2003年5月4日(日)「しんぶん赤旗」

海洋調査船の充実を

林議員 独立行政法人化で後退の危機

 林紀子議員は4月22日の参院文教科学委員会で、海洋研究開発機構法案について質問しました。

新機構は現在、特別認可法人である海洋科学技術センターを独立行政法人化するとともに、東京大学海洋研究所所有の2隻の船の運航を移管させるものです。

 林氏は、海洋科学研究者が「研究調査船が1隻でも多くなることを切に願っている」とのべていることを紹介し、新機構の設立で調査研究船が増えるのかと質問しました。

 遠山敦子文部科学相は「海洋研究というものをより推進していくことが必要」とのべたものの、河村建夫副大臣は「今すぐという状況ではない」とのべ、運営で改善していくと答弁しました。

 林氏は、現在の調査研究船の運営実態も明らかにしながら、予算と人員を増やすことなしに充実した研究はできないと指摘。独立行政法人化では効率化の追求で研究者の期待にこたえるどころか、かえって後退する危険もあるとのべました。

参院 文教科学委員会会議録 9号

平成15年04月22日
  出席者は左のとおり。
    委員長         大野つや子君
    理 事
                仲道 俊哉君
                橋本 聖子君
                佐藤 泰介君
                山本 香苗君
                林  紀子君
    委 員
                有馬 朗人君
                有村 治子君
                大仁田 厚君
                中曽根弘文君
                江本 孟紀君
                神本美恵子君
                内藤 正光君
                藤原 正司君
                畑野 君枝君
                西岡 武夫君
                山本 正和君
   国務大臣
       文部科学大臣   遠山 敦子君
   副大臣
       文部科学副大臣  渡海紀三朗君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   政府参考人
       文部科学省高等
       教育局長     遠藤純一郎君
       文部科学省研究
       開発局長     白川 哲久君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○独立行政法人日本学生支援機構法案(内閣提出)
○独立行政法人海洋研究開発機構法案(内閣提出)
    ─────────────
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 私も、今日は、独立行政法人海洋研究開発機構法案についてお尋ねしたいと思います。
 まず、この海洋研究開発機構という独立行政法人は、その目的に、「海洋に関する基盤的研究開発、海洋に関する学術研究に関する協力等の業務を総合的に行うことにより、海洋科学技術の水準の向上を図るとともに、学術研究の発展に資すること」、こういうふうにうたっているわけですけれども、海洋の研究を現状より更に充実させるべきである、これは研究に携わっている方たちの大きな声であり、また、これは国民の願いでもあるというふうに思うわけです。
 そこで、大臣にお聞きしたいと思いますけれども、新しい独立行政法人でこの海洋の研究を現状よりも更に充実させる、このことが本当に実行できるのかどうか、まず伺いたいと思います。

○国務大臣(遠山敦子君) さきの江本議員の御質問に対してお答えいたしましたように、海洋科学技術の研究開発、今、大変進んでおりまして、大きな転機にあるのではないかと私は考えております。それがたまたま独立行政法人の新しい機構にさせていただくということで、更に充実した内容にしていかなくてはならないと思いますし、また、今回の新しい機構は、これまでの海洋科学技術センターの機能に加えまして、東京大学の海洋研究所から船の運航について新たな機能を統合して持つということでございますので、私は、林委員御指摘のように、これからの海洋科学に関する研究開発というものは大きく進展するのではないかと思います。
 具体的に申しますと、例えば地球温暖化の動き、あるいは気候変動の地球規模での動き、さらには地震についての地殻構造、地震の予測にも資するような地殻構造の解明など、そういった自然現象のメカニズムを明らかにしていきますためには、今取り組み始めております海洋研究というものをより推進していくことが必要であると思っておりまして、海洋研究開発機構は、その私どもの期待にこたえてくれる機関になるというふうに考えます。
 新しい機構を作りますねらいは、一つは学術研究とそれから科学技術の研究開発との垣根を越えた海洋研究の共同推進体制というものを構築するということにございます。これまで、やはり旧科学技術庁のセンターとそれから旧文部省の東京大学の海洋研究所ということでございまして、お互いに海洋を研究対象としながらもなかなか融合ということが難しい面もございましたけれども、新たにこれらが、同じ省になったということもあり、新しい機構の目的の中に両方の研究開発の機能が一緒になる面もあるということで、私はこういうことが大いに進むのではないかと思います。第二が、それとの関連もございますけれども、大学を含めた日本全体の海洋研究振興のための安定的な研究基盤の形成というようなことが言えるかと思っております。
 そういうことで、委員が先ほどお読みいただきました目的、条文そのものはちょっと砂をかむような条文でございますけれども、私はこの背後にある海洋開発の未来性というのは大変大きなものがあるのではないかというふうに考えます。

○林紀子君 今、研究は更に充実できるんだというお話がありましたので、それでは具体的にどうかということを伺っていきたいと思います。
 日本学術会議の海洋科学研究連絡委員会というところがあるそうですけれども、そこで昨年の、二〇〇一年の、一昨年の五月に報告を発表いたしました。「海洋科学の教育と研究のための船舶不足と水産系大学練習船の活用について」と題するものなんですけれども、この中で、将来の海洋研究を担う人材の養成の在り方がバランスを欠いているのではないかというふうに指摘しているわけです。その理由といたしましては、幾つかの大学で行われた大学院重点化は、海洋科学や地球環境科学領域における大学院生数を激増させた。しかし、その一方で、海洋現場における実習教育や研究の機会を大学院学生に保証するための船舶の整備充実はなおざりのままである。そのため、教育と研究の多くが計算機を利用したバーチャルな世界での海洋学に向かいつつあり、これでは人材の養成の在り方としてバランスを欠いたものになっていると、こういうことなんですね。
 今回の新しい機構の発足で、このバーチャルな海洋学と、机上の空論ではないでしょうけれども、机上での研究だけに済ませてしまうと、そういうことは解消できるのでしょうか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 水産系の学部には練習船がございまして、ここでは学生が水産生物の生態などを実地に学びまして様々な漁獲方法の教育を行う水産学実習を行うと同時に、専攻科での船舶職員養成のための航海実習を行っていると、こういうことでございます。
 そして、御指摘のような大学院生でございますけれども、海洋における実地の調査研究を行うということで自分の、自大学の練習船に乗船をしてそういうことを行っておるわけでございまして、またそのほかにもテーマに応じましては、ほかの大学あるいは今御審議いただいておりますような東大の海洋研、海洋科学技術センターといったような機関の練習船、研究船に相乗りをしまして、そういう乗船の機会が得られるよう努めているということでございます。
 また、水産系以外の大学の大学院生につきましても、水産系の方の練習船につきましては、毎年、こういう目的でどのぐらいの期間運航しますという運航計画を公表しておりまして、それを各大学に配って公募をして、自分のところの学生や大学院生以外にもまだ乗せる余裕がございますので、そういうことで公募をいたしまして、そしてほかの大学の院生や研究者にも乗っていただくというようなこともしておるということでございます。
 今回、海洋開発研究機構の設立によりまして、研究船の一元的、効率的な運航体制を整備するということでございますので、そこの中で大学院生を含めた研究者の海洋での研究機会の充実が図られるよう努めていきたいと、こう思っております。

○林紀子君 今、東京大学海洋研究所の船のお話もありましたけれども、今、局長がお答えいただいたのは理想でありまして、現実は大分違っているんじゃないかというふうに思うんですね。
 今、海洋の研究を主たる目的として運航されているのは東京大学海洋研究所の白鳳丸と淡青丸、そして海洋科学技術センターの「みらい」、この三隻ではないかというふうに思うわけですね。
 この日本学術会議の報告では、先ほどの文章に続けまして、「研究観測の需要がきわめて多いために、一回の航海に多くの研究者が混乗」、先ほど相乗りしてとおっしゃいましたがそういうことだと思います、「それぞれ割り当てられた少ない日数内に完了しうる研究課題を選択しているのが現状である。このため、海洋科学にたずさわる研究者は、研究調査船が一隻でも多くなることを切に願っている。」というふうに指摘しているわけですね。
 先ほど、副大臣の方から、大変研究者のそういう声が大きいというお話もありましたので、文部科学省の方でもこういう状況というのは十分御存じのことではないかと思うわけですが、新しい独立行政法人になりまして、この研究者の方たちが願っている研究調査船の増船、増やすことですね、それはできるんでしょうか。

○副大臣(渡海紀三朗君) 当然、お金があればできるわけでございますが、財政事情もさっきから議論が出ておりますように、それほど簡単ではございません。そういう中で、逐次、専門家の意見を聴きながら、そして各審議会等で御審議もいただき、そういったものをベースに全体の資源配分を考えていくというのが原則であろうというふうに思っております。
 将来、いろいろ工夫をした中で船がもっともっと必要になるという、そういう、今でも必要ではありますよ、ありますよ、それは意見でも出ておるわけでございますから、あればあった方がいいともちろん思っております。しかし、今すぐ、じゃ来年こういう計画に掛かりましょうという状況では財政事情はないと、これは御認識をいただきたい。
 そういう中で、さはさりながら、やっぱりやることはしっかりやっていかなきゃいけないということで、この統合を機会に総合的に組織をやっぱり見直す工夫、また業務を見直す工夫をやり、しかも中期目標、中期計画という段階で今までの中に、今までも効率化は進めてきているわけでございますが、無駄な部分がなかったか、そういったことも含めてしっかりと検証をして、新たな計画の中で研究の機会だけはしっかり確保して、しかもできればそれをちゃんと増やすという、そういう努力をしてまいりたいというのが現在の私見も含めました文部科学省の見解でございます。

○林紀子君 そこで、研究者の方たちはやむにやまれずといいますか、こういうことはどうだろうという提案もなさっているわけですね。報告では、水産系大学の練習船は通常の観測設備はもちろん、多様な漁労設備や生物採集機器を備えている、だから、水産系大学の練習船の活用というのを先ほど遠藤局長からもありましたけれども、これを研究、調査のために転用したらどうかと。特に、幾つかの大学では廃止をしたり、それから廃止をしようかというような練習船もあるということですけれども、そういうものの中に練習船、この練習船を研究船に転用できるというものがありますでしょうか。

○政府参考人(遠藤純一郎君) 練習船でございますけれども、今、現実にそれぞれの大学の学生、院生の教育研究でフル稼働しておりまして、例えば北大のおしょろ丸でいいますと、年間十三回航海をしておりまして、短いので四日、長いので六十日間ということで、その目的も、学部学生の教育、あるいは院生それから学外者も含めた調査研究といったようなことで、ほぼ航海している期間が百八十日、ドックに五十日入っていますから、ほとんどもうフル回転ということでございますから、その大学以外のところに転用というのはなかなか難しいだろうと、こう思っております。
 それから、廃船になったのもあるわけでございますが、そういうやつもというお話でございますが、練習船の大体耐用年数というのが二十年ということで、現実には二十七、八年使って廃船にしているというのが現実でございまして、そこで練習船も整備が大変、きちんとやらなくちゃいけないということで、毎年ドックに入渠をさせて整備を行って、それから数年間経過するとまた設備の更新を行うと。それで、建造後二十年以上たった場合にはもう、まあ二十七、八年ぐらいでございますけれども、もう大幅な補修を必要とするということで、これを廃船をして別の船舶を建造している、こういう状況でございますので、ちょっと廃船になったようなやつを転用というのはなかなかそういうことで難しいだろうと、こう思います。

○林紀子君 その老朽化したものを使ってもしもというようなこともあっても大変なわけですから、老朽船を使うのがいいのかどうかというのも私も思うんですけれども、しかし、こういう提案が出たというのは、やはり研究船が本当に足らないということから出ているんだと思うわけです。ですから、そうしますと、やはりこういう研究者の声にこたえるのは専用の調査船が必要だという結論になると思うんですね。
 先ほど、予算上の問題というのがありました。それは確かにあると思いますけれども、今のこの機構は、先ほど大臣からも現状よりも更に研究ができるようになるんだという心強い、力強いお話があったわけですから、まず予算もここにきちんと配分をしていく、考えていく、そういうことが今後どうしても必要だというふうに今のお話を伺って思いました。
 それから、同時に、船があっても乗組員がいなければこれはできない、研究のサポートもできないということになると思うわけですけれども、今回、東大海洋研から白鳳丸と淡青丸という二隻の研究船がこの機構の所属になるということになったということですが、乗組員は今、東大海洋研の方は何人で、また海洋科学技術センターであった船舶の乗組員は何人なのか、教えていただきたいと思います。

○政府参考人(白川哲久君) 現在、東京大学の海洋研究所、ここは運航組織がございまして、海事職の職員がいるわけでございますが、六十三名在籍をしておるというふうに伺っております。それから、海洋科学技術センターでございますが、海洋科学技術センターは基本的には船の運航につきましては外部に委託をするという、そういう方式で運航をしているわけでございます。

○林紀子君 外部委託の場合の人数というのは分からないんでしょうか。

○政府参考人(白川哲久君) これは船によりましていろいろでございますけれども、例えば例示的に申し上げますと、先ほどの江本先生の御質問で幾つかの船を御紹介したわけでございますが、船の名前で申し上げますと、「なつしま」、「かいよう」、「よこすか」、「かいれい」、こういうものがございますが、これは乗船数としては三十名程度でございます。それから、先生の方から海洋観測船としての「みらい」につきまして御指摘がございましたが、「みらい」はかなり大型でございますので、これにつきましては予算上の認可で五十四名の船員が、外部委託でございますが、割り当てられております。

○林紀子君 先ほどたしか副大臣の方からお話があったと思いますが、白鳳丸、淡青丸は年間百八十日ぐらいの運航だと。「みらい」の方は二百七十日から三百日の運航だというふうに聞いておりますけれども、この運航日数の差は乗組員の人数の違いだということですね。
 東大海洋研の場合は今まで公務員だったわけですから、公務員の定数削減というものの対象にされて今お話のあった乗組員六十三人というふうになったんだと思います。六十三人で百八十日の運航というのは、これはなかなか大変なことなんだというふうに思うわけですけれども、今回この独立行政法人というふうになったわけですから、ここでは公務員定員削減の枠というのはもう外されるわけですね。ですから、運航日数を増やすために乗組員の増員というのはできるんじゃないかと思うんですね。ですから、先ほど来お話があります、独立行政法人というのは自主的、自律的に物事が決められるんだ、そしてそれに沿ってやっていけるんだというお話なわけですから、研究者の皆さんからもこれほど、もっともっと船が欲しいというけれども、船が増えなければじゃ運航日数を増やす、それには人数が必要だというこれも結論になると思うんですね。
 ですから、独立行政法人になったわけですから、今、東大海洋研の方からいらした方が六十三人というならば、それをもっと増やしていく、そしてこの運航日数を増やしていくと、そういう方法というのは考えられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(白川哲久君) お答え申し上げます。
 まず、一般論でございますけれども、先ほど来御議論がございますが、この独立行政法人への移行、海洋研究開発機構の発足というのは、これは、政府全体といたしましてはやはり特殊法人等の改革の一環ということでございますので、非公務員型の独立行政法人になるわけでございますが、その組織、業務が、何と申しますか、野方図に拡大するというふうなことはこれは避けなければならないというふうに思っておりますし、全体として効果的、効率的な業務運営を目指す必要があると、これがまず基本であろうというふうに思います。
 先生御指摘の、研究船の運航の日数を増やすためにはより多くの船員の確保が必要ではないかというふうな御指摘でございます。
 私どもも可能な限り、先ほど副大臣の方からもお話がございましたように、研究船を利用いたしました研究機会を増やす等によりまして、この研究船を利用した研究の充実、これは必要であろうというふうに思っております。そのためには十分な資質を有した船員を必要な人数だけ確保することが必要なわけでございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、海洋科学技術センターの方では、これまでの実績から、外部委託で対応しているということもございますので、そういうことも視野に入れながら、全体として必要な海洋研究が確実に遂行できるように運航体制の整備に努めてまいりたいというふうに思っております。

○林紀子君 外部委託というお話が出たわけですけれども、そうしますと、東大海洋研の職員の皆さんの処遇ですね、それは今後どういうふうになるんでしょうか。例えば委託会社の方に出向をさせられてしまうとか、そういうようなことも考えていらっしゃるんですか。

○政府参考人(白川哲久君) お答え申し上げます。
 今回の統合では、東京大学の海洋研究所の保有する二隻の研究船と併せて、その運航の任に当たっております運航組織、これが新しい海洋研究開発機構に移管をされるわけでございますけれども、したがいまして、現在の東京大学海洋研究所の二隻の研究船の船員の方々も新しい海洋研究開発機構の職員として継承されるわけでございます。
 ただし、その際、今、委員の方から処遇がどういうふうになるのかという御質問でございますけれども、私ども、移籍によりまして乗組員の方が不利益を受けることなく、安心して新しい機構の職員として勤務していただくことができますように、これは現在御審議いただいております法律案の附則の中にも規定してございますが、退職期間の通算の規定であるとか共済組合員の資格の継続の規定でありますとか、そういう所要の経過措置を定めているところでございます。
 それで、こういうふうにいたしまして海洋研究所の船員の方々に移籍をしていただくわけでございますけれども、この方々は、基本的には新しい機構の職員として研究船の運航に従事をしていただくということを予定をしておりまして、本人の御希望がないのに民間会社の方に出向をさせるというふうなことを想定しているわけではございません。

○林紀子君 私もそれを聞いてひとつ安心はしたわけなんですけれども、独立行政法人というのは、先ほど来お話がありますように、効率化というのが何しろキーワードなわけですよね。ですから、効率的に事業を行うために目標を大臣が立てて、それに沿った計画を法人が作って大臣の認可を受けて、それを文部科学省や総務省の評価を受けると。
 効率化ということばかりを追求していくと、本当に本来新しい機構でやらなければいけないようなことがきちんとできるのかどうかということも大変懸念を持っているわけなんですね。
 といいますのは、さっきの日本学術会議の報告でも、乗組員というのは観測機器や調査研究の機器の操作に熟練した専門家集団だというふうに指摘をしているわけです。ですから、研究船というのは研究者のサポーターとして熟練した乗組員が乗り込むということがどうしても必要ではないかと思いますが、そこはいかがでしょうか。

○政府参考人(白川哲久君) 今、先生御指摘のように、海洋の研究船でございますが、これは例えば海洋観測等を行います際に、海上で船を一時的に静止をさせたり、それから定められた航路に沿って正確に運航するとか、そういった海洋観測の内容に応じた特殊な操船技術が必要であるということがあるわけでございます。それから、これも先生御指摘のように、海洋研究者の方々が研究をいたしました結果のデータの整理であるとか海洋機器の操作、こういうことを支援をするような方、そういう方も当然必要でございます。
 先ほど来御説明しておりますように、海洋科学技術センターでは、保有する研究船は基本的に外部に委託をしておるわけでございますけれども、今御説明いたしましたような海洋研究船の特性にかんがみまして、海洋調査に必要な特殊な操船作業に習熟をしたところ、あるいは世界じゅうの海域を対象としておりますので、広範な海域調査に必要な国際的な運航にたけているところ、そういうところに外部委託をしておりまして、これまでのところ、問題なく運航や海洋支援業務が行われておりますので、こういうふうな実績も考え併せながら、先ほど申し上げましたように、全体といたしましては海洋船の運航の日数と申しますか、運航機会を増やす方向で考えたいと思っておるわけでございますけれども、こういったこれまでの海洋科学技術センターの経験等をよく勘案しながら対応していきたいと思っております。

○林紀子君 委託の場合もそのことをきちんと考えているというお話なんですけれども、私が聞いたお話だと、研究に必要な特殊な観測機器が装備されていて、トラブルが発生した場合、同じ乗組員でも担当外の者がそれを直そうとするとかえって機器のトラブルが広がってしまってダメージになってしまうと。海の上でそんなことになったらすぐすぐは対応できないわけですから、そういう意味では、ここでも本当に熟練した乗組員が必要だというふうに思うわけです。
 それとの関係で、「海洋科学の研究者養成と同時に、海洋の調査や資源開発、海洋構造物の構築などに関わる現業機関や民間企業で働く技術者、および海洋関連の行政において活躍する専門職等の人材養成も切実な問題である。」とこの日本学術会議の報告では触れているわけですね。「しかし、これらの人材を海洋現場で実践的に育成するための教育設備や体制は、未だにきわめて不備である」というふうに言っているわけですが、この人材育成、海洋にかかわる人材育成、この機構ではどういうふうにかかわっていくのでしょうか。

○政府参考人(白川哲久君) お答え申し上げます。
 現在、御審議いただいております法律案の中にこの新しい機構の業務が位置付けられておるわけでございますが、その中には、一つの大きな項目立てといたしまして、「海洋科学技術に関する研究者及び技術者を養成し、及びその資質の向上を図ること。」ということが明確にうたわれております。それから、今回、東京大学海洋研究所の研究船を受け継ぎますので、別の項目では、「大学及び大学共同利用機関における海洋に関する学術研究に関し、船舶の運航その他の協力を行うこと。」というふうに定められております。
 したがいまして、新しい機構では、こういう業務規定を基に、今、先生御指摘のような研究者、技術者の養成、その資質の向上、そういうことも当然本来の業務として取り組んでいくべきであるというふうに思っております。

○林紀子君 今まで見てきましたように、この分野というのは人も船も、ですから予算がどうしても充実させるということが求められているというふうに思うわけですね。しかし、独立行政法人というのは、先ほど来お聞きしておりますように、効率化、効率ということが非常に重点が置かれているために、その予算のところで締め付けられてしまうということになっていくのではないかと。そういうことになりますと、この機構の新しい仕組みで果たして研究者の期待にこたえるような組織になっていくのかどうかというのが非常に心配ですし、海洋科学研究は後退してしまう危険性があるのではないかと、そういう心配も持つわけですので、その予算のところというのを是非とも締め付けるのではなくということを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 
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