トップ>国会報告>163/衆/文部科学委員会/2005年10月19日

2005年10月20日(木)「しんぶん赤旗」

文科相”国庫負担を堅持”

義務教育費 石井議員に答弁

 中山成彬文科相は19日の文部科学委員会で、義務教育費国庫負担問題で、中央教育審議会が負担率二分の一を堅持する答申案を決めたことについて、「義務教育費国庫負担制度は大事なものだ。堅持のためにがんばりたい」とのべました。日本共産党の石井郁子議員への答弁。

 石井議員は、小泉首相が「地方の意見を真摯に受けとめ」とのべたことをあげ、市区町村議会から義務教育費国庫負担制度堅持を求める意見書がどれだけ出ているかと質問。中山文科相は、「堅持を求める」意見書が全市区町村の64%にのぼっており、市区町村長アンケート(「日本の教育を考える10人委員会」の調査)で82.5%が「堅持すべき」と答えていることをあげ、「この地方の声に真摯に応えていく」とのべました。

衆院文部科学委員会 議事録第2号 2005年10月19日

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 まず、私も、義務教育費国庫負担の問題でお聞きをしたいと思います。
 昨日、中央教育審議会が「新しい時代の義務教育を創造する」という答申案をまとめられました。それを見ますと、「国は、その責務として、義務教育の根幹」、三つですね、機会均等、水準確保、無償制「を保障し、国家・社会の存立基盤がいささかも揺らぐことのないようにしなければならない。」とした上で、このようにありました。「義務教育の構造改革を推進すると同時に、義務教育制度の根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持するためには、国と地方の負担により義務教育の教職員給与費の全額が保障されるという意味で、現行の負担率二分の一の国庫負担制度は、」「優れた保障方法であり、今後も維持されるべきである。 その上で、地方の裁量を拡大するための総額裁量制の一層の改善を求めたい。」としているところがございました。ですから、国庫負担の二分の一と明記をした上で、その維持を求めているというものになっているわけでございます。
 これは月内に答申となるということでございますが、この答申が出されれば、これは政府の方針ということになりますか、大臣。

○中山国務大臣 義務教育費国庫負担につきましては、昨年末の政府・与党合意におきまして、八千五百億円の減額を計上し、その取り扱いにつきましては、ことしの秋までに中教審の審議を経て結論を得るということにされたものと認識しているわけでございまして、今言われましたけれども、昨日の会議におきまして、国庫負担制度については、現行の負担率二分の一の国庫負担制度は今後も維持されるべきであるという答申案が部会決定されたところでございます。
 この答申案につきましては、今後、総会において審議され、答申として取りまとめられることになるわけでございますが、いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、昨年末の政府・与党合意に基づきまして、中央教育審議会の結論を踏まえて、引き続き義務教育制度の根幹を維持し、国の責任をしっかり果たしていくということで対応してまいりたいと考えております。

○石井(郁)委員 大臣の御答弁でしたけれども、もう一度、確認の意味でございますけれども、与党合意、二項あって、中教審において結論を得る、それまでは暫定措置だと。だから、この中教審の結論をもって、やはり政府の方針というふうに与党合意そのものも読むことができるのではないか、その辺をはっきりとおっしゃれないものかどうかということでございますが、いかがですか。

○中山国務大臣 三位一体の改革を進めるに当たりましては、昨年と同様、経済財政諮問会議、四大臣会合、国と地方の協議の場などにおきまして、関係大臣も加わって議論を行い、その結果を踏まえて、最終的には政府・与党で結論を出すことになるもの、このように考えております。

○石井(郁)委員 今国会の所信表明演説で小泉首相が述べられたことでございますけれども、三位一体改革ですが、地方の意見を真摯に受けとめ、来年度までに確実に実現しますということでございますね。
 私、地方の意見ということでいいますと、市区町村議会から、やはり義務教育費国庫負担制度の堅持を求める意見書というのは随分と出されたというふうに思うんですが、平成十六年度、十七年度、それぞれどのぐらい出されましたか。パーセンテージでちょっとお示しいただきたいと思います。

○中山国務大臣 総理からは、地方の声に真摯に耳を傾けろ、こういうふうに言われておりますので真摯に耳を傾けてまいりましたけれども、今のところ私のところに聞こえてくる地方の声というのは必ずしも地方六団体の主張とは一致しないわけでございまして、例えば、地方自治法に基づきます地方議会からの意見書、これは年度途中の十月十七日現在で千三十二件、全体の四六%が提出されておりまして、平成十六年度から通算いたしますと六四%に達しております。
 また、全国市区町村長のアンケート調査、これは日本の教育を考える十人委員会というところが調査したわけでございますけれども、これによりますと、市区町村長の八二・五%が堅持すべきと回答しているところでございます。
 また、保護者で組織されておりますPTAからは、全国六十一協議会の全部から義務教育費国庫負担制度の堅持の意見をいただいているというのが現状でございます。

○石井(郁)委員 いろいろなデータをお示しいただきまして、ありがとうございます。
 ですから、今お示しいただいたように、地方、それぞれの団体のところでやはり義務教育費国庫負担堅持を求めるという声が多数を占めている、こう言っていいというふうに思うんですね。だから、地方意見を真摯に受けとめた、そういう結果として、さきの中教審もあのような答申をまとめられたというふうに私は思うわけでございます。
 それで、先ほども出ておりましたけれども、文部科学大臣が首相に呼ばれたのか出向いたのかあれですけれども、お話を伺ったということでございます。八千五百億円の税源移譲を求める地方案を真摯に受けとめる、政府方針を踏まえて対応するようにというような指示があったということを聞いておりますけれども。
 大臣として、本当にこれからが大変な事態を迎えると思いますけれども、二分の一の国庫負担を堅持するという今回の中教審を踏まえまして、やはり義務教育費国庫負担制度の堅持のためには大臣として全力を挙げる、そのことは当委員会で、ぜひ大臣の姿勢としてはっきりと披瀝をいただきたい。これはもう絶対譲ることができない問題だということで、明確な御見解を伺っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○中山国務大臣 きょうも、さまざまな御意見をいただいているところでございます。
 総理の方からは、地方の案を真摯に受けとめろ、こういうふうな御指示もいただいているわけでございます。しかし一方、地方の方からは、知事会はああいう意見でございますけれども、市町村あるいは議会は必ずしもそうでもないということもあるわけでございます。
 私も政府の一員でございますから、三位一体改革、これについてはもちろん協力していかなければならない。しかし、義務教育費国庫負担制度、これもまた我が国の教育の根幹を支えるものでございますから、これについてもしっかり堅持して、そして国としての責任を果たしていかなければならないということで、大変苦しい立場ではございますが、文部科学大臣といたしましては、この義務教育費国庫負担制度というものは大事なものであるということで、一生懸命頑張ってまいりたい、このように考えております。

○石井(郁)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。
 次の問題でございますけれども、来年度の概算要求の中に全国学力テストの実施というところがございました。全国的な学力調査を実施するということで、十八年度に問題作成などで四十二億六千七百万円かけて、事前調査等々準備が行われる、十九年度にその実施。小学六年生は国語、算数、中学三年生は国語と数学を対象にする、全児童、全生徒が参加できる規模で実施する予定だということが文部省の説明ですけれども、この学力調査というのは一体何を目的として実施されるものでしょうか、大臣。

○中山国務大臣 今御指摘がありましたが、全国的な学力調査につきまして、平成十九年度から調査を実施するための必要な経費約四十三億円を平成十八年度概算要求に盛り込んだところでございます。
 この調査は、全国的な教育の機会均等や水準確保など、義務教育の根幹を担保する観点から、国際的な学力調査の動向等も十分考慮しながら、児童生徒の学習到達度、理解度を全国的に把握、検証するとともに、各学校がこの結果を活用して、教育指導や児童生徒の学習の改善充実に役立たせること等を目的としておるわけでございまして、各学校段階の最終学年であります小学校六年生、中学校三年生の全児童生徒が参加できる規模で実施することを想定しているところでございます。

○石井(郁)委員 今の御説明にありましたけれども、学習到達度とか理解度の把握、あるいは結果によって指導の改善充実につなげていくというような説明は、これまでも小中学校の教育課程実施状況調査という形で文科省はされてきたと思うんですね。これはお聞きするところ大体八%ぐらいで実施してきた、調査対象で行ってきたということで、だから学力のある面で実態調査という点でもそれでできるのではないか、してきたのではないか。なぜそれが全児童対象になるのか。それはこれまでのとどこがどう違うんでしょうか。

○中山国務大臣 要するに、言われましたように、八%の抽出ということでこれまで教育課程実施状況調査を行ってまいりましたが、学習指導要領の目標に照らした教育内容の全国的な定着状況を把握し、学習指導要領の改善のためのデータを得るというのが教育課程実施状況調査でございまして、今回の学力調査とはその趣旨、目的が異なるものである、このように考えております。

○石井(郁)委員 それでは、八%の抽出調査もされる、そしてまたこういう全国的な規模も今後されていくと。四十三億円ですからね、相当な額になるわけでして、伺っているんですけれども。
 全国的な定着調査というふうに言いますけれども、結局全生徒を対象とするということになりますと、テストというのはやはり結果が出ますし、平均点だとか出てくるわけですから、学校、都道府県ごとのレベルだとかランクだとかということがやはり必然的に出てくると思うんですね。一人一人の生徒についてもそれが出されてくるという点で、本当にこれは私は慎重な検討を要する問題だというふうに考えておりますけれども、こういう形での調査をすると、今でも日本の教育は受験競争と言われていますけれども、一層競争は激化するのではありませんか。その懸念についてはどのようにお考えでしょうか。

○中山国務大臣 今現在でも、三十九都道府県ですか、全体的な学力調査が行われているわけでございまして、これを全国に広げよう、こういうことでございます。子供たちの学習意欲の向上に向けた動機づけを与える観点等も考慮しながら、学校間の序列化とかあるいは過度な競争につながらない、これも大切なことである、こう考えておりまして、この点につきましては中央教育審議会におきましても御指摘がなされているわけでございまして、専門家の先生方の御意見等を伺いながら、さらに今後検討してまいりたいと考えております。

○石井(郁)委員 今本当に大臣がおっしゃっていただいたように、既に全国で、お聞きしますと三十九都道府県ですか、行われているというんですよ。だから、ほとんどもう実施を見ていると見ていいと思うんです。だから、都道府県レベルでも行っている、さらに文科省が国を挙げて全国レベルでも行う、では、子供たちはもう幾重にも、やはりテスト、テストに追われるということになりませんか。
 だから、全国的な学習指導要領なり、あるいは理解度、水準等々の定着を見るというんだったら、今までも教育課程の実施調査で見てきたところですから、それで何ら困ったところがなかったんじゃないか、新たになぜこれほどまでのことをするのかということがまだ私は大変問題だというふうに思っています。
 そこで、もう少し立ち入って伺いますけれども、どうもこういう方向を出されたのは、昨年十一月、これは大臣が「甦れ、日本!」という文書を発表されました。そこで、競争していく環境づくりが重要だ、全国学力テストの実施に踏み切ることということがどうも明らかにされたようでございます。
 そしてまた、大臣は、ことしのある雑誌の中でも、これは「諸君!」の五月号なんですけれども、このように述べられています。「「競争」は世界の常識」だ。「日本だけが競争をさけてぬるま湯の中で子供たちをナアナアに育てていたら、二十一世紀を生きる子供たちに対してあまりにも無責任」だ。そして、「国同士」、国というのは中国とか東南アジア等々のことのようですけれども、「国同士が競争しているのですからね。」「競い合い切磋琢磨する雰囲気を高校、中学、小学校のレベルにも波及させたい」。一部分を私読み上げさせていただきましたけれども、こういう形で全国的な学力調査ということが必要だということが述べられているんですね。
 そこで、私も時間の関係もありますから、端的に伺いますけれども、本当に日本の教育が、ぬるま湯の中で日本の子供たちが育っているという御認識なんでしょうかということが一つと、日本は子どもの権利条約を批准していますね。この子どもの権利条約は五年ごとに国連が進捗状況というか定着状況を審査しておりまして、国連の子どもの権利委員会というのがあります。この国連の子どもの委員会からは、日本の教育について二度にわたって大変厳しい勧告を受けていたんじゃないでしょうか。私は、大臣に率直に伺いたいのは、この権利条約と勧告を踏まえてのこういう大臣の御発言なんでしょうか。

○中山国務大臣 全国的な統一学力テストにつきましては、今話しましたように、三十九都道府県等において既にこれは実施されております、これを全国的に広めたいということでございます。三十九都道府県におきましても、それぞれ調査の結果をもとにしていろいろな工夫、改善がなされているわけでございますから、これを全国的なレベルで広げまして、そして学習到達度とかあるいは理解度の把握、検証をいたしまして、どうしたら工夫、改善ができるか、そういったこれからの教育のための資料にしたいということでございます。
 また、今度OECDのPISAの調査でもありますように、国際的、科学的な観点から、質の高い学力調査を推進する必要があるということですね。PISAの調査でもありましたが、読解力、これが日本の子供たちは非常に劣ってきているということも言われているわけでございます。
 こういったことも踏まえて、今後子供たちに、もっと生きていく上の力、先ほど来話がありますように大学全入の時代ですから、かつてのような受験戦争とかそういうことではない、私は、受験学力というよりは、むしろ人生を生きていく上での力といいますか、人生学力とでもいうべき、そういったものがこれから必要とされているのではないか、こう思うわけでございまして、そういったことにつきましては、習熟度別の授業とかそういった少人数指導を通じて、一人一人の個に応じた指導を充実する取り組みを一層進めていきたい、このように考えているわけでございます。
 また、生徒、親及び関連する非政府組織の意見を取り入れながらカリキュラムを見直すこと、こういったことが権利委員会からの御指摘にあるわけでございますが、カリキュラムの基準であります学習指導要領等の改正に当たりましては、学校関係者のみならず、幅広い意見を踏まえることは重要なことでございまして、これまでも広く国民一般の意見を聴取して改正してまいりました。
 特に、今回の義務教育改革に当たりましては、現場主義の観点から、本年一月以降、スクールミーティング等におきまして、三百八十七校ですかの学校の教員、保護者の方々、さらには子供たちから直接意見を伺ったところでございまして、今後、学習指導要領等につきましても、改正の際には各方面からの意見等を適切に踏まえて対処してまいりたい、このように考えております。

○石井(郁)委員 本当にこれから本格的な議論を始めなきゃいけないところでもう時間なんですが、大臣、一点お答えいただいておりません。子どもの権利委員会からの勧告を踏まえてのこの調査だと。大臣は、勧告の中身、二度にわたる勧告は御存じでしょうか。それだけお聞かせください。

○中山国務大臣 先ほど申し上げましたが、今回の全国的な学力調査というのは、児童生徒の学習到達度、理解度を全国的に把握、検証するとともに、この結果を各学校が活用して、そして教育指導や児童生徒の学習の改善充実に充てる、こういうことを目的としているものでございまして、子どもの権利委員会の勧告に反するものではないというふうに考えておりまして、このような趣旨、目的に照らして適切な調査を実施してまいりたいと考えております。

○石井(郁)委員 大臣の御答弁ですけれども、子供の理解度を全国的に調査する、把握すると。これはこういう調査をしなくても、四十三億円もかけてしなくても、これはもう日々本当に学校現場の中から十分わかることじゃないんでしょうか。私は、全国テスト、こういうことがもたらす教育的な弊害、問題、これをぜひお考えいただきたい。
 権利委員会からの勧告は、日本の教育が既に高度に競争的な教育制度だ、異常な発達のゆがみを引き起こしている、二度にわたる勧告ですよ。来年の五月にまた政府は報告書を出さなければいけません。どうするんですか。
 ということで、私は、ようやく討論の入り口に入ったという感じがしておりますけれども、とてもですけれども、このままでは実施などはさせるわけにいかないということだけ申し上げて、質問を終わります。


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