2003年7月11日(金)「しんぶん赤旗」
「愛国心」押し付けるな
石井議員 通知表評価で追及
日本共産党の石井郁子衆院議員は9日,衆院文部科学委員会で,小中学校で「国を愛する心情」や「日本人としての自覚」を通知表で評価する問題をただしました。
石井氏は,文科省が全国の小中学生に配っている道徳教材「心のノート」について,文科省による活用状況調査の内容が「ノート」使用を前提としたものになっているとして,「事実上の使用の強制である」と質問。遠山敦子文科相は「ノートの配布は「指導,助言の一環」と答えました。
「ノート」は中学校用では「ふるさとを愛する気持ちをひとまわり広げると,それは日本を愛する気持ちにつながってくる」など,心のあり方について記述しています。石井氏は,内心の自由や思想・良心の自由にかかわる問題を含むものを国が作成し配布することを厳しく批判しました。
石井氏は,全国11府県28市町127校で「国を愛する心情」「日本人としての自覚」が項目に入った通知表が作られ,その中で在日韓国人も一緒に評価されていることをとりあげ,「内心の自由にかかわる問題を評価する権限はない」という立場で「指導,助言せよ」と主張しました。遠山文科相は,学校に外国の子どもたちが入ってきた場合「現場で配慮していただきたい」と答弁しました。
衆院文部科学委員会 会議録19号
平成十五年七月九日(水曜日)
- 文部科学大臣
- 遠山敦子君
- 文部科学副大臣
- 河村建夫君
- 文部科学大臣政務官
- 池坊保子君
- 文部科学大臣政務官
- 大野松茂君
- 政府参考人(内閣府政策統括官)
- 坂 篤郎君
- 政府参考人(総務省自治財政局長)
- 林 省吾君
- 政府参考人(財務省主計局次長)
- 杉本和行君
- 政府参考人(文部科学省大臣官房総括審議官)
- 玉井日出夫君
- 政府参考人(文部科学省初等中等教育局長)
- 矢野重典君
- 政府参考人(文部科学省高等教育局長)
- 遠藤純一郎君
- 政府参考人(文化庁次長)
- 銭谷眞美君
- 文部科学委員会専門員
- 柴田寛治君
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
きょう,私は,大臣に基本的な御所見を伺いたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いをいたします。
まず,文部科学省が発行,作成しております心のノートについてお聞きをいたします。
心のノートは,昨年,そしてことしと,全国の小中学生に配付されました。千二百万部と言われているところでございますが,そういう意味で,全国小中学生に配付されているということでいえば,これは使用が義務づけられているかのようでもあります。私は,実際上の教科書扱いではないのかというふうにも思うわけですが,まず最初に,これは道徳教育における教科書と言えるものなのか,あるいはどういう性格のものなのでしょうか,伺います。
○遠山国務大臣 心のノートは,児童生徒が身につける道徳内容を子供たちにとってわかりやすくあらわして,道徳的価値について自分で考えるきっかけをつくろうということで,文部科学省において作成したものでございます。これは教科書ではないわけでございますが,道徳のための教材であるわけでございます。
今も,あるいは最近も,さまざまな子供の事件が起きております。本当に残念に思うような犯罪もあまた起こっているわけでございますが,それが,これだけ豊かな社会になり,あるいは社会が成熟化してきているのに,減るどころか,ますます残酷さを増しているわけでございます。もちろん,子供だけではないわけです。大人自体の犯罪,あるいは本当に残虐な事件が次々に起こる。そのような社会の中で,子供たちだけにというのもなかなか難しいわけでございますけれども,やはりこれからの世紀を生きていく子供たちにとっては,私は,しっかりした学力と同時に豊かな心というものを養ってもらわなくてはならないと思うわけでございます。その意味で,心の教育を充実していくために,心のノートを作成することにいたしたわけでございます。
これ自体は,私の就任前に発想をされ,そして平成13年度に既に着手されてきたわけでございますが,私は,その成果を本にまとめて,それぞれの学校段階において使ってもらえるように,これを広く各学校を通じて児童生徒に行き渡るようにしているということは,大変有意義なことだと思っておりますし,子供たちにとっても多くの参考になる,あるいは教師にとっても,子供たちに道徳的な価値を教えるのに非常に参考になる資料ではないかというふうに考えているところでございます。
○石井(郁)委員 心のノートは教科書ではない,教材であるという位置づけというふうに御答弁されました。そうしますと,これは,どのように使用するか,あるいは使用するかしないか,学校現場で判断していいというふうに考えるべきだと思いますが,それでよろしいですね,簡単に。
○遠山国務大臣 これは我が省の指導助言の一環で行っているわけでございますけれども,それぞれの教育委員会を通じて,この使用について,各学校において用いられるようにということでお願いしているわけでございまして,教育委員会の判断によって,各学校はこれを十分に使ってもらいたいというふうに思っているわけでございます。
○石井(郁)委員 教育委員会がどういう判断をするかということが一つある,しかし,実際にどう使うかは,やはり学校現場が判断をするというのが教材としての性格だと私は理解をするわけです。
ところで,今おっしゃられましたように,教育委員会を通して,これを活用してもらいたいということを文科省がかなり昨年来通知文などを出して行っている。私は,これはやはり事実上の使用を強制するということにつながるのではないかというふうに思うわけです。
ことしの五月に,心のノートの活用状況についてという何か調査依頼をされていますよね。この七月十一日までにこれだけの調査項目で回答するようにということになっているんです。この項目は言いませんけれども,どのように活用しているか,それから,重大なのは,活用していないという場合はどういう理由なのか,活用しない理由も書きなさいと。これだと各学校がどういう状況になっているのかを漏れなく書かなくてはいけない仕組みになっているという点で,私はこういうやり方というのはやはり事実上の強制ではないのかと思いますが,いかがですか。
○河村副大臣 今大臣の方から,この心のノートをどういう目的でお願いをしたかというお話があったわけでございますが,今学校現場で起きているいろいろな問題等々を考えたときに,こういう形で,少しでもこれが活用できたらということでお願いをしているわけでございますから,それについて実際にどういうふうに取り組まれているだろうかということをやはりお聞きしませんと,さっき活用していないとなるとその理由を書けというふうにおっしゃったわけでありますが,これをもし活用するとして,どういう問題点があるかということも御指摘いただいて,さらにいいものにしていく責任といいますか,そういうものがこちらにもあるわけでございます。
国の予算を投じて作成した心のノートでございますから,その活用の状況を把握したい,そして,それをもとにしてさらに内容の改善や活用法の充実,普及を図ることにしたい,こういう思いでお願いをしたところでございます。
○石井(郁)委員 私は,文科省はそういう思いを持っていらっしゃるということですが,そういうことを文科省がしていいのかどうかということをお聞きしているんですよ。そこは重大な問題なんですね。それから,活用がどうされているかというのは,それは調べたいと思えば,多分民間でもできるし,いろいろな形でできる。文科省が教育委員会を通して学校にこういうやり方をする,これは実は行政指導そのものになる,それで強制になるという問題なんです。
私は,なぜこのことを言うかといいますと,事柄は,道徳教育の教材なんですよ,道徳教育という問題にかかわるからなんです。それで,この心のノート,小学校で,1,2年生,3,4年生,5,6年生とあって,中学校では全学年で1冊と,大変きれいなカラフルなものであります。これは11億円ぐらいかけてつくられたと言われているわけです。
では,伺いますが,文科省がこういう道徳教育の教材をつくれるというふうに判断をされた,その法令上の根拠というのはどういうことでございますか。河村先生せっかくですが,私,きょうは遠山大臣にお尋ねしていますが。
○河村副大臣 法的根拠等のお話でございましたが,これは,地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第48条によって,文部科学大臣は地方公共団体に対して,教育行政にかかわって必要な指導,助言,援助を行うことができる,こうなっておるわけでございます。そういう意味で,このノートを道徳教育の教材として,この法律に基づいた文部科学大臣の権限によって,各地方公共団体に対する指導,助言,援助の一環として作成,配付している,こういうわけでございます。
○石井(郁)委員 では,地方教育行政の組織及び運営に関する法律なんですが,今お述べになられた点を見ても,指導,助言できると書いている項目はございます。しかし,こういう教材,道徳教育の教材,戦後初めてですよ,こんなものが出てきたのは。これができるというのは,どこからこれは出てくるんでしょうか。どうにも読めないですよ。
それで,これは,地方教育行政法のコメンタールは,ちょうどたまたま見ましたら遠山大臣が助成局長の時代につくられたということがありましたから,もうよく御存じのはずだと思いますが,これをずっと読んでみましても,要するに,都道府県,市町村の教育に関する事務の適正な処理のために指導,助言ができるということであって,文科省自身がこういうものを発行できるというのはどこから出てくるんでしょう。どうしても読めない。これはもう一度お願いします。
○河村副大臣 今御指摘の件でございますが,この法律48条の第2項のところに,「前項の指導,助言又は援助を例示すると,おおむね次のとおりである。」とありまして,「学校の組織編制,教育課程,学習指導,生徒指導,職業指導,教科書その他の教材の取扱いその他学校運営に関し,指導及び助言を与えること。」と。これは2ですが,さらに2項の9項に,「教育及び教育行政に関する資料,手引書等を作成し,利用に供すること。」こうなっておるわけでございまして,これに基づいて作成,配付している,こういうことでございます。
○石井(郁)委員 それで,もう一点重大なのは,先ほど冒頭に大臣がお述べになりましたように,やはり道徳教育の内容とかあるいは道徳的価値だとか,そういうことについてこの心のノートはいわば書いてあるわけでしょう。つまり,教育内容というものに,道徳教育の内容について触れているわけですから,そのことがやはり重大なんですね。
これは,きょう議論をする時間も十分ありませんが,有名な旭川学力テストの最高裁判決というのがございますけれども,1976年ですが,教育というのは本来人間の内面的価値に関する文化的営みだということで,教育内容に対する国家的介入についてはできるだけ抑制的でなければいけないということがあると思うんです。その精神は私は教育基本法にもあると思いますけれども。
そういう点からすると,この地方教育行政法の法律の今読み上げられたその部分をもって,指導,助言ということをもってこういうものがつくれるというのは,これは本当に文科省の極めて重大な逸脱行為だというふうに私は考えているということを申し上げておきます。だから,道徳教育の教材を国が作成して配付する,これはもう教育内容への介入そのものですよ。ということで,これは私の見解ということになるかもしれませんけれども,申し上げておきます。
そこで,もう一点の問題なんですが,今申し上げましたように,要するに道徳的価値について触れているということなんです。そうしますと,こういう問題というのはまさに個人の内面に関する問題であり,憲法十九条で言う思想,良心の自由,これを侵してはならないという部分に深くかかわる問題ではないのですか。この憲法の思想,良心の自由とのかかわりを大臣はどのように御認識されていらっしゃるのか,伺っておきたいと思います。
○遠山国務大臣 憲法19条の思想及び良心の自由,これはもう当然の権利であるわけでございます。
では,学校における道徳教育をどうやってやっていくかということでございますが,道徳教育につきましては,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づいて行っているわけでございます。その根本にはもちろん憲法があるわけでございます。学習指導要領第一章総則の中に掲げてございますけれども,「人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,個性豊かな文化の創造と民主的な社会及び国家の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献し未来を拓く主体性のある日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。」ということが明確にうたわれているわけでございます。
学校におきましては,このような目標の実現を目指して,道徳の時間を初めとして,各教科,特別活動あるいは総合的な学習の時間などを用いて,学校の教育活動全体を通じて,児童生徒の道徳性を育成するための道徳教育を行うこととしているわけでございます。このようにして行われる道徳教育といいますものは,児童生徒一人一人の道徳的な心情,判断力あるいは実践意欲と態度などについて,教育指導上の課題として指導をするものであります。
○石井(郁)委員 私は,やはり今の大臣の御答弁では,憲法のこの条項について,これは権利であると一言で言われましたけれども,国として,これは侵してはならないというのは,だれが侵してはならないかというと,国がやってはいけないんですよ。そのことをはっきり認識していただかなくちゃいけないというふうに思いますし,やはり内心の自由という問題についての,文科省のこの問題での本当にきちんとした見解,見識が問われるということを申し上げて,きょうは,次にどうしても重大な問題がありますので伺うわけです。
具体の問題として,これは5月3日の新聞で報道されましたけれども,社会科の評価の項目のところに,通知表に,「我が国の歴史や伝統を大切にし国を愛する心情をもつとともに,平和を願う世界の中の日本人としての自覚をもとうとする」という項目が入りました。昨年から入っているということが報じられて,既に全国11府県,172校でこのような通知表が使われているということが報道されました。
この評価の問題でお聞きをしたいわけですけれども,福岡市の例では,この評価のあり方をめぐって,福岡県の弁護士会の人権擁護委員会に人権侵犯への救済申し立てを在日韓国人の方がしていらっしゃる,市民団体の方がしていらっしゃるわけであります。それに対して弁護士会は,市の教育委員会に勧告書を出しております。
それで,このことについてどうかというのではなくて,私が大臣に伺いたいのは,この通知表にあるように,国を愛する心情とか日本人としての自覚だとか,こういう問題というのは,まさに個人の内心の問題ではないのか,そして,思想,良心にかかわる問題だということについてどのようにお考えでしょうか。もう時間がありませんので,少し簡潔にお願いします。
○遠山国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように,学校教育は,憲法,教育基本法などに基づいて,平和的な国家社会の形成者を育成することを一つの目的として行われておりまして,その中において子供たちが自国を愛する心をはぐくむようにすることは極めて大切なことだと考えます。このため,学校におきましては,子供たちの発達段階に応じて,日本の国土や歴史に対する理解を深めて,国民としての自覚や自国を愛する態度が育成されるようにしているところであります。
通知表は,それぞれの学校の判断で様式や内容などを工夫して作成されているものであります。各学校の教育課程といいますものは,学習指導要領の趣旨を踏まえて編成,実施されるものでありますので,「国を愛する心情を育てるようにする。」など,学習指導要領で示された目標といいますものが通知表の項目に使われることは考えられるところでございます。
その場合ですけれども,子供たちが国を愛する心情を育てるようにするということにつきましては,平和的な国家社会の形成者として必要な資質を身につけることを目的としておりまして,教育指導上の課題として指導するものであるというふうに考えているところでございます。
国を愛する心,私は,子供たちにとって一番大事な家族を愛する,そして町を愛する,学校を好きになる,そして郷土を愛する,そういった心情からつながっていく国を愛する心,これを子供たちにぜひとも持ってもらいたい,そのように考えているところでございます。
○石井(郁)委員 文科省がそういうお立場だということをおっしゃるわけですが,私がお聞きしたのは,これは本当に憲法上の思想,良心の自由にかかわる,内心の自由にかかわる問題だという認識をお持ちなのかどうかということをお尋ねしたのですが,その明確なお答えはありませんでした。
それでは,これは通知表にあるわけですから,通知表はいろいろな評価の仕方があると思いますが,この福岡市の場合は3段階の評価です。ABCとなっております。A,十分に満足できると判断された,B,おおむね満足できると判断される,C,努力を要すると判断される,こうなるわけですよ。一体,国を愛する心情とか日本人としての自覚というのは,ABCのこういう段階,ランクで評価はできるのでしょうか。評価はできるのかどうかという問題と,では,評価できるときにはどういう客観的な基準でできるのでしょうか。明確にお答えください。
○河村副大臣 通知表については,先生,今さら申し上げるまでもないことでありますが,子供たちの学習状況が評価される,そして指導の改善にそれを生かしていく,そして,適宜,子供自身や保護者にも,また学習状況を伝えて学習を励ますといったような,そうした観点があるわけでございまして,各学校において工夫して作成をされております。
このように,これは法令に基づく文書ではないという通知表の性格からいたしましても,個々の内容については各学校がその責任において適切に判断すべき事柄,こうなっておるところでございます。
そこで,今御指摘のありました「国を愛する心情を育てるようにする。」といった学習指導要領の目標の実現状況を通知表において評価する,こういうことに対してでありますけれども,これによって子供の思想とか心情とか,そのものを評価の対象にするわけではなくて,学習指導要領の目標に照らしてみても,社会的事象への関心とか意欲とか態度,これがどういうふうになっているかということを評価する,いわゆる学習状況について評価をするんだということであるわけでございます。
例えて言いますと,歴史上の主な事象にかかわる人物の動きや文化遺産に興味を持つ,あるいは意欲的に調べたか,あるいは考えながらそれを追いかけておるかとか,自分たちの生活の歴史的な背景についても関心を深めておるだろうかとか,こういうようなことについて,子供一人一人の多様ないい点とか可能性とか,そういうものに着目して評価が行われる,これが通知表であるというふうに思っておるわけであります。
○石井(郁)委員 私も別に評価一般を否定するものではありません。それから,知識とか理解とか,あるいはそういう関心だとか,事柄によってはそういう部分の評価はあるでしょう。しかし,今私が問題にしているのは,極めて個人の内面にかかわる,あるいは精神的な価値あるいは道徳的な価値にかかわる心情だとか自覚というのは,あなたはややできている,まだ努力が足りません,こんなことはできるのかと。これは昨年から入ったんですよ,新しく。文科省の新学習指導要領のもとで指導要録が変えられて,こういうことが入ってきているんです。これは今現場を大変混乱させています。
福岡市で聞きますと,これは困ると。これが実は現場におりてきているんですね,後で申し上げますけれども。それで,この通知表ではできないということで,先生方,いろいろ工夫や努力をされている。無理やり評価しているとか,この項目を適当に解釈してやろうだとかというようなことがいろいろ起きています。
そこで,その最たる矛盾は,日本の今の子供たち全体,学校,国民に対してこういう評価の押しつけはしちゃいけないというふうに私は思っていますが,今現実に起きている問題は,在日韓国人,コリアンの方々の問題なんですよ。福岡市もそこから問題が出発いたしました。これは,ある在日韓国人の方のおいが六年生で,Bという評価をもらって帰ってきた,これはどうしてBなんだと。Bだったら,おおむね満足という段階でしかないということで,では何を話し合ったらいいのか,どういう努力をしたらいいのかということになったわけです。
私は,だから,こういう評価というのは,日本の子供たちも大変問題なんだけれども,外国人の子供たち,いるでしょう。外国籍の子供たち,いるでしょう。しかもその中には,韓国人,中国人,多くいらっしゃる。日本人としての自覚ということをその子供たちに評価するんですか。しているんですよ。この実態を,文部大臣,どのようにお考えですか。
○遠山国務大臣 外国の子供たちも日本の学校に入ってくれて,そして日本の学習指導要領のもとで,あるいは日本の指導体制のもとで学んでもらうということは大変いいことだと思いますね。そういう学校で展開される日本の教育課程につきましては,教育基本法を初めとするさまざまな法令,あるいは学習指導要領などの基準に基づいて編成,実施されているわけでございまして,それは,日本の学校ということで,国民の育成ということを期して行われるのは当然であるわけでございます。
そういう学校に外国の子供たちが入ってきたときにどうするかということでございますけれども,私は,一般的には,日本の子供たちとそういう場において差別をするのはどうかなと思います。日本の子供たちと同じように指導を行うことを基本としておりますけれども,ただ,私は,できるだけ現場では配慮をしてもらいたいなという点はございます。日本のことについて日本の子供たちと同様に教えるというのは大前提でございますけれども,例えば韓国の子供たちであれば,韓国の歴史や文化などもあわせて紹介するといったような配慮も必要ではなかろうかと思われるわけでございます。そのように考えております。
○石井(郁)委員 私は大変問題だと思います。現実に,国を愛するというのは,日本の国を愛するということを教えようとしている。日本人としての自覚を持ちなさいということを教えている。日本の公教育でそういうことを,どういう内容でか,私は教えていけないとまでは言いません。だけれども,韓国人の子供たちにそのことを評価までするということはできるんだろうか。民族とか国とか文化だとか,あるいはその人たちが今生きている,特に在日コリアンの方々は今なお日本で,本当にいろいろな差別を感じていらっしゃるとか,通称名で生きる上でも大変困難を抱えていらっしゃるとか,たくさんの問題を抱えていらっしゃるんですよ。そういう方々に対してABCという評価をつけるというのは,私は,余りにも無神経だ,人権感覚がここにはさらさら見られないという意味では,これは大変問題だと思っています。
そして,先ほど来,通知表は学校で自主的に作成されるものというお話でしたけれども,福岡の場合は校長会でつくっているんですよ,モデルを。それを学校で使いなさいということを突然と去年押しつけられてきた。しかも,校長会がつくったこの通知表を使えば市の教育委員会は予算を措置しますと。それを使わなければ自分のところで予算を捻出しなきゃいけない。こういうことまでしてやっている。こういうパターンはまさに押しつけそのものでしょう。教育行政は全く,本当に不公正そのものじゃないですか。異常だと思いませんか。
私は,大きな問題として,道徳的な価値とか国を愛するという問題は,本当にこれは中身が大変重要ですよ。私も国を愛する気持ちでは人後に落ちないと思っています。そういう子供たちもいっぱいいて,では,あなたはAです,Bです,Cですと,どうやって,これはだれが評価できるんですか。どんな基準で評価できるんですか。しかも,それが外国人だ。こういうことがまかり通っていいはずはありません。
私は,こういうような問題について,文科省が,指導要録をつくり,あるいは学習指導要領のもとでこれを押しつけているというか,先ほどの心のノートじゃないですけれども,活用状況も含めて文科省がこれを推進しているわけですから,その点でのきちんとした見識を今示すべきだというふうに思います。それこそが本当の指導助言だというふうに思いますが,いかがですか。
○河村副大臣 在日の韓国の方も一緒に学ぶ教室がある,大変結構なことだし,それについては先ほど大臣からも,そういうことについての配慮を十分すべきであろう,こう御指摘がありました。私も全くそういう思いでございます。
私もある友人から,アメリカで,日本人が向こうへ行ったとき一緒に教室に入ったときに,建国記念日にぶち当たったときなんかに,そうか,おまえは日本人か,ではおまえは日本の国旗を持ってきなさい,こう言われたというんですね。
そういう配慮がちゃんとしてあるということでありますから,私は,韓国の方で,自分の国に誇りを持っておられる,家庭で教育をされてそういう思いがある方については,教育現場はそういう配慮をすべきであって,日本人と同じように日本の国を愛しなさいということで評価をするということではなくて,韓国の歴史とかなんとかに対する思いがどうであるかということまでやはり配慮すべきであろう,こう思います。石井委員が言われるように,日本人と同じようにそれを評価するということではなくて,むしろ,そういうことに対する思いといいますか自覚をどういうふうに持っているかということで評価をすべきことであろう,こう思っております。
なかなか今の子供たちの愛国心の深さをそこではかるなんということは現実にできないわけでありますから,そういうことを評価するものではない,こう思っておるわけでございまして,みずからの歴史とか文化とかをどういうふうに学びとろうとしているかとか,あるいはそういうものの図表をどういうふうに活用しているかとか,歴史に対しては,地図なんかを広げてどういうふうな勉強をしようとしているか,あるいは国際社会における日本の役割についてどう思っているかとか,そういうようなことの取り組みを評価すべきことであろう,このように理解をしているわけであります。
○石井(郁)委員 私は,先週,ウリ・サフェの会をつくっていらっしゃる方々とお会いしてきたんです。「在日」の人権と生活を共に創造する会という会をつくっていらっしゃって,通知表にこういう項目を載せるということは削除してほしいということで,今声を上げていらっしゃるわけです。私は,それは真っ当な意見だというふうに思います。
先ほど来ずっと述べましたように,やはりこれは本当に内心の自由にかかわる問題ですよ。しかも,評価がどうやってできるのか。できないですよ。評価する権限なんてありません。そういう点でも,こういうことを現場に押しつけている,この実態について,そして今こんな混乱を起こしているということについて,これをこのまま認めるわけにいかないという立場で文科省がそれこそきちんと指導助言すべきだということを強く申し上げます。
私はこの点で,今出されている新学習指導要領ももっと根本的にいろいろ問題にしたいと思うんですが,教育の目的に照らして,今行われていることは国際的に見ても本当におかしいですよ。
私,子どもの権利条約を一つ申し上げたいと思うんですが,二十九条,締約国は児童の教育が次のことを目指すべきだということで,四点ございますが,一つは,子供の人格を本当に最大限まで伸ばす。二つ目には,人権とか基本的自由という問題の尊重が大事なんだと。三つ目にどう言っているかというと,「児童の父母,児童の文化的同一性,言語及び価値観,児童の居住国及び出身国の国民的価値観並びに自己の文明と異なる文明に対する尊重を育成すること。」と。
だから,日本の子供たちにもそういう立場で教育するけれども,日本で学んでいる外国籍の子供たちにもそういうことを保障しなきゃいけないわけでしょう。私は本当に,この子どもの権利条約の,これが教育の目的ですから,やはりこのことにきちっと立った文部科学省の行政をやってほしいというふうに強く申し上げたいと思います。
きょう,心のノートの問題や今起きている通知表の問題を取り上げました。この心のノートについても,私は,きょうは本当にさわりだけになっているわけですけれども,内容に触れることはしませんでした。しかし,まだ時間がありますのでこの内容について言いますと,これは,私たち,委員の皆さんも本当にごらんになったらいいと思います。私も改めて見て,小学校の一年生,二年生なんですけれども,「むねを はって いこう」なんですよ。「むねを はって いこう」,それから「気もちの いい 一日」,「がんばってるね!」,そして,みんな「にこにこ して」。
それは,にこにこして,頑張って,気持ちよくいけたらいいですが,これは子供の今の実態,気持ちに合っているんだろうかということを私は本当に思います。だって,不登校の子供たちが十三万人だ,ふえ続けている。小学校一年生で学校へ行けないという子供たちがいるじゃないですか。その子供たちは,もうここからついていけませんよ。
だから,私は,こういう子供の気持ちのとらえ方で本当に心の教育なんかできるんだろうかというふうに思いますし,さまざまな問題がここにはございます。やはり特定の思想を押しつけるような道徳教育はしちゃいけないというふうに思います。この辺は内容に入りますので,今後議論したいと思いますけれども,今福岡の例で申し上げましたようなちょっと異常な事態,混乱の事態が起きている,これはぜひきちっと正してほしいということをきょう重ねて申し上げまして,質問を終わります。

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