2005年3月18日(金)「しんぶん赤旗」
「三位一体改革」に基づく義務教育費国庫負担法等「改正」案が十七日、衆院本会議で自民党、公明党の賛成多数で可決されました。日本共産党、民主党、社民党は反対しました。
本会議に先立ち衆院文部科学委員会で、全国二千六百八十五市町村(三月現在)のうち、二千二十六の市町村議会が義務教育費国庫負担制度の堅持を求める意見書を提出していることが明らかになりました。
日本共産党の石井郁子議員が、義務教育費国庫負担金について、地方が四千二百五十億円の負担金を削減し、負担金削減分を税源移譲することを望んでいるわけではないと質問したのに対し、文科省の銭谷眞美初等中等教育局長が答えたもの。
石井氏は、これだけの市町村が堅持を求めているだけでなく、著名な文化人や小柴昌俊さんらノーベル賞受賞者も堅持を求めていることを紹介。「義務教育費を地方に移譲するよりも予算を増やすことの方が先決だ。いまの政府のやりかたは逆行しているとしかいいようがない」とのべました。
中山成彬文部科学相は「いかに負担制度を守っていくか」が課題で、「教育に関する国の責任をしっかり果たしていかなければならない」と答えました。
石井氏は反対討論で「一般財源化となれば地方格差を拡大し、教育水準を低下させることは火を見るよりも明らかだ」と批判しました。
文部科学大臣 中山 成彬君
文部科学大臣政務官 下村 博文君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 林崎 理君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 岡本 保君
政府参考人
(財務省主計局次長) 松元 崇君
政府参考人
(文部科学省大臣官房長) 玉井日出夫君
政府参考人
(文部科学省生涯学習政策局長) 田中壮一郎君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 銭谷 眞美君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 素川 富司君
文部科学委員会専門員 井上 茂男君
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○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。
義務教育費国庫負担法の審議を続けてまいりましたが、この審議にかかわって一つ気になるデータがございまして、まずその点からただしたいと思います。
私が参考人招致を要請しました東大大学院の教育研究創発機構研究者代表の苅谷教授のプロジェクトチームがまとめた義務教育職員人件費の推移というのがございます。それによりますと、公立小中学校の教職員の人件費が今後急増する、二〇〇七年度から二〇一七年度まで毎年度、現在よりも三千億円から四千億円上回るという試算なんですね。二〇一八年度までの累積額が四兆四千七百五十億円に上るというわけでございます。
文部科学省として、こういう公表されている試算、どのように受けとめていらっしゃるでしょうか。伺います。
○中山国務大臣 お答えいたします。
東大の苅谷教授のこの試算、私どもも承知しております。今御指摘ありましたけれども、平成三十年度までの増加分累計は四兆四千七百五十二億円ということでございまして、この数字を私は知事会側にお見せしたいというふうな思いがあるわけですね。知事会は、八千五百億円という義務教育費国庫負担制度の一部をカットするということの考え方の中に、これからは義務教育費が減っていくという頭が私はあったんじゃないかなと。ですから、その部分はほかのところに使えるようになる、こういうお考えがあったんじゃないかと思うんですが、そうじゃございませんよ、この義務教育費もふえていくんですよ、こういうデータを見せられたときにどういう反応をされるのか。
そういう意味で、こういった試算も参考としながら、今後とも義務教育の国の責任というものを果たしていくように努めてまいりたいと考えております。
○石井(郁)委員 教職員の年齢構成が今中高年層に偏っています。将来的には退職手当、定期昇給額を押し上げていくわけですね。ですから、人件費が伸びていくということになるわけですね。
苅谷教授はこの試算で、各都道府県ごとにデータを出しているんです。本年度の人件費を一〇〇としますと、二〇一八年度までの平均値が、高知県で一一一・五九、長野で一一〇・六八、岐阜で一一〇・六〇、東京で一〇二・七九等々あるんですけれども、支出額で見ますと、岐阜県の場合、二〇一八年度までの累積で千六百億円になるというんですね。
こういうデータが具体的に示されているわけでして、私は、文部科学省としてこうした人件費にかかわる問題での独自な試算をされているのかどうかということについて伺いたい。どういう数字を持っていらっしゃるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○銭谷政府参考人 御説明申し上げます。
今委員からお話がございましたように、教職員人件費の将来推計につきましては、東京大学の苅谷教授を研究代表者とするプロジェクトチームによりまして昨年十一月に取りまとめられたところでございます。文部科学省におきましても、この苅谷先生の将来推計を解析し、かつ御協力をいただきながら、別途把握をしているデータを織り込みながら、現在推計を行っているところでございます。
現時点までの文部科学省の将来推計では、苅谷先生の将来推計と同様に、教職員の人件費、これは、給料と退職手当と共済の長期等々が入るわけでございますけれども、教職員の人件費は、平成二十六年度までは増加し、その後緩やかに減少していくということが見込まれております。私どもの結果は、まだ最終、今詰めているところでございますけれども、各年度の額につきましては苅谷先生の推計と多少の異同はございますけれども、全体的に、今申し上げましたようにしばらく増額傾向が続くということは確かでございます。
それから、各都道府県ごとの状況ということも把握をしなければなりませんので、各都道府県ごとに教職員人件費が将来どのように推移するかということについても、現在データを踏まえながら将来推計を行っているところでございます。県によりましては非常に状況が違うということも明らかになりつつございます。
○石井(郁)委員 文科省が苅谷教授のデータも参考にしながら、ある面では共同もしながら、取り組んでいらっしゃるということをお聞きいたしました。それは、いつごろどういう形で公表されますか。
○銭谷政府参考人 現在、中央教育審議会の義務教育特別部会が開催されておりまして、今後の義務教育のあり方について御審議をいただいているわけでございますが、その義務教育特別部会において私どものデータを提供して、十分御議論いただきたいと思っております。ここ一、二カ月のうちに、データについては義務教育特別部会の方に御提供しながら御審議を賜りたいというふうに思っております。
○石井(郁)委員 既に文科省自身が、税源移譲をした場合四十道府県で財源不足に陥るということも発表されていたところでございまして、それとあわせて考えますと、人件費の将来推計ということをきちんと行った場合には、重大な結果が生じると見なければいけないというふうに思うんですね。
文科省は今取り組んでいらっしゃるということですから、ぜひそれをきちっとやっていただきたいと思いますけれども、苅谷教授が先んじておやりになったことについて言いますと、教授自身が、今回の推計も、私たちが行う前に本来行政が行い、情報公開すべき性質のものだ、データがなければ議論も始まらないと思い、私たちがやったんだ、また、教育政策を構築する際は、基本的データをもとにした将来予測が必要だというふうに述べていらっしゃるわけでして、私は、これはもっともなことですし、本来当委員会の審議もそしてまた教育問題を論じるときにも、やはり客観的なデータに基づいて議論をするということが出発になければいけないというふうに思います。
きょうは審議の最後になってこういうことを言わなければいけないということもどうかと思うんですけれども、文科省として、この財源不足の試算とあわせて将来予測についても今進めておられるということですから、ぜひ早い機会に公表していただきたいというふうにお願いをいたします。
もう一点、その場合の重要なデータとしてお示しいただきたいんですけれども、このまま一般財源化されたら教育界へのしわ寄せというのはもう目に見えているわけです。そして、特に地域間とか階層間の格差拡大に拍車がかかるだろうということが苅谷教授の主張の一つのポイントでもございます。一般財源化された場合、つまり全額移譲された場合、どれだけ地方に新たな負担が予想されるのか、こういう点での試算もきちんとされるということを、これはちょっと確認させていただきたい。
やはり各県ごとの新たな負担増というのを明確にして、一般財源化なのかそれとも国庫負担堅持なのか、こういう形で論点をより一層浮き彫りにしていただきたいなと思うわけですが、この点は、大臣、いかがでしょうか。
○中山国務大臣 一般財源化されれば、今まで国で支出した分がそのまま負担はもちろんふえるわけでございますし、今までも地方は地方でそれぞれプラスアルファして教育費用に充てていたわけですから、トータルしてどうなるのかということはわかりませんが、実際問題として、もちろん国庫負担金が減れば、その分は都道府県が負担すべきものとしてふえるということは当然だと思っています。
○銭谷政府参考人 今お話ございましたように、仮に義務教育費国庫負担金が一般財源化されて相当額が税源移譲した場合に、各都道府県ごとにどういう状況になるのかということにつきましては、既に四十道府県で財源不足が生ずる見込みがあるというデータは私ども試算をしているわけでございます。今後、将来的にそれがどうなるのかということにつきましても、将来の教職員の人件費の推計というものを織り込みまして各都道府県での人件費の負担増や地域間格差の拡大ということを試算していく必要があると考えております。
今後、そういった点を踏まえて、先ほど申し上げましたように、中央教育審議会での議論に当たりましては、各都道府県ごとに公立の義務教育諸学校の教職員人件費が将来どのように推移するかといったデータも踏まえながら、総合的に幅広く議論をしていきたい。それで、大臣からお話もございましたように、きちんとデータに基づく議論ということを心がけてまいりたいと思っております。
○石井(郁)委員 大臣と局長から御答弁いただきましたので、ぜひそういう姿勢で取り組んでいただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。
さて、次の問題なんですけれども、中教審の審議と三位一体改革の関連というかその問題で聞きたいと思っています。
中教審の教育条件整備に関する作業部会として、昨年五月二十五日、「義務教育費に係る経費負担の在り方」という中間報告が出されているわけですね。その作業部会の中間報告では、義務教育費の国庫負担金が一般財源化したらどうなるか、これまでの検討から導かれる結論として、義務教育費国庫負担を一般財源化した場合には重大な問題が生じるということで、六点挙げておられるわけですね。その六点はどういう内容でございますか、ちょっと御説明ください、短くで結構ですから。
○銭谷政府参考人 御説明申し上げます。
昨年五月の中央教育審議会の教育条件整備に関する作業部会の中間報告では、仮に義務教育費国庫負担制度が一般財源化された場合の問題点を六点示してございます。
具体的に六点申し上げますと、第一が、義務教育に対する国の責任放棄になるということ、第二点が、義務教育無償の趣旨に反するということ、第三点が、学校に必要な教職員を確保できなくなるということ、第四点が、義務教育に地域間格差が生じること、第五点が、義務教育費の不安定化を招くということ、第六点が、地方財政自体の硬直化を招くということ、この六点を理由として挙げております。
このことから、昨年五月の中教審の作業部会の報告書は、義務教育費国庫負担金は一般財源化すべきものでもなく、義務教育費国庫負担制度の根幹は今後とも堅持していく必要があると結論づけているところでございます。
○石井(郁)委員 私は、改めて、そういう六点を導き出すための議論も重ねて、そして作業されて、整理されているという点で、中教審の議論というのはなかなかのものをそれなりにしているというふうに思うわけです。そういう六点を挙げて、義務教育費国庫負担金を一般財源化すべきではない、この国庫負担制度の根幹は今後とも堅持していく必要があるという結論を導き出しているわけでしょう。作業部会としてのそれは結論だというふうに発表しているわけですね。
中間報告ではあるけれども、これは中教審としての立場なんですよ。中教審としての立場というのは、こういう点ではもう明確だったと思うんですね。しかし、本法案では暫定措置と言いながらも、義務教育費四千二百五十億円が特例交付金化されるということになっているわけですね。そうすると、中教審のこの検討というのは一体何だったのか。文科行政にこれはなぜ反映されないのか。中間報告というのはないがしろにされたんじゃないか、こう言ってもいいと思うんですね。いかがですか。
○中山国務大臣 昨年秋のいわゆる三位一体の議論の中で、私といたしましては、経済財政諮問会議、あるいは官房長官及び総務、財務、経財担当大臣、四大臣との会合等におきまして、義務教育の意義とか基本的性格、国と地方の役割などについての考え方を示して主張したわけでございますが、このもとになったものが、まさに今お話しになりました中央教育審議会の中間報告でございまして、この中間報告の概要等を紹介しながら、義務教育費国庫負担制度の必要性を強く訴え続けてきたところでございます。その結果、私の主張も受け入れられて、あくまで暫定措置という形で政府・与党間の合意が図られたというふうに私は考えております。
○石井(郁)委員 結局、いつも与党合意が先にありきで、中教審を踏まえて、大臣としての御努力もあったけれども、こういうことになっているという説明なのですけれども、やはりこういう事態というのは本当に、極めて異例だと思うのですね。
ですから、鳥居会長が、これはある新聞のインタビューの中ですけれども、このように述べていらっしゃるわけですね。義務教育費について何度も中教審の議論を踏まえて検討するとの政府方針が出されている、これは政府方針だ、まさに中教審で検討している最中だ、その議論を全く飛ばした形で結論が出されようとしていることに異議を唱えたい、当然だと思うのですね。だから、中教審の委員は、私たちは何をしているのだろう、法律で定められた審議会とは何なのだろうかと感じている、財政問題が先にありきの三位一体改革が教育まで巻き込んで断行されるのは間違っている、これは鳥居会長が述べていらっしゃるわけです。私は、本当にその気持ちがわかるし、全く同感なのです。
今まさに、秋に向けて、この中教審が審議をしていらっしゃるわけですが、そこで伺いたいのですね。では、再びその結論がないがしろにされるということはありませんか。大臣、いかがですか。
○中山国務大臣 昨年十一月二十六日の政府・与党合意におきまして、中教審の結論を十分尊重するということが前提とされているわけでございまして、御懸念のように、中教審の結論に関係なく決められるものではない、このように考えております。
○石井(郁)委員 二度あることが三度あるにならないように、本当にここはもう正念場だというふうに私は思います。大臣のそういう御決意でぜひ頑張っていただきたいということを申し上げたいと思います。
地方移譲ありきというか、これが地方の声だというふうに聞こえますけれども、私は地方移譲が地方すべての声ではないと思うのですね。昨年の八月二十四日に、地方六団体の出された「国庫補助負担金等に関する改革案」に対しては、十三人の方が義務教育費国庫負担の廃止、一般財源化反対の趣旨で意見を付記していらっしゃるわけです。また、十三道府県からも、義務教育費国庫負担堅持の意見書、要望書が出されております。とりわけ市町村から大変強い声があるのじゃないかと思います。
それで、市町村からは義務教育費国庫負担堅持の要望書、意見書というのはどのくらい出されているのでしょうか。
○銭谷政府参考人 お尋ねの市町村議会からの意見書の件数でございますけれども、これまで二千二十六の市町村議会から制度の堅持を求める意見書が提出されております。
○石井(郁)委員 二千二十六というのは大変な数ですよね。もう圧倒的だと言ってもいいぐらいだ、今は市町村合併、いろいろありますから、数も減っていますので。そういう市町村、自治体から堅持の意見書が出されている。私は、ここはやはり深く、重く受けとめなければいけないと思うのです。ずっとこの委員会でも議論されましたように、やはり市町村の権限、裁量ということがこれからますます重くなっていくわけでしょう、教育についていえば。だから、そういう点では、このような自治体の声というのを本当にどう受けとめているか、大臣にとっては応援だろうと思いますけれども、大臣はどう受けとめていらっしゃるか、一応伺いたいと思います。
○中山国務大臣 今二千二十六の市町村議会から堅持の意見書が出されているというふうにお答えいたしましたが、さらに、実際に小中学校の運営に当たることとなります約九割の市町村教育委員会からも、国庫負担の必要性について意見が出されているわけでございます。また、平成十五年度におきましては、二十二都道府県議会から国庫負担制度堅持の意見書も出されているわけでございます。
さらにいいますと、八月二十四日のことを今言われましたが、すべての知事が一般財源化を主張しているわけではありませんで、十三都県の知事は国庫負担の必要性を訴えているわけでございまして、ですから私も、小泉総理から地方の声を真摯に聞けと言われましたけれども、耳を傾ければ傾けるほど、堅持堅持という声の方が強く聞こえるのですよということも何度も申し上げたところでございます。
一方では、そう言われる方々も、地方分権ということについてはこれまた一致しているわけでございまして、地方分権の流れというのが一方にある中で、義務教育費国庫負担制度をいかにして守っていくかということがこれから秋にかけての大きな勝負になるのではないかなと私は思っております。
○石井(郁)委員 こうした声は地方の議会、教育委員会だけではないのですね。本当に広く国民的な声になりつつあるというふうに私は思っております。
これは、昨年十月に、梅原猛さんとか小山内美江子さんとか黒柳徹子さん、それから建築家の黒川紀章さんら文化人が、もっともっといらっしゃいますけれども、共同で要請書を出されたと思います。「国は義務教育に責任を持て」というものなのですね。その中の一節にこのようにありました。「全国津々浦々、たとえ寒村に生れようと、」「国内のどの地域にも劣らない内容の教育を受けられるようにするためには、義務教育費について国が保障するというシステムが絶対に必要であると、私たちは考えている。」というものです。この要請書を大臣は受け取っていらっしゃいますか。
○中山国務大臣 小柴先生、野依先生などのノーベル賞受賞者などから成る科学者グループによる「日本の将来を憂える緊急メッセージ」とか、あるいは鳥居、木村両氏、これは中央教育審議会の会長、副会長でございますが、「義務教育費国庫負担制度に関する緊急要請」、あるいは、今話がありましたが、黒柳徹子さんとか平山郁夫さん、三浦朱門さんなど文化人二十名からのメッセージと、いろいろ、義務教育やそれを支える国庫負担制度についての思いを込められた要請文とかメッセージとか、たくさんいただいております。
それから、日本PTA全国協議会からは義務教育費国庫負担制度に関する要望、そして都道府県教育委員会連合会などの教育関係二十二団体からは「義務教育費国庫負担制度の堅持を求める緊急要請」等が出されているわけでございまして、私は、六団体の意見を聞くこともさることながら、住民を代表する地方議会の声とか、あるいは保護者を初めとする国民の声、それから現場を支える学校関係者とか教育委員会の声などを幅広く伺って、義務教育に係る国の責任というものをしっかり果たせるようその改革に努めてまいりたい、その堅持に努めてまいりたいと考えております。
○石井(郁)委員 本当に各界各層からいろいろな形で、やはり国は義務教育に責任を持ってほしい、これが日本のこれまでの発展だったし、これからも発展の礎になるものだという強い思いが込められているというふうに思うんですね。
とりわけ、ノーベル賞受賞者の皆さんがそろって、やはりこれは何としても守らなければいけないというふうに出されたことなどは、本当に重いものを持っていると私は思います。日本を代表する方ですから、そういう方々が「日本の将来を憂える緊急メッセージ」というのを出されている。大臣もお触れになったとおりであります。
それで、これは調査室からいただいたものの中にちゃんと資料として収録されておりまして、その一節、私からもあえて申し上げたいんですけれども、このようにあるんですね。
日本の教育、とりわけ義務教育の平均的な水準は国際的にも高いという評価を受けている。それは、長年にわたる関係者の弛まぬ努力とそれを支える諸制度によって築かれてきたものであり、特に、義務教育費国庫負担制度は、義務教育の機会均等と教育水準の維持のための制度として大きな役割を果たしてきたのはまぎれもない事実である。
しかしながら、現在、三位一体の改革の中で、単なる財政論の観点から、義務教育を支えている義務教育費国庫負担制度の廃止が検討されており、極めて憂慮される事態となっている。
ということで、やはり現在のこういう政治、政府の動きに対して強い怒りも込めて発言をされていると思います。
その中で、さらに、私たちが受けとめなければいけないのは、
教育は国家百年の大計である。未来への投資として惜しむことなく投資すべきであり、その怠りは必然的に日本の衰退につながることとなる。
残念なことに、諸外国と比較しても日本の教育への公財政支出は少ない。必要なことは、その増額を図ることである。
というふうに述べられているでしょう。
私は、ノーベル賞を、日本の大学、研究機関の中でずっと長年研究されて世界で評価をされたこういう方々が、やはり国の財政的支援、しかし、日本の公教育への支出というのは本当に少ないんだ、その中で苦労されてきたからこそ、本当にここをふやしてほしい、そうしたら、もっともっと日本の科学水準も、研究水準もいろいろ上がっていくだろうという思いがあると思うんですよ。
さて、それで、最新のOECDの「図表でみる教育」二〇〇四年というのが発表されたんですが、GDPに占める教育への公的支出の割合の調査結果というのはどういう結果だったでしょうか。
○田中政府参考人 GDPに占めます公財政教育費の割合についてでございますけれども、OECDの調査によれば、二〇〇一年における我が国の学校教育に対する公財政支出費の対GDP比は三・五%でございまして、アメリカが五・一%、イギリスは四・七%、フランスは五・六%、ドイツは四・三%となっておるところでございます。
○石井(郁)委員 日本がトルコと並んでいるんですよね、三・五%というのは。だから、教育費に対する支出というのは、実は日本は世界でも最低レベルなんです、OECDで見ますと。それで、デンマークでは六・八%だし、フランスが五・八%ありますし、平均が五・〇%ですから、日本の三・五%というのは、国際的に見て何とも情けない数字だと言わざるを得ないわけでしょう。
だから、こういう大きく立ちおくれている国費の投入の予算状況というもの、こういう点で考えますと、やはり義務教育費を地方に移すかどうかということより先に、こうした予算をふやす、GDP比の割合でふやしていく、公財政支出をふやしていくということが私は先決だと思いますが、その点では今の政府のやり方は全く逆行していると言わざるを得ないと思いますが、大臣はいかがお考えですか。
○中山国務大臣 OECDの数字を見ますと確かに日本は非常に低くなっているんですけれども、これはよく指摘されますけれども、そもそも、日本の公財政支出の割合が低い。要するに小さな政府であるということもございますし、学校制度も違います。これは私学が多いということでございますし、さらに子供の数が少ないとか、いろいろな要素がありまして、国によっていろいろな要素がありますので、日本が公財政支出に占める教育費の割合が少ないんだと一概には言えないと思います。
しかし、やはり国がどういう状況にあるか、その中で日本の教育費の支出がどうなっているかということについては、十分これは注視していかなければいけませんし、私は時々言いますけれども、この義務教育費国庫負担制度、三割しか負担していないんだよと。大きな顔はできないと。もっとこれをふやすべきじゃないかとさえ思っているぐらいでございまして、特に義務教育に関する国としての責任というのは今後とも責任を持って果たしていかなければいけない、このように考えております。
○石井(郁)委員 大体時間が参りましたが、私は、今やるべきことは、四千二百五十億円の削減、就学援助などの地方移譲ではなくて、やはり義務教育費の国庫負担制度を堅持するということだし、憲法と教育基本法に基づく教育無償の原則、教育の機会均等の原則や教育水準の維持向上を確保することだという点で、ぜひ、世界でもこうした立ちおくれている教育予算の大幅増額を本当に図っていく、そのために文科省、文科大臣として大いに頑張っていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
○石井(郁)委員 私は、日本共産党を代表して、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
義務教育費国庫負担制度はいわゆる三位一体改革で退職手当、児童手当などが一般財源化され、残るは教職員の給与、手当のみとなりました。今回、暫定措置ではありますが、これまで歴代の文部科学大臣が必ず守る根幹としていた教職員の給与、手当を削減するものであり、断じて容認できません。
この間の審議でも明らかなように、既に一般財源化された教材費や旅費は基準財政需要額に対し八割台にとどまっており、県によっては三割台、四割台というところもあります。一般財源化となれば地方格差を拡大し、しかも教育水準を低下させることは火を見るより明らかであります。
就学援助制度は、経済的理由によって就学困難な児童生徒の就学を確保するために市町村が行うものです。国の補助は憲法、教育基本法に定められた義務教育の無償化、教育の機会均等、教育条件の整備に対する国の役割を明確にするものです。
今回の補助の削減は就学援助の九割を占める準要保護者百十三万人を対象としたもので、国の役割を大幅に縮小、後退させるものであり、認められません。不況の長期化、リストラなどで就学援助を受ける児童生徒は増加しており、補助金の大幅増額、制度の拡充こそ求められているものであります。
産業教育設備、定時制・通信制設備補助の削減は、国がみずから基準に照らして不十分な施設整備の実態があるにもかかわらず、その責任を地方に押しつけることになり問題があります。
いずれも、憲法、教育基本法で定められた教育の機会均等、教育条件の整備に負うべき国の責任を放棄するものであり認められないことを申し上げ、反対討論とします。(拍手)