2003年5月21日(水)「しんぶん赤旗」
参院文教科学委員会は13日、日本育英会を廃止し独立行政法人とする日本学生支援機構法案(16日、参院本会議可決、衆院に送付)について参考人質疑を行いました。
林紀子議員は、日本の異常な高学費や奨学金が給費制でなく、しかも無利子貸与より有利子の奨学金が増えている現状をみれば、学生支援の水準は国際的に遅れているのではないかと質問しました。
奥島孝康氏(新たな学生支援機関の設立構想に関する検討会議座長)は、「日本の教育投資はアメリカや独仏に比べて非常に低く、日本の学費は高いなどの条件を全部考えると、日本が諸外国より恵まれているとは考えていない。ただ、奨学金については、貸与制であっても、利子は非常に低く、学ぶ意欲と能力があれば、ほとんどの学生が利用できる制度が作られている」とのべました。
林議員は、高校奨学金の都道府県移管について、日本育英会支部の職員の処遇や奨学金の回収業務についての地方の体制について質問しました。
横山洋吉氏(全国都道府県教育長協議会会長)は、「現在の育英会支部の職員をそのまま常勤職員として雇用するのは困難」とのべました。
平成十五年五月十三日(火曜日)
午前十時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 大野つや子君
理 事
仲道 俊哉君
橋本 聖子君
佐藤 泰介君
山本 香苗君
林 紀子君
委 員
有馬 朗人君
有村 治子君
大仁田 厚君
後藤 博子君
中曽根弘文君
岩本 司君
江本 孟紀君
神本美恵子君
山根 隆治君
草川 昭三君
畑野 君枝君
西岡 武夫君
山本 正和君
事務局側
常任委員会専門
員 巻端 俊兒君
参考人
新たな学生支援
機関の設立構想
に関する検討会
議座長
早稲田大学学事
顧問 奥島 孝康君
日本育英会評議
員
法政大学総長 清成 忠男君
全国都道府県教
育長協議会会長
東京都教育委員
会教育長 横山 洋吉君
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本日の会議に付した案件
○独立行政法人日本学生支援機構法案(内閣提出)
○独立行政法人海洋研究開発機構法案(内閣提出)
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○林紀子君 今日は三人の参考人の皆様、ありがとうございます。日本共産党の林紀子でございます。
私は、まず奥島参考人、清成参考人、お二人に伺いたいと思うんですけれども、それは、十八歳以上自立型社会ということはこの検討会議の報告にも随分強調されているわけですけれども、私は今まで、十八歳になりましたら諸外国の学生といいますのは親から独立して、そして自分で学校に通うんだというような話を聞いておりました。日本ではどうしてそういうふうになかなかならないのかなというふうに思っていたわけですが、今回のこの法案を論議するに当たりまして、いろいろ調べてみたり聞いてみたりということの中で、やはり日本では奨学金や授業料など、学生支援の水準というのが諸外国と比較して劣っているんじゃないかというふうに思うわけですね。
まず、非常に学費が高いと。また、奨学金につきましても、これは大学審などで給費制の導入という検討が言われてきたにもかかわらず貸与制であると。そして、これは無利子が根幹だということはさきのここの審議の中でも文部科学省は言っていたわけですけれども、しかし有利子の方がどんどん増えていると。こういうことになりますと、やはり親から独立して自分で生活をしながら学校に通うというのは到底無理なんじゃないかというふうに思うわけですね。
ですから、このように学費の問題でも奨学金の問題でもやはりもっと支援を強めていく、こういう方向になってこそ初めて十八歳以上自立型社会というのが生まれるんじゃないかと思いますが、その辺につきましてはどのようにお考えでしょうか。
○参考人(奥島孝康君) 基本的にお考えに私は反対ということではございません。おっしゃることはよく分かりますし、またほとんどの部分は賛成でありますが、ただ、私たちが考えております十八歳以上自立型社会というのは、奨学金の実態をよく見た上で私たちとしてはそれを考えているわけであります。例えばの話でありますけれども、今、大学へ進みたいという意欲と能力のある者にとって大学に進むことが困難であるというのは、経済事情によって困難であるということはほとんどあり得ないと私は考えております。
というぐらいに今は、例えばの話でありますけれども、この奨学金と、それからもう一つの国民生活金融公庫等の貸付け等を利用してやっていこうということであれば、例えば、私が田舎から出てきまして家から全く仕送りなしに東京で巣立った、大学を出た昭和三十四年から昭和三十八年の時代から考えてみれば、比べてみれば、比較の問題でありますけれども、私は全く仕送りなしで大学を、しかも昼間部を早稲田で出たわけでありますから、そのことを考えてみれば、今の奨学金の支給状況、あるいは何といいますか、審査状況を見ますと、まず意欲と能力がある者にとってはこれが取れないということはほとんどないというのが現実であります。
そういう中で、学生たちは給付であるとかあるいは無利子であるとかいうもののみを望んでおりまして、有利子の方には手を出そうとしないというのが非常に、何というか、顕著な傾向になってきているのが現実であります。
例えばの話でありますけれども、今、奨学金というのは、何も日本育英会の奨学金、これはもう圧倒的に、八十七万人に五千八百億円を出しているわけでありますから大変なことでありますけれども、しかしそれだけではなくて、各大学でも、清成先生が先ほど言われましたように、それぞれの大学で独自の奨学金というものを設けておりますし、また様々な外部の民間の団体が、あるいはロータリー等がいろんな形でもって奨学金を出しております。
そういう形でもって、今、意欲と能力のある者が経済的な事情によって大学へ本当に進めないのかということを尋ねてみると、私は、これはほとんどの者は工夫さえすれば私は大学に十分進んでいくことができるような今、世の中になってきているんだというふうに考えているわけであります。
そういう中で、今の奨学金でありますけれども、それが諸外国と比べて高いか安いかということになってきますと、奨学金が高いか安いかということなのか、あるいは、何といいますか、日本の教育投資というものが全体として多いのか少ないのかという方からむしろ考えていくべきではないかと。奨学金よりも公的な教育投資というものが、御存じのようにアメリカが日本と比べますと大方三倍近い教育投資を行っている。それは、GDP、つまり国内総生産高に対する比率でいいますと、アメリカが一・四、それから独仏が一・〇、それからイギリスが〇・八、日本が〇・五、パーセントでありますけれども、いずれも。つまり、独仏に比べても日本は公的な教育投資というものが半分であるという現実があります。
私は、そういう側面において、日本の教育投資というものが非常に低いために日本の科学技術創造立国への道というものが容易ならざる問題をはらんでいるというふうに考えておりますけれども、奨学制度の問題について申し上げますと、今そういった学校の教育制度というものが十分に整っているというふうには思われませんし、また、御存じのように、日本の高等教育は大方八割近くを私学が担っているということで、したがってその授業料が高いということにも結果としてはなるわけでありますけれども、そういう条件を全部考えてみて、外国と比べて日本が恵まれているというふうには決して考えてはおりません。
ただ、今の日本の現状の下において、学費が、例えば大学レベルにおいても、アメリカの恐らく二分の一、私学、私立大学でありますが、私立大学が高いといいながらアメリカの二分の一ぐらいであろう。それからまた、奨学金は貸与制でありますけれども、しかし御存じのように、この貸与の利率というのは、現在〇・四、三%でしたか、〇・三%、ちょっと、国民生活金融公庫の貸与、教育ローンというのが一・六%でありますが、奨学金の方は恐らく〇・五%以下でありまして、確かに有利子ではありますけれども、非常に低いところに抑えられておりまして、そういう意味では私は、今の学生たちは、奨学金をほとんどの者が意欲と能力があれば利用することができる状況を作り出しているというふうに思っております。
以上です。
○参考人(清成忠男君) 奨学金に関する事実認識という点では、今の御意見と全く同様でございます。
現実を見ておりましても、育英というよりも奨学という視点から、成績を問わず貸してもらえるならば国民生活金融公庫のローンの方がいいという選択も当然あり得るわけでありますし、有利子であっても低利でございますので、実際にはそんなに負担でもなかろうと。むしろ、日本の現在の財政事情ということを考えますと、財政資金の効率的運用ということからしますと、貸与制度というのを採用せざるを得ないのではないかというふうに思いますし、それから日本育英会の場合、やはり借りた側からしますと大変返しやすい制度である、返すに当たっての抵抗感というのは私はほとんどないように思います。
これは自分自身の体験から言っているわけでございますけれども、借りたときは大変有り難い、しかし返済は非常に容易だという、こういう状況にあるんですね。したがって、財政資金の効率的な活用という点では、現状で私は十分ではないかというように思っている次第でございます。
以上です。
○林紀子君 今お話しの中で、公的教育投資というのがアメリカは日本の三倍であるというお話も聞きまして、ここのところがもっと大きくなっていきましたら、学費の無償につきましても、それから奨学金の原資につきましても増えるのかなというふうに思った次第です。
次に、横山参考人にお伺いしたいのですが、先ほどの最初のお話の中で、私の認識といいますか、違っていたところがあるんですが、それは、育英会支部が廃止をされると、高校は都道府県に任されるので。今まで文部科学省の方からお話を事前にこの法案に当たって伺いましたら、そのときには、育英会の支部の職員というのはそこに根付いてずっとその仕事をしていてそこの状況もよく知っているわけだから、是非、都道府県のこれからそういう仕事をするところに、何というんでしょうか、就職というんでしょうか、もう一度そこの仕事を続けられるようにということで各都道府県に十分にお話をしておりますというふうに聞いていたわけですね。ですから、そのまま横滑りといいますか、そういう形になるのかなと思っておりましたけれども、実情は常勤は非常に困難だというお話を聞きました。
そうしますと、それはどうなるのかなと、どういう形であればその今までの経験も生かしながら横滑りができるのかどうかということが一つですね。
それから、それとも関連をするわけですが、交付金の貸付け二千億円、最初は、当初は二千億円で、何年かたったら、それが回収されたら順繰りに回っていくから、そこで一つの単位になって大丈夫なんだ、きちんと奨学金も回っていくようになるんだというお話も伺っていたんですけれども、それにはやはり返還というのがきちんとされないと回っていかなくなるわけですね。
その返還といいますのは、今でも、この前の委員会でも私質問させていただいたんですが、今、育英会の返還の割合が九八%まで行っているというお話で、それはすごい返還の割合なんだなと思ったんですが、現在の各都道府県、全部はお分かりにならないかもしれませんが、返還というのがどのくらいの割合になっていて、各都道府県ごとにその返還の業務というのをやっていくとなると、またそれはかなり大変な仕事量ではないかというふうに思うわけですね。その辺はどういうふうにしていったらいいとお考えなのかという、その二つの点について伺いたいと思います。
○参考人(横山洋吉君) まず、第一点目の育英会支部職員の件ですが、私どもはそのまま都道府県の職員に、常勤職員に雇用するつもりは全くございません、正直申し上げて。それはなぜかといいますと、ただ、四十七都道府県のうち、現在奨学金事業を全くやっていない団体が三団体ございます。ここははっきり申し上げてノウハウがないわけで、そうした団体がどういうふうに処遇するかは別です。ただ、教育長協議会として意見集約した段階では今申し上げたような方向性を確認しておりますので。
それで、実際、例えば東京都の例を言いますと、現実に奨学金事業というのをやっておりまして、したがって、貸付けから返還に至る、あるいは滞納整理に至るノウハウというのはあるわけでございます。そこへ、毎年のように定数削減といいますか行財政の改革をやっておりますので、とても、個々の団体の事情によりますが、現在の支部職員をそのまま常勤職員にするというのは非常に困難であるというのが実態でございます。
それから、業務量の増加ですが、実は、先ほど言った、例えば東京都の例で言いますと、東京都が独自に実施をしております単独事業の貸付対象の約五倍が育英会事業の貸付対象、したがって約五倍の貸付対象になるということで、したがってそれだけ業務量が確かに増えることは増えます。それから、返還につきましても、育英会の方が多分滞納率は高かったかと思います、滞納率ですね。したがって、その滞納の圧縮というのは、今後貸付業務を円滑にするためには必須の条件でございまして、そういった意味では、今回の育英会事業の都道府県移管に伴いまして相当の業務量の増は見込まれますし、それへの対応につきましても、文部科学省の方では財源措置としては交付税措置をしていただけるという話は伺っております。
○林紀子君 ありがとうございました。


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