![]() 質問する石井郁子議員=6日、衆院文部科学委 |
侵略戦争を美化した「新しい歴史教科書をつくる会」による教科書が、文部科学省の検定で合格となった問題で、日本共産党の石井郁子議員は六日の衆院文部科学委員会で質問にたち、「侵略戦争をゆがめ正当化する教科書は許されない。子どもに押しつける訳にはいかない」と追及しました。
中山成彬文科相は、「(つくる会教科書は)バランスのとれたものと思っている」と答えました。
石井議員は、「つくる会」歴史教科書による歴史のわい曲を、一つ一つあげて批判、政府の認識をただしました。(別項参照)
太平洋戦争を「『自存自衛』のための戦争と宣言し、大東亜戦争と命名した」と表現していることについて、一九四一年十二月に出された「宣戦の詔書」では「東亜永遠の平和を確立し、もって帝国の光栄を保全せんことを期す」とのべている事実をあげ、「自存自衛のやむを得ずの戦争ではなくアジアに君臨する大東亜圏をつくるというものだ」と誤りを指摘しました。
石井氏は、日本のアジア侵略を解放のためと描き出し、アジア諸国への侵略や韓国併合、日中戦争についての事実をゆがめる記述が検定を通っていることを厳しく批判し、「植民地支配や侵略支配を伝えない。このような歴史教科書で、日本の子どもたちに何を学んでもらうのか」とのべました。
教科書 日本の緒戦の勝利は、東南アジアやインドの人々に独立への夢と勇気を育んだ。
石井議員 1988年のインドネシア小学校4年の「民族闘争の歴史」では、1942年に日本軍の奇襲によってオランダ人は逃げ出したが「代わりにわが国は日本の植民地となった。すべての植民地政権は残酷で民衆を搾取する点においては同じであった」と書いている。解放ではなく侵略そのものだ。
教科書 日本の安全と満州の権益を防衛するために、韓国の併合が必要であると考えた。
石井議員 独立国である朝鮮から、その主権と独立を奪って植民地にすることがいかに不法で犯罪的なことであるか、ふれていない。
2005年4月6日(水)「しんぶん赤旗」
文部科学省は五日、来年度から中学校で使われる教科書の検定結果を公表しました。侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが執筆した歴史と公民の教科書(いずれも扶桑社刊)が再び合格しました。「つくる会」は前回0・039%にとどまった採択率を10%にすることを目指しています。市民団体などは「教育現場に持ち込ませない草の根の運動を広げよう」と呼びかけ、中・韓両政府が日本政府にたいし抗議と遺憾の意を表明しました。
「つくる会」歴史教科書は日本の侵略戦争を「大東亜戦争」と表記。「自存自衛のため」の戦争で、アジアの解放につながったかのように記述しています。南京大虐殺や強制連行、従軍慰安婦などアジアの人々への加害の事実を隠し、植民地支配を正当化する内容となっています。
一方、政府自民党の圧力と「つくる会」の攻撃で、従軍慰安婦の記述がすべての教科書の本文から消えました。「強制連行」など加害の事実にかんする記述も大幅に減りました。
子どもと教科書全国ネット21など十六団体は同日、共同記者会見を開き、「つくる会」教科書は日本国憲法を否定し、侵略への反省を表明してきた政府の国際公約にも反すると指摘。「合格させた日本政府の責任は重大」と批判しました。アジア諸国からも抗議の声があがっています。
中学校の教科書検定は四年ぶり。学習指導要領の範囲を超えた「発展的な学習内容」の記載が認められ、理科や数学で前回の検定時に削られた進化・イオン・二次方程式の解の公式などが復活しました。「発展的内容」は「すべての子どもが学ぶ必要がない」とされています。今回の検定には百三点の申請がありました。保健体育の一点が不合格となりましたが、年度内に再申請して合格しました。
日本共産党の市田忠義書記局長は五日、歴史教科書問題について次のような談話を発表しました。
一、「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書が四年前に続いて、再び、文部科学省によって検定合格となった。
今回の歴史教科書も、太平洋戦争を「『自存自衛』のための戦争」と描くなど、侵略戦争美化の立場にたっている。侵略戦争と植民地支配への反省とその誤りの清算は、戦後日本の国際公約であり、日本がアジアの中で生きてゆくための絶対条件ともいうべきものである。それを否定する教科書が国内外からつよい批判をあびることは当然だ。検定合格とした政府・文部科学省の責任は重大である。
一、侵略戦争と植民地支配についての歴史の真実を知り、その反省の上に平和と民主主義の憲法があることを学ぶことは、わが国の子どもたちが二十一世紀をいきる主権者として育つうえで欠かせない。わが党は、歴史教科書問題をはじめ、侵略戦争美化の風潮を克服するため、広範な国民とともに力をつくすものである。
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教科書検定 民間の出版社が編集した図書を文科省が審査し、合格した図書を教科書として使用することを認める制度。申請を受けた文科相は教科書調査官に調査を命じ、教科用図書検定調査審議会に諮問。検定審は修正が必要な場合は出版社に検定意見を文書で通知します。修正後の図書を再審査し、文科相は合否を決定。 |
2005年4月7日(木)「しんぶん赤旗」
日本の侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが執筆した教科書が文部科学省の検定を通過した問題で、教科書を出版した扶桑社が検定規則に違反し、検定合格前に教科書を地方の教育委員会関係者に渡していたことが六日までにわかりました。研究者らから「禁じられた事前の営業・宣伝活動に当たる」と批判する声が出ています。
この日開かれた衆議院文部科学委員会で、文科省は扶桑社の「白表紙本」と呼ばれる申請段階の本が検定期間中に教員に「貸与、閲覧」されていたことを認めました。そして昨年から今年にかけて「指導」を三回、厳重注意を一回したと説明。ほかの出版社が指導を受けた例はなかったとしました。中山成彬文科相は「ルール違反」との考えを示しました。
教科用図書検定規則実施細則は、検定終了までは、申請本の内容が当該申請者以外の者の知るところとならないよう適切に管理しなければならないと定めています。文科省は「違反した場合には検定を停止することもある」としています。
この問題については、高嶋伸欣・琉球大教授らが三月に「流出」を指摘し、実態解明を小泉首相と中山文科相に申し入れています。
申し入れ書によると、埼玉県、東京都、京都府、和歌山県の各教育委員会関係者が、昨年末に「白表紙本」やそのコピーを所持。そのうち京都府、和歌山県の関係者が「扶桑社から受け取った」と証言しているとしています。
高嶋教授は、「採択権限を持つ各地の教育委員会に、出版社が事前の採択活動をするのは極めて不公正。本来、検定はガラス張りの中で行うべきだが、つくる会側が事前公表の禁止を主張し、文科省が受け入れた。その扶桑社の教科書が規則に違反しながら検定を通過することは悪質だ」と話しています。
「新しい歴史教科書をつくる会」は、日本の侵略戦争を美化し、改憲論を強調する中学用「歴史」「公民」の教科書を扶桑社から出版。五日に文部科学省の検定を合格しました。内外の批判をうけています。
2005年4月6日(水)「しんぶん赤旗」
韓国の外交通商省は五日、文部科学省が検定合格とした中学生用教科書について「わい曲された歴史教育を通じて、未来の世代が平和と共存、協力の方向に進むことができるのか憂慮を禁じ得ない」とする声明を発表しました。
声明は「過去の過ちを合理化、美化する内容が含まれていることに遺憾の意を表明する」とし、日本政府に「人類の普遍的な良心と判断、客観性に基づいた歴史教科書の記述」を求めました。
一方で、「少なくない教科書が韓日合併の強制性と韓国国民の抵抗の事実を記すなど、比較的客観的な記述をめざしている」とし、「これこそ日本の良識ある知性と、市民の歴史認識」だと評価しました。
また、一部の公民教科書で竹島(韓国名は独島)が日本固有の領土だと明記されたことに対し、「植民地支配を正当化し、わが民族の解放の歴史を否認するもの」だと批判しています。
李揆亨(イ・ギュヒョン)外交通商省スポークスマンは記者会見で、教科書問題は日本政府の歴史認識の問題であり、竹島問題は韓国の主権の問題だとし、二つの問題を分けて対応する考えを表明。「教科書の是正と採択阻止のためには、政府だけでなく、韓日両国の良識ある市民団体間の協力と活動が求められている」と述べました。
市民団体・労組などがつくる「アジア平和と歴史教育連帯」(アジア連帯=旧・日本の教科書を正す運動本部)は五日、ソウルで記者会見し、「侵略戦争を美化する現行教科書に比べてほとんど改善されていない」と強く非難しました。ソウルの日本大使館前では同日、さまざまな団体の抗議行動が相次ぎました。
アジア連帯は「危険な教科書が日本の各地域で採択されないよう運動していく」としています。
【北京=菊池敏也】中国の喬宗淮外務次官は五日、阿南惟茂大使を中国外務省に呼び、文部科学省が同日、教科書検定結果を公表したことについて抗議し、「厳正な申し入れ」をしました。日本政府が中国政府の「再三の申し入れ」にもかかわらず、侵略戦争を否定、美化した「つくる会」の歴史教科書を合格としたことに「憤り」を表明しました。
喬次官は、「つくる会」の教科書が「侵略にも功績があったと公然と鼓吹していることは、人類の正義と良識に対する挑発であり、すべての被害国人民の感情を著しく傷つけ、日本の青少年の思想にとっても有害だ」と厳しく批判しました。
喬次官は日本政府に対し、「侵略の歴史を反省するという公約を誠実に履行し、直ちに有効な措置をとり、悪影響を除去する」よう要求しました。
文部科学省が五日、日本の侵略戦争と植民地支配を肯定し美化する中学生用歴史教科書を検定合格としたことに対し、シンガポール華字紙聯合早報・元論説委員で日本での留学経験もある黄彬華氏(68)は、同日午後、本紙の電話取材に次のように語りました。
第二次世界大戦が終わってもう半世紀以上もたったのに、日本はなぜ、いまだに反省しないのか、アジアから見ると非常におかしいんですね。いつまでも、くりかえしこういう問題で対立の火種を作り出すのではなく、なぜ一緒に新しい時代を迎えようとしないのか、今の時期に何のためにこういうでたらめな歴史教科書を検定で合格させるのか、日本の姿勢や未来像を疑わざるをえないんですね。
国連の安全保障理事会の常任理事国入り問題でも、ドイツが名乗りをあげても誰も問題にしないのに、日本だと問題になる。やはり、人間や国際社会では正しいか正しくないことについての基準が必要です。国連は、そもそもファシズムと軍国主義を二度と起こさないという決意でつくられたんです。ところが、日本は過去の軍国主義の歴史を清算しないまま、国連の中心に入ろうとしています。ここに問題があることをしっかり理解すべきです。
過去を反省しない歴史教科書で学ぶ若者が、その思想を受け継いで国際社会に出ていくと考えたら、こわいですね。またいつでも問題が発生するでしょうし、国際社会はそういう日本を決して許さないでしょう。
文部科学大臣 中山 成彬君
文部科学副大臣 塩谷 立君
文部科学大臣政務官 下村 博文君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 林 幸秀君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 柴田 高博君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 吉田 英法君
政府参考人
(警察庁交通局長) 矢代 隆義君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 青山 幸恭君
政府参考人
(財務省理財局次長) 浜田 恵造君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画部長) 大島 寛君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局長) 田中壮一郎君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 銭谷 眞美君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 石川 明君
政府参考人
(文部科学省高等教育局私学部長) 金森 越哉君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全監) 片山正一郎君
政府参考人
(文部科学省研究振興局長) 清水 潔君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 坂田 東一君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 素川 富司君
政府参考人
(文化庁次長) 加茂川幸夫君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 黒川 達夫君
政府参考人
(厚生労働省健康局長) 田中 慶司君
政府参考人
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長) 伍藤 忠春君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 梶谷 辰哉君
文部科学委員会専門員 井上 茂男君
――――◇―――――
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
昨日、来年度から使用の中学校教科書の検定結果が公表されました。きょうは、もう既に外交上の問題にもなっております扶桑社発行の「新しい歴史教科書」の問題を取り上げたいと思っております。
ここに、その検定用の教科書、それから検定意見、修正表というのがこういうふうにございまして、それも持ってまいりました。だから、ここで、検定意見によってどのように変わったのかということなども確かめたいと思っております。
質問に入る前に、一点申し上げたいことがございます。それは、今、この検定意見及びこうした修正表、修正文というのは事前に記者には配られているんです。ところが、きのうやっと私に届けられたのはその概要なんですよ。この概要というのは、ここにありますけれども、地理的分野、公民も入っていまして、歴史はその中の数枚しかない、本当に一部なんですね。きょうの質問のためにも、私はこの修正表をきちんと文科省からいただきたいということを秘書を通じて何度も言いましたけれども、出せないということなんですね。
私、これではやはりまともな審議はできないというふうに思います。国権の最高機関である国会、また国会議員になぜ提出できないのか。これは到底納得できないわけですね。今後は、国会優先で、きちんとした資料、資料ですからやはり提出してほしい。もちろん、解禁の期日があれば、それの公表などを差し控えるのは当然のことですから、そういうルールは守ってやるわけですから、きちんと優先的に資料は提出してほしい、このことは要望としてきょうは申し上げておきます。やりとりすると、ちょっと立ち入るかもしれないということがありますので、きょうは最初に要望として申し上げておきます。
さて、質問でございますけれども、まず、一九四一年十二月八日の真珠湾攻撃に始まる太平洋戦争、この問題でございます。
この教科書にはこのように書いてあるんですね。「日本は米英に宣戦布告し、この戦争は「自存自衛」のための戦争であると宣言した。日本政府は、この戦争を大東亜戦争と命名した。」というふうにあるわけですね。このくだりには検定意見はついておりません。そこで伺いますが、文部科学省は同じ見解でしょうか。
○銭谷政府参考人 太平洋戦争に至る経緯についてでございますけれども、現在、中学校の歴史の教科書は八冊あるわけでございますけれども、一般的な教科書の記述を申し上げますと、中国との戦争が長期化していた日本は、イギリスやフランスなどがヨーロッパ戦線に主力を注いでいる間に、東南アジア地域の資源を獲得するために進出をしたこと、日本は、アジアから欧米の勢力を追い出し、アジアの諸民族だけで栄えるとする大東亜共栄圏を唱えたこと、アメリカは、日本の侵略的な行動を強く警戒し、日本に対する軍需物資の輸出を制限し、石油の輸出も禁じたこと、日中戦争解決のための日米交渉もうまくいかなくなり、日本はアメリカとの戦争を決意したことなどの記述があるところでございます。
お尋ねの扶桑社の中学校の歴史教科書では、太平洋戦争に至る経緯を記述する中で、日本の南方進出はもともと資源の獲得を目的としたものだったこと、日本は大東亜共栄圏の建設を戦争の名目に掲げたが、この考え方は日本の戦争やアジアの占領を正当化するために掲げられたと批判されたことなどの記述もあるところでございます。したがって、私どもとしては、そういう記述についてはこれを許容しているところでございます。
○石井(郁)委員 私は、許容しているというのを聞いて驚いているんですけれども。
もう一度はっきりさせていただきたいんですけれども、この教科書には、「この戦争は「自存自衛」のための戦争」だと書いているんですね。今、御答弁ではそこのところを外されましたけれども、こういう性格づけ、戦争の目的、これがいいのか、これでお認めになるのかということです。「「自存自衛」のための戦争」だ、「大東亜戦争と命名した。」こういうふうに言っている教科書はこの扶桑社の教科書だけじゃありませんか。もう一度お願いします。
○銭谷政府参考人 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、修正後は、日本の南方進出はもともと資源の獲得を目的としたものだったこと、日本は大東亜共栄圏の建設を戦争の名目に掲げたが、この考え方は日本の戦争やアジアの占領を正当化するために掲げられたと批判されたことというふうに修正、追加された記述になってございます。これらは申請図書の記述に対して検定意見を付した結果でございます。
○石井(郁)委員 別のところの箇所のことを読み上げられても困るんですよね。
私は、最初に読み上げた、本当に二行というか、「「自存自衛」のための戦争であると宣言した。日本政府は、この戦争を大東亜戦争と命名した。」このくだりには検定意見はなかったんですよ。だから、これを結局お認めになるということですよね、今の御答弁で。もう一度はっきりさせてください。これは認めるということですね。
○銭谷政府参考人 自存自衛という部分につきましては、修正されて、なくなっております。
○石井(郁)委員 本当ですか。私は、これは今白表紙の教科書で、最終的に検定を通った教科書はまだ見ていませんけれども、自存自衛という言葉はなくなった。間違いありませんね。ちょっとはっきりしてください。
○銭谷政府参考人 間違いございません。
○石井(郁)委員 何かちょっとわからないところもあるんですけれども、私どものこれまでの精査ではこのくだりに検定意見がつけられていなかったので御質問したんですけれども、この扶桑社の教科書は、これまで、この戦争については自存自衛のための戦争だというふうに前回書いてきましたので、大変問題にしたわけです。
言うまでもなく、大東亜戦争、一九四一年十二月に出された宣戦の勅書、これによっているんですよね。「帝國ハ、今ヤ自存自衛ノ為、蹶然起ツテ、一切ノ障礙ヲ破碎スルノ外ナキナリ。」「東亜永遠ノ平和ヲ確立シ、以テ帝國ノ光榮ヲ保全セムコトヲ期ス。」ということから出ていますから、私は、自存自衛のやむを得ない戦争だったというんじゃなくて、やはりアジアに君臨する大東亜共栄圏をつくるというものだったわけで、これは当時の日本政府や軍部の見解そのものですよね。
まさにこの戦争の推進者がこの戦争は聖戦だと称して行ったというものでありますから、これをやはり肯定する、このまま教科書に書くということはそれを肯定するということになるわけですから、それはできないでしょうということで伺ったわけですが、その点はいかがですか。
○銭谷政府参考人 今回の検定後の修正では「日本の南方進出は、もともと資源の獲得を目的としたものだったが、」という記述が入りまして、先ほど申し上げましたように、先生お話しのような部分については修正が行われてございます。
○石井(郁)委員 ここで大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、改めてですけれども、アジア太平洋戦争というのは侵略戦争だったというふうにお考えでしょうか。
○中山国務大臣 明治維新の前から太平洋戦争に至るまでの日本の歴史といいますか、それについてはいろいろ思うことはございますけれども、今御指摘ありましたけれども、太平洋戦争は日本による侵略戦争であったかと、こういう御質問でありますけれども、我が国が、過去の一時期に、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジアの諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたということは間違いないと認識しております。
○石井(郁)委員 これは十年前に「戦後五十周年の終戦記念日にあたって」という村山内閣総理大臣の談話もございまして、今大臣もお述べになられたような趣旨で、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えたということがあるわけでございますが、私は、やはり政府としては、この立場をきちっと堅持していただかなくてはいけないというふうに思うわけですね。しかし、非常に心配なことがいろいろあるわけです。
先ほど銭谷局長の方からのいろいろ御答弁もあるんですけれども、これの二百七ページにはこういう記述があるんですね。「アジアに広がる独立への希望」という見出しのもとに「日本の緒戦の勝利は、東南アジアやインドの人々に独立への夢と勇気を育んだ。東南アジアにおける日本軍の破竹の進撃は、現地の人々の協力があってこそ可能だった。」そして「アジアの人々を奮い立たせた日本の行動」、また「日本を解放軍としてむかえたインドネシアの人々」、そして「日本の南方進出は、もともと資源の獲得を目的としたものだったが、アジア諸国で始まっていた独立の動きを早める一つのきっかけともなった。」ここは検定後もこのようになっているかと思います。
こうなりますと、この戦争の目的というのはアジアの解放のためのものだったということになりませんか。先ほど大臣は、アジアに多大な苦痛を与えたということがございましたけれども、文部大臣もいかがでございますか。
○中山国務大臣 いろいろな見方があることも承知しておりますけれども、政府の考え方は、一九九五年の八月十五日の村山内閣総理大臣談話を基本としておりまして、我が国が過去の一時期に、植民地支配と侵略により、多くの人々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、これらに対する深い反省とおわびの気持ちに立って、世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていくというものでございます。政府の一員であります私としても、このような考え方を踏まえて、関係諸国との信頼関係を一層強化していくとともに、責任ある国際社会の一員として国際協調を推進して、それを通じて平和の理念と民主主義を推進していくという立場に立っているところでございます。
○銭谷政府参考人 大変恐縮でございますが、一カ所訂正をさせていただきます。
自存自衛の部分でございますけれども、ちょっと私、二カ所出てくるものでございますので、場所を取り違えておりまして、大変失礼をいたしました。
まず、「日本は米英に宣戦布告し、この戦争は「自存自衛」のための戦争であると宣言した。」という部分は残ってございます。大変失礼をいたしました。これは当時の日本の政府が宣言をした事実が記載をされているわけでございますので、検定意見はつけなかったということでございます。
それから、私がちょっと誤解をしておりましたのは、申請本の中で、「日本の南方進出は、もともとは日本の「自存自衛」のためだったが、」という記述につきましては、「日本の戦争目的について、誤解するおそれのある表現である。」という検定意見をつけまして、「日本の南方進出は、もともと資源の獲得を目的としたものだったが、」ということに修正をされておりまして、そこでは自存自衛という文言は削除されているということを申し上げたかったわけでございます。大変失礼をいたしました。
○石井(郁)委員 とても困るんですね。また振り出しに戻ってしまいますよ。こんな基本的な問題で、しかも、今新聞各社もこの問題について触れている中で、そしてまた、内外のというか、外交問題にもなっていると私最初に申し上げましたように、この戦争のまさに目的、性格、本質にかかわる問題で、そこをあなた方は見落としていたとかなんかなったら、これはどういうことになるんですか。私は、こんな文科省の姿勢でいいのかということを、本当に驚いているんです。
この戦争を自存自衛の戦争だと言っているということは、これは侵略戦争ということと全く対立する概念じゃありませんか。だから問題なんですよ。それを文科省は認めたということですよね、はっきり言って。こういう教科書でよろしいということをお認めになったということを、再度私は確認させていただきます。
その上でですけれども、しかし、これは当時の政府と軍部の見解でしょう。それはどうなんですか。はっきりしてください。
○銭谷政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、「日本は米英に宣戦布告し、この戦争は「自存自衛」のための戦争であると宣言した。」というのは、当時の日本の考え方を、その事実を記載しているということで許容したということでございます。
○石井(郁)委員 それは本当に重大な問題なんですよ。だって、当時のといったって、当時はそれを聖戦として推進したわけでしょう。だったら、この戦争は誤りだったと反省をするというのが日本の政府の立場じゃないですか。ここからは何の反省も出てきませんよ。この戦争は正しい戦争だったということを言っているに等しいんですよ。当時の人がそう言ったと。その当時の戦争が間違っていたんでしょう。それが重大問題じゃないんですか。大臣、本当にこれは重大問題ですよ。
そして、大臣は村山談話をお引きになられましたけれども、これは村山談話とも反しているじゃないんですか。こういう記述の教科書が登場する、検定に通るという問題は、談話を幾ら言っても、この談話に反していますよ。そういう認識、ないんですか。
○銭谷政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、これは当時の政府の認識を述べたわけでございますが、同時に、先ほど来大臣からもお話がございましたけれども、一九九五年の村山内閣総理大臣談話を基本として、我が国が植民地支配と侵略により、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、これらに対する深い反省とおわびの気持ちに立って、世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていく、こういう考え方は私どもも当然持っているわけでございます。
扶桑社の教科書におきましても、太平洋戦争におけるアジア諸国との関係については、別のところで、戦場になったアジア諸地域の人々に大きな損害と苦しみを与え、特に中国の兵士や民衆には、日本軍の侵攻により多数の犠牲者が出たこと、日本の占領地域では日本語教育や神社参拝を強いたことに対する反発もあり、抗日ゲリラ活動に日本軍は厳しく対処し、一般市民も含め多数の犠牲者が出たこと、朝鮮半島では日本式の姓名を名乗らせる創氏改名などが行われたこと、徴兵や徴用が朝鮮や台湾にも適用され、現地の人々にさまざまな犠牲や苦しみを強いたこと、多数の朝鮮人や中国人が日本の鉱山などに連れてこられ、厳しい条件のもとで働かされたことなどの記述もあるところでございます。
○石井(郁)委員 今述べられたようなもろもろのそういう記述はあるでしょう。しかし、村山談話で重大なのは、我が国は遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んだと。それがどういう戦争だったか。これは侵略戦争だという問題ですよね。
では、そのことと、過去のこの戦争は自存自衛のための戦争だといったことをただそのまま書くということでは、全然この戦争の本質というか誤りを述べたことになりませんよ。ならないでしょう。ただ過去、まさにそうでしょう、聖戦として戦争を推進したんですから。それをそのまま事実を書いたってだめじゃないですか。あの戦争が、(発言する者あり)いや、事実も書くけれども、その事実だけしか書かない、その事実しか書かないんですよ、この扶桑社の教科書は。それは全然間違った戦争認識、歴史認識を書いているということになりませんか。そこが問題なんですよ。
○銭谷政府参考人 我が国の認識は、我が国が過去の植民地支配や侵略により、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたという認識でございます。先ほど申し上げました教科書の記述は、開戦時の日本国政府の認識を述べたわけでございまして、その後それを、村山談話などを初めとして、我が国はアジアの国に多大の損害と苦痛を与えたという認識をしているわけでございますので、扶桑社の教科書におきましても、先ほど申し上げましたように、アジアの人々に多大の損害を与えたということは記述をしておりますし、また別のところでは、「敗戦後になって、日本は、これらの国々」、つまりアジアの国々に「賠償を行った。そして、大東亜共栄圏の考え方も、日本の戦争やアジアの占領を正当化するためにかかげられたと批判された。」という記述がございます。
○石井(郁)委員 いろいろお述べになっても、やはり出発のところでこれはもう決定的に間違っていますよ。だから、こういう記述で通したら、日本は村山談話にあるような反省もなしと見られるのは当然じゃないんでしょうか。
実際、この扶桑社の教科書に基づいて指導書というのがあるんですね。これは驚くことに、こういうふうに書いています。この戦争の目的は何ですか、ノートに書きなさい、これは生徒に指示するわけです。生徒は、自存自衛とアジアを欧米の支配から解放した、大東亜共栄圏を建設すること、これはこういうふうに書かせるんですよ。全然、これは間違った歴史認識じゃないですか。間違った歴史認識ですよ。こんなことをさせたら、本当にとんでもない話だと思いますよ。
だから、村山談話にのっとってとか踏まえてとか言いますが、この教科書は、村山談話は十年前ですから、今、検定を通ってこの時点でこういうものが再び出てくる、私は、政府そして文科省は全然談話の趣旨を踏まえていないと言わなければいけないと思うんですね。全然、反していますよ。これは政府見解に全く反した教科書じゃないですか。
反していないと。それは幾つか日本がアジアに対して行ったことについて述べているということがあっても、この根本のところでこれを残しているということでは、全然談話を踏まえているということにならないと私は思いますよ。やはり、侵略ということを認めるのか認めないのか、そこの問題なんですよ。それが全然あいまいにされているじゃないですか。それはもうはっきりしていることですよ。
それで、私は、こういう問題で、教科用の図書検定基準もありまして、近隣諸国条項は近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がなされているかどうかということで来ているわけですけれども、それにも反していると言わなければならないと思うんですね。
ここで私は少し、ではアジアの教科書が実際この戦争をどんなふうに描いているのかということをちょっと御紹介したいと思うんですね。それは、今、この教科書のようなことが本当に通用しないということを言いたいと思うわけです。
例えば、インドネシアの教科書なんです。これは小学校四年生、民族解放の歴史という中ではこう書いています。一九四二年に、日本軍はインドネシアにいたオランダ人に奇襲をかけて、オランダ人たちはインドネシアから逃げ出した、我が国はオランダ植民地支配から解放された、そのかわりに我が国は日本の植民地になった、すべての植民地政権は残酷で民衆を搾取する点においては同じだというふうに書いています。
さらには、日本占領軍に対するインドネシア民衆の抵抗、日本占領期におけるインドネシア民衆の苦しみというようなことも書いています。少し長くもなるんですけれども、いかに日本軍がインドネシア民衆を非人道的に扱ったか云々等々、やはり具体的に書いていますよ。それで、至るところで抵抗運動も起きた、西ジャワ州シンガパルナの民衆も立ち上がった、全国各地方で、日本軍に反抗して老若男女を問わず全員が立ち上がった、それぞれの自分のやり方で抵抗運動を展開したということを書いているんですね。
この扶桑社の教科書はアジアの解放という立場で書いているんですよ。これはアジアの解放でなくて、アジア侵略そのものじゃありませんか。だから、ただこういう事実で苦痛を与えた、幾つかの事実を挙げただけでは済まない、この戦争の根本問題がここで問われているんですよ。それをどう描くかということが、やはり戦争を見る本質ではないんでしょうか。
扶桑社の教科書というのは全く逆のことを書いているんですよ。インドネシアの子供たちはこういうふうに学んでいる、小学四年生ですよ。これは、歴史教科書、全く逆のことを書いていませんか。大臣、いかがでしょうか。
○中山国務大臣 日本は日本の教科書で学ぶべきで、何もインドネシアの教科書で学ぶ必要はないと思うんですけれども。
先ほどから話を聞いていますと、自存自衛の戦いであったというふうに日本政府が発表した、これは事実ですよね。しかし、その後にいろいろ書いてあるわけでございます。御承知のように、日本の検定というのは、まず事実が間違っているかどうか、著しくバランスを欠いているかどうかという観点から検定を行っているわけでございまして、自存自衛の戦いだったというふうにその当時の政府が発表した、これは本当でございます。事実のことだろうと思いますし、それを検定で削るというのは、事実なのを削るというわけにもいかないんじゃないかと思いますし、その後の、今局長の説明をずっと聞いていまして、しかしこうだった、ああだった、批判があったとかいうふうなことで、結構バランスはとれているんじゃないかな、こう思うわけでございます。私は、今、インドネシアの教科書がこうだ、それに合わせる必要はない、日本は日本の教科書で日本の子供たちを教えるべきだと思っております。
○石井(郁)委員 大臣からもまた大変重大な答弁がなされたと思いますけれども、ただそのときの政府がこう言ったという話でその教科書が全部つくられている、それでいいのかと言っているんですよ。それは、戦争の本質そのものをそんなふうに書いているから問題なんですよ。単なる経過の一つとして書いているのとは違うんですよ。それはもうこの戦争の性格、目的にかかわる問題だ、そういうふうにとらえられないというのは、私は大変重大な歴史認識だと思いますね。それは政府の見解とも全く違う。だから、これまでも中国からも韓国からも厳しい批判が出てきたんじゃないですか。今だって出ているじゃないですか。それは本質問題ですよ。単なる事実の経過の問題ではありません。
○中山国務大臣 政府の見解は、先ほど申し上げましたように、アジアの諸国の多くの人々に多大の損害と苦痛を与えた、これが政府の見解でございます。
我々のこの検定というのは結構幅広くて、その幅の中に入っていればいいわけで、それを一々、これは事実と違うじゃないかといってやるわけですけれども、そういうようなことを発表したということは事実ですから、その後、しかしということでずっとつながっているわけですから、バランスは結構とれていると私は思いますけれども。
○銭谷政府参考人 繰り返しになるかもしれませんが、教科書の検定は、学習指導要領や検定基準等に基づきまして、教科用図書検定調査審議会の専門的な審議を経て実施をするものでございます。
また、検定におきましては、記述内容を具体的に指示するものではなく、どのような記述とするかは申請図書の著作編修者の判断にゆだねられているものでございます。かつ、歴史の教科書の検定は、国が特定の歴史認識や歴史的事実を確定するという立場に立って行うものではございません。
教科書検定はあくまでも、検定基準にのっとり、申請図書の具体の記述について、その時点における客観的な学問的成果や適切な資料に照らして欠陥を指摘することを基本として実施をしてきておりまして、今回の検定においてもこの考え方に基づいて実施をしてきたところでございます。
なお、これも繰り返しになりますが、我が国の政府は、平成七年の内閣総理大臣談話におきまして、我が国の植民地支配と侵略によって多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明しているわけでございますが、こうした認識は、私どももいささかも異なるものではございません。
○石井(郁)委員 もっと結論的なこともだんだん言わなくてはいけないんですけれども、一方で、こういう談話があります、それにのっとりますといいながら、こういう教科書になってくると、しかし、本当にこれは戦争の反省をしているんですかと、これはもう各国から声が出てきますよ。それにちゃんと答えられるわけですね。
私は、談話とこの教科書というのは相反するものだ、談話の精神に反すると。これは実際今、新しい、いろいろアジアの国から出ている反応で見ますと、これは私は後で言おうと思ったんですけれども、日韓共同宣言もあります。これは金大中大統領と小渕総理大臣との共同宣言なんですけれども、「過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、これに対し、痛切な反省と心からのお詫び」を小渕総理大臣は述べられたということなんですが、今、韓国の側からしますと、村山談話だとかあるいは日韓共同宣言だとか、こういうものをもう破棄されるんじゃないか、それはもう撤回されるのか、そういうことにつながっていくんですよ。そういう声が既に出ています。やはり私は、それほどの重大な内政、外交問題だということを本当に認識されているんだろうかとちょっときょうは思わざるを得ないわけですね。
さて、それで、またさらにちょっと例を申し上げます。
大臣は、インドネシアの教科書はインドネシアだ、こう言われました。確かにそうですが、しかし問題は、戦争をしたその事実の、日本と受け手の側の話ですから、歴史的な事実は一つですよね、歴史の事実としては。やはりその戦争をどう受けとめているのかという問題ですよ。そっちの教科書はそっちでいいんだということにはならないでしょう。
実際、フィリピンではどう書いているかというと、これもフィリピンの小学校の教科書ですけれども、日本はフィリピンに軍政をしいた、日本統治時代のフィリピン人は非常な苦痛を味わったというふうなことがいろいろ書かれています。人々は職を失い、みんなが食料、医薬品の不足を経験した、大勢の人々が病気になった云々とありますけれども、やはり日本統治時代に、国内のほとんどの人々が物資の欠乏を経験した。これは歴史の事実でしょう。そして、みんな日本人の残虐さから自由になりたかった。フィリピン人の多くの人々が我が国の解放に手をかそうとしてゲリラ組織に参加して、いろいろ戦ってきたということですね。そして、日本人の手からフィリピンを解放するアメリカ軍が来て、みんな喜んだというのが歴史の記述になっているんです。だから、解放者というのは、日本軍ではなくて、ここではアメリカ軍だったということなんですね。
私が最初に申し上げたのは、この教科書の中には、「アジアの人々を奮い立たせた日本の行動」ということで、諸国が日本を解放軍として迎えた、こういうふうに書いているから、その事実は違うでしょうということを言っているわけです。だから、この事実を見ますと、アジア諸国ではそういう独立の動きを早める一つのきっかけになんか到底なっていないということじゃありませんか。
むしろ、フィリピンの場合でいいますと、アメリカはフィリピンを共和国の形で独立させようとしたときに第二次大戦が勃発した、アメリカの植民地として戦争に参加せざるを得なかった。だから、フィリピンの独立をおくらせたのが日本の侵略戦争ということになるわけで、最初に戻りますけれども、検定で書きかえたという記述はこうです。「日本の南方進出は、もともと資源の獲得を目的としたものだったが、アジア諸国で始まっていた独立の動きを早める一つのきっかけともなった。」と。
だから、アジア諸国を助けたんだ、アジア諸国の独立を助けたんだ、こういう書き方でいいのか。(発言する者あり)全然事実じゃないです。これは不正確ではありませんか。いかがですか。
○銭谷政府参考人 まず、お断りをしておきたいわけでございますが、歴史教科書について、具体的にどのような歴史的事象を取り上げ、それをどのように記述するかは、執筆者にゆだねられているわけでございます。
日本の太平洋戦争について、村山談話にもありますように、アジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたという認識は持っているわけでございます。
なお、今先生お話のございました部分に関連いたしましては、修正後の扶桑社の教科書の記述では、
日本は、占領した東南アジアの各地では軍政をしいた。現地の独立運動の指導者たちは、欧米諸国からの独立を達成するため、日本の軍政に協力した。
しかし、日本の占領地域では、日本語教育や神社参拝などをしいたことに対する反発もあった。連合軍と結んだ抗日ゲリラ活動もおこり、日本軍はこれにきびしく対処し、一般市民も含め多数の犠牲者が出た。また、戦争末期になり、日本にとって戦局が不利になると、食糧が欠乏したり、現地の人々が過酷な労働に従事させられる場合もしばしばおきた。
こういう記述が今先生お話しになった部分の前にあるわけでございます。
さらに、注といたしまして、「このため、敗戦後になって、日本は、これらの国々に賠償を行った。そして、大東亜共栄圏の考え方も、日本の戦争やアジアの占領を正当化するためにかかげられたと批判された。」こういうことでございますので、修正文については、私どもは許容の範囲ということでこれを認めたものでございます。
○石井(郁)委員 そういうアジアへの苦痛や被害を与えたという部分はこのように書いてあるからといって、最もこの戦争を規定する、戦争を性格づける重大問題のところで、こういう自存自衛のための戦争、あるいはアジアを解放したんだと。これは侵略戦争だったということを認めていないということじゃありませんか、全然これで反省したということにならないですよ、このことを申し上げて、ここのところは以上にしておきたいというふうに思います。
次に、日韓併合問題も大変重大だと思いますので、韓国併合問題で検定意見がついていると思いますけれども、どのような検定意見がついて、どのように変えられたのか、御説明ください。
○銭谷政府参考人 日韓併合についてでございますけれども、申請図書は、一九一〇年の韓国併合について、欧米列強は、アジアにおける「自国の植民地支配を日本が認めるのと引きかえに、日本の韓国併合を認めた。」との記述でございました。この点については、韓国併合に至る経緯について誤解するおそれがあるという検定意見を付して修正を求めたところでございます。
この結果、韓国併合の前に、欧米列強が「日本が韓国を影響下におさめることに異議をとなえなかった。」との記述に修正をされてございます。また、その後に日本による韓国併合が行われたとする記述に修正をされているところでございます。
なお、修正の過程で申請図書にございました「一部に併合を受け入れる声もあった」との記述は削除されてございます。
以上でございます。
○石井(郁)委員 やはり、「日本政府は、日本の安全と満州の権益を防衛するために、韓国の併合が必要であると考えた。」と日本の政府の側からのそういう説明だと思うんですけれども、「武力を背景に韓国内の反対をおさえて、併合を断行した。」という部分にそこら辺はなっていますね。それから、やはり植民地にするということがいかに犯罪的なことなのかという部分については、何か触れないというか、いかがですか。
○銭谷政府参考人 修正後の検定決定をした記述を読み上げさせていただきます。「韓国併合」という部分でございますが、
日露戦争後、日本は韓国に韓国統監府を置いて支配を強めていった。欧米列強は、イギリスのインド、アメリカのフィリピン、ロシアの外モンゴルなど、自国の植民地や勢力圏の支配を日本が認めることなどと引きかえに、日本が韓国を影響下におさめることに異議をとなえなかった。
日本政府は、日本の安全と満州の権益を防衛するために、韓国の併合が必要であると考えた。一九一〇年、日本は、武力を背景に韓国内の反対をおさえて、併合を断行した。
韓国の国内には、民族の独立を失うことへのはげしい抵抗がおこり、その後も、独立回復の運動が根強く行われた。
こういう記述でございます。
○石井(郁)委員 ここでも、ある面ではそういう歴史の経過として書かれているのかもしれませんけれども、やはり他国の主権、独立を奪ったという重大な事実という問題があると思うんですね。
その点での、これも教科書を見ますと、やはりいかにこれが韓国にとっては、韓国の人々にとってはつらいものであったかということが書かれています。
私はここで、韓国の中学校の社会科の教科書なんですけれども、これを見ますと、ここでの日韓併合についての記述というのは、こういうふうになっているんですね。
結局、日本帝国主義は軍隊や警察を全国各地で廃止して、我が民族の抵抗をあらかじめ遮断し、李完用という人なんですが、中心とした売国内閣といわゆる合邦条約を締結した。これにより、長い間独自の文化を創造しつつ発展してきた我が民族は国を奪われ、日本帝国主義の奴隷状態に陥ってしまった。これは、五千年の韓民族の歴史上最も悲劇的で恥辱的な事件であった。
やはり、五千年の歴史上最も悲劇的あるいは恥辱的な事件だというふうに書いている。だから、侵略された側の国、民族にとってはそういうことなんだということをやはりきちんと受けとめないといけないんじゃないかと思うんですね。
だから、ここは、あなた方が検定した結果の記述でも、日本政府にとっては必要だからこういうことをしたんだということで終わっている。それは、他国の領土に手を出すということはやむを得ないんだということにつながっているんですよ。そこが問題だと私は思うんですね。いかがですか。
○銭谷政府参考人 先ほど来再三申し上げておりますが、歴史教科書は、学習指導要領の範囲内で具体的にどのような歴史的事象を取り上げ、それをどのように記述するかは、民間の執筆者等にゆだねられているものでございます。現在の学説等々に照らしまして、誤り等がある場合には修正意見を出すわけでございますが、このように記述しなさいといったような検定意見は、現在の検定制度ではとっていないということでございます。
先ほど申し上げましたように、韓国併合につきましては、「韓国の国内には、民族の独立を失うことへのはげしい抵抗がおこり、その後も、独立回復の運動が根強く行われた。」ということについては記述があるわけでございます。
また、申請本では、その後、「韓国併合のあと置かれた朝鮮総督府は、鉄道・灌漑の施設を整えるなどの開発を行い、土地調査を開始し、近代化に努めた。」というのが申請本の記述でございましたが、この点については、「植民地政策の一環であることが理解し難い表現である。」という検定意見をつけまして、最終的な検定決定は、「韓国併合のあと置かれた朝鮮総督府は植民地政策の一環として、鉄道・灌漑の施設を整えるなどの開発を行い、土地調査を開始した。」という記述に改められているところでございます。
○石井(郁)委員 今の御答弁では、指導要領にのっとって、また執筆者それぞれが執筆するものだということがありましたけれども、私はやはり、歴史教科書というのは、次の世代に、どういう歴史認識のもとに、そしてアジアの中の一員として、友好関係を築いていくかという立場から、それぞれの国が最も重視をして記述をしているものだと思うんですね。
そのときに、過去の戦争について、政府の談話でも繰り返し深く反省をし、そして戦争を二度と起こさないという立場で、日本が国際公約として憲法も持っている国として、その戦争をあいまいにするということは、私は許されないと思うんですよ。
だから、過去のことをただ書いているんだということで済まない、今、子供たちに何を学んでもらうのか、どういう立場でこれからの未来に立ち向かっていくのか、アジアの中で生きていくのかということがやはり問われる問題だと思うんですね。
その意味で、ただ、この歴史の教科書が子供たちに、植民地支配というのはどういうことであったのかということもきちんと伝えない、また侵略戦争というのはどういうことだったのかも伝えない、韓国併合が、いろいろあるけれども、やむを得なかったというような歴史認識を教えるというようなことになったら、これでいいんだろうか、それはだれでもそう思うんじゃないでしょうか。
こういうことでは、日本と韓国、あるいは日本と朝鮮との関係や、日本とアジアとの関係がまた大きな亀裂を生むんじゃないのか。本当に、子供たちは、今、アジア諸国に出かけていっていろいろ交流もする、一緒にいろいろなことを取り組んでいく、そういう時代じゃないですか。
とにかく、こういう第二次世界大戦という最大の惨禍、そして非人道的な戦争、こういうものがなぜ起こったのか、どうしたらそれが防げるのかということを考えさせるのが、やはり私は歴史の勉強じゃないのかというふうに思うんですが、その点でいいますと、全然それにつながっていない、むしろ逆に描いている、そこが問題だということを私は申し上げたいと思うんです。
もう一例、韓国の問題で例を挙げたいと思うんですが、これも検定用の記述で私はびっくりしたんですが、どんな意見で、どのように改められたのか教えていただきたいと思うんですが、創氏改名の問題なんですね。
朝鮮半島では、日中戦争開始後、日本式の姓名を名乗ることを認める創氏改名が行われ、朝鮮人を日本人化する政策が進められていた。戦争末期には、徴兵や徴用が、朝鮮や台湾にも適用され、多数の朝鮮人が、日本の鉱山などで、きびしい条件のもとで働かされた。
これは一定の事実もあると思うんですが、この記述、どんな意見がついて、どのように改められたんでしょうか。
○銭谷政府参考人 創氏改名についての記述についてのお尋ねでございますが、申請図書についてはただいま先生がお読みをされたような記述でございました。
それに対しまして、検定意見としては、「戦時下の植民地などの実態について、誤解するおそれのある表現である。」という意見をつけました。
それに対して、修正が出てまいりまして、検定決定をした記述は以下のようでございます。
朝鮮半島では、日中戦争開始後、日本式の姓名を名乗らせる創氏改名などが行われ、朝鮮人を日本人化する政策が強められていた。戦争末期には、徴兵や徴用が、朝鮮や台湾にも適用され、現地の人々にさまざまな犠牲や苦しみをしいることになった。また多数の朝鮮人や中国人が、日本の鉱山などに連れてこられ、きびしい条件のもとで働かされた。
こういう記述になってございます。
○石井(郁)委員 この点も、韓国側がどういうふうに教科書で描いているかということでいいますと、本当に厳しいですよ。それはそうですよ。民族抹殺政策だと。日本の帝国主義は我が民族精神を根絶やしにするためにいわゆる日鮮同祖論を主張したと。内鮮一体や皇国臣民化などのスローガンを掲げて我が民族の民族精神をなくそうとした。これにより、韓国語の使用を禁じる、日本語だけを使うようにして、我が歴史の教育も禁じた。またハングルで刊行された新聞も廃刊にさせる、韓国語や歴史に対する研究も禁止した。さらに日本帝国主義は我々の名前までも日本式に変える創氏改名を強要した、各地に日本の神社を建てて参拝するようにさせた云々書いていますね。このような蛮行というのは世界史に類例がないというふうに書いています。
こうしますと、私は今の検定についた意見の書き直しに大変注目するのは、だから最初の白表紙では、日本の姓を「名乗ることを認める創氏改名」、勝手に名乗ったんですよ、日本の姓名を。しかし、そうじゃないでしょう。姓名を名乗らせる、局長もそのようにちょっと強調されました。名乗らせたんですよ、この創氏改名は。
それを全くあべこべに描こうとすることが出てきているわけですね。だから、それは韓国側から見ると、全然違うじゃないですかと。だから、余りにもこの扶桑社の歴史教科書というのは、韓国の歴史と乖離が甚だしいと言わなければなりません。
こういうことで、今一方では日韓の友好ということがスポーツや文化等々で進んでいますよ、本当に真の日韓友好たり得るんだろうか、この日本の教科書で学んだ子供たちで本当に日韓友好できるんでしょうかということを言わなければいけませんが、これは大臣、いかがでございますか。
○銭谷政府参考人 まず、ちょっと御説明を申し上げたいのは、中学校の学習指導要領にどう書いてあるかということでございますが、
昭和初期から第二次世界大戦の終結までの我が国の政治・外交の動き、中国などアジア諸国との関係、欧米諸国の動きに着目させて、経済の混乱と社会問題の発生、軍部の台頭から戦争までの経過を理解させるとともに、戦時下の国民の生活に着目させる。また、大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解させる。
というのが指導要領の記述でございます。この指導要領の範囲内でどのような記述をするかというのは執筆者にゆだねられているわけでございます。
検定に当たりましては、国が特定の歴史認識、歴史事実を確定するという立場に立って行うものではなく、検定の時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして記述の欠陥を指摘することを基本として実施しているものでございます。
このため、検定では、申請図書の内容に明らかな誤りや著しくバランスを欠いた記述などがある場合に検定意見を付しているところであり、執筆者の基本的な歴史認識やその意図するところについて、検定で修正したり、特定の歴史的事象を取り上げるよう求めたりすることはできないということになっております。このため、検定決定をしたことをもってその教科書の歴史認識や歴史観が政府の考え方と一致するものと解されるべきではないと考えております。
なお、政府の歴史認識につきましては、平成七年の内閣総理大臣談話などに示されたとおりでございまして、この点については私ども、いささかも異なるところはございません。
○石井(郁)委員 幾らそのように政府の談話と異ならないと言っても、私は、この教科書を見たら、全然談話に反していることが載っているじゃないかと言わなければいけません。
きょうはもう時間が来ましたけれども、前にも問題にしましたが、従軍慰安婦のことがなくなったということは、各社そろってなくなったのはなぜなのかということもありますが、これはもう時間がなくなりました。
あるいは日中戦争でも、この教科書では二百ページに、「目的不明の泥沼戦争」なんですね。だから、日中戦争、目的不明だった。これで本当にこの戦争のことは正しく認識できるのか、子供たちに教えることになるのかということを言わなければならないと思います。
もう時間なんですが、既にこの教科書、白表紙の段階から大変外交的な問題になっています。これは盧武鉉韓国大統領は、侵略と支配の歴史を正当化する、再び覇権主義を貫徹しようとする意図を見過ごすことはできないと言っていますよ。断固是正を求める、今そういうことが出ているんじゃありませんか。これは談話、三月二十三日です。中国の武大偉外務次官も、中国政府と国民も韓国と同様強い関心を持っていると。今どんどんそういう声明や声が上げられていると思います。中国の動きもテレビではいろいろと大変、皆さんもごらんのとおりだと思います。
こういう批判に対しては、これは文科省としてはどのように対応されるおつもりですか。
○中山国務大臣 我々としては、先ほどもお話ありましたが、日韓友好、未来志向で進んでいくべきだと。政府の認識としては、先ほど申し上げましたように、一時期アジアの諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた、そういう深い反省に立って進めていくということに変わりはございません。
○石井(郁)委員 私は、そういう立場を持っていらっしゃるならきちっとこの歴史教科書にもそれが反映されるようにしていただきたいということを強く申し上げたいと思います。今本当に憂慮すべき事態じゃないですか。これから、私は大変な問題になっていくだろうと思っています。
改めて、侵略戦争と植民地支配についての歴史の真実を知る、そういう反省の上に平和と民主主義の憲法があるということを学ぶのがアジアと世界で生きる上で不可欠だ、これは日本の子供たちにとって不可欠なことだというふうに私は思うんですね。
だから、歴史をゆがめるような、あるいは侵略戦争を正当化するような、そういう教科書が出てくることは、これは絶対に許すわけにいかないじゃありませんか。そういう戦争は正しいというふうに教えるような教科書を子供たちに押しつけるわけにいかないということを申し上げて、質問を終わります。