれていないんじゃないでしょうか。義務教育の教職員給与費の全額を国と地方の負担で保障しているという、この全額保障制度は維持されているわけですよね。どこが削減したことになるんでしょうか。
○石井(郁)委員 だって、二分の一から三分の一に国が減らしたんですから。給与費の国の負担二分の一を守るというのがこれまでの大臣の御答弁じゃないんですか。その意味で、削った、これは守ったことになりませんよ。単純な話じゃないんでしょうか。
○小坂国務大臣 御指摘のように、二分の一から三分の一と数字は変化をいたしました。しかし、では義務教育の教職員の給与費が引き下げられたのかといえば、そうではないですよね。これは御理解いただいていると思います。では、それをどこが負担するかということにおいての負担割合は変わりました。しかし、義務教育の教職員給与費の全額を国と地方で保障する、このことは変わっていないわけですので、おっしゃるものには当たらないと思いますが、いかがでしょうか。
○石井(郁)委員 これだけでやりとりをしていたら、何かレトリックのようなものになってしまって、ぐあいが悪いなと思うんですけれども。
確認をいたしますが、昨年十月二十六日の中教審答申は、国は、その責務として、義務教育の根幹、機会均等、水準確保、無償制を保障する、国家、社会の基盤がいささかも揺らぐことのないようにしなければならないと。その上で、義務教育制度の根幹を維持する、国の責任を引き続き堅持するためには、国と地方の負担により義務教育の教職員給与費の全額が保障されるという意味で、現行の負担率二分の一の国庫負担制度はすぐれた保障方法である、今後維持されるべきだというのでございました。
ところが、先ほど来出ている十一月三十日の政府・与党合意では、費用負担については、小中学校を通じて国庫負担の割合は三分の一とする、八千五百億円程度の税源移譲を確実に実施することになったわけですね。
そこで、中教審の鳥居会長が、これは三月五日の毎日新聞だったと思いますが、このように述べておられます。「そこには何の教育論もない。」「残念な結果であった。」と。私は、文部科学省としてこういう中教審の答申を覆す結論を導いたわけですから、一体どのような教育論的検討を行った上でのことなのか、お答えいただきたいと思います。
○小坂国務大臣 私、ずっと申し上げております。中教審答申の数字をそのまま守ることはできなかったことは認めております、二分の一から三分の一と変更したわけですから。
しかし、中教審答申の中でも言われている、このすぐれた制度の根幹というものは全額を保障するということでありまして、国と地方がそれぞれに分担をして全額を保障するというこの制度の根幹は守ったというふうに思っておりますし、鳥居会長もその三月五日の新聞のコメントの中で、「ただし、政府と与党が、負担率を引き下げても「義務教育費国庫負担制度を堅持する」と合意したのは、せめてもの良識であった。」ということで、大変苦しい中だったんだろう、しかし、これを守ってくれたことはそれなりに評価するというふうに言っていただいていることからも、御理解いただけると思っております。
○石井(郁)委員 しかし、鳥居会長はこうも言っておられるんですね。「政府内の議論は中教審答申が出るやいなや迷走した。「三兆円の税源移譲を実現するためには、義務教育費を外せない」という数字合わせが先行し、もともと「暫定」だった義務教育費八千五百億円の削減が、いつの間にか既定路線となって、国庫負担率の引き下げが決まった。」というふうに述べていますね。
このように、三兆円の税源移譲のために義務教育費国庫負担が使われたということではないんでしょうか。教育論というのが見えない中で、教育の機会均等や全国の水準の維持、確保という、本当に将来困難をもたらすような結果を導いたのではないかと言わざるを得ないわけです。
そこで、地方が一体どういう声を上げているかなんですね。これは地方の声だ声だというふうに言われるわけですから、改めてお聞きしたいんですけれども、昨年、ことしでもいいんですが、義務教育費国庫負担堅持を求める意見書を出した自治体はどのくらいあるでしょうか。昨年度以降の場合は幾らなのか。何%の自治体がやはり堅持してほしいという意見書を出しておられるのか。これをお尋ねします。
○銭谷政府参考人 義務教育費国庫負担制度をめぐりましてさまざまな意見が寄せられているわけでございますが、地方議会からの地方自治法に基づく義務教育費国庫負担制度堅持を求める意見書は、平成十六年度は、十四都道県、千三百六十四市区町村から出ております。平成十七年度は、三月七日現在で、十二県、千六十五市区町村から提出をされております。
これを十六年、十七年で通算してみますと、三月七日現在で、四十七都道府県の三六%に当たる十七都道県、それから市区町村では、市区町村数全体の六五%に当たる千二百九十四市区町村から提出をされております。
○石井(郁)委員 今お示しいただきましたように、市区町村でいいますと、全国の六割を超えているということですよね。大変な数だというふうに思うんです。だから、ここには、国の負担削減によって、独自財源の少ない地方では、本当に大丈夫なのか、教育費確保が困難になるのではないか、この懸念がやはり表明されているというふうに思うんですね。
そこで伺いたいのは、文科省はさきに、義務教育費の国庫負担金を廃止した場合、つまり税源移譲を、全額移譲した場合、四十道府県で財源不足が生じる、ある県、高知県の場合は四五・五%も減少するというような試算を発表されました。それは大変な驚きだったんですよね。
それでは、国庫負担金を二分の一から三分の一に削減した場合はどのような影響が出るのか。これはシミュレーションなり試算なりしているでしょうか。
○銭谷政府参考人 今回、義務教育費国庫負担金の負担割合を二分の一から三分の一に引き下げることによりまして、各都道府県に交付される義務教育費国庫負担金が減額となるわけでございます。この減額分の八千四百六十七億円につきましては、十八年度においては所得譲与税として地方に税源移譲されるわけでございます。
いろいろ計算をいたしまして、シミュレーションしまして、この税源移譲額を各都道府県ごとに見ますと、三分の一の国庫負担金の額に所得譲与税を加えた額、これが一つの額でございますね、それと二分の一の国庫負担金として各県に行く額、これを比較いたしますと、三分の一の国庫負担金の額に所得譲与税を加えた額は二分の一の国庫負担金の額と比べて三十九府県で不足が生ずるものと推計をされております。
なお、この不足分については地方交付税により措置されるものと承知をいたしております。
○石井(郁)委員 三十九府県でマイナスとなるということのようですね。
もう少し具体的に、例えばプラスになる県もあるんだと思うんですよ。しかし、大幅にマイナスになる、特に大きくマイナスになる県、二、三の例を挙げてお示しいただけませんか。
○銭谷政府参考人 所得譲与税と三分の一の国庫負担金として各県に参ります金額が二分の一の国庫負担金と比べましてふえる県でございますけれども、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、こういった県がふえる県でございます。これ以外の県は減る県ということになります。
減る額については、いろいろございますけれども、やはり北海道、東北、九州、四国などの県ではかなりの減額になるということでございます。
○石井(郁)委員 私は、やはりこういう試算を出していただかないときちんとした審議ができないというふうに思いましたので、文科省にお願いをしました。やっと私も、けさいただいたんですよ、このペーパー、何度も請求をして。
私は、こういうのは当然、試算をしていると思いましたし、出してほしかったわけですけれども、それを見ると、今お話しのように、東京都では三百十一億円もプラスになるんですね。ところが、北海道ではマイナス五十六億円だ、青森二十七億円マイナス、岩手も二十九億円マイナス、九州長崎二十七億円、熊本も二十八億円マイナス。だから、本当に御答弁でわかりますように、大きな県、まさに都市部ではプラスに行くけれども、いわば地方では本当にマイナスになるという結果が出ているんですね。
私は、こういう資料は本当に委員会で全部配付をしていただきたいということもお願いしたいと思いますが、まさに、全額移譲した場合に四十道府県で税源不足が生じるという結果に驚きましたけれども、結局、三分の一削ったということでも三十九の府県にこういうマイナスの影響が出る。しかも、格差が非常に大きい。プラス・マイナスはこんなに開いている。来年度でこれだけ広がっていけば、この先これはどんどん拡大するんじゃないでしょうか。
まさに、今、教育の格差ということが、地方間格差ということが大問題になっているときに、本当にこういうことをやっていいのかということを思わざるを得ないんですが、この点では、大臣はいかがでしょうか。
○銭谷政府参考人 二分の一から三分の一に引き下がることによりまして、所得譲与税として税源移譲される額にこういう県による差がございますので、その不足分については地方交付税により措置されるわけでございます。
私どもとしては、平成十八年度、実際に、教職員の給与費について、各県がどういう予算措置をしているのかをやはり確認する必要がございますので、各県に対してずっと確認を続けていたわけでございますけれども、これまで私どもが承知している範囲では、二分の一から三分の一になったことによりまして、大幅な教職員給与の減とか、そういうことをした県はございませんで、いずれも必要な教職員給与費を確実に予算措置をし、標準法を踏まえた適正な配置について現在確保される見込みであるという報告が来ております。
今後とも、私どもとしては、義務教育の水準の維持向上のために、各都道府県における予算の措置状況等について把握をしつつ、必要に応じて指導助言を行っていきたいと思っているところでございます。
○石井(郁)委員 先ほど来、不足分については地方交付税で措置される、地方交付税がある、この御答弁一本やりなんですけれども、では地方交付税というのは本当に確保されるのか。
これ自身も三位一体改革でしょう。これは実際、平成十六年では、三位一体改革で、二十一兆円が、一二%もマイナスですよ。平成十七年度も二十兆円のマイナス。十八年度も十八・八兆円のマイナスですよ。地方交付税はどんどん減り続けるじゃないですか。この影響は本当にもろに地方にかぶさるわけでしょう。どうして義務教育の財源が確保されるという保証があるんですか。これは大臣、いかがでしょうか。
○小坂国務大臣 この改革は、地方交付税を減額はいたしますが、一方で税源移譲を行ってまいります。また、財政力の格差を是正するための交付税的な措置というものは、今後ともこれを維持していくということについては総務大臣もおっしゃっております。
そういう意味で、地方の財政力の差による本来の標準法が確保できないという状況は絶対生まないように対策をとっていく、こういうことだと思っております。
○石井(郁)委員 もう時間になりましたので、審議は始まったばかりですし、これからもしっかりとしたデータに基づいて審議を進めていきたいというふうに私は思います。
それで、先ほど出ておりましたけれども、今後の推計ですね、向こう十年間どうなっていくのか、教職員の人件費というのは急増するんじゃないか、それからまた退職金や共済手当金もふえていくんじゃないか、それをみんな一般財源化する、本当にどうしていくのかという問題についてもぜひお尋ねしたかったわけですけれども、それは次回に回すことにいたします。
どうもありがとうございました。