参院 文部科学委員会会議録 4号
平成十五年三月二十六日(水曜日)
午前十時二分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 大野つや子君
理 事
仲道 俊哉君
佐藤 泰介君
山本 香苗君
林 紀子君
委 員
有馬 朗人君
有村 治子君
大仁田 厚君
中曽根弘文君
岩本 司君
江本 孟紀君
神本美恵子君
山根 隆治君
草川 昭三君
畑野 君枝君
山本 正和君
国務大臣
文部科学大臣 遠山 敦子君
副大臣
総務副大臣 若松 謙維君
文部科学副大臣 河村 建夫君
事務局側
常任委員会専門
員 巻端 俊兒君
政府参考人
地方分権改革推
進会議事務局長 荒木 慶司君
総務省統計局長 大戸 隆信君
文部科学大臣官
房文教施設部長 萩原 久和君
文部科学省初等
中等教育局長 矢野 重典君
文部科学省高等
教育局長 遠藤純一郎君
文部科学省高等
教育局私学部長 加茂川幸夫君
文部科学省研究
振興局長 石川 明君
文部科学省研究
開発局長 白川 哲久君
厚生労働大臣官
房審議官 渡辺 芳樹君
厚生労働省社会
・援護局障害保
健福祉部長 上田 茂君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
送付)、平成十五年度特別会計予算(内閣提出
、衆議院送付)、平成十五年度政府関係機関予
算(内閣提出、衆議院送付)について
(総務省所管(日本学術会議)及び文部科学省
所管)
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○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
最初に、夜間中学問題について伺います。
各新聞、マスコミでも大きく報道されたように、二月二十日、全国夜間中学校研究会及び義務教育未修了者、生徒、卒業生らが公立の夜間中学の増設を求めて日本弁護士連合会に人権救済の申立てをされました。その中には、映画監督の山田洋次さんや女優の竹下景子さん、そして永六輔さんも入っておられるわけでございます。夜間中学校といえば、映画「学校」でも取り上げられまして、当時その映画を試写会でごらんになりました赤松文部大臣が、夜間中学校だけでなく、すべての学校があのようにあってほしいと監督に言われたということも報道されたとおりでございます。
映画のモデルにもなりまして、長年実践をされてこられました見城慶和先生は、この「夜間中学校の青春」など含めてお出しになられて、吉川英治文化賞を受賞されておりまして、その本がこの春、参考として使われて、長編記録映画「こんばんは」ということで公開されることになっております。
遠山文部科学大臣、是非これ一緒に見に行きませんか、いかがですか、お忙しいと思いますが。
○国務大臣(遠山敦子君) 国会の御審議がなかなか日程が詰まっておりますけれども、うまく時間が合いましたらそうしたいものでございます。
○畑野君枝君 是非よろしくお願いをしたいと思います。私も見ておりませんので、またお互いに見ることができましたら感想も交流させていただきたいと思っております。
さて、その申立ての中では、全国の義務教育未修了者が百数十万人と考えられていて、そのうちのごく一部の者が夜間中学校に入学し、日々勉学に励んでいるというふうに言われております。この点につきまして、一九八五年に、当時の中曽根総理が我が党の吉川春子議員の質問に対する、質問主意書に対する御答弁の中で、答弁書の中で、六三制になって以降の義務教育未修了者の数について、以下のように回答をされておりました。
学校教育法により九年間の義務教育を受けるべき者のうち、義務教育を修了していない者の数を把握することは極めて困難であるが、学校基本調査、国勢調査報告等を基に推計してみると、約七十万人であると考えられる。ただし、これには病弱などの事由により就学義務の猶予・免除を受けた者が相当数含まれているというふうに言われております。
約七十万人という数字自身が大変大きな数であると思いますけれども、具体的にどのような調査から算出されたのか、まず最初に伺います。
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど答弁書を御紹介いただきましたけれども、基本的に、基本的にと申しますか、義務教育を修了していない者の数は把握するのは困難であると、そういう前提で学校基本調査それから国勢調査報告書等を基に推計してみると、ということで、そうしたデータを基に推計してみると、先ほど御紹介ございました、推計値として七十万人になるのではないかということを答弁書で申し上げたものと思っております。
○畑野君枝君 六三制が始まった一九四七年以来、現在まで、就学義務免除者の数、これは何人になりますでしょうか。トータル出ない。
○政府参考人(矢野重典君) はい、出ないです。
今の御指摘の数字は、各年ごとの数字は私持っているんですが、それをトータルしたものが今手元にないものでございますから、直ちにはこの集計、申し訳ございませんけれども、後で集計をして御報告させていただきたいと思います。
○畑野君枝君 よろしくお願いいたします。
私も各年度ごとのはお願いをいたしまして、昨日、直ちにいただきました。一番最近の昨年でも千九百九十八人という資料をいただいているところでございます。また、トータル含めてまた併せて教えていただきたいと思います。
それでは、一九四七年から一九九二年までの小学校入学者、それからその方たちが中学校を卒業するという計算でいいますと、一九五六年から二〇〇一年までの中学校卒業者、それぞれ何人おられるでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) まず最初の、一九四七年から一九九二年までの小学校入学者総数は約八千二百六十六万人でございます。また、その方たちが卒業する一九五六年から二〇〇一年までの中学校卒業者数が約八千百九十九万人でございます。
○畑野君枝君 そうしますと、各年ごとのも私、昨日、文部科学省にお願いをいたしまして資料を要求して、いただきました。今お答えがありましたように、その差は、私、細かいところまで計算をいたしますと六十六万八千百六十五名というふうに、つまり小学校入ってから中学校の義務教育を出るまでのその差が六十六万八千百六十五人いると。つまり、入ったけれども中学校は出ていないという方がそれだけいらっしゃるということだと思います。つまり、この数値含めて大体当時七十万という数は出ているんですか。
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど御説明申しましたように、当時七十万と推計した推計の資料といたしましては、学校基本調査と国勢調査報告書を基に推計したという資料は残っているわけでございますが、そのデータを基にどういう形で推計を出したかというのは、大変恐縮でございまして、約二十年前のことでございまして、どういう形の推計をしたかという資料が残ってございませんので、その辺については恐縮でございますが、きちんと御説明することはできませんので、御理解いただきたいと思います。
○畑野君枝君 通告していないんですけれども、そうしたら今は大体どれぐらいだというふうに御認識されていますか。
○政府参考人(矢野重典君) これはもう大変難しい、推計することは大変難しいわけでございまして、大変恐縮でございますけれども、この七十万という数字自体でも先ほど申しましたように推計の根拠というのは残っていないわけでございますが、相当この数字についても幾つか問題があるのではないかというふうに分析をいたしておりまして、と申しますのは、現在の学校制度になってしばらくの間は、戦後間もない当時の社会状況もございまして、学校基本調査において小学校入学者数とその九年後の中学校卒業者数の差が、当初の十年間だけでも約五十二万人といったような大変多くの者が、多くの方が中学校までの義務教育を修了されないで、結果としてそういうことがあったわけでございますから、そういうことがベースになってこの七十万というふうになったのではないかというふうに推計される面もございますので、この七十万を根拠に、じゃ今はどうかというのを直ちにそれを基に推計することは難しいということは御理解をいただきたく思います。
○畑野君枝君 しかし、これは当時の中曽根総理が御答弁されたことですから、もう大変そういう点では大事な御答弁だというふうに思います。
しかし、その後、具体的に文部科学省としては把握をされていないということになるというお話だったと思います。それは私はなぜそういう分からない状態が続くのかということで、総務省に伺いたいのですが、十五歳以上の未就学者というのは、国勢調査によりますと一九八〇年は三十万八千四百十五人、一九九〇年は二十一万七千六百五人、そして二〇〇〇年は十五万八千八百九十一人というふうになっております。それで、未就学者というのは在学したことのない人又は小学校を中途退学した人というふうになっているわけでございます。
そこで伺いたいのですが、今日お手元に資料として皆様にお渡ししていますように、国勢調査調査票の見本というのがございます。それで、第二面のところの八というところに「教育」というところがございまして、在学中若しくは卒業と、どちらかをマークシートで選ぶようになっております。その項目というのは四つの項目がありまして、一つは「小学・中学」、もう一つは「高校・旧中」、旧制中学ということですね。それからもう一つは「短大・高専」、もう一つは「大学・大学院」というふうになっております。小学校だけを卒業した人というのはどこに入りますか。
○政府参考人(大戸隆信君) 小学校だけの場合も「小学・中学」に入ると理解しておりますが。
○畑野君枝君 中学校中退者はどこに入りますか。
○政府参考人(大戸隆信君) 中学校中退者でございますか。それは小学校を卒業していれば小学校という、「小学・中学」のところに入ると思います。こちらでまとめて集計されます。
○畑野君枝君 そうしますと、中学校を卒業していない方も小学・中学卒業という項目に付けるということになりますか。
○政府参考人(大戸隆信君) そのとおりでございます。
○畑野君枝君 つまり、国勢調査ではそこのところは一緒になっているので明確に分からないということになっているわけです。つまり、未就学者と義務教育未修了者というのはイコールというふうに出てこないんじゃないかと思いますが、未就学者と義務教育未修了者というのはイコールじゃないですよね。
○政府参考人(大戸隆信君) 御指摘のように、中学校中退の人があるとすればこの卒業に入ってしまいますので、イコールではない可能性もございます。
○畑野君枝君 ですから、二〇〇〇年でいうと未就学者十五万八千八百九十一人ということでしたけれども、それは当然、義務教育未修了者とイコールではないということであります。
そうしますと、この国勢調査の「教育」の項目を書いていない、答えていない、こういう人はどういうふうに扱われますか。
○政府参考人(大戸隆信君) 実は、この「教育」の調査項目というのはなかなか難しいといいますか、お答えにくい方もいらっしゃるということで、記入されていないケースもございます。記入されていない場合は、年齢などを見て、また未就学、在学、卒業の欄には入れてないけれども学校の種類には入っているような場合は、年齢等加味しまして、我々の方では補定という、補い定めるという字で補定と言っていますが、そういうふうな分類に当てはめることにしております。
○畑野君枝君 それで、こういうふうになってきますと、国としてどういうふうに義務教育本当に受けていただけるような措置を取っていくかという基礎的な数値というのはなかなか出てこないということが分かるわけですが、やはり国民にとって必要最低限の基礎教育という点からも、あるいは高校進学や国家試験受験のためにも中学校卒業の資格が必要という点からいっても、今、国勢調査で言われている小学校のみ卒業者あるいは中学校中退者という人たちについては、今の小学・中学卒業者から分離をして、何らかの形で義務教育未修了者を正確に把握できるような区分に改善していく必要があるんではないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(大戸隆信君) 国勢調査は大変基本的な調査でございまして、我が国に住んでいる一億二千万人以上の方を対象にして一斉に行う調査でございます。その調査事項につきましては、国や地方公共団体の各種行政施策に共通的に必要なものに限って調査しており、また調査される方、この国に住んでいる方みんなが容易に記入可能なものに限定して調査せざるを得ないことになっておりますので、これ以上詳細にはなかなか難しいのではなかろうかと。
また、特定の目的のものでございましたら、また別途調査なり資料を集めるというようなことで対応をしていただくのがよろしいのではないかと考えております。
○畑野君枝君 この国勢調査の項目の「小学・中学」というのが一緒になっているというのは、この小学というのは昔のいわゆる旧制小学校というのがそもそも目的だったように伺っているんですね。それはもう大分変わってきているわけですから、それだったら、小学じゃなくて中学だけという項目が卒業の中であってもいいんじゃないかと思うんですが、そういう点はどうですか。
○政府参考人(大戸隆信君) 御指摘の趣旨も分かりますけれども、小学校を卒業して中学を卒業しない方というのは大変数も限られるということでございます。
また、先ほど申しましたように、この調査事項につきましては、なかなか調査が回答しづらい方もいらっしゃるというようなことで、小学校を卒業したけれども中学校は卒業していないのを正確にとらえるにはなかなか難しいことがあるかと思います。
○畑野君枝君 そうしますと、文部科学省としてはこういう問題をどういうふうに掌握されようとしているんですか。先ほどからも正確な数字が出ないで混乱したまんまの状況なんですけれども。
○政府参考人(矢野重典君) これは、申し訳ございませんけれども、私どもも、私どもがそうした義務教育未修了者の人数を把握することは、私どもとしても難しいと思っております。
○畑野君枝君 そうしますと、本当に人権救済というふうに申立てをされている意味が、私も今の御答弁聞いて、本当よく分かりますよ。一体どういう実態か、どういう人数かということもだれも国は責任を持たないで来たということに私なると思うんですね。
現在、中学校卒業の資格を得るための一つの手段として中学校卒業認定試験がありますけれども、制度が発足以来、何人が受験して何人が合格していますか。
○政府参考人(矢野重典君) 受験、失礼しました。昭和四十二年度から平成十四年度まででございますが、受験者総数は二千七百七十九人でございまして、それに対する合格者数は累計で二千百三十九名となっております。
○畑野君枝君 本当にわずかな数ですよね。私も、制度ができて以来の各年ごとの資料も昨日文部科学省からいただきました。
さて、こうした中で、今どんな状況に夜間中学に通われている生徒さんたちが感じておられるのか。私は、その中で学んだお一人であるTさんという女性の方が二十二歳のときに発言をされた原稿を読ませていただきました。
この方は、入学の動機は、死ぬ前にもう一度だけ勉強がしたいという思いからだったということです。三歳のころから保育園も休みがちで、小学校に入学してからも休んでばかり。体が弱かったというわけではなく、いわゆる登校拒否というものだったと。三歳からそういう状態ですので、そのころの記憶がない私にははっきりとした原因は分かりません。ただ、私の両親は私が三歳のころに離婚していて、父が家を出ていった次の日から私は保育園を休むようになっていったそうです。でも、それはきっかけであって、私は原因だとは思いません。私の不登校は日に日に増し、とうとう小学校六年の二学期から学校へは全く通わなくなりました。さらに、外出も控えるようになり、引きこもりと言われる状態になっていきました。そのまま八年の歳月が過ぎました。私は二十歳になろうとしていました。でも、私の精神状態や記憶は不登校に苦しむ十二歳で止まったままでした。
こういう方が、十九歳のときに成人式の通知をもらって、そしてそれから、苦痛で一人で怖くて外に出ることすらできない十二歳のままの自分が大人になっていくのかと思うと、成人する現実に耐えられなくて、三月の自分の誕生日に自殺してすべて終わらすことを決断した。しかし、心の中にはもう少し生かしてほしいということで、誕生日の日、自分自身を殺すことができなかったということで、自殺する前にもう一度だけ学校へ行って勉強してみようと決意した。
こういうことで夜間中学の門をたたき、そしてその中から、元いた小学校にはもう一回先生に体育館で卒業証書を渡してもらうという卒業式を受けて十二歳の呪縛から解き放たれ、中学校のときに児童相談所のお世話になった方に会いにいって、十五の自分を取り戻し、そしてこの夜間中学で成人式を受けた。その方は最後に、卒業する際に、私の進路は、当たり前のことでもありますが、四月以降も生きる、今はただそれだけですというふうに言っておられます。
しかし、いろんな年齢の方とも交流しながら人間として生きていける、そういう人生を取り戻しているわけです。その後、二十四歳になられたこのTさんは、新聞にも報道されておりますが、今、定時制高校に通っていらっしゃるということであります。
一九八五年のときの中曽根総理の答弁書の中では、中学校夜間学級、いわゆる夜間中学は、発足当初は、生活困窮などの理由から、昼間に就労又は家事手伝い等を余儀なくされた学齢生徒等を対象として、夜間において義務教育の機会を提供するため中学校に設けられた特別の学級であり、その果たしてきた役割は評価されなければならないと考えている。現在、中学校夜間学級には義務教育未修了のまま学齢を超過した者が多く在籍しているが、現実に義務教育を修了しておらず、しかも勉学の意思を有する者がいる以上、これらの者に対し何らかの学習の機会を提供することは必要なことと考えるというふうに述べられているわけでございます。
現在、この夜間中学には様々な年齢や国籍の生徒が在籍しておりますし、今御紹介したような不登校や引きこもりだった十代、二十代の若者もおります。大勢で大家族のような温かい雰囲気だからこそ、心を開き、元気を回復し、高校などの進路にも進んでいくことができるわけでございまして、このような夜間中学の役割についてどのように思われているか、伺いたいと思います。
○政府参考人(矢野重典君) 夜間中学校についての私どもの見解でございますが、これは先ほど委員が御紹介されましたとおりでございまして、これは、中学校の夜間学級につきましては、制度の発足当初は、生活困窮などの理由によって就労を余儀なくされ、昼間に義務教育を受けられない者に対して夜間に就学の機会を提供するために設置された特別の学級でございまして、その果たしてきた役割は評価されなければならないと考えているところでございます。
一方、現在におきましても、義務教育の未修了者で勉学の意思を有する者に対して中学校の夜間学級は義務教育を受ける機会を提供しておりまして、国に対して広く、失礼、国民に対して広く教育の機会を提供するという観点から一定の役割を担っているものというふうに考えております。
○畑野君枝君 しかし、そうおっしゃる公立夜間中学校も、現在は全国八都府県に三十五校、約三千人しかいない状況でありまして、東京八校、千葉一校、神奈川六校、私の地元ですが、横浜五校、川崎一校、大阪十一校、京都一校、奈良三校、兵庫三校、広島二校というふうになっております。
この中で、いかに夜間中学校を求めているかという点が申立て書の中でも言われておりますが、例えば、夜間中学校のない東北や九州に住んでいる方が、入学するために東京や大阪などに一九九一年から二〇〇二年の間に十九名が転居をされております。それから、九二年から二〇〇二年まで、片道二時間とか片道一時間半とか、このように掛けて通学している方が、二時間は四名、片道一時間半は五十四名というふうになっております。そして、遠距離通学の方は一人平均年十万五千円の通学定期代という特別の出費も強いられているということであります。それから、そういった公立夜間中学のない地域の十数か所で、開設を求めると同時に自主夜間中学が開設をされていますが、ここでも中学校卒業の資格を取ることはできないわけですね。
こういう状況を見ますと、夜間中学というのは要望に対してまだまだ足りないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
私、ずっと見せていただきましたけれども、例えば、秋田の男性は、和歌山で大工になって、そして夜間中学がないために兵庫に家族で引っ越したとか、それから、あるいは一時間半掛けていらっしゃる中国帰国者二世の方は、この国会の永田町を使って一時間半掛けて通っていらっしゃるとか、そういう御苦労をされているわけですね。
だから、そういう皆さんの御要望からすると足りないのではないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(矢野重典君) 義務教育未修了者の、未修了のまま学齢を超過した方々についてでございますけれども、これは基本的には市町村がその設置する小中学校に受け入れなければならないというものではないわけでございますけれども、先ほど御紹介ございましたように、そういう方々にあっても、あって勉学の意思を有する方々がおいでになるわけでございまして、そういう方々については、これは何らかの学習の機会についての配慮ということも含めまして、そういう方々についてどのように対応するかというのは、これは私ども市町村教育委員会の判断によるべきものであるというふうに考えているわけでございます。
いずれにいたしましても、義務教育未修了者、あるいは現に夜間中学校に学んでいる方々の実態を見ますと、年齢やあるいは職業等によりまして学習の目的、また必要とする教育の内容が区々様々であるわけでございますので、それぞれの学習者の実態に即しまして、かつまた、それぞれの地域の実情を踏まえて、社会教育における機会も含め、幅広く教育の機会が得られるように、私どもとしては当該市町村教育委員会の適切な判断を期待をいたしたいと考えるものでございます。
○畑野君枝君 必要なところで必要な措置が取られるようにというふうに文部科学省としても考えているということでよろしいですか。
○政府参考人(矢野重典君) そうした、今申し上げましたような地域住民のニーズがあるということを前提にして、そういうニーズにどのような形で対応するかも含めて各市町村教育委員会が適切に判断をしていただきたいということでございます。
○畑野君枝君 先ほど引きこもりの方の御紹介しましたけれども、障害ゆえに学校に行けずにつらい生活を重ねて、たどり着いた夜間中学校で世界が広がったと語る障害者の方、あるいは先ほど申し上げました外国籍の方、あるいは在日韓国・朝鮮人の方、いろんな方が学んでおられるわけでございます。
特に、次に伺いたいのは、十代の外国人の中には、学齢が超過しているという理由で昼間の中学校の入学を断られて夜間中学に入ってくるという方も少なくないというふうに伺いました。現在、日本に約二百万人の外国人の方がいるということでございますが、こういう方たちの教育を受ける権利を保障するという点ではいかがでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど申しましたように、外国籍の子弟について、それを各市町村教育委員会が義務として受け入れなければならないわけではございませんけれども、そうしたニーズにつきましては基本的にできる限り要望にこたえるということで国としても指導してございますし、多くの自治体においてそういう要望はできる限り、そういう要望に対してできる限り対応しているというふうに私は思っておりますけれども。
○畑野君枝君 ところが実態は、例えば、昨年でいえば、ペルーの十五歳の女性ですけれども、移民四世で、市の教育委員会に問い合わせたら、学齢超過なので昼の中学には入学できないと言われたと、そして夜間中学を紹介されて入ってこられたとか。一昨年は、中国の引揚者、十六歳の女性ですが、中学校に行ったら、昼間の中学校に行ったら断られて、区役所に話をしたけれども、学校が決めることだということで積極的でなかったということもあるわけです。
ですから、これは文部科学省としてはきちっと対応されたしということでよろしいですか。
○政府参考人(矢野重典君) 今の御指摘のケースについては、具体的な事情分かりませんから私としては今の段階ではコメントはできませんけれども、一般的には、そうした外国人の子女につきましても希望にこたえて各市町村教育委員会受け入れるようにということで私ども指導いたしてございますので、もしそういう特別の何か事情がございますれば、また私どもについて、御指摘をいただければ調査をしてみたいと思います。
○畑野君枝君 そういう点では、学齢を超えた様々な義務教育未修了者、こういう方たちが本当に人間の尊厳を回復したいというふうに考えておられるわけです。
そこで、今回の人権救済申立てにありますように、全都道府県に最低一校の公立夜間中学校を、また全政令指定都市に最低一校の公立夜間中学校を、さらに自主夜間中学のある自治体に公立夜間中学開設をと、これは本当に当然の求めだというふうに思いますけれども、この点についてはいかがですか。
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど来申し上げておりますように、夜間中学校につきましては一定の役割を果たしているというふうに認識をいたしておりますけれども、これは、その開設につきましては、これは地域の実情等を踏まえ各市町村において判断されるべきものというふうに考えております。
○畑野君枝君 そうしますと、それぞれの市町村が必要というふうになれば、それは進むということですか。
○政府参考人(矢野重典君) そのとおりでございます。
○畑野君枝君 こういう質問をさせていただきましたのは、是非文部科学省としても、人数の把握の問題もそうですけれども、この点に注目をして必要な対応を取っていただきたいというふうに思います。
最後に、文部科学大臣にこの点について、是非夜間中学の実態もよくお調べいただいて、地域の要望にこたえられるような推進を進めていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 日本の中に住む人たちが、いろんな国籍なりいろんな状況があると思いますが、学びたい人が学べるようにしていくというのは大変その人たち個人にとっても幸せなことだと思いますし、国としてもそういうことはやりたいとは思いますけれども、地域によって随分ニーズも違いますね。学級を作るということになりますとそれなりの人数も要りましょうし、やはりそれはそういう住民を抱えているそれぞれの地域がしっかり考えて対応していくということだと思います。それが仮に、それぞれの市町村におきまして、公立の中学校の夜間中学級ですか、夜間学級ということでやるということになりますれば、それは中学校でございますから私どもも必要な手当てはするわけでございますけれども、それぞれの設置者たる市町村がしっかり判断してやってもらいたいと思います。
○畑野君枝君 そのためにも、是非きちっとした実態把握をしていただきたいということを申し上げまして、最後に、新生児聴覚検査事業について伺います。
「新生児聴覚検査事業の手引き」というのもいただいているわけでございますが、この事業が始まりまして、検査を受けるかどうかは保護者の判断によるわけですけれども、精密検査により異常があると見られた場合には、難聴幼児通園施設あるいは聾学校、養護幼稚部等において療育指導をするというふうになっておりますが、八都道県にとどまっているというふうに伺っております。それはなぜでしょうか。
○政府参考人(渡辺芳樹君) お答え申し上げます。
今御指摘の新生児聴覚検査事業につきましては、聴覚障害を早期に発見して、できるだけ早い段階で適切な措置を講じるということが目的でございます。
御承知のように、出産後、入院中の新生児に対して聴覚検査を行うということでございますが、私ども、事業としてやっておりますのは、平成十三年以来、試行的な実施ということで、神奈川県を皮切りに八都道県で実施をしておるところです。十三年からやっておりますので、今までのところは御希望の事業は全数補助をさせていただいているという状況でございます。
この事業の実施に当たり、また、これからの在り方ということも含めて、何よりも大切なのは、検査後の相談体制や療育体制の整備ということであると思っておりますし、あわせて関係の諸機関が密接に連携して対応する体制を構築すること、こういうことだろうと思っております。今まで手が挙がってこの事業を実施していただいているところは、その準備が整ったということで実施をしていただいているものと承知しております。
なお、関係者に対する啓発というのは大切でございますので、御指摘のその手引きなどを厚生労働科学研究で取りまとめさせていただいて、配付し、多くの関係者に御理解を賜るようお願いしておるところでございます。
○畑野君枝君 科学の進歩で検査ができるようになりまして、治る難聴なのに治らないままという可能性もあるわけでございます。しかし、お話があったように、全都道府県には療育体制がないと、これからということでございます。この手引きにもあります聴覚障害児と共に歩む会トライアングルに伺いますと、北海道や四国からも検査、療育で訪れてこられているというふうに、東京都新宿区にあるところでございますが、伺っております。
私も、地元の神奈川県の平塚市聾学校で乳幼児相談という形で努力をされているお話も伺っているわけです。いろいろな自主的な取組も併せて創意工夫がやられているわけでございますが、ここにも市内はもちろん市外、県内各地から相談に来られていると思います。保護者の不安もありまして、例えば分かってもそれを治す体制がないということであります。
ですから、是非広報、あるいは施設そして人員配置、こういった点も、今ある難聴幼児通園施設あるいは聾学校幼稚部が大きな役割を果たすと思いますが、予算の措置も含めて一層力を入れていただきたいと思いますが、厚生労働省、文部科学省に伺います。
○政府参考人(上田茂君) 聴覚障害児につきましては、早期発見、早期療育が重要でありまして、残された聴力をできる限り活用しまして、言語能力を身に付け、将来社会に自立できるようにするために、ただいま御指摘ございました難聴幼児通園施設におきまして、地域の聴覚障害児に対しまして、言語治療教育あるいは言語発達、身体発達の相談指導、また、児童に合った補聴器の選択と調整等々を行っているところでございます。
新生児聴覚検査事業が創設されまして、難聴幼児に対する早期療養が重要となっておりますので、私ども厚生労働省といたしましては、まずこの施設が設置されております都県あるいは指定都市に対し、新生児聴覚検査により発見された児童を含め、地域内での難聴幼児の把握に努めるとともに、児童相談所等の関係機関への周知と十分な連携を図ることによりまして、利用促進あるいは活性化に努めるように指導を行っておりますし、また、この施設が設置されていない道府県あるいは指定都市に対しましては、こういった検査により発見された児童を含めた地域のニーズに応じて難聴幼児通園施設の設置に努めるとともに、身近な地域で療育指導を行っております障害児通園デイサービス事業がございますが、こういった事業などを活用するように指導しているところでございまして、今後とも、関係機関との連携を図るとともに、きめ細かな早期療育体制の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
○政府参考人(矢野重典君) 盲学校幼稚部における教育相談でございますが、それぞれの、失礼、聾学校でございます、聾学校幼稚部における教育相談でございますが、それぞれの聾学校におきましては、各学校の教師の専門性あるいは施設設備を生かしまして、地域の実態や家庭の要請等に応じて、可能な限り障害のある乳幼児やその保護者に対して教育相談を行ってきているところでございまして、今後とも、私どもといたしましては、関係省庁とも連携を図りながら、そうした相談支援体制の充実に努めてまいりたいと思っております。
○畑野君枝君 終わります。


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