2003年5月18日(日)「しんぶん赤旗」

育英会廃止法案を可決

参院本会議

畑野議員「学生に打撃」


 日本育英会を廃止する日本学生支援機構法案が十六日の参院本会議で採決され、与党三党と民主、社民などの賛成多数で可決、衆院に送付されました。日本共産党は反対しました。

 十五日におこなわれた文教科学委員会で反対討論にたった日本共産党の畑野君枝議員は、「国民の教育を受ける権利を保障する事業である奨学金事業を効率化や経費削減を優先する独立行政法人に委ねることは極めて問題」と指摘しました。

 また、貸与を受ける学生が一定の保証料を支払う機関保証制度の導入は、長期にわたる奨学金返還の教育「ローン」化を進めると批判。「返還免除職制度」の廃止や高校奨学金事業を都道府県に移管することは、学生に大きな打撃となると主張しました。

参院 文教科学委員会会議録 12号 

平成15年05月15日

○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 独立行政法人日本学生支援機構法案について質問をいたします。
 奨学金を守ろうネットワークの学生の皆さんに寄せられた声ですが、奨学金は命綱、月五万円稼いで、奨学金四万七千円をもらって、自分の生活費と学費二十五万円くらいを出そうとすると実は足が出まくっているのですが、それでも必要です。ほかの人でもバイトしっ放しで暇がない人もたくさんいます。お金を返すために必ず就職しないと借金がどんどん膨らんでいくわけだから、大学が資格学校や就職のための学校になって学問ができなくなり、最高学府の学びの危機になる気がします。学生に勉強させないことは日本の危機にもつながっている、こういう声が寄せられております。
 また、これは今年出されました東京私大教連の二〇〇二年度私立大学新入生の家計負担調査でございますが、そこに父母の声として、三十数年前の私大授業料は十四万円、年間当たり、だったと記憶しています。現在はそれの九から十倍です。初任給は当時四万円で、現在二十万円として五倍の伸び方です。つまり、私大を含めた教育費が余りにも高くなり過ぎており、生活に犠牲を強いられている人が多数いるのが現況だと思います。また、ほかの親の方は、高校のときに外国に留学をしていたが、外国の方がすべてにおいて生活しやすい環境にある、こういう声を寄せられております。
 先日、五月十三日の参考人質疑でも出されました先進諸国と日本のGDPに対する高等教育費の公財政支出の割合について、数値をお示しください。

○政府参考人(遠藤純一郎君) OECDの調査によりますと、一九九九年現在で我が国の高等教育費に対する公財政支出の国内総生産、GDPに対する割合でございますが、〇・五%ということでございます。

○畑野君枝君 ほかの国は。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 他の先進諸国でございますけれども、アメリカで一・一%、イギリスで〇・八%、フランスで一・〇%、ドイツで一・〇%と、こうなっておりまして、これにつきましては、GDPに対する公財政支出の割合や教育制度の相違など国により様々な条件が異なるということもございまして、単純な比較は困難な面があるのではないかというような注釈もできるかと思います。

○畑野君枝君 いろいろお話がありましたけれども、先進諸国に比べても後れている状況だというふうにお話があったと思います。
 大臣に伺いたいのですが、日本が更に高等教育費の予算を増額する、併せて奨学金の事業も前進させる、予算の前進を進めるべきだというふうに思いますが、いかがですか。

○国務大臣(遠山敦子君) 国公私立大学を始めといたします高等教育機関といいますものは我が国の将来にとりまして極めて重要であるわけでございます。優れた人材の育成、それからまた学術研究の先端的な分野をどんどん伸ばしていく、あるいは学問を継承していく、いろんな意味からおきまして、知の世紀を支えてもらうのに高等教育機関がしっかりしてもらわなくてはならないわけでございますが、今御紹介しましたように、我が国の公財政支出における高等教育機関への投資の割合というのは決して高くないわけでございます。もちろん、局長も言いましたように、単純な比較というのはもちろんいろんな意味で難しいわけではございますけれども、しかし、日本の将来を考えた上で、私としましても、日本の発展に欠くことのできない先行投資をすべき分野の非常に大事なものとして、義務教育しかり、それから高等教育しかりというふうに考えているわけでございまして、今後とも、私どもといたしましても最善を尽くしてこの面の充実に尽くしてまいらねばならないというふうに考えております。

○畑野君枝君 先進諸国、今言われた国々も給費制の奨学制度を含めて取っているわけですから、是非そういう方向を含めて本当に検討を進めていただきたいというふうに思うわけでございます。
 そこで、今、大変な不況ということでございますが、高校生の奨学金についてまず伺いたいというふうに思います。
 これは二〇〇二年の三月の神奈川新聞の報道ですが、学びの場にも不況の影ということで、県内小中学生の就学援助受給者が急増しているという話がございました。例えば中学三年生の修学旅行に対する就学援助受給者も増えると、だから、高校に行くのは本当に大変という家庭がふえているわけでございます。
 この点では、地方移管という話があるわけですが、現在の失業や倒産という厳しい状況の中で、緊急採用奨学金が作られてまいりました。これは今後どういうふうになるのか、大変心配の声があるわけですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 今回、高等学校の奨学金は都道府県に移管をされると、こういうことでございまして、これに伴いまして、緊急採用奨学金のうち高校生の分につきましても都道府県の方に移管をするということを考えておりまして、その際、高校生の採用実績に相当する分の財源に関しましては、高校奨学金と併せまして都道府県の方で実施が可能となるよう、そういう財源措置を講ずるということを考えておる次第でございます。

○畑野君枝君 地方で引き続きこの制度は進められるということですか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) そういうことで移管をしたいと、こう考えております。

○畑野君枝君 法案の中に、機構は当分の間高等学校の学資金に係る業務を行うということで、この間の質疑でもありましたけれども、十年から十五年という予算措置だという話がございました、二千億円の、国のですね。それとの関係で、その進めている十年、十五年の間に例えばいろいろなニーズの変化、もっと充実してほしいですとか、あるいは地方の制度が後退するというようなことが起きることも懸念される。そういった問題について、国としてはどういうふうに対応されるおつもりですか。

○副大臣(河村建夫君) 畑野委員御指摘のように、一定期間、十年から十五年にわたっては、まず都道府県に対して国庫から必要な資金として二千億交付する方向で今検討、財政当局とも詰めておるような状況でございまして、今御指摘のように、地方財政も逼迫して非常に各自治体が困難な状況にあったときにこの高校奨学事業の実施が困難になるんではないかと、こういうことでありますが、今の交付金、いわゆる交付金をきちっとやるということと、これは高校奨学金事業実施のための交付金、ひも付きでございますから、これはほかに回るということは考えられないわけでございます。そういうことで、国庫からの交付金と、奨学生もその返還金がございますので、そういうことで、事業規模の維持が可能であるということで、地方財政が逼迫いたしてもこの事業が困難になるということは考えにくいわけであります。

○畑野君枝君 しかし、実際、本当に高校生は今就職難が大変だというのも報道、調査も出ておりますけれども、そういう点では各自治体が大変苦慮して、そして親心としていろいろな厚い制度の配慮を進めているわけですね。
 ちょっと伺いたいんですけれども、育英奨学金とは別に高等学校奨学金事業補助というのが、国でおやりになっていますね。これは今後どういうふうに進めていくおつもりですか。

○政府参考人(矢野重典君) 御指摘の高等学校奨学事業費補助でございますが、これは、経済的理由によって高等学校等での修学が困難な者に奨学金を貸与する、そういう都道府県に対しまして、それに必要な経費の一部を補助、補助率は二分の一でございますが、それを補助するものでございます。
 この事業は日本育英会高校奨学金事業とは別途実施しているものでございまして、都道府県において、経済的に困窮している高校生が安んじて奨学金の貸与を受けることができるよう、引き続き適切に対応していく必要があると考えております。
 我が省といたしましては、厳しい財政事情の下ではございますけれども、今後とも本補助制度に関する必要な予算措置を講じまして、都道府県における経済的に困窮している高校生を対象とする奨学金事業の充実に努めてまいりたい、かように考えております。

○畑野君枝君 例えば、神奈川県の例ですけれども、二〇〇二年度、そういうことで就学援助を求める小中学生が増えたという新聞報道を御紹介いたしましたけれども、その二〇〇二年に県独自で高等学校特別奨学金ということで、三百人の枠で、免除要件は成績要件以外に、又は学力等の向上が認められる者というふうに緩和をした要件を付けまして、そして、そこに三百人の枠で募集をしたら千人を超す応募が殺到したと。それで、そういう県内の高校生の実態に親心としてこたえようということで議論して、二〇〇三年度は千九十人に枠を増やす、こういうことがされているわけです。
 でも、この返還免除に県が補てんした分は国の補助はないわけですよね。ですから、こういったことも国がやらないと、あるいは一部の補助だといったときに、県独自に、しかし高校生が実態大変だというときの支援というのは、私はこれからどんどん増えていく状況があるんじゃないかと。そういうときに、こういった国の補助の在り方をもっと厚くしていく必要があるんじゃないかというふうに思いますが、その点、いかがでしょうか。

○政府参考人(矢野重典君) この高等学校奨学事業の補助の条件といたしましては一定の基準があるわけでございまして、経済的理由により修学困難な低所得者といった者につきましてはその一定の基準があるわけでございますし、また貸与月額につきましてもこれは一定の考え方を持っているわけでございます。
 私どもは、そういう補助基準の下でこの補助事業を行っているわけでございますが、委員御指摘のように、各県におきましてはこうした補助基準を上回る、上回るというんでしょうか、それ以上の奨学金事業を実施している県があるわけでございます。それはそれとして、私どもとしてはある意味大変結構なことだと思うわけでございますけれども、そういう意味で、そこまで国として、国としてはやはり最低どうしてもここまではというところはきちんと国としての責任は負わなきゃなりませんが、それ以上のことにつきましては、それは県の判断と責任において是非積極的にやっていただきたい、そう思うわけでございます。

○畑野君枝君 だから、地方移管とおっしゃって、それ任せでいいのかということを私は問われているというふうに思っているんです。
 それで、今、返還免除制度の高校の問題についてもそういう補助はないという御答弁でしたけれども、今回、日本育英会奨学金の教育・研究職による返還免除制度を廃止するということでございます。この点についても学生の中から声がいろいろと寄せられております。
 新たに、在学中、特に優れた業績を上げた大学院生に対する返還免除制度ということでございますけれども、これは、その評価の公平性あるいはその規模というのがこれを機会に縮小されていくのではないか、返還免除制度について、そういう懸念があるわけですが、この点についてはいかがですか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 公平性ということでございますが、二つあると思います。
 一つは手続でございますけれども、手続につきましては、まず第一に機構が一定の基準を示しまして、各大学院がこれに基づき策定をした学内の推薦基準に照らしまして、学内で設けております選考委員会、ここで選考を行いまして候補者を機構に推薦し、機構で最終的に決めると、こういう手続になるわけでございますし、内容につきましては、優れた業績と、こうなっておりまして、そこの判断に当たりましては、当該大学院における教育研究活動や学外における活動の状況を多面的に評価できるよう配慮するということが必要と考えておりまして、具体的には修士論文や博士論文、あるいは授業科目の成績、特定の課題についての研究成果、学会における活動、国内外のコンクール等における評価といった複数の項目の総合評価によりまして免除者を決定するという方向で現在検討をしているということでございます。
 基準の策定に当たりましては、公平性の確保を図るとともに、それを学生に十分周知することが不可欠であると考えておりまして、このような観点から具体的な制度設計を行ってまいりたいと、こう考えております。
 それから、規模についてでございますけれども、厳しい財政状況の中で、限られた財源の効果的な活用を図りつつ、意欲と能力のある者に対しまして広く奨学金を貸与をするということを基本とする中で、優れた学生に対する大学院進学ということについてのインセンティブを与えるためにはどの程度の人を対象にすることが最も効率的、効果的だという観点等々、いろんなことを踏まえまして、具体的に今後検討を進めてまいるということにしておるわけでございます。

○畑野君枝君 基準についても規模についてもこれからだということでは、本当に議論にならないわけですね。そして、大学間のいろいろな問題もどうするのかということも出てくるでしょうし、公平性といいますけれども、規模がどうなるのかもこれからという本当に不透明な状況なわけでございます。
 これは、東大で日本育英会奨学金返還説明会のときに院生から出された声ですけれども、「近年の学力低下、理科離れなどを考えると、いかに研究職に興味を持たせるかということが必要になるのではないだろうか。その際、金銭的な問題で希望がかなえられない場合もあり得る。」、あるいは、「育英会のおかげで研究に専念することができました。」、「資金面で研究者への道をあきらめざるを得なくなることも多くなるのではないでしょうか。これにより優秀な研究者が育たず、日本の技術力が低下するかもしれません。「お金がないと学べない」社会では科学の発展は望めないのではないでしょうか。」、大変道が狭められていくということへの危惧が出されているわけです。
 私は、返還免除制度については、以前は特別貸与制などもあったわけですけれども、またドイツなどでは給付制と貸与制をミックスしてやるということなど含めて、今の日本の状況の中でも、本当に学べるようにしていく、返還免除制度も拡充してこそ必要なのではないかというふうに思いますが、いかがですか。

○副大臣(河村建夫君) 新しい返還免除制度は、大学院において専攻する学問分野での顕著な成績や世界的レベルの発見、発明、そうしたもの、あるいは文化、スポーツ、芸術に目覚ましい活躍ということで、優れた業績を評価して卒業時に返還を免除するということになるわけでありまして、そういう意味では、あらゆる分野で活躍する中核的人材が養成できる。これまでは、どの職に就くかということでこれが貸与になっていたことを、今回新たにこういう発想に変えたわけでございます。
 しかし、これによって大学院進学のインセンティブが更に付くであろうと。優秀な人材が、優秀で頑張ればそういうふうになるんだということが大きなインセンティブになるであろう。それから、大学院生をそういう意味では質的向上に寄与するだろうということ。そして、特定の職でなければいかぬということが外れますので、研究者の流動性が確保できるというような、そういうようなことが期待をされて新しく制度をこういう形で導入するわけでございます。
 そういう意味で、今から、具体的な制度設計を現在検討をいたしておるところでございますが、将来を担う優秀な人材といいますか中核的人材、これをしっかり確保するという観点からいけば、御指摘のように、この免除制度というものをきちっと維持していくということが私は大事だと思っております。
 財政当局、予算折衝等においては、これまで三割近い方々が免除制度を受けていたという実績がございまして、優秀な人材というのは三割もおるのかと、せいぜい一割じゃないかというような指摘も実は財務当局から来ておるというような話も私は伺っておるのでありますが、それでは今御指摘のように本当に人材をつくっていく上で狭められるという懸念もございますので、ここはひとつ我々頑張りどころだと、こういうふうに考えておるところであります。

○畑野君枝君 欧米では、スカラシップ、つまり給料として渡すということなわけですよね、奨学金というのは。
 私は、知人にイタリアに詳しい人がいまして、聞きましたら、本当にお金をいただくので一生懸命、それこそイタリアの学生は勉強すると。先にもらったからサボるなんてことはなくて、もういい成績で本当に卒業しなくちゃいけないということで、そういうことで卒業後の心配なくやっている。そういう人たちが育ってきている外国、比べてどうなのかという点では、本当に維持するどころか、これはもう本当に前進させていく、拡充させていくということが必要であるというふうに申し上げておきたいというふうに思います。
 さて、私、次に機関保証制度の問題について伺います。
 今回新たに出されているわけでございます。この点につきまして、これまでの連帯保証人、保証人制度と、今回の保証料を支払って機関保証制度を行う、このそれぞれの仕組みとそれぞれの関連について説明を受けたいんです。つまり、今までどおり連帯保証人、保証人制度でいけるのか、それとも、そこから外れた場合の機関保証制度という関係になるのか、その点についてお示しください。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 従来の連帯保証人制度でございますけれども、これは返還の確実性を高めるという観点から、奨学金の貸与に当たり、従来、日本育英会におきまして連帯保証人と保証人、連帯保証人は大体親、それから保証人は親戚というのが多いわけでございますけれども、そういう人的保証を求めてきたということでございます。
 今回導入する予定の機関保証制度につきましては、連帯保証人や保証人の確保が困難な学生でありましても、保証機関に一定の保証料を支払うことによりまして、自らの意思と責任において奨学金の貸与を受けるということが可能となる制度であると、こう位置付けております。
 この人的な保証と機関保証につきましては、学生の便宜に資するため、どちらを選択することも、どちらかを選択するという制度にしてございまして、どちらを選択するかは学生の判断にゆだねると、こういうことにしておる次第でございます。

○畑野君枝君 この人的保証制度、連帯保証人と保証人の制度、希望をしてそれは駄目だという、そのような基準が変わるということはあるんですか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) いや、それはございません。それでやりたいと言えば、そういうことでやらせていただくということでございます。

○畑野君枝君 新しい機構の中で回収に当たっての督促という点では、試行的に育英会でも滞納者へのサービサーが外部委託で行われておりますが、これは新機構でも行うという考えですか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 回収をきちんとするという観点で、日本育英会におきましては、平成十三年度は試行ということでございますが、十四年度からは本格的に回収についてのノウハウを有する法務大臣の許可を受けた正規の債権回収会社、いわゆるサービサーに電話での請求業務を委託して行っておるわけでございます。
 具体的には、電話で滞納者へ返還の督促をする、あるいは口座振替にまだ入っていない人に口座振替に入ってくださいという加入依頼をするといったようなことをしておりまして、これによりまして、それまでは電話での返還督促といいましても勤務時間中という、日中しかやっていなかったんですけれども、こういう会社に、サービサーにお願いするということで、夜間や休日における請求が可能になったということでかなり効果は上がってきておるわけでございまして、日本学生支援機構移行後におきましても、これらの電話請求等に関する外部委託を推進していくということにしておるわけでございます。

○畑野君枝君 この間、この委員会で質問をしたことがありますけれども、夜、突然掛かってきてびっくりしたという学生の苦情もありまして、それはやはり奨学事業というのは教育事業ですから、きちっとこれはもうサービサーを含めて、学生への親切丁寧な対応をされるということになりますか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 返還は学生も卒業して就職してからということでございますから、日中働いているという方のところに電話をしてもだれもいないと。したがって、電話での督促が機能していなかったということで、仕事を終わって帰って、余りお疲れになっているときには大変申し訳ないんですけれども、帰ってきたところで返してくださいという電話での督促をすると、こういう形で行っておるわけでございます。

○畑野君枝君 私は、これはやはり借りていた機関が学生として、そしてそれを返していくと。今の融資制度の中で、きちっとその意義を含めて丁寧な対応をするべきだということを求めておきたいというふうに思います。
 そして、機関保証制度に基づいて新しい法人が代位弁済請求を行うというふうにしておりますけれども、保証機関として公益法人の話がこの間ございました。具体的にどういうふうにするおつもりですか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) この奨学金事業、教育施策の一環として行うわけでございますので、できるだけそういう趣旨に沿ったような形で制度を作っていきたいと、こう思っておりまして、この機関保証制度の実施主体、これにつきましては、業務利益を見込まない、あるいは主務官庁である文部科学省の監督の下で継続的、安定的に業務を行うことが可能であるという点も踏まえまして、公益法人でやることが適当ではないかと。しかも、そのコストということを考えますと、既存の法人を活用して、できるだけ安い保証料でサービスを提供するということが可能になるようにと、こう考えておる次第でございます。

○畑野君枝君 保証料は、何か具体的に比較検討できるようなものは考えているんですか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 保証料につきましては、これもやはりできるだけ安くという基本的な考え方があるわけでございますけれども、この保証料の水準につきましては現在検討中でございまして、学生からの保証料の収入と代位弁済に必要な経費との収支のバランスが取れるということを基本としながら、学生の負担が過大とならないようにということに留意をして検討していきたいと、こう思っておるわけでございます。

○畑野君枝君 こういう問題も、具体的にどういうふうな学生の負担になるのかというのもお示しになれない。これは教育資金として、教育機関の教育事業としてやる奨学金なわけでしょう。
 もう一つ懸念されているのは、保証機関から代位弁済のための民間の信用情報機関に未来ある学生たちの情報が提供されるという問題です。この点についてはどのようにお考えですか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 新しい機関保証制度を導入するに当たりましては、個人信用情報機関を利用することを検討しておるわけでございますけれども、このことによりまして、学生に対する奨学金以外の各種ローンの過剰貸付け、多重債務への移行といった点を防止することが可能になるんじゃないかということも考えておりまして、消費者である学生の保護という面での利点もあると、こう考えております。
 さらに、個人信用情報機関につきましては、法規制などによりまして個人信用情報保護のための体制整備がなされていると承知しておりますけれども、保証機関から提供する情報の内容につきましては、機関保証制度の利用者が学生であるということを勘案しまして、教育的配慮の観点を踏まえまして更に検討を行うなど学生の個人信用情報の保護に万全を期してまいりたいと、こう考えておる次第でございます。

○畑野君枝君 多重債務を防ぐとおっしゃいましたけれども、ローンじゃないんですよ。それを同じように一律に考えているというところが問題じゃありませんか。具体的な話も全くされていない。本当に審議できない状況だと思うんです。
 私、最後に、独立行政法人化に伴って、まとめて伺いますけれども、これまでの繰上償還、いわゆる一括返還ですね、これがどうなるのか。報奨金については今後も従来どおりもらえるのか。それから二つ目に、返還猶予というのがございますが、これはどうなるのかということについて伺いたいと思います。

○政府参考人(遠藤純一郎君) その返還猶予の制度でございますけれども、育英会ではその奨学金の貸与を受けた者が卒業後上級学校に進学した場合、あるいは病気や災害等によりまして奨学金の返還が困難になった場合、さらには倒産、失業等の理由によって返還が困難となった場合にも返還を猶予する制度を設けてございますが、この制度につきましては、学生支援機構におきましても存続をさせていくということにしておるわけでございます。
 それから、繰上げ返還に係る報奨金制度でございますが、これは無利子の奨学金につきまして最終返還期日四年前までに一括して繰上げ返還した場合、繰上げ返還額の五%を報奨金として支払っているわけでございますけれども、この報奨金制度につきましては、地方公共団体での公租公課や電気代の公共料金の取扱いにおきましても廃止等の見直しが行われているということ、それから奨学金事業を行う財源として活用することにより奨学金事業の拡充が可能となること、本来、返還は計画的に返済していただくことが基本でございまして、繰上げ返還は健全債権の先取りとなるということなどから将来の執行に不安定要因を残すということも考えられるわけでございまして、現段階におきまして、その在り方につきまして廃止も含めて検討が必要ではないか、こう考えておる次第でございます。

○畑野君枝君 もう終わりますけれども、本当に聞けば聞くほど、もう大変な中身じゃありませんか。育英会創立以来の精神は、担保のある学生生徒より、担保のない学生生徒にこそ奨学金を提供しなければならない、こういうことで採算や効率と相入れないんですよ。
 そのことを厳しく指摘して、私の質問を終わります。

○委員長(大野つや子君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願いたいと思います。

○畑野君枝君 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人日本学生支援機構法案並びに独立行政法人海洋研究開発機構法案の両案について、反対討論を行います。
 日本学生支援機構法案の反対理由の第一は、特殊法人等整理合理化計画を受けて日本育英会を廃止し、他の学生支援業務と統合して新たな独立法人を設置するとしていますが、育英会を廃止すべき客観的な根拠は示されず、国民の教育を受ける権利を保障する事業である奨学金事業を効率化や経費削減を優先する独立行政法人にゆだねることは極めて問題だということであります。
 第二に、従来の連帯保証人制度のほかに、今回新たに機関保証制度を設け、貸与を受ける学生が一定の保証料を支払うこととしています。しかし、機関保証制度の導入で、奨学生の長期にわたる奨学金返済が教育ローン化へと進み、民間信用情報機関への個人情報の提供など新たな問題を生み出すことです。
 第三に、教育・研究職に就く大学院生の返還免除職制度が廃止され、優れた業績を上げた大学院生への卒業時の返還免除の導入がされることは、返還免除制度の大きな切下げであり、大学院生には大きな打撃となるものであります。
 第四に、高校奨学金事業を都道府県に移管するとしていますが、国としての事業がなくなるのは問題です。高校奨学金は、不況が進行する中、その希望者は急増しており、その充実が望まれています。今回、一定期間経過後は完全移管となり、国の責任放棄となることは明らかです。
 次に、海洋研究開発機構法案についてです。
 科学研究においては、研究とその評価には長い時間が必要です。中期目標による成功が必要条件とするならば、安易な評価による研究中断や研究テーマの萎縮をもたらし、科学研究の自由な発展を阻害するものとなり、また採算性が評価基準となれば産業に直結しない基礎研究が軽視されることになります。これまで築いてきた研究者と船員の一体的な協力関係も崩されかねないことなど、独立行政法人化にはなじみません。
 以上の理由から両案に反対を表明し、討論を終わります。

 
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