トップ>国会報告>162/衆/青少年問題特別委員会/2005年3月15日

2005年3月17日(木)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員 質問ダイジェスト

引きこもり復帰活動 NPOに財政支援を

石井衆院議員


 石井郁子議員は、15日の衆院青少年問題特別委員会で、引きこもり青年の居場所づくりに取り組むNPOなどへの国の支援を求めました。南野知恵子青少年・少子化担当大臣は「厚労省の調査で24万人、41万家庭に引きこもり青年がいると推定している」と答弁。塩田幸雄厚労省障害保健部長は「引きこもりを真正面からとらえた補助制度はない。不十分であるのはその通り。障害福祉の枠だが支援にとりくみたい」と答えました。

衆院 青少年問題特別委員会会議録第3号  2005年3月15日


   国務大臣
   (青少年育成及び少子化対策担当)         南野知惠子君
   内閣府副大臣       林田  彪君
   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   山本信一郎君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君
   政府参考人
   (法務省保護局長)    麻生 光洋君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           北井久美子君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    塩田 幸雄君
   衆議院調査局第一特別調査室長           田中 啓史君
    ―――――――――――――

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。
 きょう、私は、社会問題となっている引きこもりの問題についてお聞きをしたいと思います。
 南野大臣は所信の中で、「引きこもり等が深刻化するとともに、」「青少年をめぐる状況には大変厳しいものがあると認識しております。」と述べられています。引きこもりが深刻化している、青少年の状況は大変厳しい、こういう指摘をされたということを私は評価したいと思っております。
 そこで、最初に、どういう実態を踏まえてそういう認識をしていらっしゃるのか、深刻だという認識をもう少し披瀝いただきたいと思います。

○南野国務大臣 青少年の引きこもり、これは最近の青少年を取り巻く環境の変化により深刻化している問題の一つであり、各種の調査によりますと、例えば、何が根拠で私がそう申し上げているかといいますのは、厚生労働省の研究班の調査によりますと、平成十五年度におきまして、二十歳から四十九歳の引きこもりの状態にある者が約二十四万人に上ると推計されている。また、二番目といたしましては、厚生労働省の別の研究班の調査によりますと、平成十四年度におきまして、引きこもり状態である子供が存在する家庭は、世帯といいますか、これが四十一万世帯に上るとも推計されております。
 政府におきましては、早急な取り組みが求められているものと認識いたしております。

○石井(郁)委員 引きこもり体験者の体験談などいろいろありますけれども、それを見ますと、受験、いじめなど、学校生活に疲れている、また人間関係に苦しんでいるということがきっかけになったり、そこからなかなか立ち直れないということが言われています。
 引きこもりについて、これは厚生労働省のガイドラインですけれども、ストレスでひどく消耗した心身を守るための対処の一つだ、多様な人々がストレスに対する一種の反応として引きこもりという状態を呈する、狭義の精神疾患の有無にかかわらず長期化するというふうに言われています。こう見ますと、私は、今の青少年の状況からして、本当にだれもがと言ってもいいぐらいこういう状況になり得るということを示していると思うんですね。
 そういう意味で、この引きこもりへの政府の対応というか政治の課題というのは、私は大変重要だというふうに考えているわけですが、こういう問題に対して、この間、政府としてどのような対応をされてきたんでしょうか。どういう施策を講じてこられたのか、教えてください。

○南野国務大臣 内閣府が中心となって取りまとめました政府の青少年育成施策大綱におきましては、引きこもりへの対策を盛り込んでおりまして、諸施策を推進することといたしております。
 具体的には、厚生労働省におきまして、地方自治体が行う引きこもり等児童の児童福祉施設等での宿泊指導事業への補助、また精神保健福祉の観点からは、保健所及び精神保健福祉センターにおける相談支援、対応ガイドラインの作成、配付などのさまざまな取り組みを行っているものと承知いたしております。
 また、不登校の問題につきましては、文部科学省におきまして、地域ぐるみの支援ネットワークを整備する事業や、学校等におきます取り組みの参考とするための指導資料の作成などを行っているものと承知いたしております。
 引きこもりへの対応は、家族やその支援者に対しまして、根気や我慢を必要といたします。非常に難しい問題でございますけれども、政府といたしましては、引き続きこのような施策の充実を図りまして、関係省庁で緊密に連携しながら、引きこもり等の問題に取り組んでいきたいと考えております。

○石井(郁)委員 いろいろな形での取り組みがあるというお話なんですけれども、精神保健の立場からは保健センターなどでの相談窓口も開設されていらっしゃるということなんですが、その相談窓口ではどのぐらいの件数が寄せられているのか、あるいは全国に何カ所あるのか、ちょっとこの数字だけお示しください。昨年度に限ってでも結構です。つまり、相談窓口というところには一体何件、何人ぐらいいらっしゃるのか。

○塩田政府参考人 全国の保健所、精神保健福祉センターでいろいろな引きこもりの御相談に応じているということでございます。
 厚生労働省におきましても、先ほど大臣御答弁ありましたように、大変深刻な社会問題でありますし、理由がさまざまで対応が大変難しいという点はありますが、省内関係局連絡をとりながらいろいろ取り組みたいと思っております。
 それで、まず、保健所がたしか五百八十カ所で、精神保健福祉センターが七十カ所だったと思いますけれども、電話の総延べ件数、これは平成十四年の数値ですけれども、電話相談延べ件数が九千九百八十六件、それから、来所で相談された実数が四千八十三件という数値になっております。

○石井(郁)委員 私、最初にお伺いした深刻な実態からしますと、相談においでになる方の数というのはまだ本当に一部じゃないのかなというふうに今の数からも思うし、また開設状況というのも非常に少ないというふうに思うんですね。
 それで、先ほど大臣からは深刻な実態としての数字を示されましたけれども、今私は社会問題となっているというふうに冒頭申し上げましたように、本当に残念なことに、子供が親を殺すとか、また親が子供を殺すとか、それが引きこもっている子供をめぐって起こっているだとか、あるいは子供同士の犯罪もそういうことがかかわっているだとか、こういうことになっているわけですから、そういう点で、今本当に急がなければいけない問題だというふうに考えているんですね。だから、その深刻さというのは政府も指摘したとおりなんです。
 それでは伺いますけれども、非常に引きこもりというのは長引いている、長期化しているということで、今ではもう三十代、四十代の方もいらっしゃるわけですよね。そういう意味で、青年期の引きこもり対策ということは重要だというふうに私は思うんですけれども、政府としては、どの省庁、どの部局でこれを担当しているんでしょうか。

○南野国務大臣 具体的に見ましたら、厚生労働省におきまして、地方自治体が行う引きこもり等児童の児童福祉施設等での宿泊指導、そういった事業への補助、また、精神保健福祉の観点から、保健所及び精神保健福祉センターにおける相談支援、対応ガイドラインの作成、配付、そういったことが行われているということでございます。

○石井(郁)委員 私は、政府としてなんですよ、中央省庁として。だから、これは厚労省が行っている、内閣は何を行っているのか、その区分けがちょっとはっきりわからなかったものですから。わからないというのは変ですけれども。要するに、引きこもり対策は厚労省が行っているということでよろしいですか。

○山本政府参考人 今大臣お答えいたしましたように、これは非常に多岐にわたるものでございますので、厚労省、文部科学省等を中心に具体的に取り組んでいる。そして、総合という立場から、青少年対策推進本部、これは総理ヘッドの全体の会議でございますが、こういうところで総合的に調整をし、大綱にも盛り込んで、関係省庁連携して、政府一体となって取り組むという姿勢で推進をいたしております。

○石井(郁)委員 それで、少し具体的な支援の方に移ってお聞きしたいんですけれども、要するに、引きこもりの状態というのは、コミュニケーションがとれない、悩んでいる、苦しんでいる。だから、この状態だったらやはり社会生活ができないわけですから、社会生活ができるための訓練の期間というのが要るわけでしょう。そういう準備期間というのも要るわけです。
 そこで、私は、社会や集団になじむ点でも、やはり社会復帰をするという過程では居場所づくりというのが大変重要な意味を持ってくるわけですよ。先ほど宿泊施設という話もありましたけれども。
 先ほど来御紹介している、厚労省の研究として出された「十代・二十代を中心とした「社会的引きこもり」をめぐる地域精神保健活動のガイドライン」というのがございますけれども、そこでも、デイケアとかグループ活動への参加というのは大変大事だということで、そのためには居場所が大事だという指摘があるかというふうに思うんですね。
 この居場所ということについての必要性、重要性についてはどのような認識をお持ちですか。

○塩田政府参考人 委員から御指摘がありましたように、平成十五年七月に発表しました社会的引きこもり対応ガイドラインの中でも、引きこもりの状態から社会復帰する上で、そのステップとして本人の居場所が必要だという御指摘がなされているところでございます。社会のいろいろなところで居場所ということをつくっていく必要があると思いますし、公的なところがつくる居場所もあるでしょうが、最も自然な形は、NPOとか地域の人たちで、自然な形の居場所というのができればと思います。
 引きこもりを真っ正面からとらえた施策ではありませんけれども、例えば障害福祉の分野では、地域に小規模作業所というのがNPOを中心にいっぱいやられていますけれども、そういうところもこういう方が社会に復帰する一つのステップになると思っています。
 従来、小規模作業所には国の施策というのは、全国で六千カ所あるんですが、そのうちの二千カ所ぐらいに一カ所百十万円という助成をしておりましたが、今度の通常国会に法案を提出しておりまして、そういう小規模作業所に対する国の支援を高めるということ。従来は、法定施設になるためには社会福祉法人でなければいけないという規制があったんですが、NPOでもそういう小規模作業所をしていいということで、そういうものを法律の制度として位置づけることにしておりますので、そういったことも引きこもりの方が社会復帰する上の一つのステップになると思いますし、いろいろな角度でそういう場づくりには努力したいと思っております。

○石井(郁)委員 今御答弁いただいたんですけれども、政府の見解としても、そして実際に、現実に引きこもっている青年たちを本当に何とかしなければということで民間の人たちが取り組んでいるということでも、随分居場所づくりというのは進んでいるわけですね。これが必要だということになっていると思います。
 私も、この問題については二〇〇二年に当委員会で質問したところなんですね。だから、ガイドラインに沿ってやはりこういう施策が要るんじゃないかということなんです。ちょっと紹介しますけれども、そのときの政府の答弁でもこういうふうに言っておられました。
 引きこもりの状態から回復しまして社会に再参加するためのステップといたしまして、仲間であるとか、本人の居場所であるとか、仕事場であるとか、こういうふうなものが極めて重要でございます、こういうこともガイドラインの中に記載しておるわけでございますが、こういった機能を果たすものとして、民間団体や、引きこもりから立ち直った人たちのサポートとか、そういうふうな団体が、例えば、類型的に言いますと、精神障害者の社会復帰施設、グループホームなどの経営も可能であるし、国庫補助の対象にもなるわけでございます、また、作業所とかそういうふうな形で考えてみても、小規模作業所のうち一定の要件を満たす場合には、運営費に対して助成を行っておりますと。財政的なサポートにつきましては、一定の要件に該当するものについては積極的に進めてまいりたいと。また、地域保健でも、市町村ないしは地方公共団体のメニュー事業として、一定の範囲で国費を支出していますと。
 だから、二〇〇二年の段階で国費を支出しているというふうに御答弁いただいているんですが、どうもその後、本当に財政的支援というのがどれほどあるのかということになると、何か心もとないんですよ。ちょっと伝わってこないんですね。
 もう一度、具体的にどのくらいの予算規模でこの財政的支援を行っているのか、この御答弁に即してちょっとお答えいただきたいと思います。

○塩田政府参考人 先ほどの御質問にお答えした答弁と繰り返しになるんですけれども、地域地域でいろいろなステップとなるような居場所が必要だということで、作業所とかいったものは非常に有効だと思っています。
 今度の障害者自立支援法、いろいろな御意見があることは承知しておりますが、その中で、市町村が地域生活支援事業というのを必ず行うということを規定しております。その中で、いろいろな障害を持つ人たちが軽い作業とか創作活動とか、いろいろな活動をするようなことを市町村が必ず行わなければいけないということにしておりまして、そういう場が広がれば、多分引きこもりの方もそういう場で社会復帰のステップになると思っております。
 これは、支出はまず市町村が行いますが、国が法律に基づいて二分の一の補助を行うという仕組みにしておりますので、具体的な額がどのぐらいになるか申し上げることはできませんが、数年前の国会のやりとりを踏まえて、一つの答えであろうと思っております。
 よろしくお願い申し上げます。

○石井(郁)委員 先ほど、小規模作業所にも予算措置はしている、できるということもあったと思うんですが、それを確認したいのは、実は引きこもりの青年の場合には、まだ引きこもりの青年の居場所としてのところに支援措置というのは国からはないと思うんですよ。公的な機関であれ、民間、NPOがやっているものであれ、いろいろあるかと思うんですが、とりわけ民間がしている、NPOなどがしているところについての国からの支援というのはありますか。

○塩田政府参考人 引きこもりという概念自体は、理由も多種多様ですし、置かれている実態も多様であるということで、引きこもりということで真正面からとらえた施策としての補助制度がないのはおっしゃるとおりでありますが、精神障害に該当する引きこもりの方もいらっしゃいますし、そういう方々がいらっしゃる小規模作業所であれば、法律の精神障害でない方であっても当然利用していただけると思いますので、広い意味ではそういう場に対して国の助成はあるという理解をしておるところでございますが、不十分であることはおっしゃるとおりだと思います。

○石井(郁)委員 今の御答弁のように、まだ精神障害者の施設、精神疾患の方々の作業所とかいうところについての補助はあるんですよ。そこに入った子供についてはその中で見ていただけるということ、見ていただくというか補助を受けられるということになるんですが、やはりそれではちょっと違うんですよ。
 ガイドライン自身だって、御紹介しましたように、引きこもりの症状というか子供たちというのは、精神疾患を持っている方もあるでしょうけれども、それに含まれない、もっと広いんだということですから、やはり今そういう引きこもっている青年に対する社会復帰のための居場所、グループ、援助、そういうことが必要なんですよね。そこにやはり踏み込まないと、引きこもり対策をしているとはとても言えませんよ、精神障害者の施策の一環としてしかやっていないということなんですから。そのことはやはり、はっきりしていただかなくちゃいけないというふうに思うんですね。
 再度伺いますが、やはり実際に居場所をつくって、地域でいろいろな形でしていらっしゃるのはNPOであり、民間の取り組みなんですよ。私は、二〇〇二年のときも全国のいろいろなことを調べました。各地で取り組んでいるとこんなにあるんだ、そこをもっと支援すべきだということを申し上げたわけですけれども、そういうNPO、民間に対して支援をしていくというお考えはありますか。

○塩田政府参考人 引きこもりが社会的に大きな問題で、いろいろな角度から対策、アプローチをしなければいけないというのはおっしゃるとおりだと思っております。
 例えば、就労であれば省内の職業安定局というところが対応することになりますが、引きこもりという観点から真正面から取り組んではおりませんが、若者の仕事の場とか働くことに対するいろいろな応援措置とかいうことも始めておりますし、いろいろなことをする中で、地道な積み上げの中でとりあえずは対応していくことだろうと思っています。
 とにかく、いろいろな局とも連携をして、きょうの御議論はしっかり受けとめたいと思います。

○石井(郁)委員 もう時間ですけれども、やはり心もとないんですね、今の答弁を聞いても。だから、厚労省として就労支援、就労のためのいろいろな施策はそれなりにとっていらっしゃる、この子ども・子育て応援プランの中でもその辺は、若者の自立ということをうたって幾つかメニューはありますけれども、しかし、そこに行けない子供たちがいるわけですよ。あるいは、ちょっと行ったってそれではもう後が続かない、そういう子供たちなんですよ。そこをどうするんですか。やはり、そこをきちっと見ていただかなくちゃいけない。
 実際に、各自治体、民間も取り組んでいますけれども、各自治体も予算措置をしながらいろいろなことでやっています。自治体で既にNPOとの連携協力を開始しているところはあります。和歌山県では県が助成をしています。六百五十万円を計上したりして、引きこもり社会参加促進事業という形でやっています。各自治体、いろいろなところでこういう取り組みは既に始まっているじゃないですか。
 私は、やはり政府がもっと真剣にこの問題に取り組むべきだということで、そのことを強調いたしまして、きょうの質問を終わりたいと思います。


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