トップ>国会報告>162/衆/予算委員会/2005年2月15日

2005年2月16日(水)「しんぶん赤旗」

若者の夢奪う高学費

48国立大が値上げ

石井議員 政府に撤回迫る

衆院予算委



国立大学授業料値上げ問題で追及する石井郁子議員=15日、衆院予算委

 二〇〇五年度政府予算案で、国立大学の授業料標準額の一万五千円引き上げが打ち出されるなか、全国八十九の国立大学の五割余の四十八大学が、来年度の授業料値上げを決めていることが分かりました(表)。国は標準額引き上げ分を各大学への交付金から削減することにしています。値上げによる予算上の増収見込み額は八十一億円。十五日の衆院予算委員会で、日本共産党の石井郁子議員が質問し、中山成彬文部科学相が明らかにしました。

一部私大上回る状況も

 石井氏は「八十一億円で若者の夢を奪い、大学を疲弊させるべきではない」として、政府に値上げ撤回を求めました。

 値上げ後の学費は五十三万五千八百円になり、入学料二十八万二千円と合わせた初年度納入額は八十一万七千八百円。私立大学との格差は縮まり、一部の私大より高い逆転状況もおきています。

 石井議員は、政府の値上げ計画が昨年末ぎりぎりに通知され、現場に混乱が生じていること、国立大学協会や各地の大学学長が据え置きや再考を求めていることを指摘。国立大学を法人化する法案審議のさい、当時の遠山敦子文科相が「授業料が高くなってしまったり利用しにくくなったりということは、これは絶対避けなくてはいけない」(二〇〇三年六月十日、参院文教科学委)と答弁していたことを示し撤回を迫りました。

 中山文科相は「確かに高くなっていると思う」と認めながら、「できるだけ値上げしたくないと予算折衝に臨んできたが、結果的にこういうことになった」と答えました。

国立大学学費値上げ検討状況

値上げ(48大学)

 室蘭工業、帯広畜産、岩手、山形、茨城、筑波、東京外国語、東京学芸、東京農工、東京海洋、電気通信、横浜国立、新潟、上越教育、金沢、福井、岐阜、静岡、名古屋、京都教育、京都工芸繊維、大阪、大阪教育、兵庫教育、神戸、奈良女子、和歌山、鳥取、岡山、広島、山口、徳島、香川、高知、福岡教育、九州、九州工業、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、鹿屋体育、筑波技術短期、北海道教育(大学院修士課程据え置き)、小樽商科(前期分据え置き・後期分から標準額どおり)、東京(大学院博士課程据え置き)、愛媛(9600円改定)

据え置き(1大学)

 佐賀

未定(40大学)

 北海道、旭川医科、北見工業、弘前、東北、宮城教育、秋田、福島、宇都宮、群馬、埼玉、千葉、東京医科歯科、東京芸術、東京工業、お茶の水女子、一橋、長岡技術科学、富山、富山医科薬科、山梨、信州、浜松医科、愛知教育、名古屋工業、豊橋技術科学、三重、滋賀、滋賀医科、京都、大阪外国語、奈良教育、島根、鳴門教育、琉球、総合研究大学院、政策研究大学院、北陸先端科学技術大学院、奈良先端科学技術大学院、高岡短期(2月14日現在、文科省調べ)


国立大学の授業料標準額

 国立大学の学費は、〇三年度までは毎年国の予算で決められていました。国立大学が法人に移行した〇四年度からは、政府が標準額を定め、その110%を上限として、各大学法人が決めるしくみに変わりました。

2005年2月16日(水)「しんぶん赤旗」

所得減の家計に負担

就学機会奪う恐れ

高学費 知の発展の障害
 石井議員質問


 学生も父母も教職員も望まぬ国立大学費値上げをなぜいま押しつけるのか――十五日の衆院予算委員会、日本共産党の石井郁子議員の質問は、日本の知の発展にとって大きな障害になっている高学費をどうするかという大問題にまったく向き合おうとしない、政府の無責任さを浮かび上がらせました。

国立大学費14・5倍に

 石井氏は、物価指数と授業料の指数の推移をグラフで示しました。一九七五年を一〇〇とした場合、二〇〇四年で物価指数は一八〇・〇、私学の授業料の指数は四四七・八にたいして、国立大学の授業料指数はなんと一四四六・七。その突出ぶりはあまりに異常です。

 谷垣禎一財務相は、今回の国立大学授業料の値上げの理由について、「国立大学と私立大学の格差是正などを総合的に勘案した」と答えました。とんでもない言い分です。

 石井氏が明らかにしたように、私学との比較でみると、国立の授業料標準額五十三万五千八百円にたいし、四国の松山大学では年間五十七万円とほぼ国立なみ。大学院などでは、すでに私学を上まわる部分もでています。こうした国立大学費値上げが、公立大、私大の学費引き上げ圧力として働くこともみのがせません。

 石井氏は、「いまの社会経済情勢では、授業料は下げてしかるべきものだ」とのべました。デフレ経済のなかで、家計所得は九七年度の二百八十兆円をピークに〇三年度で二百六十五兆円まで減り、平均的なサラリーマン世帯の実収入は九七年から〇四年の間に七十八万円も減っています。それでも、家計に負担を押しつけることが可能だという判断は、根本的に間違っています。

高等教育の将来に危ぐ

 石井氏が指摘したように、昨年十二月の中央教育審議会中間報告「我が国の高等教育の将来像」(〇五年一月に答申)は、学費について「国公私立を問わず学生納付金が国際的にみても高額化しており、これ以上の家計負担になれば、個人の受益の程度との見合いで高等教育をうける機会を断念する場合が生じ、実質的に学習機会が保障されない恐れがある」とのべています。

 中教審ですらこうした危ぐの声を上げざるをえない背景には、日本のあまりにも貧しい高等教育への財政支出の状況があります。

 高等教育に対する公財政支出の対GDP(国内総生産)比では、デンマークをはじめ1%以上の国が十七カ国あるのに対し、日本は平均以下の0・5%。高等教育費負担では、国の負担より家計負担のほうが大きくなっています。

 「今後、高等教育に対する公的支出を欧米諸国なみに近づけていくよう最大限の努力が払われる必要がある」(前出、中教審答申)という指摘がある通り、政府が世間なみに教育に予算をまわすなら、今回の学費値上げなどする必要はなくなります。

 今回、授業料の値上げに踏み切った大学の中には、「学生諸君へのお詫び」という文書を出したところもあります。

 文部科学省の「学生生活調査」でも学生の五人に四人はアルバイトをしているとされるように、学費が高いため学生も大学院生も生活費を切りつめアルバイトにおわれています。学費のさらなる値上げは、経済状況によって学生の就学機会を奪うものとなりかねません。 鮫島 克記者

2005年2月17日(木)「しんぶん赤旗」

生活、バイトでやりくり

石井質問に「そうだよ!」と学生

学費値上げ問題


 学費が高く、進学を断念しなくてはならないような大学では「国立大学である意味がありません」という日本共産党の石井郁子衆院議員の話に「そうだよ!」とつぶやく女子学生―。十五日に開かれた衆院予算委員会で国立大学の学費値上げ問題をとりあげた石井さんの質問に、十数人の学生が聞き入りました。

 石井さんの質問にたいし、「私の時は九千円の学費でした」という大臣の答弁を聞いて、がっくりとうなだれる学生の姿も見られました。

 国立大学の男子大学院生(27)は「政府は学費を払っている学生や親の気持ちがわかっていないように思います。学費値上げについては国立大学と私立大学の格差是正を総合的に考えたという大臣の答弁がありましたが、自分の時は学費は安かったが、今は知らないと言っているようで頭にきます」と話しました。

 「昨年父が失職し、学費の支払いが困難になっている」と話す私立大学芸術学科二年生の男子学生(23)。自宅から通学していても「学費は百万円。無利子と有利子、ふたつの奨学金を受けて月八万円。アルバイト代も入れて月十万円で何とか生活しています。奨学金も卒業すれば四百万円の借金になります。就職難で返せるか不安です」と話します。

 はじめて国会を傍聴したというこの学生は「大臣が学生のことを考えているのか疑問に思います」と話しました。

 将来は教員になりたいと言う私立大学文学部一年の男子学生(19)は、母子家庭。母と兄三人で都内で生活しています。

 「学費を払ってもらっている家族にいつも負い目を感じている」と言います。傍聴して「私立との格差をなくすといって学費を上げたら、等しく教育を受ける権利に反する。憲法違反じゃないですか。ここであきらめないで、考えるだけでなく、学費値上げ反対と私学助成の増額、奨学金拡充の署名を集めたりしたい」と話しました。


衆院 予算委員会会議録 第12号 2005年2月15日


   総務大臣         麻生 太郎君
   法務大臣         南野知惠子君
   外務大臣         町村 信孝君
   財務大臣         谷垣 禎一君
   文部科学大臣       中山 成彬君
   厚生労働大臣       尾辻 秀久君
   経済産業大臣       中川 昭一君
   国土交通大臣       北側 一雄君
   環境大臣         小池百合子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     細田 博之君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君
   国務大臣
   (金融担当)       伊藤 達也君
   国務大臣
   (経済財政政策担当)
   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       七条  明君
   内閣府副大臣       西川 公也君
   法務副大臣        滝   実君
   財務副大臣       田野瀬良太郎君
   厚生労働副大臣      西  博義君
   経済産業副大臣      小此木八郎君
   法務大臣政務官      富田 茂之君
   財務大臣政務官      倉田 雅年君
   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君
   経済産業大臣政務官    山本 明彦君
   環境大臣政務官      能勢 和子君
   政府参考人
   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      長尾 和彦君
   政府参考人
   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君
   政府参考人
   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    大林  宏君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君
   政府参考人
   (法務省保護局長)    麻生 光洋君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君
   政府参考人
   (外務省アジア大洋州局長)           佐々江賢一郎君
   政府参考人
   (外務省経済局長)    石川  薫君
   政府参考人
   (国税庁次長)      村上 喜堂君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局私学部長)         金森 越哉君
   政府参考人
   (社会保険庁次長)    小林 和弘君
   政府参考人
   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君
   政府参考人
   (経済産業省商務情報政策局消費経済部長)     半田  力君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君
   参考人
   (日本道路公団総裁)   近藤  剛君
   参考人
   (金融庁証券取引等監視委員会委員長)       高橋 武生君
   参考人
   (独立行政法人都市再生機構理事)         河崎 広二君
   参考人
   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君
   予算委員会専門員     清土 恒雄君

     ――――◇―――――

○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 国立大学の学費値上げの問題で質問をいたします。
 きのうは、全国から大学生が、学費を下げてほしいと国会要請に見えました。その中ではいろいろ深刻な話もございまして、父親ががんで亡くなってしまった、学費の捻出も途端に悩んでいるという話も聞きました。改めて、勉学を続けるということが今こんなに厳しいのかと私も思い知らされました。
 文部科学省の学生生活調査でも、五人に四人がアルバイトをしていますし、そのアルバイトも深夜に及ぶ長時間ということが多くなっています。大学院生も、学費が高いために生活費を切り詰めなければならない、だから学業に専念できない状況が生まれていて、これは学費問題というのは、やはり日本の知の発展にとって大きな障害になっていると言わなければなりません。にもかかわらず、来年度予算で国立大学の授業料を上げようとしているわけでございます。
 そこでまず伺いますが、ことしというか、国立大学の授業料の値上げを決定した大学、また、検討中あるいは据え置きするということを決定した大学がそれぞれ幾つで、幾らの値上げを予定しているでしょうか。また、それによる国の増収、幾らを見込んでいるか。これは文科大臣に御答弁願います。

○中山国務大臣 御承知のように、法人格の国立大学の授業料につきましては、各法人で、文部科学省が示す標準額の上限一一〇%の範囲内でそれぞれ決めることとされているわけでございますが、今、各国立大学法人におきまして、具体的に来年の授業料をどのように取り扱うかについての検討や学内手続を進めていると聞いておりますけれども、ホームページにより把握しているところでは、標準額どおりに引き上げる大学は四十四大学、標準額以外の額とする大学は五大学、未定または不明である大学は四十大学でございまして、改定を行わない大学は一大学、十七年度標準額の改定額幅より下回る大学は一大学、年度途中から改定を行う大学は一大学、それから大学院の課程については改定を行わない大学は二大学、このようになっております。
 増収は、国立大学全体で八十一億円ということになっております。

○石井(郁)委員 学費の値上げによる増収分というのは八十一億円だということを確認しておきたいというふうに思います。
 そのために、今お話しのように、来年度からどうするかと各大学が大混乱を起こしているわけですね。ある大学では、まことに不本意ですが、諸君の負担をふやして、また、このような事態を予見できなかったことをおわび申し上げ、御協力をお願いする次第ですと。だから、学生へのおわびを発表しなければいけないということも出ております。
 国が財政支援をするとした運営交付金ですけれども、ここにも効率化係数、また附属病院の経営改善係数などが導入されまして、これは昨年度より九十八億円減額になっているんですね。だから、そこを減額して授業料値上げをする、国民の負担を押しつけているという点でも、私は、本当にとんでもないやり方だというふうに言わなければなりません。
 しかも、これが決まったというか大学に知らされたのは昨年十二月の二十二日、文科省からの事務連絡という一片の通知で知って、それで驚いているわけです。そして、この値上げというのが、これまでは翌年の入学生からだったんですよ。それが、国会でこの予算が上がったら四月から値上げされていくやり方というのは、これは今までにない問題であります。
 だから募集要項にも書いていなかった。しかも、今、受験、入試のシーズンで、こういう不安を抱えながらの時期に授業料も決まらない大学もあるという中でこの予算審議が行われているわけでありまして、私は大変な問題だというふうに思っています。
 この授業料問題は、国立大学協会も学生納付金の据え置きというのを要望していたはずです。そして、今回、東北三大学の学長、中四国の十大学の学長、東京の十一大学の学長からこのように言われています。授業料値上げが唐突かつ急を要する形で強行されることは、今後の国立大学運営に多大な混乱を招来します。文部科学省は、授業料の値上げについてぜひ再考を強く要請します。
 文科大臣、こういう声明が寄せられているのではありませんか。

○中山国務大臣 今回の授業料標準額改定に関しまして、何人かの学長が懸念を表明する声明を出したということは知っております。
 しかしながら、高等教育の機会提供という国立大学の役割を踏まえつつ、これまでの経緯とか、あるいは私立大学の授業料の状況等を考慮いたしまして今回の改定を行うこととしたものでございます。
 余りにも唐突じゃないか、こういう話もございましたけれども、文部科学省といたしましては、昨年十二月末に、各独立大学法人に対しまして標準額の改定の法要旨について連絡をしたところでございまして、各法人におきましては、これを受けて、十七年度の授業料の取り扱いにつきまして検討や学内手続などを進めているところでございます。
 また、受験生とか在学生に対しましては、これまでも、各大学で、募集要項等において改定があり得ることを周知していたところでございまして、各大学において学則等の改正を経た後、授業料の納入を求めるなど、適切に対応がなされるもの、このように承知しております。

○石井(郁)委員 昨年の十二月の末に大学に示して、そしてこの四月からの値上げを決める、これは本当に可能だとお考えでしょうか。私は大変な問題だというふうに思いますし、大学がそれで混乱をしているわけです。最初のお話のように、半数近い四十大学がこれは決めかねている、発表もできないでいる。それは当然だと思います、国の予算がまだ審議中なんですから。
 そういうこともあるわけですけれども、こういう混乱があるという問題、そして学長が地域ごとにこうした連名で声明を出す事態というのは、かつてない事態ではありませんか。
 そこで、私は財務大臣に伺いますが、今回の国立大学授業料の標準額の引き上げ、これを決めたのはどういう理由でしょうか。

○谷垣国務大臣 先ほど文科大臣からも御答弁がございましたけれども、国立大学の果たしていく機能、高等教育の機会提供という役割を持っていると思います。それから、大学教育を受ける者と受けない者との公平の観点ということもあろうかと思います。それから、私立大学の授業料の水準といった社会経済情勢、こういったものもあろうかと思いますが、文部大臣の御答弁のように、こういったものを総合的に勘案して改定を行ってまいりました。国立大学の授業料水準と私学の授業料水準、格差は依然としてまだ大きなものがございまして、こうした状況を踏まえて今回の改定を行ったということであります。

○石井(郁)委員 国立大学への機会均等ということで言うんだったら、私は、学費を上げたら、本当に経済上の理由で進学できないという人が生まれるわけですから、これは機会均等に反するじゃありませんか。
 そして、私立大学との格差の問題でいいますと、今回、授業料標準額を一万五千円上げたんですね。これによって、授業料というのは五十三万五千八百円ですよ。入学料は二十八万二千円なんですね。そうすると、初年度納入金というのは八十一万七千八百円です。大変な額じゃありませんか。
 私、調べたところでは、早稲田大学、これは人文社会系修士課程で授業料は四十六万四千円です、博士課程で三十九万一千円なんですよ。もう授業料自身が低いじゃありませんか。また、慶応大学はどうでしょうか。文学研究科、法学研究科などは四十五万円ですよ。だから、私学の方が授業料が低いという状況がもう既に生まれているんです。国立大学だけじゃありません。学部でも、これは四国の松山大学というところがございますけれども、授業料は年間五十七万円です。高松大学でも年間六十万円なんです。ほぼ国立並みじゃありませんか。
 ですから、七〇年代から、二年に一遍、授業料を上げてきたんですよ。この結果が私学を上回るところも出てきているということで、今、私学との格差と大臣言われましたけれども、そういう理由は成り立たないんじゃありませんか。御答弁はいかがですか。これは財務大臣お答えください。

○谷垣国務大臣 個々の大学がどうということは申しませんけれども、依然として現在でも私学と国立の差はあろうかと思います。
 平成十七年四月以降の国立大学授業料の標準額は、委員がさっきおっしゃいましたように五十三万五千八百円ということでありますが、私学は十六年平均で八十一万七千九百五十二円でございますので、これだけ単純に割りますと、一・五三倍ということがございます。

○石井(郁)委員 それは私学の高いところももちろんございます。しかし、私は、私学の格差がもうなくなっているところも生まれているということを見ていただきたいわけであります。
 きょうは官房長官にもおいでいただきましたのは、官房長官は一九六〇年代に大学生だったかと思いますけれども、このときは授業料というのは月額千円、年間でも一万二千円ぐらいでした。
 それでちょっと伺いたいんですが、授業料と物価指数とを比べてみますと、非常な授業料の高騰ぶりというのがわかるわけでございまして、私は、きょうはグラフにして持ってまいりました。
 これは一九七五年を一〇〇としますと、消費者物価指数というのは一八〇、二倍にもいかない。ところが、私大の授業料の指数というのは四四七・八です。国立大学の授業料指数というのは一四四六・七です。すごいでしょう。こう見ますと、本当に異常な学費の上がりようじゃありませんか。官房長官、どのように思われますでしょうか。

○細田国務大臣 おっしゃいますように、私が大学に入りました一九六三年の国立大学の授業料は一万二千円でございまして、谷垣さんも中山さんも、同じころ一万二千円を享受しておったわけです。
 その後、これはオイルショックより前でございますから、オイルショック等の物価を勘案して、初任給なんかの比較でいうと、昭和三十八年当時は二万円前後でしたから、約十倍になっただろうと思いますね。当時は一万二千円だったとすると、十倍というと十二万円ぐらいかもしれません。そういったころの批判としては、国立大学が余りにも安過ぎて私立大学との均衡を失するというような議論もあったようには記憶しております。
 これは私自身の直接の所管ではございませんので、文部科学大臣あるいは財務大臣が本来お答えすべき立場でございますが、総合的にいろいろなことを考えて、特に日本の教育の将来を考えて決定することも大事であると思っております。

○石井(郁)委員 時間の関係で、また大臣にお伺いいたします。
 私は、六〇年代、七〇年代のことではなくて、今の事態ですね。これだけの上がりようという異常なことについての御認識をちょっと伺いたかったわけですが、次の問題をぜひ伺ってみたいと思うんです。
 やはり今の社会経済情勢からして、こういう授業料の値上げは許されるのかという問題があるんですね。これも物価指数でいいますと、七五年を一〇〇とした場合には、九八年に一八五で、二〇〇四年には一八〇・〇に下がっているんですよ。そしてもう一方で、家計の所得がどうかといいますと、九七年には二百八十兆円をピークでしたが、二〇〇三年度は二百六十五兆円。家計自身が減っていますね。平均的なサラリーマン世帯の実収入というのは、九七年から二〇〇四年の間に七十八万円も減っているんです。
 こういう、家計が落ち込んでいる今の情勢で、本当に授業料は下げてしかるべきだというふうに私は思いますが、この点は、財務大臣、いかがでしょうか。官房長官にお聞きしてもいいんですけれども、財務大臣、いかがですか。

○谷垣国務大臣 主として、委員は物価の動向とか所得ということで今議論をお立てになって、それも一つの議論の立て方だとは思いますが、私どもはやはり、先ほど申しましたような、総合的に考えておりますが、一つは、私学と国立の格差というものが大きくて、言ってみれば、同世代の者で国立へ行った者だけが得をするというようなことでいいのかという議論、もう少しその差は埋める必要があるんではないか、こういうふうに考えております。

○石井(郁)委員 私は、それは本当に驚くような御答弁だというふうに思うんですね。国立大学は何のためにあるんですか。学費が安いから行けるというのが国立大学の存立の意味じゃありませんか。私学と同じにしたら国立大学の意味はありません。憲法や教育基本法上、経済上で教育上差別されないという、この立場を今守ることが大事なんじゃありませんか。私学にどこまでも続けていく。私は、とんでもない答弁だというふうに思います。
 そして、この問題は、国立大学法人化法案を国会で審議いたしました。去年、法人化になりましたよね。国立大学が法人になりまして、一年もたたないうちに標準額が上がったということで大学の方々は驚いていらっしゃるんです。
 今回の審議のときにはどんな議論があったか。河村副大臣はこのように言っていました。授業料については、デフレ経済のさなかにあるわけですから、むしろ抑制ぎみに考えていかなきゃなりません。これが答弁なんですよ。遠山大臣はどうおっしゃっていたか。私としては、学生にとって今回の法人化によって授業料が高くなってしまったり利用しにくくなったりということは、これは絶対に避けなくてはいけないと思っています。これはもう絶対避けなければいけないと言ったその答弁、全くそれに反しているじゃありませんか。一年にもならないうちにこういうことになっているんですよ。
 しかも、もう一つ言いましょう。昨年十二月に中教審の中間報告、我が国の高等教育の将来像というのが出されまして、学費についてどう述べていましたか。これはこの一月二十八日ですよ。ことしに入って二十八日に答申になりました。こう言っています。現在では、国公私立を問わず、学生納付金が国際的に見ても高額化しており、これ以上の家計負担になれば、個人の受益の程度との見合いで高等教育を受ける機会を断念する場合が生じ、実質的に学習機会が保障されないおそれがある。皆さん、これが中教審の答申じゃありませんか。
 八十一億円ですよ、増収分。八十一億円で若者たちの夢を奪っていいのか、また、日本の大学を疲弊させていいのか、このことを言わなければいけないと思うんです。国会答弁にも反しています。中教審の答申にも反している今回の値上げは撤回すべきではありませんか。御答弁願います。

○中山国務大臣 私も大臣になりまして、関心がありましたので、今、国立大学の授業料は幾らになっているのと言ったら、五十万円を超えていると言うんですね。実は私のときには九千円だったんですよ。貧乏だったもので私は免除していただいて学校を出たんですけれども。
 そういうことを考えると、確かに高くなっているなということは思いますけれども、先ほど財務大臣も答えましたように、大学に行っていない働いている人のことも考えなきゃいけませんし、また、私立大学の方のことを考えますと、向こうも上がっていますし、しかも、やはり私立大学と国立大学の格差を狭めていくんだ、そういう方針もあるわけでございます。
 そういう意味からいいまして、私どもとしても、文部科学省としては、できるだけ上げたくない、抑制したい、そういう方針で予算折衝にも臨んだわけでございますけれども、いろいろなことをば勘案いたしましてこのような結果になったということを御理解いただきたいと思います。

○石井(郁)委員 済みません、時間ですけれども、ちょっと最後、もう一枚パネルなんですけれども、これが日本の公財政支出の国際比較なんですよ。一%以上の国は世界十七カ国あるんです。日本は下から二位です。〇・五%です。こんなことで本当に国の責任を果たせるのかということを私は厳しく申し上げまして、この学費の値上げは撤回すべきだということを再度申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
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